JP2007298101A - 揺動内接噛合型ギアドモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】精密制御に対応する性能を維持しつつ、コンパクト且つ安価なギアドモータを提供する。
【解決手段】モータの回転を、内歯歯車136と内歯歯車136に噛合して揺動回転する複数枚の外歯歯車134との相対回転成分として減速して出力する揺動内接噛合型ギアドモータであって、モータがサーボモータM101であり、外歯歯車134を貫通して前記相対回転成分を取り出すことが可能な内ピン144と、内ピン144を支持するフランジ体140と、サーボモータM101のモータ軸102に支持され、外歯歯車134を偏心回転させることが可能な偏心体130と、を備え、フランジ体140に対して偏心体130をフロート状態とし、偏心体130の偏心方向を、外歯歯車134の枚数に応じてバランス配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、サーボモータの回転を、内歯歯車と該内歯歯車に噛合して揺動回転する複数枚の外歯歯車との相対回転成分として減速して出力する揺動内接噛合型ギアドモータに関する。
従来、図2に示したロボットの関節構造Kが知られている(特許文献1参照)。
このロボットの関節構造Kは、主にモータM1と減速機G1を備えるギアドモータGM1から構成され、第1部材80と第2部材82とを相対的に回転させることでロボットの関節を実現している。
ギアドモータGM1は、モータ軸2の先端部が偏心体30に挿入され、スプラインを介してが一体的に回転可能に連結されている。この偏心体30は、偏心体用軸受32を介して外歯歯車34と係合しており、さらに当該外歯歯車34は、減速機ケーシング38に備わる内歯36Aと噛合している。又、外歯歯車34に形成された内ピン孔34Hには、内ピン44が貫通しており、該内ピン44は自身の軸方向両側からフランジ40(第1フランジ40A、第2フランジ40B)にて支持されている。又、偏心体30はその軸方向両端付近で、軸受70、72によって回転自在に支持されている。軸受70は、偏心体30と第1フランジ40Aとの間に配置され、軸受72は偏心体30と第2フランジ40Bとの間に配置されている。
このように、偏心体30を軸受70、72を介してフランジ40から支持する構造は、偏心体30の位置決めを行うと同時に、動力源としてどのようなモータが連結された場合でも、それに対応することができる程度に減速機G1側の性能を維持しておく必要性があったからである。
特開2005-254440号公報
近年、特にロボットの関節駆動装置として機能しうる程度に精密制御可能な性能を有し、コンパクト且つ安価なギアドモータが市場から熱望されている。
しかしながら、現状で提供されているギアドモータは、必ずしもこの要求に応えていないというのが実情である。
本発明は、精密制御に対応する性能を維持しつつ、コンパクト且つ安価なギアドモータを提供するものである。
本発明は、モータの回転を、内歯歯車と該内歯歯車に噛合して揺動回転する複数枚の外歯歯車との相対回転成分として減速して出力する揺動内接噛合型ギアドモータであって、前記モータがサーボモータであり、前記外歯歯車を貫通して前記相対回転成分を取り出すことが可能な内ピンと、該内ピンを支持するフランジ体と、前記サーボモータのモータ軸に支持され、前記外歯歯車を偏心回転させることが可能な偏心体と、を備え、前記フランジ体に対して前記偏心体をフロート状態とし、前記偏心体の偏心方向を、前記外歯歯車の枚数に応じてバランス配置することで、上記課題を解決するものである。
従来のギアドモータの減速機は、様々なモータに対応し得るように、モータ軸に連結される偏心体軸のフランジに対する位置決めが必須であり、そのために必要とされた部品の存在により、ギアドモータ全体としてみた場合、必ずしも大きさやコストの面で十分ではなかったと考えられる。
本発明では、動力源を精密制御に適したサーボモータに限定している。その上で、サーボモータが精密制御を前提として構成されていることを最大限に利用している。即ち、サーボモータでは、精密制御を可能とするために自身のモータ軸を支持する軸受の隙間が小さく設計されており、モータ軸自体の位置決め精度が非常に高い。よって、当該モータ軸の先端に直接偏心体を設けたとしても、当該偏心体を必要なレベルで位置決めすることが十分に可能である。更に、偏心体の偏心方向を外歯歯車の枚数に応じてバランス配置することにより、外歯歯車の慣性モーメントによる振動を抑制できるため、偏心体をフロートさせることが可能となる。換言すると、従来のように偏心体にわざわざ専用の軸受を配置し、フランジから支持させるような構成を採らずとも、(フロート状態としておくだけで)十分に減速機(ギアドモータ)として機能させることができる。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「フロート状態」とは、相手方と直接接触しておらず、且つ、相手方との間に専用の軸受によって支持されていないことを意味している。
又、「バランス配置」とは、偏心により偏心体が外歯歯車から受ける反力の総和が「0」になるように位相が調整されていることを言い、例えば、外歯歯車が3枚で構成されている場合には、それぞれ120°位相が異なるように偏心方向が定まっている場合である。
本発明を適用することで、精密制御に対応でき、コンパクト且つ安価なギアドモータを提供することができる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例である揺動内接噛合型ギアドモータGM101の側断面図である。
ギアドモータGM101は、モータ(サーボモータ)M101と減速機G101とが連結された構成とされている。
<サーボモータ部>
モータM101は、その中心にモータ軸102を備えている。又、当該モータ軸102の軸方向中央付近にはロータ104が周設されている。又、当該ロータ104の外周表面と若干の隙間を有するように、電機子コイル108を備えたステータヨーク106が対向している。なお、この電機子コイル108及びステータヨーク106がステータ110を構成している。更に、当該ステータ110は円筒状のモータケーシング本体116の内周面に周設固定されている。
又、モータ軸102の後端部(図1における右方向端部)側には、エンドカバー114が配置されており、当該エンドカバー114に形成されたモータ軸後端貫通孔114H内に備わる軸受103を介して、モータ軸102が軸心Oを中心に回転自在に支持されている。又、当該エンドカバー114はモータケーシング本体116と連結している。又、モータ軸後端貫通孔114Hを貫通して配置されるモータ軸102の後端部には、レゾルバ部112が設けられており、モータ軸102の回転を検出可能とされている。このレゾルバ112には、モータ軸102と一体的に回転する回転部位と、固定部位とが備わっており、固定部位に対する回転部位の角度(位置)に応じたアナログ信号を発生する。このアナログ信号を検知することで、結果的にモータ軸102の回転を検出している。
一方、モータ軸102の先端方向(図1における左方向)には、フロントカバー118が備わっている。又、当該フロントカバー118には、モータ軸102の先端が貫通可能なモータ軸先端貫通孔118Hが備わっており、モータ軸102が軸受150を介して、当該モータ軸先端貫通孔118Hを貫通する態様で設置されている。又、当該フロントカバー118とモータケーシング本体116とは連結されている。
なお、このフロントカバー118と、モータケーシング本体116と、エンドカバー114とで、モータケーシング120を構成している。
<減速機部>
続いて減速機G101部分の構成を説明する。
モータ軸102の先端は、減速機G101の内部に臨むように配置されている。又、本実施形態においては、モータ軸102が直接減速機G101の入力軸として機能する構成とされている。モータ軸102の先端には、偏心体130が配置・固定されている。モータ軸102と偏心体130との結合部分の先端側(図1における左側)は、スプライン結合されており、モータ軸102が回転することによって、偏心体130も回転するような構成とされている。この他にも例えばDカット、キー等のいわゆる「形状的な嵌合構造」によって連結されていてもよい。更に、ローレット結合を採用することも可能である。又、結合部分の反先端側(図1における右側)においては、中間嵌め乃至締まり嵌めで結合されて精密な芯出しがなされており、モータ軸102と偏心体130との間にガタの発生する可能性を完全に払拭することが可能となる。又、この偏心体130は偏心体用軸受132を介して外歯歯車134の中心孔134C内に嵌合している。一方、当該偏心体130は、偏心体用軸受132と接触している点を除いては、減速機G101のその他の構成部品(例えば後述する第1、第2フランジ140A、140B)に対してフロート状態となっている。即ち、当該他の構成部品(相手方)と直接接触しておらず、且つ、当該他の構成部品との間に専用の軸受によって支持されていない。又、本実施形態においては、外歯歯車134が3枚の構成とされており、これに対応するように、偏心体130の偏心方向はそれぞれ120°位相が異なるように構成されている。これにより、運転時において偏心体130が受ける各外歯歯車134からの反力の成分が相殺キャンセルされ、偏心体130を支持するモータ軸102へのモーメントを低減することが出来る。モータ軸102に作用するモーメントを考慮すれば、外歯歯車134の枚数が3枚の構成であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、外歯歯車134が複数枚である限りにおいて2枚の構成であってもよいし、4枚以上の構成であってもよい。当該枚数に応じて偏心体130の偏心方向も調整される(例えば2枚の場合には位相を互いに180°ずらして構成し、4枚の場合には位相を互いに90°ずらして構成するとよい)。
又、外歯歯車134は、自身の中心孔134C部分に偏心体130(偏心体用軸受132)を嵌合させると同時に、内歯歯車136の内歯136Aと噛合している。なお、図面上には現れていないが、外歯歯車134が有する外歯の歯数と、内歯136Aの数とは、僅少の差を有して構成されている。又、本実施形態においては、内歯136Aと内歯歯車本体136Bとで内歯歯車136を構成し、更に、この内歯歯車本体136Bは、減速機ケーシング本体138と一体的に構成されている。
又、外歯歯車134には、複数の内ピン孔134Hが形成されており(図面上は1枚の外歯歯車134に対して1つしか現れていない)、当該内ピン孔134Hを貫通する態様で内ピン144及びローラ145が配置されている。この内ピン144は、フランジ140によって軸方向両側から支持されている。このフランジ140は、モータM101側に配置される第1フランジ140Aと、反モータM101側に配置される第2フランジ140Bから構成されている。
本実施形態において内ピン144は、第2フランジ140Bと一体的に形成されている。又、内ピン144の、第1フランジ140A側の端面中央には、タップ155が形成されており、当該タップ155に螺合可能な連結ボルト156によって、内ピン144と第1フランジ140Aとが連結されている。
又、第1フランジ140Aと減速機ケーシング本体138とは、軸受146によって相対的に回転可能に支持されている。一方、第2フランジ140Bと減速機ケーシング本体138とは、軸受148によって相対的に回転可能に支持されている。これら第1フランジ140Aと、第2フランジ140Bと、減速機ケーシング本体138とで、減速機ケーシング142を構成している。
なお、減速機ケーシング本体138はモータM101のフロントカバー118と連結固定されている。
又、符号152は、第2フランジ140Bに備わるカバーであり、符号154はオイルシールである。
<ギアドモータGM101の作用>
続いて、ギアドモータGM101の作用について説明する。モータM101に通電されると、レゾルバ部112からの回転検出情報を基に、図示せぬドライバによって制御され、モータ軸102が軸心Oを中心に回転を始める。このモータ軸102の回転は、モータ軸102の先端に設置固定された偏心体130を偏心回転させる。当該偏心体130の偏心回転は偏心体用軸受132を介して外歯歯車134へと伝達される。ここで、偏心体130の偏心方向はそれぞれ120°位相が異なるように構成されているため、偏心体130が受ける各外歯歯車134からの反力の成分が相殺キャンセルされ、偏心体130を支持するモータ軸102へのモーメントを低減することが出来る。外歯歯車134は、偏心体130からの作用によって内歯歯車136に対して揺動回転することになる。しかしながら、当該外歯歯車134は内歯歯車136の内歯136Aとの噛合によって回転を規制され、ほとんど揺動のみを行なうことになる。但し前述の通り、外歯歯車134の外歯の数と内歯136Aの数とは僅少の差を有して構成されているため、外歯歯車134が1回揺動する毎に当該(歯数)差分だけ外歯歯車134が自転(内歯歯車136に対する相対回転)する。この相対回転成分はローラ145を介して内ピン144によって取り出され、各フランジ140A、140Bへと伝達される。このフランジの回転は、第2フランジ140Bに連結する相手機械(図示していない)に伝達される。
なお、外歯歯車134の揺動成分は、内ピン孔134Hと、当該内ピン孔134Hに遊嵌するローラ145及び内ピン144によってキャンセルされ、相対回転成分のみが出力されることになる。
前述したように、本発明にかかるギアドモータGM101においては、偏心体130がフロート状態で支持されており、当該偏心体130の偏心方向が外歯歯車134の枚数に応じてバランスするように配置されているため、専用の軸受を必要としていない。即ち、当該専用の軸受が存在しないことにより、軸受け分のスペース及びコストを「0」としている。特に軸受は、半径方向のスペースを要するため、外径の小さな軸受であってもそれを省略できることによる装置全体の半径方向のコンパクト化には大きく寄与しうる。更に、軸受を組み込む作業工程も省略できるため、かかる観点からもコスト削減が可能となる。
又、モータ軸で外歯歯車の荷重を受ける関係上、モータ軸端部は振動の影響を受けることになる。しかしながらこのような場合であっても、本発明に係る当該ギアドモータGM101におけるモータM101の回転検出には、回転検出装置としてレゾルバ112が採用されている。このレゾルバは振動の影響を受ける電子回路をその構成部品として必要としないため、振動に強く、特にロボット間接駆動に用いる揺動内接噛合型ギアドモータへの使用に適している。
特にロボットの関節駆動装置への利用に好適である。
本発明の実施形態の一例である揺動内接噛合型ギアドモータの側断面図 特許文献1に記載されるギアドモータを利用したロボットの関節構造
符号の説明
GM101…揺動内接噛合型ギアドモータ
G101…減速機
M101…モータ(サーボモータ)
102…モータ軸
103、146、148、150…軸受
104…ロータ
106…ステータヨーク
108…電機子コイル
110…ステータ
112…レゾルバ部
114…エンドカバー
114H…モータ軸後端貫通孔
116…モータケーシング本体
118…フロントカバー
118H…モータ軸先端貫通孔
120…モータケーシング
130…偏心体
132…偏心体用軸受
134…外歯歯車
136…内歯歯車
136A…内歯
136B…内歯歯車本体
138…減速機ケーシング本体
140A…第1フランジ
140B…第2フランジ
142…減速機ケーシング
144…内ピン
145…ローラ
152…カバー
154…オイルシール
156…連結ボルト

Claims (3)

  1. モータの回転を、内歯歯車と該内歯歯車に噛合して揺動回転する複数枚の外歯歯車との相対回転成分として減速して出力する揺動内接噛合型ギアドモータであって、
    前記モータがサーボモータであり、
    前記外歯歯車を貫通して前記相対回転成分を取り出すことが可能な内ピンと、
    該内ピンを支持するフランジ体と、
    前記サーボモータのモータ軸に支持され、前記外歯歯車を偏心回転させることが可能な偏心体と、を備え、
    前記フランジ体に対して前記偏心体はフロート状態であり、
    前記偏心体の偏心方向が、前記外歯歯車の枚数に応じてバランス配置された
    ことを特徴とする揺動内接噛合型ギアドモータ。
  2. 請求項1において、
    前記フランジ体が、前記偏心体の軸方向両側に配置され、
    前記偏心体が、そのいずれのフランジに対してもフロート状態に維持されている
    ことを特徴とする揺動内接噛合型ギアドモータ。
  3. 請求項1又は2において、
    前記サーボモータには、前記モータ軸の回転検出装置としてレゾルバが備わっている
    ことを特徴とする揺動内接噛合型ギアドモータ。
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