JP2007297585A - 非晶性熱可塑性樹脂、及び、押し出しフィルム又はシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紫外線吸収性単量体単位を有する、ガラス転移温度120℃以上である非晶性熱可塑性樹脂であり、上記非晶性熱可塑性樹脂は、500nmでの光線透過率が80%以上、380nmでの光線透過率が30%未満である。
【選択図】 なし
Description
以下に本発明を詳述する。
上記光透過率の測定は、JIS K7361−1:1997に準拠して測定するが、成型が難しい場合は樹脂を適当な溶媒に溶解し、石英セルを用いて100μmの厚み相当の濃度、光路長における測定で代用することも可能である。例えば、光路長1cmの石英セルを用いて測定する場合、まず、石英セルに溶媒のみを入れてブランクとして測定し、その後に、測定したい樹脂の1重量%溶液を調製し、石英セルに該溶液を気泡が入らないように注液して測定を行い、ブランクとの差を透過光強度として透過率を計算することで代用することが可能である。溶媒は測定すべき樹脂を完全に溶解するものであることが必要で、380nm、500nmでの吸収ができる限り小さい溶媒を選ぶべきである。具体的には、非晶性熱可塑性樹脂がペレットの形状である場合は、ペレットを1重量%のクロロホルム溶液として、上記光線透過率を測定することができる。以下において、厚さ100μmにおける光線透過率は、いずれも1重量%のクロロホルム溶液で測定された光線透過率を用いることができる。
すなわち、本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、厚さ100μmにおける500nmでの光線透過率が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは95%以上である。500nmでの光線透過率が80%未満であると、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないおそれがある。また、厚さ100μmにおける380nmでの光線透過率が好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満、更に好ましくは10%未満である。380nmでの光線透過率が30%以上であると、紫外線が充分にカットできず、黄変のおそれがある。
UVA−2:
本明細書において、有機残基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数が1〜20のアルキル基;エテニル基、プロペニル基等の、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が1〜20の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素原子のひとつ以上が、水酸基で置換された基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、カルボキシル基で置換された基;上記アルキル基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エーテル基で置換された基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エステル基で置換された基であることが好ましい。すなわち、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数が1〜20の芳香族炭化水素基、又は、これらの基の少なくともひとつ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、若しくは、エステル基で置換された基であることが好ましい。
ラクトン環含有重合体のラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。上記式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不充分になることがあり、好ましくない。
重合工程においては、下記式(3)で表される単量体を含む単量体成分の重合反応を行うことにより,分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得る。
上記式(3)で表される単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチル等が挙げられる。これらの中でも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが特に好ましく、耐熱性向上効果が高い点で、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。上記式(3)で表される単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
重合温度、重合時間は、使用する単量体の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度が0〜150℃、重合時間が0.5〜20時間であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜10時間である。
ラクトン環化縮合工程において得られるラクトン環含有重合体は、好ましくは、上記式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
触媒の添加時期は特に限定されず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。
上記熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場分の反応処理温度は、150〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃の範囲がより好ましい。反応処理温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多<なるおそれがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こるおそれがある。
上記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃の範囲がより好ましい。上記温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなるおそれがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こるおそれがある。
また、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、好ましくは、重合工程で得られた重合体(a)を溶剤とともに環化縮合反応装置系に導入するが、この場合、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機等の上記反応装置系に通してもよい。
脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに、過程の一部においてのみ併用する形態を行ってもよい。例えば、重合体(a)を製造した装置を、更に加熱し、必要に応じて脱揮工程を一部併用して、環化縮合反応を予めある程度進行させておき、その後に引き続いて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行い、反応を完結させる形態である。
なお、ラクトン環化縮合工程において環化縮合反応に導入する「重合体(a)と溶剤とを含む混合物」とは、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま使用してもよいし、一旦溶剤を除去したのちに環化縮合反応に適した溶剤を再添加してもよいことを意味する。
触媒の添加時期は特に限定されず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。添加する触媒の量は特に限定されないが、重合体(a)の重量に対し、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜2.5重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応前に予め行う環化縮合反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
脱揮工程は環化縮合反応と同時に終了することには限らず、環化縮合反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
ラクトン環含有重合体は、環化縮合反応率が高いので、成形後の成形品中に泡やシルバーストリークが入るという欠点が回避できる。更に、高い環化縮合反応率によってラクトン環構造が重合体に充分に導入されるため、得られたラクトン環含有重合体が充分に高い耐熱性を有している。
上記のN−置換マレイミドの具体例としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロビルマ
レイド、N−t−ブチルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等が挙げられる。上記のN一置換マレイミドのうちでも、耐熱性、透明性、低着色性の観点より、N−フェニルマレイミド、N−シクロへキシルマレイミドが特に好ましい。これらのN一置換マレイミドは、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
N−置換マレイミドの含有割合は15〜50重量%であることが好ましい。N−置換マレイミドの含有割合が15重量%以下であると耐熱性が低くなり、好ましくない。逆に、N一置換マレイミドの含有割合が50重量%を超えると、透明性が低下し、好ましくない
上記不飽和ニトリル類としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フエニルアクリロニトリル等を挙げることができる。
上記アクリル酸エステル類としては、炭素数1〜18のアルキル基、シクロへキシル基、及びベンジル基からなる群から選ばれる少なくとも1つを有するアクリル酸エステルが好ましい。
上記多価アリレート類としては、トリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。上記グリシジル化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げることができる。上記不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸あるいはそれらの半エステル化物や無水物を挙げることができる。これら他の単量体として例示した化合物は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
単量体成分を重合してマレイミド系重合体を得るための重合反応の形態としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等を用いることができるが、溶剤を用いた重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
また、重合体の分子量制御に連鎖移動剤を用いてもよく、例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタンやα−スチレンダイマー等が挙げられる。
上記重合液は、未反応の単量体や溶剤等の揮発成分を除去することが好ましい。揮発成分を除去する方法としては、真空フラッシュ法、薄膜蒸発法、単軸又は二軸のベント付き押出し機等の加熱脱揮法を用いて、蒸発除去することが好ましい。
上記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃の範囲がより好ましい。上記温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなるおそれがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こるおそれがある。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、ラクトン環含有重合体又はマレイミド系重合体以外の非晶性熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。これらの非晶性熱可塑性樹脂は、ラクトン環含有重合体又はマレイミド系重合体とブレンドした際に、ガラス転移温度が120℃以上、1重量%のクロロホルム溶液で測定された500nmの光線透過率が80%以上、380nmの光線透過率が30%以下の性能を有するものであれば、特に種類は問わないが、熱力学的に相溶する非晶性熱可塑性樹脂の方が、透明性や機械強度を向上させる点において好ましい。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂中のラクトン環含有重合体又はマレイミド系重合体とその他の非晶性熱可塑性樹脂の含有割合は、好ましくは60〜99:1〜40重量%、より好ましくは70〜97:3〜30重量%、さらに好ましくは80〜95:5〜20重量%である。非晶性熱可塑性樹脂中のラクトン環含有重合体又はマレイミド系重合体の含有割合が60重量%よりも少ないと、本発明の効果を十分に発揮できないおそれがある。
その他の非晶性熱可塑性樹脂としてアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いる場合、その製造方法は、乳化重合法や懸濁重合法、溶液重合法、バルク重合法等を用いる事が可能であるが、得られる光学フィルムの透明性や光学性能の観点から溶液重合法かバルク重合法で得られたものである事が好ましい。
非晶性熱可塑性樹脂成形体中のその他の添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%である。
本発明の非晶性熱可塑性樹脂は、透明性、耐熱性に優れるだけでなく、低着色性、機械的強度、成型加工性などの特性を備えるとともに、紫外線吸収能を有するので、押し出しフィルム又はシートとしても有用である。すなわち、本発明の非晶性熱可塑性樹脂の好ましい実施形態としては、上記非晶性熱可塑性樹脂からなる押し出しフィルム又はシートである。
以下に好ましい用途である一例として、本発明の非晶性熱可塑性樹脂から押し出しフィルムを製造する方法について詳しく説明する。
本発明の非晶性熱可塑性樹脂から押し出しフィルムを製造する方法は、特に限定されないが、例えば、ガラス転移温度120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂と、その他の熱可塑樹脂やその他の添加剤などを、従来公知の混合方法にて混合し、予め非晶性熱可塑性樹脂組成物としてから、押し出しフィルムを製造する事ができる。この非晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、例えば、オムニミキサー等の混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する方法を採用することができる。この場合、押出混練に用いる混練機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、例えば、従来公知の混練機を用いることができる。
上記Tダイ法で押し出しフィルム成形する場合は、公知の単軸押出し機や2軸押出し機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出したフィルムを巻取りロール状のフィルムを得る事ができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出し方向に延伸を加えることで、一軸延伸工程とする事も可能である。また、押出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加える事で、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。
面積比で定義した廷伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲、より好ましくは1.3〜10倍の範囲で行われる。1.1倍よりも小さいと、延伸に伴う靱性の向上につながらないために好ましくない。25倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
押し出しフィルムの光学等方性や力学特性を安定化させるため、廷伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うこともできる。
重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。展開液はクロロホルムを用いた。
<樹脂の熱分析>
樹脂の熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
<樹脂中の揮発分測定>
樹脂中に含まれる残存揮発分量は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC14A)を用いて測定した。
樹脂の着色度(YI)は樹脂をクロロホルムに溶かし、15重量%として石英セルに入れ、JIS−K−7103に従い、色差計(日本電色工業社製、装置名:SZ−Σ90)を用いて、透過光で測定した。
樹脂の光線透過率は樹脂をクロロホルムに溶かし、1重量%として石英セルに入れ、分光光度計(島津製作所社製、装置名:UV−3100)を用いて測定した。また、押し出しフィルムの光線透過率は、押し出しフィルムそのものを用いて測定を行った。
<耐熱分解性の評価方法>
試験管に1gの樹脂を入れ、260℃に昇温したヒートブロック(SCINICS社製 DRY−BLOCK−Bath)に試験管を挿入する。そのまま30分間保持した後、試験管を取り出し、中の樹脂の分解、発泡状態を目視で観察する。下記の状態観察の基準で判断する。
× 着色、発泡が著しい。発泡による気泡面の上昇が大きい。
△ 着色、発泡している。発泡による気泡面が上昇している。
○ 着色、発泡していないか、していてもその程度が小さい。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、37.5部のメタクリル酸メチル(MMA)、10部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、2.5部の2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚製薬製、商品名:RUVA−93)、50部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させ、還流したところで、開始剤として0.05部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富(株)製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、0.10部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、0.05部のリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学社製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し械(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なペレットを得た(1A)。得られたペレット(1A)の分析結果を表1に示す。
得られた押し出しフィルム(1B)とこの押し出しフィルム80℃24時間炉加熱した後の押し出しフィルム(1C)の500nmおよび380nmでの光線透過率を表1に示す。
35部のメタクリル酸メチル(MMA)、10部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、2.5部の2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚製薬社製、商品名:RUVA−93)、2.5部のスチレンを仕込んだ以外は実施例1と同様の実験を行い、透明なペレット(2A)を得た。得られたペレット(2A)の分析結果を表1に示す。
実施例1で得られたペレット(1A)を1A/アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)=90/10の重量比で単軸押出し機(φ=30mm)を用いて混練することにより、透明なペレット(3A)を得た。得られたペレット(3A)の分析結果を表1に示す。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、13.25部のメタクリル酸メチル(MMA)、6.25部のN−シクロへキシルマレイミド(CHMI)、2.5部の2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚製薬社製、商品名:RUVA−93)、25部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、100℃まで昇温させ、還流したところで、開始剤として0.015部のt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(化薬アクゾ社製、商品名:カヤカルボン BIC−75)を添加した。
続いて、上記反応槽に対し、15.75部のメタクリル酸メチル、6.25部のN−シクロへキシルマレイミド、6部のスチレン、25部のトルエン、0.081部のt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートの混合物を予め窒素ガスでバブリングしておき、3.5時間かけて滴下し、還流下(約110℃)で溶液重合を行い、さらに3.5時間かけて熟成を行った。
この重合液をバレル温度240℃にてコントロールした実施例1記載の2軸押出し機に供給し、ペントロより真空脱揮し、押し出されたストランドをペレット化して、透明なペレット(4A)を得た。得られたペレット(4A)の分析結果を表1に示す。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、40部のメタクリル酸メチル(MMA)、10部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、50部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させ、還流したところで、開始剤として0.05部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富(株)製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、0.10部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、0.05部のリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学社製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液に2.5部の2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャリティケミカル社製、商品名:チヌビンP)を添加し、充分に攪拌した後、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なペレットを得た(5A)。得られたペレット(5A)の分析結果を表1に示す。
得られた押し出しフィルム(5B)とこの押し出しフィルム80℃24時間炉加熱した後の押し出しフィルム(5C)の500nmおよび380nmでの光線透過率を表1に示す。
実施例1と同様にして表1の組成のペレット(6A〜10A)、押し出しフィルム及び加熱した後の押し出しフィルムを合成し、評価した。分析結果を表1に示す。
なお、用いた紫外線吸収性単量体は、上述したとおりである。
(比較例2)
重合するモノマーを45部のMMA、5部のRUVA−93とし、重合後の環化縮合反応を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、ペレット(11A)、フィルム(11B)、加熱後のフィルム(11C)を得た。
(実施例10)
重合するモノマーをMMA37.5部、MHMA5部、RUVA−93 7.5部とし、環化縮合反応の触媒を0.05部のリン酸2−エチルヘキシル(堺化学社製 商品名:Phoslex A−8)とした以外は、実施例1と同様にして、ペレット(12A)、フィルム(12B)、加熱後のフィルム(12C)を得た。
(実施例11)
重合するモノマーをMMA35部、MHMA5部、RUVA−93 10部とし、環化縮合反応の触媒を0.05部のリン酸2−エチルヘキシル(堺化学社製 商品名:Phoslex A−8)とした以外は、実施例1と同様にして、ペレット(13A)、フィルム(13B)、加熱後のフィルム(13C)を得た。
(フィルムの外観評価)
目視によりフィルムの色相から外観を評価した。
○ 合格 △ やや劣るが合格 × 不合格
(UVAカット性能)
市販のPBT(ポリブチレンテレフタレート)(トレコン1100S/東レ社製)から50×50×1mm厚の試験片を作成し、上面に実施例12、13及び比較例3、4のUVカットフィルムをそれぞれ貼りあわせた。スガ試験機社製フェードメーターによりUVカットフィルムの上から紫外線を150時間照射した後の、PBT試験片の色相変化を目視で判定した。
○ 色相変化が少ない ×明らかに黄変
実施例1〜10の非晶性熱可塑性樹脂は、いずれも光線透過率に優れ、光学用途等の種々の用途に好適に用いられるものであるが、紫外線吸収性単量体単位の含有率が20重量%である実施例10に比べて、15%以下である実施例1〜9では、耐熱分解性がより優れたものとなり、樹脂の着色、発泡がほとんど見られなかった。UVA共重合体は一般的に耐熱分解性が悪いことから、UVA単位の量が多いほど顕著になるため、該単位の含有率を15%以下とすることにより、耐熱分解性を充分に優れたものとし、かつ、優れた紫外線吸収能を有する樹脂とすることができることが明らかになった。
Claims (5)
- 紫外線吸収性単量体単位を有する、ガラス転移温度120℃以上であることを特徴とする非晶性熱可塑性樹脂。
- 前記非晶性熱可塑性樹脂は、厚さ100μmにおける500nmでの光線透過率が80%以上、380nmでの光線透過率が30%未満であることを特徴とする請求項1記載の非晶性熱可塑性樹脂。
- 前記紫外線吸収性単量体単位の含有率は、15重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の非晶性熱可塑性樹脂。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の非晶性熱可塑性樹脂からなることを特徴とする押し出しフィルム又はシート。
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- 2006-09-29 JP JP2006267504A patent/JP4963920B2/ja active Active
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