JP2007297585A - 非晶性熱可塑性樹脂、及び、押し出しフィルム又はシート - Google Patents

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Abstract

【課題】光学特性に優れ、機械的強度、成形加工性、表面硬度等のバランスがとれていることが求められる各種光学材料に用いることができる透明性、耐熱性がいずれも高く、かつ紫外線吸収能をもつ非晶性熱可塑性樹脂及びフィルム又はシートを提供する。
【解決手段】紫外線吸収性単量体単位を有する、ガラス転移温度120℃以上である非晶性熱可塑性樹脂であり、上記非晶性熱可塑性樹脂は、500nmでの光線透過率が80%以上、380nmでの光線透過率が30%未満である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、非晶性熱可塑性樹脂、及び、押し出しフィルム又はシートに関する。より詳しくは、優れた光学特性を有することが求められる光学材料として好適に用いられる非晶性熱可塑性樹脂、及び、これからなる押し出しフィルム又はシートに関する。
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)に代表されるアクリル樹脂は、高い光線透過率といった光学特性に優れ、更に機械的強度、成形加工性、表面硬度のバランスがとれているので、各種光学材料への適応が成されていた。しかしながら、紫外線を含む光に晒されると、黄変により透明度が低下するという問題を抱えていた。このため、一般にアクリル樹脂には、紫外線吸収剤が添加されているが、これらの紫外線吸収剤は分子量が低いため、ブリードアウトが生じ易く、また、成形加工時の蒸散により添加量が減少し、紫外線吸収能が低下するとともに、製造工程が汚染される等、様々な問題を有していた。
このような問題を解決する試みとして、紫外線吸収性モノマーを単独又は共重合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、一般のアクリル樹脂では、耐熱性が低いため、その樹脂そのものでは高温での形状安定性が悪く、他の樹脂に混練、積層又はコーティングする方法しかなかった。
他方、透明性と耐熱性とを供に兼ね備えた熱可塑性樹脂として、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体をラクトン環化縮合反応させることによって得られるラクトン環含有重合体が知られている(例えば、特許文献2〜4参照。)。また、N−置換マレイミドとメタクリル酸エステルを共重合した重合体も知られている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、これらの重合体は、耐熱性が高いため、一般のアクリル樹脂に比べ成形温度が高く、低分子量の紫外線吸収剤による蒸散やそれによる製造工程の汚染がより生じ易かった。
特開平5−170941号公報(第1−2頁) 特開2000−230016号公報(第1−2頁) 特開2001−151814号公報(第1−2頁) 特開2002−120326号公報(第1−2頁) 特開平9−324016号公報(第1−2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、透明性、耐熱性がいずれも高く、かつ紫外線吸収能をもつ非晶性熱可塑性樹脂及び押し出しフィルム又はシートを提供することを目的とする。
本発明者らは、非晶性熱可塑性樹脂について種々検討したところ、120℃以上のガラス転移温度を有する非晶性熱可塑性樹脂が耐熱性(耐熱分解性)を有することに着目し、紫外線吸収性単量体単位を有すると、透明性及び紫外線吸収能を有することを見いだした。また、例えば、紫外線吸収性モノマーと分子鎖に水酸基とエステル基とを有するモノマー及びメタクリル酸エステルを共重合し、ラクトン環化縮合反応させることによって得られるラクトン環構造を有することにより、透明性、耐熱性がいずれも高く、かつ紫外線吸収能を有することを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。
すなわち本発明は、紫外線吸収性単量体単位を有する、ガラス転移温度120℃以上である非晶性熱可塑性樹脂である。
以下に本発明を詳述する。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、紫外線吸収性単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)を有し、かつ、120℃以上のガラス転移温度を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ラクトン環含有重合体、マレイミド系重合体、無水グルタル酸系重合体、グルタルイミド系重合体等が挙げられる。その中でも、ラクトン環含有重合体、又は、マレイミド系重合体が好ましい。上記非晶性熱可塑性樹脂は、融点を持たない熱可塑性樹脂を意味する。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上、更に好ましくは、130℃以上、更に好ましくは135℃以上、最も好ましくは140℃以上である。ここで、ガラス転移温度とは、ポリマー分子がミクロブラウン運動を始める温度であり、各種の測定方法があるが、本発明においては、示差走査熱熱量計(DSC)によって、ASTM−D−3418に従って、中点法で求めた温度と定義する。ガラス転移温度が複数観測される場合があるが、本発明では、より吸熱量の大きい、主転移温度を採用するものとする。
上記非晶性熱可塑性樹脂は、厚さ100μmにおける500nmでの光線透過率が80%以上、380nmでの光線透過率が30%未満であることが好ましい。光透過率をこのような範囲のものとすることにより、種々の用途、特に光学材料等の光学用途に好適に用いることができる。光学材料としては、より無色に近いことが好ましく、非晶性熱可塑性樹脂が着色していると著しく光学材料としての製品価値を下げることとなる。500nmは可視光領域の波長であることから、この波長の光線透過率が80%以上である、すなわち、吸収が20%未満であることは、可視光の吸収が少なく、非晶性熱可塑性樹脂が無色に近いものとなることことを意味する。500nmでの光線透過率が80%未満であると、可視光を吸収し、非晶性熱可塑性樹脂の着色が顕著となり、透明性が低下し、光学材料として好適に使用できないおそれがある。本発明の非晶性熱可塑性樹脂はまた、紫外線カット機能を有する光学材料として好適に用いられるものである。紫外線はエネルギーが高いため、各種材料の劣化の原因となる。紫外線から材料を保護するために紫外線をカットする材料が求められており、紫外線カットの材料とするためには、少なくとも380nmの透過率を30%未満にすることが好ましい。380nmの透過率が30%以上であると、紫外線カット機能として充分とはいえず、紫外線から充分に材料を保護できず、材料の黄変等の劣化を引き起こすこおそれがある。上記非晶性熱可塑性樹脂は、380nmでの光線透過率が30%未満であることにより、紫外線領域の波長である380nmの光の透過を30%未満に抑制し、紫外線の透過を抑制することができる。このように、非晶性熱可塑性樹脂の光線透過率が上記範囲であることが好ましく、透明な外観を有する、紫外線カット機能を持ったフィルム又はシート等として好適に用いることができる。
上記光透過率の測定は、JIS K7361−1:1997に準拠して測定するが、成型が難しい場合は樹脂を適当な溶媒に溶解し、石英セルを用いて100μmの厚み相当の濃度、光路長における測定で代用することも可能である。例えば、光路長1cmの石英セルを用いて測定する場合、まず、石英セルに溶媒のみを入れてブランクとして測定し、その後に、測定したい樹脂の1重量%溶液を調製し、石英セルに該溶液を気泡が入らないように注液して測定を行い、ブランクとの差を透過光強度として透過率を計算することで代用することが可能である。溶媒は測定すべき樹脂を完全に溶解するものであることが必要で、380nm、500nmでの吸収ができる限り小さい溶媒を選ぶべきである。具体的には、非晶性熱可塑性樹脂がペレットの形状である場合は、ペレットを1重量%のクロロホルム溶液として、上記光線透過率を測定することができる。以下において、厚さ100μmにおける光線透過率は、いずれも1重量%のクロロホルム溶液で測定された光線透過率を用いることができる。
すなわち、本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、厚さ100μmにおける500nmでの光線透過率が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは95%以上である。500nmでの光線透過率が80%未満であると、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないおそれがある。また、厚さ100μmにおける380nmでの光線透過率が好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満、更に好ましくは10%未満である。380nmでの光線透過率が30%以上であると、紫外線が充分にカットできず、黄変のおそれがある。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が好ましくは1,000〜300,000、より好ましくは5,000〜250,000、更に好ましくは10,000〜20,000、特に好ましくは、50,000〜200,000である。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、熱重量分析(TG)における5%重量減少温度が、280℃以上であることが好ましく、より好ましくは290℃以上、更に好ましくは300℃以上である。熱重量分析(TG)における5%重量減少温度は、熱安定性の指標であり、これが、280℃未満であると、充分な熱安定性を発揮できないおそれがある。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは2000ppm以下である。残存揮発分の総量が5000ppmよりも多いと、形成時の変質等によって、着色したり、揮発したり、シルバーストリーク等の形成不良の原因となる。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、紫外線吸収性単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)を有する。紫外線吸収性単量体としては、紫外線吸収性を示す単量体であればいずれも使用し得るが、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、又は、ベンゾフェノン誘導体に重合性基を導入したものが好ましい。
上記紫外線吸収性単量体の具体例としては、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93)、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メタクリロイルオキシ〕フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、下記化学式で表されるUVA−5等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収単量体;下記化学式で表されるUVA−2、UVA−3、UVA−4等のトリアジン誘導体等が挙げられる。これらの紫外線吸収性単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体、トリアジン誘導体がより好ましい。特に好ましくは、RUVA−93、UVA−2、UVA−3、UVA−4、UVA−5である。これらの単量体は、少量で高い紫外線吸収能を有することから、非晶性熱可塑性樹脂において該単量体由来の繰り返し単位が少量で充分に高い作用効果を発揮する。したがって、非晶性熱可塑性樹脂の中の紫外線吸収単量体単位以外の構造単位の量を相対的に多くすることができるため、フィルム等の種々の用途に好適な熱可塑性を充分に有する非晶性熱可塑性樹脂とすることができる。また、紫外線吸収単量体に由来する構造単位が少ないことから、非晶性熱可塑性樹脂、及び、該樹脂から得られるフィルム等の製品の着色が充分に抑えられ、各種用途に好適に用いることができる。特にUVA−5は、紫外線吸収能が高く、他の紫外線吸収単量体に比べて少量の含有量で同等の紫外線吸収能を示す。
UVA−2:
Figure 2007297585
UVA−3:
Figure 2007297585
UVA−4:
Figure 2007297585
UVA−5:
Figure 2007297585
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂に含まれる紫外線吸収性単量体単位の含有率は、15重量%以下であることが好ましい。上記紫外線吸収単量体の含有量が10質量%以下である形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。より好ましくは、1〜10重量%、更に好ましくは、2〜7重量%、特に好ましくは3〜5重量%である。紫外線吸収性単量体単位の含有率が1重量%未満であると、得られた重合体の紫外線吸収能が不充分になることがあり、好ましくない。逆に、紫外線吸収モノマー単位の含有割合が15重量%を超えると、得られた重合体の耐熱性が低くなるうえ、経済的にも好ましくない。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、ラクトン環含有重合体であることが好ましい。ラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
Figure 2007297585
(式中、R、R、Rは、同一若しくは異なって(それぞれ独立に)、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。)。すなわち、上記非晶性熱可塑性樹脂は、上記一般式(1)で示されるラクトン環構造を有する形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本明細書において、有機残基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数が1〜20のアルキル基;エテニル基、プロペニル基等の、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が1〜20の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素原子のひとつ以上が、水酸基で置換された基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、カルボキシル基で置換された基;上記アルキル基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エーテル基で置換された基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エステル基で置換された基であることが好ましい。すなわち、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数が1〜20の芳香族炭化水素基、又は、これらの基の少なくともひとつ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、若しくは、エステル基で置換された基であることが好ましい。
ラクトン環含有重合体のラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。上記式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不充分になることがあり、好ましくない。
ラクトン環含有重合体は、上記式(1)で表される構造以外の構造を有していてもよい。上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造としては、例えば、ラクトン環含有重合体の製造方法として後に説明するような(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記式(2)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し単位)が好ましい。
Figure 2007297585
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、又は−C−O−R基を表し、Ac基はアセチル基を表し、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。)
ラクトン環含有重合体構造中の上記式(1)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%,更に好ましくは、40〜90重量%、特に好ましくは50〜90重量%であり、水酸基含有単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは、0〜10重量%である。不飽和カルボン酸を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは、0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは、0〜10重量%である。一般式(2a)で表される単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは、0〜10重量%である。
ラクトン環含有重合体の製造方法については、特に限定されないが、好ましくは、重合工程によって、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)を得た後に、得られた重合体(a)を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合反応工程を行うことによって得られる。
重合工程においては、下記式(3)で表される単量体を含む単量体成分の重合反応を行うことにより,分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得る。
Figure 2007297585
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。)
上記式(3)で表される単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチル等が挙げられる。これらの中でも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが特に好ましく、耐熱性向上効果が高い点で、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。上記式(3)で表される単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
重合工程において供する単量体成分中の上記式(3)で表される単量体の含有割合は、好ましくは、5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは、10〜50重量%である。重合工程において供する単量体成分中の上記式(3)で表される単量体の含有割合が90重量%より多いと、重合時,ラクトン環化時にゲル化が起こることや、得られた重合体の成形加工性が乏しくなることがあり、好ましくない。
重合工程において供する単量体成分には、上記式(3)で表される単量体以外の単量体を含んでいてもよい。このような単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、上記式(2)で表される単量体が挙げられる。上記式(3)で表される単量体以外の単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
メタアクリル酸エステルとしては、上記式(3)で表される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル;等が挙げられ、これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に耐熱性、透明性が優れる点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
上記式(3)で表される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは、10〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは40〜90重量%である。
水酸基含有単量体としては、上記式(3)で表される単量体以外の水酸基含有単量体であれば、特に限定されないが、例えば、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記式(3)で表される単量体以外の水酸基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは、0〜30重量%、より好ましく0〜20重量%、更に好ましくは、0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種を併用してもよい。これらの中でも、特に、本発明の効果を充分に発揮される点で、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
上記式(2)で表される単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を充分に発揮させる点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
上記式(2)で表される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30重量%、より好ましは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
単量体成分を重合して分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を用いた重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
重合温度、重合時間は、使用する単量体の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度が0〜150℃、重合時間が0.5〜20時間であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜10時間である。
溶剤を用いた重合形態の場合、重合溶剤は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;等が挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、使用する溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるラクトン環含有重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃のものが好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、t−アミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシアセテート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物;2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ化合物;等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。また、重合体の分子量制御に連鎖移動剤を用いてもよく、例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタンやα−スチレンダイマー等が挙げられる。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50重量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは45重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。なお、重合反応混合物中の重合体の濃度があまりに低すぎると生産性が低下するため、重合反応混合物中の重合体の濃度は、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されず、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中の生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより充分に抑止することができ、特に、ラクトン環含有割合を増やして耐熱性を向上させるために分子鎖中の水酸基とエステル基の割合を高めた場合であってもゲル化を充分に抑制できる。添加する重合溶剤としては、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの溶剤であってもよいし、2種以上の混合溶剤であってもよい。
以上の重合工程を終了した時点で得られる重合反応混合物中には、通常、得られた重合体以外に溶剤が含まれているが、溶剤を完全に除去して重合体を固体状態で取り出す必要はなく、溶剤を含んだ状態で続くラクトン環化縮合工程に導入することが好ましい。また、必要な場合は、固体状態で取り出した後に、続くラクトン環化縮合工程に好適な溶剤を再添加してもよい。
重合工程で得られた重合体は、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)であり、重合体(a)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜300,000、より好ましくは5,000〜250,000、更に好ましくは10,000〜200,000、特に好ましくは50,000〜200,000である。重合工程で得られた重合体(a)は、続くラクトン環化縮合工程において、加熱処理されることによりラクトン環構造が重合体に導入され、ラクトン環含有重合体となる。
重合体(a)へラクトン環構造を導入するための反応は、加熱により、重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基が環化縮合してラクトン環構造を生じる反応であり、その環化縮合によってアルコールが副生する。ラクトン環構造が重合体の分子鎖中(重合体の主骨格中)に形成されることにより、高い耐熱性が付与される。ラクトン環構造を導く環化縮合反応の反応率が不充分であると、耐熱性が充分に向上しなかったり、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーストリークとなって存在してしまったりするので好ましくない。
ラクトン環化縮合工程において得られるラクトン環含有重合体は、好ましくは、上記式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
重合体(a)を加熱処理する方法については特に限定されず、例えば、公知の方法を利用でき、重合工程によって得られた溶剤を含む重合反応混合物を、そのまま加熱処理してもよい。また、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いて加熱処理してもよい。また、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を持つ加熱炉や反応装置、脱揮装置のある押出機等を用いて加熱処理を行うこともできる。
環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に用いられるp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いてもよいし、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機カルボン酸類を触媒として用いてもよい。また、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩等を用いてもよい。塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩等を用いる場合は、特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に示されている様にすればよい。
環化縮合反応を行う際には、有機リン化合物を触媒として用いることが好ましい。有機リン化合物を触媒として用いる場合は、特開2001−151814号公報に示されているようにすればよい。触媒として有機リン化合物を用いることにより、環化縮合反応率を向上させることができるとともに、得られるラクトン環含有重合体の着色を大幅に低減することができる。更に、有機リン化合物を触媒として用いることにより、後述の脱揮工程を併用する場合において起こり得る分子量低下を抑制することができ、優れた機械的強度を付与することができる。
環化縮合反応の際に用いる触媒の使用量は、特に限定されないが、重合体(a)に対して、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜2.5重量%、更に好ましくは0,01〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。触媒の使用量が0.001重量%未満であると、環化縮合反応の反応率の向上が充分に図れないおそれがあり、一方、5重量%を超えると、着色の原因となったり、重合体の架橋により溶融賦形しにくくなったりするので、好ましくない。
触媒の添加時期は特に限定されず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。
環化縮合反応を溶剤の存存下で行い、かつ、環化縮合反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。この場合、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態、及び、脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の一部においてのみ併用する形態が挙げられる。脱揮工程を併用する方法では、縮合環化反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となる。
上記脱揮工程とは、溶剤、残存単量体等の揮発分と、ラクトン環構造を導く環化縮合反応により副生したアルコールを、必要により減圧加熱条件下で、除去処理する工程をいう。この除去処理が不充分であると、生成した樹脂中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質等によって着色したり、泡やシルバーストリーク等の成形不良が起こったりする問題等が生じる。
環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、使用する装置については特に限定されないが、本発明をより効果的に行うために、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置やベント付き押出機、また、上記脱揮装置と上記押出機を直列に配置したものを用いることが好ましく、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置又はベント付き押付機を用いることがより好ましい。
上記熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場分の反応処理温度は、150〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃の範囲がより好ましい。反応処理温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多<なるおそれがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こるおそれがある。
上記熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の反応処理時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)の範囲が好ましく、798〜66.5hPa(600〜50mmHg)の範囲がより好ましい。上記圧力が931hPaより低いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
上記ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
上記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃の範囲がより好ましい。上記温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなるおそれがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こるおそれがある。
上記ベント付き押出機を用いる場合の、反応処埋時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)の範囲が好ましく、798〜13.3hPa(600〜10mmHg)の範囲がより好ましい。上記圧力が931hPaより高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、後述するように、厳しい熱処理条件では得られるラクトン環含有重合体の物性が悪化するおそれがあるので、好ましくは、上述した脱アルコール反応の触媒を使用し、できるだけ温和な条件で、ベント付き押出機等を用いて行うことが好ましい。
また、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、好ましくは、重合工程で得られた重合体(a)を溶剤とともに環化縮合反応装置系に導入するが、この場合、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機等の上記反応装置系に通してもよい。
脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに、過程の一部においてのみ併用する形態を行ってもよい。例えば、重合体(a)を製造した装置を、更に加熱し、必要に応じて脱揮工程を一部併用して、環化縮合反応を予めある程度進行させておき、その後に引き続いて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行い、反応を完結させる形態である。
先に述べた環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態では、例えば、重合体(a)を、二軸押出機を用いて、250℃近い、あるいはそれ以上の高温で熱処理する時に、熱履歴の違いにより環化縮合反応が起こる前に一部分解等が生じ、得られるラクトン環含有重合体の物性が悪くなるおそれがある。そこで、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う前に、予め環化縮合反応をある程度進行させておくと、後半の反応条件を緩和でき、得られるラクトン環含有重合体の物性の悪化を抑制できるので好ましい。特に好ましい形態としては、脱揮工程を環化縮合反応の開始から時間をおいて開始する形態、すなわち、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基をあらかじめ環化縮合反応させた環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態が挙げられる。具体的には、例えば、予め釜型の反応器を用いて溶剤の存在下で環化縮合反応をある程度の反応率まで進行させておき、その後、脱揮装置のついた反応器、例えば、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置や、ベント付き押出機等で、環化縮合反応を完結させる形態が挙げられる。特にこの形態の場合、環化縮合反応の触媒が存在していることがより好ましい。
上述のように、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基を予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う方法は、本発明においてラクトン環含有重合体を得る上で好ましい形態である。この形態により、ガラス転移温度がより高く、環化縮合反応率もより高まり、耐熱性に優れたラクトン環含有重合体が得られる。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に採用できる反応器は特に限定されないが、好ましくは、オートクレーブ、釜型反応器、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置等が挙げられ、更に、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に好適なベント付き押出機も使用できる。より好ましくは、オートクレーブ、釜型反応器である。しかしながら、ベント付き押出機等の反応器を使用するときでも、ベント条件を温和にしたり、ベントをさせなかったり、温度条件やバレル条件、スクリュウ形状、スクリュウ運転条件等を調整することで、オートクレーブや釜型反応器での反応状態と同じ様な状態で環化縮合反応を行うことが可能である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、好ましくは、重合工程で得られた重合体(a)と溶剤とを含む混合物を、(i)触媒を添加して、加熱反応させる方法、(ii)無触媒で加熱反応させるガ法、および、上記(i)又は(ii)を加圧下で行う方法が挙げられる。
なお、ラクトン環化縮合工程において環化縮合反応に導入する「重合体(a)と溶剤とを含む混合物」とは、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま使用してもよいし、一旦溶剤を除去したのちに環化縮合反応に適した溶剤を再添加してもよいことを意味する。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前にあらかじめ行う環化縮合反応の際に再添加できる溶剤としては、特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類:クロロホルム、DMSO(ジメチルスルホキシド)、テトラヒドロフラン等でもよいが、好ましくは、重合工程で用いることができる溶剤と同じ種類の溶剤である。
上記方法(i)で添加する触媒としては、一般に用いられるp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒又はエステル交換触媒、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩等が挙げられるが、本発明においては、上述の有機リン化合物を用いることが好ましい。
触媒の添加時期は特に限定されず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。添加する触媒の量は特に限定されないが、重合体(a)の重量に対し、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜2.5重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
上記方法(i)の加熱温度と加熱時間は特に限定されないが、加熱温度としては、好ましくは室温以上、より好ましくは50℃以上であり、加熱時間としては、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が低いと、あるいは、加熱時間が短いと、環化縮合反応率が低下するので好ましくない。また、加熱時間が長すぎると、樹脂の着色や分解が起こる場合があるので好ましくない。
上記方法(ii)としては、例えば、耐圧性の釜等を用いて、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま加熱する方法等が挙げられる。加熱温度としては、好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上である。加熱時間としては、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が低いと、あるいは、加熱時間が短いと、環化縮合反応率が低下するので好ましくない。また、加熱時間が長すぎると、樹脂の着色や分解が起こる場合があるので好ましくない。
上記方法(i)、(ii)ともに、条件によっては、加圧下となっても何ら問題はない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応前に予め行う環化縮合反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の終了時、すなわち、脱揮工程開始前における、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率は、2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは1%以下である。重量減少率が2%より高いと、続けて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行っても、環化縮合反応率が充分高いレベルまで上がらず、得られるラクトン環含有重合体の物性が低下するおそれがある。なお、上記の環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。
重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基を予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態の場合、予め行う環化縮合反応で得られた重合体(分子鎖中に存在する水酸基とエステル基の少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)と溶剤を、そのまま脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入してもよいし、必要に応じて、上記重合体(分子鎖中に存在する水酸基とエステル基の少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)を単離してから溶剤を再添加する等のその他の処理を経てから脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入しても構わない。
脱揮工程は環化縮合反応と同時に終了することには限らず、環化縮合反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
ラクトン環含有重合体は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率が1重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以下である。
ラクトン環含有重合体は、環化縮合反応率が高いので、成形後の成形品中に泡やシルバーストリークが入るという欠点が回避できる。更に、高い環化縮合反応率によってラクトン環構造が重合体に充分に導入されるため、得られたラクトン環含有重合体が充分に高い耐熱性を有している。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、マレイミド系重合体であってもよい。マレイミド系重合体とはN一置換マレイミドの単独重合体であってもよいし、N一置換マレイミドと共重合可能な重合性単量体との共重合体であってもよい。
上記のN−置換マレイミドの具体例としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロビルマ
レイド、N−t−ブチルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等が挙げられる。上記のN一置換マレイミドのうちでも、耐熱性、透明性、低着色性の観点より、N−フェニルマレイミド、N−シクロへキシルマレイミドが特に好ましい。これらのN一置換マレイミドは、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
N−置換マレイミドの含有割合は15〜50重量%であることが好ましい。N−置換マレイミドの含有割合が15重量%以下であると耐熱性が低くなり、好ましくない。逆に、N一置換マレイミドの含有割合が50重量%を超えると、透明性が低下し、好ましくない
上記の共重合可能な重合性単量体としては、N一置換マレイミドと共重合可能な不飽和結合を有する化合物であればよく、後述するメタクリル酸エステル、後述するN一置換マレイミド及びメタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体(以下、他の単量体と称する)が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。共重合性単量体としては、透明性の高い耐熱性樹脂を得るためには、メタクリル酸エステルを用いることが好ましく、メタクリル酸エステルと芳香族ビニル類やアクリル酸エステル類とを併用するのが更に好ましい。また、共重合性単量体はメタクリル酸エステルを主成分とするのが望ましい。
上記メタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらのメタクリル酸エステルは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
メタクリル酸エステルの含有割合は、50〜85重量%であることが好ましい。メタクリル酸エステルの割合が50重量%未満であると、メタクリル系樹脂が有する透明性等に代表される優れた特性が低下するおそれがある。また、メタクリル酸エステルの割合が85重量%を追えると、耐熱性が低くなるおそれがある。
上記メタクリル酸エステル以外のN一置換マレイミドと井重合可能な重合性単量体としては、具体的には、芳香族ビニル類;不飽和ニトリル類;アクリル酸エステル類;オレフィン類;ジエン類:ビニルエーテル類;ビニルエステル類;フッ化ビニル類;プロピオン酸アリル等の飽和脂肪酸モノカルボン酸のアリルエステル類又はメタクリルエステル類;多価(メタ)アクリレート類;多価アリレート類;グリシジル化合物;不飽和カルボン酸類等を挙げることができる。これらの化合物のうち、芳香族ビニル類が特に好ましい。
上記芳香族ビニル類としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、イソプロペニルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等を挙げることができる。これらのうち、特にスチレンが好ましい。
上記不飽和ニトリル類としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フエニルアクリロニトリル等を挙げることができる。
上記アクリル酸エステル類としては、炭素数1〜18のアルキル基、シクロへキシル基、及びベンジル基からなる群から選ばれる少なくとも1つを有するアクリル酸エステルが好ましい。
上記アクリル酸エステル類としては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
上記オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、イソプチレン、ジイソブチレン等を挙げることができる。上記ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。上記ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニル工−テル等を挙げることができる。上記ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができる。上記フッ化ビニルとしては、フッ化ピニリデン等を挙げることができる。
上記多価(メタ)アクリレート類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げることができる。
上記多価アリレート類としては、トリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。上記グリシジル化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げることができる。上記不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸あるいはそれらの半エステル化物や無水物を挙げることができる。これら他の単量体として例示した化合物は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の単量体の割合は、0〜20重量%であることが好ましい。他の単量体の割合が20重量%を超える場合、得られた非晶性熱可塑性樹脂の透明性や耐熱性が低下するおそれがある。
単量体成分を重合してマレイミド系重合体を得るための重合反応の形態としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等を用いることができるが、溶剤を用いた重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
重合温度、重合時間は、使用する単量体の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度が0〜150℃、重合時間が0.5〜20時間であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜10時間である。
溶剤を用いた重合形態の場合、重合溶剤は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;等が挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、使用する溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるマレイミド系重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃のものが好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、t−アミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシアセテート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
また、重合体の分子量制御に連鎖移動剤を用いてもよく、例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタンやα−スチレンダイマー等が挙げられる。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50重量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは45重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。なお、重合反応混合物中の重合体の濃度があまり低すぎると生産性が低下するため、重合反応混合物中の重合体の濃度は、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されず、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中の生成した重合休の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより充分に抑止することができる。添加する重合溶剤としては、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの溶剤であってもよいし、2種以上の混合溶剤であってもよい。
重合工程で得られたマレイミド系重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜300,000、より好ましくは5,000〜250,0000、更に好ましくは1,0000〜200,000、特に好ましくは50,000〜200,000である。
上記重合液は、未反応の単量体や溶剤等の揮発成分を除去することが好ましい。揮発成分を除去する方法としては、真空フラッシュ法、薄膜蒸発法、単軸又は二軸のベント付き押出し機等の加熱脱揮法を用いて、蒸発除去することが好ましい。
揮発成分を除去する場合、使用する装置については特に限定されないが、本発明をより効果的に行うために、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置やベント付き押出機、また、上記脱揮装置と上記押出機を直列に配置したものを用いることが好ましく、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置又はベント付き押出機を用いることがより好ましい。
上記熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃の範囲がより好ましい。反応処理温度が150℃より低いと、残存揮発分が多くなるおそれがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こるおそれがある。
上記熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の、反応処理時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)の範囲が好ましく、798〜66.5hPa(600〜50mmHg)の範囲がより好ましい。上記圧力が931hPaより高いと、揮発分が残存し易いという問題があり、1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
上記ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
上記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃の範囲がより好ましい。上記温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなるおそれがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こるおそれがある。
上記ベント付き押出機を用いる場合の、反応処理時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)の範囲が好ましく、798〜13.3hPa(600〜10mmHg)の範囲がより好ましい。上記圧力が931hPaより高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題がある。1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
〔その他の非晶性熱可塑性樹脂〕
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂は、ラクトン環含有重合体又はマレイミド系重合体以外の非晶性熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。これらの非晶性熱可塑性樹脂は、ラクトン環含有重合体又はマレイミド系重合体とブレンドした際に、ガラス転移温度が120℃以上、1重量%のクロロホルム溶液で測定された500nmの光線透過率が80%以上、380nmの光線透過率が30%以下の性能を有するものであれば、特に種類は問わないが、熱力学的に相溶する非晶性熱可塑性樹脂の方が、透明性や機械強度を向上させる点において好ましい。
本発明にかかる非晶性熱可塑性樹脂中のラクトン環含有重合体又はマレイミド系重合体とその他の非晶性熱可塑性樹脂の含有割合は、好ましくは60〜99:1〜40重量%、より好ましくは70〜97:3〜30重量%、さらに好ましくは80〜95:5〜20重量%である。非晶性熱可塑性樹脂中のラクトン環含有重合体又はマレイミド系重合体の含有割合が60重量%よりも少ないと、本発明の効果を十分に発揮できないおそれがある。
本発明にかかるその他の非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール:ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド:ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン:ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。ゴム質重合体は、表面に本発明のラクトン環重合体又はマレイミド系重合体と相溶し得る組成のグラフト部を有するのが好ましく、また、ゴム質重合体の平均粒子径は、押し出しフィルム状とした際の透明性向上の観点から、100nm以下である事が好ましく、70nm以下である事が更に好ましい。
ラクトン環含有重合体又はマレイミド系重合体と熱力学的に相溶する非晶性熱可塑性樹脂としては、シアン化ビニル系単量体単位体と芳香族ビニル系単量体単位とを含む共重合体、具体的にはアクリロニトリル−スチレン系共重合体やポリ塩化ビニル樹脂、メタクリル酸エステル類を50重量%以上含有する重合体を用いるとよい。それらの中でもアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いるとガラス転移温度が120℃以上、1重量%のクロロホルム溶液で測定された500nmの光線透過率が80%以上、380nmの光線透過率が30%以下が容易に得られる。なお、ラクトン環含有重合体とその他の非晶性熱可塑性樹脂とが熱力学的に相溶することは、これらを混合して得られた非晶性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移点を測定することによって確認することができる。具体的には、示差走査熱量測定器により測定されるガラス転移点がラクトン環含有重合体とその他の非晶性熱可塑性樹脂との混合物について1点のみ観測されることによって、熱力学的に相溶していると言える。
その他の非晶性熱可塑性樹脂としてアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いる場合、その製造方法は、乳化重合法や懸濁重合法、溶液重合法、バルク重合法等を用いる事が可能であるが、得られる光学フィルムの透明性や光学性能の観点から溶液重合法かバルク重合法で得られたものである事が好ましい。
本発明にかかる非晶性熱可塑樹脂組成物は、その他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤:ガラス繊維、炭素繊維等の補強材:近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー:樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。
非晶性熱可塑性樹脂成形体中のその他の添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%である。
〔非晶性熱可塑性樹脂の用途および成形〕
本発明の非晶性熱可塑性樹脂は、透明性、耐熱性に優れるだけでなく、低着色性、機械的強度、成型加工性などの特性を備えるとともに、紫外線吸収能を有するので、押し出しフィルム又はシートとしても有用である。すなわち、本発明の非晶性熱可塑性樹脂の好ましい実施形態としては、上記非晶性熱可塑性樹脂からなる押し出しフィルム又はシートである。
以下に好ましい用途である一例として、本発明の非晶性熱可塑性樹脂から押し出しフィルムを製造する方法について詳しく説明する。
〔押し出しフィルム〕
本発明の非晶性熱可塑性樹脂から押し出しフィルムを製造する方法は、特に限定されないが、例えば、ガラス転移温度120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂と、その他の熱可塑樹脂やその他の添加剤などを、従来公知の混合方法にて混合し、予め非晶性熱可塑性樹脂組成物としてから、押し出しフィルムを製造する事ができる。この非晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、例えば、オムニミキサー等の混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する方法を採用することができる。この場合、押出混練に用いる混練機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、例えば、従来公知の混練機を用いることができる。
溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の、押し出しフィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
上記Tダイ法で押し出しフィルム成形する場合は、公知の単軸押出し機や2軸押出し機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出したフィルムを巻取りロール状のフィルムを得る事ができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出し方向に延伸を加えることで、一軸延伸工程とする事も可能である。また、押出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加える事で、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。
本発明の押し出しフィルムは、未延伸フィルムであっても良いし、廷伸フィルムであっても良い。延伸する場合は、一軸延伸フィルムでも良いし、2軸延伸フィルムでも良い。2軸延伸フィルムとする場合は、同時2軸延伸したものでも良いし、逐次2軸廷伸したものでも良い。2軸延伸した場合は、機械強度が向上しフィルム性能が向上する。本発明の光学フィルムは、その他の非晶性熱可塑性樹脂を混合する事により、延伸しても位相差の増大を抑制する事ができ、光学等方性を保つ事ができる。
廷伸温度としては、押し出しフィルム原料の熱可塑樹脂組成物のガラス転移温度近辺で行うことが好ましく、具体的には、(ガラス転移温度−30)℃〜(ガラス転移温度+100)℃で行うことが好ましく、より好ましくは(ガラス転移温度−20)℃〜(ガラス転移温度+80)℃である。(ガラス転移温度−30)℃よりも低いと、十分な延伸倍率が得られないために好ましくない。(ガラス転移湿度+100)℃よりも高いと、樹脂の流動(フロー)が起こり安定な延伸が行えなくなるために好ましくない。
面積比で定義した廷伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲、より好ましくは1.3〜10倍の範囲で行われる。1.1倍よりも小さいと、延伸に伴う靱性の向上につながらないために好ましくない。25倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲、より好ましくは100〜10000%/分の範囲である。10%/分よりも遅いと、十分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるために好ましくない。20000%/分よりも早いと、延伸押し出しフィルムの破断等が起こるおそれがあるために好ましくない。
押し出しフィルムの光学等方性や力学特性を安定化させるため、廷伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うこともできる。
本発明の非晶性熱可塑性樹脂は、上述の構成よりなり、透明性、耐熱性がいずれも高く、かつ紫外線吸収能をもつ非晶性熱可塑性樹脂を提供するものである。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。
<重量平均分子量>
重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。展開液はクロロホルムを用いた。
<樹脂の熱分析>
樹脂の熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
<樹脂中の揮発分測定>
樹脂中に含まれる残存揮発分量は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC14A)を用いて測定した。
<樹脂の着色度(YI)>
樹脂の着色度(YI)は樹脂をクロロホルムに溶かし、15重量%として石英セルに入れ、JIS−K−7103に従い、色差計(日本電色工業社製、装置名:SZ−Σ90)を用いて、透過光で測定した。
<光線透過率>
樹脂の光線透過率は樹脂をクロロホルムに溶かし、1重量%として石英セルに入れ、分光光度計(島津製作所社製、装置名:UV−3100)を用いて測定した。また、押し出しフィルムの光線透過率は、押し出しフィルムそのものを用いて測定を行った。
<耐熱分解性の評価方法>
試験管に1gの樹脂を入れ、260℃に昇温したヒートブロック(SCINICS社製 DRY−BLOCK−Bath)に試験管を挿入する。そのまま30分間保持した後、試験管を取り出し、中の樹脂の分解、発泡状態を目視で観察する。下記の状態観察の基準で判断する。
× 着色、発泡が著しい。発泡による気泡面の上昇が大きい。
△ 着色、発泡している。発泡による気泡面が上昇している。
○ 着色、発泡していないか、していてもその程度が小さい。
(実施例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、37.5部のメタクリル酸メチル(MMA)、10部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、2.5部の2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚製薬製、商品名:RUVA−93)、50部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させ、還流したところで、開始剤として0.05部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富(株)製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、0.10部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、0.05部のリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学社製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し械(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なペレットを得た(1A)。得られたペレット(1A)の分析結果を表1に示す。
得られたペレット(1A)を20mmφのスクリューを有する2軸押出し機を用いて、幅150mmのコートハンガータイプTダイから溶融押し出しし、厚さ約100μmの押し出しフィルム(1B)を作成した。
得られた押し出しフィルム(1B)とこの押し出しフィルム80℃24時間炉加熱した後の押し出しフィルム(1C)の500nmおよび380nmでの光線透過率を表1に示す。
(実施例2)
35部のメタクリル酸メチル(MMA)、10部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、2.5部の2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚製薬社製、商品名:RUVA−93)、2.5部のスチレンを仕込んだ以外は実施例1と同様の実験を行い、透明なペレット(2A)を得た。得られたペレット(2A)の分析結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で得られたペレット(1A)を1A/アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)=90/10の重量比で単軸押出し機(φ=30mm)を用いて混練することにより、透明なペレット(3A)を得た。得られたペレット(3A)の分析結果を表1に示す。
(実施例4)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、13.25部のメタクリル酸メチル(MMA)、6.25部のN−シクロへキシルマレイミド(CHMI)、2.5部の2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚製薬社製、商品名:RUVA−93)、25部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、100℃まで昇温させ、還流したところで、開始剤として0.015部のt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(化薬アクゾ社製、商品名:カヤカルボン BIC−75)を添加した。
続いて、上記反応槽に対し、15.75部のメタクリル酸メチル、6.25部のN−シクロへキシルマレイミド、6部のスチレン、25部のトルエン、0.081部のt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートの混合物を予め窒素ガスでバブリングしておき、3.5時間かけて滴下し、還流下(約110℃)で溶液重合を行い、さらに3.5時間かけて熟成を行った。
この重合液をバレル温度240℃にてコントロールした実施例1記載の2軸押出し機に供給し、ペントロより真空脱揮し、押し出されたストランドをペレット化して、透明なペレット(4A)を得た。得られたペレット(4A)の分析結果を表1に示す。
(比較例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、40部のメタクリル酸メチル(MMA)、10部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、50部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させ、還流したところで、開始剤として0.05部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富(株)製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、0.10部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、0.05部のリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学社製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液に2.5部の2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャリティケミカル社製、商品名:チヌビンP)を添加し、充分に攪拌した後、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なペレットを得た(5A)。得られたペレット(5A)の分析結果を表1に示す。
得られたペレット(5A)を実施例1と同様の条件で厚さ約100μmの押し出しフィルム(5B)を作成した。
得られた押し出しフィルム(5B)とこの押し出しフィルム80℃24時間炉加熱した後の押し出しフィルム(5C)の500nmおよび380nmでの光線透過率を表1に示す。
(実施例5〜9)
実施例1と同様にして表1の組成のペレット(6A〜10A)、押し出しフィルム及び加熱した後の押し出しフィルムを合成し、評価した。分析結果を表1に示す。
なお、用いた紫外線吸収性単量体は、上述したとおりである。
(比較例2)
重合するモノマーを45部のMMA、5部のRUVA−93とし、重合後の環化縮合反応を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、ペレット(11A)、フィルム(11B)、加熱後のフィルム(11C)を得た。
(実施例10)
重合するモノマーをMMA37.5部、MHMA5部、RUVA−93 7.5部とし、環化縮合反応の触媒を0.05部のリン酸2−エチルヘキシル(堺化学社製 商品名:Phoslex A−8)とした以外は、実施例1と同様にして、ペレット(12A)、フィルム(12B)、加熱後のフィルム(12C)を得た。
(実施例11)
重合するモノマーをMMA35部、MHMA5部、RUVA−93 10部とし、環化縮合反応の触媒を0.05部のリン酸2−エチルヘキシル(堺化学社製 商品名:Phoslex A−8)とした以外は、実施例1と同様にして、ペレット(13A)、フィルム(13B)、加熱後のフィルム(13C)を得た。
Figure 2007297585
重合するモノマーの組成を表2のようにした以外は、実施例4と同様にして、表2の組成のポリマーを重合し、実施例1と同様にして押し出しフィルムを作成した。なお、表2中、PMIはフェニルマレイミドを示す。
(フィルムの外観評価)
目視によりフィルムの色相から外観を評価した。
○ 合格 △ やや劣るが合格 × 不合格
(UVAカット性能)
市販のPBT(ポリブチレンテレフタレート)(トレコン1100S/東レ社製)から50×50×1mm厚の試験片を作成し、上面に実施例12、13及び比較例3、4のUVカットフィルムをそれぞれ貼りあわせた。スガ試験機社製フェードメーターによりUVカットフィルムの上から紫外線を150時間照射した後の、PBT試験片の色相変化を目視で判定した。
○ 色相変化が少ない ×明らかに黄変
Figure 2007297585
上述した実施例及び比較例から、本発明の非晶性熱可塑性樹脂について、紫外線吸収性単量体単位を有する実施と、紫外線吸剤を添加する比較例とで、顕著な効果が発揮されることが明らかとなった。すなわち、紫外線吸収性単量体単位を有する、ガラス転移温度120℃以上である実施例に比べて、紫外線吸収性単量体単位を有しない比較例1では加熱後の光線透過率が38.2と悪く、ガラス転移温度が120℃未満である比較例2では、UVA共重合体に一般的に見られるように、耐熱分解性が悪いものであった。比較例2は、樹脂の着色、発泡が著しく、発泡による気泡面の上昇が大きかった。実施例は耐熱分解性が良好であり、ガラス転移温度が120℃以上となる組成を選ぶことで耐熱分解性が実用的に用いられるレベルまで向上することが明らかになった。
実施例1〜10の非晶性熱可塑性樹脂は、いずれも光線透過率に優れ、光学用途等の種々の用途に好適に用いられるものであるが、紫外線吸収性単量体単位の含有率が20重量%である実施例10に比べて、15%以下である実施例1〜9では、耐熱分解性がより優れたものとなり、樹脂の着色、発泡がほとんど見られなかった。UVA共重合体は一般的に耐熱分解性が悪いことから、UVA単位の量が多いほど顕著になるため、該単位の含有率を15%以下とすることにより、耐熱分解性を充分に優れたものとし、かつ、優れた紫外線吸収能を有する樹脂とすることができることが明らかになった。
なお、上述した実施例及び比較例では、特定の紫外線吸収性単量体(RUVA−93、UVA−2、UVA−3、UVA−4、UVA−5)を用いているが、紫外線吸収性単量体である限り、透明性、耐熱性がいずれも高く、かつ紫外線吸収能をもつ非晶性熱可塑性樹脂を生じさせる機構は同様である。したがって、紫外線吸収性単量体を有する非晶性熱可塑性樹脂であれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、ベンゾトリアゾール誘導体、又は、トリアジン誘導体に重合性基を導入したものを必須とする単量体成分を重合して、非晶性熱可塑性樹脂を調製する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

Claims (5)

  1. 紫外線吸収性単量体単位を有する、ガラス転移温度120℃以上であることを特徴とする非晶性熱可塑性樹脂。
  2. 前記非晶性熱可塑性樹脂は、厚さ100μmにおける500nmでの光線透過率が80%以上、380nmでの光線透過率が30%未満であることを特徴とする請求項1記載の非晶性熱可塑性樹脂。
  3. 前記紫外線吸収性単量体単位の含有率は、15重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の非晶性熱可塑性樹脂。
  4. 前記非晶性熱可塑性樹脂は、下記一般式(1);
    Figure 2007297585
    (式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は、酸素原子を含んでいてもよい。)で示されるラクトン環構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非晶性熱可塑性樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の非晶性熱可塑性樹脂からなることを特徴とする押し出しフィルム又はシート。
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