JP2007297454A - オレフィン系架橋ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 卓越した真空成形性と屈曲回復性を有するオレフィン系架橋ゴム組成物の提供。
【解決手段】 エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・αーオレフィン共重合体を含有する架橋性ゴム状重合体(A)とオレフィン系樹脂(B)とからなる架橋された組成物であって、該(A)の架橋度が50%以上であり、かつ膨潤度が0.01以上、5未満であり、組成物中の粒子径100μm以上の(A)の分散体が、組成物の平板試験片の表面について測定したときに平均1個/mm以下であることを特徴とするオレフィン系架橋ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン系架橋ゴム組成物に関するものである。更に詳しくは、真空成形性と屈曲回復性に優れたオレフィン系架橋ゴム組成物に関するものである。
ラジカル架橋性エラストマーとPP等のラジカル架橋性のない樹脂とをラジカル開始剤の存在下、押出機中で溶融混練させながら架橋する、いわゆる動的架橋による熱可塑性エラストマー組成物は、既に公知の技術であり、自動車部品等の用途に広く使用されている。
このようなエラストマー組成物として、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)またはメタロセン触媒により製造されたオレフィン系エラストマー(下記特許文献1,2参照)を用いる技術が知られている。しかしながら、上記組成物は真空成形性と屈曲回復性が必ずしも充分でないために、実用的使用に耐えるゴム系組成物が求められている。
特開平8−120127号公報 特開平9−137001号公報
本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち優れた真空成形性と屈曲回復性を有するオレフィン系架橋ゴム組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、真空成形性と屈曲回復性に優れたオレフィン系架橋ゴム組成物を鋭意検討した結果、特定の架橋構造により、驚くべきことに、該組成物の真空成形性と屈曲回復性を飛躍的に向上せしめる事を見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、
[1]エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・αーオレフィン共重合体を含有する架橋性ゴム状重合体(A)とオレフィン系樹脂(B)とからなる架橋された組成物であって、該(A)の架橋度が50%以上であり、かつ膨潤度が0.01以上、5未満であり、組成物中の粒子径100μm以上の(A)の分散体が、組成物の平板試験片の表面について測定したときに平均1個/mm以下であることを特徴とするオレフィン系架橋ゴム組成物。
[2](A)がメタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・αーオレフィン共重合体である[1]に記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
[3](B)がポリプロピレン系樹脂である[1]または[2]に記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
[4](A)が更に主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/または共重合体からなる不飽和ゴムの全オレフィン性二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムを含有する[1]〜[3]のいずれかに記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
[5]架橋剤(C)により架橋してなる[1]〜[4]のいずれかに記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
[6]更に軟化剤、250℃で溶融しない粉末状化合物、ポリオルガノシロキサン、スチレン系熱可塑性エラストマー、樹脂系ワックスから選ばれる剤(D)を含有した[1]〜[5]のいずれかに記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
[7]キャピラリーメーター法による下記条件での溶融伸びが1〜100m/分である[1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
条件:ランド長10mm、オリフィス孔径1mm、溶融温度200℃、
クロスヘッド速度 50mm/分
に関する。
本発明のオレフィン系架橋ゴム組成物は真空成形性と屈曲回復性に優れている。
以下、本発明に関して具体的に説明する。
本発明の組成物は、架橋性ゴム状重合体(A)とオレフィン系樹脂(B)とからなり、特定の架橋構造を有するオレフィン系架橋ゴム組成物である。
ここで、(A)と(B)が、熱可塑性を維持しつつ、架橋することが重要である。上記成分が架橋することにより、高せん断下においても安定したモルフォロジーを維持するために真空成形性と屈曲回復性に優れる。
そして、架橋度が50%以上であり、かつ架橋密度の指標である膨潤度が0.01以上、5未満である場合には、高い屈曲回復性が発現し、かつ組成物中の粒子径100μm以上の(A)の分散体が、組成物の平板試験片の表面について測定したときに平均1個/mm以下である場合には溶融伸びが高まり、真空成形性が著しく向上することを見出し、本発明を完成した。
以下に本発明の各成分について詳細に説明する。
(A)成分
本発明において架橋性ゴム状重合体(A)は、エチレンと炭素数が3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)であり、エチレンとα―オレフィンとの共重合反応により得られたものでも、あるいは主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/または共重合体を水素添加して得られたものでもよい。
ここで、上記α−オレフィンとして、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中でもヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1が好ましく、特に好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンであり、とりわけプロピレン、ブテン−1、オクテン−1が最も好ましい。
また、(A)は必要に応じて、不飽和結合を有する単量体を含有することができ、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体等の環状ジエン化合物、及びアセチレン類が挙げられる。とりわけエチリデンノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP)が最も好ましい。
本発明においてエチレン・α−オレフィン共重合体(以下、(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)という。)は、公知のメタロセン系触媒を用いて製造することが好ましい。
一般にはメタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでなく、チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数3〜20のα−オレフィンの分布が均一である。
本発明において用いられる(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、α−オレフィンの共重合比率が1〜60重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは20〜45重量%である。α−オレフィンの共重合比率は組成物の硬度、引張強度等の観点から60重量%以下が好ましく、一方、柔軟性、機械的強度の観点から1重量%以上が好ましい。
(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)の密度は、0.8〜0.9g/cmの範囲にあることが好ましい。この範囲の密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、柔軟性に優れ、硬度の低い本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
本発明にて用いられる(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、長鎖分岐を有していることが望ましい。長鎖分岐が存在することで、機械的強度を落とさずに、共重合されているα−オレフィンの比率(重量%)に比して、密度をより小さくすることが可能となり、低密度、低硬度、高強度のエチレン・α−オレフィン共重合体を得ることができる。長鎖分岐を有するエチレン・α−オレフィン共重合体としては、米国特許明細書第5278272号明細書等に記載されている。
また、(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、室温以上に熱天秤(DSC)の融点ピークを有することが望ましい。融点ピークを有するとき、融点以下の温度範囲では形態が安定しており、取扱い性に優れ、ベタツキも少ない。
また、本発明にて用いられる(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)のメルトインデックスは、0.01〜100g/10分(190℃、2.16kg荷重(0.212Pa))の範囲のものが好ましく用いられ、更に好ましくは0.2〜10g/10分である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の架橋性の観点から100g/10分以下が好ましく、また、流動性、加工性の観点から0.01g/10分以上が好ましい。
本発明において、必要に応じて(A−1)に水素添加共重合体(A−2)を添加することができ、(A−2)は少なくとも一種の共役ジエン系単量体の単独重合体ゴム、または共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とからなる共重合体ゴムであって、ランダム共重合体の全二重結合の水素添加率が50%以上である水素添加共重合体ゴムが好ましく、とりわけ主鎖および側鎖に二重結合を有する重合体及び/または共重合体からなる不飽和重合体ゴムの全オレフィン性二重結合の50%以上が水素添加された水素添加共重合体ゴムであることが好ましい。
上記水素添加共重合体ゴムにおいて、必要に応じて、例えば、オレフィン系、メタクリル酸エステル系、アクリル酸エステル系、不飽和ニトリル系、塩化ビニル系単量体等の共役ジエンと共重合可能な単量体(以下、共重合可能な単量体という。)を共重合することができる。
上記共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1、3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1、3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等を挙げることができ、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが最も好ましい。
また、前記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。上記芳香族単量体は一種または二種以上併用することができる。芳香族ビニル単量体含有量は、0〜80重量%が好ましく、更に好ましくは0〜50重量%、最も好ましくは0〜30重量%である。
(A)としての水素添加共重合体において、水素添加前の共役ジエン単量体部分のビニル結合は、分子内に均一に存在していても、分子鎖に沿って増減あるいは減少してもよいし、また、ビニル結合含有量の異なった、複数個のブロックを含んでいてもよい。そして、芳香族ビニル単量体および/または共重合可能な単量体を含む場合は、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体および/または共重合可能な単量体とはランダムに結合することが好ましいが、ブロック状の芳香族ビニル単量体および/またはブロック状の共重合可能な単量体を含んでもよい。ブロック状の芳香族ビニル重合体の含有率は、全芳香族ビニル単量体中の20重量%以下が好ましく、更に好ましくは10重量%以下である。
上記水素添加共重合体ゴム中の全オレフィン性二重結合は、50%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結合が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下である。このような水素添加共重合体ゴムの具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムを部分的または完全に水素添加したゴム状重合体を挙げることができ、特に水素添加ブタジエン系または水素添加イソプレン系ゴムが好ましい。
このような水素添加共重合体ゴムは、上述のジエン系ゴムを公知の水素添加方法で部分水素添加することにより得られる。例えば、F.L.Ramp,etal,J.Amer.Chem.Soc.,83,4672(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用いて水素添加する方法、HungYuChen,J.Polym.Sci.Polym.Letter Ed.,15,271(1977)記載のトルエンスルフォニルヒドラジドを用いて水素添加する方法、あるいは特公昭42−8704号公報に記載の有機コバルトー有機アルミニュウム系触媒あるいは有機ニッケルー有機アルミニュウム系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げることができる。
ここで、特に好ましい水素添加の方法は、低温、低圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒を用いる特開昭59−133203号、特開昭60−220147号の各公報あるいは不活性有機溶媒中にて、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物と、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子またはセシウム原子を有する炭化水素化合物とからなる触媒の存在下に水素と接触させる特開昭62−207303号公報に示される方法である。
また、水素添加共重合体ゴムの25℃における5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は、20〜300センチポイズ(cps)の範囲にあることが好ましい。特に好ましい範囲は25〜150cpsである。
そして、水素添加共重合体ゴムは結晶性を有することが好ましく、その結晶性の指標である吸熱ピーク熱量の制御は、テトラヒドロフラン等の極性化合物の添加または重合温度の制御により行う。吸熱ピーク熱量の低下は、ゴム状重合体製造時に極性化合物を増量するか、または重合温度を低下させて、1,2−ビニル結合を増大させることにより達成される。
本発明にて用いられる(A)架橋性ゴム状重合体は、複数の種類のものを混合して用いても良い。そのような場合には、加工性のさらなる向上を図ることが可能となる。
本発明において、(A)架橋性ゴム状重合体中に占めるポリスチレン換算分子量が15万以下の該重合体の割合が30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下、最も好ましくは15%以下、極めて好ましくは10%以下である。上記割合が30%以下の場合には架橋性が著しく高まり、機械的強度、外観、感触、耐磨耗性及び耐油性が向上する。
本発明において(A)架橋性ゴム状重合体中に占めるポリスチレン換算分子量が15万以下の該重合体の割合を制御する方法として、分子量が15万以下の部分が30%以下になるように全体の分子量を高める方法、または分子量15万以下の部分を抽出等の操作で除去する方法、あるいは重合触媒等により選択的に分子量15万以下が生成しない重合方法等が挙げられる。
(B)成分
本発明において、オレフィン系樹脂(B)は、例えばエチレン系またはプロピレン系樹脂等の炭素数2〜20であるエチレン及び/またはα−オレフィンの単独もしくは二種以上を含有する共重合樹脂が挙げられ、特にプロピレン系樹脂が更に好ましい。
本発明で最も好適に使用されるプロピレン系樹脂を具体的に示すと、ホモのアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチック共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む。)等が挙げられる。
本発明において、(B)成分の中でも、(B−1)架橋型オレフィン系樹脂であるエチレンとプロピレンとのランダム共重合樹脂等のプロピレン系ランダム共重合樹脂単独または、(B−1)と(B−2)分解型オレフィン系樹脂であるプロピレン系ブロック共重合体樹脂またはホモポリプロピレン系樹脂との組み合わせが好ましい。このような架橋型オレフィン系樹脂と分解型オレフィン系樹脂の二種のオレフィン系樹脂を組み合わせることにより、外観と機械的強度が更に向上する。
(B−1)として、例えばエチレンとプロピレンのランダム共重合樹脂を挙げることができ、エチレン成分がポリマー主鎖中に存在する場合は、それが架橋反応の架橋点となり、架橋型オレフィン系樹脂の特性を示す。
(B−2)はα−オレフィンが主成分であり、ポリマー主鎖中にエチレン単位を含まないことが好ましい。但し、プロピレン系ブロック共重合樹脂のようにエチレン−αオレフィン共重合体が分散相として存在する場合は、分解型オレフィン系樹脂の特性を示す。
(B)は複数個の(B−1)、(B−2)成分の組み合わせでも良い。
(B−1)の中で最も好ましいプロピレンを主体としたα−オレフィンとのランダム共重合樹脂は、高圧法、スラリー法、気相法、塊状法、溶液法等で製造することができ、重合触媒としてZiegler-Natta触媒、シングルサイト、メタロセン触媒が好ましい。特に狭い組成分布、分子量分布が要求される場合には、メタロセン触媒を用いたランダム共重合法が好ましい。
ランダム共重合樹脂の具体的製造法は、欧州特許0969043A1または米国特許5198401に開示されており、液状プロピレンを攪拌機付き反応器に導入した後に、触媒をノズルから気相または液相に添加する。次いで、エチレンガスまたはα−オレフィンを反応器の気相または液相に導入し、反応温度、反応圧力をプロピレンが還流する条件に制御する。重合速度は触媒濃度、反応温度で制御し、共重合組成はエチレンまたはα−オレフィンの添加量により制御する。
また、本発明にて好適に用いられるオレフィン系樹脂のメルトインデックスは、0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷重(0.212Pa))の範囲のものが好ましく用いられる。熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、機械的強度の観点から100g/10分以下であることが好ましく、また、流動性、成形加工性の観点から0.1g/10分以上が好ましい。
本発明において、(A)と(B)からなる組成物100重量部中の各成分は、(A)が1〜99重量%が好ましく、更に好ましくは10〜80重量%、最も好ましくは20〜70重量%であり、(B)が1〜99重量%が好ましく、更に好ましくは90〜20重量%、最も好ましくは80〜30重量%である。上記範囲内では、射出成形性と耐傷性のバランスが向上する。
本発明において、(A)と(B)からなる該組成物は、別個の(A)と(B)を押出機で溶融混合したものであっても良いし,また(A)と(B)を重合時に製造した重合型オレフィン系組成物であっても良い。このような重合型オレフィン系組成物は、オレフィン系ゴムの分散相とオレフィン系樹脂の連続相からなる重合法によって製造された熱可塑性エラストマーである。通常は多段重合法により製造される。
本発明において、多段重合法とは、重合が1回で終了するのではなく、2段階以上の多段重合を行うことにより、複数の種類のポリマーを連続して製造することができる重合法を意味し、機械的な手法を用いて異種類のポリマーからなる混合樹脂を得るところの通常のポリマーブレンド法とは異なる手法である。
多段重合法によって得られるオレフィン系架橋性ゴム組成物は、反応器中で(1)ハードセグメントと、(2)ソフトセグメントとが二段階以上で多段重合されてなる共重合体である。(1)ハードセグメントとしては、プロピレン単独重合体ブロックや、あるいはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体ブロックが代表的であり、例えばプロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/エチレン/1−ブテン等の二元または三元共重合体ブロックが挙げられる。また(2)ソフトセグメントとしては、エチレン単独重合体ブロックおよびエチレンとα−オレフィンとの共重合体ブロックが代表的であり、例えばエチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン等の二元または三元共重合体ブロックが挙げられる。
本発明における(B)は、必要に応じてオレフィン系樹脂に更に別の熱可塑性樹脂を添加することができる。例えば、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用することができる。
(C)成分
本発明の組成物は、(C)架橋剤で架橋されることが好ましい。
(C)架橋剤は、(C−1)架橋開始剤を必須成分とし、必要に応じて(C−2)多官能単量体、(C−3)単官能単量体を含有する。上記(C)架橋剤は、(A)と(B)の合計100重量部に対し0.001〜10重量部、好ましくは0.005〜3重量部の量で用いられる。上記範囲内では架橋のレベルが高まり、組成物の耐磨耗性が向上する。 ここで、(C−1)架橋開始剤は、有機過酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤等が挙げられ、その具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
これらの化合物の中では、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
上記(C−1)は、(C)成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。架橋性の観点から1重量%以上が好ましく、機械的強度の観点から80重量%以下が好ましい。
本発明において、(C)架橋剤に必要に応じて含まれる(C−2)多官能単量体は、官能基としてラジカル重合性の官能基が好ましく、とりわけビニル基が好ましい。官能基の数は2以上であるが、(C−3)との組み合わせで特に3個以上の官能基を有する場合には有効である。具体例としては、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好ましく用いられる。特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの多官能単量体は複数のものを併用して用いてもよい。
上記(C−2)は、(C)成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。架橋性の観点から1重量%以上が好ましく、機械的強度の観点から80重量%以下が好ましい。
本発明において用いられる前記(C−3)は、ビニル系単量体であり、ラジカル重合性のビニル系単量体が好ましく、芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体等のエステル系単量体、アクリル酸単量体、メタクリル酸単量体等の不飽和カルボン酸単量体、無水マレイン酸単量体等の不飽和カルボン酸無水物、N−置換マレイミド単量体等の低分子量単量体、あるいは重合体の片末端にメタクリロイル基等のビニル基が置換されたマクロモノマー等を挙げることができる。
上記(C−3)は、(C)成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。架橋性の観点から1重量%以上が好ましく、機械的強度の観点から80重量%以下が好ましい。
本発明において、最も好ましい(C)架橋剤の組み合わせについては、架橋開始剤として、日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名パーヘキサ25B)または日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシンー3と、多官能単量体として、日本化成(株)製、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)との組み合わせが、機械的強度、後述の軟化剤が存在するときの軟化剤の保持性が優れている。
(D)成分
本発明において、必要に応じて軟化剤、250℃で溶融しない粉末状化合物、ポリオルガノシロキサン、スチレン系熱可塑性エラストマー、樹脂系ワックスから選ばれる剤(D)を添加することができる。
上記軟化剤は、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系などの炭化水素からなるプロセスオイルが好ましい。とりわけ、パラフィン系炭化水素主体またはゴムとの相容性の観点からナフテン系炭化水素主体のプロセスオイルが好ましい。熱・光安定性の観点から、プロセスオイル中の芳香族系炭化水素の含有量については、ASTM D2140−97規定の炭素数比率で10%以下であることが好ましく、更に好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下である。
これらの軟化剤は、(A)と(B)の合計100重量部に対して、5〜500重量部、好ましくは10〜150重量部用いる。上記範囲内では分散性、柔軟性と耐ブリード性のバランスが優れる。
本発明における(D)において用いられるポリオルガノシロキサンは、JIS−K2410規定の25℃における動粘度が5000センチストークス(5×10−3/sec)以上であるポリオルガノシロキサンが好ましい。
上記ポリオルガノシロキサンは、粘調な水飴状からガム状の様態であり、アルキル、ビニル及び/またはアリール基置換シロキサン単位を含むポリマーであれば特に制約されない。その中でもポリジメチルシロキサンが最も好ましい。
本発明に用いられるポリオルガノシロキサンの動粘度(25℃)は、5000CS(5×10−3/sec)以上であり、更に好ましくは、1万CS(1×10−2/sec)以上1000万(10m/sec)未満、最も好ましくは5万CS(0.05m/sec)以上200万(2m/sec)未満である。
本発明において、ポリオルガノシロキサンの添加量は、(A)と(B)との合計100重量部に対して、0.001〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部である。
また、本発明において、その特徴を損ねない程度にその他の無機フィラー、可塑剤、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤を含有することが可能である。
本発明の組成物の製造には、通常の樹脂組成物、エラストマー組成物の製造に用いられるバンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機等の一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効率的に動的架橋を達成するためには2軸押出機が好ましく用いられる。2軸押出機は、(A)と(B)とを均一かつ微細に分散させ、さらに他の成分を添加させて、架橋反応を生じせしめ、本発明の組成物を連続的に製造するのに、より適している。
本発明において架橋性ゴム状重合体(A)の架橋度は、50%以上であるが、好ましくは50〜100%、より好ましくは60〜100%、最も好ましくは70〜100%である。また、膨潤度については0.01以上、5未満であるが、好ましくは0.1〜44.9、より好ましくは0.1〜4、最も好ましくは0.1〜3である。
また、本発明のオレフィン系架橋ゴム組成物は、その溶融伸びが1〜100m/分、好ましくは20〜100m/分、より好ましくは30〜100m/分である。屈曲回復性(回復角度)については好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、最も好ましくは1〜10である。
本発明の要件の架橋度、膨潤度の制御は、ラジカル開始剤、架橋助剤の種類、添加量、反応温度、反応方式により行われる。架橋度の増大のためには、ラジカル開始剤または架橋助剤を増量し、かつラジカル開始剤の分解温度以上の、できるだけ低温・長時間反応を行うことにより達成される。一方、膨潤度の増大のためには官能基数の少ない多官能架橋助剤、あるいはラジカル重合性のビニル単量体を用いることにより、反応速度を抑制することができる。例えばラジカル開始剤量の削減、3官能よりは2官能架橋助剤の使用、メタクリル酸エステル単量体または芳香族ビニル単量体等のビニル系単量体の使用、低温反応等の方法で行うことができる。ラジカル開始剤、架橋助剤の過度の添加は架橋度は増大するが、膨潤度が低下し、本願の要件を満足しない。または、過度に高活性なラジカル開始剤、架橋助剤、または高温反応条件は、同様に架橋度は増大するが、膨潤度が低下し、本願の要件を満足しない。
本発明の組成物は、本発明の要件を満足していれば特に製造法は制限されないが、(A)と(B)とを溶融混合後、(C)により架橋することが好ましい。
また(C)架橋剤により架橋する際に、(C)を分割添加し、逐次架橋することが更に好ましい。すなわち、(A)と(B)とをメインフィード部から添加後、押出機の前段で溶融混練して、(C)架橋剤の一部をサイドフィード部から添加後、溶融混練して動的架橋を行い、更に押出機の途中から(C)の残りを添加後、溶融混練して動的架橋を完結する。ここで(C)の分割回数は多い方が急激な架橋が抑制されるので好ましいが、(C)の初期一括添加に比較して、二分割でも外観、流動性、機械的強度及び品質安定性が飛躍的に向上する。例えば(A)と(B)の溶融混合後、(C)の一部をサイドフィード部から添加し、溶融混練しつつ押出機の途中から、(C)の残りを複数個のサイドフィード供給部から分割してフィードする。ここで、(A)と(B)との溶融混合の際に、(C)の中でも架橋反応にそれ自体不活性または活性の弱い(C−2)と(C−3)を必要に応じて同時に溶融混合することができる。また、(C)をフィードする方法として、(C)を直接フィードしても良いが、(D)軟化剤に(C)を溶解して液体フィードすることが好ましい。また(C)を非溶融性のフィラーに含浸させてフィードしても良い。そして、必要に応じて、(A)及びまたは(B)を分割してフィードしても良い。
ここで、(C)を分割添加し、逐次架橋する際に、第一回目の(C)の添加により、架橋度5〜45%まで架橋し、更に(C)を追加添加することにより架橋度50%以上に架橋することが好ましい。
本発明の組成物の粒子径100μm以上の(A)の分散体数を平均1個/mm以下に制御するには二軸押出機で製造することが好ましく、例えば、二軸押出機のシリンダー内径(D)に対するスクリュー長さ(L)の比率(L/D)が20〜100であり、上記二軸押出機が、先端部分から距離を異にするメインフィード部と1箇所以上のサイドフィード部を有し、かつメインフィード部から順にゾーンI〜IIIの3ゾーンからなり、各ゾーン長は0.05〜0.4Lであり、更にゾーンIでメインフィーダーから添加された(A)と(B)と、必要に応じて(C−2)及び/または(C−3)を溶融混合し、次いでゾーンIIでサイドフィーダーから添加された(C)の一部を溶融混合し、更にゾーンIIIでサイドフィーダーから添加された(C)の残りの部分を溶融混合する。ゾーンIで(C−1)が添加されると上記(A)の分散体数が増大する。
本発明において、(D)軟化剤及び/または固形状物を添加する場合は、(C)を添加した後に添加し、溶融混合することが好ましく、ゾーンI〜IIIの後に、ゾーンIV〜VIから選ばれる少なくとも1ゾーンを有し、各ゾーン長は0〜0.4Lである二軸押出機を用い、ゾーンIVで(A)、(B)またはその他の23℃で固形状物を溶融混合し、ゾーンVで(D)を溶融混合し、ゾーンVIで揮発分を除去する。
また本発明において用いられる製造装置の一つの二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸異方向回転押出機でもよい。また、スクリュ−の噛み合わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、完全噛み合わせ型があり、いづれの型でもよい。低いせん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方向回転・部分噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。やや大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。さらに大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
1.架橋度、膨潤度
組成物の重量W0を、オルトジクロロベンゼン200ml中で20時間リフラックスさせ、溶液をフィルターで濾過し、膨潤組成物の重量(W1)を測定する。次いで、上記膨潤組成物を100℃で真空乾燥後、再度重量(W2)を測定する。このようにして、架橋度、膨潤度は以下のように算出される。
架橋度=(W2/W0 )×100 (%)
膨潤度=W1/W2
2.組成物中の(A)の分散体数
組成物1gを圧縮成形機で厚さ約100μmの平板試験片を作製し、その平板試験片の中央部から一辺が3cmの正方形を切り出し、その正方形の縦横各1cm間隔で直線を引き、9個の正方形を作製する。次いで、各正方形の中央点(対角線の交点)1点と、中央点と正方形の各頂点との中点4点との合計5点をそれぞれの正方形について選び、9個の正方形の総数45個について、デジタルHDマイクロスコープ[Keyence(株)製、VH-7000]の反射型で真上から視野1mmの範囲の写真を撮影し、写真に写っている大きさが100μm以上の分散体数の1mmあたりの数を数える。45枚の写真について数えた数の数平均値を、組成物中に分散した大きさ100μm以上の分散体数/mmとする。
尚、各分散体の面積Sを求め、Sを用いて、(4S/π)0.5を各分散体の粒子径とする。
3.真空成形性
底面が15cmの正方形で深さが5cmの直方体の金型に1mm厚さのシートを接触させて、赤外線ヒーターにてシート表面が140℃になるまで加熱した後に、真空下で成形体を作製した。得られた成形体の型再現性、転写性を目視で以下の基準で評価した。
◎ 極めて型再現性、転写性が良好
○ 良好
△ 良好であるが、ややコーナー部の型再現性、転写性が悪い。
× 不良
また一方で、キャピラリーメーターとして、東洋精機製作所製キャピログラフ1C・3Aを用いて、溶融ポリマーの溶融張力、溶融伸びを測定する。
具体的には、下記の条件で引き取り速度を変化させて、各引き取り速度での溶融張力を測定する。また、その際に糸切れ時の引き取り速度を溶融伸びの指標とし、真空成形性と対応する。
ランド長10mm、オリフィス孔径1mm、溶融温度200℃、
クロスヘッド速度 50mm/分
4.屈曲回復性(回復角度)
2mm厚さのシートを23℃の室内で180度折り曲げ、その状態で水平面に置き、1kgの分銅を10秒間載せた後に取り除き、形状が十分に回復してから水平面と折り曲げシートとの角度を測定し、回復角度とする。回復角度が小さいほど回復性が高く、高い柔軟性を示す。
またシートの触感から以下の基準で柔軟性を判定する。
◎ 極めて良好
○ 良好
△ 良好であるが、少し硬い
× 硬く、柔軟性がない
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いる。
(イ)ゴム状重合体(A)
1)エチレン・α−オレフィン共重合体
a)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン(ENB)共重合体(TPE−1)
特開平3ー163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/プロピレン/ENBの組成比は、72/24/4(重量比)であり、ムーニー粘度は100である。(TPE−1と称する)
b)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン(ENB)共重合体(TPE−2)通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/プロピレン/ENBの組成比は、72/24/4(重量比)であり、ムーニー粘度は105である。(TPE−2と称する)
c)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−3)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、72/28(重量比)であり、ムーニー粘度は100である。(TPEー3と称する)
2)水素添加共役ジエン系ゴム
a)水素添加ブタジエン重合体
WO01/48079号公報に記載の方法に基づき、ブタジエン重合体を水素添加することにより製造する。ムーニー粘度は100である。(HーBRと称する)
b)水素添加スチレン・ブタジエンランダム共重合体
WO01/48079号公報に記載の方法に基づき、スチレン・ブタジエンランダム共重合体を水素添加することにより製造する。前駆体の共重合体のスチレン/ブタジエンの組成比は、70/30(重量比)であり、ムーニー粘度は100である。(H−SBRと称する)
c)水素添加スチレン・ブタジエンブロック共重合体
市販の旭化成(株)製SEBS(スチレン/エチレン・ブチレン=70/30重量比)(SEBS−1と称する)
市販の旭化成(株)製SEBS(スチレン/エチレン・ブチレン=30/70重量比)(SEBS−2と称する)
(ロ)オレフィン系樹脂(B)
(1)ポリプロピレン
アイソタクチックホモポリプロピレン(PPと称する) MFR:0.5g/10分(230℃、2.16kg荷重)
(ハ)架橋剤C
1)架橋開始剤(C−1)
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(POXと称する)
2)多官能単量体(C−2)
トリアリルイソシアヌレート(TAICと称する)
[実施例1〜6および比較例1〜4]
押出機として、バレル中央部に注入口を有したサイドフィード可能な2軸押出機(40mmφ、L/D=47)を用い、160℃で溶融押出を行なう。
上記条件を基準に、ラジカル開始剤、架橋助剤の添加量、反応温度、ラジカル開始剤の添加方法(分割または一括添加)を制御する。具体的には、架橋度の増大のためには、ラジカル開始剤または架橋助剤を増量し、かつラジカル開始剤の分解温度以上の、できるだけ低温・長時間反応を行なう。一方、膨潤度の低下のためには架橋剤、特に架橋助剤を増量する。また、粒子径100μm以上の(A)の分散体数の制御は、POXの添加量がより少ないほど上記(A)の分散体数が減少する。
このようにして得られたゴム組成物から200℃にて圧縮成形により2mm厚のシートを作成し、各機械的特性を評価する。
その結果を表1に示した。
Figure 2007297454
表1によると、本願の架橋度、膨潤度、粒子径100μm以上の(A)の分散体の要件を満足した組成物は真空成形性、屈曲回復性に優れていることが分かるが、特にメタロセン触媒を用いて製造されたエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・αーオレフィン共重合体、とりわけメタロセン系触媒を用いて製造された、エチレンとオクテン−1との共重合体は卓越した上記特性を付与する事が分かる。
本発明の組成物は、自動車用部品、自動車用内装材、エアバッグカバー、機械部品、電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用途に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。

Claims (7)

  1. エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・αーオレフィン共重合体を含有する架橋性ゴム状重合体(A)とオレフィン系樹脂(B)とからなる架橋された組成物であって、該(A)の架橋度が50%以上であり、かつ膨潤度が0.01以上、5未満であり、組成物中の粒子径100μm以上の(A)の分散体が、組成物の平板試験片の表面について測定したときに平均1個/mm以下であることを特徴とするオレフィン系架橋ゴム組成物。
  2. (A)がメタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・αーオレフィン共重合体である請求項1に記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
  3. (B)がポリプロピレン系樹脂である請求項1または2に記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
  4. (A)が更に主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/または共重合体からなる不飽和ゴムの全オレフィン性二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムを含有する請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
  5. 架橋剤(C)により架橋してなる請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
  6. 更に軟化剤、250℃で溶融しない粉末状化合物、ポリオルガノシロキサン、スチレン系熱可塑性エラストマー、樹脂系ワックスから選ばれる剤(D)を含有した請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
  7. キャピラリーメーター法による下記条件での溶融伸びが1〜100m/分である請求項1〜6のいずれかに記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
    条件:ランド長10mm、オリフィス孔径1mm、溶融温度200℃、
    クロスヘッド速度 50mm/分
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