JP2007297223A - 窒化ガリウム結晶体を形成する方法、基板、および窒化ガリウム基板を形成する方法 - Google Patents

窒化ガリウム結晶体を形成する方法、基板、および窒化ガリウム基板を形成する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板を提供する。
【解決手段】基板11aは、ナノコラム領域13と、窒化ガリウム半導体膜15と、支持基体17とを備える。ナノコラム領域13は、窒化ガリウムからなる複数のナノコラム13aを有する。窒化ガリウム半導体膜15は、複数のナノコラム19の一端19aの各々に接続されている。窒化ガリウム半導体膜15の導電型は、ナノコラム領域13の窒化ガリウムの導電型と同じである。また、窒化ガリウム半導体膜15は主面15aを有する。主面15a上には、窒化ガリウム系半導体デバイスを形成するための半導体膜が堆積される。支持基体17は、複数のナノコラム19の他端19bを支持しており、また窒化ガリウムとは異なる材料からなる支持体21を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化ガリウム結晶体を形成する方法、基板、および窒化ガリウム基板を形成する方法に関する。
特許文献1には、高輝度、高発光効率のGaNの発光ダイオードが記載されている。この発光ダイオードは、複数のGaNナノロッドを含む。各GaNナノロッドは、n型GaNナノロッド、InGaN量子井戸構造、およびp型GaNナノロッドがこの順に長手方向に連続してなる。pn接合GaNナノロッドのp−n接合領域にはInGaN量子井戸構造が設けられている。このようなGaNナノロッドを多数個アレイ状に配置すると、積層フィルム状のGaNのLEDに比べてさらに高輝度、高発光効率のLEDが提供される。
非特許文献1には、シリコン(111)面基板上への結晶成長について記載されている。シリコン(111)面基板上への結晶成長では、窒素リッチの条件とガリウムリッチの条件では、異なる結晶モフォロジを示す。窒素リッチの条件では柱状の特徴を示す。ナノコラムの径は、例えば60nm程度である。
非特許文献2には、サファイア基板上に形成されるGaNのナノ構造(GaNナノコラム)が記載されている。このナノコラムは、RFラジカル源を用いる分子線ビームエピタキシ法で形成される。ナノコラムの平均的な直径は、条件の調整により、40nm〜45nm程度まで小さくできる。
特開2005−228936号公報 Journal of Crystal Growth 183, (1998) pp.23-30 Journal of Crystal Growth 189/190, (1998) pp.138-141
非特許文献1および2には、シリコン基板およびサファイア基板上に微細な柱状の構造物が成長することが示されている。平均的な直径が上記文献に示されている。窒素リッチの条件の下で形成される窒化ガリウム系柱状構造物を“ナノコラム”と呼んでいる。また、特許文献1には、各ナノコラムに形成された発光ダイオードを含む半導体デバイスを作製しており、ナノコラム間には透明絶縁物が設けられている。ナノコラムの下地となる窒化ガリウムバッファ層上にはn電極が設けられており、ナノコラムおよび透明絶縁物上には透明電極およびp電極が設けられている。透明電極は、ナノコラムの各々の直接に接続されるように設けられている。
上記のように、非特許文献1および2ではナノコラムの学術的な側面が記載されているだけであり、また特許文献1にはナノコラム内に形成された発光ダイオード(LED)が記載されているだけである。
一方、窒化ガリウム系半導体デバイスの分野では、他のIII−V化合物半導体とは異なり、窒化ガリウム系半導体デバイスのための良質の結晶成長を行うための基板を提供することが求められている。このような要求に応じるために、発明者らは様々な検討を行った。
本発明は、窒化ガリウム系半導体の結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法を提供することを目的とし、また窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板を提供することを目的とし、さらに窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、窒化ガリウム系結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法である。この方法は、(a)窒化ガリウム系半導体とは異なる半導体材料からなる支持体を含んでおり窒化ガリウム系半導体を成長するための基板を準備する工程と、(b)窒化ガリウム系半導体からなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域を基板上に形成する工程と、(c)前記ナノコラム領域の前記複数のナノコラムを互いに結合するように窒化ガリウム系半導体膜を成長する工程とを備え、前記ナノコラム領域の窒化ガリウムの導電型は、前記窒化ガリウム半導体系膜の導電型と同じである。
この方法によれば、ナノコラム領域は非常に転位密度の小さい単結晶からなるので、ナノコラム領域上に成長される窒化ガリウム系半導体膜もまた、非常に転位密度の小さい単結晶からなる。また、基板が窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる支持体を含むので、窒化ガリウム系半導体からなる基板を用いることなく、窒化ガリウム系半導体膜を得ることができる。さらに、窒化ガリウム系半導体膜のサイズは、実質的に上記基板のサイズと同じにできる。
本発明に係る方法は、(d)前記窒化ガリウム系半導体膜上に窒化ガリウム系半導体厚膜をHVPE法で成長する工程を更に備え、前記窒化ガリウム系半導体膜を成長する結晶成長法はHVPE法と異なることができる。この方法によれば、窒化ガリウム系半導体の成長にHVPE法を用いるので、転位密度が小さい厚膜の窒化ガリウム系半導体が得られる。
本発明に係る方法では、前記ナノコラム領域および前記窒化ガリウム系半導体膜は窒化ガリウムからなることが好ましい。この方法によれば、二元系結晶であるので、成長が容易である。
本発明に係る方法は、前記窒化ガリウム系半導体厚膜を成長した後に、前記基板を除去する工程を更に備えることができる。この方法によれば、窒化ガリウム半導体膜は基板内の支持体により支持されているので、窒化ガリウム系半導体膜の膜厚に依らず、窒化ガリウム系半導体厚膜を成長できる。基板の除去により、実質的に窒化ガリウム系半導体からなる結晶体が得られる。
本発明に係る方法は、前記窒化ガリウム系半導体膜を成長した後に、前記基板を除去する工程を更に備えることができる。この方法によれば、窒化ガリウム系半導体膜は、基板からの応力を受けることがない。
本発明に係る方法は、(e)前記窒化ガリウム半導体膜を成長した後に、前記基板を除去する工程と、(f)前記基板を除去した後に、前記窒化ガリウム系半導体膜上に窒化ガリウム系半導体厚膜をHVPE法で成長する工程とを更に備え、前記窒化ガリウム系半導体膜を成長する結晶成長法はHVPE法と異なることができる。この方法によれば、窒化ガリウム系半導体厚膜の成長では、基板からの応力を受けることがない。また、実質的に窒化ガリウム系半導体からなる結晶体が得られる。
本発明に係る方法では、前記ナノコラム領域、前記窒化ガリウム系半導体膜および前記窒化ガリウム系半導体厚膜は同一の導電型を有する窒化ガリウムからなることが好ましい。この方法によれば、非常に転位密度の小さいn型、i型またはp型の窒化ガリウム単結晶が得られる。
本発明に係る方法では、前記窒化ガリウム系半導体厚膜はInAlGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなることができる。この方法によれば、非常に転位密度の小さいGaN、InGaN、AlGaN、InAlGaNの単結晶が得られる。
本発明に係る方法では、前記ナノコラム領域および前記窒化ガリウム系半導体膜の導電型はp型である。この方法によれば、p型窒化ガリウム系半導体からなる単結晶が得られる。
本発明に係る方法では、前記基板はシリコン支持体を含むことができる。この方法によれば、入手しやすい大口径、低コストのシリコン支持体を用いて、非常に転位密度の小さい窒化ガリウム系半導体からなる単結晶が得られる。
本発明に係る方法では、前記基板はGaAs支持体を含むことが好ましい。この方法によれば、入手しやすいGaAs支持体を用いて、非常に転位密度の小さい窒化ガリウム系半導体からなる単結晶が得られる。
上記の方法により作製された生産物を窒化ガリウム系結晶成長用基板として使用できる。あるいは、この方法により作製された生産物を窒化ガリウム系基板を作製するための結晶体として使用できる。
本発明の別の側面は窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板である。この基板は、(a)窒化ガリウムからなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域と、(b)前記複数のナノコラムの一端の各々に接続されており窒化ガリウム系半導体デバイスを形成するための主面を有する窒化ガリウム半導体膜と、(c)窒化ガリウムとは異なる材料からなる支持体を含み、前記複数のナノコラムの他端を支持する支持基体とを備え、前記ナノコラム領域の窒化ガリウムの導電型は前記窒化ガリウム半導体膜の導電型と同じである。
この基板によれば、ナノコラム領域は非常に転位密度の小さい結晶からなるので、ナノコラム領域上に成長された窒化ガリウム系半導体膜もまた、非常に転位密度の小さい結晶からなる。また、ナノコラムが窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる基板を用いて形成されるので、窒化ガリウム系半導体からなる基板を用いることなく、窒化ガリウム系半導体膜を得ることができる。さらに、窒化ガリウム系半導体膜のサイズは、実質的に上記基板のサイズと同じにできる。
本発明に係る基板では、前記支持基体はシリコンおよびGaAsのいずれかからなる支持体を含むことができる。好ましくは、シリコンおよびGaAsは所望の導電性を示す。
本発明の別の側面は窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板である。この基板は、(a)窒化ガリウムからなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域と、(b)前記複数のナノコラムの一端の各々に接続されており窒化ガリウム系半導体デバイスを形成するための主面を有する窒化ガリウム半導体膜とを備え、前記ナノコラム領域の窒化ガリウムの導電型は前記窒化ガリウム半導体膜の導電型と同じである。
この基板によれば、ナノコラム領域は非常に転位密度の小さい結晶からなるので、ナノコラム領域上に成長された窒化ガリウム系半導体膜もまた、非常に転位密度の小さいn型、i型またはp型の半導体結晶からなる。また、ナノコラムが窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる基板を用いて形成されるので、窒化ガリウム系半導体からなる基板を用いることなく、窒化ガリウム系半導体膜を得ることができる。さらに、窒化ガリウム系半導体膜のサイズは、実質的に上記基板のサイズと同じにできる。また、ナノコラム領域の他端が支持基体によって支持されていないので、窒化ガリウム結晶体は支持基体から応力を受けてない。これ故に、基板の反りが小さい。
本発明に係る基板では、前記支持基体はシリコンおよびGaAs並びにサファイアのいずれかからなる支持体を含むことができる。好ましくは、シリコンおよびGaAsは所望の導電性を示す。
本発明の別の側面に係る基板では、前記ナノコラム領域および前記窒化ガリウム半導体膜の導電型はp型であることができる。この基板は、p型窒化ガリウム半導体基板として使用できる。
本発明の更なる別の側面は、窒化ガリウム系基板を形成する方法である。この方法は、(a)窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる支持体を含んでおり窒化ガリウム系半導体を成長するための基板を準備する工程と、(b)窒化ガリウム系半導体からなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域を前記基板上に形成する工程と、(c)窒化ガリウム系半導体を成長しながら、前記ナノコラム領域の前記複数のナノコラムの一端を互いに結合する工程と、(d)前記複数のナノコラムの一端を互いに結合した後に、窒化ガリウム系半導体膜を成長する工程と、(e)前記窒化ガリウム系半導体膜を成長した後に、前記基板および前記ナノコラム領域を除去して窒化ガリウム系結晶体を作製する工程と、(f)前記窒化ガリウム系結晶体から一又は複数の窒化ガリウム系半導体スライスを形成する工程とを備える。
この方法によれば、ナノコラム領域は非常に転位密度の小さい結晶からなるので、ナノコラム領域上に成長される窒化ガリウム系半導体もまた、非常に転位密度の小さい結晶からなる。また、窒化ガリウム系半導体スライスのサイズは、実質的に上記基板のサイズと同じにできる。したがって、非常に転位密度の小さいn型、i型またはp型の窒化ガリウム系半導体単結晶スライスを形成できる。
本発明の更なる別の側面は、窒化ガリウム系基板を形成する方法である。この方法は、(a)窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる支持体を含んでおり窒化ガリウム系半導体を成長するための基板を準備する工程と、(b)窒化ガリウム系半導体からなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域を前記基板上に形成する工程と、(c)窒化ガリウム系半導体を成長しながら、前記ナノコラム領域の前記複数のナノコラムの一端を互いに結合する工程と、(d)前記複数のナノコラムの一端を互いに結合した後に、窒化ガリウム系半導体膜を成長する工程と、(e)前記窒化ガリウム系半導体膜を成長した後に、前記基板を除去する工程と、(f)前記基板を除去した後に、前記窒化ガリウム系半導体膜上にHVPE法により窒化ガリウム系半導体厚膜を成長する工程と、(g)前記窒化ガリウム系半導体厚膜を成長した後に、前記ナノコラム領域を除去して窒化ガリウム系結晶体を作製する工程と、(h)前記窒化ガリウム系結晶体から一又は複数の窒化ガリウム系半導体スライスを形成する工程とを備える。
この方法によれば、ナノコラム領域は非常に転位密度の小さい結晶からなるので、ナノコラム領域上に成長される窒化ガリウム系半導体膜もまた、非常に転位密度の小さい結晶からなる。また、前記基板を除去するので、基板からの応力無しで窒化ガリウム系半導体厚膜が成長される。さらに、窒化ガリウム系半導体スライスのサイズは、実質的に上記基板のサイズと同じにできる。したがって、非常に転位密度の小さい窒化ガリウム系半導体単結晶スライスを形成できる。
本発明の更なる別の側面に係る方法では、前記ナノコラム領域、前記窒化ガリウム系半導体膜および前記窒化ガリウム系半導体厚膜は同一の導電型を有する窒化ガリウムからなることが好ましい。この方法によれば、n型、i型またはp型の窒化ガリウム単結晶が得られる。
本発明の更なる別の側面に係る方法では、前記窒化ガリウム系半導体スライスはp導電型窒化ガリウム半導体からなることが好ましい。この方法によれば、p型窒化ガリウム半導体基板のためスライスが提供される。
本発明の更なる別の側面に係る方法では、前記窒化ガリウム系半導体厚膜は、InAlGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなることができる。この方法によれば、非常に転位密度の小さいGaN、InGaN、AlGaN、InAlGaNの単結晶スライスを形成できる。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明によれば、窒化ガリウム系半導体の結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法が提供される。また、本発明によれば、窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板が提供される。さらに、本発明によれば、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法が提供される。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の窒化ガリウム結晶体を形成する方法、基板、および窒化ガリウム基板を形成する方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
(第1の実施の形態)
図1(A)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板を概略的に示す図面である。この基板11aは、ナノコラム領域13と、窒化ガリウム半導体膜15と、支持基体17とを備える。ナノコラム領域13は、窒化ガリウムからなる複数のナノコラム13aを有する。窒化ガリウム半導体膜15は、複数のナノコラム19の一端19aの各々に接続されている。窒化ガリウム半導体膜15の導電型は、ナノコラム領域13の窒化ガリウムの導電型と同じである。また、窒化ガリウム半導体膜15は主面15aを有する。主面15aは、窒化ガリウム系半導体デバイスを形成するための半導体膜を堆積するために設けられる。支持基体17は、複数のナノコラム19の他端19bを支持しており、また窒化ガリウムとは異なる材料からなる支持体21を含む。支持体21は、例えばシリコン、GaAs等からなることができる。シリコンおよびGaAsは所望の導電性を示すことが好ましい。シリコン基板は例えば(111)面からなる主面を有しており、シリコン基板を含む支持基体17は、シリコン(111)面上に設けられた薄いバッファ膜23を含み、このバッファ膜は、例えばAlN膜を含む。AlN膜はウルツアイト結晶構造を有する。また、支持体21は、例えばサファイア等からなることができる。サファイア基板は例えば(0001)面からなる主面を有しており、サファイア基板を含む支持基体17は、サファイア(0001)面上に設けられた薄いバッファ膜23を含み、このバッファ膜は、例えばGaN膜またはAlN膜を含む。GaN膜またはAlN膜は、ウルツアイト結晶構造を有する。
この基板11aによれば、ナノコラム領域13は非常に転位密度の小さい結晶からなるので、ナノコラム領域13上に成長された窒化ガリウム系半導体膜15もまた、非常に転位密度の小さい結晶からなる。また、基板17が窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる支持体21を含むので、窒化ガリウム系半導体基板を用いることなく、窒化ガリウム系半導体膜15を得ることができる。さらに、窒化ガリウム系半導体膜15のサイズは、実質的に上記支持基体17のサイズと同じにできる。
個々のナノコラム19は、基板17の主面17aに直交する軸に沿って伸びており、既に説明したように、ナノコラム19の一端19aは窒化ガリウム半導体膜15に接続されており、ナノコラム19の他端19bは支持基体17に接続されている。個々のナノコラム19は、窒化ガリウム系単結晶からなり、その成長軸は下地の基板17の面方位により規定されている。また、窒化ガリウム半導体膜15は、一体の窒化ガリウム系単結晶体へ個々のナノコラム19から遷移する領域を有する。
支持基体17の支持体21がシリコン製であるとき、支持基体17のサイズは、市場に流通しているシリコンウエハのサイズであり、例えば2インチから12インチ程度である。支持体21がGaAsからなることができる。支持基体17の支持体21がサファイア製であるとき、支持基体17のサイズは、市場に流通しているサファイア基板のサイズであり、例えば2インチから6インチ程度である。
ナノコラム領域13の厚さD1は、例えば0.5マイクロメートル以上であることが好ましい。ナノコラム領域13の厚さD1が0.5マイクロメートル以上であれば、基板用窒化ガリウム系結晶体を作製するために結晶性が改善されたナノコラムが得られるという利点がある。また、ナノコラム領域13の厚さD1は、例えば1マイクロメートル以上であることが好ましい。ナノコラム領域13の厚さD1が1マイクロメートル以上であれば、基板用窒化ガリウム系結晶体を作製するために低転位なナノコラムが得られるという利点がある。
窒化ガリウム半導体膜15の厚さD2は、例えば0.5マイクロメートル以上であることが好ましい。厚さD2が0.5マイクロメートル以上であれば、基板用窒化ガリウム系結晶体を作製するために表面平滑という利点がある。窒化ガリウム半導体膜15の厚さD2は、例えば3マイクロメートル以上であることが好ましい。厚さD2が3マイクロメートル以上であれば、基板用窒化ガリウム系結晶体を作製するために結晶性が高く導電性を付加する場合に低抵抗で横方向に電流が拡がるという利点がある。
ナノコラム領域13および窒化ガリウム系半導体膜15は同一の導電型を有する窒化ガリウムからなることが好ましい。この方法によれば、n型、i型またはp型の窒化ガリウム単結晶が得られる。
(実施例1)
(111)面を有するシリコンウエハをRCA洗浄した後に、MBEチャンバに配置する。MBEチャンバにおいて、真空排気後に、摂氏850度から摂氏950度の範囲の温度でウエハを加熱する。加熱時間は、例えば10分以上40分以下であることが好ましい。この加熱で、シリコンウエハの自然酸化膜を除去する。このシリコンウエハ上にAlNバッファ層を成長した後に、窒素リッチの条件でGaNナノコラムを作製する。この後に、Gaフラックス量を増加して個々のGaNナノコラムを結合する。結合の後に、引き続きGaN結晶を成長する。この結果、GaN膜/GaNナノコラム/バッファ層/ウエハからなる構造が得られる。この窒化ガリウムの成長の際に、GaNナノコラム、GaN膜を堆積するときにドーパントを添加しなければ、絶縁性を示す窒化ガリウムが作製される。また、ドーパントを添加すれば、導電性を示す窒化ガリウムが作製される。例えば、Mgといったp型ドーパントを添加しながらGaNを成長すればp型の窒化ガリウム基板が得られる。GaN膜の転位密度は、例えば1×10cm−2以下である。転位密度はカソードルミネッセンスにより測定された。
(第2の実施の形態)
図1(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板を概略的に示す図面である。この基板11bは、ナノコラム領域25と、窒化ガリウム半導体膜27とを備える。ナノコラム領域25は、窒化ガリウムからなる複数のナノコラム29を有する。窒化ガリウム半導体膜27は、複数のナノコラム29の一端29aの各々に接続されており、また窒化ガリウム系半導体デバイスを形成するための主面27aを有する。ナノコラム領域25の窒化ガリウムの導電型は窒化ガリウム半導体膜27の導電型と同じである。
この基板11bによれば、ナノコラム領域25は非常に転位密度の小さい結晶からなるので、ナノコラム領域25上に成長された窒化ガリウム系半導体膜27もまた、非常に転位密度の小さいn型、i型またはp型の半導体結晶からなる。また、ナノコラム29の他端29bが支持基体によって支持されていないので、窒化ガリウム結晶体は支持基体から応力を受けてない。これ故に、基板の反りが小さい。
ナノコラム29が窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる基板を用いて形成されるので、窒化ガリウム系半導体からなる基板を用いることなく、大口径の窒化ガリウム系半導体膜27を得ることができる。さらに、窒化ガリウム系半導体膜27のサイズは、実質的に上記基板のサイズと同じにできる。ナノコラム29の他端29bには、バッファ層を含むことができる。このバッファ層は例えばAlN層を含んでいてもよい。このAlN層はウルツアイト結晶構造を有する。このウルツアイト結晶構造により、個々のナノコラム29の結晶軸が規定される。
個々のナノコラム29は、窒化ガリウム半導体膜27の主面27aに直交する軸に沿って伸びており、既に説明したように、ナノコラム29の一端29aは窒化ガリウム半導体膜27に接続されており、ナノコラム29の他端29bは開放されている。個々のナノコラム29は窒化ガリウム系単結晶からなり、その成長軸は下地の成長用基板の面方位により規定されている。また、窒化ガリウム半導体膜27は、一体の窒化ガリウム系単結晶体へ個々のナノコラム29から遷移する領域を有する。
ナノコラム領域27の厚さD3は、例えば0.5マイクロメートルから1マイクロメートル程度であることが好ましい。ナノコラム領域27の厚さD3が0.5マイクロメートル以上であれば、基板用窒化ガリウム系結晶体を作製するために、結晶性が改善されたナノコラムが得られるという利点がある。また、ナノコラム領域27の厚さD3が1マイクロメートル以上であれば、基板用窒化ガリウム系結晶体を作製するために低転位なナノコラムが得られるという利点がある。
また、窒化ガリウム半導体膜27の厚さD4は、例えば0.5マイクロメートル以上であることが好ましい。厚さD4が0.5マイクロメートル以上であれば、基板用窒化ガリウム系結晶体を作製するために、多数のコラム状のナノコラム領域が接続する窒化ガリウム半導体膜27の表面に、下地(ナノコラム領域)の影響が実質的な現れない程度に平滑)になるという利点がある。窒化ガリウム半導体膜27の厚さD4は、例えば3マイクロメートル以上であることが好ましい。厚さD4が3マイクロメートル以上であれば、基板用窒化ガリウム系結晶体を作製するために結晶性が高く導電性を付加する場合に低抵抗で横方向に電流が拡がるという利点がある。
基板11bは、基板11aの支持体、例えばシリコンウエハを除去することにより得られる。シリコンウエハの除去には、ウエットエッチングを用いることができる。エッチャントとして、シリコンがエッチングされるけれども、窒化ガリウム系半導体がエッチングされない、例えばHF+HNO、等を用いることができる。窒化ガリウム系材料と異なる材料からなるウエハを除去すれば、例えばヘテロ接合(例えばシリコンと窒化アルミニウムとの接合)に起因する電位障壁、界面準位の影響が除かれる。また、この除去により、基板11bの反りは、基板11aの反りに比べて小さくなる。
以上説明したように、第1および第2の実施の形態によれば、窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板が提供される。窒化ガリウム半導体膜15、27の主面15a、27aの転位密度は低く、主面15a、27aのサイズは、ナノコラムの作製に用いられる下地基板のサイズとほぼ等しい。窒化ガリウム基板を用いることなく、窒化ガリウム系半導体デバイスのための大口径の基板が提供される。
(第3の実施の形態)
図2(A)、図2(B)及び図3は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法の主要な工程を概略的に示す図面である。
図2(A)に示されるように、窒化ガリウム系半導体を成長するための基板31を準備する。基板31は、窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる支持体33と、支持体33上に形成されたバッファ膜35とを含む。基板31は例えば以下のように準備される。支持体33を結晶成長装置37に配置する。本実施例では、結晶成長装置37としてRF−MBE装置を用いるが、これに限定されることなくHVPE等も用いることができる。支持体33としては、例えば(111)面シリコンウエハまたはGaAsウエハ、(0001)面サファイア基板等を用いることができる。支持体33上にバッファ膜35を堆積する。(111)面シリコン基板を用いる場合、バッファ膜35は例えばGaN膜またはAlN膜を含むことができる。この場合、バッファ膜35の厚さは、例えば3nm以上5nm以下であることが好ましい。(0001)面サファイア基板を用いる場合、バッファ膜35は例えばAlN膜を含むことができる。この場合、バッファ膜35の厚さは、例えば3nm以上5nm以下であることが好ましい。必要な場合には、バッファ膜の成長に先立って、支持体33の表面33aの熱クリーニングを行うことができる。
(実施例2)
AlNバッファ層の成長の一例
(1)シリコン(111)面を有する6インチウエハをRCA洗浄した後に、MBEチャンバに配置する。MBEチャンバにおいて、真空排気後に、摂氏850度から摂氏950度の範囲の温度で加熱する。加熱時間は、例えば10分以上40分以下であることが好ましい。この加熱で、シリコン6インチウエハの自然酸化膜を除去する。次いで、摂氏500度において、1〜3層のモノレイヤのアルミニウムを蒸着すると共に、RFラジカルガンを用いて活性窒素を供給して、AlNバッファ層を得る。
(2)サファイア(0001)面4インチ基板の裏面にチタン膜を蒸着する。チタン膜は、例えば200nmである。チタン膜の形成後に、サファイア基板をMBEチャンバに配置する。MBEチャンバにおいて、真空排気後に、摂氏850度から摂氏950度の範囲の温度で加熱する。その後に、摂氏500度においてRFラジカルガンから活性窒素を供給して、サファイア基板の表面を窒化する。続けて、RFラジカルガンから活性窒素を供給すると共に、Alフラックスを供給して、1〜5nmのAlN膜を形成する。
GaNバッファ層の成長の一例
サファイア(0001)面4インチ基板の裏面にチタン膜を蒸着する。チタン膜は、例えば200nmである。チタン膜の形成後に、サファイア基板をMBEチャンバに配置する。MBEチャンバにおいて、真空排気後に、摂氏850度から摂氏950度の範囲の温度で加熱する。その後に、摂氏500度においてRFラジカルガンから活性窒素を供給して、サファイア基板の表面を窒化する。続けて、摂氏500度においてRFラジカルガンから活性窒素を供給すると共に、Gaフラックスを供給して、1〜5nmのGaN膜を形成する。
図2(B)に示されるように、ナノコラム領域39を基板31上に形成する。ナノコラム領域39は、窒化ガリウム系半導体からなる複数のナノコラム41を有する。V族原料の供給モル数とIII族原料の供給モル数との比(以下「V/III」として参照する)に応じて、ナノコラムの形状が変化する。ナノコラムは窒素リッチの条件で成長される。ナノコラムは、ウルツアイト構造のバッファ膜上に形成され、バッファ膜の(0001)軸の方向に伸びる。ナノコラム領域におけるナノコラム密度は、例えばバッファ層の材料の種類、その膜厚、その成長条件に応じて変わる。ナノコラム密度は、例えば、1×10cm−2〜5×1010cm−2程度の範囲で変更可能である。窒素リッチの条件では、ガリウムの核生成やガリウムのマイグレーションが制限されるので、結晶膜の形成よりも、コラム状の結晶が成長する。
(実施例3)
GaNナノコラム成長の一例
MBE成長装置を用いる。Kセルを用いて7Nのガリウム源および7Nのアルミニウム源を提供すると共に、並びにRFラジカルガンを用いて6NのNガスを窒素源を提供する。成長温度は、摂氏750度から摂氏850度の範囲にある。ガリウム原料および活性窒素を供給する。
一例のV/III比:ナノコラム成長(平滑なGaN成長よりも窒素リッチ条件)
である。ナノコラムの歪みは緩和されており、ナノコラム領域は非常に高品質の結晶である。成長表面はファセット面を含み成長と共に転位は曲げられ、この結果、ナノコラム領域は低転位となる。ナノコラムの直径は、成長温度、成長速度、V/III比に応じて変化し、例えば30nm〜200nm程度の範囲で制御される。特に、ナノコラムの直径は、ガリウム供給量に大きく依存する。これは、ナノコラムの成長が、窒素リッチの条件の下でガリウムのマイグレーションを調整していることに因る。ナノコラム領域の厚さは、成長時間に応じて変更される。高品位のナノコラムを得るためには、この厚さが0.5マイクロメートル以上であれば、結晶性改善という技術的な利点がある。この厚さが3マイクロメートル程度であれば、低転位という技術的な利点がある。
図3に示されるように、ナノコラム領域39の複数のナノコラム41を互いに結合するように窒化ガリウム系半導体膜43を成長する。先ず、ナノコラム領域39の複数のナノコラム41を互いに結合する窒化ガリウム系半導体領域45を成長する。ナノコラム領域39の成長条件におけるガリウム供給量よりも大きいガリウム原料を供給する。ガリウム原料の増加により、ガリウムの核生成やガリウムのマイグレーションが促進される。この結果、複数のナノコラム41が互いに結合され、遷移領域45が形成される。
(実施例4)
遷移領域45を形成する。次いで、窒化ガリウム系半導体領域45上に窒化ガリウム単結晶領域47を堆積する。これにより、窒化ガリウム系半導体膜43が得られる。ナノコラム領域39の窒化ガリウム系半導体の導電型は、窒化ガリウム半導体系膜43の導電型と同じである。
この方法によれば、ナノコラム領域39は非常に転位密度の小さい結晶からなるので、ナノコラム領域39上に成長される窒化ガリウム系半導体膜43もまた、非常に転位密度の小さい結晶からなる。また、基板31が窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる支持体33を含むので、窒化ガリウム系半導体からなる基板を用いることなく、窒化ガリウム系半導体膜43を得ることができる。さらに、窒化ガリウム系半導体膜43のサイズは、実質的に上記基板31のサイズと同じにできる。これにより、基板生産物49が得られた。窒化ガリウム系基板のための基板生産物49は、基板31と、この上に成長された窒化ガリウム系領域51とを含む。
以上、主要な工程を説明したが、これらの工程により、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法が提供される。
必要な場合には、図4(A)に示されるように、基板生産物49を準備する。基板生産物49は、結晶成長装置57に置かれる。図4(B)に示されるように、基板生産物49の窒化ガリウム系半導体膜43上に窒化ガリウム系半導体厚膜53を成長することができる。この成長は、例えばHVPE法等を用いて行われる。窒化ガリウム系半導体厚膜53の導電型は、窒化ガリウム半導体系膜43及びナノコラム領域39の窒化ガリウム系半導体の導電型と同じである。これにより、基板生産物55が得られた。窒化ガリウム系基板のための基板生産物55は、基板31と、この上に成長された窒化ガリウム系領域59とを含む。
(実施例5)
厚膜の成長には、HVPE法が用いられる。6Nのガリウムソース、5Nの塩化水素ソース、6Nのアンモニアソースが用いられ、これらがHVPE成長炉に供給される。キャリアガスとしてHを用いる。この成長炉では、GaメタルにHClを供給して塩化ガリウムを生成する。この塩化ガリウムとアンモニアとが、下地の窒化ガリウム膜の表面で反応して、窒化ガリウムが堆積される。基板温度は、例えば摂氏900度から摂氏1050度である。また、成長は、常圧で行われる。成長速度は、例えば20−300マイクロメートル/hr程度であり、この成長速度によれは、4mm〜8mm程度の窒化ガリウム膜を実用的な時間で成長できる。
窒化ガリウム系半導体厚膜53はInAlGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなることができる。この方法によれば、非常に転位密度の小さいGaN、InGaN、AlGaN、InAlGaNの単結晶が得られる。
ナノコラム領域39および窒化ガリウム系半導体膜43の導電型はp型であることができる。また、窒化ガリウム系半導体厚膜53の導電型はp型であることができる。この方法によれば、p型窒化ガリウム系半導体からなる単結晶が得られる。この単結晶を用いてp型窒化ガリウム系半導体基板が提供される。
この結果、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法が提供される。また、これらの工程により、窒化ガリウム系半導体の結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法が提供される。
(第4の実施の形態)
図5(A)および図5(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法および窒化ガリウム系結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法の主要な工程を概略的に示す図面である。本実施の形態では、支持体33は、エッチングにより除去可能な材料からなる。例えば、支持体33はシリコンまたはGaAsから成る。
図5(A)に示されるように、生産物49(または59)をエッチング装置61に置く。エッチング装置61は、支持体33を選択的に除去するために用いられる。例えば、シリコンをエッチングにより除去するためには、例えばHF+HNO、等を用いることができる。
図5(B)は、エッチング装置61により支持体33が選択的に除去された生産物63を示す。生産物63は、実質的に窒化ガリウム系領域51a(59a)からなる。窒化ガリウム系領域51a(59a)はナノコラム領域39を含む。ナノコラム領域39のナノコラム41の各々では、その一端41aにバッファ層35aがエッチングされることなく残っている。必要な場合には、残ったバッファ層35aを除去する。これにより、基板生産物63が得られた。窒化ガリウム系基板のための基板生産物63は、窒化ガリウム系領域51a(59a)を含む。窒化ガリウム系領域51a(59a)は、ナノコラム領域39と、この上に成長された窒化ガリウム系半導体膜43(43、53)とを含む。
以上、主要な工程を説明したが、これらの工程により、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法が提供される。また、これらの工程により、窒化ガリウム系半導体の結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法が提供される。
(第5の実施の形態)
図6(A)および図6(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法および窒化ガリウム系結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法の主要な工程を概略的に示す図面である。本実施の形態では、支持体33は、エッチングにより除去可能な材料からなる。支持体33は、例えば、シリコンまたはGaAsから成る。
図6(A)に示されるように、基板生産物63を準備する。基板生産物63は、結晶成長装置57に置かれる。図6(B)に示されるように、基板生産物63の窒化ガリウム系半導体膜上に窒化ガリウム系半導体厚膜65を成長することができる。この成長は、例えばHVPE法等を用いて行われる。基板生産物63の窒化ガリウム系半導体51aの導電型は、窒化ガリウム系半導体厚膜63の導電型と同じである。これにより、基板生産物67が得られた。窒化ガリウム系基板のための基板生産物67は、窒化ガリウム系領域51aと、この上に成長された窒化ガリウム系半導体厚膜63とを含む。この厚膜63は、例えば実施例5と同様にして成長されることができる。
この結果、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法が提供される。また、これらの工程により、窒化ガリウム系半導体の結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法が提供される。
(第6の実施の形態)
図7(A)および図7(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法および窒化ガリウム系結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法の主要な工程を概略的に示す図面である。本実施の形態では、支持体33は、エッチングにより除去可能な材料からなる。支持体33は、例えばシリコンまたはGaAsから成る。
図7(A)に示されるように、生産物55をエッチング装置61に置く。エッチング装置61は、支持体33を選択的に除去するために用いられる。例えば、シリコンをエッチングにより除去するためには、例えばHF+HNO、等を用いることができる。
図7(B)は、エッチング装置61により支持体33が選択的に除去された生産物71を示す。生産物71は、実質的に窒化ガリウム系領域59bからなる。窒化ガリウム系領域59bはナノコラム領域39を含む。ナノコラム領域39のナノコラム41の各々では、その一端41aにバッファ層35aがエッチングされることなく残っている。必要な場合には、残ったバッファ層35aを除去する。これにより、基板生産物71が得られた。窒化ガリウム系基板のための基板生産物71は、窒化ガリウム系領域59bを含む。窒化ガリウム系領域59bは、ナノコラム領域39と、この上に成長された窒化ガリウム系半導体膜43、53とを含む。
以上、主要な工程を説明したが、これらの工程により、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法が提供される。また、これらの工程により、窒化ガリウム系半導体の結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法が提供される。
(第7の実施の形態)
図8(A)、図8(B)、図8(C)、図9(A)、図9(B)および図9(C)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法の主要な工程を示す図面である。
まず、図8(A)に示されるように、窒化ガリウム系半導体を成長するための基板75を準備する。この基板75は、窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる。また基板75は、支持体77と、支持体77上に設けられたバッファ層79とを含む。バッファ層は、支持体77上に成長される。
図8(B)に示されるように、ナノコラム領域81を基板75上に形成する。ナノコラム領域81は、窒化ガリウム系半導体からなる複数のナノコラムを有する。
図8(C)に示されるように、窒化ガリウム系半導体を成長しながら、前記ナノコラム領域81の複数のナノコラムの一端を互いに結合すると共に、複数のナノコラムの一端を互いに結合した後に窒化ガリウム系半導体膜83を成長する。
図9(A)に示されるように、窒化ガリウム系半導体膜83を成長した後に、基板77およびナノコラム領域81を除去して窒化ガリウム系結晶体85を作製する。基板77の除去は、既に説明したようにエッチングにより行われる。また、ナノコラム領域81の除去は、例えば研磨を用いることができる。
図9(B)に示されるように、窒化ガリウム系結晶体85から一又は複数の窒化ガリウム系半導体スライス87a〜87dを形成する。
図9(C)に示されるように、研磨等の必要な処理が完了すると、窒化ガリウム系半導体ウエハ89が完成される。窒化ガリウム系半導体ウエハ89は、結晶成長のための主面89aを有する。
この方法によれば、ナノコラム領域81は非常に転位密度の小さい結晶からなるので、ナノコラム領域81上に成長される窒化ガリウム系半導体膜83もまた、非常に転位密度の小さい結晶からなる。また、窒化ガリウム系半導体スライス87a〜87dのサイズは、実質的に上記基板75のサイズと同じにできる。したがって、非常に転位密度の小さいn型、i型またはp型の窒化ガリウム系半導体単結晶スライス87a〜87dを形成できる。
一変形例によれば、個々のナノコラムを結合するように窒化ガリウム系半導体を成長した後に、基板75を除去する。基板85を除去した後に、窒化ガリウム系半導体上にHVPE法により窒化ガリウム系半導体厚膜を成長する。窒化ガリウム系半導体厚膜を成長した後に、ナノコラム領域81を除去して窒化ガリウム系結晶体85を作製する。この方法によれば、ナノコラム領域81は非常に転位密度の小さい結晶からなるので、ナノコラム領域81上に成長される窒化ガリウム系半導体膜83もまた、非常に転位密度の小さい結晶からなる。また、基板75を除去するので、基板75からの応力無しで窒化ガリウム系半導体厚膜が成長される。さらに、窒化ガリウム系半導体スライス87a〜87dのサイズは、実質的に上記基板75のサイズと同じにできる。したがって、非常に転位密度の小さい窒化ガリウム系半導体単結晶スライス87a〜87dを形成できる。別の変形例では、ナノコラム領域81を除去した後に、窒化ガリウム系半導体厚膜を成長してもよい。
(実施例6)
内周刃スライサを用いて窒化ガリウム結晶体を(0001)面に平行に切断して窒化ガリウムスライスを作製する。この後に、研磨等の加工を行い、スライス表面の変質層が除去された窒化ガリウムウエハを得る。このウエハは、半導体デバイスを作製するために使用可能である。また、ウエハの反りは非常に小さい。
ナノコラム領域81、窒化ガリウム系半導体膜83は同一の導電型を有する窒化ガリウムからなることが好ましい。この方法によれば、n型、i型またはp型の窒化ガリウム単結晶体85が得られる。
窒化ガリウム系結晶体85はp導電型窒化ガリウム半導体からなることが好ましい。この方法によれば、p型窒化ガリウム半導体基板のためスライス87a〜87dが提供される。
窒化ガリウム系半導体厚膜はInAlGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなることができる。この方法によれば、非常に転位密度の小さいGaN、InGaN、AlGaN、InAlGaNの単結晶スライスを形成できる。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
図1(A)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板を概略的に示す図面である。図1(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板を概略的に示す図面である。 図2(A)および図2(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法の主要な工程を概略的に示す図面である。 図3は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法の主要な工程を概略的に示す図面である。 図4(A)および図4(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法および窒化ガリウム系半導体の結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法を示す図面である。 図5(A)および図5(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法、窒化ガリウム系結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法の主要な工程を概略的に示す図面である。 図6(A)および図6(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法、窒化ガリウム系結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法の主要な工程を概略的に示す図面である。 図7(A)および図7(B)は、窒化ガリウム系半導体デバイスのための窒化ガリウム系基板を形成する方法、窒化ガリウム系結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法の主要な工程を概略的に示す図面である。 図8(A)、図8(B)および図8(C)は、窒化ガリウム系半導体デバイス用の窒化ガリウム系基板を形成する方法の主要な工程を示す図面である。 図9(A)、図9(B)および図9(C)は、窒化ガリウム系半導体デバイス用の窒化ガリウム系基板を形成する方法の主要な工程を示す図面である。
符号の説明
11a、11b…基板、13…ナノコラム領域、15…窒化ガリウム半導体膜、17…支持基体、19…ナノコラム、21…支持体、23…バッファ膜、D1…
ナノコラム領域の厚さ、D2…窒化ガリウム半導体膜の厚さ、25…ナノコラム領域、27…窒化ガリウム半導体膜、29…ナノコラム、D3…ナノコラム領域の厚さ、D4…窒化ガリウム半導体膜の厚さ、31…基板、33…支持体、35…バッファ膜、37…結晶成長装置、39…ナノコラム領域、41…ナノコラム、43…窒化ガリウム半導体系膜、45…窒化ガリウム系半導体領域または遷移領域、47…窒化ガリウム単結晶領域、49…基板生産物、51…窒化ガリウム系領域、51a…窒化ガリウム系半導体、53…窒化ガリウム系半導体厚膜、55…基板生産物、57…結晶成長装置、59…窒化ガリウム系領域、59a…窒化ガリウム系領域、59b…窒化ガリウム系領域、61…エッチング装置、63…基板生産物、67…基板生産物、71…基板生産物、75…基板、77…支持体、79…バッファ層、81…ナノコラム領域、83…窒化ガリウム系半導体膜、85…窒化ガリウム系結晶体、87a〜87d…窒化ガリウム系半導体スライス、89…窒化ガリウム系半導体ウエハ

Claims (20)

  1. 窒化ガリウム系結晶成長用基板のための窒化ガリウム系結晶体を形成する方法であって、
    窒化ガリウム系半導体とは異なる半導体材料からなる支持体を含んでおり窒化ガリウム系半導体を成長するための基板を準備する工程と、
    窒化ガリウム系半導体からなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域を前記基板上に形成する工程と、
    前記ナノコラム領域の前記複数のナノコラムの一端を互いに結合するように窒化ガリウム系半導体膜を成長する工程と
    を備え、
    前記ナノコラム領域の窒化ガリウムの導電型は、前記窒化ガリウム半導体系膜の導電型と同じである、ことを特徴とする方法。
  2. 前記ナノコラム領域および前記窒化ガリウム系半導体膜は窒化ガリウムからなる、ことを特徴とする請求項1に記載された方法。
  3. 前記窒化ガリウム系半導体膜を成長した後に、前記基板を除去する工程を更に備える、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された方法。
  4. 前記窒化ガリウム系半導体膜上に窒化ガリウム系半導体厚膜をHVPE法で成長する工程を更に備え、
    前記窒化ガリウム系半導体膜を成長する結晶成長法はHVPE法と異なる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された方法。
  5. 前記窒化ガリウム系半導体膜上に窒化ガリウム系半導体厚膜をHVPE法で成長する工程と、
    前記窒化ガリウム系半導体厚膜を成長した後に、前記基板を除去する工程と
    を更に備え、
    前記窒化ガリウム系半導体膜を成長する結晶成長法はHVPE法と異なる、ことができる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された方法。
  6. 前記窒化ガリウム半導体膜を成長した後に、前記基板を除去する工程と、
    前記基板を除去した後に、前記窒化ガリウム系半導体膜上に窒化ガリウム系半導体厚膜をHVPE法で成長する工程と
    を更に備え、
    前記窒化ガリウム系半導体膜を成長する結晶成長法はHVPE法と異なる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された方法。
  7. 前記ナノコラム領域、前記窒化ガリウム系半導体膜および前記窒化ガリウム系半導体厚膜は同一の導電型を有する窒化ガリウムからなる、ことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載された方法。
  8. 前記窒化ガリウム系半導体厚膜はInAlGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなる、ことを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれか一項に記載された方法。
  9. 前記ナノコラム領域および前記窒化ガリウム系半導体膜の導電型はp型である、ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された方法。
  10. 前記基板はシリコン支持体を含む、ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載された方法。
  11. 前記基板はGaAsからなる支持体を含む、ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載された方法。
  12. 窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板であって、
    窒化ガリウムからなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域と、
    前記複数のナノコラムの一端の各々に接続されており窒化ガリウム系半導体デバイスを形成するための主面を有する窒化ガリウム半導体膜と
    を備え、
    前記ナノコラム領域の窒化ガリウムの導電型は前記窒化ガリウム半導体膜の導電型と同じである、ことを特徴とする基板。
  13. 窒化ガリウム系半導体デバイスのための基板であって、
    窒化ガリウムからなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域と、
    前記複数のナノコラムの一端の各々に接続されており窒化ガリウム系半導体デバイスを形成するための主面を有する窒化ガリウム半導体膜と、
    窒化ガリウムとは異なる半導体材料からなる支持体を含み、前記複数のナノコラムの他端を支持する支持基体と
    を備え、
    前記ナノコラム領域の窒化ガリウムの導電型は前記窒化ガリウム半導体膜の導電型と同じである、ことを特徴とする基板。
  14. 前記支持基体は、シリコンおよびGaAsのいずれかからなる支持体を含む、ことを特徴とする請求項13に記載された基板。
  15. 前記ナノコラム領域および前記窒化ガリウム半導体膜の導電型はp型である、ことを特徴とする請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載された基板。
  16. 窒化ガリウム系基板を形成する方法であって、
    窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる支持体を含んでおり窒化ガリウム系半導体を成長するための基板を準備する工程と、
    窒化ガリウム系半導体からなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域を前記基板上に形成する工程と、
    窒化ガリウム系半導体を成長しながら、前記ナノコラム領域の前記複数のナノコラムの一端を互いに結合する工程と、
    前記複数のナノコラムの一端を互いに結合した後に、窒化ガリウム系半導体膜を成長する工程と、
    前記窒化ガリウム系半導体膜を成長した後に、前記基板および前記ナノコラム領域を除去して窒化ガリウム系結晶体を作製する工程と、
    前記窒化ガリウム系結晶体から一又は複数の窒化ガリウム系半導体スライスを形成する工程と
    を備える、ことを特徴とする方法。
  17. 窒化ガリウム系基板を形成する方法であって、
    窒化ガリウム系半導体とは異なる材料からなる支持体を含んでおり窒化ガリウム系半導体を成長するための基板を準備する工程と、
    窒化ガリウム系半導体からなる複数のナノコラムを有するナノコラム領域を前記基板上に形成する工程と、
    窒化ガリウム系半導体を成長しながら、前記ナノコラム領域の前記複数のナノコラムの一端を互いに結合する工程と、
    前記複数のナノコラムの一端を互いに結合した後に、窒化ガリウム系半導体膜を成長する工程と、
    前記窒化ガリウム系半導体膜を成長した後に、前記基板を除去する工程と、
    前記基板を除去した後に、前記窒化ガリウム系半導体膜上にHVPE法により窒化ガリウム系半導体厚膜を成長する工程と、
    前記窒化ガリウム系半導体厚膜を成長した後に、前記ナノコラム領域を除去して窒化ガリウム系結晶体を作製する工程と、
    前記窒化ガリウム系結晶体から一又は複数の窒化ガリウム系半導体スライスを形成する工程と
    を備える、ことを特徴とする方法。
  18. 前記ナノコラム領域、前記窒化ガリウム系半導体膜および前記窒化ガリウム系半導体厚膜は同一の導電型を有する窒化ガリウムからなる、ことを特徴とする請求項16または請求項17に記載された方法。
  19. 前記窒化ガリウム系半導体厚膜は、InAlGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1)からなる、ことを特徴とする請求項16または請求項17に記載された方法。
  20. 前記窒化ガリウム系半導体スライスはp導電型窒化ガリウム半導体からなる、ことを特徴とする請求項16〜請求項19のいずれか一項に記載された方法。
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