JP2007295459A - アンテナ装置とこれを用いた電子機器 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明はアンテナ素子とトランジスタ回路とを一体としたアクティブアンテナを利用し広帯域に信号を受信することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するために第１周波数帯において、アンテナ素子３の出力インピーダンスが容量性であると共にトランジスタ回路４の入力インピーダンスが誘導性でありかつアンテナ素子３の出力インピーダンスとインダクタンス回路５を介したトランジスタ回路４の入力インピーダンスとは複素共役の関係にある。さらに、第１周波数帯より高い第２周波数帯において、アンテナ素子３の出力インピーダンスが誘導性であると共にトランジスタ回路４の入力インピーダンスが容量性でありかつアンテナ素子３の出力インピーダンスとインダクタンス回路５を介したトランジスタ回路４の入力インピーダンスとは複素共役の関係にある。
【選択図】図１

Description

本発明はアンテナ素子とトランジスタ回路とが一体化されたアンテナ装置に関するものである。

アンテナ素子とトランジスタ回路とが一体化されたアンテナ装置は、素子長が波長に対して短く、小型であっても、整合損失を抑え、広帯域に利得を確保することが可能なアンテナ装置である。以下、従来のアンテナ装置を、図２を用いて説明する。図２において、従来のアンテナ装置は、アンテナ素子１と、アンテナ素子１に直接、もしくはリードや整合回路を介して接続されたトランジスタ回路２とを有する。

なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、非特許文献１や特許文献１が知られている。
電子情報通信学会編「アンテナ工学ハンドブック」オーム社１９８０年（Ｐ４５−４６） 特開平１０−３０３６４０号公報

従来のアンテナ装置において、アンテナ素子１の素子長を短くすると、アンテナ素子１の出力インピーダンスが高い容量性となり、入力インピーダンスが容量性であるトランジスタ回路２とアンテナ素子１とを接続すると、アンテナ素子１とトランジスタ回路２との整合を取ることが困難であった。その結果、高周波数帯において、アンテナ素子１とトランジスタ回路２との整合を取ることが困難になり、このため、アンテナ装置の放射効率が低下してしまい、広帯域な放射特性を有するアンテナ装置を実現させることが困難であった。

そこで本発明は、アンテナ装置の放射特性を広帯域化させることを目的とする。

この目的を達成するために本発明のアンテナ装置は、アンテナ素子と、このアンテナ素子に接続されたトランジスタ回路と、アンテナ素子とトランジスタ回路との間にシャントに接地接続されたインダクタンス回路とを有する。そして、第１周波数帯において、アンテナ素子の出力インピーダンスが容量性であると共にトランジスタ回路の入力インピーダンスが誘導性である。さらに、第１周波数帯より高い第２周波数帯において、アンテナ素子の出力インピーダンスが誘導性であると共にトランジスタ回路の入力インピーダンスが容量性である。

上記構成により、アンテナ素子の出力インピーダンスが高い容量性を示す第１周波数帯及びアンテナ素子の出力インピーダンスが高い誘導性を示す第２周波数帯にてアンテナ素子とトランジスタ回路との良好な整合が取れる。さらに、第１周波数帯と第２周波数帯との間は、アンテナ素子の共振周波数付近であるので、アンテナ素子の放射効率が良い。その結果、アンテナ装置は、アンテナ素子の出力インピーダンスが高い容量性を示す第１周波数帯から高い誘導性を示す第２周波数帯に至るまで広帯域に渡って信号を受信することが可能となる。

（実施の形態１）
以下、本発明における実施の形態１について図１を用いて説明する。図１は、本発明の実施の形態１におけるアンテナ装置である。

図１において、本実施の形態１のアンテナ装置は、アンテナ素子３と、このアンテナ素子３に接続されたトランジスタ回路４と、アンテナ素子３とトランジスタ回路４との間にシャントに接地接続されたインダクタンス回路５とを有する。尚、このアンテナ装置が搭載された電子機器（図示せず）は、トランジスタ回路４に接続された無線回路（図示せず）を有する。

アンテナ素子３は、その出力インピーダンスが受信周波数帯域の下限域である第１周波数帯において容量性となると共に受信周波数帯域の上限域である第２周波数帯において誘導性となる素子長である。つまり、一般的に、アンテナ素子３の素子長は、第２周波数帯の信号の波長の１／４倍以上であると共に第１周波数帯の信号の波長の１／４倍以下である。尚、この時、アンテナ素子３の共振周波数は上記第１周波数帯と第２周波数帯との間である。

トランジスタ回路４は、例えばエミッタ接地型又はコレクタ接地型のトランジスタである。そして、トランジスタ回路４の入力部の等価回路はシャントに接地接続されたキャパシタンス回路で示される。さらに、インダクタンス回路５がアンテナ素子３とトランジスタ回路４との間にシャントに接地接続されているので、アンテナ素子３の出力側の等価回路は、シャントに接地接続されると共に互いに並列に接続されたキャパシタンス回路とインダクタンス回路とから構成されることになる。

上記構成において、第１周波数帯で、アンテナ素子３の出力インピーダンスを容量性とすると共にインダクタンス回路５を介したトランジスタ回路４の入力インピーダンスを誘導性としアンテナ素子３の出力インピーダンスとインダクタンス回路５を介したトランジスタ回路４の入力インピーダンスとを複素共役の関係に調整する。さらに、第１周波数帯より高い第２周波数帯で、アンテナ素子３の出力インピーダンスが誘導性とすると共にインダクタンス回路５を介したトランジスタ回路４の入力インピーダンスを容量性としアンテナ素子３の出力インピーダンスとインダクタンス回路５を介したトランジスタ回路４の入力インピーダンスとを複素共役の関係に調整する。

上記本実施の形態１におけるアンテナ装置の作用について説明する。

受信周波数帯域の下限域である第１周波数帯においては、アンテナ素子３の出力インピーダンスが容量性となると共に、インダクタンス回路５を介したトランジスタ回路４の入力インピーダンスが誘導性となり、且つ両者は互いに複素共役の関係である為、アンテナ素子３とトランジスタ回路４とが良好なインピーダンス整合を取ることができ、アンテナ装置の放射効率を向上させることができる。

そして、第１周波数帯から第２周波数帯までの周波数帯においては、アンテナ素子３とトランジスタ回路４との共役整合からは若干外れるが、アンテナ素子３自体の共振周波数に近いため、アンテナ素子３の放射効率を向上させることができる。

さらに、受信周波数帯域の上限域である第２周波数帯においては、アンテナ素子３の出力インピーダンスが誘導性となると共に、インダクタンス回路５を介したトランジスタ回路４の入力インピーダンスが容量性となり、且つ両者は互いに複素共役の関係である為、アンテナ素子３とトランジスタ回路４とが良好なインピーダンス整合を取ることができ、アンテナ装置の放射効率を向上させることができる。

上記構成により、アンテナ装置は、アンテナ素子３の出力インピーダンスが高い容量性を示す第１周波数帯から高い誘導性を示す第２周波数帯に至るまで広帯域に渡って信号を受信することが可能となる。

尚、アンテナ素子３の出力インピーダンスは、トランジスタ回路４の出力インピーダンスよりも大きいことが望ましい。これにより、アンテナ素子３の共振周波数付近における出力インピーダンスがトランジスタ回路４の入力インピーダンスに近づく為、アンテナ素子３とトランジスタ回路４との整合を取り易くすることができる。

なお、アンテナ素子３として、トランジスタ回路４に接続された給電部と、この給電部に接続された第１導体と、一方がこの第１導体に接続され他方がグランドに接続されると共に第１導体と所定距離を保って略平行に配置された第２導体とを有する構成である折り返し構造型アンテナとしても良い。このような折り返し構造型アンテナ素子の出力インピーダンスは、折り返し構造でないアンテナ素子の出力インピーダンスに比べ略４倍になる。これにより、アンテナ素子３の共振周波数付近における出力インピーダンスがトランジスタの入力インピーダンスに近づく為、アンテナ素子３とトランジスタ回路４との整合を取り易くすることができる。

なお、アンテナ素子３は、トランジスタ回路４に接続された給電部と、一端がこの給電部に接続されると共に他端が開放端である給電素子と、素子両端が開放端である無給電素子とを有する構成であっても良い。また、無給電素子の素子長と給電素子の素子長とは略等しい。これにより、第１周波数帯と第２周波数帯との間で複共振が発生し、その結果、アンテナ素子３の出力インピーダンスが高くなる。これにより、アンテナ素子３の共振周波数付近における出力インピーダンスがトランジスタ回路４の入力インピーダンスに近づく為、アンテナ素子３とトランジスタ回路４との整合を取り易くすることができる。

なお、トランジスタ回路４は電界効果トランジスタ（ＦＥＴ）であることが望ましい。電界効果トランジスタの入力インピーダンスはかなり高いため、アンテナ素子３とトランジスタ回路４との共役整合を高いインピーダンスにおいて取ることが可能となる。その結果、第１周波数帯をさらに低い周波数帯に設定すると共に第２周波数帯をさらに高い周波数帯に設定することができる為、さらにアンテナ素子の放射特性を広帯域化させることができる。

また、アンテナ素子３とトランジスタ回路４との間に、インダクタンス回路５に対し並列にシャントに接地接続されたバリスタ（図示せず）を接続することにより、静電気によるトランジスタ回路４の破壊を防ぐことができる。

また、アンテナ素子３とトランジスタ回路４との間に、インダクタンス回路５に対し並列に接続された第１ダイオード（図示せず）と、この第１ダイオードに対し並列かつ第１ダイオードと正負逆向きに接続された第２ダイオード（図示せず）を配置することによっても、静電気によるトランジスタ回路４の破壊を防ぐことができる。

本発明のアンテナ装置は、広帯域にわたって受信可能であるので、携帯電話等の電子機器用に有用である。

本発明の実施の形態１におけるアンテナ装置の回路図 従来のアンテナ装置の回路図

符号の説明

３ アンテナ素子
４ トランジスタ回路
５ インダクタンス回路

Claims (10)

1. アンテナ素子と、
   このアンテナ素子に接続されたトランジスタ回路と、
   前記アンテナ素子と前記トランジスタ回路との間にシャントに接地接続されたインダクタンス回路とを有し、
   第１周波数帯において、前記アンテナ素子の出力インピーダンスが容量性であると共に前記インダクタンス回路を介した前記トランジスタ回路の入力インピーダンスが誘導性でありかつ前記アンテナの出力インピーダンスと前記入力インピーダンスとは略複素共役の関係にあり、前記第１周波数帯より高い第２周波数帯において、前記アンテナ素子の出力インピーダンスが誘導性であると共に前記インダクタンス回路を介した前記トランジスタ回路の入力インピーダンスが容量性でありかつ前記アンテナの出力インピーダンスと前記入力インピーダンスとは略複素共役の関係にあるアンテナ装置。
2. 前記アンテナ素子の共振周波数は、前記第１周波数帯と前記第２周波数帯との間の周波数である請求項１に記載のアンテナ装置。
3. 前記アンテナ素子の素子長は、前記第２周波数帯の信号の波長の１／４倍以上であると共に前記第１周波数帯の信号の波長の１／４倍以下である請求項１に記載のアンテナ装置。
4. 前記アンテナ素子の出力インピーダンスは、前記トランジスタ回路の出力インピーダンスよりも大きい請求項１に記載のアンテナ装置。
5. 前記アンテナ素子は、前記トランジスタ回路に接続された給電部と、この給電部に接続された第１導体と、一方がこの第１導体に接続され他方がグランドに接続されると共に前記第１導体と所定距離を保って略平行に配置された第２導体とを有する構成である請求項１に記載のアンテナ装置。
6. 前記アンテナ素子は、前記トランジスタ回路に接続された給電部と、一端がこの給電部に接続されると共に他端が開放端である給電素子と、素子両端が開放端である無給電素子とを有し、前記無給電素子の素子長と前記給電素子の素子長とは略等しい請求項１に記載のアンテナ装置。
7. 前記トランジスタ回路は電界効果トランジスタから構成される回路である請求項１に記載のアンテナ装置。
8. 前記アンテナ素子と前記トランジスタ回路との間に前記インダクタンス回路に対し並列にシャントに接地接続されたバリスタを有する請求項１に記載のアンテナ装置。
9. 前記アンテナ素子と前記トランジスタ回路との間に前記インダクタンス回路に対し並列に接続された第１ダイオードと、前記第１ダイオードに対し並列かつ前記第１ダイオードと正負逆向きに接続された第２ダイオードとを有する請求項１に記載のアンテナ装置。
10. アンテナ素子と、
    このアンテナ素子に接続されたトランジスタ回路と、
    前記アンテナ素子と前記トランジスタ回路との間にシャントに接地接続されたインダクタンス回路と
    前記トランジスタ回路に接続された無線回路を有し、
    第１周波数帯において、前記アンテナ素子の出力インピーダンスが容量性であると共に前記トランジスタ回路の入力インピーダンスが誘導性でありかつ前記アンテナ素子の出力インピーダンスと前記入力インピーダンスとは略複素共役の関係にあり、
    前記第１周波数帯より高い第２周波数帯において、前記アンテナ素子の出力インピーダンスが誘導性であると共に前記トランジスタ回路の入力インピーダンスが容量性でありかつ前記アンテナ素子の出力インピーダンスと前記入力インピーダンスとは略複素共役の関係にある電子機器。

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