JP2007292673A - 測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定対象体の電気的特性を正確に算出し得る測定装置を提供する。
【解決手段】交流信号S1を生成して測定対象体21に印加する信号生成部2と、交流信号S1の印加時における測定対象体21の両端間電圧V1を検出する電圧検出部3と、交流信号S1の印加時において測定対象体21に流れる交流電流I1を検出する電流検出部4と、両端間電圧V1と交流電流I1とに基づいて測定対象体21の電気的特性(インピーダンスデータD6)を算出して出力する演算制御部9とを備えている測定装置1であって、演算制御部9は、両端間電圧V1の波形についての周波数成分およびその値を算出すると共に、算出した各周波数成分のうちの交流信号S1の周波数成分を除く他の周波数成分の値が予め設定された設定値(設定値データD3)以下のときに電気的特性を算出する。
【選択図】図1
【解決手段】交流信号S1を生成して測定対象体21に印加する信号生成部2と、交流信号S1の印加時における測定対象体21の両端間電圧V1を検出する電圧検出部3と、交流信号S1の印加時において測定対象体21に流れる交流電流I1を検出する電流検出部4と、両端間電圧V1と交流電流I1とに基づいて測定対象体21の電気的特性(インピーダンスデータD6)を算出して出力する演算制御部9とを備えている測定装置1であって、演算制御部9は、両端間電圧V1の波形についての周波数成分およびその値を算出すると共に、算出した各周波数成分のうちの交流信号S1の周波数成分を除く他の周波数成分の値が予め設定された設定値(設定値データD3)以下のときに電気的特性を算出する。
【選択図】図1
Description
本発明は、測定対象体に交流信号を印加して測定対象体の電気的特性を算出する測定装置に関するものである。
この種の測定装置として、本願出願人は、特開平6−109783号公報に開示された測定装置(LCRテスタ)を提案している。この測定装置は、測定用の正弦波交流電圧を発生して測定対象体(試料)に印加する正弦波発生回路と、測定対象体の両端間における電圧を検出する電圧検出器と、この電圧検出器で検出された両端間における電圧をディジタル変換する第1のA/Dコンバータと、測定対象体に流れる電流を検出すると共に電圧に変換して出力する電流検出器と、この電流検出器から出力される電圧をディジタル変換する第2のA/Dコンバータと、第1および第2のA/Dコンバータからのデータに基づいて測定対象体の電気的特性(諸特性)を算出する演算処理手段とを備えている。
この測定装置では、各A/Dコンバータが、測定対象体に加えた0から2πまでの測定用の正弦波交流電圧と測定対象体に流れる交流電流とをそれぞれ同一時刻にn点サンプリングして各n個のディジタル変換データ(電圧データおよび電流データ)を得る。演算処理手段は、電圧データと電流データのうちの、0からπまでの間における各n/2個のデータにおのおの乗算定数1を乗じて積算し、この積算値の平均値をそれぞれ算出して正弦波交流電圧および交流電流の各0゜成分を取得する。また、演算処理手段は、上記の電圧データと電流データのうちの、π/2から3π/2までの間(もしくは0からπ/2までの間と3π/2から2πまでの間)における各n/2個のデータにおのおの乗算定数1を乗じて積算し、その積算値の平均値をそれぞれ算出して正弦波交流電圧と交流電流の各90゜成分を取得する。
最後に、演算処理手段は、取得した正弦波交流電圧の0゜成分および交流電流の0゜成分と、正弦波交流電圧の90゜成分および交流電流の90゜成分とを基礎データとして、電圧、電流、測定対象体のインピーダンス等の絶対値や電圧と電流との位相差を算出する。さらに、測定対象体の抵抗値や、インダクタンスまたは静電容量の値、インダクタンスの良さ、静電容量の損失等の測定対象体についての電気的特性を算出する。したがって、この測定装置によれば、同期検波回路の機能はソフトウェアにて処理され、A/Dコンバータなども2つで足りるため、構成を簡素化でき、装置のコストダウンに大きく貢献することができる。
特開平6−109783号公報(第4−10頁、第1図)
ところで、上記の測定装置を使用して測定対象体の電気的特性を測定する際に、例えば、電流検出用および電圧検出用の各プローブを測定対象体に取り付けた直後や、外部ノイズが混入したときには、各プローブを介して検出される電圧や電流の波形に一時的な乱れ(チャタリング)が発生することがある。
ところが、上記の測定装置では、各プローブを介して検出される電圧や電流の波形に一時的な乱れが発生しているしていないに拘わらず、このときの各波形から取得した電圧データおよび電流データに基づいて、測定対象体の電気的特性を算出している。このため、この測定装置には、電圧や電流の波形に一時的な乱れが発生しているときには、測定対象体の本来の電気的特性を示す値とは異なった値を算出する可能性があるという解決すべき課題が存在している。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、測定対象体の電気的特性を正確に算出し得る測定装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、交流信号を生成して測定対象体に印加する信号生成部と、前記交流信号の印加時における前記測定対象体の両端間電圧を検出する電圧検出部と、前記交流信号の印加時において前記測定対象体に流れる交流電流を検出する電流検出部と、前記両端間電圧と前記交流電流とに基づいて前記測定対象体の電気的特性を算出して出力する演算部とを備えている測定装置であって、前記演算部は、前記両端間電圧および前記交流電流のうちのいずれか一方の波形についての周波数成分およびその値を算出すると共に、当該算出した各周波数成分のうちの前記交流信号の周波数成分を除く他の周波数成分の前記値が予め設定された設定値以下のときに前記電気的特性を算出する。
請求項2記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、前記他の周波数成分の前記値が前記設定値を超えているときにエラー処理を実行する制御部を備えている。
請求項1の測定装置では、演算部が、両端間電圧および交流電流のうちのいずれか一方の波形についての周波数成分およびその値を算出すると共に、算出した各周波数成分のうちの交流信号の周波数成分を除く他の周波数成分の値が予め設定された設定値以下のときに電気的特性を算出する。この場合、例えば、交流信号として正弦波の信号を用いて、両端間電圧および交流電流の波形に乱れ(チャタリング)が発生していない正常時には、両端間電圧および交流電流のうちのいずれか一方の波形もほぼ正弦波になる。この際には、演算部によって算出される交流信号の周波数成分以外の他の周波数成分の値が、予め設定された設定値以下となる。一方、両端間電圧および交流電流のうちのいずれか一方の波形に乱れが発生しているときには、他の周波数成分の値も大きくなり、かつこの値は乱れの程度に応じて大きくなる。このため、この一方の波形に許容範囲を超える乱れが発生した際における他の周波数成分の値のうちで最も大きい値を設定値として予め設定して、算出した他の周波数成分の値が設定値以下のときに電気的特性を算出することにより、許容範囲を超える乱れが発生している一方の波形に基づいて電気的特性を算出する事態を確実に回避することができる。したがって、この測定装置によれば、乱れが許容範囲内の(乱れの少ない)両端間電圧および交流電流に基づいて電気的特性を算出することができる結果、測定対象体の電気的特性を正確に算出(測定)することができる。
請求項2の測定装置によれば、他の周波数成分の値が設定値を超えているときに、制御部が例えば測定のリトライなどのエラー処理を実行することにより、乱れが許容範囲内の両端間電圧および交流電流に基づいて電気的特性を確実に算出することができるため、測定対象体の電気的特性を一層正確に算出(測定)することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る測定装置の最良の形態について説明する。
最初に、測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。なお、測定装置1の一例として、測定対象体21の電気的特性(本例ではインピーダンス)を測定するLCRメータを例に挙げて説明する。
測定装置1は、図1に示すように、信号生成部2、電圧検出部3、電流検出部4、A/D変換部5,6、操作部7、記憶部8、演算制御部9、出力部10、出力プローブ11、一対の電圧検出プローブ12,13、および入力プローブ14を備え、測定対象体21のインピーダンスを測定可能に構成されている。この場合、信号生成部2は、測定対象体21に印加する交流信号S1(周期および基本波成分の周波数f1が既知で、電圧信号であっても電流信号であってもよい。図2参照)を連続して生成する。本例では、信号生成部2は、周期Trの正弦波交流信号(周波数f1)を交流信号S1として生成して出力する。また、信号生成部2は、出力プローブ11を介して測定対象体21の一端21aに接続可能に構成されて、生成した交流信号S1を測定対象体21の一端21aに印加する。
電圧検出部3は、一例として、演算増幅器(図示せず)を備えて構成されている。また、電圧検出部3は、一対の電圧検出プローブ12,13を介して測定対象体21の一端21aおよび他端21bにそれぞれ接続可能に構成されている。また、電圧検出部3は、交流信号S1の印加時において測定対象体21の両端間に発生する電圧(以下、「両端間電圧」)V1を各電圧検出プローブ12,13を介して検出すると共に、A/D変換部5の入力定格電圧を考慮して予め規定された増幅率で両端間電圧V1を増幅して電圧信号Vvとして出力する。A/D変換部5は、この電圧信号Vvを既知のサンプリング周期(交流信号S1の周期Trに対して十分に短い周期)でサンプリングして、両端間電圧V1の電圧値(振幅値)を示す電圧データDvに変換して出力する。
電流検出部4は、一例として、演算増幅器(図示せず)を備え、入力プローブ14を介して測定対象体21の他端に接続可能に構成されている。また、電流検出部4は、交流信号S1の印加時において測定対象体21に流れる交流電流I1を入力プローブ14を介して入力(検出)して、A/D変換部6の入力定格電圧を考慮して予め規定された増幅率で電圧信号Viに変換して出力する。A/D変換部6は、電圧信号ViをA/D変換部5と同一タイミングでサンプリングして、交流電流I1の電流値(振幅値)を示す電流データDiに変換して出力する。
操作部7は、複数のスイッチ(いずれも図示せず)を備え、各スイッチに対する操作内容に応じて、両端間電圧V1および交流電流I1のうちのいずれをチャタリング(交流信号S1の波形の乱れ)有無検出用の対象信号とするかを選択するための選択データD1、対象信号について1回のFFT演算処理を実行するときに対象とする波形の期間を規定するための期間データD2、および後述するピーク値データD5と比較する設定値データD3を出力する。この場合、期間データD2としては、一例として、整数が規定されており、上記の1回のFFT演算処理を実行するときに対象とする波形の期間は、周期Trにこの整数を乗算した時間に規定される。
記憶部8は、ROMおよびRAM(いずれも図示せず)を備えて内部メモリとして構成されている。この場合、ROMには、演算制御部9の動作プログラムが予め記憶されている。一方、RAMは、演算制御部9によってワークメモリとして使用される。また、RAMは、操作部7から入力された最新の選択データD1、期間データD2および設定値データD3を演算制御部9の制御に従って更新記憶する。一例として、RAMには、初期値として、両端間電圧V1を対象信号とするデータが選択データD1として記憶され、期間データD2として数値「4」が記憶され、設定値データD3として値「−40dB」が記憶されている。ここで、この設定値データD3としては、対象信号となる両端間電圧V1の波形に許容範囲を超える乱れが発生したときにおける交流信号S1の周波数成分(基本波成分および高調波成分)を除く他の周波数成分の相対的な振幅値を規定するものであり、その両端間電圧V1の波形についての例えば交流信号S1の周波数成分のうちの最も振幅値が大きい基本波成分の振幅値と、他の周波数成分の振幅値の中で最も大きい振幅値との比(他の周波数成分における最大振幅値/交流信号S1の基本波成分の振幅値)を指数で表した相対的な値(この場合、−40dB)が設定されている(図4,5参照)。また、記憶部8には、既知である交流信号S1の周期Trおよび既知であるA/D変換部5,6のサンプリング周期から算出される回数であって、1つの周期Tr中における各A/D変換部5,6のサンプリング回数を特定可能なサンプリング回数データDsも予め記憶されている。
演算制御部9は、CPU(図示せず)を備えて構成されて、本発明における演算部および制御部として機能する。また、演算制御部9は、記憶部8に記憶されている動作プログラムに従って動作して、図3に示すインピーダンス測定処理100を実行する。このインピーダンス測定処理100では、演算制御部9は、選択データD1で指定された対象信号についての周波数成分およびその値をパワースペクトラムデータD4(以下、単にスペクトラムデータD4ともいう)として算出するスペクトラム算出処理、算出した各周波数成分のうちの所定の周波数成分の値をピーク値データD5として算出するピーク値算出処理、設定値データD3に基づくピーク値データD5に対する判別処理、測定対象体21の電気的特性(本例では一例としてインピーダンス)をインピーダンスデータD6として算出する測定処理、および算出したインピーダンスデータD6の出力処理を実行する。また、演算制御部9は、選択データD1、期間データD2および設定値データD3を操作部7から入力したときに、入力したこれらのデータD1〜D3を記憶部8に更新記憶させる記憶処理も実行する。
出力部10は、本例では、一例としてLCD(Liquid Crystal Display)を備えた表示装置で構成されている。また、出力部10は、演算制御部9によって算出された測定対象体21のインピーダンスデータD6を入力して表示する。なお、出力部10は、表示装置に限定されず、印刷装置で構成してインピーダンスデータD6の値を印刷したり、外部記憶装置で構成してインピーダンスデータD6を記憶させたり、外部インターフェース装置で構成してインピーダンスデータD6を外部装置に伝送させたりするように構成してもよい。
次に、測定装置1の動作について図1,2を参照して説明する。なお、出力プローブ11および電圧検出プローブ12が測定対象体21の一端21aに接続され、電圧検出プローブ13および入力プローブ14が他端21bに接続されているものとする。
測定装置1の測定実行状態においては、信号生成部2が、交流信号S1を連続して生成し、生成した交流信号S1を出力プローブ11を介して測定対象体21の一端21aに出力(印加)する。この交流信号S1の印加に起因して、信号生成部2、出力プローブ11、測定対象体21、入力プローブ14および電流検出部4からなる経路に交流電流I1が流れる。電流検出部4は、この交流電流I1を検出すると共に、電圧信号Viに変換して出力する。A/D変換部6は、この電圧信号Viをサンプリングして電流データDiに変換し、変換した電流データDiを演算制御部9に出力する。一方、電圧検出部3は、交流電流I1の印加に起因して測定対象体21の両端間に発生する両端間電圧V1を電圧検出プローブ12,13を介して検出すると共に、電圧信号Vvに増幅して出力する。A/D変換部5は、この電圧信号Vvをサンプリングし、変換した電圧データDvを演算制御部9に出力する。
一方、演算制御部9は、図3に示すインピーダンス測定処理100を実行して測定対象体21のインピーダンスをインピーダンスデータD6として算出して出力部10に表示させる。
具体的には、演算制御部9は、まず、スペクトラム算出処理を実行する(ステップ101)。このスペクトラム算出処理では、演算制御部9は、まず、期間データD2の示す数の周期(本例では4周期)分の電流データDiおよび電圧データDvを記憶部8に記憶させる。本例では、演算制御部9は、入力した電流データDiおよび電圧データDvのうちの少なくとも一方の個数をカウントしつつ電流データDiおよび電圧データDvを記憶部8に記憶させる記憶動作を、カウントした個数が、記憶部8から読み出したサンプリング回数データDsの値に期間データD2の数値「4」を乗算した数値(Ds・4)に達するまで繰り返すことにより、4周期分の電流データDiおよび電圧データDvを記憶部8に記憶させる。次いで、演算制御部9は、記憶部8に記憶されている4周期分の電圧データDvについてのFFT演算処理を実行することにより、選択データD1で対象信号に指定された両端間電圧V1の波形についての周波数成分およびその値をスペクトラムデータD4として算出して、記憶部8に記憶させる。これにより、最初の期間T1(図2参照)についてのスペクトラム算出処理が完了する。
次いで、演算制御部9はピーク値算出処理を実行する(ステップ102)。このピーク値算出処理では、演算制御部9は、まず、図4に示すように、交流信号S1の周波数成分(同図においてf1(基本周波数),2・f1(2倍の高調波),3・f1(3倍の高調波))以外の他の周波数成分であって最も振幅値が大きい周波数成分(同図においてf2)とその値を算出する。次いで、その周波数成分の振幅値と交流信号S1の基本周波数成分の振幅値との比を指数で表した相対的な値をピーク値データD5として算出する。次いで、演算制御部9は、算出したピーク値データD5を記憶部8に記憶させる。
続いて、演算制御部9は、判別処理を実行する(ステップ103)。この判別処理では、演算制御部9は、記憶部8に記憶されているピーク値データD5の値と設定値データD3の値とを比較する。また、演算制御部9は、この比較の結果、ピーク値データD5の値が設定値データD3の値以下のときは、両端間電圧V1の波形に乱れが発生していないか、または乱れが発生していたとしても許容範囲内の乱れであるため、両端間電圧V1の波形が正常であると判別する。他方、演算制御部9は、比較の結果、ピーク値データD5の値が設定値データD3の値を超えているときは、両端間電圧V1の波形に乱れが発生しており、かつその乱れが許容範囲を超えていると判別する。つまり、両端間電圧V1の波形が異常であると判別する。
具体的には、図2に示す期間T1のように、交流信号S1として周波数f1の基本波成分の正弦波交流信号を用いて、両端間電圧V1の波形に乱れが発生していない正常時には、各周期Trにおける両端間電圧V1の波形がほぼ正弦波となる。この際には、スペクトラムデータD4では、交流信号S1の周波数成分以外の他のすべての周波数成分の値が基本波成分の値と比較して極めて小さくなり、ピーク値データD5の値も常に設定値データD3の値以下となる。また、両端間電圧V1の波形に乱れが発生していたとしても、その乱れが許容範囲内の小さいものであるときには、図4に示すように、他の周波数成分(同図中では一例としてf2(>f1))の値が若干大きくなるものの、その値は基本波成分の値と比較して極めて小さく、ピーク値データD5の値も常に設定値データD3の値以下となる。スペクトラムデータD4がこのような状態のときには、演算制御部9は、判別処理において、両端間電圧V1の波形が正常であると判別して、ステップ104に移行する。
一方、図2に示す期間T3のように、両端間電圧V1の波形の一部が正弦波でないとき(本例では、2番目の周期Trの波形が正弦波でない状態となっている)、つまり両端間電圧V1の波形の一部に乱れが発生しているときには、交流信号S1の周波数成分を除く他の周波数成分の値が大きくなる。このため、このスペクトラムデータD4では、図5に示すように、交流信号S1の周波数成分を除く他の周波数成分(同図中では一例としてf3(>f1))の値が大きくなる。
この場合、ピーク値データD5の値は、両端間電圧V1に発生している波形の乱れが大きくなるに従って増加して、乱れが許容範囲を超えたときに、図5に示すように、基本波成分の値に次いで大きい状態となり、設定値データD3の値を超えた状態となる。両端間電圧V1の波形がこのような状態のときには、演算制御部9は、判別処理において、両端間電圧V1に許容範囲を超える乱れが発生していると判別する。つまり、演算制御部9は、両端間電圧V1の波形が異常であると判別する。このときには、この期間T3において記憶部8に記憶された電流データDiおよび電圧データDvは、許容範囲を超える乱れに相当する不要成分が含まれたデータとなっている。このため、この電流データDiおよび電圧データDvに基づいて測定対象体21のインピーダンスを算出したとしても、データの信頼性に欠けることとなる。したがって、演算制御部9は、エラー処理として、記憶部8に記憶させた期間T3についての電流データDiおよび電圧データDvを消去した後に、ステップ101に移行して、期間T3の次の期間T4において、ステップ101〜102を再度実行(リトライ)する。
本例の期間T4では、図2に示すように、両端間電圧V1の波形に乱れが発生していない。このため、演算制御部9は、この期間T4では、上記した期間T1と同様にして、判別処理において、両端間電圧V1が正常であると判別して、ステップ104に移行する。この場合、記憶部8には、乱れの発生していない(乱れが許容範囲内である)電流データDiおよび電圧データDvが記憶される。
次いで、演算制御部9は、測定処理を実行する(ステップ104)。この測定処理では、演算制御部9は、記憶部8に記憶されている電流データDiおよび電圧データDvに基づいて、測定対象体21についてのインピーダンスをインピーダンスデータD6として算出して、記憶部8に記憶させる。
続いて、演算制御部9は、出力処理を実行する(ステップ105)。この出力処理では、演算制御部9は、記憶部8に記憶されている測定対象体21のインピーダンスデータD6を出力部10に出力して表示させる。これにより、測定対象体21についてのインピーダンス測定処理100が完了する。
また、演算制御部9は、操作部7からの選択データD1、期間データD2および設定値データD3の入力を常時検出しており、これらのデータを入力したときには、記憶処理を実行して、随時、記憶部8に更新記憶させる。したがって、演算制御部9は、選択データD1が更新されて対象信号が交流電流I1となったときには、上記した各処理を両端間電圧V1の電圧データDvに代えて交流電流I1の電流データDiを用いて実行する。また、演算制御部9は、期間データD2が更新されたときには、更新された数の周期分の波形についてのスペクトラム算出処理を実行し、設定値データD3が更新されたときには、更新された設定値データD3を用いて上記判別処理を実行する。
このように、測定装置1では、演算制御部9が、両端間電圧V1および交流電流I1のうちのいずれか一方の波形についての周波数成分およびその値を算出すると共に、ピーク値データD5の値が設定値データD3の値以下のとき、つまり交流信号S1の周波数成分を除く他の周波数成分の値が設定値データD3以下のときにインピーダンスデータD6(電気的特性)を算出する。この場合、例えば、交流信号S1として正弦波交流信号を用いて、両端間電圧V1および交流電流I1の波形に乱れ(チャタリング)が発生していない正常時には、両端間電圧V1および交流電流I1のうちのいずれか一方の波形もほぼ正弦波になる。この際には、演算制御部9に算出される交流信号S1の周波数成分以外の他の周波数成分の値が設定値データD3の値以下となる。一方、両端間電圧V1および交流電流I1のうちのいずれか一方の波形に乱れが発生しているときには、他の周波数成分の値も大きくなり、かつこの値は乱れの程度に応じて大きくなる。このため、この一方の波形に許容範囲を超える乱れが発生した際における他の周波数成分の値のうちで最も大きい値に基づいて設定値データD3を予め設定して、ピーク値データD5の値が設定値データD3の値以下のときにインピーダンスを算出することにより、許容範囲を超える乱れが発生している波形(異常な波形)から検出された電圧データDvおよび電流データDiに基づいてインピーダンスを算出する事態を確実に回避することができる。したがって、この測定装置1によれば、乱れが許容範囲内の(乱れの少ない)両端間電圧V1および交流電流I1に基づいてインピーダンスを算出することができる結果、測定対象体21のインピーダンスを正確に算出(測定)することができる。
この場合、演算制御部9が、このピーク値データD5の値が設定値データD3の値以下か否かに基づいて両端間電圧V1や交流電流I1の波形に乱れが発生しているか否かを判別することにより、例えば波形に乱れが発生してはいるもののたまたまその実効値は変化していないような場合においても、他の周波数成分の値が大きくなるために、両端間電圧V1および交流電流I1の各波形の乱れの発生を確実に判別することができる。このため、例えば両端間電圧V1および交流電流I1のいずれか一方の波形についての実効値を基準値(閾値)と比較するなどの方式と比べて、両端間電圧V1や交流電流I1の波形における乱れの発生を確実に判別することができる。したがって、測定対象体21のインピーダンスを正確に算出(測定)することができる結果、測定したインピーダンスの信頼性、ひいては測定装置1の信頼性を十分に高めることができる。
また、この測定装置1によれば、ピーク値データD5の値が設定値データD3の値を超えているとき、つまり両端間電圧V1や交流電流I1の波形に乱れが発生しているときに、演算制御部9がエラー処理として、ステップ101〜102をリトライすることにより、乱れの発生していない両端間電圧V1および交流電流I1の各波形から検出された電圧データDvおよび電流データDiを常に記憶部8に記憶させることができる。したがって、測定対象体21のインピーダンスデータD6を一層正確に算出(測定)することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されない。例えば、設定値データD3として、基本波成分の振幅値と他の周波数成分の振幅値の中で最も大きい振幅値との比を指数で表した相対的な値が設定されている構成について上記したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の周波数成分の値の中で最も大きい振幅値そのものを設定値データD3として設定する構成を採用することもできる。この場合、演算制御部9は、ピーク値算出処理において、算出した他の周波数成分の振幅値の中で最も大きい振幅値そのものをピーク値データD5として算出する。この構成によれば、ピーク値データD5として上記の両振幅値の比を指数で表した値を算出する構成と比較して、ピーク値データD5を簡易に算出することができるため、両端間電圧V1や交流電流I1の波形に乱れが発生しているか否かをより簡易に判別することができる。
また、一例として、両端間電圧V1および交流電流I1のいずれか一方の波形に乱れが発生しているときのエラー処理として、演算制御部9がリトライを行う構成について上記したが、演算制御部9が「測定不可」などエラー表示を出力部10に表示させる構成を採用することもできる。また、一例としてLCRメータを例に挙げて上記したが、本発明はこれに限定されず、抵抗計やミリオーム計などの各種測定装置にも適用できるのは勿論である。
1 測定装置
2 信号生成部
3 電圧検出部
4 電流検出部
9 演算制御部
21 測定対象体
D3 設定値データ
D4 パワースペクトラムデータ
D5 ピーク値データ
D6 インピーダンスデータ
I1 交流電流
S1 交流信号
V1 両端間電圧
2 信号生成部
3 電圧検出部
4 電流検出部
9 演算制御部
21 測定対象体
D3 設定値データ
D4 パワースペクトラムデータ
D5 ピーク値データ
D6 インピーダンスデータ
I1 交流電流
S1 交流信号
V1 両端間電圧
Claims (2)
- 交流信号を生成して測定対象体に印加する信号生成部と、
前記交流信号の印加時における前記測定対象体の両端間電圧を検出する電圧検出部と、
前記交流信号の印加時において前記測定対象体に流れる交流電流を検出する電流検出部と、
前記両端間電圧と前記交流電流とに基づいて前記測定対象体の電気的特性を算出して出力する演算部とを備えている測定装置であって、
前記演算部は、前記両端間電圧および前記交流電流のうちのいずれか一方の波形についての周波数成分およびその値を算出すると共に、当該算出した各周波数成分のうちの前記交流信号の周波数成分を除く他の周波数成分の前記値が予め設定された設定値以下のときに前記電気的特性を算出する測定装置。 - 前記他の周波数成分の前記値が前記設定値を超えているときにエラー処理を実行する制御部を備えている請求項1記載の測定装置。
Priority Applications (1)
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JP2006122840A JP2007292673A (ja) | 2006-04-27 | 2006-04-27 | 測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006122840A JP2007292673A (ja) | 2006-04-27 | 2006-04-27 | 測定装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2007292673A true JP2007292673A (ja) | 2007-11-08 |
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Family Applications (1)
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JP2006122840A Pending JP2007292673A (ja) | 2006-04-27 | 2006-04-27 | 測定装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013165360A (ja) * | 2012-02-10 | 2013-08-22 | Hioki Ee Corp | 正弦波形データ生成装置、回路素子定数測定装置および正弦波形データ生成方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2000055953A (ja) * | 1998-08-04 | 2000-02-25 | Hioki Ee Corp | 回路素子の測定装置 |
JP2002196025A (ja) * | 2000-10-17 | 2002-07-10 | Toyota Motor Corp | 正弦波測定装置及び同測定方法、インピーダンス測定装置、並びに回転角検出装置 |
-
2006
- 2006-04-27 JP JP2006122840A patent/JP2007292673A/ja active Pending
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