JP2007292119A - 軸受、転動部材および転動部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストを低減することが可能な、絶縁層を有する軸受、転動部材および転動部材の製造方法を提供する。
【解決手段】軸受を構成する転動部材の形状に成形された基材としての外輪1を準備する工程と、絶縁処理工程とを備える。絶縁処理工程では、外輪1の表面の少なくとも一部に、絶縁性であって液状の高分子化合物を配置することにより、高分子化合物からなる絶縁層5を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】軸受を構成する転動部材の形状に成形された基材としての外輪1を準備する工程と、絶縁処理工程とを備える。絶縁処理工程では、外輪1の表面の少なくとも一部に、絶縁性であって液状の高分子化合物を配置することにより、高分子化合物からなる絶縁層5を形成する。
【選択図】図1
Description
この発明は、軸受、転動部材および転動部材の製造方法に関し、より特定的には、絶縁層を有する軸受、転動部材および転動部材の製造方法に関する。
従来、軸受の軌道部材と転動体と接触部に電食が発生することを防止するため、軸受の外輪や内輪に樹脂やセラミックからなる絶縁層を形成した絶縁軸受が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1では、絶縁層として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を主成分としてこれにガラス繊維を所定割合で配合した樹脂材料を用いることが開示されている。また、絶縁層の形成方法として射出成形法が示唆されている。
また、別の方策として、転動体自体を絶縁性の材料、たとえばセラミック材料などにより構成することも提案されている。
特開2004−308735号公報
上述のように、PPSを主成分として用いた樹脂材料やセラミックを用いた従来の絶縁軸受は、材料コストが高く、また、その絶縁層の製造にも射出成形や溶射などの工程を実施する必要があり、製造工程に要する時間が長くなると共に製造コストも増大するという問題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、製造コストを低減することが可能な、絶縁層を有する軸受、転動部材および転動部材の製造方法を提供することである。
この発明に従った転動部材の製造方法は、軸受を構成する転動部材の形状に成形された基材を準備する工程と、加工工程とを備える。加工工程では、基材の表面の少なくとも一部に、絶縁性であって液状の高分子化合物を配置することにより、高分子化合物からなる絶縁層を形成する。
このようにすれば、転動部材となるべき基材の表面に液状の高分子化合物を刷毛やスプレーで塗布する、あるいは基材を当該液状の高分子化合物に浸漬するといった簡単な手法により、基材表面に絶縁層を形成できる。このため、低コストで絶縁層を有する転動部材を製造することが出来る。
上記転動部材の製造方法において、加工工程は、基材の表面に液状の高分子化合物を塗布する工程を含んでいてもよい。この場合、基材の表面のうちの任意の箇所に高分子化合物を塗布することにより、基材の表面の任意の場所に絶縁層を形成できる。
上記転動部材の製造方法において、加工工程は、基材を液状の高分子化合物に浸漬する工程を含んでいてもよい。この場合、転動部材の全体を覆うような絶縁層を簡単に形成することが出来る。
この発明に従った転動部材は、上記転動部材の製造方法により製造されたものである。この場合、低コストな転動部材を得ることが出来る。
この発明に従った軸受は、軌道部材と、軌道部材に接触して配置される複数の転動体とを備える。軌道部材および転動体の少なくともいずれか一方は、上記転動部材である。この場合、絶縁層を有し、低コストで製造された転動部材を用いることにより、低コストな絶縁性を有する軸受(絶縁軸受)を実現できる。
上記軸受は、鉄道用車両に用いられることが好ましい。ここで、鉄道用車両のたとえばモータなどの電動機に組込まれる軸受として本発明の軸受を用いれば、軸受において電流が流れることを絶縁層によって防止できる。したがって、当該電流に起因して転動面において電食が発生することを確実に防止できる。そのため、低コストで軸受の耐久性が劣化することを抑制できる。
この発明によれば、軸受を構成する転動部材において低コストで絶縁層を形成できるので、転動部材および軸受の製造コストを低減することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明に従った軸受の実施の形態1を示す断面模式図である。図1を参照して、本発明に従った軸受の実施の形態1を説明する。
図1は、本発明に従った軸受の実施の形態1を示す断面模式図である。図1を参照して、本発明に従った軸受の実施の形態1を説明する。
図1に示した軸受10は、鉄道車両用車軸軸受として用いられる円筒ころ軸受であって、軌道部材としての外輪1および内輪2と、当該外輪1と内輪2との間に、保持器4により保持された複数の転動体としての円筒状のころ3と、外輪1の外周側に位置する絶縁層5とを備える。外輪1および内輪2はそれぞれ筒状の形状を有している。外輪1は、内輪2の外周側に内輪2を囲むように配置されている。外輪1の内周側にはころ3を案内するための溝が形成されている。複数のころ3は、互いに間隔を隔てた状態で保持器4により保持されている。絶縁層5は高分子化合物からなり、外輪1の外周側面を覆うように配置されている。
絶縁層5を構成する材料としては、軸受10を構成する他の材料(たとえば軸受鋼)との摩擦係数が低い高分子化合物を用いることが好ましい。このように、外輪1の外周側面上に絶縁層5を配置するので、軸受10を鉄道車両などの機器に組込んだとき、軸受10の外輪と当該機器の他の部分との間を絶縁層5により電気的に絶縁することができる。したがって、軸受10において内輪2、ころ3および外輪1を介して電流が流れることを防止できるので、ころ3と外輪1および内輪2との接触面(転走面)において電食などの発生の危険性を小さくできる。つまり、軸受の耐久性を向上させることができる。また、後述するように比較的低コストで絶縁層5を形成できるので、製造コストを低減した軸受10(絶縁軸受)を得ることが出来る。
図2は、図1に示した軸受の製造方法を説明するためのフローチャートである。図2を参照して、図1に示した軸受の製造方法を説明する。
図2に示すように、本発明に従った軸受の製造方法では、まず準備工程(S10)を実施する。準備工程(S10)では、軸受10を構成する転動部材としての外輪1の形状に成形された基材を準備する。外輪1を成形する方法としては、従来用いられていた任意の加工方法(プレス加工、切削加工、研磨加工など)を用いることができる。
次に、絶縁処理工程(S20)を実施する。この加工工程としての絶縁処理工程(S20)では、基材(ここでは外輪1の形状に成形された基材)の表面の少なくとも一部に、絶縁性であって液状の高分子化合物を配置することにより、高分子化合物からなる絶縁層5を形成する。ここでは、外輪1となるべき基材の外周側面を均等に覆うように絶縁層5を塗布する。また、ここでは高分子化合物として、たとえば製造コストを重視してポリエチレン(PE)樹脂を用いることができる。なお、ここで液状とは、樹脂などの高分子化合物が、基材の表面に塗布あるいは付着させることができる程度の粘度となっている状態を言い、一般的な液体状はもちろん、塗布可能な程度のゲル状の場合も含む。また、絶縁性の高分子化合物とは、たとえば一般的な樹脂(合成樹脂、ゴムなど)であって絶縁性を有するものであればよい。
このようにすれば、外輪1となるべき基材の表面に液状の高分子化合物を上述のように刷毛やスプレーで塗布する、あるいは基材を当該液状の高分子化合物に浸漬するといった簡単な手法により、基材表面に絶縁層5を形成できる。このため、低コストで絶縁層5を有する転動部材としての外輪1を製造することが出来る。
次に、後処理工程(S30)を実施する。この後処理工程(S30)では、上述のように塗布された液状の高分子化合物からなる絶縁層5を所定の硬度にするための固化工程を実施する。この固化工程では、使用した高分子化合物の種類に応じて任意の方法(たとえば加熱工程など)を用いることができる。この結果、図1に示した絶縁層5が形成された外輪1を得ることができる。
その後、別途準備された内輪2、ころ3、保持器4と上述した外輪1とを組立てることにより、図1に示した軸受10を得ることができる。なお、内輪2、ころ3、保持器4の製造方法としては、従来用いられていた任意の方法を用いることができる。
上記軸受の製造方法において、絶縁処理工程(S20)は、基材の表面に液状の高分子化合物を塗布している。このようにすれば、基材の表面のうちの任意の箇所(図1に示した外輪1となるべき基材の外周側面上のみ)に高分子化合物を塗布することにより、基材の表面の任意の一部分である基材の財集側面上のみに絶縁層を容易に配置できる。たとえば、軸受10が組込まれる機器において、軸受と機器のハウジングなどとの接続部が軸受10の外輪1の外周側面に限定されているような場合、当該外周側面に確実に絶縁層5を形成するとともに、軸受10の他の部分に余分な絶縁層を形成しないようにできる。
上記軸受の製造方法において、たとえば外輪1の表面全体を絶縁層5で被覆したい場合には、絶縁処理工程(S20)が、基材を液状の高分子化合物に浸漬する工程を含んでいてもよい。この場合、転動部材としての外輪1の全体を覆うような絶縁層5を簡単に形成することが出来る。そして、図2に示したような方法により製造された転動部材としての外輪1は、従来のように絶縁層を射出成形法で形成したり、転動部材自体をセラミックなどの絶縁体で形成する場合よりも低コストで製造できる。
図3は、図1に示した本発明に従った軸受の実施の形態1の第1の変形例を示す断面模式図である。図3を参照して、図1に示した本発明に従った軸受の実施の形態1の第1の変形例を説明する。
図3を参照して、軸受10は、基本的には図1に示した軸受10と同様の構造を備えるが、絶縁層5の配置が異なる。つまり、図3に示した軸受10では、絶縁層5は転動部材としての内輪2の内周側面上に配置されている。この結果、軸受10を鉄道車両などの機器に組込んだ際、内輪2と内輪2の内周側に位置する軸(車輪軸や電動機などの軸)との間を絶縁層5により電気的に絶縁することができる。したがって、図1に示した軸受10と同様に、おいて内輪2、ころ3および外輪1を介して電流が流れることを防止できるので、電食などの発生の危険性を小さくできる。
また、図3に示した絶縁層5が内周側に配置された内輪2は、図1に示した絶縁層5が配置された外輪1と同様の製造方法(図2において説明した製造方法)を用いて製造することができる。したがって、図3に示した軸受10も、図1に示した軸受と同様に比較的低コストで製造することができる。
図4は、図1に示した本発明に従った軸受の実施の形態1の第2の変形例を示す断面模式図である。図4を参照して、図1に示した本発明に従った軸受の実施の形態1の第2の変形例を説明する。
図4を参照して、軸受10は、基本的には図1に示した軸受10と同様の構造を備えるが、絶縁層5の配置が異なる。つまり、図4に示した軸受10では、絶縁層5が転動部材としてのころ3を構成するころ本体7の外周を覆うように形成されている。このようにしても、図1および図3に示した軸受10と同様の効果をえることができる。つまり、外輪1および内輪2と接触して配置される複数の転動体としてのころ3の外周を絶縁層5で覆うことにより、軸受10を鉄道車両などの機器に組込んだとき、軸受10において内輪2、ころ3および外輪1を介して電流が流れることを防止できる。したがって、軸受10において電食などの発生の危険性を小さくできる。
また、図4に示した絶縁層5がその前面を覆うように被覆されたころ3は、図1に示した絶縁層5が配置された外輪1と同様の製造方法を用いて製造することができる。なお、ころ本体7の表面に刷毛などにより液状の高分子化合物としてのPE樹脂を塗布してもよいが、ころ本体7を液状のPE樹脂へ浸漬することで、絶縁層5を形成してもよい。このようにすれば、図4に示した軸受10も、図1に示した軸受と同様に比較的低コストで製造することができる。
なお、絶縁層5を配置する場所としては、図1、図3および図4に示した位置に限られず、たとえば外輪1の内周面、内輪2の外周面(つまりころ3と接触する面)に絶縁層5を配置してもよい。また、外輪1や内輪2の表面全体を覆うように絶縁層5を配置してもよい。
また、絶縁層5を配置する場所は、1箇所に限られず、たとえば図1に示した軸受10において、図3に示すように内輪2の内周側面上にも別の絶縁層を配置してもよい。つまり、1つの軸受10において、複数箇所に絶縁層を配置してもよい。絶縁層5の配置場所としては、図1に示すような外輪1の外周側面、図3に示すような内輪2の内周側面といったように、軸受10が組込まれる機器の当該機器側の部材との接触部や、軸受10において、外輪1、内輪2、ころ3の互いに接触する部分(転走面)などが挙げられる。つまり、軸受10において外輪1からころ3を介して内輪2にかけて電流が流れる通電経路となるいずれかの部分を電気的に絶縁するように、絶縁層5を配置することが好ましい。
また、絶縁層5を構成する、絶縁性を有する高分子化合物としては、特に軸受10の外輪1、内輪2、ころ3などを構成する鋼(軸受鋼)との摩擦係数が小さい樹脂を用いることが好ましい。たとえば、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂のうちのいずれか1つを用いることができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明に従った軸受の実施の形態2を示す断面模式図である。図5を参照して、本発明に従った軸受の実施の形態2を説明する。
図5は、本発明に従った軸受の実施の形態2を示す断面模式図である。図5を参照して、本発明に従った軸受の実施の形態2を説明する。
図5を参照して、本発明に従った軸受10は、複列(2列)の円錐ころ軸受であって、たとえば油圧ショベル用車軸に用いられる軸受である。図5に示した軸受10は、軌道部材である外輪1および内輪2a、2bと、転動体である複数個の円すいころ13a、13bとを備えている。外輪1は内輪2a、2bの周囲に配置されている。円すいころ13a、13bは内輪2a、2bと外輪1の間に介在している。円錐ころ13a、13bは、内輪2a、2bの外周面に沿った方向において複数個が円周上に並ぶように配置されている。当該円周上において、円錐ころ13a、13bはその位置を決定するため保持器4a、4bにより保持されている。
外輪1は、内周面に複列の転走面14a、14bを有している。また、外輪1と内輪2a、2bとの間であって、転走面14a、14bを挟む位置にはシールリング19a、19bが設置されている。これにより、円すいころ13a、13bが保持されている空間と軸受10の外部とが遮断されている。
図5に示した軸受10では、外輪1の外周側面上に絶縁層5が配置されている。当該絶縁層5は、図1に示した軸受10における絶縁層5と同様の材料によって構成してもよいが、軸受10の使用される荷重が大きいなどの条件によって耐摩耗性を重視した場合には、絶縁層5としてアミド系樹脂により構成することが好ましい。このような構成によっても、図1に示した軸受10と同様の効果を得ることができる。
また、図5に示した軸受10は、基本的に図2に示した軸受の製造方法を用いて製造することができる。したがって、低コストで図5に示した軸受10を製造することができる。
なお、図5に示した軸受10では、外輪1の外周側面上に絶縁層5を配置したが、絶縁層5の配置は図5に示した位置に限られない。つまり、図5に示した軸受10において、絶縁層5は、内輪2a、2bの内周側面上、内輪2a、2bの外周側面上、円錐ころ13a、13bの表面、外輪1の内周側面上など、軸受10において外輪1から円錐ころ13a、13bを介して内輪2a、2bに電気が流れることを防止できれば、任意の位置に配置することができる。また、絶縁層5を構成する高分子化合物として、上述したアミド系樹脂に代えて、本発明の実施の形態1において説明した他の樹脂を用いてもよい。
(実施の形態3)
図6は、本発明に従った軸受の実施の形態3を示す断面模式図である。図6を参照して、本発明に従った軸受の実施の形態3を説明する。
図6は、本発明に従った軸受の実施の形態3を示す断面模式図である。図6を参照して、本発明に従った軸受の実施の形態3を説明する。
図6を参照して、本発明に従った軸受10は、深溝玉軸受であって、主電動機用の軸受である。図6に示した軸受10は、軌道部材としての外輪1および内輪2と、当該外輪1と内輪2との間に、保持器4により保持された複数の転動体としての玉23と、外輪1の外周側に位置する絶縁層5とを備える。外輪1および内輪2はそれぞれ筒状の形状を有している。外輪1は、内輪2の外周側に内輪2を囲むように配置されている。外輪1の内周側および内輪2の外周側には玉23を案内するため転走面24、27となる溝が形成されている。複数の玉23は、互いに間隔を隔てた状態で保持器4により保持されている。絶縁層5は高分子化合物からなり、外輪1の外周側面を覆うように配置されている。
図6に示された軸受10は、主電動機用軸受であるため、比較的高温環境において使用される。したがって、絶縁層5を構成する材料としては耐熱性を重視してたとえばPTFE樹脂を用いることが好ましい。このような構成によっても、図1に示した軸受10と同様の効果を得ることができる。
また、図6に示した軸受10は、基本的に図2に示した軸受の製造方法を用いて製造することができる。したがって、低コストで図6に示した軸受10を製造することができる。
図7は、図6に示した本発明に従った軸受の実施の形態3の変形例を示す断面模式図である。図7を参照して、本発明に従った軸受の実施の形態3の変形例を説明する。
図7を参照して、軸受10は、基本的には図6に示した軸受10と同様の構成を備えるが、絶縁層5の配置が異なる。つまり、図7に示した軸受10では、絶縁層5は玉23を構成する玉本体25の表面全体を覆うように配置されている。このような構成によっても、図6に示した軸受10と同様の効果を得ることが出来る。
なお、図7に示した軸受10の玉23は、液状のPTFE樹脂に玉本体25を浸漬または吹き付けした後、その表面にPTFE樹脂が付着した状態の玉23を磁石などを用いて磁力により非接触の状体で保持することで、絶縁層5を固化させてもよい。このようにすれば、玉23の表面の絶縁層5の厚みや状態を均一にすることができる。
なお、図6および図7に示した軸受10では、外輪1の外周側面上または玉本体25の表面に絶縁層5を配置したが、絶縁層5の配置は図6および図7に示した位置に限られない。つまり、図6に示した軸受10において、絶縁層5は、内輪2の内周側面上、内輪2の外周側面上、外輪1の内周側面上など、軸受10において外輪1から玉23を介して内輪2に電気が流れることを防止できれば、任意の位置に配置することができる。また、絶縁層5を構成する高分子化合物として、上述したPTFE樹脂に代えて、本発明の実施の形態1において説明した他の樹脂を用いてもよい。
なお、上述した実施の形態1〜3において、外輪1、内輪2、基材としてのころ本体7、基材としての玉本体25の表面において絶縁層5を配置する部分について、絶縁層5の付着性を向上させるために、表面粗度をRa(JIS B0601 に規定する算術平均粗さ)で0.05μm以上1.5μm以下、より好ましくは0.05μm以上0.7μm以下とする。
また、上述した実施の形態1〜3において、絶縁層5を形成する場合に、一度液状の高分子化合物を外輪1、内輪2、基材としてのころ本体7、基材としての玉本体25の表面に配置した後、当該液状の高分子化合物を固化することで固体の絶縁層(1層目の絶縁層)を形成し、その後、再び1層目の絶縁層上に液状の高分子化合物を配置してもよい。その後、当該液状の高分子化合物を固化する工程を行なうことにより、2層目の絶縁層を形成する。このように、液状の高分子化合物を配置する工程と、液状の高分子化合物を固化する工程とを複数回繰り返すことにより、基材表面上に複数層からなる絶縁層を形成してもよい。この場合、絶縁層の絶縁性をより高めることができる。また、絶縁層を構成する複数層の間で、異なる材質からなる層を配置してもよい。たとえば、基材と接触する層には基材表面との密着性に優れた高分子化合物を用い、絶縁層の最上層に位置する層については、たとえば耐摩耗性などに優れた高分子化合物を用いるというように、絶縁層の内部においてその層ごとにより好ましい材料を用いることができる。この結果、絶縁層5の耐久性を向上させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、液状の高分子化合物を塗布などの方法により軸受を構成する部材表面に配置することで絶縁層を形成するので、絶縁が必要とされる用途に用いられる軸受(絶縁軸受)に適用できる。また、液状の高分子化合物を用いるので、従来の方法では絶縁処理がコスト的に困難であった大型の軸受に対しても、比較的低コストで絶縁層を形成することができるため、大型の絶縁軸受を実現することができる。
1 外輪、2,2a,2b 内輪、3 ころ、4,4a,4b 保持器、5 絶縁層、7 ころ本体、10 軸受、14a,14b,24,27 転走面、19 シールリング、23 玉、25 玉本体。
Claims (6)
- 軸受を構成する転動部材の形状に成形された基材を準備する工程と、
前記基材の表面の少なくとも一部に、絶縁性であって液状の高分子化合物を配置することにより、前記高分子化合物からなる絶縁層を形成する加工工程とを備える、転動部材の製造方法。 - 前記加工工程は、前記基材の表面に前記液状の高分子化合物を塗布する工程を含む、請求項1に記載の転動部材の製造方法。
- 前記加工工程は、前記基材を前記液状の高分子化合物に浸漬する工程を含む、請求項1に記載の転動部材の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の転動部材の製造方法により製造された、転動部材。
- 軌道部材と、
前記軌道部材に接触して配置される複数の転動体とを備え、
前記軌道部材および前記転動体の少なくともいずれか一方は、請求項4に記載の転動部材である、軸受。 - 鉄道用車両に用いられる、請求項5に記載の軸受。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20090707 |