JP2007291083A - 口腔用組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
従って、本発明は、フソバクテリウム菌のう蝕原因菌や歯周病関連細菌に対する強力な共凝集抑制作用を有するとともに、フソバクテリウム属細菌を特異的に殺菌し、歯垢の形成を防止する口腔用組成物を提供することにある。
式(A)又は(C)で表される化合物とノニオン性殺菌剤を組み合せた場合のフソバクテリウム属細菌に対する殺菌効果の増強作用は、式(A)又は(C)で表される化合物の有する共凝集抑制作用とノニオン性殺菌剤の殺菌作用だけでは説明できない。なぜなら、共凝集抑制作用を有するガラクトースやラクトースと、ノニオン性殺菌剤とを組み合せた場合には、フソバクテリウム属細菌に対する殺菌効果の増強は生じないからである。従って、上記式(A)又は(C)で表される化合物とノニオン性殺菌剤を組み合せた場合の特有の効果と考えられる。
また、本発明で用いられる式(A)で表される化合物のガラクトースは、ピラノース型、フラノース型又はそれらの混合物のいずれも含まれる。mは、0〜200の整数を示すが、共凝集抑制作用の面から0〜12が好ましく、0〜3がより好ましい。ガラクトースの縮合度を示すnは、1〜30の整数であるが、起泡性の面から1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基の平均重合度xやRで表されるアルキル基の平均炭素数も同様にして算出することができる。
D−ガラクトースとラウリルアルコールを触媒量のパラトルエンスルホン酸1水和物存在下、加熱、減圧条件で脱水しながら反応させた。得られた混合物をシリカゲルカラムにより精製し、ガラクトース縮合度1〜3のラウリルガラクトシドを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、1H−NMRによる分析の結果、得られたラウリルガラクトシドのガラクトースの平均縮合度は1.48であり、成分中のラウリルモノガラクトシドの組成はピラノシド/フラノシド=83/17、そのうちピラノシドのα/β比は75/25であった。これをα,β−ラウリルガラクトシドとして後述の参考例及び実施例に用いた。
ペンタアセチル−D−ガラクトースとトリオキシエチレンモノラウリルエーテルを三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体存在下、ジクロロメタン中、室温で反応させた。溶媒を減圧下で留去した後、シリカゲルカラムで精製することによりβ−トリオキシエチレンラウリル−2,3,4,6−テトラアセチルガラクトシドを得た。これをナトリウムメトキシドにより脱アセチル化して、β−トリオキシエチレンラウリルガラクトシドを得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)0.88(t,3H),1.2−1.35(m,18H),1.57(m,2H),3.35−3.8(overlapped,13H),3.84(t,2H),3.97−4.07(overlapped,3H),4.17(d,1H),4.29(d,J=7.6Hz,1H),4.41(d,1H)。これをβ−トリオキシエチレンラウリルガラクトシド(ガラクトース縮合度は1)として後述の参考例及び実施例に用いた。
参考例1と同様にオクチルアルコールを原料として製造したα,β−オクチルガラクトシドをカラムにより精製し、α−オクチルガラクトシド及びβ−オクチルガラクトシドを得た。α体:0.78(t,3H),1.1−1.3(m,10H),1.47(m,2H),3.45−3.70(overlapped,7H),4.63(d,J=2.8Hz,1H)、β体:0.86(t,3H),1.2−1.35(m,10H),1.51(m,2H),3.25−3.75(overlapped,7H),4.09(d,J=7.6Hz,1H)。これらをそれぞれα−オクチルガラクトシド、β−オクチルガラクトシド(いずれもガラクトース縮合度は1)として後述の参考例及び実施例に用いた。
D−ガラクトースと2−エチルヘキサノールを触媒量のパラトルエンスルホン酸1水和物存在下、加熱、減圧条件で脱水しながら反応させた。反応後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて触媒を中和し、得られた混合物からろ過により未反応のD−ガラクトースを除去した。ろ液から未反応のアルコールを減圧下で留去することで2−エチルヘキシルガラクトシドを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、1HNMRによる分析の結果、得られた2−エチルヘキシルガラクトシドのガラクトースの平均縮合度は1.16であり、組成物中のモノガラクトシドの組成はピラノシド/フラノシド=40/60、そのうちピラノシドのα/β比は70/30であった。これを2−エチルヘキシルガラクトシドとして後述の参考例及び実施例に用いた。
参考例4の2−エチルヘキサノールをデカノール異性体混合物(デカノール、協和発酵ケミカル(株))に変更した以外は参考例4に従い、デシルガラクトシドを得た。得られたデシルガラクトシドのガラクトースの平均縮合度は1.15であり、組成物中のモノガラクトシドの組成はピラノシド/フラノシド=46/54、そのうちピラノシドのα/β比は67/33であった。これをα,β−デシルガラクトシドとして後述の参考例及び実施例に用いた。
参考例4の2−エチルヘキサノールをウンデカノール異性体混合物(ダイヤドール11、三菱化学(株))に変更した以外は参考例4に従い、ウンデシルガラクトシドを得た。得られたウンデシルガラクトシドのガラクトースの平均縮合度は1.16であり、組成物中のモノガラクトシドの組成はピラノシド/フラノシド=52/48、そのうちピラノシドのα/β比は71/29であった。これをα,β−ウンデシルガラクトシドとして後述の参考例及び実施例に用いた。
(1)使用菌株
フソバクテリウム属細菌としてフソバクテリウム ヌクレアタム ポリモルヒュムATCC10953株(以下Fnp菌)、フソバクテリウム ヌクレアタム フジフォームJCM11024(以下Fnf菌)、フソバクテリウム ペリオドンティカムATCC33693株(以下Fp菌)、フソバクテリウム ヴァリウムATCC8501株(以下Fv菌)、フソバクテリウム モルティフェルムATCC25557株(以下Fm菌)を用いた。共凝集反応の対細菌としては、う蝕原因菌としてストレプトコッカス ソブリナス B13株(以下Ss菌)を、歯周病関連細菌としてアクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンスJCM2434株(以下Aa菌)を用いた。
Ss菌及びAa菌は、ブレインハートインフュージョン液体培地に植菌後37℃の嫌気条件下にて24時間培養した。フソバクテリウム属細菌は、GAMブイヨン液体培地に植菌後37℃の嫌気条件下で48時間培養した。培養終了後、遠心分離にて集菌し、pH8.0の共凝集用緩衝液(1mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、0.1mM 塩化カルシウム、0.1mM 塩化マグネシウム、0.15M 塩化ナトリウム)で2回洗浄した。洗浄後、フソバクテリウム属細菌は600nmの波長における濁度(OD:UV−1600、UV-Visible spectrophotometer((株)島津製作所))が1.0になるよう、Ss菌及びAa菌は0.5になるよう共凝集用緩衝液で調整し菌懸濁液を得た。式(A)で表される化合物など試験物質は1.6%(wt/vol%)になるように共凝集用緩衝液で予め調整した。比較物質として、ラクトース、ガラクトース、スクロース、グルコース、マルトース(以上、和光純薬工業(株))、β−ラウリルマルトシド(同仁製薬(株))、C10:C14アルキルグルコシド(コグニスジャパン)を用いた共凝集試験は、丸底96穴マイクロプレート(TPP)を用い、いずれかのフソバクテリウム属細菌懸濁液100μL、Ss菌もしくはAa菌懸濁液50μL及び1.6%(wt/vol%)試験物質溶液50μLを順次混和した。室温にて一昼夜静置後、試験物質を添加していない対照群において凝集塊の生じたものを共凝集能あり(※)とし、凝集塊の生じなかったものは共凝集能なし(×)とした。共凝集抑制活性の有無は、対照群において共凝集活性の認められた組み合わせに試験物質を添加後、凝集塊の沈殿が認められなかったものについて共凝集抑制活性有り(+)、認められたものを共凝集抑制活性無し(−)とした。
表1に示すように、供試したフソバクテリウム属細菌の中で、Fnp菌、Fnf菌及びFp菌にSs菌やAa菌との共凝集能が認められ、病原菌の定着に大きな影響があるフソバクテリウム属細菌と考えられた。Fv菌やFm菌はこれらの菌に対する共凝集能が認められず、ガラクトース感受性アドヘシンを発現していないと考えられた。
Fnp菌、Fnf菌、Fp菌の共凝集能の認められたフソバクテリウム3菌株について、共凝集抑制試験を行った結果を表2〜4に示した。スクロース、グルコース、マルトース、C10:14アルキルグルコシド、β−ラウリルマルトシドでは共凝集による明確な凝集塊が認められたが、α,β−ラウリルガラクトシド、β−トリオキシエチレンラウリルガラクトシド、α−オクチルガラクトシド、β−オクチルガラクトシド、α,β−2−エチルヘキシルガラクトシド、α,β−デシルガラクトシド、α,β−ウンデシルガラクトシドはラクトースやガラクトース同様に共凝集抑制活性を有することが明らかとなった。
(1)使用菌株
参考例4と同様の菌株を用いた。
培地としては、フソバクテリウム属細菌はGAMブイヨン(日水製薬(株))で、Ss菌及びAa菌は、ブレインハートインフュージョンブロス(ベクトンディッキンソン社)を用いた。アネロコロンビアウサギ血液寒天培地にて24〜36時間培養した菌を、上記液体培地にて37℃、10%CO2,10%H2,80%N2の条件下で600nmの波長における濁度が0.5〜1程度になるよう対数増殖期後期まで培養した後、5,000rpm、5分遠心分離を行い集菌した。その後、予備嫌気した生理食塩水(大塚製薬(株))で洗浄後、コロニー形成ユニットが1×106〜1×108CFU/mLの範囲になるように希釈した。
なお、今回のMICの測定において設定した殺菌剤濃度が2倍希釈系列のため、MIC値の差が2倍以内の結果については、実験誤差の範囲内と考えられる。
α,β−ラウリルガラクトシド、β−トリオキシエチレンラウリルガラクトシド、α−オクチルガラクトシド、β−オクチルガラクトシド、α,β−2−エチルヘキシルガラクトシド、α,β−デシルガラクトシド、α,β−ウンデシルガラクトシドの各菌に対するMICは4000ppm(0.4%(wt/vol%))であり殺菌能は極めて低かった。トリクロサンの各菌に対するMICは0.5〜8ppm、ヒノキチオールは8〜32ppm、イソプロピルメチルフェノール(3−メチル−4−イソプロピルフェノールを使用)は256〜512ppmであった。今回のMICの測定において設定した殺菌剤濃度は2倍希釈系列のため、MIC値の差が2倍以内の結果については、実験誤差の範囲内と考えられる。これに、0.1%(wt/vol%)のα,β−ラウリルガラクトシド、β−トリオキシエチレンラウリルガラクトシド、α−オクチルガラクトシド、β−オクチルガラクトシド、α,β−2−エチルヘキシルガラクトシド、α,β−デシルガラクトシド、あるいは、α,β−ウンデシルガラクトシドを加えた時のFnp菌、Fnf菌、Fp菌に対するMICは1/4〜1/16となり、これらのガラクトース誘導体はノニオン性殺菌剤の殺菌効果を顕著に高めた。しかし、共凝集能を持たない、すなわちガラクトース感受性アドヘシンのないFv菌やFm菌、フソバクテリウム属以外の細菌であるSs菌、Aa菌に対してMICは変わらず、殺菌効果を高めなかった。すなわち、本発明におけるガラクトース誘導体とノニオン性殺菌剤の組み合わせは、共凝集能を有するフソバクテリウム属細菌を選択的に殺菌できることが示された。
一方、スクロース、グルコース、マルトース、C10:14アルキルグルコシド、β−ラウリルマルトシドのような共凝集抑制能の認められない化合物には殺菌力増強効果は認められなかった。さらにガラクトース及びラクトース等共凝集抑制能があるにも係わらず炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を構造中に含まない化合物とノニオン性殺菌剤との組み合せでも、フソバクテリウム属細菌に対する殺菌効果の増強作用は認められなかった。
本発明の練歯磨の処方は、以下の通りである。
ソルビトール 35 質量%
無水ケイ酸 20 質量%
濃グリセリン 5 質量%
α,β−ラウリルガラクトシド 5 質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1 質量%
歯磨き用香料 1 質量%
フッ化ナトリウム 0.2質量%
サッカリンナトリウム 0.2質量%
トリクロサン 0.03質量%
精製水 残部
計 100 質量%
本発明の練歯磨の処方は、以下の通りである。
ソルビトール 28 質量%
無水ケイ酸 20 質量%
濃グリセリン 8 質量%
エリスリトール 5 質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1 質量%
歯磨き用香料 1 質量%
α,β−ラウリルガラクトシド 0.5質量%
フッ化ナトリウム 0.2質量%
サッカリンナトリウム 0.2質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
精製水 残部
計 100 質量%
本発明の練歯磨の処方は、以下の通りである。
ソルビトール 25 質量%
無水ケイ酸 20 質量%
プロピレングリコール 6 質量%
ラクチトール 5 質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2重量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1 質量%
歯磨き用香料 1 質量%
α,β−2−エチルヘキシルガラクトシド 0.5質量%
フッ化ナトリウム 0.2質量%
サッカリンナトリウム 0.2質量%
ヒノキチオール 0.1質量%
精製水 残部
計 100 質量%
本発明の練歯磨の処方は、以下の通りである。
ソルビトール 28 質量%
ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(40)共重合体 16 質量%
無水ケイ酸 12 質量%
パラチニット 10 質量%
濃グリセリン 8 質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.5質量%
歯磨き用香料 1 質量%
α,β−ウンデシルガラクトシド 0.8質量%
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7質量%
サッカリンナトリウム 0.2質量%
トリクロサン 0.03質量%
精製水 残部
計 100 質量%
本発明の練歯磨の処方は、以下の通りである。
ソルビトール 28 質量%
無水ケイ酸 15 質量%
ポリエチレングリコール400 8 質量%
キシリトール 5 質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1 質量%
歯磨き用香料 1 質量%
α,β−デシルガラクトシド 0.1質量%
フッ化ナトリウム 0.2質量%
サッカリンナトリウム 0.2質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
精製水 残部
計 100 質量%
本発明のマウスウォッシュの処方は、以下の通りである。
エタノール 15 質量%
キシリトール 7 質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2 質量%
サッカリンナトリウム 0.5質量%
β−オクチルガラクトシド 0.2質量%
洗口剤用香料 0.2質量%
安息香酸ナトリウム 0.1質量%
トリクロサン 0.02質量%
精製水 残部
計 100 質量%
Claims (4)
- 前記ノニオン性殺菌剤がフェノール系殺菌剤、トロポロン系殺菌剤又はハロゲン化カルバニリド系殺菌剤である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
- さらに炭素数4〜12の糖アルコールを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の口腔用組成物。
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