JP5248077B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、むし歯予防や歯周病予防効果に優れるアルキルガラクトシドの液体口腔用組成物における安定配合技術に関する。
う蝕は、病原性細菌の歯面への付着、定着により発症へと向かう口腔内感染症としての一面を有する。口腔細菌の歯面への定着機構は、先ず、唾液の薄膜(ペリクル)によって覆われたエナメル質表面に、ストレプトコッカス オラリス、ストレプトコッカス サンガイス、ストレプトコッカス ゴードニィ、アクチノマイセス ナエスランディ等の初期定着細菌が吸着する。そして、これら初期定着細菌は増殖に伴って互いに共凝集(co−aggregation)を起こし、歯垢(プラーク)の形成を開始する。次いで、プラークの成熟化に伴い、微生物菌叢が通性嫌気性菌から偏性嫌気性菌へと遷移し、フソバクテリウム ヌクレアタムに代表される偏性嫌気性菌が初期定着細菌に共凝集する。そして、当該フソバクテリウム ヌクレアタムにアクチノバシルス アクノマイセテムコミタンス、ポルフィロモナス ジンジバリス、プレボテラ インターメディア等の歯周病関連細菌がさらに共凝集し、定着すると考えられている。さらに、Takemotoらは、う蝕関連細菌であるストレプトコッカス ミュータンス、ストレプトコッカス ソブリナス等もフソバクテリウム ヌクレアタムと共凝集することから、同様の定着機序を有することを示唆した(非特許文献1)。
斯かる共凝集は、細菌同士のレクチン・レセプター型相互作用、非特異的静電気的相互作用や粘着性多糖合成による付着作用、非特異性疎水的相互作用によって引き起こされるものである。プラークを形成する口腔細菌は、腸内細菌や皮膚常在細菌と異なり口腔特有の菌叢からなることから、病原性細菌の歯面への定着においては、レクチン・レセプター型相互作用が特に重要な役割を果たしていると考えられている。このレクチン・レセプター型相互作用とは、通常細菌表層結合タンパク質であるアドヘシンと他の細菌表層上のレセプター構造との立体特異的な相互作用であり、その多くは炭化水素特異的結合を呈する。
歯垢を形成する細菌の最も一般的なレクチンはラクトース感受性アドヘシンであり、ラクトース中のβ−ガラクトシドを特異的に認識する。ラクトース感受性アドヘシンは広汎な口腔細菌に存在し、アクチノマイセス属、ストレプトコッカス属、ポルフィロモナス属、プレヴォテラ属、フソバクテリウム属、ヘモフィリス属、カプノサイトファーガ属、ヴェイロネラ属、ナイセリア属、セレノモナス属などの共凝集に関与している(非特許文献2)。
そして口腔内感染症の予防手段としては、病原性細菌の歯面への定着を阻害することが有力であると考えられており、例えばガラクトースやラクトースを用いて歯垢の歯牙付着抑制効果を図ること(特許文献1)、抗菌性を有する炭素数10〜16の脂肪酸の少なくとも1種とフルクトース又はガラクトースとがエステル結合した脂肪酸糖エステルを用いること(特許文献2)等が報告されている。また、特許文献3には、アルキルガラクトシドの共凝集抑制作用について報告されている。
特公昭58−11924号公報 特開2000−159675号公報 特開2006−124384号公報 Journal of Periodontal Research、Vol.30、p252−257 Infection and Immunity,Vol.57,p3194−3203
この課題を解決すべく検討した結果、ガラクトースに炭素数6〜16のアルキル鎖を結合させたアルキルガラクトシドが、フソバクテリウム属細菌と、う蝕原因菌又は歯周病原因菌との共凝集に対して優れた抑制作用を有し、口腔用組成物に有用であることを見出した。しかしながら、炭素数10〜16のアルキル基を結合させたアルキルガラクトシドの水に対する溶解挙動は、例えばn−ドデシルガラクトシド(ガラクトースの平均縮合度が1.2)では、0.1質量%までは可溶性であるが、0.1〜40質量%の領域では白濁し、その後に分散媒である水を巻き込み層分離する。これは、デシルガラクトシド、テトラデシルガラクトシドなど直鎖型アルキルガラクトシドや分岐型アルキルガラクトシドを問わず共通して見られる現象である。この層分離により、細菌同士の凝集や定着を逆に促進する現象が生じる可能性があった。
従って、本発明は、炭素数10〜16のアルキル基を結合させたアルキルガラクトシドが、その共凝集抑制効果を損ねることなく、安定な液体口腔衛生品を提供することにある。
そこで本発明者は、炭素数10〜16のアルキル基を結合させたアルキルガラクトシドの可溶化手段及び共凝集抑制作用の両立を図るべく種々検討したところ、当該アルキルガラクトシドはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル等の一般的な非イオン界面活性剤を可溶化剤として用いた場合には共凝集抑制作用が阻害されてしまうにもかかわらず、当該アルキルガラクトシドにアルキルグルコシドを組み合せた場合には共凝集抑制作用が維持され、かつ安定に可溶化できることを見出した。
本発明は、式(A)
Figure 0005248077
(式中、R1は置換されてもよい炭素数10〜16の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、Galはガラクトース残基を示し、nは1〜10の整数を示す。)で表される化合物及び
式(B)
Figure 0005248077
(式中、R2は置換されてもよい炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、Glcはグルコース残基を示し、mは1〜30の整数を示す。)で表される化合物を含有する液体口腔用組成物を提供するものである。
また、本発明は、式(C)
Figure 0005248077
(式中、R3は置換されてもよい平均炭素数10〜16の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、Galはガラクトース残基を示し、xは1〜10の数を示す。)で表される化合物及び式(D)
Figure 0005248077
(式中、R4は置換されてもよい平均炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、Glcはグルコース残基を示し、yは1〜30の数を示す。)で表される化合物を含有する液体口腔用組成物を提供するものである。
本発明の液体口腔用組成物は、むし歯や歯周病の原因菌の共凝集抑制効果に優れ、かつ有効成分であるアルキルガラクトシドが安定に溶解しているため、むし歯や歯周病の予防効果が高い。
本発明に用いられる式(A)で表される化合物は、炭素数10〜16のアルキル基に直接1つ以上のガラクトース残基がα−配置もしくはβ−配置でグリコシド結合した化合物である。当該アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよく、具体的にはn−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、1−メチルノニル基、8−メチルノニル基等の各種デシル基;n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシル基、9−メチルデシル基等の各種ウンデシル基;n−ドデシル基、2−ブチルオクチル基、1−メチルウンデシル基、10−メチルウンデシル基等の各種ドデシル基;n−トリデシル基、1−メチルドデシル基、11−メチルドデシル基等の各種トリデシル基;n−テトラデシル基、1−メチルトリデシル基、12−メチルトリデシル基等の各種テトラデシル基;n−ペンタデシル基、1−メチルテトラデシル基、13−メチルテトラデシル基等の各種ペンタデシル基;n−ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、1−メチルペンタデシル基、14−メチルペンタデシル基等の各種ヘキサデシル基等が挙げられる。これらアルキル基のうち、香味、口腔内での滞留性、起泡性の面から、炭素数10〜14が好ましく、特に炭素数10〜14の直鎖又は分岐鎖、もしくはそれらの混合物が好ましく、直鎖ではドデシル基単独のアルキル基組成、もしくはデシル基、ドデシル基、テトラデシル基からなる混合アルキル基組成が特に好ましく、分岐鎖では分岐デシル異性体からなる混合アルキル基組成、直鎖及び分岐鎖の混合物としてはウンデシル基及び2−メチルデシル基の混合物が特に好ましい。また、アルキル基の1個以上の水素原子は、置換基で置換されてもよく、当該置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ニトロ基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のハロアルコキシ基が挙げられる。
また、本発明で用いられる式(A)で表される化合物のガラクトースは、ピラノース型、フラノース型又はそれらの混合物のいずれも含まれる。ガラクトースの縮合度を示すnは、1〜10の整数であるが、共凝集抑制作用、製造コストの面から1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、本発明で用いられるアルキルガラクトシドは、ガラクトースの縮合度が異なる2種類以上の化合物を含む混合物であってもよい。かかる混合物である式(C)において、Rの置換されてもよいアルキル基は平均炭素数10〜16のアルキル基であるが、香味、口腔内での滞留性、起泡性の面から平均炭素数10〜14が好ましい。ガラクトースの平均縮合度xは1〜10の数であるが、共凝集抑制作用、起泡性の面から1〜6の数が好ましく、1〜3の数がより好ましい。尚、ガラクトースの平均縮合度xは、ゲル浸透クロマトグラフィーなどの分析法から得られる各縮合度の成分の組成比をもとに算出することができる。例えば、ガラクトースの縮合度1〜zのアルキルガラクトシド混合物の場合、縮合度zのガラクトシドのモル比がaz(a1+a2+a3+・・・+az=1)であるとすると、ガラクトースの平均縮合度はx=a1×1+a2×2+・・・+az×z=Σ(az×z)で表される。
式(A)及び(C)で表される化合物は、堀らの方法(薬学雑誌,Vol.79,No.1,p80−83)や後述する参考例により製造することができる。
式(A)及び(C)で表される化合物は、常在菌であるフソバクテリウム属細菌と、う蝕原因菌や歯周病関連細菌との共凝集を強力に抑制する。ここで、フソバクテリウム属細菌としては、フソバクテリウム ヌクレアタム、フソバクテリウム ルージー等が挙げられる。また、う蝕原因菌としては、ストレプトコッカス ミュータンス、ストレプトコッカス ソブリナス等が挙げられる。歯周病関連菌としては、アクチノバチルス アクチノミセテムコミタンス、ポルフィロモナス ジンジバリス、プリヴォテラ インターメディア等が挙げられる。
式(A)又は(C)で表される化合物の本発明の液体口腔用組成物全体中の含有量は、含有量が少なすぎる場合は目標とする共凝集抑制効果が得られず、多すぎる場合は独特の不快な味が残り使用感を大幅に減じるため、0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.02〜10質量%、さらに好ましくは0.05〜5質量%である。
本発明に用いられる式(B)で表される化合物は、炭素数6〜16のアルキル基に1つ以上のグルコース残基がα−配置もしくはβ−配置でエーテル結合した化合物である。当該アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよく、具体的にはn−ヘキシル基;n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基等の各種ヘプチル基;n−オクチル基、1,1,2−トリメチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,2−ジメチルヘキシル基、1―メチルヘプチル基、5―メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基等の各種オクチル基;n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、8―メチルオクチル基等の各種ノニル基;n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、1−メチルノニル基、8−メチルノニル基等の各種デシル基;n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシル基、9−メチルデシル基等の各種ウンデシル基;n−ドデシル基、2−ブチルオクチル基、1−メチルウンデシル基、10−メチルウンデシル基等の各種ドデシル基;n−トリデシル基、1−メチルドデシル基、11−メチルドデシル基等の各種トリデシル基;n−テトラデシル基、1−メチルトリデシル基、12−メチルトリデシル基等の各種テトラデシル基;n−ペンタデシル基、1−メチルテトラデシル基、13−メチルテトラデシル基等の各種ペンタデシル基;n−ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、1−メチルペンタデシル基、14−メチルペンタデシル基等の各種ヘキサデシル基等が挙げられる。香味、口腔内での滞留性、起泡性の面から、炭素数8〜14が好ましく、特に炭素数10〜14の直鎖又は分岐もしくは直鎖及び分岐の混合物が好ましく、直鎖ではドデシル基単独のアルキル基組成、もしくはデシル基、ドデシル基、テトラデシル基からなる混合アルキル基組成が特に好ましく、分岐では2−エチルヘキシル基単独のアルキル基組成、もしくは分岐デシル異性体からなる混合アルキル基組成、直鎖及び分岐の混合物としてはウンデシル基及び2−メチルデシル基の混合物が特に好ましい。式(B)の化合物におけるグルコースの縮合度mは1〜30の整数であるが、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましい。なお、ここでグルコースの平均縮合度は、前記ガラクトースの縮合度と同様にして求められる。
また、本発明で用いられるアルキルグルコシドは、2種類以上の化合物を含む混合物であってもよい。かかる混合物である式(D)において、Rの置換されてもよいアルキル基は平均炭素数6〜16のアルキル基であるが、香味、口腔内での滞留性、起泡性、アルキルガラクトシドの可溶化能の面から平均炭素数10〜14が好ましい。グルコースの平均縮合度yは1〜30の数であるが、起泡性、アルキルガラクトシドの可溶化能の面から1〜10の数が好ましく、1〜3の数がより好ましい。尚、グルコースの平均縮合度yは、ゲル浸透クロマトグラフィーなどの分析法から得られる各縮合度の成分の組成比をもとに算出することができる。例えば、グルコースの縮合度1〜zのアルキルグルコシド混合物の場合、縮合度zのグルコシドのモル比がaz(a1+a2+a3+・・・+az=1)であるとすると、グルコシドの平均縮合度はy=a1×1+a2×2+・・・+az×z=Σ(az×z)で表される。
式(B)又は式(D)で表される化合物は、公知の方法により製造することができる。例えば、アセトハロゲン化糖とアルコールとを酸スカベンジャー存在下で反応させるケーニッヒ−クノール(Koenigs-Knorr)法、アルドース類とアルコールとを塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の触媒存在下で反応させるフィッシャー(Fischer)によるアルコーリシス法あるいはその改良法等が採用されている。これらの方法で製造されたアルキルグルコシドは、例えばコグニスジャパン社からPlantacareなどの商品名で市販されている。
式(A)又は式(C)で表される化合物の、式(B)又は式(D)で表される化合物に対する含有量比は、式(A)で表される化合物の共凝集抑制効果及び安定性の点から10:1〜1:20の範囲、さらに5:1〜1:10の範囲、特に2:1〜1:4の範囲が好ましい。
また、本発明者の検討によれば、炭素数4〜12の糖アルコールは、フソバクテリウム属細菌とう蝕原因菌との結合を遅延させる作用を有し、かつ口腔内で酸を生成しない。すなわち、これらの糖アルコールを併用することにより、本発明の共凝集抑制剤としての効果を向上させることができる。従って、本発明の液体口腔用組成物は、共凝集抑制効果の面から、さらに炭素数4〜12の糖アルコールを含有することが好ましい。炭素数4〜12の糖アルコールとしては、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、パラチニット、ラクチトール等を挙げることができる。炭素数4〜12の糖アルコールの本発明の液体口腔用組成物全体中の含有量は4〜60質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50質量%である。
式(A)又は(C)で表される化合物、式(B)又は(D)で表される化合物、及び炭素数4〜12の糖アルコールの併用は香味の面からも有用である。炭素数4〜12の糖アルコールは、化合物(A)又は(C)1質量部に対して1〜500質量部含有することが好ましく、特に10〜200質量部含有することが好ましい。
本発明の液体口腔用組成物には、前記成分のほか、その形態に応じて種々の成分を配合することができる。配合可能な成分として、例えば湿潤剤、粘結剤、歯質強化剤、殺菌剤、pH調整剤、酵素類、抗炎症剤、血行促進剤、甘味剤、防腐剤、着色剤、色素類、香料等を適宜使用することができる。また、本発明の効果を損なわない限り、式(A)〜(C)で表される化合物以外の界面活性剤を配合することもできる。
本発明の液体口腔用組成物は、式(A)又は(C)及び式(B)又は(D)で表される化合物を配合し、常法により製造することができ、液状歯磨、洗口液、マウスウォッシュ等の液状洗浄剤、うがい剤等の形態とすることができる。
参考例1 α,β−ドデシルガラクトシドの製造
D−ガラクトースとラウリルアルコールを触媒量のパラトルエンスルホン酸1水和物存在下、加熱、減圧条件で脱水しながら反応させた。得られた混合物をシリカゲルカラムにより精製し、ガラクトース縮合度1〜3のドデシルガラクトシドを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、1H−NMRによる分析の結果、得られたドデシルガラクトシドのガラクトースの平均縮合度は1.17であり、成分中のドデシルモノガラクトシドの組成はピラノシド/フラノシド=83/17、そのうちピラノシドのα/β比は72/28であった。これをα,β−ドデシルガラクトシド(以下、C12Galとする)として後述の実施例及び実施例の試験物質に用いた。
参考例2 α,β−テトラデシルガラクトシドの製造
D−ガラクトースとミリスチルアルコールを触媒量のパラトルエンスルホン酸1水和物存在下、加熱、減圧条件で脱水しながら反応させた。得られた混合物をシリカゲルカラムにより精製し、ガラクトース縮合度1〜3のテトラデシルガラクトシドを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、1H−NMRによる分析の結果、得られたテトラデシルガラクトシドのガラクトースの平均縮合度は1.27であり、成分中のテトラデシルモノガラクトシドの組成はピラノシド/フラノシド=62/38、そのうちピラノシドのα/β比は65/35であった。これをα,β−テトラデシルガラクトシド(以下、C14Galとする)として後述の実施例及び実施例の試験物質に用いた。
参考例3 α,β−C10:14−アルキルガラクトシドの製造
D−ガラクトースとカルコール1260(花王(株))を触媒量のパラトルエンスルホン酸1水和物存在下、加熱、減圧条件で脱水しながら反応させた。カルコール1260の、デシルアルコール/ラウリルアルコール/ミリスチルアルコールの割合は約60/30/10の割合であった。得られた混合物をシリカゲルカラムにより精製し、ガラクトース縮合度1〜3のアルキルガラクトシドを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、1H−NMRによる分析の結果、得られたアルキルガラクトシドのガラクトースの平均縮合度は1.30であった。これをα,β−C10:14−アルキルガラクトシド(以下、C10:14Galとする)として後述の実施例及び実施例の試験物質として用いた。
参考例4 α,β−デシルガラクトシドの製造
D−ガラクトースとデカノール異性体混合物(デカノール、協和発酵ケミカル(株))を触媒量のパラトルエンスルホン酸1水和物存在下、加熱、減圧条件で脱水しながら反応させた。反応後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて触媒を中和し、得られた混合物からろ過により未反応のD−ガラクトースを除去した。ろ液から未反応のアルコールを減圧下で留去することでα,β−デシルガラクトシドを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、1HNMRによる分析の結果、得られたデシルガラクトシドのガラクトースの平均縮合度は1.15であり、組成物中のモノガラクトシドの組成はピラノシド/フラノシド=46/54、そのうちピラノシドのα/β比は67/33であった。これをα,β−デシルガラクトシド(以下、C10Galとする)として後述の実験例及び実施例の試験物質として用いた。
参考例5 α,β−ウンデシルガラクトシドの製造
参考例4のデカノール異性体混合物をウンデカノール異性体混合物(ダイヤドール11、三菱化学(株))に変更した以外は参考例4に従い、ウンデシルガラクトシドを得た。得られたウンデシルガラクトシドのガラクトースの平均縮合度は1.16であり、組成物中のモノガラクトシドの組成はピラノシド/フラノシド=52/48、そのうちピラノシドのα/β比は71/29であった。これをα,β−ウンデシルガラクトシド(以下、C11Galとする)として後述の実験例及び実施例の試験物質として用いた。
実施例1(アルキルガラクトシドの溶解性に及ぼすアルキルグルコシドの効果)
アルキルグルコシドとしては、デシルグルコシド(マイドール10、花王(株))、ドデシルグルコシド(マイドール12、花王(株))、ドデシルマルトシド(同仁化学(株))、C12:16アルキルグルコシド(Plantacare1200UP、コグニスジャパン社)を用いた。アルキルガラクトシドとしては、参考例1、2、4、5の製法で合成した、各種アルキルグルコシド(α,β−ドデシルガラクトシド=C12Gal、α,β−テトラデシルガラクトシド=C14Gal、α,β−デシルガラクトシド=C10Gal、α,β−ウンデシルガラクトシド=C11Gal)を1質量%濃度になるように蒸留水に懸濁した後、所定の2倍濃度に調整したアルキルグルコシド溶液を等量添加・攪拌した。600nmの波長における光透過度(T%)をアルキルガラクトシドの可溶化度合の指標とした。光透過度は、UV−1600、UV-Visible spectrophotometer((株)島津製作所)を用いて測定した。
(2)結果
図1〜4に示したように、アルキルグルコシドの添加によりアルキルガラクトシドが水溶液中で溶解し、光の透過率が顕著に増大することがわかる。
実施例2(共凝集抑制効果)
(1)使用菌株
フソバクテリウム属細菌としてフソバクテリウム ヌクレアタム ポリモルヒュムATCC10953株(以下Fnp菌)を用いた。共凝集反応の対細菌としては、う蝕原因菌としてストレプトコッカス ソブリナス B13株(以下Ss菌)を、歯周病関連細菌としてアクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンスJCM2434株(以下Aa菌)を用いた。
(2)共凝集測定法
Ss菌及びAa菌は、ブレインハートインフュージョン液体培地に植菌後37℃の嫌気条件下にて24時間培養した。Fnp菌は、GAMブイヨン液体培地に植菌後37℃の嫌気条件下で48時間培養した。培養終了後、遠心分離にて集菌し、共凝集用緩衝液(1mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、0.1mM 塩化カルシウム、0.1mM 塩化マグネシウム、0.15M 塩化ナトリウム)で2回洗浄した。洗浄後、Fnp菌は600nmの波長における濁度(OD:UV-1600、UV-Visible spectrophotometer((株)島津製作所))が1.0になるよう、Ss菌及びAa菌は0.5になるよう共凝集用緩衝液で調整し菌懸濁液を得た。式(A)で表される化合物など試験物質は1.6%(wt/vol%)になるように共凝集用緩衝液で予め調整した。アルキルガラクトシドは参考例1〜5で示した製法で合成したC12Gal、C14Gal、C10:14−Gal、C10Gal、C11Galを用いた。アルキルグルコシドは実施例1と同様のものを用いた。アルキルグルコシド以外の可溶化剤として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エマノーンCH40、花王(株))、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル(レオドールTW−L120、花王(株))、ポリオキシエチレン(150)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プルロニックF68、旭電化(株))を比較例として用いた。共凝集試験は、丸底96穴マイクロプレート(TPP社)を用い、いずれかのフソバクテリウム属細菌懸濁液100μL、Ss菌もしくはAa菌懸濁液50μL及び1.6%(wt/vol%)試験物質溶液50μLを順次混和した。共凝集抑制活性の有無は、対照群において共凝集活性の認められた組み合わせに試験物質を添加後、室温にて一昼夜静置後、凝集塊の沈殿が全く認められなかったものについて共凝集抑制活性に影響なし(表中記号は++)、ごく僅かに認められたものを共凝集活性にほとんど影響なし(+)、凝集塊の沈殿が認められたものを共凝集抑制活性阻害(−)とした。
Figure 0005248077
Figure 0005248077
Figure 0005248077
Figure 0005248077
(3)結果
表1〜4に示すように、アルキルガラクトシド類に、デシルグルコシド、ドデシルグルコシド、ドデシルマルトシド、C12:16アルキルグルコシドを添加したときは、共凝集による明確な凝集塊は認められず、この組み合わせにおいて共凝集抑制活性を維持したままであった。しかし、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体を用いて、アルキルガラクトシドを溶解させたときには、共凝集による明確な凝集塊が認められ、これら乳化剤はアルキルガラクトシドの共凝集抑制作用を阻害することが明らかであった。
実施例3
本発明のマウスウォッシュの処方は、以下の通りである。
エタノール 15 質量%
キシリトール 7 質量%
サッカリンナトリウム 0.5質量%
β−ドデシルマルトシド 0.5質量%
α,β−ドデシルガラクトシド 0.2質量%
洗口剤用香料 0.2質量%
エチルパラベン 0.05質量%
精製水 残部
計 100 質量%
実施例4
本発明のマウスウォッシュの処方は、以下の通りである。
ソルビトール 5 質量%
マルチトール 2 質量%
C12:16アルキルグルコシド 2 質量%
サッカリンナトリウム 0.5質量%
α,β−デシルガラクトシド 0.2質量%
洗口剤用香料 0.2質量%
安息香酸ナトリウム 0.1質量%
精製水 残部
計 100 質量%
実施例5
本発明のうがい剤(10倍希釈用)の処方は、以下の通りである。
グリセリン 30 質量%
デシルグルコシド 10 質量%
α,β−ウンデシルガラクトシド 5 質量%
パラチニット 5 質量%
サッカリンナトリウム 2 質量%
洗口剤用香料 1 質量%
エチルパラベン 0.5質量%
精製水 残部
計 100 質量%
ドデシルガラクトシドの可溶化に対する各種アルキルグルコシドの影響を示す図である。 テトラデシルガラクトシドの可溶化に対する各種アルキルグルコシドの影響を示す図である。 デシルガラクトシドの可溶化に対する各種アルキルグルコシドの影響を示す図である。 ウンデシルガラクトシドの可溶化に対する各種アルキルグルコシドの影響を示す図である。

Claims (3)

  1. 式(A)
    Figure 0005248077
    (式中、R1は置換されてもよい炭素数10〜16の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、Galはガラクトース残基を示し、nは1〜10の整数を示す。)で表される化合物
    及び式(B)
    Figure 0005248077
    (式中、R2は置換されてもよい炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、Glcはグルコース残基を示し、mは1〜30の整数を示す。)で表される化合物
    を含有し、かつ式(A)で表される化合物に対する式(B)で表される化合物の含有量比が10:1〜1:20である液体口腔用組成物。
  2. 式(C)
    Figure 0005248077
    (式中、R3は置換されてもよい平均炭素数10〜16の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、Galはガラクトース残基を示し、xは1〜10の数を示す。)で表される化合物
    及び式(D)
    Figure 0005248077
    (式中、R4は置換されてもよい平均炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、Glcはグルコース残基を示し、yは1〜30の数を示す。)で表される化合物
    を含有し、かつ式(C)で表される化合物に対する式(D)で表される化合物の含有量比が10:1〜1:20である液体口腔用組成物。
  3. さらに炭素数4〜12の糖アルコールを含有する請求項1又は2記載の液体口腔用組成物。
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