JP2007291019A - 抗菌性試験用標準試験片、その製造方法、及び抗菌性試験方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、従来の実情に鑑みてなされたものであって、正確に、再現性よく抗菌効果を発現できる抗菌性試験用標準試験片および試験方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
発明者は、鋭意検討を行なった結果、無機系抗菌剤を樹脂に練り込んで成形した後、この成形品の表面を剥離処理したものを用いることにより、抗菌性試験において、正確に、再現性よく抗菌効果を発現できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【選択図】 なし
Description
当該発明では、ステロール結合性タンパク質は、ステロール上で結合して一層のタンパク質の膜を形成し、単位面積当たりに一定量で配列されると考えられることから、タンパク質は抗菌成分も一定量保持可能であると推定して抗菌性試験用標準片を作製しているが、正確かつ高い再現性が得られることを確認していない。また、当該抗菌性試験用標準片は、いわゆるバイオテクノロジーを利用しているため、高価格となること、及び量産しにくいといった問題がある。
(1)無機系抗菌剤を樹脂に練り込んだ成形品の表面剥離処理を行ったことを特徴とする抗菌性試験用標準試験片であり、
(2)無機系抗菌剤が銀を含有する無機系抗菌剤である前記(1)記載の抗菌性試験用標準試験片であり、
(3)銀を含有する無機系抗菌剤が、銀担持リン酸ジルコニムである前記(2)記載の抗菌性試験用標準試験片であり、
(4)樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ABS樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアセタール、及びポリカーボネイトから選らばれる1種または2種以上である前記(1)〜(3)のいずれか1項記載の抗菌性試験用標準試験片であり、
(5)成形品の表面を0.1〜500μm剥離処理した前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の抗菌性試験用標準試験片であり、
(6)成形品の表面剥離処理の方法が、サンドペーパー剥離、バフ剥離、サンドブラスト剥離、及び表面切削剥離から選ばれる1種または2種以上である前記(5)記載の抗菌性試験用標準試験片であり、
(7)無機系抗菌剤を樹脂に練り込んで成形した後、当該成形品の表面剥離処理を行うことを特徴とする抗菌性試験用標準試験片の製造方法であり、
(8)前記(1)〜(6)のいずれか1項記載の抗菌性試験用標準試験片を用いて抗菌性試験を行なう方法である。
本発明では、抗菌剤を樹脂に練り込んで成形するため、抗菌剤には耐熱性が要求される。よって、本発明においては無機系抗菌剤が用いられる。無機系抗菌剤は、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属を含有するものが知られているが、抗菌性能が高く、かつ安全性の高い銀を含有するものが好ましい。銀含有無機系抗菌剤として、銀担持ゼオライト、銀担持リン酸ジルコニウム、銀担持ケイ酸カルシウム、銀担持酸化チタン、銀含有ヒドロキシアパタイト、銀含有リン酸カルシウム、および銀含有ガラス等が挙げられるが、銀担持ゼオライト、銀担持リン酸ジルコニウム、銀担持ケイ酸カルシウム、および銀含有リン酸カルシウムが好ましく、銀担持リン酸ジルコニウムが特に好ましい。銀担持リン酸ジルコニウムは、吸湿性が低い、粒径が揃っている、耐熱性が高いといった特徴があるため、本用途に用いる抗菌剤として最も適しており、東亞合成(株)より、ノバロンの商品名で販売されている。
無機系抗菌剤を樹脂に練り込んで成形した場合、成形品表面は特殊な状態となっている。すなわち、樹脂表面近傍に存在する無機系抗菌剤の表面が薄い樹脂層に覆われていることが多い。単純に走査型電子顕微鏡観察を行なっただけでは、この薄い樹脂層は確認できないが、加速電圧を変えて観察することにより確認が可能である。走査型電子顕微鏡観察においては、高加速された電子が、樹脂表面だけでなく樹脂内部にまで到達するため、樹脂内部に存在する無機系抗菌剤も視認される。樹脂内部への到達距離は電子の加速電圧が高いほど長くなるため、例えば加速電圧15kVで観察した場合に無機系抗菌剤が視認され、5kVで観察した場合に視認されなかった場合、無機系抗菌剤が樹脂表面に頭出しされていない、すなわち無機系抗菌剤の表面が薄い樹脂層に覆われていることが確認できる。
サンドペーパー剥離の程度であるが、成形品表面の薄い樹脂層を排除してやればよいが、作製した試験片のより最適条件は異なるため、その試験片ごとに最適サンドペ−パー剥離条件を選定してやればよい。
成形品の表面を上記記載の厚さで剥離できれば、この剥離処理に用いるサンドペーパーの砥粒はどのようなものでも良い。例えば、#1000のサンドペーパーを用いて、25cm2の成形品に対して1〜30kgの加重をかけて3〜50回剥離操作を行うことにより実施できる。
バフ剥離の程度であるが、成形品表面を上記記載の厚さで排除してやればよいが、作製した試験片のより最適条件は異なるため、その試験片ごとに最適バフ剥離条件を選定してやればよい。
研削加工の程度であるが、成形品表面を上記記載の厚さで排除してやればよいが、作製した試験片のより最適条件は異なるため、その試験片ごとに最適研削加工条件を選定してやればよい。
サンドブラスト加工の程度であるが、成形品表面を上記記載の厚さで排除してやればよいが、作製した試験片のより最適条件は異なるため、その試験片ごとに最適サンドブラスト加工条件を選定してやればよい。
抗菌性試験用標準試験片としての抗菌活性値の設定値は、2以上、3以下が好ましい。
以下、本発明をさらに具体的に説明するが、これに限定されるものではない。なお、%は重量%である。
このマスターバッチ、及び希釈樹脂としてポリプロピレン(PP)樹脂を用いて、無機系抗菌剤の含有量が0.15、0.20、及び0.25%となるように、射出成形機で無機系抗菌剤含有試験片を作製した。なお、試験片の大きさは、50mm×50mm×2mmである。
#1,000サンドペーパーで、試験片の表面を縦、横各10回ずつ剥離処理した後、エアーブローして剥離片を除去した。
上記操作を日を変えて3回実施した(A,B,Cとする)。
JIS Z 2801によって抗菌性試験を実施し、この結果を表1に示した(今後、抗菌性試験と言えば、JIS Z 2801によるものである)。
また、サンドペーパー剥離処理しなかったものについても同様に抗菌性試験を実施し、比較例とした。その結果を表1に示した。
このマスターバッチ、及び希釈樹脂としてLDPE樹脂を用いて、無機系抗菌剤の含有量が1.0、1.2、1.4、および1.8%となるように、射出成形機で無機系抗菌剤含有試験片を作製した。なお、試験片の大きさは、50mm×50mm×2mmである。
#1000サンドペーパーで、試験片の表面を縦、横各10回ずつ剥離処理した後、エアーブローして剥離片を除去し、抗菌性試験を実施した。その結果を表2に示した。
別の日に実施例1と同様にPP樹脂試験片を作製し、同条件でサンドブラスト剥離処理した。試験片をエタノール中に浸漬し、1分間超音波洗浄して剥離片を除去した。これら試験片の抗菌性試験を実施し、その結果を表3に示した。
○サンドブラスト剥離処理条件
1)砥粒(White Alandom) #220
2)噴射圧 0.35MPa
3)加工時間 10秒
Claims (8)
- 無機系抗菌剤を樹脂に練り込んだ成形品の表面剥離処理を行ったことを特徴とする抗菌性試験用標準試験片。
- 無機系抗菌剤が銀を含有する無機系抗菌剤である請求項1記載の抗菌性試験用標準試験片。
- 銀を含有する無機系抗菌剤が、銀担持リン酸ジルコニムである請求項2記載の抗菌性試験用標準試験片。
- 樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ABS樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアセタール、及びポリカーボネイトから選らばれる1種または2種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の抗菌性試験用標準試験片。
- 成形品の表面を0.1〜500μm剥離処理した請求項1〜4のいずれか1項記載の抗菌性試験用標準試験片。
- 成形品の表面剥離処理の方法が、サンドペーパー剥離、バフ剥離、サンドブラスト剥離、及び表面切削剥離から選ばれる1種または2種以上である請求項5記載の抗菌性試験用標準試験片。
- 無機系抗菌剤を樹脂に練り込んで成形した後、当該成形品の表面剥離処理を行うことを特徴とする抗菌性試験用標準試験片の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌性試験用標準試験片を用いて抗菌性試験を行なう方法。
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