JP2007288253A - 積層型lcフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のインダクタンス電極間での結合の容量成分と誘導性成分の比率の変更の容易化を図った積層型LCフィルタを提供する。
【解決手段】積層型LCフィルタが,第1の層に配置される一端と,第2の層に配置される他端とをそれぞれ有し,第1の間隔で配置される第1,第2のインダクタンス電極と,第2の層に配置され,かつ第1,第2のインダクタンス電極の他端とそれぞれ電気的に接続される一端と,第3の層にそれぞれ配置される他端とを有し,第1の間隔と異なる第2の間隔で配置される第3,第4のインダクタンス電極と,第1,第2のインダクタンス電極の一端を電気的に接続する接続部と,第3,第4のインダクタンス電極の他端を容量結合する結合部と,を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は,例えば,携帯電話機,無線LAN等の高周波の回路部品として用いられる積層型LCフィルタに関する。
無線通信等に利用する複数の周波数の信号を処理するために所望の周波数範囲(通過帯域)の信号を通過し,それ以外の周波数の信号を減衰させるバンドパスフィルタとして積層型LCフィルタが用いられる。積層型LCフィルタは,導体層をパターニングした複数の基板を積層することで構成することができる。
ここで,ビアホールで構成された複数のインダクタ導体を有するLC共振回路の技術が開示されている(特許文献1参照)。
特開2000−165171号
複数のインダクタを並列に配置することで,これらインダクタ間を結合することができる。この結合には容量性成分,誘導性成分の双方が含まれ,それらの強さはインダクタの間隔によって定まる。
ここで,インダクタ間の結合の容量性成分と誘導性成分の大きさを互いに独立して変更することは困難である。即ち,インダクタンスの間隔を変更すると,結合の容量性成分と誘導性成分の双方の大きさが変化する。
上記に鑑み,本発明は複数のインダクタンス電極間での結合の容量成分と誘導性成分の比率の変更の容易化を図った積層型LCフィルタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明の一態様に係る積層型LCフィルタは,積層して配置され,互いの境界に少なくとも第1乃至第3の層を有する複数の基板と,前記第1の層に配置される一端と,前記第2の層に配置される他端とをそれぞれ有し,第1の間隔で配置される第1,第2のインダクタンス電極と,前記第2の層に配置され,かつ前記第1,第2のインダクタンス電極の他端とそれぞれ電気的に接続される一端と,前記第3の層にそれぞれ配置される他端とを有し,前記第1の間隔と異なる第2の間隔で配置される第3,第4のインダクタンス電極と,前記第1,第2のインダクタンス電極の一端を電気的に接続する接続部と,前記第3,第4のインダクタンス電極の他端を容量結合する結合部と,を具備することを特徴とする。
本発明によれば,複数のインダクタンス電極間での結合の容量成分と誘導性成分の比率の変更の容易化を図った積層型LCフィルタを提供できる。
(第1の実施形態)
図1は,本発明の第1の実施形態に係る積層型LCフィルタ10の概念的な回路構成を表す回路図である。
本図に示すように積層型LCフィルタ10は,端子T1,T2,グランド(接地)端子G,インダクタ(インダクタンス素子)L1,L2,L01,L51,キャパシタ(キャパシタンス(容量)素子,コンデンサ)C01,CC01,CC02,共振器RE11,RE21,RE12,RE22を備える。なお,共振器RE11,RE21,RE12,RE22は,後述のインダクタンス電極LL11,LL21,LL12,LL22によって構成される。
信号が端子T1に入力され,端子T2から出力される。
キャパシタCC01,CC02によって,LC共振器による共振周波数を調整できる。
互いに直列に接続された共振器RE11,RE12および共振器RE21,RE22が並列に配置される。インダクタL51は,共振器RE12,RE22間を誘導結合する。
図2A,図2Bは,本発明の第1の実施形態に係る積層型LCフィルタ10の外観を表す斜視図である。図2A,図2Bはそれぞれ,積層型LCフィルタ10を上方,下方から見た状態を表す。
積層型LCフィルタ10は,基板11〜16を重ね合わせて構成される。基板11〜16に,例えば,ガラスセラミック(比誘電率εr=50)からなる2012(2.0mm×1.25mm)タイプの基板を用い,厚膜印刷により銀ペースト等を印刷した電極パターンが形成される。これらの基板11〜16を積層することで,例えば,縦,横,高さ(2.0mm×1.25mm×0.9mm)の積層型LCフィルタ10が構成される。なお,基板11〜16は,ガラスセラミック以外のセラミック素材であっても良い。
ここで,基板11,16,基板12,13,基板14,15の厚さはそれぞれ,例えば,0.1mm,0.05mm,0.3mmである。基板12,13が薄いのは,これらの両面間でキャパシタCC01,CC02を構成するためである。また,基板14,15が厚いのは,これらの厚さ方向にインダクタンス電極LL11,LL21,LL12,LL22を配置するためである。
基板11〜16の側辺に導体パターン91〜93が形成されている。この導体パターン91〜93は,積層された基板11〜16に跨って配置される。例えば,基板11〜16の積層後に銀ペーストを印刷することで,導体パターン91〜93が形成される。導体パターン91,92がそれぞれ端子T1,T2に,導体パターン93がグランド端子Gに対応する。
なお、基板11〜20の側面に溝部(切欠部)を設け,この溝部に導体パターン91〜93を配置しても良い。溝部を設けることで,導体パターン91〜93の形成が容易となる。
基板11の下面にランドパターン(実装用の電極のパターン)95〜97が配置される。ランドパターン95〜97はそれぞれ,導体パターン91〜93と電気的に接続され,端子T1,T2,グランド端子Gに対応する。
図3は,積層型LCフィルタ10を構成する基板11〜16を分離した状態を表す分解斜視図である。また,図4は,積層型LCフィルタ10の断面を表す断面図である。図4では,見やすさのために,基板11〜16間の境界の図示を省略している。なお,この事情は後述する第2〜第5の実施形態でも同様である。
基板11〜16上に平板電極111〜151等が配置される。基板11〜16間に第1〜第5の層が配置され,この層内に平板電極111〜151等が配置されると観念することができる。なお,この事情は後述する第2〜第7の実施形態でも同様である。
基板11は,平板電極111および接続部113の電極パターンを有する。
基板12は,平板電極121,122および接続部125,126の電極パターンを有する。
基板13は,平板電極131,132および接続部133,134の電極パターンおよびビアホール135,136を有する。
基板14は,接続部141,142の電極パターンおよびビアホール145,146を有する。
基板15は,平板電極151および接続部153の電極パターンおよびビアホール155,156を有する。
基板16は,特段のパターンを有せず,主として基板15を保護するためのものである。
平板電極111は,平板電極121,122の双方と対向して配置され,キャパシタCC01,CC02の一部を構成する。また,平板電極111は,グランド(接地)電極であり,接続部113によって,グランド端子Gに接続される。平板電極121,122を外部から遮蔽し,積層型LCフィルタ10の動作の安定化を図るためである。
平板電極121,122はそれぞれ,平板電極111および平板電極131,132と表裏で対向して配置され,キャパシタCC01,CC02を構成する。また,平板電極121,122間およびインダクタンス電極LL11〜LL22間の容量結合の総和として,キャパシタC01が構成される。さらに,平板電極121,122間およびインダクタンス電極LL11〜LL22間の誘電結合の総和として,インダクタL01が構成される。即ち,平板電極121,122間は,キャパシタC01,およびインダクタL01によって結合される。
接続部125,126は,インダクタL1,L2として機能し,ビアホール135,136を端子T1,T2に電気的に接続する。
平板電極131,132はそれぞれ,平板電極121,122及び141,142の双方と対向して配置され,キャパシタCC01,CC02の一部を構成する。また,平板電極131,132は,グランド(接地)電極であり,接続部133,134によって,グランド端子Gに接続される。平板電極121,122を外部から遮蔽し,積層型LCフィルタ10の動作の安定化を図るためである。なお,平板電極131,132を配置しないことも可能である。即ち,平板電極111,121,122のみでもキャパシタCC01,CC02の容量が充分であれば,平板電極131,132は不要である。この場合,基板13自体が不要となる。
ビアホール135,136は,紙面左右方向に間隔d1を置いて配置され,インダクタンス電極LL11,LL21の一部を構成する。なお,ビアホールは,基板を貫通して層間を接続する電極であり,例えば,円筒形状の導電材料(例えば,金属,導体ペースト)から構成される。
接続部141,142は,ビアホール145,146およびビアホール155,156それぞれを電気的に接続する。
ビアホール145,146は,ビアホール135,136と略同一軸上に配置され,かつ電気的に接続される。即ち,ビアホール145,146は,紙面左右方向に間隔d1を置いて配置され,インダクタンス電極LL11,LL21の一部を構成する。
ビアホール135,145およびビアホール136,146はそれぞれ,インダクタンス電極LL11,LL21を構成する。さらに,インダクタンス電極LL11,LL21それぞれの周囲(平板電極111,121,122,131,132,151との間)にキャパシタンスが分布することで,共振器RE11,RE21が構成される。
平板電極151は,グランド(接地)電極であり,接続部153によって,グランド端子Gに接続される。積層型LCフィルタ10を外部から遮蔽し,その動作の安定化を図るためである。
ビアホール155,156は,紙面左右方向に間隔d2を置いて配置され,インダクタンス電極LL12,LL22を構成する。インダクタンス電極LL12,LL22それぞれの周囲(平板電極111,121,122,151との間)にキャパシタンスが分布することで,共振器RE12,RE22が構成される。
間隔d2は間隔d1より小さい。この間隔の相違により,共振器RE12,RE22(インダクタンス電極LL12,LL22)間がインダクタL51により誘導接合される。なお,この理由は後述する。
(第1の比較例)
以下,第1の比較例を説明する。
図5は,本発明の第1の比較例に係る積層型LCフィルタ10Xの概念的な回路構成を表す回路図である。
本図に示すように積層型LCフィルタ10Xは,端子T1,T2,グランド端子G,インダクタL1,L2,L01,キャパシタC01,CC01,CC02,共振器RE10,RE20を備える。
図1の積層型LCフィルタ10での共振器RE11,RE12,および共振器RE21,RE22それぞれに換えて,共振器RE10,RE20が配置される。また,共振器RE10,RE20間には,特段の電磁結合(容量結合,あるいは誘導結合)を有しない。
但し,共振器RE10,RE20間に電磁結合が全く存在しないことまで意味する訳ではない。図1での共振器RE12,RE22間の誘導結合(インダクタL51のインダクタンス量)に比べて,共振器RE10,RE20間での結合が弱い。即ち,図1,図5での共振器RE11,RE21間,共振器RE12,RE22間,および共振器RE10,RE20間での結合の有無は,必ずしも絶対的なものではなく,結合の強弱に対応する相対的なものである。なお,この詳細は後述する。
図6は,積層型LCフィルタ10Xを構成する基板11〜16を分離した状態を表す分解斜視図である。また,図7は,積層型LCフィルタ10Xの断面を表す断面図である。なお,積層型LCフィルタ10Xの外観形状は,積層型LCフィルタ10と本質的に相違する訳ではないことから,記載を省略する。
図3の積層型LCフィルタ10の基板14,15に換えて基板15Xが配置される。基板15Xは,基板14,15を合わせた厚さを有し,平板電極151および接続部153の電極パターンおよびビアホール155X,156Xを有する。即ち,ビアホール155X,156Xは,ビアホール145,146およびビアホール155,156を合わせた長さを有する。
ビアホール155X,156Xは,ビアホール135,136と略同一軸上に配置され,かつ電気的に接続される。ビアホール135,155Xおよびビアホール136,156Xはそれぞれ,インダクタンス電極LL10,LL20を構成する。インダクタンス電極LL10,LL20それぞれの周囲(平板電極111,121,122,131,132,151との間)にキャパシタンスが分布することで,共振器RE10,RE20が構成される。
(第1の実施形態と第1の比較例の相違)
(1)第1の実施形態では,インダクタンス電極LL12,LL22の間隔d2がインダクタンス電極LL11,LL21の間隔d1より小さい。一方,第1の比較例では,インダクタンス電極LL10,LL20の間隔d0は均一である。この結果,第1の実施形態と第1の比較例での共振器間での結合の有無,種別(誘導結合,容量結合)が相違している。以下,この詳細を説明する。
間隔を置いて複数のインダクタンス電極 (例えば,ビアホール)が配置された場合、それぞれのインダクタンス電極の位置関係によって結合の強さが決まる。2つのインダクタンス電極の一端がランド電極へ、他端がコンデンサ電極へ接続された場合を考える。則ち,この一端は互いに電気的に接続された短絡端である。一方,この他端は互いに容量結合されているが,電気的には接続されていない開放端である。
この場合、短絡端側,開放端側それぞれで,インダクタンス電極間の結合状態が異なる。短絡端側では誘導結合(磁界性の結合)が支配的である。また,開放端側のインダクタンス電極間では主として容量結合(電界性の結合)が支配的である。例えば,図6のインダクタンス電極LL10,LL20(ビアホール155X,135,およびビアホール156X,136)間の上側は誘導結合が支配的で,その下側は容量結合が支配的である。
これらの誘導性,容量性の結合力、さらには別途設けられた結合用電極(図6では,平板電極111,121,122,131,132)での結合力のバランスにより、インダクタンス電極間の最終的な結合の種類と強さが決まってくる。即ち,インダクタンス電極間の結合には,一般に,誘導結合成分,容量結合成分の双方が含まれ,これらの成分の一方が他方に比べて十分大きければ,実質的に,誘導結合,あるいは容量結合していると言って差し支えない。
第1の比較例の場合,インダクタンス電極LL10,LL20の間隔d0が均一であることから、誘導結合成分と容量結合成分の比率を調節することは困難である。短絡端側での結合(誘導結合)と開放端側での結合(容量結合)の大きさが互いに依存関係にあり、インダクタンス電極の間隔d0を変化させても、その一方のも強度を任意に変更することが困難である。
これに対して,第1の実施形態では,誘導結合と容量結合の大きさを互いに独立に調整することができる。
(2)第1の実施形態では,開放端側のインダクタンス電極LL11,LL21(ビアホール135,145,ビアホール136,146)間の間隔d1より,短絡端側のインダクタンス電極LL12,LL22(ビアホール155,ビアホール156)間の間隔d2が小さい。この結果,短絡端での結合(誘導結合)が開放端での結合(容量結合)よりも大きくなっている。ここで,開放端側での間隔d1を第1の比較例での間隔d0と同一とすると,第1の実施形態および第1の比較例でのインダクタンス電極間の容量結合の大きさはほぼ同一となる。この結果,容量結合の大きさをほぼ同一に保持したまま,誘導結合の大きさを大きくすることができる。
図1の回路図でのインダクタL51は,インダクタンス電極LL12,LL22(共振器RE12,RE22)間での誘導結合を表している。インダクタンス電極LL11,LL21(共振器RE11,RE21)間では容量結合が支配的であるが,インダクタンス電極LL12,LL22(共振器RE12,RE22)間の結合に比べて小さいため,この結合を無視している。
容量結合の大きさをほぼ同一に保持したまま,誘導結合が大きくなった場合について,さらに考察を進める。
この場合,もとの共振器RE10,RE20間で誘導結合が主体的であれば、誘導結合が大きくなることで,全体として結合が強くなり,帯域が拡大される。このときの帯域の調整可能範囲は、単一の軸を持つインダクタンス電極の間隔を変更した場合(第1の比較例)よりも広い。
逆にもとの共振器RE10,RE20間で容量結合が主体的であれば、誘導結合が大きくなることで,元の容量結合と強化された誘導結合とが打ち消しあい、全体として結合が弱くなり,帯域が狭くなる。このときの帯域の調整可能範囲も、単一の軸を持つインダクタンス電極の間隔を変更した場合(第1の比較例)よりも広くなる。
以上のように,開放端側でのインダクタンス電極LL11,LL21の間隔d1より短絡端側でのインダクタンス電極LL12,LL22の間隔d2が小さい場合,短絡端側のインダクタンス電極LL12,LL22間が誘導結合される(インダクタL51)。なお,これは,第2の実施形態の場合でも同様である。
(3)この逆に,開放端側でのインダクタンス電極LL11,LL21の間隔d1より短絡端側でのインダクタンス電極LL12,LL22の間隔d2が大きい場合,インダクタンス電極LL11,LL21間が容量結合される。
ここで,短絡端側での間隔d2を第1の比較例での間隔d0と同一とすると,第1の実施形態および第1の比較例でのインダクタンス電極間の誘導結合の大きさはほぼ同一となる。この結果,誘導結合の大きさをほぼ同一に保持したまま,容量結合の大きさを大きくすることができる。
この場合,もとの共振器RE10,RE20間で容量結合が主体的であれば、容量結合が大きくなることで,全体として結合が強くなり,帯域が拡大される。このときの帯域の調整可能範囲は、単一の軸を持つインダクタンス電極の間隔を変更した場合(第1の比較例)よりも広い。
逆にもとの共振器RE10,RE20間で誘導結合が主体的であれば、容量結合が大きくなることで,元の誘導合と強化された容量結合とが打ち消しあい、全体として結合が弱くなり,帯域が狭くなる。このときの帯域の調整可能範囲も、単一の軸を持つインダクタンス電極の間隔を変更した場合(第1の比較例)よりも広くなる。なお,これは,後述する第3,第4の実施形態においても同様である。
(第2の実施形態)
図8は,本発明の第2の実施形態に係る積層型LCフィルタ20の概念的な回路構成を表す回路図である。
本図に示すように積層型LCフィルタ20は,端子T1,T2,グランド(接地)端子G,インダクタ(インダクタンス素子)L1,L2,L01,L02,L51,L52,キャパシタC01,C02,CC01〜CC03,共振器RE11,RE12,RE20,RE31,RE32を備える。
共振器RE11,RE12,共振器RE20,および共振器RE31,RE32が並列に配置される。インダクタL51,L52はそれぞれ,共振器RE12,RE20間および共振器RE32,RE20間を誘導結合する。
図9は,積層型LCフィルタ20を構成する基板21〜26を分離した状態を表す分解斜視図である。また,図10は,積層型LCフィルタ20の断面を表す断面図である。
積層型LCフィルタ20の外観形状は,積層型LCフィルタ10と本質的に相違する訳ではないことから,記載を省略する。第1の実施形態と同様に,基板21〜26の側辺に導体パターン91〜93が,基板21の下面にランドパターン95〜97が配置される。
基板21は,平板電極211および接続部213の電極パターンを有する。
基板22は,平板電極221〜223および接続部225,226の電極パターンを有する。
基板23は,平板電極231,232および接続部233,234の電極パターンおよびビアホール235〜237を有する。
基板24は,接続部241,242の電極パターンおよびビアホール245〜247を有する。
基板25は,平板電極251および接続部253の電極パターンおよびビアホール255〜257を有する。
基板26は,特段のパターンを有せず,主として基板25を保護するためのものである。
平板電極221,223,222それぞれと,平板電極211,231,232がキャパシタCC01〜CC03を構成する。また,平板電極221,223間およびインダクタンス電極LL11,LL12,LL20間の容量結合の総和として,キャパシタC01が構成される。平板電極222,223間およびインダクタンス電極LL31,LL32,LL20間の容量結合の総和として,キャパシタC02が構成される。さらに,平板電極221,223間及びインダクタ電極LL11,LL12,LL20間の誘導結合の総和として,インダクタL01が構成される。
平板電極222,223間及びインダクタ電極LL31,LL32,LL20間の誘導結合の総和として,インダクタL02が構成される。
接続部225,226がそれぞれ,インダクタL1,L2を構成する。
ビアホール235,245,およびビアホール236,246はそれぞれ,インダクタンス電極LL11,LL31を構成し,共振器RE11,RE31に対応する。即ち,インダクタンス電極LL11,LL31の有するインダクタンスと,その周囲に分布するキャパシタンスにより共振器RE11,RE31が構成される。ビアホール255,およびビアホール256はそれぞれ,インダクタンス電極LL12,LL32を構成し,共振器RE12,RE32に対応する。ビアホール237,247,257は,インダクタンス電極LL20を構成し,共振器RE20に対応する。
インダクタンス電極LL11,LL31それぞれとインダクタンス電極LL20の間隔はd11,d12である。インダクタンス電極LL12,LL32それぞれとインダクタンス電極LL20の間隔はd21,d22である。
第1の実施形態で説明したように,開放端側のインダクタンス電極の間隔d11,d12より,短絡端側のインダクタンス電極の間隔d21,d22が小さい。このため,短絡端側での結合(誘導結合)が開放端側での結合(容量結合)よりも大きくなっている。この誘導結合が図8のインダクタL51,L52として表される。
(第2の比較例)
図11は,本発明の第2の比較例に係る積層型LCフィルタ20Xの概念的な回路構成を表す回路図である。
本図に示すように積層型LCフィルタ20Xは,端子T1,T2,グランド端子G,インダクタL1,L2,L01,L02,キャパシタC01,C02,CC01〜CC03,共振器RE10〜RE30を備える。
図8の積層型LCフィルタ20での共振器RE11,RE12,および共振器RE31,RE32それぞれに換えて,共振器RE10,RE30が配置される。また,共振器RE10,〜RE30間は,特段には結合(容量結合,あるいは誘導結合)されていない。
図12は,積層型LCフィルタ20Xを構成する基板21〜26を分離した状態を表す分解斜視図である。また,図13は,積層型LCフィルタ20Xの断面を表す断面図である。
図9の積層型LCフィルタ20の基板24,25に換えて基板25Xが配置される。基板25Xは,基板24,25を合わせた厚さを有し,平板電極251および接続部253の電極パターンおよびビアホール255X〜257Xを有する。即ち,ビアホール255X〜257Xは,ビアホール245〜247,およびビアホール255〜257を合わせた長さを有する。
ビアホール235,255X,ビアホール236,256X,およびビアホール237,257Xはそれぞれ,インダクタンス電極LL10〜LL30を構成し,共振器RE10〜RE30に対応する。
本比較例では,インダクタンス電極LL10,LL20間およびインダクタンス電極LL20,LL30間の距離d01,d02がある程度大きいことから,その間に特段の結合が生じていない。
(第2の実施形態の変形例)
図14は,第2の実施形態の変形例に係る積層型LCフィルタ30を構成する基板31〜36を分離した状態を表す分解斜視図である。
積層型LCフィルタ30の概念的な回路構成は,第2の実施形態と同様に,図8で表される。
積層型LCフィルタ30の外観形状は,積層型LCフィルタ10と本質的に相違する訳ではないことから,記載を省略する。第1の実施形態と同様に,基板31〜36の側辺に導体パターン91〜93が,基板31の下面にランドパターン95〜97が配置される。
基板31は,平板電極311および接続部313の電極パターンを有する。
基板32は,平板電極321〜323および接続部325,326の電極パターンを有する。
基板33は,平板電極331および接続部333の電極パターンおよびビアホール335〜338を有する。平板電極331は,ビアホール335〜338が通過する矩形状の開口部(電極パターンが形成されていない領域)を有する。なお,この開口部が電極パターンで囲まれていても差し支えない。
基板34は,接続部341〜343の電極パターンおよびビアホール345〜347を有する。
基板35は,平板電極351および接続部353の電極パターンおよびビアホール355〜357を有する。
基板36は,特段のパターンを有せず,主として基板35を保護するためのものである。
平板電極321,323,322はそれぞれ,平板電極311および平板電極331と表裏で対向して配置され,キャパシタCC01〜CC03を構成する。また,平板電極321,323間およびインダクタンス電極LL11,LL12,LL20間の容量結合の総和として,キャパシタC01が構成される。平板電極322,323間およびインダクタンス電極LL31,LL32,LL20間の容量結合の総和として,キャパシタC02が構成される。さらに,平板電極321,323間及びインダクタンス電極LL11,LL12,LL20間の誘導結合の総和として,インダクタL01が構成される。
平板電極322,323間に及びインダクタ電極LL31,LL32,LL20間の誘導結合の総和として,インダクタL02が構成される。
接続部325,326がそれぞれ,インダクタL1,L2を構成する。
ビアホール335,345,およびビアホール336,346はそれぞれ,インダクタンス電極LL11,LL31を構成し,共振器RE11,RE31に対応する。ビアホール355,およびビアホール356はそれぞれ,インダクタンス電極LL12,LL32を構成し,共振器RE12,RE32に対応する。ビアホール337,338,347,348,357は,インダクタンス電極LL20を構成し,共振器RE20に対応する。
第2の実施形態では,ビアホール237,247,257が同一軸に配置されているのに対し,本実施形態ではビアホール357がビアホール347,348に分岐している。これは,インダスタンスLL12,LL32に対して,インダクタンス電極LL20のインダクタンス量を小さくするためである。
インダクタンス電極LL11,LL31それぞれとインダクタンス電極LL20の間隔はd11,d12である。インダクタンス電極LL12,LL31それぞれとインダクタンス電極LL20の間隔はd21,d22である。
開放端側のインダクタンス電極の間隔d11,d12より,短絡端側のインダクタンス電極の間隔d21,d22が小さい。このため,短絡端での結合(誘導結合)が開放端での結合(容量結合)よりも大きくなっている。この誘導結合が図8のインダクタL51,L52として表される。
(第3の実施形態)
図15は,本発明の第3の実施形態に係る積層型LCフィルタ40の概念的な回路構成を表す回路図である。
本図に示すように積層型LCフィルタ30は,端子T1,T2,グランド(接地)端子G,インダクタ(インダクタンス素子)L1,L2,L01,キャパシタC01,C51,CC01,CC02,共振器RE11,RE12,RE21,RE22を備える。
共振器RE11,RE12,および共振器RE21,RE22が並列に配置される。キャパシタC51は,共振器RE11,RE21間を容量結合する。
図16は,積層型LCフィルタ40を構成する基板41〜46を分離した状態を表す分解斜視図である。また,図17は,積層型LCフィルタ40の断面を表す断面図である。
積層型LCフィルタ40の外観形状は,積層型LCフィルタ10と本質的に相違する訳ではないことから,記載を省略する。第1の実施形態と同様に,基板41〜46の側辺に導体パターン91〜93が,基板41の下面にランドパターン95〜97が配置される。
基板41は,平板電極411および接続部413の電極パターンを有する。
基板42は,平板電極421の電極パターンを有する。
基板43は,平板電極431,432および接続部435,436の電極パターンを有する。
基板44は,接続部441,442の電極パターンおよびビアホール445,446を有する。
基板45は,平板電極451および接続部453の電極パターンおよびビアホール455,456を有する。
基板46は,特段のパターンを有せず,主として基板45を保護するためのものである。
平板電極431,432間およびインダクタンス電極LL11〜LL22間の容量結合の総和として,キャパシタC01が構成される。このキャパシタC01には,平板電極421を介する平板電極431,432間の容量結合も含まれる。
平板電極431,432間及びインダクタンス電極LL11〜LL22間の誘導結合の総和としてインダクタL01が構成される。
接続部435,436がそれぞれ,インダクタL1,L2を構成する。
ビアホール445,446はそれぞれ,インダクタンス電極LL11,LL21を構成し,共振器RE11,RE21に対応する。ビアホール455,456はそれぞれ,インダクタンス電極LL12,LL22を構成し,共振器RE12,RE22に対応する。
インダクタンス電極LL11,LL21の間隔はd1である。インダクタンス電極LL12,LL21の間隔はd2である。
本実施形態では,開放端側のインダクタンス電極の間隔d1より,短絡端側のインダクタンス電極の間隔d2が大きい。このため,短絡端での結合(誘導結合)が開放端での結合(容量結合)よりも小さくなっている。この容量結合がキャパシタC51として表される。
(第3の比較例)
図18は,本発明の第3の比較例に係る積層型LCフィルタ40Xを構成する基板41〜46を分離した状態を表す分解斜視図である。また,図19は,積層型LCフィルタ40Xの断面を表す断面図である。なお,積層型LCフィルタ40Xの概念的な回路構成は,第1の比較例と同様に,図5で表される。
図16の積層型LCフィルタ40の基板44,45に換えて基板45Xが配置される。基板45Xは,基板44,45を合わせた厚さを有し,平板電極451および接続部453の電極パターンおよびビアホール455X,456Xを有する。即ち,ビアホール455X,456Xは,ビアホール445,446,およびビアホール455,457を合わせた長さを有する。
ビアホール435,455X,およびビアホール436,456Xはそれぞれ,インダクタンス電極LL10,LL20を構成し,共振器RE10,RE20に対応する。
本比較例では,インダクタンス電極LL10,LL20間の距離d0がある程度大きいことから,その間に特段の結合が生じていない。
(第4の実施形態)
図20は,本発明の第4の実施形態に係る積層型LCフィルタ50の概念的な回路構成を表す回路図である。
本図に示すように積層型LCフィルタ50は,端子T1,T2,グランド(接地)端子G,インダクタ(インダクタンス素子)L1,L2,L01,L02,キャパシタC01,C02,C51,C52,CC01〜CC03,共振器RE11,RE12,RE20,RE31,RE32を備える。
共振器RE11,RE12,共振器RE20,および共振器RE31,RE32が並列に配置される。キャパシタC51,C52はそれぞれ,共振器RE11,RE20間および共振器RE31,RE20間を誘導結合する。
図21は,積層型LCフィルタ50を構成する基板51〜56を分離した状態を表す分解斜視図である。また,図22は,積層型LCフィルタ50の断面を表す断面図である。
積層型LCフィルタ50の外観形状は,積層型LCフィルタ10と本質的に相違する訳ではないことから,記載を省略する。第1の実施形態と同様に,基板51〜56の側辺に導体パターン91〜93が,基板51の下面にランドパターン95〜97が配置される。
基板51は,平板電極511および接続部513の電極パターンを有する。
基板52は,平板電極521,522の電極パターンを有する。
基板53は,平板電極531〜533の電極パターンを有する。
基板54は,接続部541,542の電極パターンおよびビアホール545〜547を有する。
基板55は,平板電極551および接続部553の電極パターンおよびビアホール555〜557を有する。
基板56は,特段のパターンを有せず,主として基板55を保護するためのものである。
平板電極531,533間およびインダクタンス電極LL11,LL12,LL20間の容量結合の総和として,キャパシタC01が構成される。このキャパシタC01には,平板電極521を介する平板電極531,533間の容量結合が含まれる。
平板電極532,533間およびインダクタンス電極LL31,LL32,LL20間の容量結合の総和として,キャパシタC02が構成される。このキャパシタC02には,平板電極522を介する平板電極532,533間の容量結合が含まれる。
平板電極531,533間及びインダクタンス電極LL11,LL12,LL20間の誘導結合の総和として,インダクタL01が構成される。平板電極532,533間及びインダクタンス電極LL31,LL32,LL20間の誘導結合の総和として,インダクタL02が構成される。
接続部541,542がそれぞれ,インダクタL1,L2を構成する。
ビアホール545,546はそれぞれ,インダクタンス電極LL11,LL31を構成し,共振器RE11,RE31に対応する。ビアホール555,556はそれぞれ,インダクタンス電極LL12,LL32を構成し,共振器RE12,RE32に対応する。ビアホール547,557は,インダクタンス電極LL20を構成し,共振器RE20に対応する。
インダクタンス電極LL11,LL31それぞれとインダクタンス電極LL20の間隔はd11,d12である。インダクタンス電極LL12,LL32それぞれとインダクタンス電極LL20の間隔はd21,d22である。
本実施形態では,開放端側のインダクタンス電極の間隔d11,d12より,短絡端側のインダクタンス電極の間隔d21,d22が大きい。このため,短絡端での結合(誘導結合)が開放端での結合(容量結合)よりも小さくなっている。この容量結合がキャパシタC51,C52として表される。
(第4の比較例)
図23は,本発明の第4の比較例に係る積層型LCフィルタ50Xを構成する基板51〜56を分離した状態を表す分解斜視図である。また,図24は,積層型LCフィルタ50Xの断面を表す断面図である。なお,積層型LCフィルタ50Xの概念的な回路構成は,第2の比較例と同様に,図11で表される。
図21の積層型LCフィルタ50の基板53,54に換えて基板53X,54Xが配置される。
ビアホール545X,555,ビアホール547,557,およびビアホール546X,556はそれぞれ,インダクタンス電極LL10〜LL30を構成し,共振器RE10〜RE30に対応する。
本比較例では,インダクタンス電極LL10,LL30間およびインダクタンス電極LL20,LL30間の距離d01,d02がある程度大きいことから,その間に特段の結合が生じていない。
以上の第1〜第4の実施形態では,複数のインダクタンス電極間が誘導結合または容量結合されている。これに対して,誘導結合と容量結合とを混在させることも可能である。以下,誘導結合と容量結合とが混在する第5〜第7の実施形態を説明する。
(第5の実施形態)
図25は,積層型LCフィルタ60の概念的な回路構成を表す回路図である。
本図に示すように積層型LCフィルタ60は,端子T1,T2,グランド(接地)端子G,インダクタ(インダクタンス素子)L1,L2,L01,L02,L51,キャパシタC01,C02,C52,CC01〜CC03,共振器RE11〜RE31,RE12〜RE32を備える。共振器RE11〜RE31,RE12〜RE32は,上記実施形態と同様,インダクタンス電極LL11〜LL31,LL12〜LL32によって構成される。
共振器RE11,RE12,共振器RE21,RE22,および共振器RE31,RE32が並列に配置される。共振器RE12,RE22間がインダクタL51で誘導結合され,共振器RE21,RE31間がキャパシタC52で容量結合される。
図26は,積層型LCフィルタ60を構成する基板61〜66を分離した状態を表す分解斜視図である。
基板61〜66の側辺に導体パターン91〜93が,基板61の下面にランドパターン95,96,98が配置される。
基板61は,平板電極611および接続部613の電極パターンを有する。
基板62は,平板電極621,622の電極パターンを有する。
基板63は,平板電極631〜633の電極パターンを有する。
基板64は,接続部641〜643の電極パターンおよびビアホール645〜647を有する。
基板65は,平板電極651および接続部653の電極パターンおよびビアホール655〜657を有する。
基板66は,特段のパターンを有せず,主として基板65を保護するためのものである。
ビアホール645,647,646はそれぞれ,インダクタンス電極LL11,LL21,LL31を構成し,共振器RE11,RE21,RE31に対応する。ビアホール655,657,656はそれぞれ,インダクタンス電極LL12,LL22,LL32を構成し,共振器RE12,RE22,RE32に対応する。
平板電極631,633間およびインダクタンス電極LL11,LL12,LL20間の容量結合の総和として,キャパシタC01が構成される。このキャパシタC01には,平板電極621を介する平板電極631,633間の容量結合が含まれる。
平板電極632,633間およびインダクタンス電極LL31,LL32,LL20間の容量結合の総和として,キャパシタC02が構成される。このキャパシタC02には,平板電極622を介する平板電極632,633間の容量結合が含まれる。
平板電極631,633間及びインダクタンス電極LL11,LL12,LL20間の誘導結合の総和として,インダクタL01が構成される。平板電極632,633間及びインダクタンス電極LL31,LL32,LL20間の誘導結合の総和として,インダクタL02が構成される。
接続部641,642がそれぞれ,インダクタL1,L2を構成する。
本実施形態では,インダクタンス電極LL12,LL22間(短絡端側)をインダクタンス電極LL11,LL21間(開放端側)より狭くしている。この結果,インダクタンス電極LL12,LL22間がインダクタL51で誘導結合される。また,インダクタンス電極LL21,LL31間(開放端側)をインダクタンス電極LL22,LL32間(短絡端側)より狭くしている。この結果,インダクタンス電極LL21,LL31間がキャパシタC52で容量結合される。
このように,インダクタL51,キャパシタC52の双方によって,インダクタンス電極間での結合がなされる。この結果,通過帯域の低周波側と高周波側の双方で極を発生させ,通過帯域の周波数特性を急峻にすることができる。
(第6の実施形態)
図27は,積層型LCフィルタ70の概念的な回路構成を表す回路図である。
本図に示すように積層型LCフィルタ70は,端子T1,T2,グランド(接地)端子G,インダクタ(インダクタンス素子)L1,L2,L01〜L03,L51,L53,キャパシタC01〜C03,C52,CC01〜CC04,共振器RE11〜RE41,RE12〜RE42を備える。共振器RE11〜RE41,RE12〜RE42は,インダクタンス電極LL11〜LL41,LL12〜LL42によって構成される。
共振器RE11,RE12,共振器RE21,RE22,共振器RE31,RE32,および共振器RE41,RE42が並列に配置される。
共振器RE12,RE22間がインダクタL51で誘導結合され,共振器RE21,RE31間がキャパシタC52で容量結合され,共振器RE32,RE42間がインダクタL53で誘導結合される。
図28は,積層型LCフィルタ70を構成する基板71〜76を分離した状態を表す分解斜視図である。
基板71〜76の側辺に導体パターン91〜93が,基板71の下面にランドパターン95,96,98が配置される。
基板71は,平板電極711および接続部713の電極パターンを有する。
基板72は,平板電極721〜725の電極パターンを有する。
基板73は,平板電極731〜734の電極パターンを有する。
基板74は,接続部741〜744の電極パターンおよびビアホール745〜748を有する。
基板75は,平板電極751および接続部753の電極パターンおよびビアホール755〜758を有する。
基板76は,特段のパターンを有せず,主として基板75を保護するためのものである。
ビアホール745〜748はそれぞれ,インダクタンス電極LL11〜LL41を構成し,共振器RE11〜RE41に対応する。ビアホール755〜758はそれぞれ,インダクタンス電極LL12〜LL42を構成し,共振器RE12〜RE42に対応する。
平板電極731,732間およびインダクタンス電極LL11〜LL22間の容量結合の総和として,キャパシタC01が構成される。このキャパシタC01には,平板電極721,722を介する平板電極731,732間の容量結合が含まれる。
平板電極732,733間およびインダクタンス電極LL21〜LL32間の容量結合の総和として,キャパシタC02が構成される。このキャパシタC02には,平板電極723を介する平板電極732,733間の容量結合が含まれる。
平板電極733,734間およびインダクタンス電極LL31〜LL42間の容量結合の総和として,キャパシタC03が構成される。このキャパシタC03には,平板電極724,725を介する平板電極733,734間の容量結合が含まれる。
平板電極731,732間及びインダクタンス電極LL11〜LL22間の誘導結合の総和として,インダクタL01が構成される。平板電極732,733間及びインダクタンス電極LL21〜LL32間の誘導結合の総和として,インダクタL02が構成される。平板電極733,734間及びインダクタンス電極LL31〜LL42間の誘導結合の総和として,インダクタL03が構成される。
接続部741,744がそれぞれ,インダクタL1,L2を構成する。
本実施形態では,インダクタンス電極LL12,LL22間(短絡端側),インダクタンス電極LL21,LL31間(開放端側),インダクタンス電極LL32,LL42間(短絡端側)それぞれの間隔が他端側より狭い。その結果,これらがインダクタL51,キャパシタC52,およびインダクタL53で結合している。
(第7の実施形態)
図29は,積層型LCフィルタ80の概念的な回路構成を表す回路図である。
本図に示すように積層型LCフィルタ80は,端子T1,T2,グランド(接地)端子G,インダクタ(インダクタンス素子)L1,L2,L01〜L03,L51,L53,キャパシタC01〜C03,C52,CC01〜CC04,共振器RE11〜RE41,RE12〜RE42を備える。
共振器RE11,RE12,共振器RE21,RE22,共振器RE31,RE32,および共振器RE41,RE42が並列に配置される。
共振器RE11,RE21間がキャパシタC51で容量結合され,共振器RE22,RE32間がインダクタL52で誘導結合され,共振器RE31,RE41間がキャパシタC53で容量結合される。
図30は,積層型LCフィルタ80を構成する基板81〜87を分離した状態を表す分解斜視図である。
基板81〜87の側辺に導体パターン91〜93が,基板81の下面にランドパターン95,96,98が配置される。
基板81は,平板電極811および接続部813の電極パターンを有する。
基板82は,平板電極821〜823の電極パターンを有する。
基板83は,平板電極831〜834の電極パターンを有する。
基板84は,接続部841,842の電極パターンおよびビアホール845〜848を有する。
基板85は,接続部851〜854の電極パターンおよびビアホール855〜858を有する。
基板86は,平板電極861および接続部863の電極パターンおよびビアホール865〜868を有する。
基板87は,特段のパターンを有せず,主として基板86を保護するためのものである。
ビアホール845〜848およびビアホール855〜858はそれぞれ,インダクタンス電極LL11〜LL41を構成し,共振器RE11〜RE41に対応する。ビアホール865〜868はそれぞれ,インダクタンス電極LL12〜LL42を構成し,共振器RE12〜RE42に対応する。
平板電極831,832間およびインダクタンス電極LL11〜LL22間の容量結合の総和として,キャパシタC01が構成される。このキャパシタC01には,平板電極821を介する平板電極831,832間の容量結合が含まれる。
平板電極832,833間およびインダクタンス電極LL21〜LL32間の容量結合の総和として,キャパシタC02が構成される。このキャパシタC02には,平板電極822を介する平板電極832,833間の容量結合が含まれる。
平板電極833,834間およびインダクタンス電極LL31〜LL42間の容量結合の総和として,キャパシタC03が構成される。このキャパシタC03には,平板電極823を介する平板電極833,834間の容量結合が含まれる。
平板電極831,832間およびインダクタンス電極LL11〜LL22間の誘導結合の総和として,インダクタL01が構成される。平板電極832,833間およびインダクタンス電極LL21〜LL32間の誘導結合の総和として,インダクタL02が構成される。平板電極833,834間およびインダクタンス電極LL31〜LL42間の誘導結合の総和として,インダクタL03が構成される。
接続部841,842がそれぞれ,インダクタL1,L2を構成する。
本実施形態では,インダクタンス電極LL11,LL21間(開放端側),インダクタンス電極LL22,LL32間(短絡端側),インダクタンス電極LL31,LL41間(開放端側)それぞれの間隔が他端側より狭い。この結果,これらの間がキャパシタC51,インダクタL52,およびキャパシタC53で結合される。
(積層型LCフィルタの特性)
積層型LCフィルタ10〜50の特性につき説明する。
図31〜34はそれぞれ,積層型LCフィルタ10,20,40,50の減衰率ARの周波数特性の一例を積層型LCフィルタ10X,20X,40X,50Xと比較して表したグラフである。また,図35は,積層型LCフィルタ60の減衰率ARの周波数特性を表したグラフである。図31〜35の横軸が高周波信号の周波数f[GHz],縦軸が減衰率AR[dB]に対応する。図31〜34での実線および破線それぞれのグラフが実施例および比較例の減衰率ARを表す。図35での実線および破線それぞれのグラフが実施例の減衰率ARおよび反射率RRを表す。
減衰率ARは,端子T1から信号を入力したときにおける端子T1での信号強度W1と端子T2から出力される信号強度W2の比(AR=W2/W1)である。反射率RRは,端子T1から信号を入力したときにおける端子T1での信号強度W1と端子T1から出力される信号強度W3の比(RR=W3/W1)である。
このときのインダクタンス電極の間隔は以下の通りである。
・積層型LCフィルタ10 :間隔d1=0.6mm,間隔d2=0.4mm
・積層型LCフィルタ10X:間隔d0=0.6mm
・積層型LCフィルタ20 :間隔d11=d12=0.46mm,間隔d21=d22=0.36mm
・積層型LCフィルタ20X:間隔d01=d02=0.46mm
・積層型LCフィルタ30 :間隔d1=0.5mm,間隔d2=1.0mm
・積層型LCフィルタ30X:間隔d0=1.0mm
・積層型LCフィルタ40 :間隔d11=d12=0.5mm,間隔d21=d22=0.65mm
・積層型LCフィルタ40X:間隔d01=d02=0.65mm
・積層型LCフィルタ50 :間隔d11=d12=0.50mm,間隔d21=d22=0.65mm
図31〜34に示すように,間隔の比R(d2/d1あるいはd21/d11,d22/d12)を1.0から変化することでフィルタの特性が変化している。例えば,間隔の比Rを1.0から0.2程度変化させた場合でも,その特性に明瞭な相違が表れる。
図31に示すように,積層型LCフィルタ10は,積層型LCフィルタ10Xと比較して,周波数帯域が広くなっている。即ち,インダクタンス電極LL12,L22間での誘導結合L51によって,積層型LCフィルタ10では積層型LCフィルタ10Xより広帯域の特性が得られている。
図32に示すように,積層型LCフィルタ20は,積層型LCフィルタ20Xと比較して,周波数帯域が広くなっている。即ち,インダクタンス電極LL12,L20,L32間での誘導結合L51,L52によって,積層型LCフィルタ20では積層型LCフィルタ20Xより広帯域の特性が得られている。
図33に示すように,積層型LCフィルタ40は,積層型LCフィルタ40Xと比較して,周波数帯域は幾分広くなったものの,大きな差は見られない。但し,減衰極での周波数と通過帯域の低周波側での周波数の差W1が積層型LCフィルタ40Xでの周波数差W0より小さくなっている。即ち,通過帯域の低周波側近傍での減衰特性が向上している。
図34に示すように,積層型LCフィルタ50は,積層型LCフィルタ50Xと比較して,周波数帯域が広くなっている。即ち,インダクタンス電極LL12,L20,L32間での容量結合C51,C52によって,積層型LCフィルタ50では積層型LCフィルタ50Xより広帯域の特性が得られている。
図35に示すように,積層型LCフィルタ60は,通過帯域の両側に極P1,P2を有する。これは,積層型LCフィルタ60において,インダクタL51,キャパシタC52の双方によって,インダクタンス電極間での結合がなされることに対応する。
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の第1の実施形態に係る積層型LCフィルタの概念的な回路構成を表す回路図である。 本発明の第1の実施形態に係る積層型LCフィルタの外観を表す図である。 本発明の第1の実施形態に係る積層型LCフィルタの外観を表す図である。 本発明の第1の実施形態に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る積層型LCフィルタの断面状態を表す断面図である。 本発明の第1の比較例に係る積層型LCフィルタの概念的な回路構成を表す回路図である。 本発明の第1の比較例に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第1の比較例に係る積層型LCフィルタの断面状態を表す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る積層型LCフィルタの概念的な回路構成を表す回路図である。 本発明の第2の実施形態に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る積層型LCフィルタの断面状態を表す断面図である。 本発明の第2の比較例に係る積層型LCフィルタの概念的な回路構成を表す回路図である。 本発明の第2の比較例に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第2の比較例に係る積層型LCフィルタの断面状態を表す断面図である。 本発明の第2の実施形態の変形例に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る積層型LCフィルタの概念的な回路構成を表す回路図である。 本発明の第3の実施形態に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る積層型LCフィルタの断面状態を表す断面図である。 本発明の第3の比較例に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第3の比較例に係る積層型LCフィルタの断面状態を表す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る積層型LCフィルタの概念的な回路構成を表す回路図である。 本発明の第4の実施形態に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係る積層型LCフィルタの断面状態を表す断面図である。 本発明の第4の比較例に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第4の比較例に係る積層型LCフィルタの断面状態を表す断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る積層型LCフィルタの概念的な回路構成を表す回路図である。 本発明の第5の実施形態に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第6の実施形態に係る積層型LCフィルタの概念的な回路構成を表す回路図である。 本発明の第6の実施形態に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第7の実施形態に係る積層型LCフィルタの概念的な回路構成を表す回路図である。 本発明の第7の実施形態に係る積層型LCフィルタを構成する多層基板を分離した状態を表す分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る積層型LCフィルタの周波数特性の一例を表すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る積層型LCフィルタの周波数特性の一例を表すグラフである。 本発明の第3の実施形態に係る積層型LCフィルタの周波数特性の一例を表すグラフである。 本発明の第4の実施形態に係る積層型LCフィルタの周波数特性の一例を表すグラフである。 本発明の第5の実施形態に係る積層型LCフィルタの周波数特性の一例を表すグラフである。
符号の説明
11-16 基板
111 平板電極
113 接続部
121,122 平板電極
125,126 接続部
131,132 平板電極
133,134 接続部
135,136 ビアホール
141,142 平板電極
141,142 接続部
145,146 ビアホール
151 平板電極
153 接続部
155,156 ビアホール
91-93 導体パターン
95-97 ランドパターン

Claims (5)

  1. 積層して配置され,互いの境界に少なくとも第1乃至第3の層を有する複数の基板と,
    前記第1の層に配置される一端と,前記第2の層に配置される他端とをそれぞれ有し,第1の間隔で配置される第1,第2のインダクタンス電極と,
    前記第2の層に配置され,かつ前記第1,第2のインダクタンス電極の他端とそれぞれ電気的に接続される一端と,前記第3の層にそれぞれ配置される他端とを有し,前記第1の間隔と異なる第2の間隔で配置される第3,第4のインダクタンス電極と,
    前記第1,第2のインダクタンス電極の一端を電気的に接続する接続部と,
    前記第3,第4のインダクタンス電極の他端を容量結合する結合部と,
    を具備することを特徴とする積層型LCフィルタ。
  2. 前記結合部が,
    前記第3,第4のインダクタンス素子の他端とそれぞれ電気的に接続される第1,第2の平板電極と,
    前記第1,第2の平板電極と対向する第3の平板電極と,を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の積層型LCフィルタ。
  3. 前記第1,第2の平板電極と電気的に接続される第1,第2の端子
    をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の積層型LCフィルタ。
  4. 前記第1の層に配置され,かつ前記接続部と電気的に接続される一端と,前記第3の層に配置される他端とを有する第5のインダクタンス電極,をさらに具備し,
    前記結合部が,前記第3,第4,第5のインダクタンス電極の他端を容量結合する
    ことを特徴とする請求項1記載の積層型LCフィルタ。
  5. 前記第5のインダクタンス電極が,
    前記第2の層に配置され互いに電気的に接続される一端と,前記第3の層に配置され互いに電気的に接続される他端とをそれぞれ有する第6,第7のインダクタンス電極を有する,
    ことを特徴とする請求項4記載の積層型LCフィルタ。
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