以下、本発明の各実施形態について説明する。本明細書において、2つの構成要素について、ある一方向(例えば、行方向)における基準点同士の距離と、当該一方向と直交する方向(例えば、列方向)における基準点同士の距離とを併せて、「ピッチ」という。
(第1の実施形態)
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の回路構成の一例を示す図であり、図1Bは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の回路構成の他の一例を示す図である。
第1の実施形態に係る固体撮像装置は、フォトダイオード(12−1−1〜12−3−1)を含む複数の画素が二次元マトリクス状に配列された画素アレイ領域10を備える。尚、図1A及び図1Bにおいては、画素アレイ領域10を構成する複数の画素のうち、一部のみが示されている。
図1Aは、1つの画素が1つのセルから構成される1画素1セルの固体撮像装置を示している。図1Aに示される固体撮像装置においては、1つの画素は、例えば、フォトダイオード12−1−1と、転送トランジスタ13−1−1と、リセットトランジスタ15−1−1と、増幅トランジスタ14−1−1とを含んでいる。
また、図1Bは、1つの画素が2つのセルから構成される2画素1セルの固体撮像装置を示している。図1Bに示される固体撮像装置においては、1つの画素は、例えば、2つのフォトダイオード12−1−1及び12−2−1と、2つの転送トランジスタ13−1−1及び13−2−1と、リセットトランジスタ15−1−1と、増幅トランジスタ14−1−1とを含んでいる。フォトダイオード12−1−1及び12−2−1は、転送トランジスタ13−1−1及び13−2−1にそれぞれ接続され、2つのフォトダイオード12−1−1及び12−2−1の出力信号は、転送ゲートのON/OFFの切り換えに応じて読み出される。
図1Cは、画素アレイ領域の中心部に配置される画素の断面図である。
図1Cに示されるように、画素は、半導体基板101の表面に形成され、光電変換領域を構成するフォトダイオード110と、フォトダイオード110の表面を覆うように形成される絶縁膜102と、絶縁膜102の表面を覆うように形成される第1金属膜103と、第1金属膜103の表面を覆うように形成される絶縁膜105と、絶縁膜105の表面を覆うように形成され、光電変換領域の上部に開口5が形成される第2金属膜106と、第2金属膜106の開口5を覆うように形成されるカラーフィルタ107と、絶縁膜108と、光電変換領域に光を集光するマイクロレンズ(トップレンズ)109とを含んでいる。尚、画素の所定位置には、金属埋め込み領域(図示せず)が形成される。また、光電変換領域から信号を読み出すための読み出し回路(図示せず)が、画素毎に設けられている。
尚、半導体基板101の表面に複数の金属膜が形成される場合、第2金属膜106は、最上層の金属膜に相当する。最上層に形成される第2金属膜106は、配線としての機能を備えている場合と、配線としての機能はなく、遮光膜としての機能のみを備えている場合とがある。本実施形態においては、第2金属膜106は、いずれの場合であっても良い。
図1Dは、画素アレイ領域の中心部の画素及び周辺部の画素に対する光の入射を説明するための模式図である。
図1Dに示されるように、カメラレンズ111は、フレーム等を介して、固体撮像装置に取り付けられている。カメラレンズ111の中心が、画素アレイ上の中心画素の直上に位置する場合、カメラレンズ111によって集光された光は、画素アレイ中心部の画素には、ほぼ垂直方向から入射するのに対し、画素アレイ領域周辺部の画素には、斜め方向から入射する。
このため、画素アレイ領域周辺部の画素においては、フォトダイオード110により多くの光が入射することができるように、マイクロレンズ109と、第2金属膜106と、カラーフィルタ107と、第1金属膜103とが、それぞれフォトダイオードの中心軸から光源側にずらされている。
図2Aは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置における画素アレイ領域に形成するマイクロレンズ109のレイアウトを示す模式図であり、図2Bは、図2Aに示されるP部分の拡大図である。
上述したように、画素アレイ領域10は、行方向及び列方向の二次元状に配列された複数の画素によって構成されている。ただし、図2A及び図2Bに示されるように、マイクロレンズ109の各々は、行方向及び列方向の二次元状に配列されてはいるが、マイクロレンズ109が配置される配置領域1は、矩形形状(矩形状)ではなく、その外形が4つの曲線から構成されている。より詳細には、マイクロレンズ109の配置領域1は、その外形を構成する4つの曲線の各々が、配置領域1の隣接する頂点同士を結び、かつ、当該隣接する頂点を通過する直線から(画素アレイ領域の中心へ向かって)凹むように構成されている。
なお、矩形形状(矩形状)ではないということは、ピッチが異なって形成されている、または、等ピッチで形成されていない、または、一定ピッチで配置されていない、ということである。
尚、以下においては、画素アレイ領域10の長手方向をH方向(水平方向)といい、H方向と直交する方向をV方向(垂直方向)という。更に、画素アレイ領域10の対角線の一方に沿う方向をD1方向といい、対角線の他方に沿う方向をD2方向という。
図3は、像高と、各像高の画素の最適入射角度との関係を示す図である。図3において、実線は、本実施形態に係るシュリンク(ずらし)方法が適用された場合の像高と最適入射角度との関係を示し、一点鎖線は、従来技術のシュリンク方法が適用された場合の像高と最適入射角度との関係を示す。また、図3においては、カメラレンズによって集光された光の主光線角、上限角及び下限角と、像高との関係が併せて示されている。
図3に示されるように、カメラレンズから出射される光の入射角度は、像高が0からある一定値まで増加するにつれて増加する。しかしながら、像高が当該一定値を超えると、光の入射角度の増加量は、減少する。このように、カメラレンズから出射される光の入射角度と像高とは、比例していないことが把握される。更に、第2金属膜106の開口を通り抜ける光線の上限角と下限角の差は、マイクロレンズ109を通り抜ける光線の上限角と下限角の差よりも大きいことが把握される。
その理由は、図1Dの構造から理解されるように、通常、第2金属膜106は、マイクロレンズ109の外周縁の下方に形成されており、マイクロレンズ109を通り抜ける光線と、第2金属膜106の開口の周縁との間に十分な隙間があるためである。
したがって、固体撮像装置の感度をより向上させるためには、図1Dに示される角度βを角度αよりも十分に大きく設定することが必要である。ここで、角度αは、マイクロレンズ109を通り抜けるの光線の下限角と主光線角の差を表し、角度βは、第2金属膜106の開口を通り抜ける光線の下限角と主光線角の差を表す。
しかしながら、従来のシュリンク方法では、マイクロレンズ109は、画素アレイ領域の全域において一定ピッチで配置されるため、画素の最適入射角度は、像高に比例して増加する。したがって、従来の固体撮像装置においては、カメラレンズの主光線角に対して、画素の最適入射角度が大きくずれてしまう。
これに対して、本実施形態に係るシュリンク方法は、全像高領域において、カメラレンズ入射角度特性と画素の最適入射角度が一致するように、ずらし量を最適化することを特徴とする。その結果、画素アレイ領域のすべての像高において、従来のシュリンク方法と比較して、集光率の向上を実現することができる。
本実施形態に係るレイアウトの特徴として、像高が0%〜A%の範囲では、マイクロレンズ109のピッチは小さくなる。また、像高がA%〜100%の範囲では、マイクロレンズ109のピッチは大きくなる。そこで、像高の高いマイクロレンズ配置領域の4隅付近においては、マイクロレンズ109のピッチが大きくなるため、マイクロレンズ109のレイアウトにおいては、図2Aに示されるように、次の2つの特徴のうち、一方または両方を備える。H方向における隣接頂点間の距離距離BHが、画素アレイの中央の幅AHより大きい。V方向における隣接頂点間の距離距離BVが、画素アレイの中央の高さAVより大きい。ここで、A(%)は、カメラレンズの入射角度特性から決定される値である。
また、本実施の形態では、全像高領域において、マイクロレンズ109の入射角度特性と画素の最適入射角度が完全に一致しなくても、近似的に一致していれば、集光率向上に関して十分な効果が得られる。角度のずれが3°程度までであれば、集光率向上に関して十分な効果が得られる。これ以上のずれが生じると、感度低下を引き起こす原因となる場合がある。
通常、マイクロレンズアレイをCADレイアウトツールを用いて作成する場合、セルを配置する際には、グリッドの最小単位(通常は、0.0005〜0.005μm程度)の制約が存在する。
しかしながら、カメラレンズ特性と画素への最適入射角度とを完全に一致させようとすると、最小単位以下のグリッドに配置させることが必要になる。ただし、通常、最小単位以下のずれの場合、マイクロレンズ入射角度特性と画素の最適入射角度のずれは、0.1°以下であり、集光率へ影響はきわめて小さい。
また、この場合、マイクロレンズ109間のピッチは、CADレイアウトツールによって設定されるため、ステップ状に変化する場合もあり得る。
このようなマイクロレンズ109の配置方法は、固体撮像装置の感度特性を最優先とした場合には、第2金属膜106、カラーフィルタ107に関しても同様に行うことが好ましい。なぜなら、マイクロレンズ109/カラーフィルタ107/第2金属膜106の製造工程のばらつき(位置ずれ、膜厚ばらつきなど)が生じることによって、第2金属膜106がマイクロレンズから入射する光を遮ることがあり得るからである。あるいは、本来光線が通過すべきカラーフィルタ107ではなく、隣接して配置される異なる種類のカラーフィルタ107を通過することによる混色などの問題が生じることも考えられる。
したがって、固体撮像装置の感度、飽和特性を最優先とした場合には、第2金属膜106、カラーフィルタ107に上記マイクロレンズ109と同様の配置方法を適用することによって、これらの問題を解決できる。なお、この場合、従来の方法と同様に、マイクロレンズ109/カラーフィルタ107/第2金属膜106のそれぞれの光源側へのずらし量a、b、cが、a>b>cの関係を満たすことが好ましい。
マイクロレンズ109のレイアウトを作製するための方法として、CADで一括してパターンを描画する方法と、電子線描画装置によってマスク上に所定のパターンを複数回描画する方法とが考えられる。
本実施の形態に係る固体撮像装置には、CADで一括してパターンを描画する方法が適している。なぜなら、本実施の形態では、マイクロレンズ109のピッチをCADレイアウトツールの最小単位(通常0.001μm程度)にて、詳細に制御することが必要であるが、電子線描画装置で所定のパターンを複数回描画する方法では、そのような制御は困難であるからである。
また、一部の矩形形状(矩形状)のレイアウトを電子線描画装置で縮小してマスク上に描画し、他の矩形形状(矩形状)のレイアウトを予めCADで縮小した描画データを作製し、マスク上に描画する方法があり得る。電子線描画装置では、縮小するときの解像度が高い反面、何回も同じマスク上に複数のパターンを描画すると、位置ずれが生じる。一方、CADでは、解像度が低い反面、マスク上での描画回数を低減できるため、位置合わせずれを低減することができる点で利点がある。
ここで、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置における第2金属膜106と、カラーフィルタ107と、マイクロレンズ109の配置との詳細について、すなわち、それぞれのずらし量の詳細について、図3と図4A〜図4Cとを参照しながら説明する。
図4Aは、マイクロレンズ109のずらし量の詳細を示す模式図であり、図4Bは、カラーフィルタ107のずらし量の詳細を示す模式図であり、図4Cは、第2金属膜106のずらし量の詳細を示す模式図である。図4A〜図4Cにおいては、像高がAであるラインが太い一点鎖線によって示されている。
尚、図4A〜図4Cは、図2Aに示された画素アレイ領域の一部となる二点鎖線で示される四角形内のマイクロレンズ109、カラーフィルタ107、第2金属膜106のそれぞれのずらし量、ずらし方向、ずらし方法を示している。
また、二点鎖線で示される四角形以外の画素アレイ領域におけるマイクロレンズ109、カラーフィルタ107、第2金属膜106のそれぞれのずらし量、ずらし方向、ずらし方法は、図4A〜図4Cで示したずらし量、ずらし方向、ずらし方法に対して、水平中心線、垂直中心線と対称となるようにずらし方向を変える以外は同じように行う。
図4A〜図4Cにおいては、説明のために、画素アレイ領域内に配列される画素のうち、いくつかの画素(画素Z、画素AH〜CH、画素AV〜CV、画素AD〜CD)が特定されている。画素Zは、画素アレイ領域の中央部分に配置され、マイクロレンズ109と、カラーフィルタ107と、第2金属膜106とが相互にずらされていない画素を示す。また、画素AH、BH及びCHは、水平方向において、画素Zから周辺部に向かって離れた位置に配置される画素を示す。画素AV、BV及びCVは、垂直方向において、画素Zから周辺部に向かって離れた位置に配置される画素を示す。更に、画素AD、BD及びCDは、斜め方向において、画素Zから周辺部に向かって離れた位置に配置される画素を示す。
尚、図面においては、画素Zを画素アレイ領域の中心部分の画素と想定しているが、マイクロレンズ109と、カラーフィルタ107と、第2金属膜106とが相互にずらされていない画素が、画素アレイ領域の中心以外の画素となる場合も本実施形態に含まれる。
また、図4A〜図4Cにおいて特定される複数の画素のうち、画素Z、AH、BH、AV、BV、CV及びADは、像高0%〜A%の範囲に含まれる画素(一点鎖線で示されるラインの内側に配置される画素)である。画素CH、画素BD及びCDは、像高A%〜100%の範囲に含まれる画素(一点鎖線で示されるラインの外側に配置される画素)である。
図4Aにおいては、太い実線で描かれる四角形によって、フォトダイオードの位置が示され、破線で描かれる四角形によってマイクロレンズ109の位置が示されている。ここで、画素AH、BH及びCHにおけるマイクロレンズ109のずらし量(フォトダイオードの中心とマイクロレンズ109の中心との距離)を、それぞれAH_L、BH_L及びCH_Lと表し、画素AV、BV及びCVにおけるマイクロレンズ109のずらし量を、それぞれAV_L、BV_L及びCV_Lと表し、画素AD、BD及びCDにおけるマイクロレンズ109のずらし量を、それぞれAD_L、BD_L及びCD_Lと表す。
図4Bにおいては、太い実線で描かれる四角形によって、フォトダイオードの位置が示され、破線で描かれる四角形によってカラーフィルタ107の位置が示されている。ここで、画素AH、BH及びCHにおけるカラーフィルタ107のずらし量(フォトダイオードの中心とカラーフィルタ107の中心との距離)を、それぞれAH_F、BH_F及びCH_Fと表し、画素AV、BV及びCVにおけるカラーフィルタ107のずらし量を、それぞれAV_F、BV_F及びCV_Fと表し、画素AD、BD及びCDにおけるカラーフィルタ107のずらし量を、それぞれAD_F、BD_F及びCD_Fと表す。
図4Cにおいては、太い実線で描かれる四角形によって、フォトダイオードの位置が示され、破線で描かれる四角形によって第2金属膜106の位置が示されている。ここで、画素AH、BH及びCHにおける第2金属膜106のずらし量(フォトダイオードの中心と第2金属膜106に形成される開口部の中心との距離)を、それぞれAH_S、BH_S及びCH_Sと表し、画素AV、BV及びCVにおける第2金属膜106のずらし量を、それぞれAV_S、BV_S及びCV_Sと表し、画素AD、BD及びCDにおける第2金属膜106のずらし量を、それぞれAD_S、BD_S及びCD_Sと表す。
また、上記の各ずらし量は、各図に示される式に従い、画素Zの中心201Lから各画素の中心200Lまでの距離(H1、H2、H3、V1、V2、V3)に、所定の係数(LM1〜LM3、LN1〜LN3、LP1〜LP2)を乗ずることによって算出される。尚、当該係数(例えばLM1、LM2等)は、カメラレンズの特性に応じて決定される値である。
まず、図3に示されるように、本実施形態に係る固体撮像装置に搭載されたカメラレンズ特性によれば、カメラレンズを通り抜ける光線の主光線角は、像高が0〜A%の範囲では単調に増加し、像高がA%〜100%の範囲ではほぼ一定である。尚、一般的なカメラレンズの特性では、像高Aは、通常60〜80%の範囲の値である。
そこで、本実施形態に係る固体撮像装置においては、主光線角の変化に対応して、マイクロレンズ109のずらし量が、像高が0〜A%の範囲では単調に増加し、像高がA%以上の範囲ではほぼ一定となるように、マイクロレンズ109にシュリンクが施される。
具体的には、像高が0〜A%である領域に配置される各画素については、各係数(LM1、LM2、LN1、LN2、LN3、LP1)を一定にすることによって、各画素の中心200Lからのマイクロレンズ109の中心201Lのずらし量の絶対値を、像高にほぼ比例させることが可能である。また、像高がA%以上である領域に配置される各画素について、各係数は、次の数1〜数3の関係を満たすように設定される。
(数1)
LM1≒LM2≒LN1≒LN2≒LN3
(数2)
LM1≒LP1>LP2>LP3
(数3)
LM1≒LM2>LM3
各係数の値をこのように設定することによって、本実施形態に係る固体撮像装置においては、像高がAより大きい領域に配置される画素のずらし量(CH_L、BD_L、CD_L、CV_L)を、ほぼ同じにすることができる。
すなわち、各ずらし量CH_L、BD_L、CD_L及びCV_Lは、CH_L≒BD_L≒CD_L≒CV_Lの関係を満たす。また、その他のずらし量は、AH_L<BH_Lと、AV_L<BV_L<CV_Lと、BH_L≦CV_Lと、AD_L≦BD_Lとの関係を満たす。
更に、図4Bに示される各係数は、像高がA%以上である領域に配置される各画素について、次の数4〜数6の関係を満たすように設定される。
(数4)
FM1≒FM2≒FN1≒FN2≒FN3
(数5)
FM1≒FP1>FP2>FP3
(数6)
FM1≒FM2>FM3
各係数の値をこのように設定することによって、本実施形態に係る固体撮像装置においては、像高がAより大きい領域に配置される画素のずらし量(CH_F、BD_F、CD_F、CV_F)を、ほぼ同じにすることができる。
すなわち、各ずらし量CH_F、BD_F、CD_F及びCV_Fは、CH_F≒BD_F≒CD_F≒CV_Fの関係を満たす。また、その他のずらし量はAH_F<BH_Fと、AV_F<BV_F<CV_Fと、BH_F≦CV_Fと、AD_F≦BD_Fとの関係を満たす。
更に、図4Cに示される各係数は、像高がA%以上である領域に配置される各画素について、次の数7〜数9の関係を満たすように設定される。
(数7)
SM1≒SM2≒SN1≒SN2≒SN3
(数8)
SM1≒SP1>SP2>SP3
(数9)
SM1≒SM2>SM3
各係数の値をこのように設定することによって、本実施形態に係る固体撮像装置においては、像高がAより大きい領域に配置される画素のずらし量(CH_S、BD_S、CD_S、CV_S)を、ほぼ同じにすることができる。
すなわち、各ずらし量CH_S、BD_S、CD_S及びCV_Sは、CH_S≒BD_S≒CD_S≒CV_Sの関係を満たす。また、その他のずらし量はAH_S<BH_Sと、AV_S<BV_S<CV_Sと、BH_S≦CV_Sと、AD_S≦BD_Sの関係を満たす。
尚、第1金属膜103もまた、マイクロレンズ109、カラーフィルタ107、第2金属膜106と同様の計算に従って求められたずらし量だけ、フォトダイオードの中心から位置をずらして配置することができる。
(第2の実施形態)
図5Aは、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置におけるマイクロレンズ109のレイアウトを示す模式図であり、図5Bは、図5Aに示されるQ部分の拡大図である。また、図6は、画素アレイ領域の中心部に配置される画素の断面図である。
尚、本実施形態に係る固体撮像装置の回路構成は、図1A及び図1Bに示される第1の実施形態に係るものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
また、本実施形態に係る固体撮像装置の構造は、マイクロレンズ109、カラーフィルタ107及び第2金属膜106のずらし量を除いて、図1Dに示される第1の実施形態におけるものと同様である。すなわち、図1Dと図6とに示されるように、画素は、半導体基板101の表面に形成され、光電変換領域を構成するフォトダイオード110と、フォトダイオード110の表面を覆うように形成される絶縁膜102と、絶縁膜102の表面を覆うように形成される第1金属膜103と、第1金属膜103の表面を覆うように形成される絶縁膜105と、絶縁膜105の表面を覆うように形成され、光電変換領域の上部に開口5が形成される第2金属膜106と、第2金属膜106の開口5を覆うように形成されるカラーフィルタ107と、絶縁膜108と、光電変換領域に光を集光するマイクロレンズ(トップレンズ)109とを含んでいる。尚、画素の所定位置には、金属埋め込み領域(図示せず)が形成される。また、光電変換領域から信号を読み出すための読み出し回路(図示せず)が、画素毎に設けられている。ただし、絶縁膜102、105及び108は、必ずしも同一の材料で構成されている必要はない。例えば、絶縁膜102及び105は、シリコン酸化膜や、シリコン酸窒化膜で構成されても良い。また、絶縁膜108は、アクリル等の樹脂で形成されても良い。接触する2つの絶縁膜の屈折率が相違する場合、当該2つの絶縁膜の界面での入射光の反射が生じ、フォトダイオード110への入射光量が減少する。そこで、接触する2つの絶縁膜の屈折率の差を可能な限り小さくすることが好ましい。一般には、屈折率の差が0.1〜0.3の間であれば、界面での反射によって受ける光量の減少は小さい。
また、半導体基板101の表面に複数の金属膜が形成される場合、第2金属膜106は、最上層の金属膜に相当する。最上層に形成される第2金属膜106は、配線としての機能を備えている場合と、配線としての機能はなく、遮光膜としての機能のみを備えている場合とがある。本実施形態においては、第2金属膜106は、いずれの場合であっても良い。
図5Aに示されるマイクロレンズ109の配置領域2は、矩形形状(矩形状)を有し、行方向及び列方向の二次元状に配列された複数のマイクロレンズ109によって構成されている。
本実施形態に係る固体撮像装置は、マイクロレンズ109の配置領域2を複数の矩形形状(矩形状)の部分領域に分割し、分割された領域毎に、マイクロレンズ109の配置ピッチが設定されている点に特徴を有する。尚、図5Aにおいては、説明の便宜のために、画素アレイ領域を構成する各部分領域を実線によって特定し、方向を一点鎖線によって特定している。
尚、図面においては、画素Zを画素アレイ領域の中心部分の画素と想定しているが、マイクロレンズ109と、カラーフィルタ107と、第2金属膜106とが相互にずらされていない画素が、画素アレイ領域の中心以外の画素となる場合も本実施形態に含まれる。
マイクロレンズ109の配置領域2は、矩形形状(矩形状)を有する9つの部分領域によって構成されている。
より詳細には、マイクロレンズ109の配置領域2は、その中央において、矩形形状(矩形状)に配列される複数の画素を含む部分領域A1-1と、領域A1-1の外方において、矩形形状(矩形状)に配置される複数の画素を含む8つの部分領域A2-1〜A4-4とを含む。
部分領域A2-1及びA2-2は、部分領域A1-1とH方向に整列し、部分領域A1-1と辺で接している。また、部分領域A3-1及びA3-2は、部分領域A1-1とV方向に整列し、部分領域A1-1と辺で接している。部分領域A4-1〜A4-4の各々は、マイクロレンズ109の配置領域2の4隅にそれぞれ配置され、領域A1-1の頂点301〜304の各々と点で接している。
また、本実施形態においては、マイクロレンズ109の配置領域2の中央部に配置される部分領域A1-1は、その頂点301〜304の各々がマイクロレンズ109の配置領域2の対角線上に位置するように構成されている。ただし、部分領域A1-1の各頂点301〜304の位置は、カメラレンズの入射光特性を考慮して決定される。
ここで、マイクロレンズ109の配置領域2を構成する各部分領域におけるマイクロレンズ109のピッチについて説明する。
マイクロレンズ109の各々は、同一の部分領域においては、H方向のピッチ及びV方向のピッチの両方が一定となるように配置されている。ただし、マイクロレンズ109の各々は、隣接する2つの部分領域においては、H方向のピッチ及びV方向のピッチの少なくとも一方が相違するように配置されている。
より具体的には、図5Bに示されるように、まず、マイクロレンズ109の配置領域2の中央部に位置する部分領域A1-1において、マイクロレンズ109の各々は、H方向及びV方向の両方で一定のピッチaで配置されている。ただし、マイクロレンズ109のピッチaは、フォトダイオードが配置されるピッチより小さく設定されている。
次に、マイクロレンズ109の配置領域2の4隅に位置する部分領域A4-1〜A4-4において、マイクロレンズ109のピッチは、H方向及びV方向の両方で一定であるが、部分領域A1-1におけるマイクロレンズ109のピッチより大きく設定される場合が多い。本実施形態においては、図5Bに示されるように、マイクロレンズ109の各々は、H方向及びV方向の両方で一定のピッチbで配置されている。
次に、部分領域A1-1とH方向に隣接する部分領域A2-1及びA2-2において、H方向におけるマイクロレンズ109のピッチは、部分領域A4-1におけるものと同一に設定され、V方向におけるマイクロレンズ109のピッチは、部分領域A1-1と同一に設定されている。すなわち、図5Bに示されるように、マイクロレンズ109の各々は、H方向においては、一定のピッチbで配置され、V方向においては、一定のピッチaで配置されている。
そして、部分領域A1-1とV方向に隣接する部分領域A3-1及びA3-2において、H方向におけるマイクロレンズ109のピッチは、部分領域A1-1におけるものと同一に設定され、V方向におけるマイクロレンズ109のピッチは、部分領域A4-1と同一に設定されている。すなわち、図5Bに示されるように、マイクロレンズ109の各々は、H方向においては、一定のピッチaで配置され、V方向においては、一定のピッチbで配置されている。
図7は、像高と画素の最適入射角度との関係を示す図である。図7において、実線は、本実施形態に係るシュリンク方法が適用された場合の像高と最適入射角度との関係を示し、破線は、従来のシュリンク方法が適用された場合の像高と最適入射角度との関係を示す。また、図7においては、カメラレンズによって集光された光の主光線角、上限角及び下限角と、像高との関係が併せて示されている。
図7に示されるように、カメラレンズから出射される光の入射角度は、像高が0からある一定値まで増加するにつれて増加する。しかしながら、像高が当該一定値を超えると、光の入射角度の増加量は、減少する。このように、カメラレンズから出射される光の入射角度と像高とは、比例していないことが把握される。
従来のシュリンク方法によれば、マイクロレンズ109は、画素アレイ領域の全域において一定ピッチで配置されるため、画素への最適入射角度は、図7の破線によって示されるように、像高に比例して増加する。したがって、従来の固体撮像装置においては、カメラレンズの主光線角に対して、画素への最適入射角度が大きくずれてしまう。
これに対して、本実施形態に係る固体撮像装置においては、カメラレンズから出射される光の入射角度と像高との関係を考慮して、図5Aに示される画素アレイ領域の分割と、分割された部分領域におけるマイクロレンズ109のピッチとが決定される。
より詳細には、カメラレンズからの光入射角度の増加量が変化する像高をZ%とすると、図5Aに示される部分領域A1-1の頂点301〜304の像高をZ%に設定すれば良い。通常、画素アレイ領域のH方向の辺とV方向の辺との比が4:3であるので、Zを60%に設定すれば、Xは36%であり、Yは48%である。
また、各領域におけるマイクロレンズ109のピッチは、像高とカメラレンズの主光線角とに基づいて設定されている。通常は、部分領域A4-1におけるマイクロレンズ109のピッチは、部分領域A1-1におけるマイクロレンズ109のピッチより大きく設定される。したがって、部分領域A1-1のシュリンク率と、部分領域A4-1のシュリンク率とが相違する。
この結果、図7の実線に示されるように、本実施形態に係るシュリンク方法によれば、画素への最適入射角度は、H方向における像高がX以上の領域と、V方向における像高がY以上の領域とにおいて、カメラレンズの主光線角から若干ずれるものの、D1方向及びD2方向(すなわち、画素アレイ領域の対角線方向)においては、カメラレンズの主光線角にほぼ一致する。したがって、本実施形態に係る固体撮像装置は、少なくともD1方向及びD2方向において、画素の集光率を向上することができ、それ故、シェーディングを抑制することができる。
また、本実施形態に係るマイクロレンズ109のシュリンク方法によれば、D1方向及びD2方向において、画素アレイ領域の中心部から周辺部まで、光の入射量に対する集光率が大きくなるが、H方向及びV方向においても、集光率は、従来のシュリンク方法と同等で、悪化していない点で優れている。
マイクロレンズ109のレイアウトを作製するための方法として、CADで一括してパターンを描画する方法と、電子線描画装置によってマスク上に所定のパターンを複数回描画する方法とが考えられる。いずれの方法においても、非常に容易に、描画データ作製とマスク作製とを行うことが可能であり、量産に適用するのに最適である。
また、一部の矩形形状(矩形状)のレイアウトを電子線描画装置で縮小してマスク上に描画し、他の矩形形状(矩形状)のレイアウトを予めCADで縮小した描画データを作製し、マスク上に描画する方法があり得る。電子線描画装置では、縮小するときの解像度が高い反面、何回も同じマスク上に複数のパターンを描画すると、位置ずれが生じる。一方、CADでは、解像度が低い反面、マスク上での描画回数を低減できるため、位置合わせずれを低減することができる点で利点がある。
電子線描画装置、CADの解像度は、それぞれ10nm程度、50nm程度である。また、位置合わせずれは、電子線描画装置では10から100nm程度である。
以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ領域は、複数の矩形形状(矩形状)の部分領域によって構成され、隣接する2つの部分領域において、マイクロレンズ109のピッチが相違する点に特徴を有する。したがって、本実施形態によれば、部分領域毎にマイクロレンズ109のH方向及びV方向のピッチを調節することによって、カメラレンズの入射光特性に応じたシュリンク率を部分画素領域毎に設定することができる。特に、本実施形態に係る固体撮像装置は、D1方向及びD2方向の端部側の画素において、光の入射角度に対してシュリンク率を合わせる場合に適している。
また、本実施形態に係る固体撮像装置のシュリンク方法は、従来技術のシュリンク方法と比較して、レイアウトが容易であるという優れた長所を備えている。更に、複数の領域同士がスムーズに接続されるため、画像特性に優れるという長所も備えている。
尚、本実施形態に係るシュリンク方法は、増幅型固体撮像装置だけでなく、CCD型固体撮像装置に適用することも可能である。本実施形態に係るシュリンク方法が適用されたCCD型固体撮像装置もまた、本実施形態に係る固体撮像装置と同様の効果を奏することが可能である。ただし、本実施形態に係るシュリンク方法は、特に増幅型固体撮像装置に適用された場合により効果的である。その理由は、次の通りである。増幅型固体撮像装置は、電荷検出領域にMOS−FETを有するため、電圧を供給するために複数層(2層以上)の金属配線が必要である。複数層の金属配線によって、マイクロレンズ109とフォトダイオードとの距離が大きくなると、増幅型固体撮像装置においては、CCD型固体撮像装置に比べて、集光が難しくなる。一般的に、マイクロレンズ109とフォトダイオードとの距離が大きくなるほど、フォトダイオードに集光される光量は小さくなる。
また、本実施形態では、画素アレイ領域は、9つの部分領域によって構成されているが、部分画素領域の数は、2以上であれば良い。部分領域の数が10以上の場合には、カメラレンズの主光線角と画素の最適入射角度とをより厳密に一致させることができる。
更に、本実施形態では、画素アレイ領域の中央に配置される部分領域の各頂点は、画素アレイ領域の対角線上に配置されているが、対角線上からずれていても良い。
更に、本実施形態では、部分領域は、画素アレイ領域の中心に対して点対称に配置されているが、画素アレイ領域の中心に対して非対称に配置されていても良い。
更に、本実施形態において、画素のピッチは、特に限定されないが、画素アレイ領域の外周部に配列される画素のピッチが、画素アレイ領域の中心部に配列される画素のピッチより大きくなるように設定されていても良い。
更に、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置において、後述する本発明の第4の実施形態と同様にカップリング容量を考慮すれば、第2金属膜106を一定ピッチで配置することができる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置について説明する。
尚、本実施形態に係る固体撮像装置の回路構成は、図1A及び図1Bに示される第1の実施形態に係るものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
また、本実施形態に係る固体撮像装置の構造は、マイクロレンズ109、カラーフィルタ107及び第2金属膜106のずらし量を除いて、図1Dに示される第1の実施形態におけるものと同様である。すなわち、図1Dに示されるように、画素は、半導体基板101の表面に形成され、光電変換領域を構成するフォトダイオード110と、フォトダイオード110の表面を覆うように形成される絶縁膜102と、絶縁膜102の表面を覆うように形成される第1金属膜103と、第1金属膜103の表面を覆うように形成される絶縁膜105と、絶縁膜105の表面を覆うように形成され、光電変換領域の上部に開口5が形成される第2金属膜106と、第2金属膜106の開口5を覆うように形成されるカラーフィルタ107と、絶縁膜108と、光電変換領域に光を集光するマイクロレンズ(トップレンズ)109とを含んでいる。尚、画素の所定位置には、金属埋め込み領域(図示せず)が形成される。また、光電変換領域から信号を読み出すための読み出し回路(図示せず)が、画素毎に設けられている。
また、半導体基板101の表面に複数の金属膜が形成される場合、第2金属膜106は、最上層の金属膜に相当する。最上層に形成される第2金属膜106は、配線としての機能を備えている場合と、配線としての機能はなく、遮光膜としての機能のみを備えている場合とがある。本実施形態においては、第2金属膜106は、いずれの場合であっても良い。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置におけるマイクロレンズ109のレイアウトを示す模式図である。尚、図8においては、説明の便宜のために、画素アレイ領域を構成する各部分領域を実線によって特定し、方向を一点鎖線によって特定している。
尚、図面においては、画素Zを画素アレイ領域の中心部分の画素と想定しているが、マイクロレンズ109と、カラーフィルタ107と、第2金属膜106とが相互にずらされていない画素が、画素アレイ領域の中心以外の画素となる場合も本実施形態に含まれる。
図8に示されるように、マイクロレンズ109の配置領域3は、矩形形状(矩形状)を有し、3つの矩形形状(矩形状)の領域によって構成されている。より詳細には、マイクロレンズ109の配置領域3は、その中央において、矩形形状(矩形状)に配列される複数の画素を含む部分領域A1-1と、部分領域A1-1の外方において、矩形形状(矩形状)に配置される複数の画素を含む2つの部分領域A2-1及びA2-2とを含む。
部分領域A2-1及びA2-2は、部分領域A1-1とH方向に整列し、部分領域A1-1と辺で接している。また、部分領域A1-1、A2-1及びA2-2の各頂点301〜308は、マイクロレンズ109の配置領域の外周縁上に位置している。ただし、部分領域A1-1の各頂点301〜304の位置は、カメラレンズの入射光特性を考慮して決定される。
ここで、マイクロレンズ109の配置領域3を構成する各領域におけるマイクロレンズ109のピッチについて説明する。
マイクロレンズ109の各々は、同一の部分領域においては、H方向のピッチ及びV方向のピッチの両方が一定となるように配置されている。ただし、マイクロレンズ109の各々は、隣接する2つの部分領域においては、H方向のピッチ及びV方向のピッチの少なくとも一方が相違するように配置されている。
より具体的には、まず、マイクロレンズ109の配置領域3の中央部に位置する部分領域A1-1において、マイクロレンズ109の各々は、H方向及びV方向の両方で一定のピッチで配置されている。ただし、マイクロレンズ109のピッチは、フォトダイオードが配置されるピッチより小さく設定されている。
次に、マイクロレンズ109の配置領域3とH方向に隣接する部分領域A2-1及びA2-2において、H方向におけるマイクロレンズ109のピッチは、部分領域A1-1におけるものと同一であり、V方向におけるマイクロレンズ109のピッチは、部分領域A1-1と異なっている。一般に、部分領域A2-1及びA2-2におけるV方向のマイクロレンズ109のピッチは、部分領域A1-1におけるものより大きく設定される。
図9は、像高と、カメラレンズから入射する光の最適入射角度との関係を示す図である。図9において、実線は、本実施形態に係るシュリンク方法が適用された場合の像高と最適入射角度との関係を示し、破線は、従来のシュリンク方法が適用された場合の像高と最適入射角度との関係を示す。
図9の破線によって示されるように、従来のシュリンク方法によれば、マイクロレンズ109は、画素アレイ領域の全域において一定ピッチで配置されるため、画素への最適入射角度は、像高に比例する。したがって、カメラレンズの主光線角に対して、画素への最適入射角度が大きくずれてしまう。
これに対して、本実施形態に係る固体撮像装置のシュリンク方法によれば、部分領域毎にマイクロレンズ109のピッチが設定されているので、カメラレンズの光入射特性に応じて、部分領域毎にシュリンク率を設定することができる。したがって、図9の実線に示されるように、画素への最適入射角度は、D1方向及びD2方向においては、カメラレンズの光入射特性から若干ずれるものの、V方向及びH方向においては、カメラレンズの光入射特性とほぼ一致する。したがって、本実施形態に係る固体撮像装置は、少なくともV方向及びH方向において、高い集光率を実現することが可能である。
以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置のマイクロレンズ109の配置領域は、複数の矩形形状(矩形状)の部分領域によって構成され、隣接する2つの部分領域において、マイクロレンズ109のピッチが相違する点に特徴を有する。特に、本実施形態に係る固体撮像装置は、H方向及びV方向の端部側の画素において、光の入射角度に対してシュリンク率を合わせる場合に適している。
また、本実施形態に係る固体撮像装置のシュリンク方法は、従来技術のシュリンク方法と比較して、レイアウトが容易であるという優れた長所を備えている。更に、複数の領域同士がスムーズに接続されるため、画像特性に優れるという長所も備えている。
尚、本実施形態に係るシュリンク方法は、増幅型固体撮像装置だけでなく、CCD型固体撮像装置に適用することも可能である。本実施形態に係るシュリンク方法が適用されたCCD型固体撮像装置もまた、本実施形態に係る固体撮像装置と同様の効果を奏することが可能である。ただし、本実施形態に係るシュリンク方法は、特に増幅型固体撮像装置に適用された場合により効果的である。その理由は、次の通りである。増幅型固体撮像装置は、電荷検出領域にMOS−FETを有するため、電圧を供給するために複数層(2層以上)の金属配線が必要である。複数層の金属配線によって、マイクロレンズ109とフォトダイオードとの距離が大きくなると、増幅型固体撮像装置においては、CCD型固体撮像装置に比べて、集光が難しくなる。一般的に、マイクロレンズ109とフォトダイオードとの距離が大きくなるほど、フォトダイオードに集光される光量は小さくなる。
また、本実施形態では、マイクロレンズ109の配置領域は、3つの部分領域によって構成されているが、部分画素領域の数は、2以上であれば良い。部分画素領域の数が4以上である場合、部分画素領域が3つの固体撮像装置と比べて、カメラレンズの主光線角と画素の最適入射角度とをより厳密に一致させることができる。
更に、本実施形態では、マイクロレンズ109の配置領域は、H方向に整列する3つの部分領域によって構成されているが、V方向に整列する複数の部分領域によって構成されていても良い。
更に、本実施形態では、部分領域は、画素アレイ領域の中心に対して点対称に配置されているが、画素アレイ領域の中心に対して非対称に配置されていても良い。
更に、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置において、後述する本発明の第4の実施形態と同様にカップリング容量を考慮すれば、第2金属膜106を一定ピッチで配置することができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置について説明する。
尚、本実施形態に係る固体撮像装置の回路構成は、図1A及び図1Bに示される第1の実施形態に係るものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
また、本実施形態に係る固体撮像装置の構造は、マイクロレンズ109、カラーフィルタ107及び第2金属膜106のずらし量を除いて、図1Dに示される第1の実施形態におけるものと同様である。すなわち、図1Dに示されるように、画素は、半導体基板101の表面に形成され、光電変換領域を構成するフォトダイオード110と、フォトダイオード110の表面を覆うように形成される絶縁膜102と、絶縁膜102の表面を覆うように形成される第1金属膜103と、第1金属膜103の表面を覆うように形成される絶縁膜105と、絶縁膜105の表面を覆うように形成され、光電変換領域の上部に開口5が形成される第2金属膜106と、第2金属膜106の開口5を覆うように形成されるカラーフィルタ107と、絶縁膜108と、光電変換領域に光を集光するマイクロレンズ(トップレンズ)109とを含んでいる。尚、画素の所定位置には、金属埋め込み領域(図示せず)が形成される。また、光電変換領域から信号を読み出すための読み出し回路(図示せず)が、画素毎に設けられている。
また、半導体基板101の表面に複数の金属膜が形成される場合、第2金属膜106は、最上層の金属膜に相当する。最上層に形成される第2金属膜106は、配線としての機能を備えている場合と、配線としての機能はなく、遮光膜としての機能のみを備えている場合とがある。本実施形態においては、第2金属膜106は、いずれの場合であっても良い。
図10Aは、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置におけるマイクロレンズ109のレイアウトを示す模式図であり、図10Bは、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の第2金属膜106を示す図である。尚、図10A及び図10Bにおいては、説明の便宜のために、領域を実線によって特定し、方向を破線によって特定している。
図10Aに示されるように、本実施形態に係る固体撮像装置のマイクロレンズ109の配置領域4には、第1の実施形態と同様に、複数のマイクロレンズ109が配置される。
一方、図10Bに示されるように、第2金属膜106は、複数の開口(図示せず)が、配置単位AS毎に配置される領域A5-1として形成されている。配置単位の各々は、一定のピッチで配置されている。
図11Aは、図10Bに示されるR部分の一例を示す拡大図であり、図11Bは、図10Bに示されるR部分の他の一例を示す拡大図である。
ここで、配置単位ASとは、図11Aに示されるように、1画素から構成される場合と、図11Bに示されるように、数画素から構成される場合とがある。配置単位ASが数画素から構成される場合、配置単位AS内における配置ピッチは、必ずしも一定である必要はない。
このように構成すると、1画素単位で第2金属膜106を配置する場合、CADレイアウトツールの最小単位(通常、0.001μm程度)以下では、第2金属膜106を配置できないのに対して、数画素単位で第2金属膜106を配置する場合は、画素アレイ領域全体で平均すると、レイアウトツールの最小単位以下のピッチで配置することが可能となり、より詳細に配置位置を制御できる。
すなわち、図11Bに示されるように、配置単位ASが9画素から構成される場合には、ピッチa及びbについて、bをa以下に設定すれば、配置単位ASの配置ピッチB(=2a+b)を、配置単位ASが1画素から構成される場合の配置ピッチ3A(=3a)より小さくすることが可能となる。
ここで、マイクロレンズ109のピッチが画素アレイ領域全体では等ピッチに配置されないことに対して、第2金属膜106の開口のピッチが一定に設定されていることについてその詳細を説明する。尚、以下においては、本実施形態の説明のために、図3を援用する。
まず、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置における第2金属膜106と、カラーフィルタ107と、マイクロレンズ109の配置とについて、すなわち、それぞれのずらし量について、図3と図12A〜図12Cとを参照しながら説明する。
図12Aは、マイクロレンズ109のずらし量の詳細を示す模式図であり、図12Bは、カラーフィルタ107のずらし量の詳細を示す模式図であり、図12Cは、第2金属膜106のずらし量の詳細を示す模式図である。図12A〜図12Cにおいては、像高がAであるラインが一点鎖線によって示されている。
尚、図12A〜図12Cは、図10Aに示された画素アレイ領域の一部となる二点鎖線で示される四角形内のマイクロレンズ109、カラーフィルタ107、第2金属膜106のそれぞれのずらし量、ずらし方向、ずらし方法を示している。
また、二点鎖線で示される四角形以外の画素アレイ領域におけるマイクロレンズ109、カラーフィルタ107、第2金属膜106のそれぞれのずらし量、ずらし方向、ずらし方法は、図12A〜図12Cで示したずらし量、ずらし方向、ずらし方法に対して、水平中心線、垂直中心線と対称となるようにずらし方向を変える以外は同じように行う。
図12A〜図12Cにおいては、説明のために、画素アレイ領域内に配列される画素のうち、いくつかの画素(画素Z、画素AH〜CH、画素AV〜CV、画素AD〜CD)が特定されている。画素Zは、画素アレイ領域の中央部分に配置され、マイクロレンズ109と、カラーフィルタ107と、第2金属膜106とがずらされていない画素を示す。また、画素AH、BH及びCHは、水平方向において、画素Zから周辺部に向かって離れた位置に配置される画素を示す。画素AV、BV及びCVは、垂直方向において、画素Zから周辺部に向かって離れた位置に配置される画素を示す。更に、画素AD、BD及びCDは、斜め方向において、画素Zから周辺部に向かって離れた位置に配置される画素を示す。
尚、図面においては、画素Zを画素アレイ領域の中心部分の画素と想定しているが、マイクロレンズ109と、カラーフィルタ107と、第2金属膜106とが相互にずらされていない画素が、画素アレイ領域の中心以外の画素となる場合も本実施形態に含まれる。
また、図12A〜図12Cにおいて特定される複数の画素のうち、画素Z、AH、BH、AV、BV、CV及びADは、像高0%〜A%の範囲に含まれる画素(一点鎖線で示されるラインの内側に配置される画素)である。画素CH、画素BD及びCDは、像高A%〜100%の範囲に含まれる画素(一点鎖線で示されるラインの外側に配置される画素)である。
図12Aにおいては、太い実線で描かれる四角形によって、フォトダイオードの位置が示され、破線で描かれる四角形によってマイクロレンズ109の位置が示されている。ここで、画素AH、BH及びCHにおけるマイクロレンズ109のずらし量(フォトダイオードの中心とマイクロレンズ109の中心との距離)を、それぞれAH_L、BH_L及びCH_Lと表し、画素AV、BV及びCVにおけるマイクロレンズ109のずらし量を、それぞれAV_L、BV_L及びCV_Lと表し、画素AD、BD及びCDにおけるマイクロレンズ109のずらし量を、それぞれAD_L、BD_L及びCD_Lと表す。
図12Bにおいては、太い実線で描かれる四角形によって、フォトダイオードの位置が示され、破線で描かれる四角形によってカラーフィルタ107の位置が示されている。ここで、画素AH、BH及びCHにおけるカラーフィルタ107のずらし量(フォトダイオードの中心とカラーフィルタ107の中心との距離)を、それぞれAH_F、BH_F及びCH_Fと表し、画素AV、BV及びCVにおけるカラーフィルタ107のずらし量を、それぞれAV_F、BV_F及びCV_Fと表し、画素AD、BD及びCDにおけるカラーフィルタ107のずらし量を、それぞれAD_F、BD_F及びCD_Fと表す。
図12Cにおいては、太い実線で描かれる四角形によって、フォトダイオードの位置が示され、破線で描かれる四角形によって第2金属膜106の位置が示されている。ここで、画素AH、BH及びCHにおける第2金属膜106のずらし量(フォトダイオードの中心と第2金属膜106に形成される開口部の中心との距離)を、それぞれAH_S、BH_S及びCH_Sと表し、画素AV、BV及びCVにおける第2金属膜106のずらし量を、それぞれAV_S、BV_S及びCV_Sと表し、画素AD、BD及びCDにおける第2金属膜106のずらし量を、それぞれAD_S、BD_S及びCD_Sと表す。
また、各ずらし量は、各図に示される式に従い、画素Zの中心201Lから各画素の中心までの距離(H1、H2、H3、V1、V2、V3)に所定の係数(LM1〜LM3、LN1〜LN3、LP1〜LP2)を乗ずることによって算出される。尚、当該係数(例えばLM1、LM2等)は、カメラレンズの特性に応じて決定される値である。
まず、図3に示されるように、本実施形態に係る固体撮像装置に搭載されたカメラレンズ特性によれば、カメラを通り抜ける光線の主光線角は、像高が0〜A%の範囲では単調に増加し、像高がA%以上の範囲ではほぼ一定となる。尚、一般的なカメラレンズの特性では、像高Aは、通常60〜80%の範囲の値である。
そこで、本実施形態に係る固体撮像装置においては、主光線角の変化に対応して、マイクロレンズ109のずらし量が、像高が0〜A%の範囲では単調に増加し、像高がA%以上の範囲ではほぼ一定となるように、マイクロレンズ109にシュリンク(ずらし)が施される。
具体的には、像高が0〜A%である領域に配置される各画素については、各係数(LM1、LM2、LN1、LN2、LN3、LP1)を一定にすることによって、各画素の中心200Lからのマイクロレンズ中心201Lのずらし量の絶対値を、像高にほぼ比例させることが可能である。また、像高がA%以上である領域に配置される各画素について、各係数は、次の数10〜数12の関係を満たすように設定される。
(数10)
LM1≒LM2≒LN1≒LN2≒LN3
(数11)
LM1≒LP1>LP2>LP3
(数12)
LM1≒LM2>LM3
各係数の値をこのように設定することによって、本実施形態に係る固体撮像装置においては、像高がAより大きい領域に配置される画素のずらし量(CH_L、BD_L、CD_L、CV_L)を、ほぼ同じにすることが出来る。
すなわち、各ずらし量CH_L、BD_L、CD_L及びCV_Lは、CH_L≒BD_L≒CD_L≒CV_Lの関係が成立する。また、その他のずらし量は、AH_L<BH_Lと、AV_L<BV_L<CV_Lと、BH_L≦CV_Lと、AD_L≦BD_Lとの関係を満たす。
一方、図12Cに示されるように、本実施形態に係る固体撮像装置においては、第2金属膜106のずらし量を設定するための係数は、S1、すなわち、一定の値に設定されている。したがって、第2金属膜106のずらし量は、画素Zから各画素の中心までの距離(H1、H2、H3、V1、V2、V3)に一定の係数S1を乗じた値となる。
その結果、第2金属膜106の各ずらし量は、AH_S<BH_S<CH_Sと、AV_S<BV_S<CV_Sと、AD_S<BD_S<CD_Sとの関係を満たす。
また、本実施形態に係る固体撮像装置においては、カラーフィルタ107のずらし量は、マイクロレンズ109のずらし量と同様に設定される。
すなわち、図3に示されるように、本実施形態に係る固体撮像装置に搭載されたカメラレンズ特性によれば、カメラを通り抜ける光線の主光線角は、像高が0〜A%の範囲では単調に増加し、像高がA%以上の範囲ではほぼ一定となる。尚、一般的なカメラレンズの特性では、像高Aは、通常60〜80%の範囲の値である。
そこで、本実施形態に係る固体撮像装置においては、主光線角の変化に対応して、カラーフィルタ107のずらし量が、像高が0〜A%の範囲では単調に増加し、像高がA%以上の範囲ではほぼ一定となるように、カラーフィルタ107にシュリンクが施される。
具体的には、像高が0〜A%である領域に配置される各画素については、各係数(FM1、FM2、FN1、FN2、FN3、FP1)を一定にすることによって、各画素の中心200Lからのカラーフィルタ107の中心200Fのずらし量の絶対値を、像高にほぼ比例させることが可能である。また、像高がA%以上である領域に配置される各画素について、各係数は、次の数13〜数15の関係を満たすように設定される。
(数13)
FM1≒FM2≒FN1≒FN2≒FN3
(数14)
FM1≒FP1>FP2>FP3
(数15)
FM1≒FM2>FM3
各係数の値をこのように設定することによって、本実施形態に係る固体撮像装置においては、像高がAより大きい領域に配置される画素のずらし量(CH_F、BD_F、CD_F、CV_F)を、ほぼ同じにすることができる。
すなわち、各ずらし量CH_F、BD_F、CD_F及びCV_Fは、CH_F≒BD_F≒CD_F≒CV_Fの関係を満たす。また、その他のずらし量はAH_F<BH_Fと、AV_F<BV_F<CV_Fと、BH_F≦CV_Fと、AD_F≦BD_Fとの関係を満たす。
ただし、本実施形態では、カラーフィルタ107のずらし量は、マイクロレンズ109のずらし量と同様に設定されているが、その他の例として、カラーフィルタ107のずらし量は、第2金属膜106のずらし量と同じ計算に従って設定されても良い。すなわち、カラーフィルタ107のずらし量は、撮像位置Zから各位置の画素中心までの距離(H1、H2、H3、V1、V2、V3)に一定の係数を乗じた値に設定されても良い。
更に、図13Aを参照して、本実施形態のマイクロレンズ109、カラーフィルタ107、第2金属膜106のずらし量の設定方法についての詳細を説明する。
図13Aは、第2金属膜106の開口を通過する光線の角度と像高との関係を示す図である。
マイクロレンズ109は、入射光の集光方向を決定するため、製造工程でのフォトダイオードの位置ずれがそのまま各画素の集光特性に影響を及ぼす。しかしながら、第2金属膜106は、入射光の集光方向には影響を与えないので、入射光を反射または散乱することのないように配置されていれば良い。したがって、第2金属膜106に形成される開口の多少の位置ずれは、許容され得る。
更に、図13Aの破線によって示されるように、第2金属膜106の開口を通過する光線の上限角と下限角との差は、カメラレンズによって集光された光の上限角と下限角との差に比べて、一般的に十分に大きい。したがって、第2金属膜106の開口とマイクロレンズ109との位置ずれが許容範囲内である限り、各画素の集光特性に問題が生じることはない。それ故に、本実施形態に係る固体撮像装置のように、第2金属膜106を開口のピッチが一定の1つの領域によって構成することが可能となるのである。
図13Aによれば、第2金属膜106の開口を通過する光線の上限角と下限角との差は、カメラレンズによって集光された光の上限角と下限角との差より十分に大きいことが把握される。したがって、第2金属膜106のずらし量を設定する際に、第2金属膜106のピッチを等ピッチとしても、マイクロレンズ109から出射される光線は、その上限角から下限角の全範囲に渡って、第2金属膜106によって妨げられることなく、フォトダイオードに入射することができる。このことが、図12Cに示されるように、第2金属膜106のずらし量を設定した理由である。
したがって、第2金属膜106の開口は、画素アレイ領域上において、一定のピッチで形成されていれば良い。よって、第2金属膜106を形成する際のマスクを、複数の領域に分割してマスクを作製する場合と比べて、極めて容易に作製することができる。この場合、マスクパターンを一度に描画することができるので、マスクの位置ずれを防止する観点では、解像度の高い電子線描画装置を用いてマスクを作製することが望ましい。
以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ領域は、マイクロレンズ109のピッチが異なる複数の矩形形状(矩形状)の領域によって構成されている点と、第2金属膜106の開口が一定のピッチで形成されている点とにおいて特徴を有する。
言い換えると、本実施形態に係る固体撮像装置は、画素アレイ領域内のマイクロレンズ109は、ピッチが異なって形成されているのに対して、第2金属膜106は、その開口が一定のピッチで形成されていることに特徴を有する、ということである。
更に、図13B〜図13Dを参照しながら、本実施形態に係る固体撮像装置が、第1の実施形態に係る固体撮像装置と比べて更に利点を有する点について、詳細を説明する。
図13Bは、像高と遮光膜のずれ量との関係を示す図であり、図13Cは、像高と、第1金属膜及び第2金属膜106のカップリング容量との関係を示す図であり、図13Dは、画素アレイ領域の周辺部に配置される画素を模式的に示す断面図である。
まず、本実施形態においては、第2金属膜106は、一定ピッチで配置されている。また、第1金属膜103は、マイクロレンズ109、カラーフィルタ107及び第2金属膜106より、フォトダイオード110に近い位置に形成される。それ故に、第1金属膜103のずらし量が、像高が0〜A%の範囲では単調に増加し、像高がA%以上である場合にはほぼ一定になるように設定されても、第1金属膜103が感度特性の向上に与える影響は、ずらし量が同様に設定されたマイクロレンズ109、カラーフィルタ107及び第2金属膜106が感度特性向上に与える影響と比べて小さい。
更に、後述するレイアウト設計の時間短縮、生産/品種展開の時間短縮、コスト低減を考慮すると、第1金属膜103は、一定ピッチで形成される場合が多い。
一方、第1の実施形態においては、第2金属膜106のずらし量は、図3に示されるようなカメラレンズの特性に合わせて、像高が0〜A%の範囲では単調に増加し、像高がA%以上ではほぼ一定となるように設定されている。したがって、図13Bに示されるように、像高Aの付近では、第2金属膜106のずらし量の変化量が急激に変化する。
このため、第1の実施形態に係る固体撮像装置においては、図13Cに示されるように、第1金属膜103及び第2金属膜106のカップリング容量が、像高Aの付近で急激に変化する場合があり、画素信号を画像として出力した場合には、像高Aの付近で画像が暗く(もしくは、明るく)なるという画像劣化が生じることが考えられる。
その理由は、次の通りである。一般的に金属膜(金属配線層)は、固体撮像装置のフォトダイオードの蓄積電荷を電位に変換し、変換された電位を保持する役割を有し、第2金属膜106は、電位保持もしくは接地のための配線として使用される場合がある。それ故に、第2金属膜106と第1金属膜103との間には、カップリング容量が存在する。第2金属膜106が第1金属膜103から大きくずらして配置されると、画素の位置によっては、第2金属膜106と第1金属膜103との相対的な位置関係が急激に変化し、それにより、カップリング容量が変化する場合がある。
これに対して、本実施形態に係る固体撮像装置は、第2金属膜106は、一定ピッチで配置される点に特徴を有している。したがって、第2金属膜106及び第1金属膜103のカップリング容量は、緩やかに線形に変化する。よって、本実施形態に係る固体撮像装置においては、画素信号が画像として出力された場合に、像高Aの付近で画像が暗く(もしくは、明るく)なるという画像劣化を抑制することが可能となる。
更に、本実施形態に係る固体撮像装置においては、第1金属膜103のレイアウトが規定されたフォトマスクを形成する際におけるレイアウト設計の時間を短縮することができ、更に、生産/品種展開に要する時間を短縮することができるため、コストを低減することも可能となる。
尚、本実施形態では、第1金属膜103は、第2金属膜106と同じ計算に従って、すなわち、金属膜のずらし量を設定するための係数を一定の値として、一定ピッチで配置することができる。
また、本実施形態に係るシュリンク方法は、増幅型固体撮像装置だけでなく、CCD型固体撮像装置に適用することも可能である。本実施形態に係るシュリンク方法が適用されたCCD型固体撮像装置もまた、本実施形態に係る固体撮像装置と同様の効果を奏することが可能である。ただし、本実施形態に係るシュリンク方法は、特に増幅型固体撮像装置に適用された場合により効果的である。その理由は、増幅型固体撮像装置は、電荷検出領域にMOS−FETを有するため、電圧を供給するために複数層(2層以上)の金属配線が必要であり、金属配線に光が遮られるなどの理由により、CCD型固体撮像装置に比べて、集光が難しいためである。また、一般的に、マイクロレンズ109とフォトダイオードとの距離が大きくなるほど、フォトダイオードに集光される光量は小さくなる。