JP2007286153A - 撮像レンズ、撮像レンズを備えた撮像装置及び撮像装置を備えた携帯端末 - Google Patents

撮像レンズ、撮像レンズを備えた撮像装置及び撮像装置を備えた携帯端末 Download PDF

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Abstract

【課題】小型で広画角を確保できるとともに、諸収差が良好に補正され、高画素の撮像素子に対応可能な撮像レンズ、撮像装置及び携帯端末を提供する。
【解決手段】物体側から順に、開口絞り、正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第2レンズ、正の屈折力を有する第3レンズ、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第4レンズからなり、撮像レンズ全系の焦点距離に対して第2レンズの像側面の曲率半径を適切な範囲に設定することを特徴とする撮像レンズ、撮像装置及び携帯端末
【選択図】図4

Description

本発明は、撮像素子に光を導くことのできる撮像レンズ及び撮像装置に関し、さらに撮像装置を備えた携帯端末に関する。
従来、小型で薄型の撮像装置が、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等携帯端末に搭載されるようになり、これにより遠隔地へ音声情報だけでなく画像情報も相互に伝送することが可能となっている。これらの撮像装置に使用される撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等が使用される。
近年、これら携帯端末の普及の増大に伴い、より高画質の画像が得られるように、高画素数の撮像素子を使用した撮像装置が搭載されたものが市場に供給されつつある。この撮像装置は、高画素数の撮像素子に対応して、解像度の向上を目的として複数枚のレンズで構成された撮像レンズが用いられているものがある。このような高画素の撮像装置に対応した撮像レンズとして、2枚または3枚のレンズ構成に比べ、より高性能化が可能な4枚レンズ構成の撮像レンズが提案されている。
4枚レンズ構成の撮像レンズとして、特許文献1には、物体側より順に正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有する第2レンズ、正の屈折力を有する第3レンズ、正の屈折力を有する第4レンズで構成して高性能化を目指した、所謂、逆エルノスタータイプの撮像レンズが開示されている。また、特許文献2乃至4には、物体側より順に正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有する第2レンズ、正の屈折力を有する第3レンズ、負の屈折力を有する第4レンズで構成して、撮像レンズ全長の小型化を目指した、所謂、テレフォトタイプの撮像レンズが開示されている。
特開2004−341013号公報 特開2002−365529号公報 特開2002−365530号公報 特開2002−365531号公報
しかしながら、特許文献1に記載の撮像レンズは、逆エルノスタータイプであるため、第4レンズが正レンズであり、テレフォトタイプのように第4レンズが負レンズの場合にくらべ、光学系の主点位置が像側になりバックフォーカスが長くなるため、小型化には不利なタイプである。更に、4枚レンズのうち負の屈折力を有するレンズが1枚であり、ペッツバール和の補正が困難で、画面周辺部では良好な性能を確保できていない。また、特許文献2乃至4に記載の撮像レンズは、撮像画角が狭いことに加え収差補正が不十分で、更に全長を短縮化すると、性能の劣化による撮像素子の高画素化に対応することが困難となる。
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、小型で広画角を確保できるとともに、諸収差が良好に補正され、高画素数の撮像素子に対応可能な撮像レンズ、撮像装置及び携帯端末を提供することを目的とするものである。
上記の課題は次の構成により解決される。
1. 被写体からの光を撮像素子上に結像させる撮像レンズにおいて、
物体側から順に、開口絞り、正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第2レンズ、正の屈折力を有する第3レンズ、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第4レンズからなり、
前記第2レンズの像側の面の曲率半径をr4、撮像レンズ全系の焦点距離をfで表すとき、
0.2<r4/f<0.6
の関係を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
2. 前記第2レンズの像側の面は非球面であり、該非球面が光軸から周辺に離れるに従って負の屈折力が弱くなる形状であることを特徴とする1に記載の撮像レンズ。
3. 前記第4レンズの像側の面は非球面であり、該非球面が光軸から周辺に離れるに従って負の屈折力が弱くなりレンズ周辺部で変曲点を有する形状であることを特徴とする1または2に記載の撮像レンズ。
4. 前記第3レンズの像側の面は非球面であり、該非球面が光軸から周辺に離れるに従って正の屈折力が弱くなる形状であることを特徴とする1乃至3のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
5. 前記第1レンズと前記第2レンズの合成焦点距離をf12で表すとき、
0.8<f12/f<3
の関係を満たすことを特徴とする1乃至4のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
6. 前記第3レンズの像側の面の曲率半径をr6、前記第4レンズの像側の面の曲率半径をr8で表すとき、
−1.5<r8/r6<−0.2
の関係を満たすことを特徴とする1乃至5のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
7. 前記第1レンズのアッベ数をν1、前記第2レンズのアッベ数をν2で表すとき、
20<ν1−ν2<65
の関係を満たすことを特徴とする1乃至6のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
8. 前記撮像レンズのうち、少なくとも1枚のレンズはプラスチック材料から形成されていることを特徴とする1乃至7のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
9. 1乃至8のいずれか1項に記載の撮像レンズと、前記撮像レンズを内包し、被写体からの光が入射する開口部を有する遮光性材料で形成された筐体と、前記撮像レンズによって導かれた光を受光する撮像素子を保持するとともに電気信号の送受を行うための接続端子部が形成された基板とを備えることを特徴とする撮像装置。
10. 前記撮像装置の光軸方向の長さが10mmを越えないことを特徴とする9に記載の撮像装置。
11. 9または10に記載の撮像装置を備えたことを特徴とする携帯端末。
本発明は、物体側から順に、開口絞り、正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第2レンズ、正の屈折力を有する第3レンズ、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第4レンズからなり、撮像レンズ全系の焦点距離に対して第2レンズの像側面の曲率半径を適切な範囲に設定することにより、小型で広画角を確保できるとともに、諸収差が良好に補正された撮像レンズ、撮像装置及び携帯端末を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図1、図2に基づいて説明する。図1は本実施形態である撮像装置としての撮像ユニット50の斜視図を示し、図2は撮像ユニット50の撮像レンズの光軸に沿った断面図である。
撮像ユニット50は、図2に示すように、物体側からの光入射用の開口部を有し遮光部材からなる鏡筒としての筐体53と、撮像素子としてのCCD型イメージセンサ51と、このイメージセンサ51に被写体像を結像させる撮像レンズ10と、イメージセンサ51を保持するとともにその電気信号の送受を行う外部接続用端子54(図1を参照)を有する基板52とを備え、これらが一体的に形成されている。なお、撮像素子はCCD型のイメージセンサに限定されるものではなく、CMOS等の他のものを使用しても良い。
基板52は支持平板52aとフレキシブル基板52bとを備える。支持平板52aは、その一平面上でイメージセンサ51と、赤外線カットフィルタ等のフィルタFを保持する保持枠22を介して筐体53とを支持する。フレキシブル基板52bは、支持平板52aの背面(イメージセンサ51と反対側の面)にその一端部が接続され、支持平板52aを介して、イメージセンサ51に接続している。なお、支持平板52aと外部接続用端子54との接続について、フレキシブル基板52bを介さずに、支持平板52aを外部接続用端子54に直接に接続し、外部接続用端子54を携帯端末側のソケット部に差し込み、ソケット部に形成されたコネクタ部に接続するようにしてもよい。
次に、筐体53及び撮像レンズ10について説明する。筐体53は外筒55と内筒21とを備える。外筒55が支持平板52a上において保持枠22を介してイメージセンサ51を囲むように接着により固定保持され、内筒21が後述する撮像レンズ10の開口絞りS、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4を固定保持している。そして、内筒21は、外筒55の内側に螺入されて、撮像レンズ10のレンズバックを調整した後に外筒55に固定保持される。なお、内筒21に設けられた開口絞りSは撮像レンズのFナンバーを決定する。
内筒21の内部には、レンズL1、L2、L3、L4が収容されている。レンズL1、L2、L3には、光軸から所定範囲までが撮像レンズとしての機能を有する有効径の範囲を規定する遮光マスク24、25、26がそれぞれに配設され、レンズL1、L2、L3、L4の有効径より外側の部分には、相互にレンズを保持するフランジ部が設定されている。そして、第1レンズL1のフランジ部が第2レンズL2のフランジ部に嵌め込まれ、第1レンズL1と第2レンズL2とは相互の光軸を精度よく一致させられる。同様に、第2レンズL2が第3レンズL3のフランジ部に嵌め込まれ、第2レンズL2と第3レンズL3とは相互の光軸を一致させ、さらに、第3レンズL3が第4レンズL4のフランジ部に嵌め込まれ、第3レンズL3と第4レンズL4とは相互の光軸を一致させられる。このように撮像レンズ10は、各レンズL1、L2、L3、L4の光軸を一致させて、また内筒21の物体側端部で第1レンズL1が光軸方向に押し当てられて、第4レンズL4が内筒21に嵌合した状態で接着剤により固定保持される。
上述した撮像ユニット50の使用態様について説明する。図3は、撮像ユニット50を装備した携帯端末としての携帯電話機100における制御ブロック図である。携帯電話機100は、各部を統括的に制御するとともに、各処理に応じたプログラムを実行する制御部(CPU)101と、電話番号等をキーにより指示入力するための入力部60と、所定のデータの他に撮像した映像等を表示する表示部70と、外部サーバとの間の各種情報通信を実現するための無線通信部80と、携帯電話機100のシステムプログラムや各種処理プログラム及び端末ID等の必要な諸データを記憶している記憶部(ROM)91と、制御部101によって実行される各種処理プログラムやデータ、若しくは処理データ、或いは撮像ユニット50により撮像データ等を一時的に格納する作業領域として用いられる一時記憶部(RAM)92とを備えている。そして、撮像ユニット50から入力された画像信号は、制御部101の指示により、一時記憶部92に記憶され、或いは表示部70で表示され、さらには、無線通信部80を介して映像情報として外部に送信される。
次に、撮像レンズの構成について図4乃至図10に基づいて説明する。
撮像レンズ10の第1実施形態を図4に示す。図4の撮像レンズは、物体側から順に、開口絞りS、両凸形状の正の屈折力を有する第1レンズL1、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第2レンズL2、像側に凸面を向けたメニスカス形状の正の屈折力を有する第3レンズL3、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第4レンズL4から構成される。ローパスフィルタ、IRカットフィルタ及びカバーガラスに等価な平行平板Fが撮像レンズの像側にある。なお、後述する実施形態においても、同様の平行平板Fが撮像レンズの像側に配置されているものとする。
第1レンズL1、第3レンズL3及び第4レンズL4は、ポリオレフィン系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.01%以下であり、第2レンズL2は、ポリカーボネイト系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.4%である。
第2実施形態を図5に示す。図5の撮像レンズは、物体側から順に、開口絞りS、両凸形状の正の屈折力を有する第1レンズL1、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第2レンズL2、像側に凸面を向けたメニスカス形状の正の屈折力を有する第3レンズL3、両凹形状の負の屈折力を有する第4レンズL4から構成される。
第1レンズL1はガラスレンズ、第2レンズL2は、ポリカーボネイト系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.4%であり、第3レンズL3及び第4レンズL4は、ポリオレフィン系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.01%以下である。
第3実施形態を図6に示す。図6の撮像レンズは、物体側から順に、開口絞りS、両凸形状の正の屈折力を有する第1レンズL1、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第2レンズL2、像側に凸面を向けたメニスカス形状の正の屈折力を有する第3レンズL3、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第4レンズL4から構成される。
第1レンズL1、第3レンズL3及び第4レンズL4は、ポリオレフィン系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.01%以下であり、第2レンズL2は、ポリカーボネイト系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.4%である。
第4実施形態を図7に示す。図7の撮像レンズは、物体側から順に、開口絞りS、両凸形状の正の屈折力を有する第1レンズL1、両凹形状の負の屈折力を有する第2レンズL2、両凸形状の正の屈折力を有する第3レンズL3、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第4レンズL4から構成される。
第1レンズL1及び第4レンズL4は、ポリオレフィン系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.01%以下であり、第2レンズL2は、ポリカーボネイト系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.4%であり、第3レンズL3はガラスレンズである。
第5実施形態を図8に示す。図8の撮像レンズは、物体側から順に、開口絞りS、両凸形状の正の屈折力を有する第1レンズL1、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第2レンズL2、両凸形状の正の屈折力を有する第3レンズL3、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第4レンズL4から構成される。
第1レンズL1及び第3レンズL3は、ポリオレフィン系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.01%以下であり、第2レンズL2及び第4レンズL4は、ポリカーボネイト系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.4%である。
第6実施形態を図9に示す。図9の撮像レンズは、物体側から順に、開口絞りS、両凸形状の正の屈折力を有する第1レンズL1、両凹形状の負の屈折力を有する第2レンズL2、像側に凸面を向けたメニスカス形状の正の屈折力を有する第3レンズL3、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第4レンズL4から構成される。
第1レンズL1、第3レンズL3及び第4レンズL4は、ポリオレフィン系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.01%以下であり、第2レンズL2は、ポリカーボネイト系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.4%である。
第7実施形態を図10に示す。図10の撮像レンズは、物体側から順に、開口絞りS、両凸形状の正の屈折力を有する第1レンズL1、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第2レンズL2、両凸形状の正の屈折力を有する第3レンズL3、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第4レンズL4から構成される。
第1レンズL1、第3レンズL3及び第4レンズL4は、ポリオレフィン系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.01%以下であり、第2レンズL2は、ポリカーボネイト系のプラスチック材料から形成され、飽和吸水率が0.4%である。
上述の第1乃至第7実施形態の撮像レンズの各レンズは非球面を有するが、特に、第2レンズL2は、像側面の非球面が光軸から周辺に離れるに従って負の屈折力が弱くなる形状であり、第3レンズL3は、像側面の非球面が光軸から周辺に離れるに従って正の屈折力が弱くなる形状であり、第4レンズL4は、像側面の非球面が光軸から周辺に離れるに従って負の屈折力が弱くなり、軸外光束が通過するレンズ周辺部で変曲点を有する形状である。
ここまで説明した各実施形態の撮像レンズは、物体側から順に、開口絞りS、正の屈折力を有する第1レンズL1、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第2レンズL2、正の屈折力を有する第3レンズL3、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第4レンズL4からなる構成である。
この構成により、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3の合成屈折力が正となり、像側に凹面を向けた負の第4レンズL4を配置することにより、いわゆるテレフォトタイプになり、撮像レンズ全長を小型化することができる。さらに、撮像レンズを構成する4枚のレンズのうち2枚を負レンズとすることで、発散作用を有する面を多くして、ペッツバール和の補正を容易とし、広画角でありながら画面周辺部まで良好な結像性能を確保した撮像レンズを得ることができる。また、最も物体側に開口絞りを配置することにより、射出瞳位置を撮像面からより遠くに離すことができ、撮像面の周辺部に結像する光束の主光線入射角度(主光線と光軸のなす角度)を小さく抑えることができ、所謂テレセントリック特性を確保することができる。また、機械的なシャッタを必要とする場合においても、最も物体側に配置する構成にすることができ全長の短い撮像レンズを得ることが可能となる。
さらに、第2レンズL2の像側の面は、下記の式1を満足するような強い発散面とすることで、正の屈折力を有する第1レンズL1で発生した軸上色収差を第2レンズL2で良好に補正することができる。
0.2<r4/f<0.6 ・・・式1
ただし、r4は第2レンズL2の像側の面の曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
式1の下限を上回ることで、第2レンズL2の像側面の曲率半径が小さくなりすぎることがなく、加工性を損なわない。逆に、式1の上限を下回ることで、ペッツバール和を小さく保ちながら色収差を良好に補正することができる。
式1に代えて、式1’の関係を満たすようにすると一層好ましい。
0.3<r4/f<0.6 ・・・式1’
また、第2レンズL2の像側面が非球面であり、該非球面が光軸から周辺に離れるに従って負の屈折力が弱くなる形状であることにより、撮像面の周辺部に結像する光束が過度に跳ね上げられることがなくなり、第2レンズL2の像側光束のテレセントリック特性が確保しやすくなる。
また、第4レンズL4の像側面が非球面であり、該非球面が光軸から周辺に離れるに従って負の屈折力が弱くなりレンズ周辺部で変曲点を有する形状であることにより、第4レンズL4の像側光束のテレセントリック特性が確保しやすくなり、また、第2レンズL2の像側面のレンズ周辺部において過度に負の屈折力を弱くする必要がなくなり、軸外収差を良好に補正することが可能となる。なお、「変曲点」とは、有効半径内でのレンズ断面形状の曲線において、非球面頂点の接平面が光軸と垂直な平面となるような非球面上の点のことである。
また、第3レンズL3の像側面が非球面であり、該非球面が光軸から周辺に離れるに従って正の屈折力が弱くなる形状であることにより、第3レンズL3の像側面における入射光線と射出光線とのなす角度、所謂、偏角を小さく保つことができ、撮像面の周辺部に結像する光束の軸外収差を小さく抑えることが可能となる。
また、次の式2の関係を満たす構成にすると良い。
0.8<f12/f<3 ・・・式2
ただし、f12は第1レンズL1と前記第2レンズL2の合成焦点距離である。
式2は、第1レンズL1と第2レンズL2の屈折力を適切に設定するものである。式2の下限を上回ることで、第1レンズL1の正の屈折力が必要以上に大きくなりすぎず、第1レンズL1で発生する高次の球面収差やコマ収差を、第2レンズL2の負の屈折力を過度に大きくしなくても、小さく抑えることができる。逆に、式2の上限を下回ることで、第1レンズL1の正の屈折力と第2レンズL2の負の屈折力を適度に維持することができ、撮像レンズ全長の短縮が可能となる。
式2に代えて、式2’の関係を満たすようにすると一層好ましい。
1.2<f12/f<3 ・・・式2’
また、次の式3の関係を満たす構成にすると良い。
−1.5<r8/r6<−0.2 ・・・式3
ただし、r6は第3レンズL3の像側の面の曲率半径、r8は第4レンズL4の像側の面の曲率半径である。
式3は、撮像レンズ全系の像面湾曲収差を良好に補正する条件である。式3の下限を上回ることで、第3レンズL3の像側の凸面の屈折力が強くなりすぎることなく、像面がアンダーに湾曲しすぎることを防ぎ、また、第3レンズL3の像側面の曲率半径が小さすぎることがなく、加工性を損なわない。逆に、式3の上限を下回ることで、第4レンズL4の像側の凹面の屈折力が強くなりすぎることなく、像面がオーバーに湾曲しすぎることを防ぎ、また、第4レンズL4の像側面の曲率半径が小さすぎることがなく、加工性を損なわない。
式3に代えて、式3’の関係を満たすようにすると一層好ましい。
−1.3<r8/r6<−0.5 ・・・式3’
また、次の式4の関係を満たす構成にすると良い。
20<ν1−ν2<65 ・・・式4
ただし、ν1は第1レンズL1のアッベ数、ν2は第2レンズL2のアッベ数である。
式4は、撮像レンズ全系の色収差を良好に補正する条件である。式4の下限を上回ることで、軸上色収差、倍率色収差をバランス良く補正することができる。逆に、式4の上限を下回ることで、入手しやすい硝材で構成することができる。
式4に代えて、式4’の関係を満たすようにすると一層好ましい。
25<ν1−ν2<65 ・・・式4’
また、撮像レンズのうち、少なくとも1枚のレンズはプラスチック材料から形成されていると良い。撮像面サイズの小さい撮像素子向けの撮像レンズは、全系の焦点距離を比例的に短くする必要があるため、各レンズの曲率半径や外径がかなり小さくなってしまう。従って、研磨加工により製造されるガラスレンズでは加工が困難となる。また、小径レンズを製造するのにガラスモールドがあるが、一般にガラス転移点(Tg)が高いガラスではモールドプレスを行う際のプレス温度を高く設定する必要があり、成形金型に損耗が生じやすい。その結果、成形金型の交換回数やメンテナンス回数が増加し、コストアップにつながってしまう。したがって、撮像レンズの少なくとも1枚は、射出成形により製造されるプラスチックレンズで構成することにより、曲率半径や外径の小さなレンズであっても大量生産が可能となり、また、非球面化が容易なため、収差補正上も有利である。なお、「プラスチック材料から形成されている」とは、プラスチック材料を母材として、その表面に反射防止や表面硬度向上を目的としてコーティング処理を行った場合を含むものとする。
さらに、プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べ、飽和吸水率が大きいため、急激な湿度変化があると過渡的に吸水量の不均一分布が発生し、屈折率が均一にならず良好な結像性能が得られなくなる傾向にあるので、湿度変化による性能劣化を抑えるためには、飽和吸水率が0.7%以下のプラスチック材料を用いることが望ましい。
また、プラスチックレンズは、温度変化時の屈折率変化が大きいため、周囲温度が変化した際に、撮像レンズ全系の像点位置が変動してしまうという問題を抱えてしまう。そこで、第2実施形態に示すように、正屈折力の第1レンズL1をガラス材料にて形成されるレンズ(例えばガラスモールドレンズ)とし、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4をプラスチックレンズとし、かつ第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4で温度変化時の像点位置変動を相殺するような屈折力配分とすることで、像点位置変動を軽減することができる。これは、第4実施形態に示す、正屈折力の第3レンズL3をガラス材料にて形成し、他のレンズをプラスチックレンズとしても同様の効果が得られる。なお、ガラスモールドレンズを用いる場合は、成形金型の消耗をできるだけ防ぐために、ガラス転移点(Tg)が400℃以下のガラス材料を使用するのが望ましい。
また、撮像レンズをプラスチックレンズで構成する場合には、正屈折力の第1レンズL1、第3レンズL3のうちの1枚、またはすべてのプラスチックレンズ(L1からL4)に、酸化ニオブ(Nb25)等の無機粒子を分散させたプラスチック材料を用いるのが望ましい。この構成により、撮像レンズ全系の温度変化時の像点位置変動を小さく抑えることができる。
詳細に説明すると、一般に透明なプラスチック材料に無機の微粒子を混合させると、光の散乱が生じ透過率が低下するため、光学材料として使用することは困難であったが、微粒子の大きさを透過光束の波長より小さくすることにより、散乱が実質的に発生しないようにできる。プラスチック材料は温度が上昇することにより屈折率が低下してしまうが、無機粒子は温度が上昇すると屈折率が上昇する。そこで、これらの温度依存性を利用して互いに打ち消しあうように作用させることにより、屈折率変化がほとんど生じないようにすることができる。具体的には、母材となるプラスチック材料に最大長が20ナノメートル以下の無機粒子を分散させることにより、屈折率の温度依存性のきわめて低いプラスチック材料となる。例えばアクリル(PMMA樹脂)に酸化ニオブ(Nb25)の微粒子を分散させることで、温度変化による屈折率変化を小さくすることができる。
屈折率の温度変化をAで表わすと、屈折率の温度変化Aは、ローレンツ・ローレンツの式に基づいて、屈折率nを温度tで微分することにより、数1で表される。
Figure 2007286153
ただし、αは線膨張係数、[R]は分子屈折である。
プラスチック素材の場合は、一般に数1の式の第1項に比べ第2項の寄与が小さく、ほぼ無視できる。例えば、PMMA樹脂の場合、線膨張係数αは7×10-5であり、上記式に代入すると、A=−1.2×10-4/℃となり、実測値とおおむね一致する。具体的には、従来は−1.2×10-4/℃程度であった屈折率の温度変化Aを、絶対値で8×10-5/℃未満に抑えることが好ましい。好ましくは絶対値で6×10-5/℃未満にすることが好ましい。
本発明で適用可能なプラスチック材料の屈折率の温度変化Aを表1に示す。
Figure 2007286153
ここで、第1実施形態を例にとり、無機粒子を分散させたプラスチックレンズを使用した場合と使用しない場合の温度変化時の像点位置変動、つまりバックフォーカス変化量の違いを示す。まず、無機粒子を分散させたプラスチックレンズを使用しない場合の常温(20℃)に対し+30℃上昇させた時のバックフォーカス変化量は、+0.025mm、−30℃下降させた時のバックフォーカス変化量は、−0.024mmとなる。次に、第1レンズL1及び第3レンズL3に無機粒子を分散させたプラスチック材料を使用し、第2レンズL2及び第4レンズL4は無機粒子を含まないプラスチックレンズとした場合の、温度による屈折率ndの変化を表2に示す。
Figure 2007286153
これより、常温(20℃)に対し+30℃上昇させた時のバックフォーカス変化量(ΔfB)は、第1レンズL1及び第3レンズL3がA=−8×10-5/℃のとき+0.010mm、第1レンズL1及び第3レンズL3がA=−6×10-5/℃のとき+0.001mm、−30℃下降させた時のバックフォーカス変化量は、第1レンズL1及び第3レンズL3がA=−8×10-5/℃のとき−0.010mm、第1レンズL1及び第3レンズL3がA=−6×10-5/℃のとき−0.001mmとなる。
これより、無機粒子を全く含まない場合と比較し、第1レンズL1及び第3レンズL3に無機粒子を分散させたプラスチック材料を使用し、A=−6×10-5/℃の場合は、温度変化時のバックフォーカス変化量が非常に小さく抑えられていることが分かる。また、第1レンズL1から第4レンズL4のそれぞれに異なった屈折率の温度変化Aの値を持つ無機粒子を分散させたプラスチック材料を使用してもよく、その場合は、それぞれのレンズの温度変化時の像点位置変動の寄与の大きさを考慮して、最適なAの値を選択することによって、撮像レンズ全体で温度変化時の像点位置変動がまったく生じないようにすることも可能となる。
また、第4実施形態では、正屈折力の第3レンズL3をガラスモールドレンズとし、正屈折力の第1レンズL1、負屈折力の第2レンズL2、及び負屈折力の第4レンズL4をプラスチックレンズとし、かつ第1レンズL1、第2レンズL2及び第4レンズL4とで温度変化時の像点位置変動をある程度相殺するような屈折力配分とすることで、温度変化時のバックフォーカス変化量を小さくしており、常温(20℃)に対し+30℃上昇させた時のバックフォーカス変化量は+0.006mm、−30℃下降させた時のバックフォーカス変化量は−0.006mmである。このことにより、温度変化時のバックフォーカス変化量が非常に小さくなり、像点位置変動を抑えることができる。
次に、撮像素子51を保持するとともに電気信号の送受を行うための接続端子部が形成された基板52を備える撮像装置に上述の撮像レンズ10を用いることにより、より小型かつ高性能な撮像装置を得ることができる。
さらに、撮像装置の光軸方向の長さが10mmを越えないことにより、さらに小型かつ高性能な撮像装置を得ることができる。なお、撮像装置の光軸方向の長さとは、基板52の表の面に筐体53が設けられ、基板52の背面に電子部品等が実装された場合にあっては、筐体53の物体側となる先端部から基板52の背面上で突出する電子部品の先端部までの距離である。
ここで、小型の撮像レンズを得るには、下記の式5を満足させることが好ましい。
L/2Y<1.5 ・・・式5
ただし、Lは撮像レンズ全系の最も物体側のレンズ面から像側焦点までの光軸上の距離、2Yは撮像面の対角線長(撮像素子の矩形実行画素領域の対角線長)である。式5の範囲を満たすことで、撮像レンズ全長を短くでき相乗的にレンズ外径も小さくすることができ、撮像装置全体の小型軽量化が可能となる。なお、「像側焦点」とは撮像レンズに光軸と平行な平行光線が入射した場合の像点をいう。ここでは、撮像レンズの最も像側の面と像側焦点位置との間に、光学的ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタ、または撮像素子パッケージのシールガラス等の平行平板が配置される場合には、平行平板部分は空気換算距離とした上で上記Lの値を計算するものとする。
式5に代えて、式5’の関係を満たすようにすると一層好ましい。
L/2Y<1.3 ・・・式5
本発明の撮像装置を携帯端末に用いることにより、より小型かつ高性能な携帯端末を得ることができる。
本発明の撮像レンズの構成を、コンストラクションデータ、収差図を挙げて、更に具体的に説明する。ここで実施例として説明する実施例1乃至7は、前述した第1乃至第7の実施形態にそれぞれ対応している。第1乃至第7の実施形態を表すレンズ構成図(図4乃至10)は、対応する実施例1乃至7のレンズ構成をそれぞれ示している。
表3乃至16のコンストラクションデータにおいて、曲率半径をrで示し、物体側から順に番号を付し、軸上間隔をdで示し、物体側からの軸上間隔を表の上から順に表している。屈折率をN、アッベ数をνで示し、物体側からの屈折率、アッベ数を表の上から順に表している。また、屈折率およびアッベ数はd線に対するものであり、屈折率およびアッベ数は空気については省略してある。撮像素子が最終面の後ろに配置されている。全系の焦点距離距離(f)、バックフォーカス(fB)、Fナンバー(FNO)及び撮像面の対角線長(2Y)を他のデータとともに示す。焦点距離、バックフォーカス、撮像面の対角線長、曲率半径、軸上間隔の単位はmmである。
非球面は次の式6で定義している。
X=(h2/r)/〔1+{1−(1+K)h2/r21/2〕+ΣAii ・・・式6
ここで、hは光軸に対して垂直な方向の高さ、Xは高さhの位置での光軸方向の変位量(面頂点基準)、rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、Aiはi次の非球面係数である。非球面に関するデータを表4、6、8、10、12、14、16に示し、データに付された文字Eは、該当する数値の指数部分を表し、例えば、1.0E−02であれば1.0×10を示す。
第1乃至第7実施例の図11乃至17に示す収差図について、球面収差の線CはC線の収差、線dはd線の収差、線gはg線の収差を表し、また、非点収差の線DMおよび線DSはそれぞれメリディオナル面およびサジタル面での収差である。単位は、歪曲の横軸のみ百分率であり、他の軸については全てmmである。
条件式に対応する各実施例の値を表17に示し、各実施例はすべて条件式を満たしている。
<実施例1>
Figure 2007286153
[非球面データ]
Figure 2007286153
<実施例2>
Figure 2007286153
[非球面データ]
Figure 2007286153
<実施例3>
Figure 2007286153
[非球面データ]
Figure 2007286153
<実施例4>
Figure 2007286153
[非球面データ]
Figure 2007286153
<実施例5>
Figure 2007286153
[非球面データ]
Figure 2007286153
<実施例6>
Figure 2007286153
[非球面データ]
Figure 2007286153
<実施例7>
Figure 2007286153
[非球面データ]
Figure 2007286153
[条件式対応値]
Figure 2007286153
本発明の実施形態の撮像装置の斜視図。 本発明の実施形態の撮像レンズの断面図。 本発明の撮像装置を適用した携帯端末の制御ブロック図。 第1実施形態の撮像レンズの構成を示す図。 第2実施形態の撮像レンズの構成を示す図。 第3実施形態の撮像レンズの構成を示す図。 第4実施形態の撮像レンズの構成を示す図。 第5実施形態の撮像レンズの構成を示す図。 第6実施形態の撮像レンズの構成を示す図。 第7実施形態の撮像レンズの構成を示す図。 第1実施形態の撮像レンズの収差を示す図。 第2実施形態の撮像レンズの収差を示す図。 第3実施形態の撮像レンズの収差を示す図。 第4実施形態の撮像レンズの収差を示す図。 第5実施形態の撮像レンズの収差を示す図。 第6実施形態の撮像レンズの収差を示す図。 第7実施形態の撮像レンズの収差を示す図。
符号の説明
10 撮像レンズ
50 撮像ユニット
51 撮像素子
52 基板
53 筐体
100 携帯電話機
L1〜L4 レンズ
S 開口絞り
F フィルタ
r1〜r10 面

Claims (11)

  1. 被写体からの光を撮像素子上に結像させる撮像レンズにおいて、
    物体側から順に、開口絞り、正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第2レンズ、正の屈折力を有する第3レンズ、負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第4レンズからなり、
    前記第2レンズの像側の面の曲率半径をr4、撮像レンズ全系の焦点距離をfで表すとき、
    0.2<r4/f<0.6
    の関係を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
  2. 前記第2レンズの像側の面は非球面であり、該非球面が光軸から周辺に離れるに従って負の屈折力が弱くなる形状であることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
  3. 前記第4レンズの像側の面は非球面であり、該非球面が光軸から周辺に離れるに従って負の屈折力が弱くなりレンズ周辺部で変曲点を有する形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像レンズ。
  4. 前記第3レンズの像側の面は非球面であり、該非球面が光軸から周辺に離れるに従って正の屈折力が弱くなる形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  5. 前記第1レンズと前記第2レンズの合成焦点距離をf12で表すとき、
    0.8<f12/f<3
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  6. 前記第3レンズの像側の面の曲率半径をr6、前記第4レンズの像側の面の曲率半径をr8で表すとき、
    −1.5<r8/r6<−0.2
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  7. 前記第1レンズのアッベ数をν1、前記第2レンズのアッベ数をν2で表すとき、
    20<ν1−ν2<65
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  8. 前記撮像レンズのうち、少なくとも1枚のレンズはプラスチック材料から形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像レンズと、前記撮像レンズを内包し、被写体からの光が入射する開口部を有する遮光性材料で形成された筐体と、前記撮像レンズによって導かれた光を受光する撮像素子を保持するとともに電気信号の送受を行うための接続端子部が形成された基板とを備えることを特徴とする撮像装置。
  10. 前記撮像装置の光軸方向の長さが10mmを越えないことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
  11. 請求項9または10に記載の撮像装置を備えたことを特徴とする携帯端末。
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