JP2007285936A - 力学量検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定して高い精度で力学量を検出することができる力学量検出装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、対の振動子20−1,20−2を備え、作動時に、それぞれの振動子が逆位相に励振されるように前記振動子の駆動電極28−1〜28−4に駆動電圧を印加した駆動状態を形成し、その駆動状態における振動子の変位に基づいて力学量を検出する力学量検出装置において、前記振動子が励振されない非駆動状態において、前記振動子に対して直流電圧VBをを印加することを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】本発明は、対の振動子20−1,20−2を備え、作動時に、それぞれの振動子が逆位相に励振されるように前記振動子の駆動電極28−1〜28−4に駆動電圧を印加した駆動状態を形成し、その駆動状態における振動子の変位に基づいて力学量を検出する力学量検出装置において、前記振動子が励振されない非駆動状態において、前記振動子に対して直流電圧VBをを印加することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、リンクバネを介して接続され、第1の方向で逆位相に振動可能な対の振動子を備え、前記第1の方向に直角な第2の方向における振動子の変位に基づいて、振動子に作用する力学量を検出する力学量検出装置に関する。
従来から、基板上にて前記基板表面と平行な第1方向に並べて配置され前記基板に対して前記第1方向及び前記第1方向と直角な第2方向に変位可能に支持された第1及び第2振動子と、前記基板上に前記第1方向に対して非対称に配置され正負異なる電圧の付与によって前記第1及び第2振動子を前記第1方向であって互いに反対方向に振動させる第1及び第2駆動電極部と、前記基板上に設けられ前記第1及び第2振動子の前記第2方向の振動を検出するための検出用信号を前記第1及び第2振動子に付与する第1及び第2検出電極部と、前記第1及び第2振動子を互いに独立して変位可能に連結する連結手段と、前記連結手段に接続されて前記第1及び第2振動子の前記第2方向の振動を表す信号を取り出すための出力端子とを備えたことを特徴とする力学量検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−188923号公報
しかしながら、この種の力学量検出装置では、センサ非作動時に、振動子に対して電圧を印加しないため、温度等の環境変化に起因して、センサ非作動時のゼロ点と、センサ作動時のゼロ点が異なりやすく、このため、センサ非作動状態からセンサ作動状態に移行してからしばらくの間(即ち、センサ起動後しばらくの間)、誤ったゼロ点に基づいて加速度信号を処理することがある。これを回避するには製造工程でスクリーニング等が必要となり、製造コストの増大につながる。
そこで、本発明は、センサ非作動時のゼロ点とセンサ作動時のゼロ点の間の相違を少なくし、この結果、安定して高い精度で力学量を検出することができる力学量検出装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、リンクバネを介して接続され、第1の方向で逆位相に振動可能な対の振動子を備え、前記第1の方向に直角な第2の方向における振動子の変位に基づいて、振動子に作用する力学量を検出する力学量検出装置において、
前記対の振動子に対して、直流電圧を印加する第1の動作モードと、前記対の振動子に対して、交流電圧を含む駆動電圧を印加する第2の動作モードとを有することを特徴とする。
前記対の振動子に対して、直流電圧を印加する第1の動作モードと、前記対の振動子に対して、交流電圧を含む駆動電圧を印加する第2の動作モードとを有することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係る力学量検出装置において、
前記直流電圧の大きさは、前記第2の動作モードにおいて前記振動子に対して印加される前記駆動電圧のバイアス電圧の大きさに略等しいことを特徴とする。これにより、前記駆動電圧のバイアス電圧を利用した簡易な構成で、センサ非作動時のゼロ点とセンサ作動時のゼロ点の間の相違を少なくすることができる。
前記直流電圧の大きさは、前記第2の動作モードにおいて前記振動子に対して印加される前記駆動電圧のバイアス電圧の大きさに略等しいことを特徴とする。これにより、前記駆動電圧のバイアス電圧を利用した簡易な構成で、センサ非作動時のゼロ点とセンサ作動時のゼロ点の間の相違を少なくすることができる。
第3の発明は、第1又は2の発明に係る力学量検出装置において、
前記第1の動作モードにおける直流電圧は、間欠的に印加されることを特徴とする。これにより、バッテリの消費を抑えつつ、センサ非作動時のゼロ点とセンサ作動時のゼロ点の間の相違を少なくすることができる。
前記第1の動作モードにおける直流電圧は、間欠的に印加されることを特徴とする。これにより、バッテリの消費を抑えつつ、センサ非作動時のゼロ点とセンサ作動時のゼロ点の間の相違を少なくすることができる。
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明に係る力学量検出装置において、
前記第2の動作モードにおける前記交流電圧は、それぞれの振動子に対して逆位相であることを特徴とする。これにより、センサ素子の電荷蓄積を低減しつつ、センサ非作動時のゼロ点とセンサ作動時のゼロ点の間の相違を少なくすることができる。
前記第2の動作モードにおける前記交流電圧は、それぞれの振動子に対して逆位相であることを特徴とする。これにより、センサ素子の電荷蓄積を低減しつつ、センサ非作動時のゼロ点とセンサ作動時のゼロ点の間の相違を少なくすることができる。
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明に係る力学量検出装置において、前記力学量は、ヨーレート及び加速度を含み、前記第1の動作モードは、ヨーレートの検出が不要な状況下で実現されることを特徴とする。ヨーレートの検出が不要な状況とは、例えば車両に力学量検出装置が搭載される場合、例えば車両が停止している状況等である。これにより、力学量の検出が不要な状況下において、電力消費を抑えつつ、力学量の検出が必要な状況に移行した際(第2の動作モードに移行した際)に、変動の無いゼロ点に基づいて、安定して高い精度で力学量を検出することができる。
本発明によれば、センサ非作動時のゼロ点とセンサ作動時のゼロ点の間の相違を少なくし、この結果、安定して高い精度で力学量を検出することができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明による力学量検出装置を含むセンサユニット10の構造を表した図を示す。尚、図1には、センサユニット10の側断面図が示されている。本実施例のセンサユニット10は、サブアセンブルされた状態で車両に搭載されるサブアッシーユニットであり、搭載される車両に生ずる車体前後方向又は車幅方向の加速度Gに応じた信号を出力する加速度センサと、車両の重心軸回りに生ずる角速度ωに応じた信号を出力するヨーレートセンサとを一体に構成した車両制御用センサユニットである。センサユニット10は、例えば、車両の重心位置付近(フロアトンネル等)に設けられ、当該搭載位置に発生するヨーレート及び加速度を検出する。検出されたヨーレート及び加速度は、例えば、横滑り等を防止して車両の挙動を安定化させる車両走行制御に利用されてよい。
センサユニット10は、加速度センサ及びヨーレートセンサ双方の信号出力部であるセンサチップ12を備えている。
センサチップ12は、ダイボンド剤50により台座としての基板52に接着固定されている。ダイボンド剤50は、硬化後に柔軟性を示す材料により構成されている。センサチップ12は、その下面全面にダイボンド剤50が塗布された状態で基板52に接着される。また、基板52は、例えばシリコン材料により構成されている。
基板52には、また、集積回路(IC)54がダイボンド剤56により接着固定されている。ダイボンド剤56は、ダイボンド剤50と同様に、硬化後に柔軟性を示す材料により構成されており、一定の厚さを有している。IC54は、センサチップ12からの信号を処理する機能を有している。
基板52は、ダイボンド剤60によりステム62に接着固定されている。ステム62は、表面にニッケルめっきが施された鉄材料により構成されている。ステム62には、その全周にフランジ部64が形成されている。ステム62のフランジ部64には、断面コの字状のシェル66が、センサチップ12及びIC54が接着固定された基板52を覆うように取り付けられている。シェル66も、ステム62と同様に、表面にニッケルめっきが施された鉄材料により構成されている。シェル66とステム62とは、溶接により接合される。このときシェル66とステム62で囲まれるケース内は、不活性ガスを封入することが望ましい。
図2は、センサユニット10が備えるセンサチップ12の上面図を示す。ここでは、互いに直交するX,Y、Z軸は、図2に示すように定め、X方向を左右方向と称する。尚、センサユニット10が車両に搭載される場合、車両左右方向の加速度を検出したい場合には、Y軸を車両左右方向に対応させればよく、車両前後方向の加速度を検出したい場合には、Y軸を車両前後方向に対応させればよい。
センサチップ12は、マイクロマシーニング技術を用いて、SOI(Silicon
on Insulator)ウェーハの表面にシリコン酸化膜によるマスクを形成し、エッチングを施すことにより形成される。センサチップ12は、支持基板14を備える。支持基板14には、左側の振動子20−1(MASS―L)と、右側の振動子20−2(MASS―R)が対となって支持される。左右の振動子20−1,20−2は、リンクバネ21を介して互いに接続され、音叉構造となっている。
on Insulator)ウェーハの表面にシリコン酸化膜によるマスクを形成し、エッチングを施すことにより形成される。センサチップ12は、支持基板14を備える。支持基板14には、左側の振動子20−1(MASS―L)と、右側の振動子20−2(MASS―R)が対となって支持される。左右の振動子20−1,20−2は、リンクバネ21を介して互いに接続され、音叉構造となっている。
振動子20−1,20−2は、駆動フレーム24−1〜24−4に検出バネ26を介して支持されている。駆動フレーム24−1〜24−4は、支持基板14の表面から離間して形成され、振動子20−1,20−2を支持基板14に対して、支持基板14の表面から離れた位置で支持する。即ち、駆動フレーム24−1〜24−4は、振動子20−1,20−2を、シリコン酸化膜の膜厚分だけ支持基板14から浮いた状態で、支持基板14に対して変位可能に支持する。駆動フレーム24−1〜24−4は、駆動バネ25を介して、支持基板14に対して支持される。駆動バネ25は、アンカ部22を介して一端が支持基板14に固定されている。
振動子20−1,20−2には、それぞれ、電極が左右対称に形成され、各電極は、アンカ部22を兼ねる支持基板14に固定された電極と平行平板コンデンサを構成して、検出電極29−1〜29−4を構成する。振動子20−1,20−2がY方向に動くと、電極間の距離が変化し、検出電極29−1〜29−4の容量が変化する。尚、振動子20−1,20−2の内側には、検出電極29−1〜29−4の検出振動周波数を調整するための調整電極等が設けられてもよい。
4つの駆動フレーム24−1〜24−4には、それぞれ、櫛歯状の励磁電極34−1〜34−4が左右非対称に形成され、各電極は、アンカ部22を兼ねる支持基板14に固定された電極と櫛歯状に組み合わせられて、駆動電極28−1〜28−4を構成する。振動子20−1,20−2は、これらの駆動電極28−1〜28−4により発生される静電力によってX方向に駆動(振動)される。
励磁電極34−1〜34−4には、配線を介して後述の集積回路が接続されており、センサ作動状態では所定周波数f(=ω/2π)の励磁電圧が印加される。左側の振動子20−1に対する励磁電極34−1,34−2と、右側の振動子20−2に対する励磁電極34−3,34−4とは、左右対称ではなく、それぞれの振動子20−1,20−2に対して同じ側(本例では、左側)に設けられている。このため、励磁電極34−1,34−2と、励磁電極34−3,34−4には、互いに大きさが一致する一方、位相が180°異なる交流電圧(駆動信号)が印加される。これにより、駆動信号印加時、左右の振動子20−1,20−2は、X方向で、互いに対して近接又は離間する向きに振動して、音叉型の振動を起こす。即ち、左側の振動子20−1が左方向に変位すると、右側の振動子20−2が右方向に変位するといった具合に、右の振動子20−1,20−2は、逆位相で振動する。
駆動信号には、振動子20−1,20−2に対して付与する駆動力を効率的に稼ぐために、直流のバイアス成分が付加される。このバイアス電圧(直流電圧)は、左右で同一方向の吸引力Fを、各励磁電極34−1〜34−4に作用させるものであり、大きさは左右で同じであってよい。尚、図2に示す例では、バイアス電圧は、左右の振動子20−1,20−2に対して左方向の吸引力Fが作用するように決定されているが、右方向の吸引力Fが作用させてもよい。
具体的には、左側の振動子20−1に対する駆動信号Lを、
L=VB+VD・sin(ωt)、と表したとき、右側の振動子20−2に対する駆動信号Rは、
R=VB−VD・sin(ωt)、と表される。尚、ここで、VBは、直流成分(バイアス電圧)を表し、VDは、交流成分の振幅を表す。
L=VB+VD・sin(ωt)、と表したとき、右側の振動子20−2に対する駆動信号Rは、
R=VB−VD・sin(ωt)、と表される。尚、ここで、VBは、直流成分(バイアス電圧)を表し、VDは、交流成分の振幅を表す。
このように、左右の振動子20−1,20−2に印加される交流電圧がそれぞれ逆位相とする構成では、励磁電極34−1,34−2と励磁電極34−3,34−4とを左右対称に配置し、同位相の交流電圧を印加する構成に比べて、交流電圧印加時の振動子20−1,20−2に蓄積される電荷量の最大値を小さくすることができると共に、駆動信号の検出電極29−1〜29−4への漏れを防止することができる。
図3は、励磁電極34−1〜34−4に印加する駆動信号を出力する集積回路の主要構成を示す。本実施例では、集積回路は、左側の振動子20−1に対して、2種類の駆動信号L1,L2を供給でき、且つ、右側の振動子20−2に対して、2種類の駆動信号R1,R2を供給できるように構成されている。具体的には、
L1=VB+VD・sin(ωt)
L2=VB
R1=VB−VD・sin(ωt)
R2=VB
である。即ち、本実施例では、交流電圧に直流電圧を重畳した駆動信号L1、R1が印加される駆動モードと、直流電圧成分のみからなる駆動信号L2、R2が印加される非駆動モードの2つのモードが選択可能とされる。駆動信号L1、R1における直流電圧成分は、上述の如く、振動子20−1,20−2に対して付与する駆動力を効率的に稼ぐために重畳されるものであるが、駆動信号L2、R2における直流電圧成分は、後述の如く、センサ非作動時の振動子20−1,20−2の中立位置(ゼロ点)の変動を防止するために印加されるものである。
L1=VB+VD・sin(ωt)
L2=VB
R1=VB−VD・sin(ωt)
R2=VB
である。即ち、本実施例では、交流電圧に直流電圧を重畳した駆動信号L1、R1が印加される駆動モードと、直流電圧成分のみからなる駆動信号L2、R2が印加される非駆動モードの2つのモードが選択可能とされる。駆動信号L1、R1における直流電圧成分は、上述の如く、振動子20−1,20−2に対して付与する駆動力を効率的に稼ぐために重畳されるものであるが、駆動信号L2、R2における直流電圧成分は、後述の如く、センサ非作動時の振動子20−1,20−2の中立位置(ゼロ点)の変動を防止するために印加されるものである。
図3には、右側の振動子20−2に対する駆動回路100Rが前面に示されているが、左側の振動子20−1に対する駆動回路100Lについても同様の構成である。駆動回路100Rは、図3に示すように、交流電源と、直流電源とが加算器(オペアンプ)に接続されている。直流電源は、鉛バッテリ、リチウムイオンバッテリや電気2重層キャパシタ等の容量性負荷を含む。直流電源と加算器の間には、スイッチ42が設けられている。スイッチ42は、加算器の入力側に直流電源が導通された状態と、加算器の入力側にグランド(ゼロ電位)が接続された状態とを切り替えるために用いられる。スイッチ42は、後述のように、直流電圧の間欠的な印加(時分割的な印加)を実現するために用いられる。スイッチ42の切り換えは、制御装置40により供給される駆動バイアス制御信号により電気的に実現される。
図4は、制御装置40の主要構成を示すブロック図である。制御装置40には、車両の駆動源(エンジンや電気モータ)の起動及び終了を検知するスイッチ44(典型的には、イグニッションスイッチ)が接続される。
制御装置40は、スイッチ44からの信号に基づいて、車両の駆動源が起動されたと判断した場合には、交流電源を起動すると共に、スイッチ42に対して、駆動モードを実現させるための駆動バイアス制御信号を送信する。この場合、スイッチ42は、直流電源と加算器が導通する側に保持される。即ち、直流電圧VBが100%のデューティで交流電圧VD・sin(ωt)に重畳されるようにする。
駆動モードでは、上述の如く、交流電圧に直流電圧を重畳した駆動信号R1、L1が印加され、左右の振動子20−1,20−2がX方向に駆動される。駆動信号が印加されると、左右の振動子20−1,20−2は、リンクバネ21の働きにより、音叉と同様に一定の共振振動数で逆位相に振動する。即ち、加速度及びヨーレートが検出可能なセンサ作動状態が実現される。
このセンサ作動状態において、センサ搭載位置(即ち、センサユニット10の搭載位置)に例えばZ軸まわりのヨーレートが入力されると、左右の振動子20−1,20−2には、共振周波数で逆位相のコリオリ力が作用し、振動子20−1,20−2がそれぞれ逆位相に変位する。一方、加速度がY方向に入力されると、振動子20−1,20−2はそれぞれ同位相でY方向に変位する。このように、ヨーレートが入力される場合と、加速度が入力される場合とで、振動子20−1,20−2の位相が異なるため、この位相の相違を利用してヨーレートと加速度が分離される。更に、コリオリ力は駆動振動周波数f(=ω/2π)で働くので、当該周波数fで同期検波し、分離精度を高めてもよい。尚、本発明は、特に、この種の同期検波を含む信号処理方法により限定されるものではなく、如何なる適切な信号処理方法を用いて各種物理量(加速度及びヨーレート)が導出されてもよい。
一方、制御装置40は、スイッチ44からの信号に基づいて、車両の駆動源が終了(例えばエンジン停止)されたと判断した場合には、交流電源を停止させると共に、スイッチ42に対して、非駆動モードを実現させるための駆動バイアス制御信号を送信する。非駆動モードでは、上述の如く、直流電圧成分からなる駆動信号R2、L2が印加される状態が形成される。即ち、交流電源の停止に伴い、振動子20−1,20−2の音叉型の振動が止み、加速度及びヨーレートが検出不能なセンサ非作動状態が実現される。
図5は、非駆動モードにおける直流電圧VBの印加方法の一実施例を示す図である。非駆動モードにおける直流電圧VBは、図5(A)に示すように、連続的に印加されてもよいが、好ましくは、図5(B)に示すように、バッテリ(直流電源)の電力消費の低減を図るため、間欠的に印加される。この間欠的な印加は、上述のスイッチ42(図3参照)の切り換えにより実現される。間欠的な印加の時間間隔は、後述の振動子20−1,20−2の中立位置変動防止機能を損なわない範囲で、電力消費が最小化されるように適切に決定される。間欠的な印加の時間間隔は、周辺環境等に応じて可変されてもよい。
ここで、非駆動モードにおける直流電圧VBの振動子中立位置変動防止機能について説明する。
図6は、センサ作動状態での高温から常温へと温度変化が生じた場合における振動子20−1,20−2の中立位置の変化を模式的に示す図であり、1つの振動子20のみに着目した簡易モデルを示す。尚、振動子20−1,20−2の中立位置とは、加速度やヨーレートの入力のない無負荷時の位置を意味し、加速度信号のゼロ点出力を定める際に用いられる位置である。従って、振動子20−1,20−2の中立位置の変動は、センサの検出精度に関わる因子である。
先ず、振動子20−1,20−2の中立位置の変動要因に関して、センサチップ12は、上述の如く、支持基板14上に形成されているため、温度変化に伴う支持基板14の熱膨張・収縮の影響で、振動子20−1,20−2を支持基板14に固定する各アンカ部22間の位置関係が変化し、振動子20−1,20−2の位置が変化しうる。
図6(A)は、駆動モード中の高温時における振動子20の中立位置を模式的に示し、図6(B)は、駆動モード中の常温時における同振動子20の中立位置を模式的に示す。高温から常温へと温度低下すると、支持基板14の熱収縮に伴ってアンカ部22間の間隔が狭くなる。この際、図6(B)に示すように、直流バイアス電圧による吸引力に起因して、駆動バネ25等が変形して、左方向(吸引される方向)に振動子20の振動中心が移動する。即ち、直流電圧による吸引力が作用した状態で、高温から常温へと温度低下するので、図6(B)に示すように、振動子20が左方向に変位することで、アンカ部22間の間隔の収縮が吸収される。この結果、振動子20の中立位置は、左方向にシフトすることになる。
図7(A)は、非駆動モード中の高温時における振動子20の中立位置を模式的に示し、図7(B)は、非駆動モード中の常温時における同振動子20の中立位置を模式的に示す。
非駆動モード中の場合も同様に、高温から常温へと温度低下すると、支持基板14の熱収縮に伴ってアンカ部22間の間隔が狭くなる。この際、本実施例では、非駆動モード中に直流電圧が印加されているので、高温から常温へと温度低下は、直流電圧による吸引力が作用した状態で生ずることになる。このため、アンカ部22間の間隔の収縮は、図7(B)に示すように、直流電圧による吸引力の作用により、振動子20が左方向に変位することで吸収される。従って、非駆動モードにおいても、直流電圧VBの作用により、振動子20の中立位置は、左方向にシフトし、図6(B)に示す駆動モード中の中立位置と同様の中立位置が実現される。
このように、本実施例によれば、非駆動モードにおいても直流電圧VBを作用させるので、温度変化が生じた場合であっても、振動子20の中立位置の変動態様を、駆動モード及び非駆動モードの双方において同一にすることができる。即ち、本実施例によれば、振動子20の中立位置が、駆動モード中と非駆動モード中と異なることを防止することができる。
図8は、本実施例とは異なり、直流電圧VBを含めて電圧を一切印加しない非駆動モードを実現する比較構成の場合を示し、図8(A)は、比較構成による非駆動モード中の高温時における振動子20の中立位置を模式的に示し、図8(B)は、比較構成による非駆動モード中の常温時における同振動子20の中立位置を模式的に示す。
この比較構成では、駆動モード中は、本実施例と同様に、直流電圧VBの作用により、図6に示したような中立位置が実現される。一方、非駆動モード中では、本実施例とは異なり、直流電圧VBを含めて電圧が一切印加されない。このため、電力消費を最小限に抑えることができる。しかしながら、この比較構成では、直流電圧による吸引力が作用していない状態で、高温から常温へと温度低下するので、振動子20の寸法の製造上のわずかな偏りによって図8(B)にて矢印で示すように、振動子20が回転方向に変位する場合がある。即ち、振動子20の回転方向の変位によりアンカ部22間の間隔の変化が吸収される。このように、比較構成の場合、振動子20の中立位置の変動態様は、駆動モードと非駆動モードとで異なることになる。振動子20の中立位置が駆動モードと非駆動モードとで異なる場合、非駆動モードから駆動モードに移行してからしばらくは(センサ起動後しばらくは)、ゼロ点の変動に起因して、加速度の検出精度の悪化が生ずる。即ち、図8(B)に示した中立位置から、駆動モードが開始されても、直ぐには図6(B)に示したような中立位置へと復帰することはできないので、仮に図6(B)に示したような中立位置をゼロ点として記憶している場合には、非駆動モードから駆動モードに移行してからしばらくは、ゼロ点に誤差が生じている状態で加速度信号が処理されることになる。この結果、比較構成の場合、加速度の検出精度が悪化してしまう。
これに対して、本実施例によれば、上述の如く、振動子20の中立位置の変動態様は、駆動モードと非駆動モードとで異なることがないので、非駆動モードから駆動モードに移行するときを含めて常時、駆動モードにおいて安定した中立位置が実現される。これにより、非駆動モードの存在に起因した加速度の検出精度の変動(信頼性変動)を防止することができる。
ところで、本実施例による構成の場合とは異なり、励磁電極34−1,34−2と励磁電極34−3,34−4とを左右対称に配置し、同位相の交流電圧を印加する構成の場合、直流バイアス電圧が左右対称に印加されるため、左右の振動子20−1,20−2に作用する吸引力Fが釣り合い、左右の振動子20−1,20−2は左右のいずれかに偏ることなく振動駆動される。従って、かかる構成では、仮に駆動モード中に温度が高温から常温へと低下した場合、振動子20に対する吸引力が左右方向で釣り合った状態で、高温から常温へと温度低下するので、図8に示した比較構成の非駆動モード中と同様、振動子20は、左右方向に変位するのではなく、回転方向に変位する場合がある(図8(B)参照)。このため、励磁電極34−1,34−2と励磁電極34−3,34−4とを左右対称に配置し、同位相の交流電圧を印加する構成の場合、非駆動モード中に、直流電圧VBを含めて電圧を一切印加しなくても、振動子20の中立位置の変動態様が駆動モードと非駆動モードとで異なってしまう可能性は小さい。但し、左右対称にすることは振動子の面積が増加することにつながり、コストアップの要因となる可能性が高い。
一方、本実施例のように、励磁電極34−1,34−2と励磁電極34−3,34−4とを左右非対称に配置し、逆位相の交流電圧を印加する構成の場合、直流バイアス電圧が左右非対称に印加されることになるため、左右の振動子20−1,20−2に作用する吸引力Fの不釣合いにより、左右の振動子20−1,20−2は、左右のいずれかに偏って振動駆動される。このため、駆動モード中に高温から常温へと温度低下すると、吸引力Fの不釣合いに起因して、振動子20の回転方向の変位ではなく、振動子20の左方向の更なる変位によりアンカ部22間の間隔の変化が吸収される。このように、本実施例のように、励磁電極34−1,34−2と励磁電極34−3,34−4とを左右非対称に配置し、逆位相の交流電圧を印加する構成の場合、振動子20の中立位置の変動態様が駆動モードと非駆動モードとで異なりやすく、従って、上述の直流電圧VBの振動子中立位置変動防止機能が特に有用となる。
図9は、励磁電極34−1〜34−4に駆動信号を印加するための集積回路の主要構成のその他の実施例を示す図である。図9に示す例は、図3に示した例に対して、駆動電源の保持時間延長用のダイオード46が追加された点のみが異なる。
図9には、右側の振動子20−2に対する駆動回路100R’が前面に示されているが、左側の振動子20−1に対する駆動回路100L’についても同様の構成である。駆動回路100R’は、加算器と励磁電極34−1〜34−4との間に、ダイオード46を有する。
図10(A)は、図9に示した駆動回路100R’(駆動回路100L’についても同様)により実現される非駆動モードにおける直流電圧印加方法と、駆動電極28−1〜28−4に付与される電圧(素子の駆動電極電圧)の変化を示し、図10(B)は、振動子20−1,20−2に加わる実効的な力(駆動力)の変化を示す。
本例では、出力アンプ側と振動子20−1,20−2側との間にダイオード46を設けることで、振動子20−1,20−2側から出力アンプ側へのリークが防止されるので、図10(A)に破線にて示すように、駆動電極28−1〜28−4に付与される電圧が実質的に増加される。これにより、図10(B)に示すように、振動子20−1,20−2に加わる実効的な力(吸引力)を増加させることができる。即ち、間欠的に印加される直流電圧VBの印加時間(オン時間)を短縮しても、ダイオード46の無い構成と同様の実効的な力を作用させることができるので、バッテリの消費を更に低減することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、本実施例において、制御装置40は、停車後、ユーザが車両から離れた後、非駆動モードを実現し、セキュリティシステムを作動させ、センサユニット10により検出される加速度に基づいて車両の盗難の有無を検出することしてもよい。また、制御装置40は、アイドルストップ等のような一時的な駆動源の停止時においても、非駆動モードを実現してもよい。
以上のとおり本発明によるセンサユニット10は、例えば、ヨーレートと加速度を検出するセンサとして車両に搭載され、その出力値は、単なる試験結果の解析にも用いることができるが、横滑り等を防止して車両の挙動を安定化させる車両走行制御や、ロールオーバーを検出して乗員保護装置を起動するエアバック制御や、盗難時に生じうる車両の振動・傾斜等を検出して警報と出力する警報制御のような各種制御において利用することが好適である。
10 センサユニット
12 センサチップ
20−1,20−2 振動子
21 リンクバネ
28−1〜28−4 駆動電極
34−1〜34−4 励磁電極
40 制御装置
42 スイッチ
46 ダイオード
12 センサチップ
20−1,20−2 振動子
21 リンクバネ
28−1〜28−4 駆動電極
34−1〜34−4 励磁電極
40 制御装置
42 スイッチ
46 ダイオード
Claims (5)
- リンクバネを介して接続され、第1の方向で逆位相に振動可能な対の振動子を備え、前記第1の方向に直角な第2の方向における振動子の変位に基づいて、振動子に作用する力学量を検出する力学量検出装置において、
前記対の振動子に対して、直流電圧を印加する第1の動作モードと、前記対の振動子に対して、交流電圧を含む駆動電圧を印加する第2の動作モードとを有することを特徴とする、力学量検出装置。 - 前記直流電圧の大きさは、前記第2の動作モードにおいて前記振動子に対して印加される前記駆動電圧のバイアス電圧の大きさに略等しい、請求項1に記載の力学量検出装置。
- 前記第1の動作モードにおける直流電圧は、間欠的に印加される、請求項1又は2に記載の力学量検出装置。
- 前記第2の動作モードにおける前記交流電圧成分は、それぞれの振動子に対して逆位相である、請求項1〜3のいずれかに記載の力学量検出装置。
- 前記力学量は、ヨーレート及び加速度を含み、
前記第1の動作モードは、ヨーレートの検出が不要な状況下で実現される、請求項1〜4のいずれかに記載の力学量検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006114842A JP2007285936A (ja) | 2006-04-18 | 2006-04-18 | 力学量検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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ID=38757840
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2006
- 2006-04-18 JP JP2006114842A patent/JP2007285936A/ja not_active Withdrawn
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