JP2007283678A - コンクリート構造物の製造方法および型枠構造 - Google Patents

コンクリート構造物の製造方法および型枠構造 Download PDF

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Abstract

【課題】中空部を有するコンクリート構造物の製造方法であって、中空部が大規模である場合にも無理なく適用することが可能なコンクリート構造物の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】中空部を有するコンクリート構造物の製造方法であって、支保構造体10Aの外面にビーズ法発泡プラスチック製の堰板層10Bを形成してなる内型枠10を、中空部となる位置に配置した後に、内型枠10の周囲にフレッシュなコンクリートを打設し、コンクリートが脱型強度に達した後に堰板層10Bの体積を減容させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート構造物の製造方法および型枠構造に関する。
内部に空間を有するコンクリート構造物や、箱抜き部を有するコンクリート構造物を製造する場合には、コンクリート構造物の外面を形成するための外型枠の内側に、内部空間や箱抜き部を形成するための内型枠(箱抜き型枠を含む)を配置してなる型枠構造を用いるのが一般的である。なお、以下では、コンクリート構造物の内部空間や箱抜き部を「中空部」と称することとする。
鋼製や木製の堰板を利用して内型枠を構成すると、その設置作業や脱型作業が困難になることから、近年では、中実なビーズ法発泡プラスチック(発泡スチロール)からなる内型枠を利用したコンクリート構造物の製造方法が開発されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1および特許文献2に開示されたコンクリート構造物の製造方法では、中実な発泡スチロール製のブロックを複数積み重ねて内型枠を形成していて、その周囲にフレッシュなコンクリートを打設し、コンクリートが脱型強度に達した後に内型枠を取り除くことで、中空部を有するコンクリート構造物を構築している。このようなコンクリート構造物の製造方法によれば、内型枠が軽量になる分だけ、その設置作業や脱型作業が容易になる。
特許文献3および特許文献4に開示されたコンクリート構造物の製造方法でも、中実な発泡プラスチックを内型枠としていて、コンクリートが脱型強度に達した後に内型枠を取り除くことで、中空部を有するコンクリート構造物を構築しているが、内型枠を取り除く際に、内型枠である発泡プラスチックを溶剤により溶解させるか、あるいは、加熱により溶融させている。このようなコンクリート構造物の製造方法によれば、中空部の内空が奥で広がっている場合やコンクリートが内型枠に強固に付着している場合であっても、容易に内型枠を取り除くことが可能となる。
なお、特許文献3に開示されているのは、中実な発泡スチロールからなる内型枠をキシレンまたはガソリンで溶解させる事例と、中実な発泡ポリエチレン又は蜜蝋からなる内型枠を加熱して溶融または軟化変形させる事例である。また、特許文献4に開示されているのは、中実な発泡スチロールからなる内型枠をケトン溶剤で溶解させる事例である。
特開平6−137084号公報 特開2000−064314号公報 特公平6−072490号公報 特開平8−060781号公報
コンクリートの乾燥収縮に伴って内型枠に大きな拘束力が作用するので、内型枠の体積を減容させない特許文献1および特許文献2のコンクリート構造物の製造方法では、内型枠を容易に取り除くことができないという問題がある。
特許文献3および特許文献4に開示された発明によれば、理論的には前記した問題点を解決することができるが、この発明は、PC鋼材の端部を定着させるための小規模な中空部や配管・配線用の小規模な中空部を形成することを目的としているので、道路橋の箱桁やボックスカルバートなど大規模な中空部を有するコンクリート構造物には不向きである。すなわち、中実な発泡プラスチックの塊を中空部となる部位に配置する必要がある特許文献3および特許文献4のコンクリート構造物の製造方法では、中空部が大規模になると、中空部に配置される発泡プラスチックの体積も膨大なものになるので、この発泡プラスチックを減容させるための溶剤の量や熱量が膨大になるし、発泡プラスチックの中心部に溶剤や熱が到達するまでの時間も長くなってしまう。
また、内型枠を使用する場合は、フレッシュなコンクリートを打設したときに内型枠に浮力が作用することになるが、特許文献3および特許文献4のコンクリート構造物の製造方法を大規模な中空部を有するコンクリート構造物に適用すると、浮力に起因して内型枠に大きな曲げモーメントとせん断力が発生し、内型枠に有害な変形が発生することがある。内型枠に有害な変形が発生すると、当然のことながら、コンクリート構造物の寸法精度が悪化してしまう。また、特許文献3および特許文献4のコンクリート構造物の製造方法では、内型枠の全体が剛性の小さい発泡プラスチックで構成されていることから、内型枠をセットする際に上載荷重を作用させることができず、施工効率を向上させることができないという問題がある。
このような観点から、本発明は、中空部を有するコンクリート構造物の製造方法であって、中空部が大規模である場合にも無理なく適用することが可能なコンクリート構造物の製造方法を提供することを課題とし、さらには、このコンクリート構造物の製造方法に好適に使用される型枠構造を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明は、中空部を有するコンクリート構造物の製造方法であって、支保構造体の外面にビーズ法発泡プラスチック製の堰板層を形成してなる内型枠を、前記中空部となる位置に配置した後に、前記内型枠の周囲にフレッシュなコンクリートを打設し、前記コンクリートが脱型強度に達した後に前記堰板層の体積を減容させることを特徴とする。
中空部とは、コンクリート構造物の内部に形成された空間やコンクリート構造物の表面に形成された箱抜き部(凹部)の総称である。なお、中空部は、閉断面であってもよいし、開断面であってもよい。
この発明は、支保構造体の外面にビーズ法発泡プラスチック製の堰板層を形成してなる内型枠を使用するところに特徴がある。内型枠のうち、少なくとも堰板層の体積を減容させれば、内型枠を取り除くことが可能となるので、道路橋の箱桁やボックスカルバートなど大規模な中空部を有するコンクリート構造物を製造する場合であっても、内型枠の全部をビーズ法発泡プラスチックとした場合に比べてビーズ法発泡プラスチックの使用量を削減することが可能となる。つまり、本発明によれば、内型枠の全部をビーズ法発泡プラスチックとした場合に比べて、ビーズ法発泡プラスチックを減容させるための溶剤の量や熱量を削減することが可能となり、さらに、ビーズ法発泡プラスチックの中心部に溶剤や熱が到達するまでの時間を短縮することも可能となる。言い換えれば、コンクリート構造物の中空部が大規模な場合であっても、本発明に係る製造方法を無理なく適用することができる。また、本発明によれば、コンクリートの乾燥収縮に伴って内型枠に大きな拘束力が作用していたとしても、コンクリート構造物と内型枠との間に隙間が形成されるので、内型枠を容易に取り除くことができる。
前記堰板層の体積を減容させるには、例えば、前記堰板層を加熱して溶融または収縮させればよい。特に、前記ビーズ法発泡プラスチックが、ビーズ法発泡ポリスチレンである場合には、前記堰板層を加熱して収縮させることで、前記堰板層の体積を減容させるとよい。例えば、発泡ポリエチレンを利用して内型枠を構成した場合には、発泡ポリエチレンを加熱して溶融または軟化変形させたとしても、常温に戻ったときに再度硬化してしまうので、脱型時に高温状態を維持しておかなければ、内型枠の脱型作業が困難になることがあるが、ビーズ法発泡ポリスチレンを利用して内型枠を構成すれば、常温に戻った後も恒久的に収縮しているので、脱型時に高温状態を維持する必要がない。なお、堰板層がビーズ法発泡ポリスチレンからなる場合の加熱温度は、堰板層を収縮させることができる範囲で適宜設定すればよいが、70℃を下回ると、堰板層の収縮量が小さくなり、その結果、コンクリート構造物と内型枠との隙間が小さくなるので、好適には、前記堰板層を70℃以上に加熱することが望ましく、より好適には、80℃以上に加熱することが望ましい。また、加熱温度を必要以上に高くすると、コンクリート中の水和生成物の組織が粗となり長期的な耐久性能が低下する虞があるので、堰板層の加熱温度は、100℃以下であることが望ましい。
コンクリートを打設した後に給熱養生や蒸気養生を行う場合には、給熱養生の熱や蒸気養生の熱を利用して前記堰板層を加熱するとよい。このようにすると、コンクリートの強度を早期に向上させつつ、給熱養生や蒸気養生が終了した時点で速やかに内型枠を脱型することが可能となる。なお、蒸気養生は、常圧下(大気圧下)で行ってもよいし、常圧よりも高い圧力下で行ってもよい。
この他、ビーズ法発泡プラスチックを減容させる溶剤を前記堰板層に供給することでも、前記堰板層の体積を減容させることができる。例えば、前記ビーズ法発泡プラスチックが、ポリスチレンを原料とするビーズ法発泡ポリスチレン(発泡スチロール(EPS)とも言う)である場合には、リモネン溶解液やヌートカトン減容液などを前記溶剤として使用することができる。リモネン溶解液やヌートカトン減容液を使用すると、環境負荷を小さくすることができる。すなわち、リモネン溶解液により溶解したポリスチレンは、リモネンと分離することができるので、容易に再利用することができる。また、ヌートカトン減容液をビーズ法発泡ポリスチレンに供給すると、ビーズ法発泡ポリスチレン中の空気が放出されてその体積が収縮し、ゲル状の物体に変質するが、このゲル状の物体は、塗料や接着剤の原料として再利用することができる。
本発明に係るコンクリート構造物の製造方法に使用されるコンクリートの種類は、特に限定されるものではないが、例えば、セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む紛体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を1〜4容積%混入してなるコンクリートを使用すれば、弾性係数が高く(例えばE=50〜55kN/mm程度)、かつ、引張力に対する抵抗力も高いコンクリート構造物を得ることが可能となる。なお、このようなコンクリートは、自己収縮量が大きくなる傾向にあるので、剛性の大きな鋼製や木製の板材を内型枠の堰板として用いると、コンクリートの収縮が拘束され、内部に残留する引張応力が大きくなってしまうが、本発明においては、堰板に相当する堰板層が鋼製や木製の堰板よりも剛性の小さいビーズ法発泡プラスチックで形成されているので、コンクリートの収縮を必要以上に拘束することはなく、したがって、硬化後のコンクリートに残留する引張応力を小さくすることができる。
中空部を有するコンクリート構造物を製造する際に使用される型枠構造としては、前記中空部を形成するための内型枠を備える型枠構造であって、前記内型枠が、支保構造体と、当該支保構造体の外面に形成されたビーズ法発泡プラスチック製の堰板層とを有していることが望ましい。
この型枠構造によれば、内型枠のうちの少なくとも堰板層の体積を容易に減容させることができるので、コンクリート構造物の中空部の内空が奥で広がっている場合やコンクリートが内型枠に強固に付着している場合であっても、容易に内型枠を取り除くことが可能となる。また、この型枠構造においては、内型枠のうちの少なくとも堰板層の体積を減容させればよいので、内型枠の全部をビーズ法発泡プラスチックとした場合に比べて、ビーズ法発泡プラスチックを減容させるための溶剤の量や熱量を削減することが可能となる。
前記支保構造体の構造形式に特に制限はないが、棒状要素を組み合わせてなる骨組構造体を含むものであれば、内型枠の軽量化を図ることが可能となる。なお、前記支保構造体が、骨組構造体を含んで構成されている場合には、前記堰板層と前記骨組構造体との間に板状部材を介設するとよい。このようにすると、堰板層を面的に支持することが可能となるので、堰板層の変形等を抑制することが可能となる。
前記支保構造体の材質にも特に制限はなく、鋼製、アルミニウム合金製、木製、プラスチック製のものを使用することができるが、ポリスチレン樹脂製とすれば、ヌートカトン減容液でゲル状に変質させることが可能となるので、内型枠の脱型作業がより一層容易になる。
本発明に係る型枠構造においては、前記した構成に加えて、前記コンクリート構造物の外面を形成するための外型枠と、前記内型枠と前記外型枠との間隔を保持するスペーサとを具備させてもよい。このようにすると、フレッシュなコンクリートを打設して内型枠と外型枠とに側圧等が作用した場合であっても、内型枠と外型枠との位置関係を一定に保つことが可能となるので、寸法精度の高いコンクリート構造物を得ることが可能となる。
本発明に係る型枠構造においては、前記スペーサが配置される位置において前記堰板層および前記外型枠に透孔を形成するとともに、前記スペーサに前記堰板層の透孔と前記外型枠の透孔とを繋ぐ連通孔を形成してもよい。このようにすると、堰板層の体積を減容させるための溶剤や熱を、スペーサの挿通孔を利用して供給することが可能となる。
なお、前記堰板層の透孔と対応する位置において前記支保構造体に雌ねじが形成されている場合には、前記外型枠の透孔、前記スペーサの連通孔および前記堰板層の透孔に挿通した雄ねじを前記雌ねじに螺合して、前記内型枠と前記外型枠とを固定するとよい。このようにすると、フレッシュなコンクリートの打設によって内型枠に浮力や側圧が作用した場合でも、内型枠の浮き上がりを防止することが可能となり、ひいては、寸法精度の高いコンクリート構造物を得ることが可能となる。
本発明に係る型枠構造においては、複数のビーズ法発泡プラスチック製の堰板構成材を互いに突き合せて前記堰板層を形成してもよい。このようにすると、堰板層に熱や溶剤を供給したときに、堰板構成材の一つ一つが収縮して隣り合う堰板構成材の間に隙間が形成されることになるが、この隙間が熱や溶剤の供給路として機能することになるので、堰板層を溶融または収縮させるのに要する時間をより一層短縮することが可能となる。
複数の堰板構成材で堰板層を構成した場合には、隣り合う前記堰板構成材の境界部分をシールするとよい。このようにすると、隣り合う堰板構成材の境界部分からのコンクリートの浸入を防止することが可能となるので、高品質のコンクリート構造物を得ることが可能となる。
本発明に係るコンクリート構造物の製造方法は、大規模な中空部を有するコンクリート構造物にも無理なく適用することができる。すなわち、本発明に係るコンクリート構造物の製造方法によれば、支保構造体の外面にビーズ発泡プラスチック製の堰板層を形成してなる内型枠を使用しているので、内型枠の全部をビーズ法発泡プラスチックとした場合に比べて、高価なビーズ法発泡プラスチックの使用量を削減することが可能となり、さらには、ビーズ法発泡プラスチックを減容させるための溶剤の量や熱量を削減することが可能となる。
また、本発明に係る型枠構造によれば、支保構造体の外面にビーズ法発泡プラスチック製の堰板層を形成することとしたので、内型枠の全部をビーズ法発泡プラスチックとした場合に比べて、高価なビーズ法発泡プラスチックの使用量を削減することが可能となり、さらには、ビーズ法発泡プラスチックを減容させるための溶剤の量や熱量を削減することが可能となる。
以下、本発明に係るコンクリート構造物の製造方法および型枠構造を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態においては、図7に示すように、製造すべきコンクリート構造物Cが道路橋の箱桁である場合を例示するが、本発明に係るコンクリート構造物の製造方法および型枠構造の適用範囲を限定する趣旨ではない。
まず、図1乃至図4を参照して本実施形態に係る型枠構造1を詳細に説明する。
図1に示す型枠構造1は、コンクリート構造物C(図7参照)を製造する際に使用されるものであり、内型枠10と、外型枠20と、スペーサ30,30,…と、固定手段であるボルト40,40,…とを備えて構成されている。なお、図7に示すコンクリート構造物Cには、その内部に閉断面の中空部Vが形成されている。
図1に示す内型枠10は、中空部V(図7参照)を形成するためのものであり、支保構造体10Aと、堰板層10Bとを備えて構成されている。
支保構造体10Aは、堰板層10Bを支持するものであり、打設したコンクリートの重量や揚圧力、側圧力などによって堰板層10Bに有害な変形が生じない程度の剛性を備えている。すなわち、支保構造体10Aの剛性は、堰板層10Bよりも高くなっている。支保構造体10Aは、図2の(a)に示すように、所定の間隔をあけて並設された複数(本実施形態では三つ)の骨組構造体11,11,11と、骨組構造体11,11,11を囲繞するように配置された板状部材12,12,…と、を備えて構成されている。
骨組構造体11は、格子状に組み合わされた棒状要素11a,11a,…と、棒状要素11aの適所に固着されたナット11b,11bとを備えて構成されている。棒状要素11aには、図3にも示すように、透孔11c,11c,…が形成されている。棒状要素11aの材質や断面形状に特に制限はないが、溝形鋼、H形鋼、山形鋼、角形鋼管、アルミニウム合金製の押出形材、木材、プラスチック製の棒材など材料調達が容易な材料で構成するとよい。なお、棒状の要素11a,11a,…は、溶接や接着等の手段により分解不能に組み合わせてもよいし、ボルト等により分解可能に組み合わせてもよい。ナット11bは、透孔11cに対応する位置に溶接や接着により固着されている。
図2に示すように、板状部材12は、支保構造体10Aの外殻を構成するものであり、骨組構造体11の外周面に固着されている。板状部材12には、図3にも示すように、骨組構造体11の透孔11cに対応する位置に、透孔12aが形成されている。板状部材12の材質等に特に制限はないが、鋼製、アルミニウム合金製、木製、プラスチック製の板材など材料調達が容易な材料で構成するとよい。なお、板状部材12は、溶接や接着等の手段により分解不能に骨組構造体11に組み付けてもよいし、ボルト等により分解可能に組み付けてもよい。
図1に示す堰板層10Bは、コンクリート構造物C(図7参照)の内面(中空部Vを取り囲む面)を形成するものであり、本実施形態では、互いに突き合わされた複数の堰板構成材13,13,…により構成されている。
堰板構成材13は、ビーズ法発泡プラスチックの一種であるビーズ法発泡ポリスチレン(発泡スチロール(EPS)とも言う)からなり、図2の(b)に示すように、接着やボルト接合等の手段により骨組構造体10Aの板状部材12に固着される。堰板構成材13には、スペーサ30が配置される位置に、透孔13aが形成されている。なお、堰板構成材13は、本実施形態では、板状を呈しているが、その形状を限定する趣旨ではなく、中空部V(図7参照)の形状によっては、ブロック状を呈する場合もある。
隣り合う堰板構成材13,13の境界部分は、ポリエチレンなどの合成樹脂からなる膜状部材13bにより被覆されている。すなわち、堰板構成材13,13の境界部分は、膜状部材13bによりシールされている。なお、膜状部材13bに代えて、あるいは、膜状部材14bと併用して、シール材を使用してもよい。すなわち、堰板構成材13,13間にシール材を介在させることで、堰板構成材13,13の境界部分をシールしてもよい。また、隣り合う堰板構成材13,13の突合面同士を接着剤により接着するか、あるいは溶着することで境界部分をシールしてもよい。
堰板構成材13を構成するビーズ法発泡ポリスチレンの発泡倍率については、特に制限はないが、20倍を下回ると、熱や溶剤等による体積収縮量が小さくなるので、20倍以上(すなわち、1mあたりの質量が50kg以下)であることが望ましく、体積収縮量が大きいほうが脱型し易くなることを考慮すると、40倍以上(1mあたりの質量が25kg以下)であることがより一層望ましい。また、発泡倍率が60倍を超えると、コンクリートの重量や側圧による変形が大きくなるので、60倍以下(1mあたりの質量が16kg以上)であることが望ましい。
なお、ビーズ法発泡ポリスチレンの製造方法も、特に限定されるものではなく、ビーズ融着成形法など、従来より知られている製造方法の中から適宜なものを選択すればよい。
ビーズ法発泡ポリスチレンは、加熱することで溶融または収縮する。例えば、ビーズ法発泡ポリスチレンを70〜100℃の温度で48時間程度加熱すると、長さの収縮率(すなわち、加熱前の長さに対する加熱により収縮した収縮長さの割合)は20〜40%程度になる。発泡倍率が40倍、50倍、60倍のビーズ法発泡ポリスチレンを95℃の恒温室に入れて、収縮率の時間変化を調査した。図4は、長さの収縮率と経過時間との関係を示すグラフである。このグラフから分かるように、ビーズ法発泡ポリスチレンを95℃の環境で50時間加熱すると、長さの収縮率が32〜44%(体積の収縮率に換算すると68.6〜82.4%)になることが分かる。なお、ビーズ法発泡ポリスチレンは、270℃以上に加熱すると溶融する。
また、ビーズ法発泡ポリスチレンは、リモネン溶解液によって溶解(溶融)する。リモネンは、例えば、オレンジの果皮から抽出することができる。なお、リモネン溶解液により溶解したポリスチレンは、化学的に分解する訳ではないので、容易にリモネンと分離することができる。
また、ビーズ法発泡ポリスチレンは、ヌートカトン減容液によって減容する。ヌートカトン減容液は、例えば、グレープフルーツの果皮から抽出したシトラスオイルとエチルアルコールまたはイソパラフィンと混合することで得ることができる。なお、ヌートカトン減容液をビーズ法発泡ポリスチレンに供給すると、ビーズ法発泡ポリスチレン中の空気が放出されてその容積が収縮し、ゲル状の物体に変質する。
図1に示す外型枠20は、コンクリート構造物C(図7参照)の外面を形成するためのものであり、堰板などを備えて構成されている。外型枠20は、本実施形態においては、底板部21と、この底板部21に立設される側板部22,22とを備えている。底板部21には、図3に示すように、スペーサ30が配置される位置に、透孔21aが形成されている。なお、図示は省略するが、側板部22にも、スペーサ30が配置される位置に透孔が形成されている。外型枠20の材質には特に制限はなく、鋼、ステンレス、アルミニウム合金、木、プラスチックなどの各種材料を使用することができる。
スペーサ30は、内型枠10と外型枠20との間隔を保持するためのものであり、本実施形態では、筒状を呈するスペーサ本体31と、リング状を呈する支圧部材32とを備えて構成されている。
スペーサ本体31の材質には特に制限はなく、鋼、ステンレス、アルミニウム合金、プラスチック(塩化ビニル、ポリエチレン、アクリル)などの各種材料を使用することができる。また、スペーサ31の形態は、図示のものに限定されることはなく、適宜変更しても差し支えない。例えば、本実施形態では、円筒状を呈するスペーサ31を例示したが、これに限定されることはなく、多角筒状を呈するものであってもよい。
支圧部材32は、堰板層10B(堰板構成材13)とスペーサ本体31との間に介設される。支圧部材32は、堰板層10Bに当接する面(当接面)の面積がスペーサ本体31の堰板層10B側の端面の面積よりも大きくなっていて、堰板層10Bに作用する支圧応力を緩和して堰板層10Bの局所的な変形を抑制する。なお、支圧部材32の材質には特に制限はなく、鋼、ステンレス、アルミニウム合金、プラスチック(塩化ビニル、ポリエチレン、アクリル)などの各種材料を使用することができる。
スペーサ本体31および支圧部材32には、それぞれ、連通孔31a,32aが形成されている。連通孔31a,32aによって、堰板層10Bの透孔13aと外型枠20の透孔21aとが連通することになる。
ボルト40は、内型枠10と外型枠20とを連結して固定するためのものであり、その軸部に雄ねじ41が形成されている。ボルト40の軸部は、外型枠20の透孔21a、スペーサ30の連通孔31a,32a、堰板層10Bの透孔13aおよび支保構造体10の透孔11c,12aに挿通され、雄ねじ41は、骨組構造体11のナット11bに形成された雌ねじに螺合される。
次に、本実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法を詳細に説明する。なお、打設するコンクリートの配合は特に限定されるものではないが、本実施形態では、セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む紛体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を1〜4容積%混入してなるコンクリート(繊維補強コンクリート)を使用する。ここで、ポゾラン系反応粒子とは、例えば、シリカフューム、フライアッシュ、高炉スラグのほか、カオリンの誘導体から選定した化合物、沈降シリカ、火山灰、シリカゾル等からなる粒子のことである。ちなみに、このようなコンクリートの硬化体は、おおよそ、圧縮強度が150〜200N/mmの範囲にあり、曲げ引張強度が25〜45N/mmの範囲にあり、かつ、割裂引張強度が10〜25N/mmの範囲にある。
本実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法は、支保構造体11の外面にビーズ法発泡プラスチック製の堰板層12を形成してなる内型枠10を、中空部V(図7参照)となる位置に配置した後に(図5の(c)参照)、内型枠10の周囲にフレッシュなコンクリートC’を打設し(図6の(a)参照)、コンクリートC’が脱型強度に達した後に堰板層10Bを減容させるものである(図6の(c)参照)。なお、以下の説明においては、コンクリートが繊維補強コンクリートである場合を想定し、型枠設置工程と、打設工程と、一次養生工程と、外型枠脱型工程と、二次養生工程と、内型枠脱型工程とを含むコンクリート構造物の製造方法を例示する。
(型枠設置工程)
型枠設置工程は、図5の(a)〜(c)に示すように、内型枠10および外型枠20を所定の位置に設置する工程である。
型枠設置工程では、図5の(a)に示すように、まず、外型枠20(図5の(c)参照)の一部である底板部21を架台の上に設置し、次いで、底板部21の透孔21a,21a,…の位置に合せてスペーサ30,30,…を設置する。
続いて、図5の(b)に示すように、スペーサ30,30,…の上に内型枠10を設置し、図3に示すように、堰板層10Bの透孔13aをスペーサ30の連通孔31a,32aに合せる。その後、底板部21の透孔21a、スペーサ30の連通孔31a,32aおよび堰板層10Bの透孔13aにボルト40の軸部を挿通し、軸部に形成された雄ねじ41を支保構造体10Aの雌ねじ(ナット11b)に螺合することで、内型枠10と底板部21とを連結して固定する。なお、本実施形態においては、スペーサ30をスペーサ本体31と支圧部材32とで構成し、支圧部材32の当接面の面積をスペーサ本体31の端面の面積よりも大きくしたので、ボルト30の締付力による堰板層10Bの局所的な変形を抑制することが可能となる。
次に、図5の(c)に示すように、底板部21の両端部に側板部22,22を立設して外型枠20を形成するとともに、堰板層10Bと側板部22との間にスペーサ30,30,…を設置し、底板部21の場合と同様に、ボルト40を利用して内型枠10と側板部22とを固定する。
続いて、図示は省略するが、外型枠20の前後の開口部を塞ぐように妻型枠(図示せず)を設置する。
(打設工程)
打設工程は、図6の(a)に示すように、内型枠10の周囲にフレッシュなコンクリートC’を打設する工程である。本実施形態における打設工程では、内型枠10と外型枠20との間に形成された空間および内型枠10の上側の空間にフレッシュなコンクリートC’を打設する。
なお、コンクリートC’を打設すると、内型枠10と外型枠20とに側圧等が作用することになるが、内型枠10と外型枠20との間にスペーサ30,30,…が介設されており、かつ、内型枠10と外型枠20とがボルト40,40,…によって固定されているので、内型枠10と外型枠20との位置関係を一定に保つことが可能となり、ひいては、寸法精度の高いコンクリート構造物を得ることが可能となる。
また、コンクリートC’を打設すると、内型枠10に揚圧力による浮力が作用することになるが、本実施形態においては、ボルト40によって内型枠10が外型枠20に固定されているので、内型枠10の浮き上がりを防止することが可能となり、ひいては、寸法精度の高いコンクリート構造物Cを得ることが可能となる。
なお、本実施形態では、堰板層10Bが複数の堰板構成材13,13,…で構成されているが、隣り合う堰板構成材13,13の境界部分を膜状部材13bやシール材によりシールしているので、隣り合う堰板構成材13,13の境界部分からのコンクリートの浸入(漏れ)を防止することができる。
(一次養生工程)
一次養生工程は、打設したコンクリートC’を、少なくとも脱型強度に達するまで硬化させる工程である。養生温度や養生時間は、コンクリートC’の種類等に応じて設定する。
なお、繊維補強コンクリートは、自己収縮量が大きくなる傾向にあるので、剛性の大きな鋼製や木製の板材を堰板とした従来の内型枠では、コンクリートの収縮が拘束され、内部に残留する引張応力が大きくなってしまうが、本実施形態においては、堰板に相当する堰板層10Bが鋼製や木製の堰板よりも剛性の小さいビーズ法発泡ポリスチレンで形成されているので、コンクリートC’の収縮を必要以上に拘束することはなく、したがって、硬化後のコンクリートC’に残留する引張応力を小さくすることができる。
(外型枠脱型工程)
外型枠脱型工程は、外型枠20および図示せぬ妻型枠を脱型する工程であり、打設したコンクリートC’が脱型強度に達した後に行われる。外型枠20を脱型するには、ボルト40,40,…を取り外したうえで、底板部21および側板部22を引き剥がせばよい。外型枠20を脱型すると、図6の(b)に示すような状態になる。なお、プレテンション方式の場合には、外型枠20を脱型した段階で、コンクリート構造物Cにプレストレスを導入してもよい。
(二次養生工程)
二次養生工程は、コンクリートの強度発現を促進させる工程である。図6の(c)に示すように、本実施形態では、内型枠10を内包した状態のコンクリート構造物Cを蒸気養生釜Jに入れ、蒸気養生釜Jの内部を常圧(大気圧)に保ちつつ、90〜95℃の蒸気を40〜48時間供給し続けることで、コンクリートの強度発現を促進させる。なお、本実施形態では、常圧下で蒸気を供給したが、常圧以上に昇圧した状態で蒸気を供給してもよい。
蒸気養生を行うと、堰板層10Bが加熱されて収縮する。90〜95℃の蒸気を40〜48時間供給すると、堰板層10Bの体積は、蒸気養生前の1/6〜1/3程度に収縮する。なお、蒸気(熱)は、支保構造体10Aの前後の開口部およびスペーサ30の連通孔31a,32a(図3参照)を介して供給されるので、堰板層10Bの全体が速やかに収縮する。また、本実施形態では、複数の堰板構成材13,13,…で堰板層10Bを形成しているので、蒸気(熱)を供給すると、堰板構成材13,13,…の一つ一つが収縮し、隣り合う堰板構成材13,13の間に隙間が形成されることになるが、この隙間が熱や溶剤の供給路として機能することになるので、堰板層10Bを収縮させるのに要する時間を短縮することが可能となる。
なお、蒸気養生の温度(すなわち、堰板層10Bの加熱温度)は、コンクリート構造物Cの規模やコンクリートの種類等に応じて設定すればよいが、蒸気養生の温度が70℃を下回ると、コンクリートの強度発現を促進させる効果が薄れるとともに、堰板層10Bが収縮し難くなるので、好適には、70℃以上に設定することが望ましく、より好適には、80℃以上に設定することが望ましい。また、蒸気養生の温度を必要以上に高くすると、コンクリート中の水和生成物の組織が粗となり長期的な耐久性能が低下する虞があるので、100℃以下に設定することが望ましい。
なお、本実施形態では、蒸気養生釜Jを利用して蒸気養生を行う場合を例示したが、蒸気養生の手法を限定する趣旨ではない。例えば、図示は省略するが、蒸気を供給する配管上に内型枠10を内包したコンクリート構造物Cを設置して蒸気養生を行ってもよい。この場合、コンクリート構造物Cの周囲を養生マットで囲繞しておくと、蒸気養生の熱を効率よく堰板層10Bに供給することができる。
(内型枠脱型工程)
内型枠脱型工程は、内型枠10を脱型(除去)する工程である。本実施形態においては、蒸気養生の過程で堰板層10Bが収縮しているので、蒸気養生の終了後に、コンクリート構造物Cの中空部V(図7参照)から内型枠10を引き出すだけでよい。なお、常温に戻っても堰板層10Bの収縮状態が維持されるので、二次養生時の高温状態を維持する必要はない。内型枠10を取り除くと、図7に示すように、中空部Vを有するコンクリート構造物Cが得られる。
以上説明した本実施形態に係る型枠構造1においては、内型枠10のうち、少なくとも堰板層10Bを収縮させれば、内型枠10を取り除くことが可能となるので、箱桁のように大規模な中空部Vを有するコンクリート構造物Cを製造する場合であっても、内型枠10の全部をビーズ法発泡ポリスチレンとした場合に比べてビーズ法発泡ポリスチレンの使用量を削減することが可能となる。つまり、本実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法によれば、内型枠10の全部をビーズ法発泡ポリスチレンとした場合に比べて、ビーズ法発泡ポリスチレンを収縮させるための熱量を削減することが可能となり、さらに、ビーズ法発泡ポリスチレンの中心部に熱が到達するまでの時間を短縮することも可能となる。言い換えれば、コンクリート構造物Cの中空部Vが大規模であったとしても、この製造方法を無理なく適用することができる。また、この製造方法によれば、コンクリートの乾燥収縮に伴って内型枠10に大きな拘束力が作用していたとしても、コンクリート構造物Cと内型枠10との間に隙間が形成されるので、内型枠10を容易に取り除くことができる。
また、発泡ポリエチレンを利用して内型枠を構成した場合には、発泡ポリエチレンを加熱して溶融または軟化変形させたとしても、常温に戻ったときに再度硬化してしまうので、脱型時に高温状態を維持しておかなければ、内型枠の脱型作業が困難になることがあるが、本実施形態のようにビーズ法発泡ポリスチレンを利用して内型枠10を構成すれば、常温に戻った後も恒久的に収縮しているので、脱型時に高温状態を維持する必要がない。
また、本実施形態においては、支保構造体10Aの剛性が堰板層10Bよりも大きいことから、内型枠10の変形が少なく、したがって、コンクリート構造物の製作精度が向上する。なお、剛性の大きい支保構造体10Aによって堰板層10Bが支持されているので、内型枠10をセットする際に、内型枠10に上載荷重を作用させることもできる。
さらに、本実施形態に係る型枠構造1においては、支保構造体10Aが棒状要素を組み合わせてなる骨組構造体11を含んで構成されているので、内型枠10の軽量化を図ることが可能となる。また、支保構造体10Aの形状・構造が単純であるので、簡単かつ安価に製造することができる。加えて、堰板層10Bと骨組構造体11との間に板状部材12を介設したことで、堰板層10Bを面的に支持することが可能となるので、堰板層10Bの変形等を抑制することが可能となる。また、本実施形態に係る支保構造体10Aについては、何度も再利用することができるので、経済的である。
また、内型枠10を複数のスペーサ30で多点支持しているので、内型枠10に大きな断面力が発生せず、浮力による変形も小さくなる。つまり、コンクリート構造物の製作精度が向上する。なお、支保構造体10Aの剛性が大きいので、内型枠の全部をビーズ法発泡ポリスチレンとした場合に比べて、スペーサ30の個数を少なくすることが可能である。
なお、本実施形態においては、二次養生工程において蒸気養生を行い、この蒸気養生の熱を利用して内型枠10の堰板層10Bの体積を収縮させた場合を例示したが、二次養生工程において給熱養生を行う場合には、給熱養生の熱を利用して内型枠10の堰板層10Bの体積を収縮させればよい。
また、蒸気養生や給熱養生の熱を利用せずに、堰板層10Bを直接加熱してもよい。例えば、支保構造体10Aに電熱線を配設しておけば、電熱線を発熱させることで、堰板層10Bを加熱することができる。なお、電熱線で堰板層10Bを270℃以上に加熱すると、堰板層10Bは溶融することになる。
また、本実施形態においては、堰板層10Bを熱により減容させる場合を例示したが、この他、ビーズ法発泡ポリスチレンを減容させる溶剤(例えば、リモネン溶解液やヌートカトン減容液など)を堰板層10Bに供給することでも、堰板層10Bを減容させることができる。
溶剤を用いる手法は、二次養生工程を行わない場合や、蒸気養生や給熱養生の熱による堰板層10Bの減容が不十分な場合に好適に用いられる。
溶剤を用いて堰板層10Bを減容させる場合には、例えば、図示は省略するが、コンクリートが脱型強度に達した後に、内型枠10Bを内包した状態のコンクリート構造物Cを、溶剤を貯留した溶剤槽に浸漬すればよい。なお、外型枠20を取り付けた状態で溶剤槽に浸漬してもよいが、好適には、外型枠20を脱型した状態(すなわち、ボルト40を取り外した状態)で浸漬することが望ましい。ボルト40を取り外した状態で溶剤槽に浸漬すれば、スペーサ30の連通孔31a,32aから溶剤が浸透するので、効率よく堰板層10Bの体積を減容させることができる。
なお、溶剤槽に浸漬せずに、スペーサ30の連通孔31a,32aから溶剤を注入して堰板層10Bを減容させても勿論差し支えない。
なお、型枠構造1の構成も適宜変更しても差し支えない。例えば、本実施形態では、内型枠10の堰板層10Bを支保構造体10Aの全周に配置した場合を例示したが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、上下の堰板層10Bの一方を省略してもよいし、左右の堰板層10Bの一方を省略してもよい。すなわち、支保構造体10Aの対向する一対の面のうち、少なくとも一方の面に堰板層10Bを形成しておけば、内型枠10の脱型が容易になる。
また、支保構造体10Aの材質に特に制限がないことは、前記したとおりであるが、支保構造体10Aの骨組構造体11や板状部材12をポリスチレン樹脂製とすれば、ヌートカトン減容液でゲル状に変質させることが可能となるので、内型枠10の脱型作業がより一層容易になる。
また、外型枠20の構成も図示のものに限定されることはない。例えば、図示は省略するが、地中連続壁の内側にコンクリート構造物を構築する場合やトンネルの一次覆工の内側にコンクリート構造物である二次覆工を構築する場合などにおいては、地中連続壁やトンネルの一次覆工が外型枠として機能することになる。
また、本実施形態では、内型枠10と外型枠20との間隔をスペーサ30で保持する例を示したが、従来から使用されているセパレータ等で内型枠10と外型枠20との間隔を保持しても勿論差し支えない。
本実施形態では、コンクリート構造物Cの中空部Vが閉断面である場合を例示したが、本発明に係るコンクリート構造物の製造方法および型枠構造の適用範囲を限定する趣旨ではない。本発明に係るコンクリート構造物の製造方法および型枠構造は、中空部Vが開断面である場合(図8の(c)参照)にも適用することができる。なお、図8の(c)に示すコンクリート構造物Cの中空部Vは、上面が開口しており、かつ、奥で広がっている。
このようなコンクリート構造物Cを製造する場合には、図8の(a)に示す型枠構造1’を使用すればよい。
型枠構造1’は、支保構造体110Aの外面にビーズ法発泡プラスチック製の堰板層110Bを形成してなる内型枠110と、この内型枠110を取り囲むように配置された外型枠120と、内型枠110と外型枠120との間に介設されたスペーサ30,30,…と、内型枠110と外型枠120とを固定するボルト(固定手段)40,40,…とを備えて構成されている。
支保構造体110Aの構成は、前記した支保構造体10A(図1参照)と同様の構成であるので、その詳細な説明は省略するが、支保構造体110Aにおいては、その幅寸法がコンクリート構造物Cの開口幅よりも小さくなっている。
堰板層110Bは、互いに突き合わされた複数の堰板構成材113,113,…により構成されている。なお、支保構造体110Aの側部に配置される堰板構成材113は、奥で広がる中空部V(図8の(c)参照)の形状に合せて、断面台形状を呈している。
そして、中空部Vとなる位置に内型枠110を配置したうえで、内型枠110の周囲にフレッシュなコンクリートC’を打設し、コンクリートC’が脱型強度に達した後に、図8の(b)に示すように、熱または前記した溶剤を用いて堰板層110Bの体積を減容させると、内型枠110を解体することなく、中空部Vの開口部から容易に取り出すことが可能となる。
本発明の実施形態に係る型枠構造を示す断面図である。 (a)は支保構造体を示す分解斜視図、(b)は内型枠を示す分解斜視図である。 図1のA部拡大図である。 ビーズ法発泡ポリスチレンの熱収縮特性を示すグラフである。 (a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の各工程を説明するための断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の各工程を説明するための断面図であって、図5の(c)の工程に続く工程を説明するための断面図である。 コンクリート構造物を示す断面図である。 (a)は型枠構造の変形例を示す断面図、(b)および(c)は(a)に示す型枠構造を利用したコンクリート構造物の製造方法を説明するための断面図である。
符号の説明
1 型枠構造
10 内型枠
10A 支保構造体
10B 堰板層
11 骨組構造体
12 板状部材
13 堰板構成材
13b 膜状部材
20 外型枠
30 スペーサ
40 ボルト(固定手段)
C コンクリート構造物
V 中空部

Claims (19)

  1. 中空部を有するコンクリート構造物の製造方法であって、支保構造体の外面にビーズ法発泡プラスチック製の堰板層を形成してなる内型枠を、前記中空部となる位置に配置した後に、前記内型枠の周囲にフレッシュなコンクリートを打設し、前記コンクリートが脱型強度に達した後に前記堰板層の体積を減容させることを特徴とするコンクリート構造物の製造方法。
  2. 前記堰板層を加熱することで、前記堰板層の体積を減容させることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  3. 前記ビーズ法発泡プラスチックが、ビーズ法発泡ポリスチレンであり、
    前記堰板層を加熱して収縮させることで、前記堰板層の体積を減容させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  4. 前記堰板層を70℃以上に加熱することを特徴とする請求項3に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  5. 前記堰板層を80〜100℃に加熱することを特徴とする請求項4に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  6. 給熱養生の熱により前記堰板層を加熱することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  7. 蒸気養生の熱により前記堰板層を加熱することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  8. ビーズ法発泡プラスチックを減容させる溶剤を前記堰板層に供給することで、前記堰板層を減容させることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  9. 前記ビーズ法発泡プラスチックが、ビーズ法発泡ポリスチレンであり、
    前記溶剤が、リモネン溶解液またはヌートカトン減溶液であることを特徴とする請求項8に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  10. 前記コンクリートは、セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む紛体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を1〜4容積%混入してなることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  11. 中空部を有するコンクリート構造物を製造する際に使用される型枠構造であって、
    前記中空部を形成するための内型枠を備えて構成されており、
    前記内型枠が、支保構造体と、当該支保構造体の外面に形成されたビーズ法発泡プラスチック製の堰板層とを有することを特徴とする型枠構造。
  12. 前記支保構造体が、棒状要素を組み合わせてなる骨組構造体を含んで構成されていることを特徴とする請求項11に記載の型枠構造。
  13. 前記支保構造体が、前記堰板層と前記骨組構造体との間に介設された板状部材を備えていることを特徴とする請求項12に記載の型枠構造。
  14. 前記支保構造体が、ポリスチレン樹脂からなることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の型枠構造。
  15. 前記コンクリート構造物の外面を形成するための外型枠と、
    前記内型枠と前記外型枠との間隔を保持するスペーサとをさらに備えることを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の型枠構造。
  16. 前記堰板層および前記外型枠には、それぞれ、前記スペーサが配置される位置に、透孔が形成されており、
    前記スペーサには、前記堰板層の透孔と前記外型枠の透孔とを繋ぐ連通孔が形成されていることを特徴とする請求項15に記載の型枠構造。
  17. 前記支保構造体には、前記堰板層の透孔と対応する位置に雌ねじが形成されており、
    前記外型枠の透孔、前記スペーサの連通孔および前記堰板層の透孔に挿通した雄ねじを前記雌ねじに螺合することで、前記内型枠と前記外型枠とが固定されることを特徴とする請求項16に記載の型枠構造。
  18. 前記堰板層は、複数のビーズ法発泡プラスチック製の堰板構成材を互いに突き合せてなることを特徴とする請求項11乃至請求項17のいずれか一項に記載の型枠構造。
  19. 隣り合う前記堰板構成材の境界部分がシールされていることを特徴とする請求項18に記載の型枠構造。
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