JP2007281338A - 圧電素子および圧電材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電特性に優れた圧電素子を提供する。
【解決手段】本発明に係る圧電素子100は,基板2と、基板2の上方に形成された下部電極4と、下部電極4の上方に形成された圧電体層6と、圧電体層6の上方に形成された上部電極7と、を含み、圧電体層6は、ペロブスカイト型構造を有し,擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る圧電素子100は,基板2と、基板2の上方に形成された下部電極4と、下部電極4の上方に形成された圧電体層6と、圧電体層6の上方に形成された上部電極7と、を含み、圧電体層6は、ペロブスカイト型構造を有し,擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、圧電素子および圧電材料に関する。
インクジェットプリンタのヘッド等に用いられる圧電素子は、圧電材料からなる圧電体層を有する。この圧電材料としては、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)などが代表的であり、例えば特開2001−274472号公報には、(100)に配向したPZTが高い圧電定数(d31)を有することが開示されている。
特開2001−274472号公報
本発明の目的は、圧電特性に優れた圧電素子、および、該圧電素子が有する圧電体層を構成する圧電材料を提供することにある。
本発明に係る第1の圧電素子は、
基板と、
前記基板の上方に形成された下部電極と、
前記下部電極の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、を含み、
前記圧電体層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる。
基板と、
前記基板の上方に形成された下部電極と、
前記下部電極の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、を含み、
前記圧電体層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる。
この圧電素子では、前記圧電体層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している前記圧電材料からなる。例えば、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(100)に配向している圧電材料よりも、この圧電材料は、高い圧電定数(d31)を有し、良好な圧電特性を有することができる。このことは、後述する実験例において確認されている。従って、本発明によれば、圧電特性に優れた圧電素子を提供することができる。
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上方」に形成された他の特定のもの(以下「B」という)」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bが形成されているような場合と、A上に他のものを介してBが形成されているような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。
また、本発明において、例えば、「(110)に配向」とは、(110)にすべての結晶が配向している場合と、(110)にほとんどの結晶(例えば90%以上)が配向しており、(110)に配向していない残りの結晶が(100)等に配向している場合と、を含む。即ち、「(110)に配向」とは、「(110)に優先配向」ということもできる。
本発明に係る第2の圧電素子は、
基板と、
前記基板の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された第1電極と、
前記圧電体層の上方に形成され、前記第1電極と離間して形成された第2電極と、を含み、
前記圧電体層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる。
基板と、
前記基板の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された第1電極と、
前記圧電体層の上方に形成され、前記第1電極と離間して形成された第2電極と、を含み、
前記圧電体層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる。
本発明に係る圧電素子において、
前記下部電極は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している酸化物からなり、
前記圧電体層は、前記下部電極の上に直接形成されていることができる。
前記下部電極は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している酸化物からなり、
前記圧電体層は、前記下部電極の上に直接形成されていることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記基板と前記圧電体層との間に形成されたバッファ層を有し、
前記バッファ層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している酸化物からなり、
前記圧電体層は、前記バッファ層の上に直接形成されていることができる。
前記基板と前記圧電体層との間に形成されたバッファ層を有し、
前記バッファ層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している酸化物からなり、
前記圧電体層は、前記バッファ層の上に直接形成されていることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウム、ニッケル酸ランタン、または、ニオブがドープされたチタン酸ストロンチウムからなることができる。
前記酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウム、ニッケル酸ランタン、または、ニオブがドープされたチタン酸ストロンチウムからなることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記基板は、擬立方晶の表示で(110)に配向している基板材料からなり、
前記バッファ層は、前記基板の上に直接形成されていることができる。
前記基板は、擬立方晶の表示で(110)に配向している基板材料からなり、
前記バッファ層は、前記基板の上に直接形成されていることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記基板材料は、ペロブスカイト型構造を有することができる。
前記基板材料は、ペロブスカイト型構造を有することができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記基板材料は、チタン酸ストロンチウムからなることができる。
前記基板材料は、チタン酸ストロンチウムからなることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記圧電材料は、チタン酸ニオブ酸マグネシウム酸鉛からなり、
前記酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウムからなり、
前記基板材料は、チタン酸ストロンチウムからなることができる。
前記圧電材料は、チタン酸ニオブ酸マグネシウム酸鉛からなり、
前記酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウムからなり、
前記基板材料は、チタン酸ストロンチウムからなることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記圧電材料は、チタン酸ジルコン酸鉛からなり、
前記酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウムからなり、
前記基板材料は、チタン酸ストロンチウムからなることができる。
前記圧電材料は、チタン酸ジルコン酸鉛からなり、
前記酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウムからなり、
前記基板材料は、チタン酸ストロンチウムからなることができる。
本発明に係る圧電材料は、
ペロブスカイト型構造を有し、
擬立方晶の表示で(110)に配向している。
ペロブスカイト型構造を有し、
擬立方晶の表示で(110)に配向している。
本発明に係る圧電材料において、
ロンボヘドラル構造を有することができる。
ロンボヘドラル構造を有することができる。
本発明に係る圧電材料において、
モノクリニック構造を有することができる。
モノクリニック構造を有することができる。
本発明に係る圧電材料において、
分極方向は、擬立方晶の表示で[111]方向であることができる。
分極方向は、擬立方晶の表示で[111]方向であることができる。
なお、本発明において、「分極方向は、擬立方晶の表示で[111]方向である」とは、分極方向が、擬立方晶の表示で、[111]方向に完全に一致している場合と、分極方向が、擬立方晶の表示で、[111]方向から僅かにずれてはいるが、ほぼ[111]方向になっている場合と、を含む。分極方向が、擬立方晶の表示で、ほぼ[111]方向になっている場合とは、例えば、分極方向が、擬立方晶の表示で、<111>方向と、<100>方向との間にあり、分極方向と、<111>方向との成す角が、例えば10°以下である場合などである。
本発明に係る圧電材料において、
チタン酸ニオブ酸マグネシウム酸鉛からなることができる。
チタン酸ニオブ酸マグネシウム酸鉛からなることができる。
本発明に係る圧電材料において、
チタン酸ジルコン酸鉛からなることができる。
チタン酸ジルコン酸鉛からなることができる。
以下、本発明に好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
1.1. まず、本実施形態に係る第1の圧電素子100について説明する。図1は、第1の圧電素子100の一例を模式的に示す断面図である。
圧電素子100は、基板2と、基板2上に形成された下部電極4と、下部電極4上に形成された圧電体層6と、圧電体層6上に形成された上部電極7と、を含む。下部電極4は、基板2の上に直接形成されていることができる。圧電体層6は、下部電極4の上に直接形成されていることができる。
基板2は、例えば、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している基板材料からなることが望ましい。これにより、基板2の結晶構造および配向を引き継いで、基板2の上に、例えば、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している導電性酸化物からなる下部電極(バッファ層)4を容易に得ることができる。その結果、後述するように、下部電極4の上に、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる圧電体層6を容易に得ることができる。基板材料は、例えば、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等の絶縁性を有するペロブスカイト型構造の遷移金属酸化物などからなることができる。
基板2は、例えば図1に示すように、上部に弾性部3を有することができる。弾性部3は、例えば、インクジェット式記録ヘッドにおける弾性板として適用されることができる。弾性部3の厚みは、例えば1μm程度である。また、基板2は、例えば、弾性部3の下であって、基板2に開口されたキャビティ20を有することができる。
下部電極4は、圧電体層6に電圧を印加するための一方の電極である。下部電極4は、バッファ層であることができる。バッファ層は、圧電体層6の結晶配向性を制御する機能を有することができる。下部電極(バッファ層)4は、例えば、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している導電性酸化物からなることが望ましい。これにより、下部電極4の結晶構造および配向を引き継いで、下部電極4の上に、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる圧電体層6を容易に得ることができる。下部電極4を構成する導電性酸化物は、例えば、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3)、ニッケル酸ランタン(LaNiO3)、または、ニオブ(Nb)がドープされたチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などからなることができる。下部電極4を構成する導電性酸化物は、例えば、導電性を有するペロブスカイト型構造の遷移金属酸化物などからなることができる。下部電極4の膜厚は、例えば50nm〜200nmである。
圧電体層6は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる。該圧電材料は、ロンボヘドラル構造またはモノクリニック構造を有することが望ましい。該圧電材料の分極方向は、擬立方晶の表示で[111]方向であることが望ましい。該圧電材料は、例えば、チタン酸ニオブ酸マグネシウム酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3系固溶体)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)などからなることができる。圧電体層6の膜厚は特に限定されないが、例えば300nm〜1200nmである。
上部電極7は、圧電体層6に電圧を印加するための他方の電極である。上部電極7としては、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、酸化イリジウム(IrOx)、ペロブスカイト型構造の導電性酸化物(例えばLaNiO3、SrRuO3等)などの単層、あるいは、これらの積層体を用いることができ、特に限定されない。上部電極7の膜厚は、例えば50nm〜200nmである。
下部電極4、圧電体層6、および上部電極7は、例えば図1に示すようにパターニングされて、柱状の堆積体(柱状部)50を構成することができる。
1.2. 次に、本実施形態に係る第1の圧電素子100の製造方法について図1を参照しながら説明する。
(A)まず、基板2上に下部電極4を形成する。下部電極4は、例えば、スパッタ法などにより形成されることができる。
(B)次に、下部電極4上に圧電体層6を形成する。圧電体層6は、例えば、ゾルゲル法、スパッタ法、MOCVD法などにより形成されることができる。
(C)次に、圧電体層6上に上部電極7を形成する。上部電極7は、例えば、スパッタ法、スピンコート法、化学気相成長(CVD)法、レーザアブレーション法などにより形成されることができる。
(D)次に、必要に応じて、ポストアニールを行うことができる。これにより、圧電体層6と上下電極との良好な界面を形成することができ、かつ、圧電体層6の結晶性を改善することができる。ポストアニールは、例えば、RTA等により、酸素雰囲気中にて行われることができる。
(E)次に、必要に応じて、各部材をエッチングによりパターニングして、例えば、柱状部50やキャビティ20などを形成することができる。
以上の工程によって、本実施形態に係る第1の圧電素子100を製造することができる。
1.3. 本実施形態に係る第1の圧電素子100では、圧電体層6は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる。例えば、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(100)に配向している圧電材料よりも、本実施形態に係る圧電材料は、高い圧電定数(d31)を有し、良好な圧電特性を有することができる。このことは、後述する実験例において確認されている。従って、本実施形態によれば、圧電特性に優れた圧電素子を提供することができる。
1.4. 次に、実験例について説明する。
(1)以下の方法によって、本実施形態に係る第1の圧電素子100の実験サンプルを得た。
まず、擬立方晶の表示で(110)に配向しているSrTiO3からなる基板2上に、スパッタ法によって、下部電極4として、SrRuO3膜を100nmの膜厚で成膜した。得られたSrRuO3膜の配向は、擬立方晶の表示で(110)に配向していることが確認された。
次に、SrRuO3膜上に、ゾルゲル法によって、膜厚500nmの圧電体層6を形成した。圧電材料として、チタン酸ニオブ酸マグネシウム酸鉛(以下「PMN−PT」という)、および、チタン酸ジルコン酸鉛(以下「PZT」という)の2種類を用いて、それぞれからなる圧電体層6を形成した。本実験例では、PMN−PTの組成を、
0.67Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−0.33PbTiO3
とし、PZTの組成を、
Pb(Zr0.50Ti0.50)O3
とした。
0.67Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−0.33PbTiO3
とし、PZTの組成を、
Pb(Zr0.50Ti0.50)O3
とした。
得られた圧電体層6を構成する圧電材料の結晶構造は、ペロブスカイト型構造であって、ロンボヘドラル構造またはモノクリニック構造であることが確認された。従って、該圧電材料の分極方向は、擬立方晶の表示で[111]方向であることが推察できる。該圧電材料は、擬立方晶の表示で(110)に配向していることが確認された。該圧電材料の結晶構造、分極方向、および配向の同定には、X線散乱およびラマン散乱を用いた。
次に、スパッタ法によって、圧電体層6上に、上部電極7として、膜厚100nmのPt膜を形成した。
次に、各部材をパターニングして、柱状部50およびキャビティ20を形成した。平面視において、キャビティ幅を50μm、キャビティ長を0.5mmとした。
以上のようにして圧電素子100の実験サンプルを得た。
(2)また、以下の方法によって、比較例に係る圧電素子の実験サンプルを得た。なお、各部材の膜厚、成膜方法、圧電材料(PMN−PT、PZT)の組成、およびキャビティの大きさは、上述した圧電素子100の実験サンプルの場合と同じにした。
まず、擬立方晶の表示で(100)に配向しているSrTiO3からなる基板2上に、下部電極4として、SrRuO3膜を成膜した。得られたSrRuO3膜の配向は、擬立方晶の表示で(100)に配向していることが確認された。
次に、SrRuO3膜上に、圧電体層6を形成した。圧電材料として、PMN−PTおよびPZTの2種類を用いて、それぞれからなる圧電体層6を形成した。得られた圧電体層6の結晶構造は、ペロブスカイト型構造であることが確認された。圧電体層6は、擬立方晶の表示で(100)に配向していることが確認された。
次に、圧電体層6上に、上部電極7として、Pt膜を形成した。
次に、各部材をパターニングして、柱状部50およびキャビティ20を形成した。平面視において、キャビティ幅を65μm、キャビティ長を0.5mmとした。
以上のようにして比較例に係る圧電素子の実験サンプルを得た。
(3)これらの実験サンプルに対して、上下電極から30Vの電圧を印加したときの弾性部3の変位量を測定した。結果は以下の通りである。
圧電材料がPMN−PTからなる場合:
第1の圧電素子100のサンプル:410nm
比較例の圧電素子のサンプル :350nm
圧電材料がPZTからなる場合:
第1の圧電素子100のサンプル:290nm
比較例の圧電素子のサンプル :230nm
これらの測定結果から、圧電材料がPMN−PTからなる場合も、PZTからなる場合も、第1の圧電素子100のサンプルの方が、比較例のサンプルに比べ、変位量が明らかに大きいことが分かる。変位量の値は、圧電定数(d31)を反映している。従って、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(100)に配向している圧電材料よりも、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料の方が、高い圧電定数(d31)を有し、良好な圧電特性を有することが確認された。
第1の圧電素子100のサンプル:410nm
比較例の圧電素子のサンプル :350nm
圧電材料がPZTからなる場合:
第1の圧電素子100のサンプル:290nm
比較例の圧電素子のサンプル :230nm
これらの測定結果から、圧電材料がPMN−PTからなる場合も、PZTからなる場合も、第1の圧電素子100のサンプルの方が、比較例のサンプルに比べ、変位量が明らかに大きいことが分かる。変位量の値は、圧電定数(d31)を反映している。従って、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(100)に配向している圧電材料よりも、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料の方が、高い圧電定数(d31)を有し、良好な圧電特性を有することが確認された。
2.1. 次に、本実施形態に係る第2の圧電素子200について説明する。図2は、第2の圧電素子200の一例を模式的に示す断面図である。なお、上述した第1の圧電素子100と同一の部材については、同一の符合を付し、その詳細な説明を省略する。
圧電素子200は、基板2と、基板2の上方に形成された圧電体層6と、圧電体層6上に形成された第1電極40と、圧電体層6上に形成された第2電極70と、を含む。圧電素子200は、基板2の上に直接形成されたバッファ層30を有することができる。圧電体層6は、バッファ層30の上に直接形成されていることができる。
バッファ層30は、圧電体層6の結晶配向性を制御する機能を有することができる。なお、例えば基板2にこの機能がある場合などに、バッファ層30を設けないこともできる。バッファ層30は、例えば、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している酸化物からなることが望ましい。これにより、バッファ層30の結晶構造および配向を引き継いで、バッファ層30の上に、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる圧電体層6を容易に得ることができる。バッファ層30を構成する酸化物は、例えば、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3)、ニッケル酸ランタン(LaNiO3)、または、ニオブ(Nb)がドープされたチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などからなることができる。
第1電極40および第2電極70は、圧電体層6に電圧を印加するための電極である。第1電極40および第2電極70としては、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、酸化イリジウム(IrOx)、ペロブスカイト型構造の導電性酸化物(例えばLaNiO3、SrRuO3等)などの単層、あるいは、これらの積層体を用いることができ、特に限定されない。第1電極40および第2電極70の膜厚は、例えば50nm〜200nmである。
2.2. 次に、本実施形態に係る第2の圧電素子200の製造方法について図2を参照しながら説明する。
(A)まず、基板2上にバッファ層30を形成する。バッファ層30は、例えば、スパッタ法などにより形成されることができる。
(B)次に、バッファ層30上に圧電体層6を形成する。本工程は、上述した第1の圧電素子100の一製造工程と同様であるので、詳細な説明を省略する。
(C)次に、圧電体層6上に、第1電極40および第2電極70を形成する。第1電極40および第2電極70は、例えば、スパッタ法、スピンコート法、CVD法、レーザアブレーション法などにより形成されることができる。第1電極40および第2電極70は、公知の方法によりパターニングされることができる。
(D)次に、必要に応じて、ポストアニールを行うことができる。本工程は、上述した第1の圧電素子100の一製造工程と同様であるので、詳細な説明を省略する。
以上の工程によって、本実施形態に係る第2の圧電素子200を製造することができる。
2.3. 本実施形態に係る第2の圧電素子200は、第1の圧電素子100と同様に、優れた圧電特性を有することができる。
3. 上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、上述した本発明の実施形態に係る圧電素子は、例えば、インクジェットプリンタ等に用いられるインクジェット式記録ヘッド、アクチュエータ、ジャイロセンサ等のジャイロ素子、FBAR(film bulk acoustic resonator)型やSMR(solid mounted resonator)型等のBAW(bulk acoustic wave)フィルタ、SAW(surface acoustic wave)フィルタ、超音波モータなどに適用されることができる。本発明の実施形態に係る圧電素子は、圧電特性に優れており、各種の用途に好適に適用できる。
2 基板、3 弾性部、4 下部電極、6 圧電体層、7 上部電極、20 キャビティ、30 バッファ層、40 第1電極、50 柱状部、70 第2電極、100 第1の圧電素子,200 第2の圧電素子
Claims (16)
- 基板と、
前記基板の上方に形成された下部電極と、
前記下部電極の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、を含み、
前記圧電体層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる、圧電素子。 - 基板と、
前記基板の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された第1電極と、
前記圧電体層の上方に形成され、前記第1電極と離間して形成された第2電極と、を含み、
前記圧電体層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している圧電材料からなる、圧電素子。 - 請求項1において、
前記下部電極は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している酸化物からなり、
前記圧電体層は、前記下部電極の上に直接形成されている、圧電素子。 - 請求項2において、
前記基板と前記圧電体層との間に形成されたバッファ層を有し、
前記バッファ層は、ペロブスカイト型構造を有し、擬立方晶の表示で(110)に配向している酸化物からなり、
前記圧電体層は、前記バッファ層の上に直接形成されている、圧電素子。 - 請求項3または4において、
前記酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウム、ニッケル酸ランタン、または、ニオブがドープされたチタン酸ストロンチウムからなる、圧電素子。 - 請求項2または4において、
前記基板は、擬立方晶の表示で(110)に配向している基板材料からなり、
前記バッファ層は、前記基板の上に直接形成されている、圧電素子。 - 請求項6において、
前記基板材料は、ペロブスカイト型構造を有する、圧電素子。 - 請求項7において、
前記基板材料は、チタン酸ストロンチウムからなる、圧電素子。 - 請求項7において、
前記圧電材料は、チタン酸ニオブ酸マグネシウム酸鉛からなり、
前記酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウムからなり、
前記基板材料は、チタン酸ストロンチウムからなる、圧電素子。 - 請求項7において、
前記圧電材料は、チタン酸ジルコン酸鉛からなり、
前記酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウムからなり、
前記基板材料は、チタン酸ストロンチウムからなる、圧電素子。 - ペロブスカイト型構造を有し、
擬立方晶の表示で(110)に配向している、圧電材料。 - 請求項11において、
ロンボヘドラル構造を有する、圧電材料。 - 請求項11において、
モノクリニック構造を有する、圧電材料。 - 請求項11において、
分極方向は、擬立方晶の表示で[111]方向である、圧電材料。 - 請求項11乃至14のいずれかにおいて、
チタン酸ニオブ酸マグネシウム酸鉛からなる、圧電材料。 - 請求項11乃至14のいずれかにおいて、
チタン酸ジルコン酸鉛からなる、圧電材料。
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JP2006108541A JP2007281338A (ja) | 2006-04-11 | 2006-04-11 | 圧電素子および圧電材料 |
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