JP2007281281A - 接着補助剤付金属箔および、これを用いた金属張積層板、プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気特性や微細配線形成性に優れた接着補助剤付き金属箔および、これを用いた金属張積層板を提供するものであり、尚且つ絶縁層との密着性が高いプリント配線板を提供する。
【解決手段】表面の十点平均粗さがRz=2.0μm以下の粗化処理を施してない平滑な金属箔と、少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね、加熱加圧により得られる金属張積層板に使用される接着補助剤付金属箔において、前記金属箔が(A)エポキシ樹脂、(B)グリシジル基を持ちエポキシ価が2〜18であるアクリルゴム、(C)エポキシ樹脂硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物から成る接着補助層を有する、接着補助剤付金属箔。
【選択図】なし
【解決手段】表面の十点平均粗さがRz=2.0μm以下の粗化処理を施してない平滑な金属箔と、少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね、加熱加圧により得られる金属張積層板に使用される接着補助剤付金属箔において、前記金属箔が(A)エポキシ樹脂、(B)グリシジル基を持ちエポキシ価が2〜18であるアクリルゴム、(C)エポキシ樹脂硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物から成る接着補助層を有する、接着補助剤付金属箔。
【選択図】なし
Description
本発明は、接着補助剤付金属箔及びそれを用いた金属張積層板、プリント配線板に関する。
従来、プリント配線板の基板として用いられる積層板は、電気絶縁性を有する樹脂から成るプリプレグ層等の絶縁体層を所定層数積層し、その片面または、両面に金属箔等の導体箔を積層し、加熱圧着して一体化することにより得られる。一般的に、プリント配線板においては、金属箔として銅箔が用いられる。この銅張積層板は、銅箔をエッチングして回路パターンを形成した後に電子部品を搭載して使用していた。このようなプリント配線板に用いられている銅箔は、絶縁体層との接着力を向上させるため、表面に、銅の微細な粒子を析出させる電解析出法によって粗化処理を施して凹凸をつけたものが用いられている。
しかし近年、電子機器の小型化、軽量化、高速化の要求が高まり、プリント配線板は、薄型化、高密度化が進んでいる。この流れに伴い、一般箔(十点平均粗さ(Rz)が約6μm以上)から、粗化面の高さ低減及び粗化粒子形状を変えたロープロファイル銅箔(Rz=3〜4μm)へと粗化の凹凸を抑えた方向へ進んでいる。しかしながら、L/S=30/30以下のファインパターンになった場合、ロープロファイル箔であっても、粗化形状の高さが影響して、設計値通りのパターンを形成することは困難を極める状態である。
一方、電子機器の高速化という観点から、使用される周波数帯もどんどん高周波化されてきている。使用周波数を高周波化した場合、電気信号の遅延という問題がクローズアップされてくるようになり、場合によっては、機器が動作しないといったような事態も起こりうる。電気信号の遅延は、回路の表面部分の影響が大きく、特に金属箔の粗化形状が与える影響は無視できない。遅延をできるだけなくすには、できる限り平滑に近い粗化形状を持った金属箔がもちろん有利である。
これらの背景から、表面がロープロファイル箔よりさらに平滑な金属箔の使用が求められている。しかし、このような金属箔は、表面の凹凸が小さく平滑であるため、金属箔とプリプレグ(絶縁層)との密着性が低いことが問題となり、これまでほとんど用いられたことはない。
このような問題を解決するために、従来の方法では、例えば、特開2002−322586号公報のように金属箔表面の粗度の小さいロープロファイル箔を使用する方法や、特開平2003−201585号公報のように、粗化処理を施さない低粗度銅箔に、耐熱処理層やシランカップリング剤層を改善する方法が考えられてきた。しかし、前者の方法では、ある程度の密着性は確保できるが電気特性や微細配線形成の点で不十分であり、後者の方法では、電気特性や微細配線形成に優れるが、絶縁層との密着性が従来の金属箔よりも大きく低下してしまうといった問題があった。
本発明は公知の方法の不具合点を解消し、電気特性や微細配線形成性に優れた接着補助剤付金属箔および、これを用いた金属張積層板を提供するものであり、尚且つ絶縁層との密着性が高いプリント配線板を提供するものである。
本発明は、以下に関する。
1.表面の十点平均粗さがRz=2.0μm以下の粗化処理を施してない平滑な金属箔と、少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね、加熱加圧により得られる金属張積層板に使用される接着補助剤付金属箔において、前記金属箔が(A)エポキシ樹脂、(B)グリシジル基を持ちエポキシ価が2〜18であるアクリルゴム、(C)エポキシ樹脂硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物から成る接着補助層を有することを特徴とする、接着補助剤付金属箔。
2.前記接着補助層の厚さが、0.1〜10μmであることを特徴とする、項1に記載の接着補助剤付金属箔。
3.前記金属箔の絶縁層と接する面が、密着性向上を目的とした粗化処理を施してなく、十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下かつ最大表面粗さ(Rmax)が5μm以下である、項1または2に記載の接着補助剤付金属箔。
4.項1〜3のいずれかに記載の接着補助剤付金属箔を用いた金属張積層板。
5.項4に記載の金属張積層板を用いて、通常の工法により作製したプリント配線板。
1.表面の十点平均粗さがRz=2.0μm以下の粗化処理を施してない平滑な金属箔と、少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね、加熱加圧により得られる金属張積層板に使用される接着補助剤付金属箔において、前記金属箔が(A)エポキシ樹脂、(B)グリシジル基を持ちエポキシ価が2〜18であるアクリルゴム、(C)エポキシ樹脂硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物から成る接着補助層を有することを特徴とする、接着補助剤付金属箔。
2.前記接着補助層の厚さが、0.1〜10μmであることを特徴とする、項1に記載の接着補助剤付金属箔。
3.前記金属箔の絶縁層と接する面が、密着性向上を目的とした粗化処理を施してなく、十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下かつ最大表面粗さ(Rmax)が5μm以下である、項1または2に記載の接着補助剤付金属箔。
4.項1〜3のいずれかに記載の接着補助剤付金属箔を用いた金属張積層板。
5.項4に記載の金属張積層板を用いて、通常の工法により作製したプリント配線板。
熱硬化性樹脂組成物からなる接着補助剤層を有するものを使用することにより、電気特性や微細配線形成性に優れ、尚且つ金属箔と絶縁層との密着力が高い金属張積層板やプリント線板を提供することが可能となった。
本発明は、金属箔として絶縁層と接する面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下かつ最大表面粗さ(Rmax)が5μm以下のもので粗化処理を施さず、厚さ0.1〜10μmで(A)エポキシ樹脂、(B)アクリルゴム(C)エポキシ樹脂硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物からなる接着補助剤層を有するものが好ましい。本発明によると、金属箔に粗化処理を施さないため、従来の表面の細かな凹凸が存在しない。この平滑さによって低下する金属箔と絶縁層との密着力を、接着補助剤を金属箔と絶縁層の間に付与することによって、電気特性や微細配線形成性に優れ、尚且つ金属箔と絶縁層との密着力が高い配線板を提供することができる。
本発明の金属箔の接着補助剤に用いる熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)アクリルゴム(C)エポキシ樹脂硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含む。この熱硬化性樹脂組成物を接着補助層として用いた金属箔は、平滑な金属箔と絶縁層の密着性に優れた金属張積層板を作製できる。
(A)成分のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂やエポキシ基を有する化合物である多官能エポキシ化合物であり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アラルキレン骨格含有エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、低級アルキル基置換フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂及び多官能脂環式エポキシ樹脂等が例示でき、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
市販品としては、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂としては日本化薬株式会社製のNC−3000H、NC−3000S、リン含有エポキシ樹脂としては東都化成株式会社製のZX−1548、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては大日本インキ株式会社製のEPICLON N−660、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてはジャパンエポキシレジン株式会社製のEP−828などが挙げられる。
(A)成分のエポキシ樹脂は、ゴム変性エポキシ樹脂と併用して使用することも出来る。ゴム変性エポキシ樹脂は、接着剤用または塗料用として市販されている製品であれば、とくに制限なく使用することができる。
市販品としては、大日本インキ株式会社製のEPICLON TSR−960や、東都化成株式会社製のEPOTOHTO YR−102や、スミエポキシ ESC−500などが挙げられる。
併用する場合のゴム変性エポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂の10〜80重量%がよい。ゴム変性エポキシ樹脂を配合すると、硬化時の伸びが大きくなる他、金属箔表面への接着性が向上する。しかしながら、10重量%以下では、その効果を十分に発揮することができず、80重量%を超えると、耐熱性に劣る。30〜70重量%の範囲がより好ましい。
また、ゴム変性エポキシ樹脂は、2種類以上を使用しても良いが、その総量は前述の重量%以内でなければならない。
(B)成分のアクリルゴムはグリシジル基を有することが好ましく、エポキシ価が2〜18のものが用いられる。このようなアクリルゴムは、アクリル酸グリシジルやメタクリル酸グリシジルと、2重結合を持つ化合物を共重合することによって製造することが可能である。2重結合を持つ化合物は、アクリル酸グリシジルやメタクリル酸グリシジルと共重合する化合物であれば特に制限はない。エステル鎖に炭素数1〜20のアルキル基、脂環式基、グリシジル基、水酸基を含む炭素数1〜6のアルキル基、含窒素環状化合物等を有するアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸エチレングリコールメチルエーテル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アミド、アクリル酸イソデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸アリル、アクリル酸N−ビニルピロリドン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸エチレングリコールメチルエーテル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、ジメチルアミノエチルなどが例示できる。一般に、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルは、ラジカルを発生させることで2重結合を付加重合させることができる。本発明のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、および2重結合を持つ化合物の重合または共重合も一般的な手法で可能である。ラジカルを発生させるラジカル重合開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過安息香酸tert−ブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジt―ブチルペルオキシド、2、2’−アゾビス−2、4−ジメチルバレロニトリル、t―ブチルペルイソブチレート、t―ブチルペルピバレート、過酸化水素/第一鉄塩、過硫酸塩/酸性亜硫酸ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド/第一鉄塩、過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリン等を例示できる。またこれらを組み合わせてもよい。アクリル酸グリシジルやメタクリル酸グリシジルと二重結合を持つ化合物の配合比を変えることで、アクリルゴムのエポキシ価を調整できる。本発明におけるアクリルゴムのエポキシ価は2〜18の範囲にあることが好ましい。例えば、本発明で使用するエポキシ価が2〜18のアクリルゴムを合成する場合、アクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジル100重量部に対し、二重結合を持つ化合物は、5〜15重量部配合することが好ましい。エポキシ価が2以下の場合には硬化物のTgの低下による耐熱性の低下、18以上の場合には貯蔵弾性率の上昇により、銅箔引き剥がし強さの低下という問題を生じる。
市販品としては、ナガセケムテックス株式会社製のHTR860P3、根上工業株式会社製のHM6−1M50、HM10−M50などが挙げられる。
また、本発明に用いるアクリルゴムの分子量は、耐熱性を考慮すると、重量平均分子量で、5万〜150万が好ましい。上述のようにして得られたアクリルゴムは、必要に応じて、イソシアネートやメラミン等の架橋剤、エポキシ樹脂やエポキシ基を有する化合物等の高分子化合物、ゴム系エラストマ、難燃剤としてのリン系化合物、シリカ等の無機充填剤、導電性粒子、カップリング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、イオントラップ剤等を配合して、樹脂組成物とすることができる。特に基材及びプリプレグのタックを低減する上で、分子量が30万〜150万の範囲のアクリルゴムを用いることが好ましい。重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行い、スチレン換算重量平均分子量を求めた。
(C)成分のエポキシ樹脂硬化剤は、複数のフェノール性水酸基を分子内に持つ化合物であれば特に制限はないが、ヒドロキノン等の1つのフェニル基に2つ以上の水酸基を有した化合物や、フェノール樹脂、クレゾール樹脂等の1つの分子にフェノール環又はクレゾール環を複数個含んだ化合物が例示できる。
市販品としては、アミノトリアジン変性ノボラック樹脂として大日本インキ化学工業(株)製のフェノライト LA−1356、LA−3018、ビフェニルノボラック樹脂として明和化成株式会社製のMEH−7851などが挙げられる。
(D)成分の反応促進剤として、どのようなものを用いても構わないが、潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やアミン類を配合することが好ましい。アミン類は、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルエタン、グアニル尿素等が例示でき、イミダゾール類は、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト等のイミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール等が例示できる。硬化促進剤の配合量は、樹脂組成物におけるオキシラン環の総量に応じて決定することができるが、一般的に樹脂組成物の樹脂固形分100重量部中、0.01〜10重量部とすることが好ましい。これらの範囲にあると、十分なはんだ耐熱性、良好な接着補助剤の保存安定性及びBステージにした際の良好な取り扱い性が得られる。
本発明の接着補助剤には難燃性を向上させるため、(E)リン化合物を含有させても良い。
(E)リン化合物は、モノマー型リン酸エステル、縮合型リン酸エステル、リン含有フィラー、赤燐、ポリリン酸、フォスファゼンなどが挙げられる。モノマー型リン酸エステルは味の素ファインテクノ株式会社製のレオフォスTPP、縮合型リン酸エステルは味の素ファインテクノ株式会社製のレオフォスRDP、BAPP、リン含有フィラーはクラリアントジャパン株式会社製のOP930、三光株式会社製のHCA−HQ、赤燐は燐化学工業株式会社製のノーバクエルや日本化学工業株式会社製のヒシガード、ポリリン酸は日産化学株式会社製のPMP100やクラリアントジャパン株式会社製のエクソリットOP1311、フォスファゼンは大塚化学株式会社製のSBP100等が挙げられる。樹脂組成物中のリン含有量は0.1〜10重量%の範囲にあるのが好ましい。0.1重量%未満だと難燃性が低下し、10重量%を超えると可とう性が低下するといった問題が生じる。リン含有フィラーの平均粒径は0.1〜30μmの範囲にあるのが望ましい。平均粒径が30μmを超えると屈曲性、密着性が低下する恐れがある。また、平均粒径が0.1μm未満となると、基材タックが増加するおそれがある。平均粒径は動的光散乱法やレーザー回折法によって測定できる。
本発明における接着補助剤には信頼性向上のため、(F)無機フィラーを含有していても良い。
本発明における、(F)無機フィラーは、特に限定されないが、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、アエロジル及び炭酸カルシウムが挙げられる。無機フィラーには、分散性を高める等の目的で、これらをシランカップリング剤等の各種カップリング剤で処理したものを含む。これらは、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。なお、誘電特性や低熱膨張の点からシリカが好ましい。
(F)成分である無機フィラーの配合量は、(A)〜(E)成分の容積の合計中、5〜35容積%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30容積%である。配合量がこの範囲にあると、熱膨張係数と誘電損失が大きくなることもなく、絶縁層を内層回路上に形成するのに、十分なフローが得られる。なお、本発明の接着補助剤に無機フィラーを分散させるには、例えば、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練方法を用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、レベリング剤、消泡剤、イオントラップ剤等の添加剤を配合してもよい。
以上のように作製した熱硬化性樹脂組成物は溶剤に希釈してワニスにして、銅箔に塗工する。溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、エチルエトキシプロピオネート等のエステル類、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が挙げられる。これらの溶剤は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。接着補助剤に対する溶剤の使用量は、特に限定されず、従来から使用されている量とすることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物、及び上記のワニスを、金属箔の片面に塗工し、半硬化させることにより、接着剤つき金属箔が完成する。または、シート状にすることにより、接着シートにすることもできる。
このときの樹脂層の厚みは、0.1μm以上あることが好ましい。0.1μm未満では、樹脂層の伸びが発揮されず絶縁層との接着力が著しく低下する。また、10μm以上ある場合には、成形時に用いるプリプレグの特性、例えば、加熱加圧後の基板としての弾性率や、Tg、吸湿耐熱性などを著しく低下させる恐れがある。プリプレグの特性を十分に発揮するためには、樹脂層が1〜5μmの範囲内にあることがより好ましい。
本発明の接着補助剤をワニスとして、コンマコータやグラビアコータで金属箔やフィルムに塗布する場合は、接着補助剤の全固形分量が、10〜30重量%となるように溶剤の使用量を調節することが好ましいが、またフィルム形成用の設備にあわせて量を調整することもできる。
以上のような金属箔、及び接着剤つき金属箔を用いた基板の製造方法は、金属箔、接着剤付金属箔とプリプレグとは従来公知の方法により積層一体化され、積層板を得ることができる。
本発明に用いる金属箔としては、特に限定されるものではないが、例えば銅箔、ニッケル箔、アルミ箔などを用いることができ、通常は銅箔を使用する。銅箔の種類は電解銅箔、圧延銅箔など特に限定されるものではない。また、使用する金属箔の厚みについても、特に限定されるものではない。一般にプリント配線板に用いられている、厚み105μm以下の金属箔で構わないし、ピーラブルタイプの金属箔を用いることもできる。尚、ピーラブルタイプの代わりに、アルミキャリアやニッケルキャリアを有するようなエッチャブルタイプの金属箔を用いることもできる。使用する金属箔の絶縁層と接する面の粗さは、電気特性や微細配線形成の点から、十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下かつ最大表面粗さ(Rmax)が5μm以下であることが好ましい。粗さがこれ以上粗くなると、伝送損失の増加やエッチング性の低下から微細配線形成が困難になる。さらに、一般にプリント配線板に用いられる金属箔には、粗化処理が施されているが、より平滑な面にするために、本発明では実質的な粗化処理を行わず、金属箔が足を有さないことを特徴とする。「金属箔が足を有さない」とは、密着性向上を目的とした金属箔の凹凸がないことを意味する。銅箔の凹凸が少ないと、エッチングの際に樹脂上の回路がない部分に銅箔残さが残らない。
市販品としては、電解銅箔では古河サーキットフォイル株式会社製のF0−WS箔、株式会社日鉱マテリアルズのHLPB箔、圧延銅箔ではマイクロハード株式会社のZSPC箔などが挙げられる。
本発明に用いる金属箔には、一般的な金属箔の絶縁層接着面に行う防錆処理がなされていることが好ましい。防錆処理は、ニッケル、錫、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルトのいずれか、若しくはそれらの合金を用いて行うことができるが、亜鉛及びクロムから選択される少なくとも一種により行われることが好ましい。防錆処理金属の量は、金属の種類によって異なるが、合計で10〜2000μg/dm2が好適である。防錆処理が厚すぎるとエッチング阻害と電気特性の低下を引き起こし、薄すぎると樹脂とのピール強度低下の要因となりうる。
さらに、防錆処理上にクロメート処理層が形成されていると樹脂とのピール強度低下を抑制できるため有用である。具体的には六価クロムイオンを含む水溶液を用いて行われる。クロメート処理は単純な浸漬処理でも可能であるが、好ましくは陰極処理で行う。重クロム酸ナトリウム0.1〜50g/L、pH1〜13、浴温0〜60℃、電流密度0.1〜5A/dm2、電解時間0.1〜100秒の条件で行うのが良い。重クロム酸ナトリウムの代わりにクロム酸或いは重クロム酸カリウムを用いて行うことも出来る。
本発明においては、銅箔の最外層にさらにシランカップリング剤が吸着していることが好ましい。シランカップリング剤としては例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性シラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ官能性シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のオレフィン官能性シラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル官能性シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル官能性シラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性シランなどが用いられる。後に塗工する接着補助剤との相性を考えると、分子内にエポキシ基あるいはアミノ基を有することが望ましい。これらは単独で用いることもできるし、複数を混合して用いても良い。
(実施例1)
下記に示す樹脂組成物Aを作製した。
(樹脂組成物Aの作製)
・エポキシ樹脂:EP‐828(シャパンエポキシレジン株式会社製)
60重量部
・アクリルゴム:HM6−1M50(根上工業株式会社製、エポキシ価8.00)
100重量部
・硬化剤:テトラブロモビスフェノールA FG2000(帝人化成株式会社製)
40重量部
・硬化促進剤:イミダゾール 2PZ−CN(四国化成(株))
0.3重量部
・溶剤:MIBK
下記に示す樹脂組成物Aを作製した。
(樹脂組成物Aの作製)
・エポキシ樹脂:EP‐828(シャパンエポキシレジン株式会社製)
60重量部
・アクリルゴム:HM6−1M50(根上工業株式会社製、エポキシ価8.00)
100重量部
・硬化剤:テトラブロモビスフェノールA FG2000(帝人化成株式会社製)
40重量部
・硬化促進剤:イミダゾール 2PZ−CN(四国化成(株))
0.3重量部
・溶剤:MIBK
(金属箔Aの作製)
幅510mmのF0−WS12(古河サーキットフォイル社製。Rz=1.2μm、厚み12μm、電解銅箔)の光択面に、上記樹脂組成物Aを塗工し金属箔Aを作製した。塗工後は残溶剤が5%以下になるように170℃で10分程度の乾燥を行った。塗工した樹脂組成物Aの厚みは、3.0μmであった。
幅510mmのF0−WS12(古河サーキットフォイル社製。Rz=1.2μm、厚み12μm、電解銅箔)の光択面に、上記樹脂組成物Aを塗工し金属箔Aを作製した。塗工後は残溶剤が5%以下になるように170℃で10分程度の乾燥を行った。塗工した樹脂組成物Aの厚みは、3.0μmであった。
日立化成工業株式会社製ガラス布基材高Tgエポキシ樹脂プリプレグGEA−679F(厚み0.1mm)1枚とその上下に樹脂組成物Aが塗工された面がプリプレグに接するように金属箔Aを積層し、180℃、3.0MPaの条件で1時間プレス成形し、銅張積層板を製造した。
(実施例2)
エポキシ価15.00のアクリルゴムを合成し、実施例1のアクリルゴムの代わりに使用した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
エポキシ価15.00のアクリルゴムを合成し、実施例1のアクリルゴムの代わりに使用した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
(実施例3)
ナガセケムテックス株式会社製のHTR860P3(エポキシ価3.05)を、実施例1のアクリルゴムの代わりに使用した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
ナガセケムテックス株式会社製のHTR860P3(エポキシ価3.05)を、実施例1のアクリルゴムの代わりに使用した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
(実施例4)
実施例1において、樹脂組成物Aを厚み6μmに塗工し、実施例1と同様に基板を作製した。
実施例1において、樹脂組成物Aを厚み6μmに塗工し、実施例1と同様に基板を作製した。
(実施例5)
実施例1において、樹脂組成物Aを厚み9μmに塗工し、実施例1と同様に基板を作製した。
実施例1において、樹脂組成物Aを厚み9μmに塗工し、実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例1)
実施例1において、樹脂組成物Aのアクリルゴムを除いた樹脂組成物Bを作製し、実施例1と同様に基板を作製した。
実施例1において、樹脂組成物Aのアクリルゴムを除いた樹脂組成物Bを作製し、実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例2)
実施例1において、上記樹脂組成物Aを厚み30μmに塗工し、実施例1と同様に基板を作製した。
実施例1において、上記樹脂組成物Aを厚み30μmに塗工し、実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例3)
実施例1において、上記樹脂組成物AをF3WS−12箔(古河サーキットフォイル社製。Rz=3.5μm、厚み12μm、電解銅箔)に塗工し、実施例1と同様に基板を作製した。
実施例1において、上記樹脂組成物AをF3WS−12箔(古河サーキットフォイル社製。Rz=3.5μm、厚み12μm、電解銅箔)に塗工し、実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例4)
エポキシ価20のアクリルゴムを合成し、実施例1のアクリルゴムの代わりに使用した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
エポキシ価20のアクリルゴムを合成し、実施例1のアクリルゴムの代わりに使用した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例5)
エポキシ価0のアクリルゴムを合成し、実施例1のアクリルゴムの代わりに使用した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
エポキシ価0のアクリルゴムを合成し、実施例1のアクリルゴムの代わりに使用した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
(導体引き剥がし強さの測定)
実施例1〜5、比較例1〜5の評価サンプルの導体引き剥がし強さを測定した。引き剥がしは垂直引き剥がし強さを測定した。測定方法は、JIS−C−6481に準じた。
実施例1〜5、比較例1〜5の評価サンプルの導体引き剥がし強さを測定した。引き剥がしは垂直引き剥がし強さを測定した。測定方法は、JIS−C−6481に準じた。
(吸湿耐熱試験)
実施例1〜5、比較例1〜5の評価サンプルの吸湿耐熱試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃、湿度100%、2気圧の条件で2時間処理し、その後288℃のはんだ浴に20秒浸漬して、基板に膨れ等が発生しないかどうかの確認を行った。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC−242を用いた。
実施例1〜5、比較例1〜5の評価サンプルの吸湿耐熱試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃、湿度100%、2気圧の条件で2時間処理し、その後288℃のはんだ浴に20秒浸漬して、基板に膨れ等が発生しないかどうかの確認を行った。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC−242を用いた。
(微細配線形成)
実施例1〜5、比較例1〜5で得られた両面銅張積層板の両面に、サブトラクティブ法を用いて、最小回路導体幅/回路導体間隔(L/S)=30/30μmとなるように回路パターンを形成した。このとき回路パターンが確実に形成されているかを、顕微鏡と抵抗計を用いて評価した。
実施例1〜5、比較例1〜5で得られた両面銅張積層板の両面に、サブトラクティブ法を用いて、最小回路導体幅/回路導体間隔(L/S)=30/30μmとなるように回路パターンを形成した。このとき回路パターンが確実に形成されているかを、顕微鏡と抵抗計を用いて評価した。
(試験結果)
試験結果を表1に示す。実施例1、2、3、4、5で作製した評価サンプルは引き剥がし強さ、吸湿耐熱性共に良好で銅箔と絶縁層との密着性が高く、かつ微細配線形成にも優れていることが分かった。比較例1、4では吸湿耐熱性は良好であったが引き剥がし強さが低下し、一方比較例5では引き剥がし強さは良好であったが吸湿耐熱性は低下した。これらの原因は、接着補助層のアクリルゴムの状態が適切でなかったためである。比較例2は接着補助剤の層が厚くなったため、引き剥がし強さは良好であったが吸湿耐熱性試験でふくれが発生した。比較例3は、密着性は良好であったが、銅箔の粗化があるため微細配線の形成ができなかった。
試験結果を表1に示す。実施例1、2、3、4、5で作製した評価サンプルは引き剥がし強さ、吸湿耐熱性共に良好で銅箔と絶縁層との密着性が高く、かつ微細配線形成にも優れていることが分かった。比較例1、4では吸湿耐熱性は良好であったが引き剥がし強さが低下し、一方比較例5では引き剥がし強さは良好であったが吸湿耐熱性は低下した。これらの原因は、接着補助層のアクリルゴムの状態が適切でなかったためである。比較例2は接着補助剤の層が厚くなったため、引き剥がし強さは良好であったが吸湿耐熱性試験でふくれが発生した。比較例3は、密着性は良好であったが、銅箔の粗化があるため微細配線の形成ができなかった。
本発明のように、金属箔として絶縁層と接する面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下かつ最大表面粗さ(Rmax)が5μm以下のもので粗化処理を施していなく、厚さ0.1〜10μmで(A)エポキシ樹脂、(B)グリシジル基を持ちエポキシ価が2〜18であるアクリルゴム(C)エポキシ樹脂硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物からなる接着補助剤層を有するものを使用することにより、電気特性や微細配線形成性に優れ、尚且つ金属箔と絶縁層との密着力が高い配線板を提供することができる。
Claims (5)
- 表面の十点平均粗さがRz=2.0μm以下の粗化処理を施してない平滑な金属箔と、少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね、加熱加圧により得られる金属張積層板に使用される接着補助剤付金属箔において、前記金属箔が(A)エポキシ樹脂、(B)グリシジル基を持ちエポキシ価が2〜18であるアクリルゴム、(C)エポキシ樹脂硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物から成る接着補助層を有することを特徴とする、接着補助剤付金属箔。
- 前記接着補助層の厚さが、0.1〜10μmであることを特徴とする、請求項1に記載の接着補助剤付金属箔。
- 前記金属箔の絶縁層と接する面が、密着性向上を目的とした粗化処理を施してなく、十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下かつ最大表面粗さ(Rmax)が5μm以下である、請求項1または2に記載の接着補助剤付金属箔。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の接着補助剤付金属箔を用いた金属張積層板。
- 請求項4に記載の金属張積層板を用いて、通常の工法により作製したプリント配線板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006107404A JP2007281281A (ja) | 2006-04-10 | 2006-04-10 | 接着補助剤付金属箔および、これを用いた金属張積層板、プリント配線板 |
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JP2006107404A JP2007281281A (ja) | 2006-04-10 | 2006-04-10 | 接着補助剤付金属箔および、これを用いた金属張積層板、プリント配線板 |
Publications (1)
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JP2007281281A true JP2007281281A (ja) | 2007-10-25 |
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ID=38682411
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JP2006107404A Pending JP2007281281A (ja) | 2006-04-10 | 2006-04-10 | 接着補助剤付金属箔および、これを用いた金属張積層板、プリント配線板 |
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JP (1) | JP2007281281A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009272532A (ja) * | 2008-05-09 | 2009-11-19 | Hitachi Chem Co Ltd | 絶縁樹脂接着シート及び多層プリント配線板 |
-
2006
- 2006-04-10 JP JP2006107404A patent/JP2007281281A/ja active Pending
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