JP2007281226A - 圧電アクチュエータ - Google Patents

圧電アクチュエータ Download PDF

Info

Publication number
JP2007281226A
JP2007281226A JP2006106116A JP2006106116A JP2007281226A JP 2007281226 A JP2007281226 A JP 2007281226A JP 2006106116 A JP2006106116 A JP 2006106116A JP 2006106116 A JP2006106116 A JP 2006106116A JP 2007281226 A JP2007281226 A JP 2007281226A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric actuator
piezoelectric
main surface
electrode
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006106116A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Handa
真一 半田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2006106116A priority Critical patent/JP2007281226A/ja
Publication of JP2007281226A publication Critical patent/JP2007281226A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

【課題】寸法精度が高くかつ欠損の少ない圧電アクチュエータ、主面に形成される表面電極の寸法バラツキを低減した圧電アクチュエータを提供することである。
【解決手段】圧電体層2と、この圧電体層2の両面に配置された一対の電極とを備えた圧電アクチュエータ1であって、前記一対の電極が表面電極5および内部電極4であり、表面電極5が圧電アクチュエータ1の主面Hに形成されていると共に、該圧電アクチュエータ1の主面H側における角部Kは断面が略円弧状の曲面であり、前記円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータ1の厚みTとの比(R/T)が以下のとおりである。
T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
【選択図】図2

Description

本発明は、電子工業用途で好適に用いられるセラミックス基板、微細な変位を発生させることにより各種デバイスの位置決めや加圧などに用いられ、特にインクジェット記録ヘッドに利用される圧電アクチュエータに関する。
近時、パーソナルコンピュータの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出力する記録装置としてインクジェット方式のプリンタの利用が急速に拡大している。このプリンタのインクジェット記録ヘッドには、圧電アクチュエータが広く利用されている。圧電アクチュエータを用いた圧電方式のインクジェット記録ヘッドは、ヘッドの小型薄型化が容易で、しかも高精度の印字が可能になるという点で優れている。
圧電方式のインクジェット記録ヘッドは、複数のプレートを積層し、内部に圧力室、該圧力室に連通するノズル、及び圧力室にインクを供給するためのインク流路が設けられているキャビティユニットに、圧電アクチュエータが接合されている。そして、この圧電アクチュエータの変形によって圧力室のインクを加圧し、その圧力を利用してノズルからインク滴を噴出させる。
上記圧電アクチュエータは、通常、平面形状が長方形などの多角形である。このような形状に加工する際には、一般に、圧電性セラミックスの粉末を主成分とする複数のグリーンシートと内部電極層とを積層して積層体を作製し、この積層体を回転式や押切り式等のカッターで切断して所望の形状を得ている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の切断方法では、積層体をカッターで切断するため、圧電アクチュエータの角部および周縁部は、その断面が略直角となり、極端な場合には切断時に変形して鋭角になる。そのため、焼成時に角部や周縁部が焼成用セッターの表面に引っかかり、収縮バラツキを発生させ、角部が異常な収縮挙動を呈して変形が生じたり、寸法精度が低下するという問題があった。特に、角部が焼成用セッターの表面に引っかかりやすい傾向にある。
更に、圧電アクチュエータの主面には(表面)電極パターンを形成するのが一般的であるが、角部が略直角や鋭角の場合には、電極パターンの形成時において角部に欠け、チッピング、クラック等を発生させ易いという問題がある。また、得られる電極(すなわち表面電極)の寸法バラツキが大きいという問題もあった。
特開2003−338426号公報
本発明の主たる課題は、寸法精度が高くかつ欠損の少ない圧電アクチュエータを提供することである。
本発明の他の課題は、主面に形成される表面電極の寸法バラツキを低減した圧電アクチュエータを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所定の圧電アクチュエータにおいて、該圧電アクチュエータの主面側における角部が特定の条件を満足する曲面または斜面である場合には、焼成時に収縮バラツキが生じるのを抑制することができるので、寸法精度が高くかつ欠損が少なくなると共に、主面に形成される表面電極の寸法バラツキを低減することができるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の圧電アクチュエータは、以下の構成からなる。
(1)圧電体層と、この圧電体層の両面に配置された一対の電極とを備えた圧電アクチュエータであって、前記一対の電極が表面電極および内部電極であり、前記表面電極が圧電アクチュエータの主面に形成されていると共に、該圧電アクチュエータの主面側における角部は断面が略円弧状の曲面であり、前記円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータの厚みTとの比(R/T)が以下のとおりであることを特徴とする圧電アクチュエータ。
T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
(2)複数の圧電体層と複数の電極とが積層され、前記圧電体層のうちの少なくとも1層の両面に前記電極が配置された圧電アクチュエータであって、前記圧電体層のうちの少なくとも1層の両面に配置された前記電極が表面電極および内部電極であり、前記表面電極が圧電アクチュエータの主面に形成されていると共に、該圧電アクチュエータの主面側における角部は断面が略円弧状の曲面であり、前記円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータの厚みTとの比(R/T)が以下のとおりであることを特徴とする圧電アクチュエータ。
T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
(3)前記圧電アクチュエータの主面側における周縁部は断面が略円弧状の曲面であり、前記円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータの厚みTとの比(R/T)が以下のとおりである前記(1)または(2)記載の圧電アクチュエータ。
T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
(4)圧電体層と、この圧電体層の両面に配置された一対の電極とを備えた圧電アクチュエータであって、前記一対の電極が表面電極および内部電極であり、前記表面電極が圧電アクチュエータの主面に形成されていると共に、該圧電アクチュエータの主面側における角部は断面が斜線状の斜面であり、前記断面において、前記斜線を斜辺とし、一辺が前記主面に平行で、残りの一辺が前記主面に垂直な直角三角形を想定し、前記一辺の長さをta、前記残りの一辺の長さをtbとするとき、ta、tbと圧電アクチュエータの厚みTとの比が以下のとおりであることを特徴とする圧電アクチュエータ。
T<10μmの時(ta/T)=0.3〜1.0、(tb/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(ta/T)=0.1〜1.0、(tb/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(ta/T)=0.05〜0.67、(tb/T)=0.05〜0.67
T>100μmの時(ta/T)=0.02〜0.33、(tb/T)=0.02〜0.33
(5)前記圧電体層の平面形状が略四角形である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
(6)角部が曲面である前記主面または角部が斜面である前記主面とは反対の面に、接着層を介して基板が接合されている前記(1)〜(5)のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
(7)前記表面電極は、スクリーン印刷法により形成されたものである前記(1)〜(6)のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
本発明によれば、圧電アクチュエータの主面側の角部が上記した条件を満足する曲面または斜面であるので、焼成時に角部が焼成用セッターの表面に引っ掛かることがなく、収縮バラツキが生じるのを抑制することができる。これにより、寸法精度の高い圧電アクチュエータを得ることができる。しかも、圧電アクチュエータの主面側、すなわち(表面)電極パターンを形成する面側の角部が、上記した条件を満足する曲面または斜面であるので、電極パターン形成時において角部に応力が集中するのを抑制することができ、その結果、欠損の発生を抑制できる。
さらに、角部が上記の形状であるので、主面に(表面)電極パターンを例えばスクリーン印刷等で形成する場合には、該スクリーン印刷に使用する製版を前記主面から簡単に剥離することができ、電極パターンのにじみや飛び散りの発生を抑制することができるため、得られる電極(すなわち表面電極)の寸法バラツキを低減することができる。また、本発明の圧電アクチュエータでは、角部に加えて周縁部も上記のような曲面とするのが好ましい。
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータについて図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は、本実施形態の圧電アクチュエータ1を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)のX−X線断面図である。このX−X線は、圧電アクチュエータ1の表面における対角線である。図2は、圧電アクチュエータ1の角部付近を拡大した断面図である。図3は、圧電アクチュエータ1の角部付近を主面H側から見た拡大斜視図である。
図1(a),(b)に示すように、圧電アクチュエータ1は、平面形状が略四角形の2層の圧電セラミック層(圧電体層)2,3と、一対の電極である内部電極4および表面電極5とが積層され、圧電セラミック層2の両面に内部電極4と表面電極5が配置されている。また、このように配置された表面電極5は、圧電アクチュエータ1の主面Hに形成されることになる。そして、圧電アクチュエータ1は、表面電極5と内部電極4との間に電圧を印加することによって、表面電極5直下の圧電セラミック層2に圧電振動を発生させる。
ここで、図1〜図3に示すように、圧電アクチュエータ1において、該圧電アクチュエータ1の主面H側における4個の角部Kは、断面が略円弧状の曲面である。この円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータ1の厚みTとの比(R/T)は以下のとおりである。
T<10μm、好ましくは5μm≦T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
T>100μm、好ましくは300μm≧T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
これにより、焼成時の収縮に際し、圧電アクチュエータ1の角部が焼成用セッター表面に引っかかるのを抑制し、収縮バラツキが改善される。その結果、圧電アクチュエータの反りやうねりが低減し、平面方向の寸法精度の向上につながる。また、角部が上記のような曲面であることにより、欠けやチッピングの発生も抑制できる。更に、表面電極5形成時に、角部への応力集中を抑制することができるので、欠けやチッピング、クラック等の欠損の発生が低減する。さらに、角部が上記の形状であるので、電極パターンを主面Hに例えばスクリーン印刷等で形成する場合には、該スクリーン印刷に使用する製版を主面Hから簡単に剥離することができ、電極パターンのにじみや飛び散りの発生を抑制することができるため、得られる電極(すなわち表面電極)の寸法バラツキを低減することができる。
一方、各厚みTにおけるR/Tが上記した所定の範囲外となるような場合には、上記効果が小さくなる。すなわち、各厚みTにおけるR/Tが上記範囲より小さいと、収縮バラツキの改善が見られず、上記範囲より大きいと、外周部のうねりが大きくなる。
前記曲率半径Rは1〜50μm、好ましくは5〜40μm程度であるのがよい。この範囲内で各厚みTにおけるR/Tが上記した所定の範囲内となるように構成するのが好ましい。
圧電セラミック層2としては、例えばPb、ZrおよびTiを含むチタン酸ジルコン酸鉛化合物[PbZrTiO3系化合物(PZT系)]、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などのペロブスカイト型化合物の圧電性セラミックス原料が好適に用いられる。これらのうち、大きな変位を得られるという点で、PZT系を用いるのが好ましい。また、圧電セラミック層3には、圧電セラミック層2と同一材料を使用するのがよい。圧電セラミック層2は厚み方向に互いに相対する方向に分極されている。
内部電極4は、Ag、Cu、Pd、Pt、Rh、Au、Niの単独もしくは2種以上の組み合わせからなる導体、好ましくはAgを含む導体、より好ましくはAg−Pd系合金によって形成されるのがよい。Ag−Pd系合金は、好ましくはAgを80質量%以上、より好ましくは90〜95質量%含有するのがよい。また、内部電極4には、共材として圧電セラミック層2と略同一組成の材料を添加するのがより好ましい。
表面電極5としては、Ag、Cu、Pd、Pt、Rh、Au系材料、Niの単独もしくは2種以上の組み合わせからなる導体などが使用され、薄層化しても高い導電性が得られるという点でAu系材料によって形成されるのがよい。
ここで、圧電アクチュエータ1は、圧電セラミック層(圧電体層)2,3と、一対の電極(内部電極4,表面電極5)とを備えているが、本発明の圧電アクチュエータは、複数の圧電体層と複数の電極とが積層されている構成であってもよい。この場合には、前記圧電体層のうちの少なくとも1層の両面に前記電極が配置され、該電極が表面電極および内部電極であり、前記表面電極が圧電アクチュエータの主面に形成される。そして、圧電アクチュエータの主面側における角部は断面が略円弧状の曲面であり、前記円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータの厚みTとの比(R/T)が、圧電アクチュエータ1の角部Kの場合と同様に、以下のとおりである。
T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
上記のような構成であっても、圧電アクチュエータ1と同じ効果を奏することができる。特に、複数の圧電体層と複数の電極とが積層されているので、圧電アクチュエータの厚みを簡単に調整することができる。
また、圧電アクチュエータ1では、角部Kのみが特定の条件を満足する曲面であるが、該角部Kに加えて、周縁部も上記のような曲面であるのが好ましい。図4は、第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータ1の変形例を示す拡大斜視図である。
図4に示すように、圧電アクチュエータ1’では、該圧電アクチュエータ1’の主面H側における角部Kだけでなく、角部Kを含む周縁部S全体が、断面略円弧状の曲面に加工されている。そして、この円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータ1’の厚みTとの比(R/T)が、角部Kの場合と同様に、以下のとおりであるのが好ましい。
T<10μm、好ましくは5μm≦T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
T>100μm、好ましくは300μm≧T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
上記のような構成であっても、圧電アクチュエータ1と同じ効果を奏することができる。特に、圧電アクチュエータ1’は、角部Kに加えて周縁部Sにも特定の曲面加工がなされているので、欠けやチッピングの発生をより抑制することができる。
次に、上記で説明したような圧電アクチュエータの製造方法について説明する。図5(a)〜(h)は、本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータの製造方法を示す工程図である。
まず、チタン酸ジルコン酸鉛化合物、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などの圧電性セラミックス粉末を準備する。ついで、この圧電性セラミックス粉末と有機バインダ成分を混合し、テープ成形用スラリーを作製する。このスラリーを用いて、ロールコーター法、スリットコーター法、ドクターブレード法等の一般的なテープ成形法によりグリーンシート6を複数枚作製する[図5(a):成形工程]。
圧電性セラミックス原料粉末の平均粒径は1μm以下、好ましくは0.7μm以下、より好ましくは0.5μm以下であるのがよい。平均粒径が1μmを超えると、グリーンシートの厚みバラツキ比率(一般にC値:標準偏差を平均値で除した値)が大きくなり、特性上悪影響を及ぼすおそれがある。また、鉛を含む圧電セラミックス等の場合には、焼結時の活性度が下がり、焼結温度を上げなければならなくなる。その結果、鉛の蒸発が起こり、組成のバラツキが大きくなる。逆に、平均粒径を1μm以下とすることで、これらの問題を抑制することができる。
次に、上記成形工程で得られたグリーンシート6のうち、一部のグリーンシート6の一方の主面に、上記導体を含有した導電ペーストをスクリーン印刷や蒸着などによって印刷して、内部電極4を形成する[図5(b):電極形成工程]。ついで、得られた複数枚のグリーンシート6(電極有り、電極無し)を所望の構成で積層し、密着させて積層体を得る[図5(c):積層工程]。複数枚のグリーンシートを密着させる手法としては、例えば接着成分が含まれた密着液を使用する方法、加熱によりグリーンシート中の有機バインダ成分に接着性を持たせて密着する方法、加圧力だけで密着させる方法等が挙げられる。
次に、上記で得られた積層体を製品形状に個別に分断する。この手法として、例えばパンチ部8とダイス部9とからなる打ち抜き金型を用いた打抜き方式を採用するのが好ましい。打抜きを行なう際には、積層体の両方の主面を保護フィルム7で被覆して被覆体を作製する。これにより、打抜きの際に保護フィルム7自体が塑性変形をし、その変形によって成形体の角部および周縁部に曲面をつけることができる。また、打ち抜き型は、打抜きの際に効率よく保護フィルム7自体を塑性変形させる上で、被覆体と接触する周縁部が断面略円弧状の曲面であるのが好ましい[図5(d):被覆工程および打抜工程]。
角部および周縁部の曲面の曲率半径Rを変化させるには、打抜き型のパンチ部8とダイス部9のクリアランスを変化させればよい。クリアランスが小さいと、曲率半径Rは小さくなり、反対にクリアランスが大きいと曲率半径Rは大きくなる。クリアランスの好ましい範囲は、5〜100μmである。この範囲外では、うねりなどが発生し、適切に打抜きが行えないおそれがある。
積層体を保護フィルム7で被覆する方法としては、一般的なフィルムラミネート法を用いればよい。積層体表面に保護フィルムが既に配置されているような場合(グリーンシートを作製する際に保護フィルムを使用し、積層工程においてフィルム付で積層が行なわれる場合など)は、被覆工程を省略することができる。
保護フィルム7としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)およびポリフェニレンサルファイド(PPS)から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。これらの材質を用いることで、打抜き時に成形体の角部および周縁部に曲面を付け易くなる。保護フィルム7の厚みは、10〜100μm程度であるのがよい。
打抜工程で得られた成形体[図5(e) ]は、両方の主面の保護フィルム7を剥離した後[図5(f) ]、所望により脱脂処理により成形体中の有機成分の除去を行った後、大気中若しくは酸素雰囲気中において焼成して焼結体を作製する(脱脂/焼成工程)。有機成分を除去する方法としては、除去したい有機成分の熱分解挙動に合った温度パターンにて加熱処理を行う方法等が採用される。また、鉛を含むセラミックスを焼成する場合は、溶解性ガスである酸素の濃度を高くする(80%以上)ことで酸素分圧が上がり鉛の分解、ガス化が抑制されると同時に、空隙内圧が低くなることから空隙が収縮しボイド化が抑制される。
最後に、焼結体の角部が曲面を有する主面H側に、上記導体を含有した導電ペーストをスクリーン印刷や蒸着などによって形成し、600〜800℃程度で焼成することにより、表面電極5を形成する[図5(g) ]。これにより、図1に示す圧電アクチュエータ1を得ることができる。
なお、第1の実施形態の圧電アクチュエータにおいて、角部や周縁部を曲面に加工するには、上記した方法の他、角部や周縁部を例えばカッターで切削するなどして曲面状に面取りしてもよい。
また、圧電アクチュエータ1をインクジェット印刷ヘッドなどに適用する場合には、図5(h)に示すように、角部および周縁部が曲面に加工された主面Hとは反対の面に、接着層を介して基板11を接合する(接合工程)。基板11は、インク吐出口12を有するインク流路13および各インク流路13を仕切る隔壁14を備えている。表面電極5はインク流路13と対向するように配設されている。
<第2の実施形態>
本発明の圧電アクチュエータは、上記で説明した第1の実施形態の圧電アクチュエータのように角部および周縁部が曲面ではなく、上記した条件を満足する特定の斜面であっても同様の効果を得ることができる。次に、本発明の第2の実施形態にかかる圧電アクチュエータおよびその製造方法について図面を参照して詳細に説明する。図6(a)は、本発明の第2の実施形態にかかる圧電アクチュエータ21を示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)のY−Y線断面図である。図7は、圧電アクチュエータ21の角部付近を拡大した断面図である。なお、図6および図7においては、前述した図1〜図5の構成と同一または同等な部分には同一の符号を付して説明は省略する。
図6(a),(b)に示すように、圧電アクチュエータ21は、第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータと同様に、平面形状が略四角形の2層の圧電セラミック層(圧電体層)2,3と、一対の電極である内部電極3および表面電極5とが積層され、圧電セラミック層2の両面に内部電極3と表面電極5が配置されている。また、第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータと同様に、このように配置された表面電極5は、圧電アクチュエータ21の主面Hに形成されることになる。
そして、図6,7に示すように、この圧電アクチュエータ21では、該圧電アクチュエータ21の主面H側における4個の角部K’は、断面が斜線状の斜面に面取り、いわゆるC面取り加工されている。この断面において、斜線Lを斜辺とし、一辺Aが主面Hに平行で、残りの一辺Bが主面Hに垂直な直角三角形を想定し、一辺Aの長さをta、残りの一辺Bの長さをtbとしたとき、ta、tbと圧電アクチュエータ21の厚みTとの比が以下のとおりである。
T<10μm、好ましくは5μm≦T<10μmの時(ta/T)=0.3〜1.0、(tb/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(ta/T)=0.1〜1.0、(tb/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(ta/T)=0.05〜0.67、(tb/T)=0.05〜0.67
T>100μm、好ましくは300μm≧T>100μmの時(ta/T)=0.02〜0.33、(tb/T)=0.02〜0.33
上記のような構成であっても、第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータと同様に、焼成時の収縮に際し、圧電アクチュエータ21の角部が焼成用セッター表面に引っかかるのを抑制し、収縮バラツキが改善される。その結果、圧電アクチュエータの反りやうねりが低減し、平面方向の寸法精度の向上につながる。また、角部が上記のような面取り形状であることにより、欠けやチッピングの発生も抑制できる。さらに主面H側、すなわち電極パターンを形成する面側の角部が、上記した条件を満足する斜面であるので、電極パターン形成時に角部に応力が集中することを抑制することができるので、欠けやチッピング、クラック等の欠損の発生が低減する。さらに、角部が上記の形状であるので、電極パターンを主面Hに例えばスクリーン印刷等で形成する場合には、該スクリーン印刷に使用する製版を簡単に剥離することができ、電極パターンのにじみや飛び散りの発生を抑制することができるため、得られる電極(すなわち表面電極)の寸法バラツキを低減することができる。
一方、各厚みTにおける(ta/T)および(tb/T)が上記範囲より小さいと、収縮バラツキの改善は見られず、上記範囲より大きいと、外周部のうねりが大きくなる。
上記角部K’のC面取りは、ta、tbと厚みTとの比が上記した所定の範囲内となるように行えばよく、C面取りの際に形成される斜線Lと、辺Aおよび辺Bとがなす角度は特に限定されるものではない。具体的には、例えばC面寸法(taおよびtbの寸法)が等しくなる、すなわち斜線Lと、辺Aおよび辺Bとがなす角度が45度となるようにC面取りを行ってもよいし、異なる角度にC面取りしてもよい。
また、C面寸法(taおよびtbの寸法)は1〜50μm、好ましくは1〜40μm程度であるのがよく、この範囲内で各厚みTにおける(ta/T)および(tb/T)が上記した所定の範囲内となるように構成するのが好ましい。
圧電アクチュエータ21の製造方法としては、まず、上記第1の実施形態と同様にして、複数枚のグリーンシートと電極との積層体を打ち抜き型やカッターで所望の形状に成形して積層体を作製する。ついで、この積層体の一方の主面を保護フィルム7で被覆して被覆体を作製した後、この被覆体を所定の形状に成形して成形体を作製する。そして、この成形体における保護フィルム7で被覆されていない方の主面側の角部を面取りする(面取工程)。
前記面取工程は、主面H側の角部K’に、例えば平面状のやすり面などを押し当てて角部K’を面取りすればよい。また、前記やすり面以外の方法としては、例えばカッター等で角部K’を面取りしてもよい。ついで、面取りされた前記成形体から保護フィルムを除去して焼成し、圧電アクチュエータ21を得る。
ここで、圧電アクチュエータ21では、角部K’のみが特定の条件を満足する斜面であるが、該角部K’に加えて、周縁部も上記のような斜面であるのが好ましい。図8は、第2の実施形態にかかる圧電アクチュエータ21の変形例を示す平面図であり、図9は、図8のZ−Z線における拡大断面図である。図8,9に示すように、この圧電アクチュエータ21’では、該圧電アクチュエータ21’の主面H側における角部K’だけでなく、周縁部S’全体が斜面状に面取り加工されている。具体的には、圧電アクチュエータ21’では、周縁部S’における断面においても、上記角部K’の場合と同様に、ta、tbと圧電アクチュエータ21’の厚みTとの比が以下のとおりであるのが好ましい。
T<10μm、好ましくは5μm≦T<10μmの時(ta/T)=0.3〜1.0、(tb/T)=0.3〜1.0
10μm≦T≦50μmの時(ta/T)=0.1〜1.0、(tb/T)=0.1〜1.0
50μm<T≦100μmの時(ta/T)=0.05〜0.67、(tb/T)=0.05〜0.67
T>100μm、好ましくは300μm≧T>100μmの時(ta/T)=0.02〜0.33、(tb/T)=0.02〜0.33
上記のような構成であっても、圧電アクチュエータ21と同じ効果を奏することができる。特に、圧電アクチュエータ21’は、角部Kに加えて周縁部Sにも特定の斜面加工がなされているので、欠けやチッピングの発生をより抑制することができる。
圧電アクチュエータ21’の製造方法は、面取工程以外は圧電アクチュエータ21と同様にして製造すればよい。圧電アクチュエータ21’における面取工程は、例えば以下のようにして行うことができる。まず、圧電アクチュエータ21’の主面H側における周縁部S’に、例えば平面状のやすり面などを押し当てて周縁部S’を面取りする。ついで、主面H側の角部K’に、周縁部S’と同様にして、平面状のやすり面などを押し当てて角部K’を面取りすればよい。また、前記やすり面以外の方法としては、例えばカッター等で角部K’や周縁部S’を面取りしてもよい。ついで、この面取工程後に焼成して圧電アクチュエータ21’を得る。
なお、第2の実施形態において、上記した以外の構成は、上記第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態のみに限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。例えば、上記実施形態では、内部電極を1層設けた場合について説明したが、2層以上であってもよい。また、圧電セラミック層の主面に複数の表面電極を配列した形態であってもよい。
また、圧電セラミック層の平面形状は、通常、長方形、正方形、台形、平行四辺形、菱形などの四角形である場合が多いが、三角形、五角形、六角形、八角形、十角形、十二角形などの多角形であってもよい。
なお、上記実施形態では、角部における前記比(R/T)、(ta/T)、(tb/T)を、圧電アクチュエータの表面における対角線を通る断面で切り取った断面図に基づいて評価したが、例えば圧電アクチュエータの表面に略垂直でかつ角部を略二等分する断面で切り取った断面図に基づいて前記比を評価することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、圧電セラミックス原料粉体として粒径(D50:粉体の平均粒径)が0.5μmのチタン酸ジルコン酸鉛粉体を準備し、これにアクリル水溶液を混合してスラリーを作製した。このスラリーを用いてロールコーター法にて厚み30μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、厚みが40μmになるようにグリーンシートを成形した。
ついで、成形工程で得られたグリーンシートに、AgとPdの比率(Ag:Pd)が70:30のAg−Pd電極ペーストを用いて、グリーンシート上に厚み5μmの内部電極を印刷法にて形成した。
次に、内部電極を形成していないグリーンシートを上層に、内部電極を形成したグリーンシートを下層にそれぞれPETフィルムが積層面外を向くように合わせ、10MPaの圧力、70℃の温度で加圧密着して積層体を得た。
その後、パンチ部とダイス部のクリアランスが10μmの打抜き型を用いて、積層体を製品形状に打抜いた。打抜かれた製品の両面のPETフィルムを剥離した後に、パンチ面が上を向くように焼成セッターに積載した。
最後に、得られた積層成形体を大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、さらに、パンチ面とは反対の面(すなわち主面)に表面電極を形成して圧電アクチュエータを得た。表面電極は、スキージと製版を用いた一般的なスクリーン印刷法にて、Auペーストを主面上にパターン塗布した。これを700℃、30分間で大気雰囲気中において焼付けて形成した。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部を断面方向に走査型電子顕微鏡(SEM)でそれぞれ観察したところ、主面側の角部および周縁部に円弧状の断面を有する曲面が形成されていた。この曲面の曲率半径とアクチュエータ全体厚みを測定したところ、曲率半径Rは15μm、全体厚みTは60μmであった(R/T=0.25)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.2%であった。更に、光学顕微鏡で周縁部を観察したところ、欠損は発見されなかった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、10μmであった。
上記実施例1と同様の手法で、厚み10μmのPETフィルム上に、厚みが5μmになるようにグリーンシートを成形し、その上に厚み3μmの内部電極を形成した。次に、実施例1と同様の手法で加圧密着を行い、その後、パンチ部とダイス部のクリアランスが5μmの打抜き型を用いて、製品形状に打抜いた。打抜かれた製品の両面のPETフィルムを剥離した後に、パンチ面が上を向くように焼成セッターに積載した。
最後に、得られた積層成形体を大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、さらに、パンチ面とは反対の面(すなわち主面)に表面電極を形成して圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部について、実施例1と同様にしてSEMでそれぞれ観察したところ、主面側の角部および周縁部に円弧状の断面を有する曲面が形成されていた。また、実施例1と同様にしてこの曲面の曲率半径とアクチュエータ全体厚みを測定したところ、曲率半径Rは9μm、全体厚みTは9μmであった(R/T=1.0)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.3%であった。更に、光学顕微鏡で周縁部を観察したところ、欠損は発見されなかった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、11μmであった。
上記実施例1と同様の手法で、厚み30μmのPETフィルム上に、厚みが20μmになるようにグリーンシートを成形し、その上に厚み5μmの内部電極を形成した。次に、実施例1と同様の手法で加圧密着を行い、その後、パンチ部とダイス部のクリアランスが10μmの打抜き型を用いて、製品形状に打抜いた。打抜かれた製品の両面のPETフィルムを剥離した後に、パンチ面が上を向くように焼成セッターに積載した。
最後に、得られた積層成形体を大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、さらに、パンチ面とは反対の面(すなわち主面)に表面電極を形成して圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部について、実施例1と同様にしてSEMでそれぞれ観察したところ、主面側の角部および周縁部に円弧状の断面を有する曲面が形成されていた。また、実施例1と同様にしてこの曲面の曲率半径とアクチュエータ全体厚みを測定したところ、曲率半径Rは20μm、全体厚みTは32μmであった(R/T=0.625)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.2%であった。更に、光学顕微鏡で周縁部を観察したところ、欠損は発見されなかった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、10μmであった。
上記実施例1と同様の手法で、厚み30μmのPETフィルム上に、厚みが75μmになるようにグリーンシートを成形し、その上に厚み5μmの内部電極を形成した。次に、実施例1と同様の手法で加圧密着を行い、その後、パンチ部とダイス部のクリアランスが10μmの打抜き型を用いて、製品形状に打抜いた。打抜かれた製品の両面のPETフィルムを剥離した後に、パンチ面が上を向くように焼成セッターに積載した。
最後に、得られた積層成形体を大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、さらに、パンチ面とは反対の面(すなわち主面)に表面電極を形成して圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部について、実施例1と同様にしてSEMでそれぞれ観察したところ、主面側の角部および周縁部に円弧状の断面を有する曲面が形成されていた。また、実施例1と同様にしてこの曲面の曲率半径とアクチュエータ全体厚みを測定したところ、曲率半径Rは30μm、全体厚みTは110μmであった(R/T=0.273)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.15%であった。更に、光学顕微鏡で周縁部を観察したところ、欠損は発見されなかった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、12μmであった。
上記実施例1と同様にして積層体を得た。ついで、この積層体の一方の主面をPETフィルムで被覆して被覆体を作製し、この被覆体をカッターによる押し切り加工(ギロチンカット)にて、PETフィルムごと積層体を製品形状にカットして成形体を得た。ついで、この成形体におけるPETフィルムで被覆されていない方の主面側の角部および周縁部を面取りした。具体的には、焼成セッター積載面に該当する積層体面の外周縁部(角部および周縁部)を、カッターにて、断面が斜線状の斜面となるように面取り(C面取り)を行なった。この時のカッターの切り込み量は20μmであった。そして、面取りされた成形体からPETフィルムを除去した。
最後に、得られた積層成形体を大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、さらに、C面取りした面側(すなわち主面側)に表面電極を形成して圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部を断面方向に走査型電子顕微鏡(SEM)でそれぞれ観察したところ、主面側の外周縁部は、斜線状の斜面(C面形状)の断面を有していた。このC面寸法(taおよびtbの寸法)とアクチュエータ全体厚みを測定したところ、C面寸法は15μm、全体厚みTは60μmであった(ta/T=0.25、tb/T=0.25)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.15%であった。更に、光学顕微鏡で周縁部を観察したところ、欠損は発見されなかった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、11μmであった。
上記実施例1と同様の手法で、厚み10μmのPETフィルム上に、厚みが5μmになるようにグリーンシートを成形し、その上に厚み3μmの内部電極を形成、加圧密着を行い、積層体を得た。ついで、この積層体を上記実施例5と同様にして被覆体を作製し、この被覆体を実施例5と同様にして製品形状にカットして成形体を得た。その後、実施例5と同様にしてこの成形体の外周縁部のC面取りを行なった。この時のカッターの切り込み量は5μmであった。
最後に、得られた積層成形体を大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、さらに、C面取りした面側(すなわち主面側)に表面電極を形成して圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部について、実施例5と同様にしてSEMでそれぞれ観察したところ、主面側の外周縁部は、斜線状の斜面(C面形状)の断面を有していた。また、実施例5と同様にしてこのC面寸法(taおよびtbの寸法)とアクチュエータ全体厚みを測定したところ、C面寸法は4μm、全体厚みTは9μmであった(ta/T=0.55、tb/T=0.55)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.2%であった。更に、光学顕微鏡で周縁部を観察したところ、欠損は発見されなかった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、13μmであった。
上記実施例1と同様の手法で、厚み30μmのPETフィルム上に、厚みが20μmになるようにグリーンシートを成形し、その上に厚み5μmの内部電極を形成し、加圧密着を行い、積層体を得た。ついで、この積層体を上記実施例5と同様にして被覆体を作製し、この被覆体を実施例5と同様にして製品形状にカットして成形体を得た。その後、実施例5と同様にしてこの成形体の外周縁部のC面取りを行なった。この時のカッターの切り込み量は25μmであった。
最後に、得られた積層成形体を大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、さらに、C面取りした面側(すなわち主面側)に表面電極を形成して圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部について、実施例5と同様にしてSEMでそれぞれ観察したところ、主面側の外周縁部は、斜線状の斜面(C面形状)の断面を有していた。また、実施例5と同様にしてこのC面寸法(taおよびtbの寸法)とアクチュエータ全体厚みを測定したところ、C面寸法は20μm、全体厚みTは32μmであった(ta/T=0.625、tb/T=0.625)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.2%であった。更に、光学顕微鏡で周縁部を観察したところ、欠損は発見されなかった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、12μmであった。
上記実施例1と同様の手法で、厚み30μmのPETフィルム上に、厚みが75μmになるようにグリーンシートを成形し、その上に厚み5μmの内部電極を形成し、加圧密着を行い、積層体を得た。ついで、この積層体を上記実施例5と同様にして被覆体を作製し、この被覆体を実施例5と同様にして製品形状にカットして成形体を得た。その後、実施例5と同様にしてこの成形体の外周縁部のC面取りを行なった。この時のカッターの切り込み量は32μmであった。
最後に、得られた積層成形体を大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、さらに、C面取りした面側(すなわち主面側)に表面電極を形成して圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部について、実施例5と同様にしてSEMでそれぞれ観察したところ、主面側の外周縁部は、斜線状の斜面(C面形状)の断面を有していた。また、実施例5と同様にしてこのC面寸法(taおよびtbの寸法)とアクチュエータ全体厚みを測定したところ、C面寸法は30μm、全体厚みTは110μmであった(ta/T=0.273、tb/T=0.273)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.12%であった。更に、光学顕微鏡で周縁部を観察したところ、欠損は発見されなかった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、12μmであった。
[比較例1]
上記実施例1と同様にして積層体を得た。その後、鋭利なカッターにより製品形状に分断を行ない、製品の両面のPETフィルムを剥離し、焼成セッターに積載し、大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部を断面方向に走査型電子顕微鏡(SEM)でそれぞれ観察したところ、ほぼ直角形状であった。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.5%であった。更に、光学顕微鏡で周縁部を観察したところ、クラック、チッピングが6箇所発見された。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、32μmであった。
[比較例2]
実施例1と同様にして積層体を得た。その後、パンチ部とダイス部のクリアランスが200μmの打抜き型を用いて、製品形状に打抜いた。打抜かれた製品の両面のPETフィルムを剥離した後に、パンチ面が上を向くように焼成セッターに積載し、大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部を断面方向に走査型電子顕微鏡(SEM)でそれぞれ観察したところ、周縁部には大きくうねりが発生しており、断面曲面の曲率半径Rは60μm、アクチュエータ全体厚みTは60μmであった(R/T=1.0)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.9%であった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、28μmであった。
[比較例3]
実施例1と同様にして積層体を得た。その後、カッターによる押し切り加工(ギロチンカット)にて、PETフィルムごと積層体を製品形状にカットした。積層体両面のPETフィルムを剥離した後に、焼成セッター積載面に該当する積層体面の外周縁部をカッターにてC面取りを行なった。この時のカッターの切り込み量は70μmであった。大気中450℃、5時間の脱脂処理を行った後、温度1000℃、酸素濃度90%の雰囲気において2時間の焼成を行い、圧電アクチュエータを得た。
得られた圧電アクチュエータの角部および周縁部を断面方向に走査型電子顕微鏡(SEM)でそれぞれ観察したところ、周縁部には大きくうねりが発生しており、主面側の外周縁部はC面形状の断面を有していた。このC面寸法とアクチュエータ全体厚みを測定したところ、C面寸法は60μm、全体厚みTは60μmであった(ta/T=1.0、tb/T=1.0)。また、焼成前の外辺寸法と焼成後の外辺寸法から焼成収縮率バラツキの評価を行ったところ、標準偏差で0.5%であった。また、20個の表面電極の幅を測定し、そのバラツキを測定したところ、30μmであった。
(a)は、本発明の第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータを示す平面図であり、(b)は、(a)のX−X線断面図である。 第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータの角部付近を拡大した断面図である。 第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータの角部付近を主面H側から見た拡大斜視図である。 第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータの変形例を示す拡大斜視図である。 (a)〜(h)は、第1の実施形態にかかる圧電アクチュエータの製造方法を示す工程図である。 (a)は、本発明の第2の実施形態にかかる圧電アクチュエータを示す平面図であり、(b)は、(a)のY−Y線断面図である。 第2の実施形態にかかる圧電アクチュエータの角部付近を拡大した断面図である。 第2の実施形態にかかる圧電アクチュエータの変形例を示す平面図である。 図8のZ−Z線断面の拡大断面図である。
符号の説明
1,1’、21,21’ 圧電アクチュエータ
2,3 圧電セラミック層
4 内部電極
5 表面電極
6 グリーンシート
7 保護フィルム
8 パンチ部
9 ダイス部
11 基板
12 インク吐出口
13 インク流路
14 隔壁

Claims (7)

  1. 圧電体層と、この圧電体層の両面に配置された一対の電極とを備えた圧電アクチュエータであって、
    前記一対の電極が表面電極および内部電極であり、前記表面電極が圧電アクチュエータの主面に形成されていると共に、
    該圧電アクチュエータの主面側における角部は断面が略円弧状の曲面であり、前記円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータの厚みTとの比(R/T)が以下のとおりであることを特徴とする圧電アクチュエータ。
    T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
    10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
    50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
    T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
  2. 複数の圧電体層と複数の電極とが積層され、前記圧電体層のうちの少なくとも1層の両面に前記電極が配置された圧電アクチュエータであって、
    前記圧電体層のうちの少なくとも1層の両面に配置された前記電極が表面電極および内部電極であり、前記表面電極が圧電アクチュエータの主面に形成されていると共に、
    該圧電アクチュエータの主面側における角部は断面が略円弧状の曲面であり、前記円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータの厚みTとの比(R/T)が以下のとおりであることを特徴とする圧電アクチュエータ。
    T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
    10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
    50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
    T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
  3. 前記圧電アクチュエータの主面側における周縁部は断面が略円弧状の曲面であり、前記円弧の曲率半径Rと圧電アクチュエータの厚みTとの比(R/T)が以下のとおりである請求項1または2記載の圧電アクチュエータ。
    T<10μmの時(R/T)=0.3〜1.0
    10μm≦T≦50μmの時(R/T)=0.1〜1.0
    50μm<T≦100μmの時(R/T)=0.05〜0.67
    T>100μmの時(R/T)=0.02〜0.33
  4. 圧電体層と、この圧電体層の両面に配置された一対の電極とを備えた圧電アクチュエータであって、
    前記一対の電極が表面電極および内部電極であり、前記表面電極が圧電アクチュエータの主面に形成されていると共に、
    該圧電アクチュエータの主面側における角部は断面が斜線状の斜面であり、前記断面において、前記斜線を斜辺とし、一辺が前記主面に平行で、残りの一辺が前記主面に垂直な直角三角形を想定し、前記一辺の長さをta、前記残りの一辺の長さをtbとするとき、ta、tbと圧電アクチュエータの厚みTとの比が以下のとおりであることを特徴とする圧電アクチュエータ。
    T<10μmの時(ta/T)=0.3〜1.0、(tb/T)=0.3〜1.0
    10μm≦T≦50μmの時(ta/T)=0.1〜1.0、(tb/T)=0.1〜1.0
    50μm<T≦100μmの時(ta/T)=0.05〜0.67、(tb/T)=0.05〜0.67
    T>100μmの時(ta/T)=0.02〜0.33、(tb/T)=0.02〜0.33
  5. 前記圧電体層の平面形状が略四角形である請求項1〜4のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  6. 角部が曲面である前記主面または角部が斜面である前記主面とは反対の面に、接着層を介して基板が接合されている請求項1〜5のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  7. 前記表面電極は、スクリーン印刷法により形成されたものである請求項1〜6のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
JP2006106116A 2006-04-07 2006-04-07 圧電アクチュエータ Pending JP2007281226A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006106116A JP2007281226A (ja) 2006-04-07 2006-04-07 圧電アクチュエータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006106116A JP2007281226A (ja) 2006-04-07 2006-04-07 圧電アクチュエータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007281226A true JP2007281226A (ja) 2007-10-25

Family

ID=38682367

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006106116A Pending JP2007281226A (ja) 2006-04-07 2006-04-07 圧電アクチュエータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007281226A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5566533B2 (ja) * 2012-05-14 2014-08-06 京セラ株式会社 圧電アクチュエータ、圧電振動装置および携帯端末
JP2019212917A (ja) * 2019-07-19 2019-12-12 ローム株式会社 圧電素子ならびにそれを備えた圧電アクチュエータおよび圧電センサ
CN114730572A (zh) * 2020-03-30 2022-07-08 西部数据技术公司 用于减轻平面外力和挠曲振动的相位变化的基于压电的微致动器布置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5566533B2 (ja) * 2012-05-14 2014-08-06 京セラ株式会社 圧電アクチュエータ、圧電振動装置および携帯端末
JP2019212917A (ja) * 2019-07-19 2019-12-12 ローム株式会社 圧電素子ならびにそれを備えた圧電アクチュエータおよび圧電センサ
CN114730572A (zh) * 2020-03-30 2022-07-08 西部数据技术公司 用于减轻平面外力和挠曲振动的相位变化的基于压电的微致动器布置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4470504B2 (ja) 積層型圧電素子及びその製造方法
JP2004111939A (ja) 積層型圧電素子及びその製造方法
JP2006187188A (ja) 圧電アクチュエータ及び液体吐出装置
JP4955962B2 (ja) 圧電アクチュエータおよびその製造方法
JP2007281226A (ja) 圧電アクチュエータ
JP2006324518A (ja) 圧電積層体及びその製造方法,圧電スピーカ,電子機器
JP4358777B2 (ja) ジルコニアセッター及びセラミック基板の製造方法
JPH1154365A (ja) 積層セラミック電子部品
JP2005022909A (ja) グリーンシートおよびその製造方法、並びに積層圧電体、圧電アクチュエータおよびインクジェット記録ヘッド
JP3319413B2 (ja) 圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータの製造方法及びインクジェットヘッド
JP2007200955A (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JP2005223014A (ja) 積層型圧電素子及びその製造方法
JP5260900B2 (ja) 液体吐出ヘッド
JP2001094164A (ja) 積層型圧電アクチュエータ
WO2007023594A1 (ja) 圧電アクチュエータ
JP2005191409A (ja) 積層セラミックコンデンサの製造方法
JP2004328973A (ja) 高集積型圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッド
JP2007267550A (ja) 圧電アクチュエータおよびその分極方法
US20030168784A1 (en) Method of fabricating a ceramic stack structure
JP4989019B2 (ja) セラミックス基板、圧電アクチュエータ基板、圧電アクチュエータおよびこれらの製造方法
JP2005027402A (ja) 圧電アクチュエータ及び液体吐出装置
JP4889200B2 (ja) 積層型圧電素子および噴射装置
JP6035773B2 (ja) 積層型圧電アクチュエータおよびその製造方法
US8721820B2 (en) Method for manufacturing multilayer ceramic electronic component
JP2005039986A (ja) 圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッド