本発明は、データの転送等の処理を行うデータ処理装置に関する。
乗り物内の複数の電子機器に対して無線通信を利用して、お互いが有する情報を互いに伝送する技術が公開されている(例えば、特許文献1を参照。)。例えば、車両に設けられブルートゥース機能を有する車載機が、車内にあるブルートゥース機能を有する携帯電話や携帯オーディオプレーヤ、携帯パソコン等と相互通信を行い、データが転送されて情報の共有をはかることが可能となる。
更に、車両に設けられた車載機と携帯オーディオプレーヤとを連動させて、携帯オーディオプレーヤが有するデータを車載機側で再生する技術が公開されている(例えば、特許文献2を参照。)。この技術においては、車載機は、携帯オーディオプレーヤと無線通信が可能であって、携帯オーディオプレーヤ側での音声の再生が停止されると、この無線通信により音声データが携帯オーディオプレーヤから車載機に転送され、音声が車載機側で再生される。
また、データ処理を行う車載機において、料金決済のための記録媒体を挿入する挿入口にアクセス可能な状態とアクセス不可能な状態に選択的に設定するデータ処理装置に関する技術が公開されている(例えば、特許文献3を参照。)。この技術によると、決済用記録媒体の挿入状態を隠蔽し、その盗難を防止することが可能となる。
特開2001−239897号公報
特開2004−22139号公報
特開2004−334284号公報
特開2004−355444号公報
特開2004−112050号公報
車両に搭載される車載機は、その多くはハードディスクドライブ等の記憶装置を備え、そこに車両内に音楽や映像を提供するための音楽データや映像データ等のコンテンツデータ、地図情報を提供するための地図データ等が記憶されている。これらのデータに対しては、車載機外の外部装置にデータを転送したり、外部装置から車載機にデータを転送したりする希望がユーザにある。
しかし、車載機と外部装置との間のデータ転送には、その対象となるデータの著作権が保護される必要があるとともに、該データ転送による車載機への負荷は必ずしも軽くはなく、ユーザの使用環境が必ずしも好適な状態であるとは言えない。また、車載機と外部装置とをデータ転送が可能な状態としたとき、ユーザの不適切な操作によりそのデータ転送状態が阻害され、電気的通信の遮断やハードウェアの損傷等の不具合が生じる虞がある。また、これは車載機に限られず、一般にデータ転送が行われる電子機器のユーザに対しても言い得る。
本発明では、上記した問題に鑑み、データの転送が行われるデータ処理装置のユーザに対して、データ転送時の使用環境の向上を可能とするデータ処理装置の提供を目的とする。
本発明では、上記した課題を解決するために、第一に、データ処理装置のハードウェアに着目をした。即ち、データ処理装置のハードウェアの観点から、ユーザの使用環境の向上を図ろうというものである。
詳細には、本発明は、データ処理装置であって、データ処理を行う装置本体であって、外部装置と通信を行う通信部と、該装置本体でのデータ処理に関連する所定通常入力を受け付ける通常入力受付部とを有する装置本体と、前記装置本体の有する前記通信部と前記通常入力受付部とを覆うカバー部と、前記装置本体でのデータ処理についてのユーザの指示入力が行われる入力部と、前記入力部への入力に従って、前記カバー部を、前記通常入力受付部のみが露出され前記通信部での通信が制限される第一オープン状態と、前記通信部が露出され該通信部を介した前記外部装置との通信が可能となる第二オープン状態の何れかに置くオープン状態制御手段と、を備える。
本発明に係るデータ処理装置は、音楽データや映像データ等の様々なデータの再生、加工等の処理を行うものである。これらのデータ処理は、上記装置本体において行われる。更に、この装置本体には、通信部と通常入力受付部が設けられており、前者は、データ処理装置と外部装置との間のデータ転送の入出力口として機能し、後者は、該データ転送以外のデータ処理であって、装置本体で行われるデータ処理に関連する所定通常入力を受け付ける機能を有する。所定通常入力としては、データ処理装置で使用されるデータが格納されたデータ媒体を、装置本体に対してデータ処理可能状態にセットする行為や、データ処理装置に対して特定のデータ処理を行わせるべくユーザが指示を入力する行為等が例示できる。そして、これらの場合、通常入力受付部は、前者の場合はデータ媒体の挿入口、後者の場合は操作ボタン等が対応し得る。
そして、本発明に係るデータ処理装置では、これらの通信部と通常入力受付部とは、カバー部によって覆われ、それぞれへのユーザのアクセスが制限されることになる。即ち、オープン状態制御手段による、入力部へのユーザの入力に応じたカバー部のオープン状態の制御がそれである。オープン状態によってカバー部が第一オープン状態とされると、通常入力受付部のみが露出されるため、ユーザは通常入力受付部を介した所定通常入力を行うことは可能であるが、通信部を介した外部装置とのデータ転送を行うことは制限される。従って、ユーザがデータ転送を意図しないときに、即ちカバー部が第一オープン状態に置かれているときに、ユーザは通信部にアクセスすることができないため、ユーザの不適切な操作等によって生じる、外部装置とのデータ転送に関する不具合をより確実に回避することが可能となる。
尚、ユーザが外部装置とデータ転送を行いたいときは、入力部への操作により、カバー部を第二オープン状態とすることで、通信部が露出されユーザが該通信部にアクセスすることが可能となる。このとき、通常入力受付部は、ユーザのアクセスが制限されていても制限されていなくても何れでもよい。
以上のように構成される本発明に係るデータ処理装置では、通信部を介したデータ処理装置と外部装置とのデータ転送に関する不具合を可及的に回避することが可能となる。
ここで、上記のデータ処理装置において、前記カバー部は、前記第一オープン状態に置かれるとき前記装置本体の前方で傾斜し又はスライドすることで前記通常入力受付部のみを露出させ、前記第二オープン状態に置かれるとき該第一オープン状態時よりも更に傾斜し又はスライドすることで前記通常入力受付部および前記通信部を露出させるようにしてもよい。即ち、カバー部が、徐々に傾斜又はスライドすることで、クローズ状態(カバー部が、通信部と通常入力受付部とを覆っている状態)から、第一オープン状態、第二オー
プン状態に移行していくものである。
また、前記入力部は、前記カバー部上に設けられていてもよい。即ち、ユーザのカバー部のオープン状態に対する指示は、該カバー部に設けられた入力部に対して行われることになる。
ここで、上述までのデータ処理装置において、前記通信部は、前記外部装置と有線で通信を行うための端子であってもよい。即ち、データ処理装置と外部装置とは、通信部とそれに繋がる有線を介して、データの転送が行われる。有線の接続状態を形成する場合、ユーザの誤操作等によるハードウェアの不具合がより生じやすいため、本発明に係るデータ処理装置による効果はより顕著なものになると思われる。
また、本発明では、上記した課題を解決するために、データ処理装置において、データを管理するための関連した異なる管理データを二つ形成するとともに、データ処理装置と外部装置との接続が確認された後、ユーザに対してデータ転送を行うか否かの確認を行うこととした。このように関連した異なる二つの管理データで一のデータを管理することで、即ち管理データの二重化を行うことで、データに対して与えられたオプション機能を発揮させるとともに、該オプション機能を考慮し且つデータを保護しながら該データのバックアップが可能となる。更に、データ転送を実質的に開始する前にユーザに対して確認動作を行うことで、ユーザの注意を引きつけユーザの誤操作をより確実に防ぐことが可能となる。
詳細には、第一に、本発明は、データ処理装置であって、処理の対象となるデータと、該データを第一基準に従って管理するための第一管理データとが記憶される記憶装置と、外部装置が接続され、該外部装置と前記記憶装置との間でデータ転送が行われる転送部と、前記第一管理データに基づいて前記データの再生を行い、且つ、前記第一基準とは異なる第二基準に従って前記外部装置が該データを管理するための管理データであって、該第二基準によって前記第一管理データから形成される第二管理データに基づいて、前記転送部を介して該データを該外部装置に転送するデータ処理手段と、前記転送部に対して前記外部装置が接続状態となっているか否かを判定する接続判定手段と、前記接続判定手段によって、前記転送部に対して前記外部装置が接続状態となっていると判定されるとき、ユーザに対して前記データ処理手段によるデータ転送を行う意思があるか否かを確認する確認手段と、前記確認手段によって、ユーザは前記データ処理手段によるデータ転送を行う意思があると確認されると、該データ処理手段によって、前記記憶装置に記憶された前記データの前記第二管理データに基づく前記外部装置への転送を実行するデータ転送実行手段と、を備える。
本発明に係るデータ処理装置においては、データ処理手段によってデータの処理が行われている。先ず、該データ処理装置においてデータの再生は、記憶装置に記憶されている第一管理データに基づいて行われる。この第一管理データおよび後述する第二管理データは、データを管理するための管理データであり、例えば、各データに付与された識別番号や、各データが有するファイル名、その内容に関するパラメータ等のデータの属性等に関するデータであり、場合によっては一種のデータベースである。
この第一管理データには、第一基準に基づいたデータに関する情報が含まれている。そして、データ処理手段が、この第一管理データに基づいてデータを再生する。そこで、該第一基準とは、データを再生する際のユーザの利便性等のオプション機能を、第一管理データに加味させる基準である。従って、第一管理データには、該オプション機能に対応し、データの管理に使用されるデータが含まれる。この結果、データ処理手段によるデータ再生時に、ユーザは該オプション機能の利益を享受することが可能となる。
ここで、データをデータ処理装置外の外部装置に転送する場合、即ちデータの管理をしようとする場合に、第一管理データに基づいてデータの転送を行うと、必ずしもデータの著作権等の保護を図れるとは限られない。それは、第一管理データは、あくまでもデータの再生に対してオプション機能を付与する等、再生時に特定の目的を果たすための管理データであることによる。また、データの保護を図るためには、その保護のための方式が汎用的であることが求められるため、該オプション機能を含んだ管理データでは汎用的な方式によるデータの保護を図ることが困難となる。
そこで、本発明に係るデータ処理装置では、データを外部装置に転送するとき、第一管理データとは異なる第二管理データに基づいたデータの転送が行われる。即ち、一のデータに対して、第一管理データと第二管理データによるデータの二重管理が行われる点に、本発明に係るデータ処理装置の第一の特徴点がある。
ここで、この第二管理データは、第一管理データとは完全に独立して形成されてもよい。第二管理データが第一管理データから独立して形成される場合には、データの著作権等の保護の観点からデータ管理に必要とされる管理データを形成するための第二基準(この第二基準は、第一基準と明確に異なる)に基づいて、データに関する何らかのデータから形成される。例えば、データの基本データに、第二基準特有の管理データを付加することで、第二管理データが形成される。このとき、第一管理データも、このデータの基本データに、第一基準特有の管理データを付加することで形成されてもよい。
一方で、第二管理データは、第一管理データから形成されるようにしてもよい。即ち、第二基準に基づいて、第一管理データから第二管理データへの変換が行われる。例えば、第一管理データに含まれる再生時に特定の目的を果たすためのデータを管理データ本体から外すとともに、データの保護に必要なデータを組み入れる等の、第二基準に基づく変換行程によって、第一管理データから第二管理データが形成される。つまり、第一管理データと第二管理データとで共通して利用できる管理データは継続して利用するとともに、第二管理データ特有のデータを後発的に付加するのである。
そして、データ処理手段は、この第二管理データに基づいてデータを外部装置に転送することで、データの著作権等の保護を確保しながら該データの転送を行うことが可能となる。
更に、本発明に係るデータ処理装置は、接続判定手段が外部装置と該データ処理装置との間の接続状態を確認し、その上でユーザに対して確認手段が、データ処理手段による、即ち第二管理データに基づくデータ転送を行う意思があるか確認を行う点に、第二の特徴点を有する。これにより、ユーザはデータ転送を行うことをより確実に留意するため、データ転送時のユーザの誤操作等に起因する不具合の発生を、可及的に抑制することが可能となる。
更に付け加えると、この確認手段による確認動作は、通信部を介してデータ処理装置と外部装置とが接続状態になって初めて行われる。この接続状態は、まだ両者間でのデータ転送が可能となる前の段階であって、両者が単純に物理的もしくは電気的に接続されただけの状態をいう。換言すると、該接続状態とは、仮にユーザがデータ処理装置に対して過ってデータ転送を行うべく指示を出したとしても、制御的に両者が繋がっている状態ではないため、データの転送は行われ得ない状態である。従って、この接続状態を経て、確認手段によりユーザのデータ転送に関する確認が取れた後に、初めて、データ転送実行手段が、データ処理手段によるデータ転送を実行することになる。
以上より、本発明に係るデータ管理装置では、第一管理データに基づくデータの再生と、第一管理データとは異なる第二管理データに基づくデータの転送とによって、法令を遵守しデータの保護を図ると共に、オプション機能を付与されたデータをバックアップすることが可能となる。更には、データの転送が行われるデータ処理装置のユーザに対して、データ転送時の使用環境の向上を可能とするデータ処理装置の提供が可能となる。
第二に、本発明は、データ処理装置であって、処理の対象となるデータと、該データを第一基準に従って管理するための第一管理データとが記憶される記憶装置と、外部装置が接続され、該外部装置と前記記憶装置との間でデータ転送が行われる転送部と、前記第一管理データに基づいて前記データの再生を行い、且つ、前記第一基準とは異なる第二基準に従って前記外部装置が該データを管理するための管理データであって、該第二基準によって前記第一管理データから形成される第二管理データに基づいて、前記転送部を介して該データを該外部装置に転送するデータ処理手段と、前記転送部に対して前記外部装置が接続状態となっているか否かを判定する接続判定手段と、前記接続判定手段によって前記転送部に対して前記外部装置が接続状態となっていると判定されると、前記第二基準による前記第一管理データからの前記第二管理データの形成を実行する管理データ形成実行手段と、前記管理データ形成実行手段によって前記管理データの形成が実行された後に、前記接続状態にある外部装置を、前記データ処理手段によるデータの転送が可能となる転送可能状態に設定する転送可能設定手段と、を備える。
第二のデータ処理装置の特徴点は、外部装置が接続状態になって管理データ形成実行手段による第二管理データの形成が完了した後に、転送可能設定手段によって外部装置がデータ処理装置に対して転送可能状態に設定される点である。この転送可能状態とは、データ処理装置と外部装置とを制御的に両者が繋がっている状態とすることで、データ転送が実質的に可能となる状態である。従って、本発明に係るデータ処理装置においては、外部装置とのデータ転送が実質的に可能となる前に、管理データ形成実行手段による第二管理データの形成が実行されることになる。尚、第一管理データからの第二管理データの形成については、上述した通りである。
尚、実際にデータ処理装置と外部装置との間でデータ転送が行われるのは、転送可能設定手段によって、外部装置が転送可能状態に設定された後となる。従って、外部装置が転送可能状態に設定される前に、第二管理データの準備が既に完了していることになり、以てデータ転送時のユーザの誤操作等に起因する不具合の発生を、より確実に抑制することが可能となる。
また、上記のデータ処理装置において、前記第二管理データが形成されるときに、前記データ処理手段によって前記第一管理データに基づく前記データの再生が行われている場合、該データの再生を停止するデータ再生停止手段を、更に備えるようにしてもよい。即ち、データの再生によって生じるデータ処理装置の負荷上昇を抑制し、データ転送にデータ処理装置の処理能力を集中させることが可能となる。
ここで、前記外部装置は、該外部装置が有する他のデータが前記転送部を介して前記記憶装置に転送されるとき前記第二基準に従って該外部装置が該他のデータを管理するための外部装置側第二管理データを有し、前記外部装置が有する他のデータが前記外部装置側第二管理データに基づいて前記記憶装置に転送されたとき、該転送後に、前記第一管理データは該外部装置側第二管理データに基づいて再形成されるようにしてもよい。
上記の外部装置側第二管理データは、データ処理装置と同様に第二基準に従って外部装置が有するデータを処理するために必要な管理データであり、実質的な内容は、上述の第二管理データと同じである。ここで、外部装置からデータ処理装置に他のデータが転送さ
れるとき、この外部装置側第二管理データが使用されるため、データ処理装置から外部装置にデータ転送が行われるときと同様に、データの著作権等の保護が確保される。そして、このデータ転送が終了したとき、データ処理装置側の第一管理データがこの外部装置側第二管理データに基づいて再形成されるので、データ処理装置は、データ転送後のデータに対して直ちに再生等の処理を行うことが可能となる。尚、外部装置側第二管理データからの第一管理データの再形成については、上述した第一管理データからの第二管理データの形成を逆に行えばよい。
また、前記第一管理データが該外部装置側第二管理データに基づいて再形成されたとき、前記データ処理手段によって前記第一管理データに基づく前記データの再生が行われていない場合、該データの再生を開始するようにしてもよい。管理データの再形成が行われたことでデータの転送が完了したことになるため、データ処理装置側でデータの再生を行っても、データ転送に対する負荷とはならない。
また、上述までのデータ処理装置において、前記データ処理手段によるデータの転送が行われているとき、該データ転送を除くデータ処理が禁止されるようにしてもよい。即ち、データ処理装置の処理能力をデータ転送に集中させるために、データ転送を除くデータ処理が禁止されるのである。
データの転送が行われるデータ処理装置のユーザに対して、データ転送時の使用環境の向上を可能とするデータ処理装置の提供することが可能となる。
ここで本発明に係るデータ処理装置としての車載機の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るデータ処理装置に相当する車載機1が搭載される車両40の概略構造および車載機1を含んで構成される車両40内でのサービスシステムの概略構成を示す図である。車載機1は、主に車両40内のユーザに対して音楽や地図情報(ナビゲーション情報)を提供するために、音楽データや地図情報データの処理を行う電子機器である。
車載機1を含んで構成されるサービスシステムについて、図1および図2に基づいて説明する。先ず、車載機1は、中央処理装置(以下、「CPU」という。)3を有する。このCPU3は、その内部に、システム制御部4とナビ制御部7の二つの制御部を有している。
システム制御部4は、主に、ユーザに対して音楽サービスを提供するために、車載機1を、音楽データを処理する装置として機能させるための制御を司る。その一例として、この車載機1は、いわゆる音楽データをコンテンツデータとして車両40内で再生する機能を有する。この音楽データの処理について、詳細に説明する。車載機1には、CD/DVDデッキ(以下、単に「CDデッキ」という。)13と、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)12、MDデッキ16が備えられ、それぞれシステム制御部4に電気的に接続されている。また、システム制御部4には、車両40を操縦するユーザからの音楽データの処理に関する指令を受け付ける入力部8と、音楽データに関する情報をユーザに対して表示する表示部9が電気的に接続される。更に、システム制御部4にはDSP再生制御部9が電気的に接続され、DSP再生制御部9ではシステム制御部4から送られる音楽データに対して演算処理を施し、車載機1の外部(車両40内)に設けられたパ
ワーアンプ20に音楽演奏のための電気信号を送る。
更に、車載機1における、音楽データの処理について詳細に説明する。車両40を操縦するユーザが、CDデッキ13に音楽データが記録された音楽CDを装着すると、システム制御部4によって音楽CDからデータのサンプリングが行われ、その音楽データがDSP再生制御部19に送られて演算処理され、パワーアンプ20を介して車両40内に設けられたスピーカ21から音楽が演奏される。このとき、システム制御部4は、CDデッキ13に装着された音楽CDが車両40内で初めて演奏される場合には、その音楽データをATRAC3やMP3等の所定のデータ形式に変換してHDD12内に記憶していく。このようにすることで、システム制御部4が、HDD12内に音楽データを記憶していき、CDデッキ13に音楽CDが装着されていなくても、ユーザは任意にHDD12内に記憶された音楽データを再生し、車両内で聞くことが可能となる。
尚、以前にシステム制御部4によってHDD12内に記憶された履歴を有する音楽CDがCDデッキ13に再び装着されたときは、システム制御部4はHDD12への音楽データの記憶は行わない。また、上述したように、システム制御部4が自動的にHDD12への音楽データの記憶を行うのに加えて、ユーザからの入力部8を通した指令に従って、音楽CDの任意の音楽データのみをHDD12内に記憶するようにしてもよい。また、MDデッキ16に音楽データが記憶された音楽MDが装着されたときも同様である。
また、CPU3内において、システム制御部4はエンコード/デコード部5と暗号化/複合化部6と電気的に接続されている。エンコード/デコード部5では、HDD12内に音楽データを記憶する際の該音楽データの圧縮や、その圧縮された音楽データのDSP再生制御部19での演算処理のための解凍が行われる。また、暗号化/複合化部6では、HDD12内に記憶される音楽データの著作権を保護するための暗号化、およびその複合化を行う。この著作権保護のための処理については、後述する。
更に、車載機1には、TVチューナ14、AM/FMチューナ15、カセットデッキ17が備えられ、それぞれシステム制御部4に電気的に接続されている。これらの音声ソースに対しては、システム制御部4は、それぞれから出力された音声信号の信号処理は行わず、入力部8を通して得られるユーザからの選択指示に従い、何れかの音声ソースからの音声信号をパワーアンプ20を介してスピーカ21に送る。
ナビ制御部7は、主に、ユーザに対してナビゲーションサービスを提供するために、車載機1を、地図データを処理する装置として機能させるための制御を司る。しかし、本発明の実施例においては、ナビ制御部7は主要な機能を果たさない。そこで、本実施例においては、その詳細な説明は省略するとともに、図面における記載も最小限に留める。また、車両40には、ナビゲーション用のGPS受信機22と車両の速度を検出する車速センサ23が備えられ、それぞれシステム制御4に電気的に接続される。システム制御部4が受け取ったこれらからの信号はナビ制御部7に伝えられ、ナビ制御部7は、GPS受信機22および車速センサ23からの信号と、HDD12内に記憶されている地図データに基づいて、車両40のナビゲーションを行う。
また、CPU3は、RAM10、ROM11とも電気的に接続されており、必要に応じてこれらのメモリに記憶されている情報に、CPU3がアクセスする。更に、システム制御部4はUSB制御部18と電気的に接続され、USBマスストレージクラスによって、車載機1が外部パソコン2と通信可能となっている。外部パソコン2は、車載機1に対して外部装置として存在し、その内部にデータを記憶可能な記憶装置を有している。
ここで、車載機1における、HDD12内に記憶された音楽データの再生に関して詳細
に説明する。システム制御部4がHDD12にアクセスをし、そこに記憶されている音楽データにアクセスをする場合、多量の音楽データを管理するための管理データに基づいてアクセスする。この管理データの詳細については、後述する。そして、管理データから得られる音楽データのパラメータを基に、システム制御部4は表示部9に音楽データ再生時の再生画面を形成する(図3を参照。)。本実施例においては、図3に示すように、音楽データにおけるアーチスト名、アルバム名、該楽曲のアルバムにおけるトラック番号、該楽曲名に加えて、該楽曲のアルバムのジャケット写真とアーチストに関する情報の動画を組合せた画面が表示部9に表示される。これにより、ユーザが楽曲を聞きながら、該楽曲に関する情報を視覚的に容易に把握することが可能となる。
このような音楽データの管理を行うためにHDD12には、図4に示すようなデータ構造が構築されている。HDD12の記憶領域は、主にR1、R2、R3の三つの領域に区分される。領域R1は、上述した音楽データ等のコンテンツデータが記憶される領域である。具体的には、領域R1には、上述しようにシステム制御部4によって、ATRAC3やMP3等の所定のデータ形式に変換された音楽データや、上記のアルバムのジャケット写真に関する画像データ(図中、「ジャケ写データ」と称する。)や、上記のアーチストに関する情報の動画の映像データが記憶される。更に、これらのコンテンツデータを管理するための管理情報に関する管理データも記憶される。
領域R2には、「CDDB」(登録商標:登録4720675号)に代表される、CDデッキ12に装着された音楽CDのアルバム名や曲名をデータベース化したタイトルデータベースが記憶される。更に、領域R3には、ナビ制御部7によるカーナビゲーションに使用されるデータ等が記憶される。例えば、地図データ、地図上の施設情報、ナビゲーションの履歴情報、ユーザに関する情報、住所情報、電話番号情報や、ナビゲーションそのものを行うアプリケーションソフト等、そしてこれらのデータを管理するための管理情報に関する管理データが記憶される。
次に、車載機1の構造について説明する。図5に示すように、車載機1は、上述したHDD12やCDデッキ13等を備え、コンテンツデータの処理を行う装置本体1aを有する。ここで、装置本体1aの前面上側には、CDデッキ13のCDやDVD等のディスクが挿入、排出される挿入口1bが設けられている。更に、その前面下側には、USB制御部18と電気的に接続されるUSB端子であって、外部パソコン2とUSBケーブル2aを介した通信を行うUSB端子1cが設けられている。
また、車載機1は、挿入口1bおよびUSB端子1cが設けられている装置本体1aの前面を覆うカバー部1dを有しており、車載機1で音楽データの再生等が行われる状態では、図2(a)に示すようにカバー部1dが装置本体1aの前面を覆い、ユーザは挿入口1bやUSB端子1cにアクセスすることが制限される(図2(a)に示すカバー部1dの状態を、以下「クローズ状態」という。)。カバー部1dがクローズ状態に置かれるとき、ユーザはカバー部1dの表面上に設けられた入力部8に対して入力作業を行い、車載機1を操作する。本実施例では、入力部8は、カバー部1d上に設けられた液晶ディスプレイ(上述した表示部9に相当する)上のタッチパネルであるが、該液晶ディスプレイのフレームに設けられたボタンの形態であってもよい。
ここで、ユーザが、挿入口1bにアクセスしてCDの挿入や排出を行いたいとき、またはUSB端子1cを利用して、車載機1と外部パソコン2との間でデータ転送を行いたいとき等は、クローズ状態にあるカバー部1dを動かして、挿入口1bまたはUSB端子1cを露出させて、ユーザがアクセス可能となる状態にする必要がある。しかし、徒にUSB端子1cに対してユーザがアクセス可能な状態となると、ユーザによる不必要なUSB端子1cへのアクセスに起因する不具合が生じる可能性がある。そこで、本発明に係る車
載機1では、挿入口1bおよびUSB端子1cに対するカバー部1dのオープン状態を、図6に示すオープン制御によって制御する(そのオープン状態を図5(b)、(c)に示す。)。尚、図6に示すオープン制御を行うプログラムは、車載機1のROM11に格納されており、CPU3によって実行される。
S101では、入力部8を介して車載機1に対するユーザの要求を受け付ける。S101が終了すると、S102へ進む。S102では、S101で受け付けたユーザの要求が、挿入口1bを介したCD等のディスクの挿入、排出要求か否かが判定される。ここで、ユーザの要求がディスクの挿入、排出要求であった場合、S103へ進み、カバー部1dが図5(b)に示すような第一オープン状態とされる。
図5(b)に示す第一オープン状態では、図5(a)に示すクローズ状態から、カバー部1dの下端部が前方に飛び出していくとともにカバー部1dの上端部が装置本体の前面に沿って移動することで、カバー部1d全体がチルト(傾斜)していき、以て挿入口1bのみが露出され、ユーザが挿入口1bにアクセスしてディスクの挿入、排出を行うことが可能となる。このとき、USB端子1cは、カバー部1dにいまだ覆われた状態となっているため、ユーザはUSB端子1cにアクセスすることは制限された状態となっている。S103の処理が終了すると、本制御を終了し、ユーザによる挿入口1bへのアクセスが行われることになる。
S102においてユーザの要求がディスクの挿入、排出要求でないと判定された場合、S104へ進む。S104では、S101で受け付けたユーザの要求が、USB端子1cを介したデータ転送要求か否かが判定される。このとき、該要求が、USB端子1cを介したデータ転送要求であると判定されると、S105へ進み、カバー部1dが図5(c)に示すような第二オープン状態とされる。
図5(c)に示す第二オープン状態では、図5(b)に示す第一オープン状態から、更にカバー部1dをチルトさせて、挿入口1bに加えてUSB端子1cも露出された状態とする。従って、カバー部1dがこの第二オープン状態となることで、初めてユーザがUSB端子1cを介したデータ転送を行うことが可能となる。S105の処理が終了すると、本制御を終了する。また、S104において、ユーザの要求が、USB端子1cを介したデータ転送要求ではないと判定されるとS106へ進み、カバー部1dは図5(a)に示すクローズ状態に維持される。
本制御によると、車載機1のカバー部1dは、第一オープン状態と第二オープン状態の二つのオープン状態に、ユーザの明確に要求の基で置かれることになる。そして、カバー部1dが第一オープン状態に置かれて、ユーザが挿入口1bを介してディスクを挿入、排出する際は、USB端子1cへのアクセスは制限された状態となる。従って、第一オープン状態時で、ユーザの不必要なUSB端子1cへのアクセスが確実に回避されるため、その不必要やアクセスに起因する不具合の発生を確実に回避することが可能となる。また、ユーザがUSB端子1cを使用する場合は、ユーザに対してカバー部1dを第二オープン状態にするという要求を改めて求めることで、ユーザのUSB端子1cへの注意を喚起することが可能となる。
本発明に係る車載機1の第二の実施例について、以下に説明する。本実施例では、実施例1で示した車載機1で行われる音楽データの転送について、図7〜図10に基づいて説明する。ここで、音楽CDからHDD12に記憶された音楽データは、デジタルデータでありその著作権は十分に保護されなければならない。HDD12から徒に別の記憶装置に複製または移動等のデータ転送が行われると、音楽データの著作権を侵害する蓋然性が高
くなる。そこで、一例として、図7に示すような著作権保護技術が利用されている。
図7に基づいて、著作権保護技術について説明する。データ処理装置D1において、音楽CDからHDD12にデータが記憶されるとき、所定の規則に基づいて暗号化が行われる。そして、この暗号化された音楽データは、対応する複合化用の鍵K1が存在しなければ複合化することができない。ここで、データ処理装置D1には、予め識別番号ID1が付与されており、この識別番号ID1から鍵K1が生成されるようになっている。従って、データ処理装置D1においては、HDD12に暗号化されて記憶された音楽データは、複合化され再生することが可能である。
ここで、HDD12に記憶された暗号化された音楽データを、別のデータ処理装置D2のHDD12’に複製したと仮定する。しかし、このデータ処理装置D2には、データ処理装置D1とは異なる識別番号ID2が付与されているため、この識別番号に基づいて形成される複合化用の鍵はK1ではなくK2となる。そのためHDD12’に複製された音楽データ用の複合化用の鍵が正当な鍵でないため、暗号化された音楽データを複合化することが不可能となり、結果、データ処理装置D2では、音楽データの再生は不可能となる。このようにして、HDD12に記憶された音楽データの保護が図られる。
ここで、著作権を保護するデータの転送技術においては、該技術を広く普及させるためにその規格を統一、汎用化することが要請される。そのため、データ転送の際、該規格から外れた構成のデータは、著作権保護の下データ転送することが困難となる。特に、上述したように、車載機1では表示部9での音楽データのアルバムの画像表示や動画の映像表示等のオリジナル機能が実施されている。そのような場合、このオリジナル機能があるが故に著作権保護の下データ転送ができなくなるのは、ユーザに不都合である。このオリジナル機能を含めて、著作権保護の下音楽データをデータ転送する技術が、ユーザの利便性に合致する。
そこで、以下に上記オリジナル機能を含めた、著作権保護の下音楽データをデータ転送する技術について説明する。図8に、HDD12内のデータ構造の詳細を示す。尚、図8に示されるHDD12は、領域R1のみである。また、車載機1のHDD12と外部パソコン2との接続については、図2に示すように本来はシステム制御部4やUSB制御部18等を介するが、図8においてはこれらの記載は省略する。
本発明に係るHDD12の領域R1は、更に二つの領域R4とR5に分けられる。この領域R4は外部パソコン2からのアクセスが不可能な領域であり、また領域R5は外部パソコン2からのアクセスが可能な領域である。先ず、領域R4には、車載機1で実行されるオリジナル機能を含む音楽データの管理データであるオリジナル管理データと、該オリジナル機能に関連するオリジナル機能データ(上述の、図3に示すジャケ写データや動画の映像データをいう。)が記憶されている。一方で、領域R5には、車載機1のオリジナル機能を含めて、著作権保護の下音楽データをデータ転送するための管理データである著作権対応管理データと、多くの音楽データが記憶されている。
ここで、この著作権対応管理データは、CPU3が、オリジナル管理データから形成する。これらの管理データについて、図9に基づいて詳細に説明する。図9(a)にはオリジナル管理データの構造を、図9(b)には著作権対応管理データの構造をそれぞれ示す。オリジナル管理データは、領域R5に記憶された音楽データの識別番号(ID)と、該音楽データのデータ名、該音楽データが属するアルバム名、該アルバムにおける該音楽データのトラック番号、該音楽データの曲名、該音楽データを演奏するアーチスト名に加えて、一番目のオリジナル機能であるジャケ写データ名、二番目のオリジナル機能である上記の動画の映像データ名をフィールドとするデータベース構造を有する。
車載機1は、このオリジナル管理データに基づいて、領域R5に記憶された音楽データの管理を行う。即ち、オリジナル管理データに格納されている各音楽データごとのパラメータを使用して、図3に示すような表示部9での画面を形成するとともに、その画面に対応する音楽データをDSP再生制御部19を通して再生する。また、ユーザからの入力部8を通した指令に従って、表示部9に形成する画面とDSP再生制御部19に送る音楽データを管理する。従って、オリジナル管理データは、「車載機1におけるオリジナル機能を発揮させる」という基準に従って、音楽データを再生、管理するための管理データである。尚、この基準を、以下では「第一基準」と称する。
次に、著作権対応管理データは、本体部と付属部とで構成される。本体部は実質的に音楽データの管理に使用される部分であり、付属部は音楽データの管理には使用されない部分である。従って、付属部は、著作権対応管理データのいわゆるヘッダ等に相当する。この本体部の構造は、上述のオリジナル管理データの一部と同じである。即ち、音楽データの識別番号(ID)と、該音楽データのデータ名、該音楽データが属するアルバム名、該アルバムにおける該音楽データのトラック番号、該音楽データの曲名、該音楽データを演奏するアーチスト名のフィールドを有する。それに加えて、著作権対応管理データは、音楽データの著作権を保護するために各音楽データに著作権対応データ1と著作権対応データ2の二つのフィールドが付与される。これらの著作権対応のフィールドは、音楽データの移動や複製、更には複製後の再生等に対する汎用的な規格に対応するフィールドである。そして、この本体部全体のデータ構造は、著作権保護のための該汎用的な規格に対応可能な、汎用的なデータ構造となり、これにより図7に示す音楽データの著作権保護が可能となる。
また、著作権対応管理データの付属部は、オリジナル管理データに含まれていたが、上記の本体部には含まれない部分、即ち車載機1にけるオリジナル機能を発揮させるために必要な管理データによって構成される。この付属部は、音楽データの管理、特に著作権保護のための該汎用的な規格に対応した音楽データの管理には使用されない付随的な部分である。以上より、著作権対応管理データは、「音楽データの著作権保護のための汎用的な規格に準拠する」という基準に従って、音楽データを管理するための管理データである。尚、この基準を、以下では「第二基準」と称する。
そして、この著作権対応管理データは、車載機1においてCPU3によってオリジナル管理データから形成される。即ち、音楽データに関する管理データの一部は、オリジナル管理データと著作権対応管理データとで重複する。これは音楽データにおいて、実質的に「音楽」そのものに対応するフィールドのデータである。そこで、CPU3は、オリジナル管理データのうちその重複するフィールドにおけるデータに、図7に示す著作権保護のための該汎用的な規格に従って必要なフィールドのデータを付加し、且つオリジナル管理データのうち汎用的な著作権保護に関与しないデータについては付属部に格納することで、オリジナル管理データから著作権対応管理データを形成する。即ち、CPU3は、第一基準に基づいて形成された管理データを、第二基準に基づいてデータ構造を変換し新たな管理データを形成することになる。
尚、著作権対応管理データの形成については、上記のようなオリジナル管理データからのデータ変換には限られない。例えば、著作権対応管理データは、オリジナル管理データとは完全に独立した状態で著作権対応基準に基づいて予め形成されてもよい。また、オリジナル管理データと著作権対応管理データは、ともに音楽データに関する管理データであるから、その内部構成において部分的に共通するデータが存在する場合がある。そこで、その共通データをベースとして、オリジナル基準および著作権対応基準に基づいてオリジナル管理データおよび著作権対応管理データを形成するようにしてもよい。
ここで、この著作権対応管理データは、車載機1において直接音楽データを管理(再生)するのには使用されず、車載機1から外部パソコン2に音楽データを移動または複製(データ転送)するとき、即ち音楽データの著作権の保護を考慮しなければならない状況での音楽データの管理のために使用される。この音楽データのデータ転送は、外部パソコン2に搭載されているデータ転送用のアプリケーションソフトが、車載機1のUSB制御部18を介してHDD12の領域R5に記憶されている著作権対応管理データにアクセスし、その領域R5に記憶されている音楽データを、著作権保護のための汎用的な規格に準じて外部パソコン2内の記憶装置にデータ転送を行う。このとき著作権対応管理データも外部パソコン2内にデータ転送される。
これにより、音楽データの著作権が保護された状態で、外部パソコン2に音楽データがデータ転送されるとともに、車載機1におけるオリジナル機能に対応する管理データも外部パソコン側にデータ転送される。そこで、外部パソコン2に搭載される音楽データの再生アプリケーションが、該オリジナル機能に対応しているアプリケーションであれば、著作権対応管理ソフトの付属部に記憶されているデータを基に、該オリジナル機能を発揮させながら、著作権保護の下でデータ転送された音楽データを再生することが可能である。また、外部パソコン2に搭載される音楽データの再生アプリケーションが、該オリジナル機能に対応していないアプリケーションであっても、著作権対応管理ソフトの本体部に記憶されているデータを基に音楽データの再生が可能である。尚、外部パソコン2でオリジナル機能を発揮させるためには、音楽データのデータ転送時に、車載機1が外部パソコン2側のアプリケーションと連動して、領域R4に記憶されているオリジナル機能データを外部パソコン2に転送すればよい。
ここで、車載機1と外部パソコン2との間でデータ転送を行う場合、上述したようにデータの著作権が確実に保護される必要があるとともに、データ転送時のユーザの誤操作等に起因する不具合を回避する必要がある。データ転送に不具合が生じることで、著作権保護が確保された安全なデータ転送が遂行され得ない虞があるからでもある。そこで、データ転送時の不具合を回避し得るデータ転送制御について、図10に基づいて詳細に説明する。図10に示すデータ転送制御を行うプログラムは、車載機1のROM11に格納されており、CPU3によって実行される。
先ず、S201では、外部パソコン2が、USB端子1cを介して車載機1に接続された状態(以下、「接続状態」という。)になったことが検知される。この接続状態は、外部パソコン2と車載機1が物理的に接続された状態をいい、両者の間で何らかの制御的なやり取りが可能となる状態の前段階の状態である。従って、この接続状態では、まだ車載機1から外部パソコン2がデータ転送の対象となるハードウェアとして認証されていない。接続状態の検知は、具体的には、車載機1のCPU3が、USB端子1cを含むUSB制御部18のインピーダンスの変化等に基づいて行われる。S201の処理が終了すると、S202へ進む。
S202では、S201での接続状態の検知をもって、ユーザに対してデータ転送を行うか否か確認をするために、表示部9に対して確認のための画面表示が出力される。ユーザは、この確認表示に対して、表示部9に形成されたタッチパネルの画面(この画面は入力部8にも相当する)に対して、転送の要求を入力するか、または転送は行わないという入力をする。S202の処理が終了すると、S203へ進む。
S203では、S202での転送要求の確認に対して、ユーザからデータ転送の要求があったか否かが判定される。データ転送の要求があったと判定されるとS204へ進み、該要求がなかったと判定されると本制御を終了する。
S204では、現時点において、車載機1で音楽データ等のコンテンツデータの再生が行われているか否かが判定される。車載機1でデータ再生等のデータ処理が行われていると、車載機1と外部パソコン2との間でこれから行われるデータ転送に対して負荷となることを考慮したものである。そこで、本判定で、車載機1でコンテンツデータが再生されていると判定されると、S205へ進み、該コンテンツデータの再生が停止される。これにより、データ転送時の負荷上昇を抑制して、不具合の発生を可及的に回避することが可能となる。尚、本判定で、車載機1でコンテンツデータが再生されていないと判定されると、S205の処理は行われない。S205の処理が終了すると、S206へ進む。
S206では、上述したように、車載機1のHDD12の領域R4に記憶されているオリジナル管理データから、領域R5に著作権対応管理データを形成するのを開始する。S206の処理が終了すると、S207へ進む。S207では、第二基準に基づいてオリジナル管理データから、図9に示すように著作権対応管理データの上記本体部および上記付属部を、HDD12の領域R5に形成する。S207の処理が終了すると、S208へ進む。
S208では、接続状態にある外部パソコン2を、車載機1と外部パソコン2との間で制御的にアクセスが可能な状態であって、両者間でデータ転送が可能となる状態(以下、「転送可能状態」という。)に設定する。即ち、車載機1に対して、外部パソコン2を制御対象として認証する処理が行われる。この処理を経て、初めて外部パソコン2と車載機1との間で、ユーザの要求が反映された処理が実行可能となる。S208の処理が終了すると、S209へ進む。
S209では、外部パソコン2に搭載されている音楽データの再生アプリケーションが、該オリジナル機能に対応しているアプリケーションか否かが判定される。即ち、著作権保護の下音楽データをデータ転送した後、その音楽データに対して車載機1のオリジナル機能を加味した状態で再生することが可能か否かが判定される。該オリジナル機能に対応していると判定されるとS210へ進み、対応していないと判定されるとS211へ進む。
S210では、S207で形成された著作権対応管理データに基づいて、該著作権対応管理データと、音楽データを、著作権保護の下、外部パソコン2の記憶装置に転送を開始する。更に、外部パソコン2には、車載機1のオリジナル機能に対応した音楽データの再生アプリケーションが搭載されているため、CPU3はHDD12の領域R4に記憶されているオリジナル機能データも外部パソコン2の記憶装置に転送する。S210の処理後、本制御を終了する。
一方で、S211では、S207で形成された著作権対応管理データに基づいて、該著作権対応管理データと、音楽データを、著作権保護の下、外部パソコン2の記憶装置に転送を開始する。尚、外部パソコン2には、車載機1のオリジナル機能に対応した音楽データの再生アプリケーションが搭載されていないため、S210のようにCPU3はHDD12の領域R4に記憶されているオリジナル機能データを外部パソコン2の記憶装置には転送しない。S211の処理後、本制御を終了する。
本制御によると、音楽データの著作権を確保した状態でその転送が行われる。更に、外部パソコン2がいまだ接続状態の時点で、ユーザに転送要求の確認を行うことで、ユーザはデータ転送を行うことをより確実に留意するため、データ転送時のユーザの誤操作等に起因する不具合の発生を、可及的に抑制することが可能となる。また、外部パソコン2が認証される前に、車載機1においてデータ転送のための著作権対応管理データの作成が実
行され、転送の準備が完了している。従って、外部パソコン2を通したユーザの誤操作等によって車載機1内のデータが不適切な状態となり、データ転送に支障を来たすことを回避することが可能となる。
本発明に係る車載機1の第三の実施例について、以下に説明する。本実施例では、実施例1で示した車載機1で行われる音楽データの転送制御について、図11、12に基づいて説明する。図11に示すデータ転送制御は、図1、2に示す車載機1のCPU3によって実行されるルーチンであり、外部パソコン2から車載機1のHDD12へのデータ転送を行う制御である。尚、本制御において、図10に示すデータ転送制御と同一の処理については同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施例においては、S203で、ユーザからデータ転送の要求があったと判定されると、S301へ進む。S301では、そのデータ転送の要求が、外部パソコン2から車載機1へのデータ転送の要求か否かが判定される。即ち、実施例2で示したデータ転送の転送方向とは逆方向のデータ転送が要求されているか否かが判定されることになる。本判定で、外部パソコン2から車載機1へのデータ転送の要求があったと判定されるとS302進み、それ以外の判定では本制御を終了する。
S302では、上述したS208と同様に、接続状態にある外部パソコン2を、転送可能状態に設定する。S302の処理が終了すると、S303へ進む。S303では、外部パソコン2が、自身が有する音楽データを管理するための管理データであって、上述した第二基準に基づいて形成される著作権対応管理データ(車載機側の著作権対応管理データと区別するために、これを「外部PC側著作権対応管理データ」という。)を有しているか否かが判定される。この判定は、外部パソコン2からのデータ転送においても、そのデータの著作権を十分に保護する必要があることを考慮したものである。従って、本判定において、外部パソコン2が外部PC側著作権対応管理データを有していないと判定されると、S304へ進み、表示部9を通して、ユーザに対して要求されたデータ転送はできない旨の表示を行い、本制御を終了する。一方で、本判定において、外部パソコン2が外部PC側著作権対応管理データを有していると判定されると、S305へ進む。
S305では、外部パソコン2が有している外部PC側著作権対応管理データに基づいて、該外部PC側著作権対応管理データと、音楽データを、著作権保護の下、車載機1のHDD12に転送を開始する。S305の処理が終了すると、S306へ進む。
S306では、S305で開始されたデータ転送が完了したか否かが判定される。データ転送が完了したと判定されるとS307へ進み、データ転送が完了していないと判定されると再びS306の処理が行われる。
S307では、データ転送が完了した時点で、車載機1においてデータの再生が停止中か否かが判定される。データの再生が停止中である場合はS308へ進み、車載機1においてデータの再生が開始される。データの再生が停止中でない場合はS308の処理は行われずS309へ進む。このS307、S308の処理は、特に、上述したS204、S205の処理によって、転送開始前に行っていたデータの再生が停止された状態であるときに有用である。
S309では、S305の処理によって車載機1側に転送された外部PC側著作権対応管理データに基づいて、車載機1のオリジナル管理データの再形成が行われる。このオリジナル管理データの再形成について、図12に基づいて説明する。図12(a)は、外部パソコン2から車載機1に音楽データを転送する際に使用する外部PC側著作権対応管理
データの構造を示し、図12(b)は、その外部PC側著作権対応管理データに基づいて再形成された、車載機1が持つオリジナル管理データの構造を示す。
ここで、図12(a)に示すように、外部パソコン2からは、三曲分の音楽データ(ID10〜12に対応する音楽データ)が追加されたと想定する。尚、これらの転送された三曲に関しては、車載機1の有するオリジナル機能に対応するデータは、車載機1側に転送されていない。
そして、第一基準に基づいて、図12(a)に示す外部PC側著作権対応管理データから図12(b)に示すオリジナル管理データに変換される。即ち、外部PC側著作権対応管理データにおける著作権対応データ1、2に関するデータが削除され、オリジナル機能1、2に関するデータが付加されることで、車載機1用の新たなオリジナル管理データが形成される。
形成されたオリジナル管理データを見てみると、ID0〜5に対応する音楽データについては、オリジナル機能1、2に関するデータは存在しているが、ID10〜12に対応する音楽データについては、オリジナル機能1、2に関するデータは存在していない。これは、ID0〜5に対応する音楽データは、本実施例におけるデータ転送が行われる前から車載機1内に存在していたデータであるため(例えば、図9(a)に示す状態)、車載機1のオリジナル機能に対応するデータと関連付けられていたが、ID10〜12に対応する音楽データは、本実施例におけるデータ転送が行われる前には外部パソコン2内に存在していたデータであったため、車載機1のオリジナル機能に対応するデータとは関連付けられていなかったからである。尚、ID10〜12の音楽データのオリジナル機能に関するデータは、車載機1用のオリジナル管理データ形成直後は空白であるが、その後、車載機1においてその部分を追加してもよい。
S309の処理後、本制御を終了する。本制御によると、外部パソコン2からのデータ転送においても、音楽データの著作権を確保した状態でその転送が行われる。
本発明の実施例に係る車載機が搭載される車両の概略構成図である。
本発明の実施例に係る車載機の電気的な構成を示す図である。
本発明の実施例に係る車載機の表示部での表示画面を表す図である。
本発明の実施例に係る車載機の記憶装置であるハードディスクのデータ構成を示す図である。
本発明の実施例に係る車載機の概略構成を示す図である。
本発明の第一の実施例に係る車載機において車載機前面のオープン状態を制御するためのオープン制御の流れを示すフローチャートである。
音楽データの著作権を保護するための技術を簡便に表す図である。
本発明の実施例に係る車載機のハードディスクのデータ構成をより詳細に表す図である。
本発明の実施例に係る車載機において、車載機から外部パソコンに音楽データを転送するときの、車載機側で使用される音楽データの管理データと、外部パソコン側で使用される音楽データの管理データのデータ構造を表す図である。
本発明の第二の実施例に係る車載機において音楽データを転送するデータ転送制御の流れを示すフローチャートである。
本発明の第三の実施例に係る車載機において音楽データを転送するデータ転送制御の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施例に係る車載機において、外部パソコンから車載機に音楽データを転送するときの、外部パソコン側で使用される音楽データの管理データと、データ転送後に再形成された、車載機側で使用される音楽データの管理データのデータ構造を表す図である。
符号の説明
1・・・・車載機
1a・・・・装置本体
1b・・・・挿入口
1c・・・・USB端子
1d・・・・カバー部
2・・・・外部パソコン
2a・・・・USBケーブル
3・・・・CPU
4・・・・システム制御部
8・・・・入力部
9・・・・表示部
12・・・・ハードディスク(HDD)
13・・・・CD/DVDデッキ(CDデッキ)
18・・・・USB制御部
40・・・・車両