JP2007278314A - 積層皮膜を有するピストンリング - Google Patents

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Abstract

【課題】高硬度で耐摩耗性に優れると共に耐クラック性に優れ、過酷な摺動環境に於いても欠けや剥離が発生しないイオンプレーティング皮膜を有するピストンリングを提供する。
【解決手段】イオンプレーティング法により、Tiと炭素、窒素から構成される化合物層(TiCN)とCrと炭素、窒素から構成される化合物層(CrCN)とを交互に積層されて形成した積層皮膜を外周摺動面に有するピストンリングとする。尚、積層皮膜の炭素濃度を4〜8重量%とすること、該積層皮膜を3〜9nmの厚さの化合物層を交互に積層した皮膜とすると一層よい。
【選択図】図1

Description

本発明は、トライボロジー特性に優れる硬質皮膜が摺動面に被覆されている内燃機関用ピストンリングに関するものである。より詳細には硬質皮膜がイオンプレーティング積層皮膜で構成されているものである。
ピストンリングの働きには、内燃機関の燃焼室の気密化を図るガスシール機能、シリンダーライナー表面に形成される潤滑用油膜厚さを制御するオイルコントロール機能、燃料が燃焼することによって加熱されたピストンの熱をシリンダーライナーへ伝えて冷却する熱伝導機能などがある。このような働きをするには、常時、ピストンリングは自己の持つ張力でシリンダーライナーに張り出し密着していなければならない。その結果、エンジンの燃焼工程で発生する高圧燃焼ガスをシールすることから、Topリングの摺動面には必然的に大きな面圧が発生し、それに伴って摩耗や焼き付きなどが発生しやすい状況に曝されている。
近年、ピストンリングの使用環境は、自動車エンジンの排ガス規制強化により燃焼温度の増大、面圧負荷増大、低粘度潤滑油の採用など、益々過酷化してきており、耐摩耗性・耐焼き付き性向上が期待されている。又、燃焼工程中に生成するビッカース硬さHv1500以上を有する燃焼生成物がピストンリングとシリンダーライナー間の摺動面に達し、アブレシブル摩耗を発生することが知られている(山本英継, 他2名; ディーゼルエンジンオイル中のススの硬さに関する研究, 機講論No.03-1 Vol. 3, (2003), 137)。
そのためピストンリング外周摺動面は従来の硬質Crめっきやマルテンサイトステンレス鋼の窒化処理からイオンプレーティングによる窒化物や炭化物等の硬質皮膜が使われるようになってきている。
特開昭57−57868号はPVD法によるTiC,TiN,CrN等の硬質皮膜を摺動面に成膜したピストンリングを開示し、反応性イオンプレーティング法により成膜したTiC,TiNや反応性スパッタリングによりCrNをコーティングしたピストンリングが耐摩耗性、耐熱性に優れるとしている。しかしながら、反応性イオンプレーティング法により成膜したTiC,TiNや反応性スパッタリングでコーティングしたCrN皮膜は密着性が乏しく、厚膜にすると剥離が生じることからその使用は一部に限られ広く実用に供されることは無かった。
特開昭61−87950号は上記特開昭57−57868号を改善したもので、反応性イオンプレーティング法により、金属Crと窒化Crからなる超微細な混合組織でなる皮膜を摺動面にコーティングしたピストンリングを開示する。摺動面のコーティング皮膜を反応性イオンプレーティング法による金属Crと窒化Crからなる超微細な混合組織の皮膜としたことで皮膜の密着性が向上し厚膜での使用が可能となることを開示する。この結果、ピストンリングの耐久性が向上したことから、以後、反応性イオンプレーティング法により窒化Crをコーティングしたピストンリングが広く使用されるようになった。しかしながら、ディーゼルエンジンに於いては排気ガスの浄化や燃費向上の要求からピストンリングの使われる環境は一層過酷となり、ディーゼルエンジンのTopリングでは、窒化Cr皮膜に欠け・剥離が発生するようになりその対策が求められた。
特開平6−248425号は前記イオンプレーティング法による窒化Cr皮膜がディーゼルエンジンに於いては、使用中に皮膜の欠け・剥離を起こし易いと言う問題に対し提案されたもので、イオンプレーティング法による形成した窒化Cr皮膜中に1.5〜20%の空孔率を持つ皮膜を外周摺動面に有するピストンリングが、耐摩耗性、耐スカッフ性に優れるうえ、より過酷な使用に於いても、皮膜の欠けや剥離が生じ難いピストンリングで有ることを開示する。本発明の窒化Cr皮膜は残留応力も低く、密着性にも優れることから、厚膜に成膜することも容易であり、以後、耐久性を必要とするディーゼルエンジン用ピストンリングに多く使われるようになった。しかしながら、本皮膜は皮膜中に多数の空孔を有することから、皮膜硬度は窒化Cr本来の硬さよりも低く、近年の硬質粒子が生成されるようなエンジンに於いては、アブレシブ摩耗が生じ易いという問題があり、改善が求められるようになってきている。
以上のように、耐摩耗性に優れると同時に耐欠け性に優れたピストンリング用皮膜は開発されていない。このような中、切削工具や耐摩工具の表面皮膜の耐酸化性や耐クラック性が見直されてきており、炭化物皮膜や窒化物皮膜の多層化が行われるようになってきている。
特開2001−329360号は、軟質の窒化物薄膜と硬質の窒化物薄膜の多積層膜がより優れた耐摩耗性、耐剥離性などの機械的性質を有する皮膜になることを開示する。しかしながら、開示された皮膜の形成方法は比較的低いバイアス電圧で軟質の窒化物皮膜を形成し、続いて高いバイアス電圧にして硬質の窒化物を形成することを多数繰り返すというものであり、製造時には多数のピストンリングを重ねて筒状にし、それを自公転治具により回転させながら成膜するピストンリングの製造方法では皮膜が常時形成されるものではないため応用できない。又、軟質の窒化物皮膜の耐摩耗性が低いことが予想され、ピストンリングの耐久性に問題もあると考えられる。
特開平11−335813号は格子定数をJCPDS記載の格子定数の0.997〜1.005倍としたCrN、TiN、TiCN層等の皮膜は内部応力が小さいので、皮膜内部に生じるマイクロクラックの伝搬が起こりにくく、膜全体に亀裂が生じることを抑止できるので、皮膜が欠けにくく、且つ、耐摩耗性等が向上することを開示する。更に、少なくとも2種類以上の硬質皮膜を繰り返して積層させる事により高硬度でより耐摩耗性に優れた皮膜を得ることができることも開示する。しかしながら、CrN皮膜の場合は薄いCrN皮膜をコーティング後アルゴンイオンのイオン注入を行い、これを繰り返す方法であり、イオン注入装置を用いることから高コストにならざるを得ない。又、他の皮膜の場合は単なるアークイオンプレーティング法による複合窒化物皮膜やその積層膜であり、本発明者の経験ではピストンリング外周摺動面皮膜としては耐欠け性に於いて充分でない。
特開昭62−142768号は硬質セラミック皮膜を有する切削工具に関するものであり、TiC,TiN、Ti(CN)Ti(C,O)等の皮膜を、膜厚さを限定して多数積層した皮膜が、亀裂が入りにくく剥離や欠けが起こり難いことを開示する。しかしながら、本法での成膜方法はCVD法であり、熱による変形等が問題となるピストンリングには適用できない。
特開平7−97679号はTi、Al及び窒素によって構成されるTiがリッチな皮膜とAlがリッチな皮膜を交互に繰り返して積層した皮膜が高硬度と耐酸化性を備えており、切削工具や耐摩工具の表面皮膜として適していることを開示する。しかしながら、本皮膜はAlが含有されることで皮膜硬度は高くなり、耐摩耗性には有利であるが、Alの窒化物は靭性に劣るためピストンリング摺動面に用いた場合には皮膜は欠け易いという問題がある。
特開平8−302461号は超硬合金、セラミックス、サーメット、または鉄鋼よりなる母材の表面、或いは、窒化物及び炭窒化物からなる多層皮膜の層の界面を、それぞれの酸窒化物及び炭酸窒化物とすることで、層界面の密着性が向上し、皮膜の耐摩耗性を飛躍的に高めることが可能であることを開示する。しかしながら、皮膜間の密着性は向上するかもしれないが、結合層自体が酸化物の複合セラミックス層であり、酸化物の耐クラック性が低いことから、界面の耐クラック性が低いという問題があり、ピストンリング外周面皮膜に用いることは出来ないと思える。
「ディーゼルエンジンオイル中のススの硬さに関する研究,」 機講論No.03-1 Vol. 3, (2003), P137。 特開昭57−57868号 特開昭61−87590号 特開平6−248425号 特開2001−329360号 特開平11−335813号 特開昭62−142768号 特開平7−97679号 特開平8−302461号
本発明は、上述した従来皮膜の問題点に鑑みてなされたものであり、高硬度で耐摩耗性に優れると共に耐クラック性に優れ、過酷な摺動環境に於いても皮膜の欠けや剥離が発生しないピストンリングを提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、ピストンリングの外周摺動面に成膜する皮膜をイオンプレーティング法による積層皮膜とし、該積層皮膜をTiと炭素、窒素から構成されるTiCN層とCrと炭素、窒素から構成されるCrCN層とを交互に積層させて形成することにより、現在、最も過酷であるディーゼルエンジンのTopリングの外周摺動面に使用しても、皮膜に欠けや剥離が発生せず、且つ、耐摩耗性にも優れたピストンリングが得られることを見出した。更に、該積層皮膜のTiCN層及びCrCN層の厚さを各々3〜9nmとすることが望ましく、TiCN層とCrCN層の炭素濃度を4〜8重量%となるようにすることが一層望ましい。
尚、ここで云うTiCN層、CrCN層は化学量論的な組成を意味するものではない。
ピストンリング外周摺動面に硬質セラミック皮膜を形成することは、今日一般的に行われている技術である。硬質セラミック皮膜の高い硬度、優れた耐食性が、硬質の燃焼生成物が多く発生し、硫黄酸化物の生成による腐食環境であるディーゼルエンジンに於いて、優れた耐久性を示してきた。しかしながら、ディーゼルエンジンではその燃焼圧は高く、燃焼によって、ピストンリングは強い力でピストンリング溝に押しつけられ皿状に変形を起こすことから、ピストンリングの外周摺動面、特に燃焼室に近い部分には、シリンダ壁との間で高い摩擦力が繰り返し発生する。このため、ピストンリング外周摺動面に形成された硬質セラミック皮膜には、疲労による亀裂が発生し、強いては、皮膜の欠けに至っていた。この欠けの予防策として、皮膜種類をより強度のある皮膜に変更することが成されたてきたが、皮膜加工時に発生する傷や微細な亀裂は避け難く、それを起点とする亀裂の発生、進展が起き、皮膜の欠け・剥離を防止できなかった。このようなことから、亀裂の発生を防止することよりも亀裂の進展が起きにくい皮膜とすることによって、これらを原因とする欠け・剥離を防止できるのではないかと考え、下記記載の破壊靭性値を指標として用いることにより本発明に至ったものである。
即ち、本発明者達はセラミック皮膜のこの亀裂の進展し難さを評価する尺度としては、セラミックの破壊靭性値を用いることが出来るとの予想から、前記、欠けが起きにくいとされる特開平6−248425号記載のCrN皮膜ピストンリングを検証するため、該発明明細書の記載に基づき、空孔率がほぼ0%、約1%、約2%、約4%、約8%のCrN皮膜をディーゼルエンジン用Topリングに形成し、皮膜の破壊靭性値を測定すると共にエンジン試験を実施した。エンジン試験はシリンダ内径φ135×6気筒の高負荷のディーゼルエンジンを用い、負荷4/4で100時間行った。その結果を表1に示す。空孔率がほぼ0%のものは破棄靭性値が0.75 MPa・
Figure 2007278314
で皮膜の欠けが発生した。空孔率が2%以上のものは破壊靭性値が2.63 MPa・
Figure 2007278314
以上あり、皮膜の欠けは認められなかったが、皮膜硬度がHv1008〜1530と比較的低硬度なためか摩耗量が空孔率ほぼ0%のものに比べ1.3〜2倍、と大きかった。このことから、本発明者等は破壊靭性値が約3 MPa・
Figure 2007278314
以上あり、皮膜硬度がHv1700以上あれば、現在のディーゼルエンジンのTopリングに使用しても欠けを生じず、且つ、耐摩耗性にも優れた皮膜になるとの確信を得た。
表1:エンジン実験結果
Figure 2007278314
*皮膜の空孔率は画像解析による。
尚、ここでいう破壊靱性値はビッカース圧痕法により求めた。ビッカース圧痕法はJIS R 1607に規格化されているファインセラミックスの破壊靱性試験方法であり、JISには機械部品,構造材料などの高強度材料として使用されるファインセラミックスの常温における破壊靱性試験方法のうち、予め亀裂導入破壊試験法及び圧子圧入法について規定されている。具体的には、ビッカース圧子を試験面に押し込むことによって生じる圧痕及びクラック長さを測定し、押込荷重、圧痕の対角線長さ、クラック長さから破壊靱性値を求めることが可能となる。しかし、JISには試験片の厚さは3mm以上が望ましいと記載されており本発明のような皮膜を測定することができない。そこで、本発明では上記JIS規格と異なるが皮膜断面にビッカース圧子を押し込むことによって生じる圧痕及びクラック長さから破壊靱性値を求めた。このとき皮膜にある残留応力から、き裂は皮膜表面と平行に生じるため、皮膜表面と垂直方向のクラック長さを圧痕中心から角までの距離とした。以下に破壊靱性値の算出式を示す。
Figure 2007278314
そこで、本願発明者イオンプレーティング法により作成した各種の金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物の単層皮膜及びこれらの積層皮膜について破壊靭性値及びビッカース硬さを測定した結果本願発明に至ったのである。
即ち、本願発明はイオンプレーティング法により、ピストンリング外周摺動面に炭素濃度が4〜8重量%のTiCN層層及びCrCN層層を各層の厚さが3〜9nmとなる積層皮膜を10μm〜50μmの厚さに設けることにより、皮膜硬度がHV1700以上あって耐摩耗性に優れ、且つ、破壊靭性値を3MPa・
Figure 2007278314
以上とすることができるので、現在最も過酷であるディーゼルエンジンのTopリングに使用しても皮膜の欠けが生じない耐久性に優れたピストンリングを得ることが出来る。
第一に、蒸発金属にTi及びCrを選んだのは、結果的にこの組合せで満足する破壊靭性値及び皮膜硬度が得られたからであるが、(1)入手し易い金属で割と安価なこと(2)摺動部材の皮膜として窒化物、炭窒化物皮膜が用いられていること(3)Crはアークイオンプレーティング特有のドロップレットが比較的発生しにくいこと(4)皮膜の生成速度が割と早いことからである。
又、皮膜を炭窒化物としたのは、TiNやCrN皮膜は炭素のような浸入型の固溶元素が導入されると、導入前と比較して結晶粒内を強化する機構に加え、積層皮膜中の多くの界面が強化される結果、破壊靭性値が上昇すると考えられたためである。実験結果から、炭素濃度が4重量%より小さな範囲ではその効果が少なく、8%より大きな範囲では残留応力が高くなり、何れも本願の指標である破壊靭性値が3 MPa・
Figure 2007278314
以下となることが解った。従って、炭素濃度は4〜8重量%で有ることが必要である。
各層の一層の厚さは皮膜の硬度に影響する。これは、積層皮膜に於いて転位は層内と層と層の境界に於いて運動することにより塑性変形を起こす。そのため、層間隔を小さくすること(即ち、各層の一層の厚さを薄くすること)による転位の堆積(ホールペッチ型強化機構)や多くの界面を導入することによる層の界面における格子ひずみの増大に起因して、積層皮膜の硬さは上昇すると考えられるためである。しかしながら、層間隔を小さくしすぎると層間における境界すべりが生じてしまい急激な硬度低下をまねく結果となる。又、各層の厚さが大きすぎると前記効果は得られず皮膜の有する本来の硬度になってしまうと考えられる。皮膜硬度測定から、積層皮膜の各層の厚さは3〜9nmが最適である。
尚、このような皮膜は、ガソリンエンジン用のピストンリングに用いても問題ないことは言うまでもなく、又、皮膜形成にはイオンプレーティング法を用いることから、皮膜形成時のピストンリング温度上昇を低温に維持でき、ピストンリングの変形、強度低下などによるピストンリングのガスシール機能やオイル量調整等の他の機能の低下を抑えることが出来ることは従来同様である。
本願発明では、アークイオンプレーティング法を用いたことから蒸発金属のドロップレットが皮膜中に含まれるが、本願発明の目的に対する影響度合いは測りかねることから不可避的不純物として扱っている。
(1)ピストンリング
図1は本発明の実施形態である鋼製ピストンリングの縦断面図である。ピストンリング1の全周面にはビッカース硬さ700以上の白層を有しない窒化層2が形成されており、窒化層2の上には窒化クロム或いはその傾斜皮膜3及び積層皮膜4がアークイオンプレーティングによって成分の異なる皮膜が交互に被覆されている。尚、窒化層2は図2、図3のピストンリングの縦断面図にあるように、側面と内周のみに窒化層2があるもの、窒化層2がないものでもよい。窒化クロム或いはその傾斜皮膜3は炭素を固溶していないCrN等からなる応力緩和層である。皮膜の密着性に問題が生じない場合は窒化クロム或いはその傾斜皮膜3を省いてもよい。ピストンリング材としては鋼以外に鋳鉄も使用することが出来る。
(2)皮膜の形成方法
次に、本発明に用いたアークイオンプレーティング装置及びアークイオンプレーティング方法による皮膜の形成方法について詳述する。
図4は本発明に用いられる皮膜のイオンプレーティング装置の一例を示す。この装置はガス導入口12、排気口13を有する真空容器14を備え、真空容器14内に、アーク電源15の陽極に接続された第一ターゲット16とアーク電源17の陽極に接続された第二ターゲット18が配置されている。第一ターゲットには金属Ti、及び第二ターゲットには金属Crがセットされている。尚、第一ターゲットと第二ターゲットはピストンリング表面からの距離が等しくなるように設置されている。さらに、真空容器14内にはバイアス電源19に接続された回転テーブル20が配置され、回転テーブル20上には、ピストンリング11が設置されている。このイオンプレーティング装置を用いて、ピストンリング11に本発明皮膜を形成する方法について説明する。上述のように、第一ターゲット、第二ターゲット及びピストンリング11を配置したあと、排気口13より排気して、真空容器14内を0.04Pa以下に減圧し、チャンバーの内壁やピストンリングなどに吸着したガスの放出を促進させるため、ヒーター21を用いて加熱し脱ガス処理を行なう。加熱温度が低い場合は十分な脱ガスを得られず、高すぎる場合はピストンリングがクリープ変形する。予熱完了後は、テーブルを回転させアルゴンガスを12より導入し、−800〜-1000Vのバイアス電圧を印加して陰極と陽極間でアーク放電させボンバードクリーニングを行なう。バイアス電圧が−800より高い場合は十分なボンバードクリーニング効果が得られず、-1000Vより低い場合はピストンリングが昇温し軟化してしまう。その後、反応性ガスを12より導入しながら、全圧を0.2〜8Paにコントロールし、バイアス電圧を0〜-100V印加して図1の積層皮膜3及び4を被覆する。
図1の積層皮膜4を形成するTiCN層,CrCN層の組成はそれぞれのガスの分圧をコントロールすることによって制御ができる。例えばTiCN層中の炭素濃度は炭化水素系ガスの分圧を高くすると上昇する。
TiCN層層及びCrCN層層の各層の厚さは、アーク電流とテーブル回転速度により制御可能である。成膜速度をT(μm/min)、テーブル回転速度をR(rpm)とすると、各層の厚さH(nm/回転)は、H∝T / Rで表される。ここで成膜速度Tは、積層皮膜を形成する化合物単体をこのアークイオンプレーティング装置でイオンプレーティング処理したときの成膜速度であり、成膜中のアーク電流の大きさと比例関係にある。よってアーク電流を下げる、又はテーブル回転速度を上げると各層の厚さは小さくなる。そのため、積層皮膜の各層の厚さを制御するには、予め図5に示したような積層皮膜を形成する化合物単体のアーク電流値と成膜速度の関係を調べておけばよい。ただし、この関係は同じイオンプレーティング装置を用いても炉内構造や使用ターゲットの形状、ターゲットと被処理物本体との距離などにより変化する。
積層皮膜の皮膜硬さは、バイアス電圧、全ガス圧、窒素ガス分圧、炭化水素系ガス分圧、アーク電流値、テーブル回転速度により制御することが出来る。皮膜硬さはバイアス電圧を高く、又は全ガス圧を低く、又は窒素ガス分圧を減少させる、又は炭化水素系ガス分圧を増加させると上昇する。又、アーク電流を下げる、又はテーブル回転速度をあげると、各層の厚さは小さくなるので皮膜硬さは上昇する。しかしながら、皮膜の欠け防止のためには、3 MPa・
Figure 2007278314
以上破壊靭性値が必要であるから、炭素濃度を先に決定しなければならない。尚、高いバイアス電圧はピストンリングの熱変形を招くことから0〜-100Vとすることが必要である。
以下に実施例を示して具体的に本発明を説明する。
まず、破壊靭性値が3以上となる炭素濃度を求めるため下記の実験を行った。
矩形形状をした断面寸法2.5×4.3mm の17Crステンレス鋼ピストンリング線材をφ135mm のリング状に曲げ成形後、歪取り焼鈍処理し合口隙取り、側面研磨、外周面研磨を行った。その後、ピストンリング外周面に窒化処理を施しこれを超音波洗浄により脱脂した。又、ピストンリング母材と皮膜との密着性を向上させるため、母材表面をサンドブラスト処理し表面粗さを1.0〜4.5μm Rzjisに仕上げ、エアーブローで表面のゴミを除去した。又、ピンオンディスク摩耗試験用のテストピースは断面寸法が5×5mm、高さ20mmの17Crステンレス鋼ピストンリング線材を先端20Rに研磨し、イオンプレーティング皮膜を成膜後、表面粗さをRzjis=0.4μm以下に仕上げ加工したものを超音波洗浄により脱脂したものを用い、ディスク材はφ120×12mmのSUJ2鋼を表面粗さRzjis=0.8〜1.6μmに仕上げたものを用いた。
神戸製鋼所製のイオンプレーティング装置(AIP-3012)を用いて、第一ターゲットに金属Ti、第二ターゲットに金属Cr配置した後被処理物本体を回転テーブル上に配置したあと、被処理物を載せたテーブルを回転させ、真空容器を0.04Pa以下に減圧し、ヒーターで被処理物を873Kに加熱して予熱処理を行なった。ボンバードクリーニングはアルゴンガスを導入し、-700Vのバイアス電圧を印加して陰極と陽極間でアーク放電させ第二ターゲットのアーク電流値を100Aに設定し2分間処理を行なった。その後、炭素を固溶していないCrNからなる応力緩和層の成膜のため、窒素ガスを導入しながら、圧力を1.2Pa、バイアス電圧を-10V、第二ターゲットのアーク電流値を200Aに設定し30分間処理を行なった。炭素を窒化物中に固溶させるために炭化水素系ガスとしてメタンガスを導入し、積層皮膜中の炭素濃度が約2〜10wt%になるように予備コーティングで求めておいたメタン分圧1Pa〜9Paに変化させた。この時の全ガス圧は約2.7Paになるように窒素ガスの導入量を調節した。バイアス電圧を-10Vに設定し成膜を行った。
次に、得られた皮膜について、ピストンリングを用いて下記方法にて皮膜調査すると共に摩耗試験片を用いて摩耗試験を実施した。
(1)各層の厚さ測定
各試料の各層の厚さは、粉末X線回折装置(リガク社製RINT2100)を用いてCuKα線を使用し、走査範囲2θ=35〜50°、印加電圧40kV、印加電流30mA 、スキャンステップ0.02°、スキャン速度2°/min、発散スリット1deg 、受光スリット0.3mmの条件でX線回折パターンを測定し、(111)回折ピーク付近に出現するサテライトピークのサテライト反射角度から以下の式を用いて各層の厚さを算出した(図6)。
Figure 2007278314
(2)炭素濃度の測定
皮膜中の炭素濃度は日本電子製電子線マイクロアナライザー, EPMA(JEOL JXA-8600S)にて加速電圧15kV、プローブ電流5×10-8Aの条件で定量分析を実施した。
(3)皮膜硬さの測定
皮膜硬さはアカシ社製マイクロビッカース硬度計を用いて荷重50gf、時間15secの条件で皮膜断面硬さを計測した。
(3)破壊靭性値の測定
前述のように、ビッカース圧子を積層皮膜断面中央部に押し込むことによって生じる圧痕及びクラック長さを測定し、押込荷重、圧痕の対角線長さ、クラック長さから破壊靱性値を求めた。ここで、試験荷重は200gfとし時間は15secとした。又、破壊靱性値の算出に用いる弾性率は240263MPaとした。
(4)摩耗試験
耐摩耗性はスス入りオイルを用いた摩耗試験により摩耗特性を評価した。以下にスス入りオイルを用いた摩耗試験の試験条件と摩耗特性の評価方法を示す。摩耗試験は図7に示したようなピンオンディスク試験である。
試験条件
試験荷重130.2N 摺動速度0.5m/sec
使用オイル: スス入りオイル (三菱化学株式会社製ダイアコンタミナント WEAR)
供給量:0.5cc/min
試験時間:4時間
評価方法
試験終了後ピン摺動面の画像を撮影し、画像から得られる摩耗痕の幅から以下に示す式により摩耗重量を算出した。尚、皮膜の密度は全て7.75×103Kg/m3とした。
Figure 2007278314
1.実施例1の皮膜成膜条件とその調査結果及び摩耗試験の結果を表2に示す。
Figure 2007278314
表2から明らかなように、破壊靭性値が3MPa・
Figure 2007278314
以上有る皮膜は試料NO. 1-3〜NO.1-7で、炭素濃度が約4重量%〜約8重量%であった。皮膜硬さは何れの試料もHv1800以上有り、比較例であるCrN単層膜に比べ耐摩耗性も同等以上であった。CrN皮膜に炭素のような浸入型の固溶元素を導入されると結晶粒内を強化すると共に、積層皮膜各界面が強化されると考えら、その結果として、破壊靭性値が上昇すると考えられる。しかし、その量が一定量を超えると、皮膜の内部応力が強くなりすぎるため、脆くなり破壊靭性値が再び低下したものと思われる。実施例1の結果から、炭素濃度が4〜8重量%の皮膜は破壊靭性値が3MPa・
Figure 2007278314
以上有り耐欠け性に優れると共に耐摩耗性も従来のCrN単層膜以上であることが認められた。
次に、積層皮膜に於いて転位は層内と層境界に於いて運動することにより塑性変形を起こす。そのため、各層の厚さを小さくすることにより、転位の堆積や層界面における格子ひずみの増大が起こり、積層皮膜の硬さは上昇すると考えられることから、耐摩耗性に有利な各層の厚さの最適値を求めるために、各層の厚さが3〜10nmになるように、予め図5にしめしたような成膜速度とアーク電流値の関係を求めた後、ターゲットのアーク電流値を各々変化させ各皮膜を作製した。尚、メタン分圧は5Paとしテーブル回転数は10rpmと固定し、皮膜形成までの工程は実施例1と同様である。又皮膜の調査方法及び摩耗試験も実施例1と同様に行った。
各層の厚さを変化させた実験の皮膜形成条件とその調査結果及び摩耗試験結果を表3に示す。
Figure 2007278314
比較例2:空孔率約1.5%のCrN皮膜
この結果、破壊靭性値は全試料とも3.7 MPa・
Figure 2007278314
以上あり目標を達成していた。しかしながら、各層の厚さが2.7nm以下の皮膜及び各層の厚さが約10.2nm以上の皮膜は従来の皮膜である比較例1のCrN単層膜に比べ硬度が低く且つ耐摩耗性が同等以下であった。以上のことから、TiCN層層とCrCN層層とからなる積層皮膜における一層あたりの膜厚は3〜9nmが最適であることが確認できた。しかしながら、一層あたりの膜厚は2.7nm以下或いは約10.2nm以上であっても、従来の空孔のあるCrN皮膜(比較例2)よりも皮膜硬度が高いことや空孔がないことから耐摩耗性で優れており、ディーゼルエンジンのTopリングに使用できるものと思える。尚、積層皮膜に於いて転位は層内と層と層の境界に於いて運動することにより塑性変形を起こす。そのため、各層の厚さを小さくすることは、この転位の堆積(ホールペッチ型強化機構)や層の界面における格子ひずみを増大し、積層皮膜の硬さは上昇させる効果が有り、耐摩耗性を向上させる。しかしながら、層間隔を小さくしすぎると層間における境界すべりが生じてしまい急激な硬度低下をまねく結果耐摩耗性も劣化する物と考えられる。
次に、実施例1の試料NO. 1-3とNO.1-7及び実施例2の試料No.2-3CとNo. 2-9、比較例1.2のピストンリングを同時にディーゼルエンジンで実機評価した結果を表4に示す。エンジンは前回と同様のシリンダ内径φ135×6気筒の高負荷ディーゼルエンジンであり、負荷4/4で100時N間行った。結果を表4に示す。比較1皮膜のピストンリングを除いて、本発明のピストンリングには皮膜の欠け・剥離は発生しなかった。又、摩耗量も2.6から3.8μmであり、比較2と以上であった。
実機評価した結果を表4に示す。
Figure 2007278314
鋼製ピストンリングの縦断面図で窒化層上にイオンプレーティング皮膜がある場合 鋼製ピストンリングの縦断面図でピストンリング両側面にのみ窒化層がある場合 鋼製ピストンリングの縦断面図で窒化層が無い場合。 本件に用いたアークイオンイオンプレーティング装置の概略図 TiCN層のアーク電流と皮膜成膜速度との関係を求めた図 X線回折での皮膜のピーク例 摩耗試験の概略図
符号の説明
11:ピストンリング

12:ガス導入口
13:排気口
14:真空容器
15:アーク電源
16:第一ターゲット
17:アーク電源
18:第二ターゲット
19:バイアス電源
20:回転テーブル
21:ヒーター21

Claims (3)

  1. イオンプレーティング法による積層皮膜を少なくとも外周摺動面に有するピストンリングであって、前記積層皮膜がTiと炭素、窒素から構成される化合物層とCrと炭素、窒素から構成される化合物層とが交互に積層されて形成されていることを特徴とするピストンリング。
  2. 該積層皮膜の炭素濃度が4〜8重量%であることを特徴とする請求項1記載のピストンリング。
  3. 該積層皮膜が3〜9nmの該化合物層を交互に積層することで形成されていることを特徴とする請求項1及び2記載のピストンリング。
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