JP2007278270A - スクロール部材およびそれを備えたスクロール圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ラップの中心部における強度確保や変形量抑制という要求を満たしつつ、ラップの中心部の検査を簡略化することができるスクロール部材を備えたスクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】可動スクロール部材は、鏡面と、ラップ187とを備えている。ラップ187は、鏡面から垂直に延び、渦巻き形状を有している。また、ラップ187のうち、中心に近い巻き始め端部187a1から90°の部分までの渦巻き中心部187aは、厚みが一定であり、且つ、インボリュート形状である場合よりも曲率が大きい円弧形状である。
【選択図】図6

Description

本発明は、スクロール部材およびそれを備えたスクロール圧縮機に関する。
空調機等の冷凍装置における圧縮機の種類の1つとして、スクロール圧縮機が存在する。このスクロール圧縮機では、固定スクロール部材に対して、その軸を回転させずに公転させる可動スクロール部材によって、両スクロール部材の渦巻き状のラップの間に形成される三日月状の圧縮室の容積を減じ、ガス冷媒の圧力を高めて中心部から吐出する。
このようなスクロール圧縮機のスクロール部材において、渦巻き状のラップは、容量向上の観点からは厚みを小さくすることが望ましいが、強度確保や変形量抑制の観点から所定の厚みは必要である。
これに対し、特許文献1では、ガス冷媒が圧縮され圧力が高くなる中心部ほど圧縮室間の圧力差が大きくなることに鑑み、ラップの中心部から外側に向けて歯厚(ラップの厚み)が小さくなるように構成している。
特開2002−81387号公報
しかし、ラップの中心部において厚みが変化するような形状を採用すると、寸法や形状の管理のための検査において歯厚(厚み)をチェック項目として使うことが難しくなり、検査工程に長時間を要するようになったり、検査機器のコストが上がったりするという問題がある。
本発明の課題は、ラップの中心部における強度確保や変形量抑制という要求を満たしつつ、ラップの中心部の検査を簡略化することができるスクロール部材およびそれを備えたスクロール圧縮機を提供することにある。
第1発明に係るスクロール圧縮機のスクロール部材は、平面部と、ラップとを備えている。ラップは、平面部から略垂直に延び、渦巻き形状を有している。また、ラップのうち、中心に近い巻き始め端部から少なくとも90°の部分までの渦巻き中心部は、厚みが一定であり、且つ、インボリュート形状である場合よりも曲率が大きい湾曲形状である。
ここでは、渦巻き中心部において厚みを変化させて強度確保や変形量抑制を得るのではなく、通常のインボリュート形状に較べて曲率が大きくなるように(湾曲度合いがきつくなるように)渦巻き中心部の湾曲形状を決めて、圧力が作用する方向に対する渦巻き中心部の断面係数を大きくして剛性を高めている。このため、通常のインボリュート形状を採用する場合に較べて、渦巻き中心部の平面部との境界部分における最大応力値が小さくなり、また渦巻き中心部の平面部とは反対側の遊端の変形量(たわみ量)も小さく抑えられるようになる。一方、このようにインボリュート形状よりも曲率が大きい湾曲形状を採ることによって渦巻き中心部の強度確保や変形量抑制が実現できることに鑑み、ここでは、渦巻き中心部の厚みを変化させずに一定に保つようにしている。これにより、渦巻き中心部の寸法や形状の検査を行うのに要する時間を短縮できる、三次元検査装置といった高価な検査機器を導入する必要がなくなる、等の有利な効果を得ることができる。また、このスクロール部材において、通常のインボリュート形状が採用される場合の圧縮比と同一の圧縮比を達成しようとする場合、吐出ポート面積を大きくとることができるという有利な効果を得ることもできる。また、高圧縮比対応の冷凍用圧縮機にこのスクロール部材を適用すると、圧縮機の胴体半径や吐出ポート面積等に対して影響を与えることなく高圧縮比化を実現することができる。
第2発明に係るスクロール部材は、第1発明のスクロール部材であって、ラップは、中心側の渦巻き中心部と、渦巻き中心部の巻き終わり端部から外側に延びる渦巻き本体部とから成っている。そして、渦巻き本体部は、インボリュート曲線を描く。
第3発明に係るスクロール部材は、第2発明のスクロール部材であって、渦巻き中心部は、半径が変化しない円弧形状である。そして、渦巻き中心部の曲率は、渦巻き本体部の渦巻き中心部との境界近傍における曲率よりも大きい。
ここでは、ラップの巻き始め側の渦巻き中心部を円弧形状で、ラップの巻き終わり側の渦巻き本体部をインボリュート形状で形成し、渦巻き本体部において最も曲率が大きくなる渦巻き中心部との境界近傍における曲率よりも、円弧形状の渦巻き中心部の曲率(円弧の半径の逆数)が大きくなるようにしている。これにより、同じ厚みであっても、渦巻き中心部のほうが渦巻き本体部よりも剛性が大きくなっており、受ける圧力が渦巻き本体部よりも大きく且つ変形しやすい遊端になっている巻き始め端部を含んでいる渦巻き中心部においても、最大応力値を小さくし変形量を小さく抑えることができる。
第4発明に係るスクロール圧縮機は、第1スクロール部材および第2スクロール部材が噛み合わされて形成される密閉空間の容積を、第1スクロール部材に対して相対的に第2スクロール部材を旋回運動させることによって連続的に減少させて、密閉空間に吸入された流体の圧縮を行う圧縮機である。第1スクロール部材および第2スクロール部材のうち、少なくとも第1スクロール部材は、上記の第1〜第3発明のいずれかのスクロール部材である。そして、第1スクロール部材のラップに対向するラップを備えた第2スクロール部材は、旋回運動において第1スクロール部材のラップの渦巻き中心部に接する部分が、その周囲よりも厚肉化されている。
ここでは、インボリュート形状である場合よりも曲率が大きい湾曲形状としている第1スクロール部材のラップの渦巻き中心部の周面と接して圧縮室の端部を構成することになる第2スクロールのラップにおいて、渦巻き中心部と接する部分を周囲よりも厚肉にしているため、圧縮室の密閉度合いを確保して圧縮動作を連続的に実施できる。
第5発明に係るスクロール圧縮機は、第4発明のスクロール圧縮機であって、二酸化炭素を圧縮する。
二酸化炭素等の高圧冷媒圧縮用の圧縮機では、スクロール部材において応力が集中する渦巻き中心部の強度を高めることが必要である。第4発明に係るスクロール圧縮機では、スクロール部材において中心に近い巻き始め端部から少なくとも90°の部分までの渦巻き中心部は、厚みが一定であり且つインボリュート形状である場合よりも曲率が大きい湾曲形状である。このため、このスクロール圧縮機では、スクロール部材において渦巻き中心部の強度が高められると共に耐たわみ性も高められる。したがって、このスクロール圧縮機では、二酸化炭素等の高圧冷媒が圧縮される場合であっても摺動部品が高差圧による応力増大に耐えることができる。また、この効果によりこのスクロール部材の歯高を高くすることができる。つまり、ラップを小径化しながらも圧縮室の容量を大きくすることができる。そして、スクロール部材の小径化によりスクロール圧縮機の小径化が実現されると、ケーシングの胴体部分が小径化される。ケーシングの胴体部分が小径化された場合、そのケーシングは従来のケーシングに比べて薄い肉厚で同じ耐圧強度を示すことができる。このため、ケーシングの原料コスト等を低減することができる。また、スクロール部材が小径化されると、渦巻き部分を小さくして摺動の厳しいスラスト部の摺動面積を大きくすることができる。また、このようなスクロール部材が半溶融ダイキャスト成形法等によって成形されている場合、そのスクロール部材は、従来の鋳造成形法で得られるものよりも表面粗度が小さくなる。このため、このスクロール圧縮機では、二酸化炭素等の高圧冷媒が圧縮される場合であっても、スクロール部材の表面からの亀裂が発生しにくい。なお、たとえ、そのスクロール部材が未加工品であってもそのような損傷は発生にくい。
第1および第2発明に係るスクロール圧縮機のスクロール部材では、通常のインボリュート形状を採用する場合に較べて、渦巻き中心部の平面部との境界部分における最大応力値が小さくなり、また渦巻き中心部の平面部とは反対側の遊端の変形量(たわみ量)も小さく抑えられるようになる。一方、このようにインボリュート形状よりも曲率が大きい湾曲形状を採ることによって渦巻き中心部の強度確保や変形量抑制が実現できることに鑑み、ここでは、渦巻き中心部の厚みを変化させずに一定に保つようにしているため、渦巻き中心部の寸法や形状の検査を行うのに要する時間を短縮できる、三次元検査装置といった高価な検査機器を導入する必要がなくなる、等の有利な効果を得ることができる。また、このスクロール部材において、通常のインボリュート形状が採用される場合の圧縮比と同一の圧縮比を達成しようとする場合、吐出ポート面積を大きくとることができるという有利な効果を得ることもできる。また、高圧縮比対応の冷凍用圧縮機にこのスクロール部材を適用すると、圧縮機の胴体半径や吐出ポート面積等に対して影響を与えることなく高圧縮比化を実現することができる。
第3発明に係るスクロール部材では、同じ厚みであっても、渦巻き中心部のほうが渦巻き本体部よりも剛性が大きくなっており、受ける圧力が渦巻き本体部よりも大きく且つ変形しやすい遊端になっている巻き始め端部を含んでいる渦巻き中心部においても、最大応力値を小さくし変形量を小さく抑えることができる。
第4発明に係るスクロール圧縮機では、インボリュート形状である場合よりも曲率が大きい湾曲形状としている第1スクロール部材のラップの渦巻き中心部の周面と接して圧縮室の端部を構成することになる第2スクロールのラップにおいて、渦巻き中心部と接する部分を周囲よりも厚肉にしているため、圧縮室の密閉度合いを確保して圧縮動作を連続的に実施できる。
第5発明に係るスクロール圧縮機では、二酸化炭素等の高圧冷媒が圧縮される場合であっても摺動部品が高差圧による応力増大に耐えることができる。また、スクロール部材の小径化によりスクロール圧縮機の小径化が実現されると、ケーシングの胴体部分が小径化される。ケーシングの胴体部分が小径化された場合、そのケーシングは従来のケーシングに比べて薄い肉厚で同じ耐圧強度を示すことができる。このため、ケーシングの原料コスト等を低減することができる。また、スクロール部材が小径化されると、渦巻き部分を小さくして摺動の厳しいスラスト部の摺動面積を大きくすることができる。また、このようなスクロール部材が半溶融ダイキャスト成形法等によって成形されている場合、スクロール圧縮機において二酸化炭素等の高圧冷媒が圧縮される場合であっても、スクロール部材の表面からの亀裂が発生しにくい。
<圧縮機の概略構成>
本発明の一実施形態に係るスクロール部材である固定スクロール部材124および可動スクロール部材126を備える圧縮機1を、図1に示す。この圧縮機1は、蒸発器、凝縮器、膨張弁などと共に冷媒回路を構成し、その冷媒回路中のガス冷媒を圧縮する役割を担うものであって、主に、円筒状の密閉ドーム型のケーシング10、スクロール圧縮機構15、オルダムリング39、駆動モータ16、下部主軸受60、吸入管19、および吐出管20から構成されている。スクロール圧縮機構15は、固定スクロール部材124および可動スクロール部材126を備えている。以下、この圧縮機1の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
なお、圧縮機1は、圧縮する対象のガス冷媒としてR410Aが使用されることを前提に設計されているものである。
(1)ケーシング
ケーシング10は、略円筒状の胴部ケーシング部11と、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部13とを有する。そして、このケーシング10には、主に、ガス冷媒を圧縮するスクロール圧縮機構15と、スクロール圧縮機構15の下方に配置される駆動モータ16とが収容されている。このスクロール圧縮機構15と駆動モータ16とは、ケーシング10内を上下方向に延びるように配置される駆動軸17によって連結されている。そして、この結果、スクロール圧縮機構15と駆動モータ16との間には、間隙空間18が生じる。
(2)スクロール圧縮機構
スクロール圧縮機構15は、図1に示されるように、主に、ハウジング23と、ハウジング23の上方に密着して配置される固定スクロール部材124と、固定スクロール部材124に噛合する可動スクロール部材126とから構成されている。
(2−1)固定スクロール部材
固定スクロール部材124は、後述する半溶融ダイキャスト成形等のダイキャストによって成形された後、切削加工を施すことによって製造されるものであり、図2および図3に示すように、主に、鏡板184と、鏡板184の鏡面184aから下方に延びる渦巻き状(インボリュート状)のラップ185とから構成される。
鏡板184には、後述する圧縮室40に連通する吐出穴41と、吐出穴41に連通する拡大凹部42とが形成されている。吐出穴41は、鏡板184の中央部分において上下方向に延びるように形成されている。
拡大凹部42は、鏡板184の上面に水平方向に広がるように形成された凹部である。そして、固定スクロール部材124には、この拡大凹部42を塞ぐように、蓋体44がボルト44aにより締結固定される。そして、拡大凹部42に蓋体44が覆い被せられることにより、スクロール圧縮機構15の運転音を消音させる膨張室としてのマフラー空間45が形成される。固定スクロール部材124と蓋体44とは、図示しないパッキンを介して密着させることによりシールされている。
ラップ185は、後述するように、描く曲線の観点から、中心に近い巻き始め端部から90°の部分まで続く渦巻き中心部185aと、その渦巻き中心部185aの反中心側の端部から外側に延びる渦巻き本体部185b,185cとに分かれるが、渦巻き中心部185aと渦巻き本体部185b,185cとは連続している。このラップ185は、基本的にはその厚みTが巻き始め端部から巻き終わりまで一定にされているが、後述のように、渦巻き本体部185b,185cのうち可動スクロール部材126のラップ187の渦巻き中心部187aの外周面と接する部分185bについては、その厚みが部分的に厚くなっている(図7参照)。
(2−2)可動スクロール部材
可動スクロール部材126も、固定スクロール部材124と同じく、後述する半溶融ダイキャスト成形等のダイキャストによって成形された後、切削加工を施すことによって製造されるものであり、図4および図5に示すように、主に、鏡板186と、鏡板186の鏡面186aから上方に延びる渦巻き状(インボリュート状)のラップ187と、鏡板186の下面から下方に延びる軸受部188と、鏡板186の両端部に形成される溝部189とから構成されている。可動スクロール部材126は、アウタードライブタイプの可動スクロールであり、駆動軸17の外周溝に嵌合する軸受部188を有している。
可動スクロール部材126は、その溝部189にオルダムリング39(図1参照)が嵌め込まれることにより、ハウジング23に支持される。また、軸受部188には、駆動軸17の上端が嵌入される。可動スクロール部材126は、このようにスクロール圧縮機構15に組み込まれることによって、駆動軸17の回転により自転することなくハウジング23内を公転する。可動スクロール部材126のラップ187は固定スクロール部材124のラップ185に噛み合っており、両ラップ185、187の接触部の間には圧縮室40が形成される(図9(b)参照)。そして、この圧縮室40は、可動スクロール部材126の公転に伴い中心に向かって変位し、その容積が収縮していく。これにより、圧縮機1では、圧縮室40に入ったガス冷媒が圧縮される。
ラップ187は、後述するように、描く曲線の観点から、中心に近い巻き始め端部187a1(図6参照)から90°の部分まで続く渦巻き中心部187aと、その渦巻き中心部187aの反中心側の端部から外側に延びる渦巻き本体部187b,187cとに分かれるが、渦巻き中心部187aと渦巻き本体部187b,187cとは連続している。このラップ187は、基本的にはその厚みTが巻き始め端部187a1から巻き終わりまで一定にされているが、後述のように、渦巻き本体部187b,187cのうち固定スクロール部材124のラップ185の渦巻き中心部185aの外周面と接する部分187bについては、その厚みが部分的に厚くなっている(図7参照)。
(2−3)ハウジング
ハウジング23は、その外周面において、周方向の全体に亘って胴部ケーシング部11に圧入固定されている。つまり、胴部ケーシング部11とハウジング23とは全周に亘って密着されている。このため、ケーシング10の内部は、ハウジング23よりも下方の高圧空間28と、ハウジング23よりも上方の低圧空間29とに区画されることになる。また、このハウジング23は、その上端面が固定スクロール部材124の下端面と密着するように、複数のボルト38により固定スクロール部材124と締結固定されている。また、このハウジング23には、上面中央に凹設されたハウジング凹部31と、下面中央から下方に延設された軸受部32とが形成されている。そして、この軸受部32には、上下方向に貫通する軸受孔33が形成されており、この軸受孔33に駆動軸17が軸受34を介して回転自在に嵌入されている。
(2−4)その他
また、このスクロール圧縮機構15には、固定スクロール部材124とハウジング23とに亘り、連絡通路46が形成されている。この連絡通路46は、固定スクロール部材124に切欠形成されたスクロール側通路47と、ハウジング23に切欠形成されたハウジング側通路48とから構成される。そして、連絡通路46の上端、即ちスクロール側通路47の上端は、拡大凹部42に開口し、連絡通路46の下端、即ちハウジング側通路48の下端は、ハウジング23の下端面に開口している。つまり、このハウジング側通路48の下端開口が、連絡通路46の冷媒を間隙空間18に流出させる吐出口49となっている。
(3)オルダムリング
オルダムリング39は、上述したように、可動スクロール部材126の自転運動を防止するための部材であって、ハウジング23に形成されるオルダム溝(図示せず)に嵌め込まれている。なお、このオルダム溝は、長円形状の溝であって、ハウジング23において互いに対向する位置に配設されている。
(4)駆動モータ
駆動モータ16は、直流モータであって、主に、ケーシング10の内壁面に固定された環状のステータ51と、ステータ51の内側に僅かな隙間(エアギャップ通路)をもって回転自在に収容されたロータ52とから構成されている。そして、この駆動モータ16は、ステータ51の上側に形成されているコイルエンド53の上端がハウジング23の軸受部32の下端とほぼ同じ高さ位置になるように配置されている。
ステータ51には、ティース部に銅線が巻回されており、上方および下方にコイルエンド53が形成されている。また、ステータ51の外周面には、ステータ51の上端面から下端面に亘り且つ周方向に所定間隔をおいて複数個所に切欠形成されているコアカット部が設けられている。そして、このコアカット部により、胴部ケーシング部11とステータ51との間に上下方向に延びるモータ冷却通路55が形成されている。
ロータ52は、上下方向に延びるように胴部ケーシング部11の軸心に配置された駆動軸17を介してスクロール圧縮機構15の可動スクロール部材126に駆動連結されている。また、連絡通路46の吐出口49から吐出された冷媒をモータ冷却通路55に案内する案内板58が、間隙空間18に配設されている。
(5)下部主軸受
下部主軸受60は、駆動モータ16の下方の下部空間に配設されている。この下部主軸受60は、胴部ケーシング部11に固定されるとともに駆動軸17の下端側軸受を構成し、駆動軸17を支持している。
(6)吸入管
吸入管19は、冷媒回路の冷媒をスクロール圧縮機構15に導くためのものであって、ケーシング10の上壁部12に気密状に嵌入されている。吸入管19は、低圧空間29を上下方向に貫通すると共に、内端部が固定スクロール部材124に嵌入されている。
(7)吐出管
吐出管20は、ケーシング10内の冷媒をケーシング10外に吐出させるためのものであって、ケーシング10の胴部ケーシング部11に気密状に嵌入されている。そして、この吐出管20は、上下方向に延びる円筒形状に形成されハウジング23の下端部に固定される内端部36を有している。なお、吐出管20の内端開口、即ち流入口は、下方に向かって開口されている。
<圧縮機のスクロール部材のラップの詳細構成>
ラップ185は、上述のように、描く曲線の観点から、中心に近い巻き始め端部から90°の部分まで続く渦巻き中心部185aと、その渦巻き中心部185aの反中心側の端部から外側に延びる渦巻き本体部185b,185cとに分かれる。また、ラップ187も、上述のように、描く曲線の観点から、中心に近い巻き始め端部187a1(図6参照)から90°の部分まで続く渦巻き中心部187aと、その渦巻き中心部187aの反中心側の端部から外側に延びる渦巻き本体部187b,187cとに分かれる。いずれのラップ185,187も、同様の形状であるため、ここでは可動スクロール部材126のラップ187を例にとって、図6および図7を参照して、ラップ形状について詳細に説明する。
図4に示されるラップ187の中心に近い部分を拡大した図が、図6である。図6においては、ラップ187を実線で示す一方、全体がインボリュート曲線を描く従来のラップ287を点線で示している。ラップ187の渦巻き本体部187b,187cについては、従来のラップ287と同じインボリュート曲線を描いており、そのインボリュート曲線の基礎円は図6の中央に1点鎖線で示す円99である。インボリュート曲線は、基礎円に巻きつけた糸を引っぱりながら解きもどすとき、その糸上の定点の描く曲線である。
ラップ187では、中心に近い巻き始め端部187a1から約90°の部分までの渦巻き中心部187aについて、インボリュート曲線を描く形状である場合(点線で示す従来のラップ287の渦巻き中心部287aの形状を参照)よりも曲率が大きい湾曲形状になるようにしている。具体的には、渦巻き中心部187aの形状を半径が変化しない円弧形状(半径がR)としつつ、渦巻き中心部187aと渦巻き本体部187b,187cとが連続的な曲線を描くようにしている。したがって、渦巻き中心部187aの曲率(1/R)は、渦巻き本体部187b,187cの渦巻き中心部187aとの境界における曲率と概ね等しく、渦巻き本体部187b,187cの渦巻き中心部187aとの境界の近傍における曲率よりも大きくなっている。
このように、渦巻き中心部187aをインボリュート曲線を描く場合よりも湾曲度合いがきつい(曲率が大きい)形状とすることによって、渦巻き中心部187aの曲げに対する断面係数が大きくなって剛性が上がり、特許文献1(特開2002−81387号公報)のように中心ほど厚みを増加させるという方法を採らなくても強度確保や変形量の抑制ができるため、ラップ187では、渦巻き中心部187aの厚みを一定にする設計を行っている。
また、渦巻き本体部187b,187cについても、基本的にはその厚みを渦巻き中心部187aの厚みと等しくする設計としているが、旋回運動において固定スクロール部材124のラップ185の渦巻き中心部185aに接する部分187bだけは、その周囲の部分よりも厚肉化している。これは、図7(c)に示すように、相手のラップ185の渦巻き中心部185aを渦巻き中心部187aと同様にインボリュート形状ではなく円弧形状にしていることに起因するものであって、可動スクロール部材126の旋回運動において、ラップ185の渦巻き中心部185aの外周面とラップ187の渦巻き本体部187b,187cの一部分187bの内側の面IS187bとの間に大きな隙間が生じないようにするための措置である。全体がインボリュート曲線を描く従来のラップ287(点線で示すもの)の対応部分287bに較べ、ラップ187の一部分187bは、内側に厚みが増す形状となっている。
<固定スクロール部材および可動スクロール部材の製造方法>
上述のように、固定スクロール部材124は、ダイキャストによって成形された後、切削加工を施すことによって製造される。また、可動スクロール部材126も、同様に製造される。
(1)ダイキャスト
(1−1)素材
固定スクロール部材124および可動スクロール部材126の原材料である鉄素材は、C:2.3〜2.4wt%、Si:1.95〜2.05wt%、Mn:0.6〜0.7wt%、P:<0.035wt%、S:<0.04wt%、Cr:0.00〜0.50wt%、Ni:0.50〜1.00wt%が添加されているビレットである。ここにいう重量割合は、全量に対する割合である。また、ビレットとは、上記成分の鉄素材が溶融炉において溶融された後に、連続鋳造装置により円柱形状等に成形された最終成形前の素材を意味する。なお、ここで、CおよびSiの含有量は、引張強度および引張弾性率が片状黒鉛鋳鉄より高くなること、および複雑な形状の摺動部品基体を成形するのに適切な流動性を備えていることの両方を満足するように決定されている。また、Niの含有量は、金属組織の靭性を向上させて成形時の表面クラックを防止するのに適切な金属組成を構成するように決定されている。
(1−2)半溶融ダイキャスト成形
上記の鉄素材を使い、ダイキャストの一種である半溶融ダイキャスト成形法により、固定スクロール部材124および可動スクロール部材126が成形される。ここでは、可動スクロール部材126を例にとって半溶融ダイキャスト成形法について説明する。
図8に示されるように、可動スクロール部材126を半溶融ダイキャスト成形するための金型80は、第1型部分81と、第2型部分82とからなる。第1型部分81と第2型部分82とを組み合わせたときにできる空間部の形状は、切削加工前の可動スクロール部材126の外形形状に対応する。
半溶融ダイキャスト成形工程では、先ず、ビレットを高周波加熱することにより半溶融状態とする。次いで、その半溶融状態のビレットを金型80に注入する際に、ダイキャストマシンで所定圧力を加え、ビレットを所望の形状に成形する。そして、金型80から取り出して急冷させることにより、その金属組織は、全体的に白銑化したものとなる。その後、熱処理を施すと、この可動スクロール部材126の金属組織は、白銑化組織からパーライト/フェライト基地、粒状黒鉛から成る金属組織へと変化する。
なお、この白銑化組織の黒鉛化、パーライト化については、熱処理温度、保持時間、冷却速度などを調節することにより調節することができる。例えば、Honda R&D Technical Review の Vol.14 No.1 の論文「鉄の半溶融成形技術の研究」にあるように、950℃で60分保持した後に0.05〜0.10℃/secの冷却速度で炉中にて徐冷することにより、500MPa〜700MPa程度の引張強度、150〜200程度のブリネル硬度を有する金属組織を得ることができる。このような金属組織はフェライト中心であるために軟らかく被削性に優れるが、機械加工時に構成刃先を形成して刃具寿命を低下させる可能性がある。また、1000℃で60分保持した後に空冷し、さらに最初の温度より少し低い温度で所定時間保持した後に空冷することにより、600MPa〜900MPa程度の引張強度、200〜350程度のブリネル硬度を有する金属組織を得ることができる。このような金属組織において、片状黒鉛鋳鉄と同等の硬度を有するものは、片状黒鉛鋳鉄と同等の被削性を有し、同等の延性・靭性を有する球状黒鉛鋳鉄と比較すると被削性に優れている。また、1000℃で60分保持した後に油冷し、さらに最初の温度より少し低い温度で所定時間保持した後に空冷することにより、800MPa〜1300MPa程度の引張強度、250〜350程度のブリネル硬度を有する金属組織を得ることができる。このような金属組織はパーライト中心であるために硬く、被削性に劣るが、耐摩耗性に優れている。ただし、硬すぎることによる摺動相手材への攻撃性を有する可能性がある。
以上のように、熱処理によって引張強度を所望の強度にすることができるが、本実施形態に係るスクロール部材124,126では、ヤング率に対する引張強度の比が0.0046以下になるように、引張強度を向上させる熱処理が施される。また、耐摩耗性を確保できる程度にフェライト率が低く抑えられるように、さらに切削加工時に構成刃先が形成されにくいように、ヤング率に対する引張強度の比が0.0033以上になるように熱処理が行われる。ヤング率が熱処理にかかわらず175〜190GPaであるため、引張強度としては600MPa〜900MPa程度になるように熱処理が行われることになる。
(2)機械加工
上記の半溶融ダイキャスト成形法により成形された固定スクロール部材124および可動スクロール部材126は、さらに機械加工されることによって、圧縮機1に組み込む最終の形状となる。例えば、吐出穴41の穴あけ加工や、エンドミルによるラップ185,187の側面の切削加工などが行われる。
固定スクロール部材124のラップ185は、切削加工の後、図3に示すように、鏡面184aから先端までの高さHや厚みTが所定の設計値どおりの寸法となる。また、可動スクロール部材126のラップ187も、切削加工の後、図5に示すように、鏡面186aから先端までの高さHや厚みTが所定の設計値どおりの寸法となる。
なお、冷媒としてR410Aを用いる冷凍装置の冷媒回路に組み込まれる圧縮機1において、ラップ185,187の高さHおよび厚みTは、スクロール部材124,126のヤング率に対する引張強度の比が0.0033〜0.0046になっていることを前提として、その比(H/T)が10〜19になるように設計されている。このように設計することにより、冷凍装置においてガス冷媒であるR410Aが最も高圧になったときにも、ラップ185,187の渦巻き中心の端部(巻き始めの端部)における先端のたわみ量(変形量)が許容範囲に収まるとともに強度的にも問題がないようになる。
<圧縮機1の運転動作>
次に、圧縮機1の運転動作について簡単に説明する。まず、駆動モータ16が駆動されると、駆動軸17が回転し、可動スクロール部材126が自転することなく公転運転を行う。すると、低圧のガス冷媒が、吸入管19を通って圧縮室40の周縁側から圧縮室40に吸引され、圧縮室40の容積変化に伴って圧縮され、高圧のガス冷媒となる。そして、この高圧のガス冷媒は、圧縮室40の中央部から吐出穴41を通ってマフラー空間45へ吐出され、その後、連絡通路46、スクロール側通路47、ハウジング側通路48、吐出口49を通って間隙空間18へ流出し、案内板58と胴部ケーシング部11の内面との間を下側に向かって流れる。そして、このガス冷媒は、案内板58と胴部ケーシング部11の内面との間を下側に向かって流れる際に、一部が分流して案内板58と駆動モータ16との間を円周方向に流れる。なお、このとき、ガス冷媒に混入している潤滑油が分離される。一方、分流したガス冷媒の他部は、モータ冷却通路55を下側に向かって流れ、モータ下部空間にまで流れた後、反転してステータ51とロータ52との間のエアギャップ通路、または連絡通路46に対向する側(図1における左側)のモータ冷却通路55を上方に向かって流れる。その後、案内板58を通過したガス冷媒と、エアギャップ通路又はモータ冷却通路55を流れてきたガス冷媒とは、間隙空間18で合流して吐出管20の内端部36から吐出管20に流入し、ケーシング10外に吐出される。そして、ケーシング10外に吐出されたガス冷媒は、冷媒回路を循環した後、再度吸入管19を通ってスクロール圧縮機構15に吸入されて圧縮される。
<圧縮機1の特徴>
(1)
高強度材料であるダクタイル鋳鉄や高炭素綱ではニアネットシェイプ化が困難で加工性も悪いという課題があることから、従来のスクロール圧縮機では、FC250などの普通鋳鉄を使ってスクロール部材を製造しているものが多い。
これに対し、本実施形態に係る圧縮機1では、半溶融ダイキャスト成形法を用いて成形することで、固定スクロール部材124および可動スクロール部材126を高強度のものとしている。それに伴い、スクロール部材124,126のラップ185,187の厚みTを薄くすることができている。
このため、圧縮機1では、従来のものに対して、外径を殆ど変えることなく、大幅な容量アップを実現している。
(2)
圧縮機1では、スクロール部材124,126のラップ185,187の渦巻き中心部185a,187aにおいて厚みを変化させて強度確保や変形量抑制を図るのではなく、通常のインボリュート形状に較べて曲率が大きくなるように(湾曲度合いがきつくなるように)渦巻き中心部185a,187aの湾曲形状を決めて、具体的には渦巻き中心部185a,187aだけを円弧形状にして、圧力が作用する方向(ラップ185,187の厚みの内側から外側へ向かう方向)に対する渦巻き中心部185a,187aの断面係数を大きくして曲げに対する剛性を高めている。このため、通常のインボリュート形状を採用する場合に較べて、渦巻き中心部185a,187aの鏡面184a,186aとの境界部分における最大応力値が小さくなり、また渦巻き中心部185a,187aの先端の変形量(たわみ量)も小さく抑えられるようになる。
図9(a)に、可動スクロール部材126の強度解析用モデルを、図9(b)に、従来の可動スクロール部材226の強度解析用モデルを、図10(a)に、可動スクロール部材126の強度解析結果の変形図を、図10(b)に、従来の可動スクロール部材226の強度解析結果の変形図を、それぞれ示す。変形図については、理解の容易のため、実際の変形量を数十倍にしている。FEM解析において、ラップ126,226に対し、隣接する圧縮室40の圧力差の最大値に相当する圧力を、内側から外側に作用させ、最大応力値および各ポイントの変位を出力させたところ、図9(b)に示す従来の可動スクロール部材226に出現する最大応力値(ラップ287の渦巻き中心部287aの鏡面186aとの境界部分における応力値)に対して、図9(a)に示す可動スクロール部材126に出現する最大応力値(ラップ187の渦巻き中心部187aの鏡面186aとの境界部分における応力値)が約20%減少するとともに、図10(b)に示す従来の可動スクロール部材226の最大変位量(ラップ287の渦巻き中心部287aの先端の変位量)よりも、図10(a)に示す可動スクロール部材126の最大変位量(ラップ187の渦巻き中心部187aの先端の変位量)が約30%減少することを確認した。なお、図10において点線で示す形状は、変形前のラップ187,287の形状である。
(3)
上記(2)のように、圧縮機1では、渦巻き中心部185a,187aだけを円弧形状にして剛性を高めることで強度確保や変形量抑制を実現させているため、渦巻き中心部185a,187aの厚みについては、変化をさせずに一定に保つようにしている。これにより、渦巻き中心部185a,187aの寸法や形状の検査を行うのに長時間を要することがなくなっており、また、三次元検査装置といった高価な検査機器を必要としない圧縮機1となっている。
(4)
圧縮機1では、渦巻き中心部185a,187aをインボリュート形状ではなく円弧形状にしているが、一方で、渦巻き中心部185a,187aの外周面に接して圧縮室40の端部を形成することになる部分187b,185bを厚肉化しているため、その部分187b,185bの内側の面IS187b,IS185bが渦巻き中心部185a,187aの外周面に対して大きく隙間を空けることなく旋回動作において滑らかに噛み合うようになっている。このため、圧縮室40の密閉度合いが常に高く保持され、隣接する圧縮室40にガス冷媒が多量に漏れるといった不具合が出ることが回避できている。
(5)
圧縮機1では、一部分187bを除き、ラップ187の厚みを一定にしているため、巻き終わり側から巻き始め側に向けて段々と厚みを増やしていく特許文献1(特開2002−81387号公報)のようなラップと違って、ラップ187aが塞いでしまう吐出穴41の領域を小さく(あるいはゼロ)にすることができる。これにより、従来のものに較べて、圧縮機1では吐出穴41を通る際のガス冷媒の圧力損失が小さく抑えられている。
(6)
圧縮機1では、スクロール部材124,126のラップ185,187において通常のインボリュート形状に較べて曲率が大きくなるように(湾曲度合いがきつくなるように)渦巻き中心部185a,187aの湾曲形状を決めて、具体的には渦巻き中心部185a,187aだけを円弧形状にしている。このため、この圧縮機1では、スクロール部材124,126においてラップ185,187の巻き始め近傍部分185a,187aの強度が高められている。したがって、圧縮機1では、二酸化炭素等の高圧冷媒が圧縮される場合であってもスクロール部材124,126が高差圧による応力増大に耐えることができる。また、この効果によりこのスクロール部材124,126の歯高を高くすることができる。つまり、ラップ185,187を小径化しながらも圧縮室40の容量を大きくすることができる。そして、圧縮機1がこのように小径化できると、胴部ケーシング部11が小径化される。小径化された胴体ケーシング部11は、従来の胴体ケーシングに比べて薄い肉厚で同じ耐圧強度を示すことができる。このため、胴体ケーシング部11の原料コスト等を低減することができる。また、スクロール部材124,126のラップ185,187の小径化が可能となる。このため、摺動の厳しいスラスト部の摺動面積を大きくすることができる。
(7)
圧縮機1では、スクロール部材124,126が半溶融成形法によって製造される。このため、スクロール部材124,126は、従来の鋳造成形法で得られるものよりも表面粗度が小さくなる。このため、この圧縮機1では、二酸化炭素等の高圧冷媒が圧縮される場合であっても、スクロール部材124,126の表面からの亀裂が発生しにくい。
<変形例>
(A)
上記実施形態では、ラップ185,187について、渦巻き中心部185a,187aを、中心に近い巻き始め端部から90°の部分まで続くと定義して円弧形状にしているが、90°ではなく、100°や120°までと定義して円弧形状をもう少し長くすることも可能である。但し、この場合には、その渦巻き中心部185a,187aの外周面と接することになるラップ187,185の肉厚の部分187b,185bを拡大する必要がある。
(B)
上記実施形態では、ラップ185,187の渦巻き中心部185a,187aを円弧形状にしているが、インボリュート形状よりも湾曲度合いがきつい(曲率が大きい)ものであれば、必ずしも円弧形状を採らなくてもよい。
(C)
上記実施形態では、両ラップ185,187とも半溶融ダイキャスト材料にて渦巻き中心部185a,187aを円弧形状にしているが、いずれか一方をFC材料とし、強度に比して相対的に剛性が弱くなる半溶融ダイキャスト材料を使った方のみに本発明(渦巻き中心部を円弧形状等の湾曲度合いがインボリュート曲線よりもきつい湾曲形状にする)を適用することも可能である。
(D)
上記実施形態では、一部分185b,187bを除き、ラップ185,187の厚みを一定にしているが、渦巻き中心部185a,187a以外については、厚みを変化させてもよい。すなわち、ラップ185,187の渦巻き本体部185b,185c,187b,187cのうち渦巻き中心部185a,187aと接することのない部分185c,187cについては、厚みを変化させてもよい。
(E)
上記実施形態では、半溶融ダイキャスト成形法により成形された固定スクロール部材124および可動スクロール部材126をさらに機械加工されることによって圧縮機1に組み込む最終の形状とした。しかし、半溶融ダイキャスト成形法により成形された固定スクロール部材124および可動スクロール部材126において、渦巻き中心部185a,187aに相当する部分に機械加工を施さず、ラップ185,187に抜き勾配(ラップ185,187の先端から根元に向かってラップの外側に傾斜する勾配)を残したままにしておいてもよい。このようにすれば、渦巻き中心部185a,187aの強度を改善することができると共に加工コストの低減により製造コストを低減することができる。
本発明の一実施形態に係る圧縮機の縦断面図。 固定スクロール部材の下面図。 図2のIII-III断面図。 可動スクロール部材の下面図。 図4のV-V断面図。 図4の部分拡大図。 固定スクロール部材と可動スクロール部材とのラップの噛み合い状態の変化を示す図。 可動スクロール部材を成形する金型の縦断面図。 (a)本発明に係る可動スクロール部材の強度解析用モデルを示す図。(b)従来の可動スクロール部材の強度解析用モデルを示す図。 (a)本発明に係る可動スクロール部材の強度解析結果の変形図。(b)従来の可動スクロール部材の強度解析結果の変形図。
符号の説明
1 圧縮機(スクロール圧縮機)
40 圧縮室(密閉空間)
124 固定スクロール部材
126 可動スクロール部材
184a 固定スクロール部材の鏡面
185 固定スクロール部材のラップ
185a 渦巻き中心部
185b,185c 渦巻き本体部
186a 可動スクロール部材の鏡面
187 可動スクロール部材のラップ
187a 渦巻き中心部
187b,187c 渦巻き本体部
T ラップの厚み

Claims (5)

  1. スクロール圧縮機(1)のスクロール部材(124,126)であって、
    平面部(184a,186a)と、
    前記平面部から略垂直に延び、渦巻き形状を有するラップ(185,187)と、
    を備え、
    前記ラップのうち、中心に近い巻き始め端部(187a1)から少なくとも90°の部分までの渦巻き中心部(185a,187a)は、厚み(T)が一定であり且つインボリュート形状である場合よりも曲率が大きい湾曲形状である、
    スクロール部材。
  2. 前記ラップ(185,187)は、中心側の前記渦巻き中心部(185a,187a)と、前記渦巻き中心部の巻き終わり端部から外側に延びる渦巻き本体部(185b,185c,187b,187c)とから成り、
    前記渦巻き本体部は、インボリュート曲線を描く、
    請求項1に記載のスクロール部材。
  3. 前記渦巻き中心部(185a,187a)は、半径が変化しない円弧形状であり、その曲率が、前記渦巻き本体部(185b,185c,187b,187c)の前記渦巻き中心部との境界近傍における曲率よりも大きい、
    請求項2に記載のスクロール部材。
  4. 第1スクロール部材(124/126)および第2スクロール部材(126/124)が噛み合わされて形成される密閉空間(40)の容積を、第1スクロール部材に対して相対的に第2スクロール部材を旋回運動させることによって連続的に減少させて、前記密閉空間に吸入された流体の圧縮を行うスクロール圧縮機(1)であって、
    第1スクロール部材および第2スクロール部材のうち少なくとも前記第1スクロール部材が、前記請求項1から3のいずれかに記載のスクロール部材であり、
    前記第1スクロール部材の前記ラップ(185/187)に対向するラップ(187/185)を備えた第2スクロール部材は、前記旋回運動において前記第1スクロール部材の前記ラップの前記渦巻き中心部(185a/187a)に接する部分(IS187b/IS185b)が、その周囲よりも厚肉化されている、
    スクロール圧縮機。
  5. 二酸化炭素を圧縮する、
    請求項4に記載のスクロール圧縮機。
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