JP2007278222A - 可変動弁装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】可変動弁装置を効率的に動作させる。
【解決手段】エンジン200の機関停止時において、VVTコントローラ216ではロックピン224によってベーン219が最遅角位置でロックされている。エンジン200が始動すると、ECU100は、吸気バルブタイミング制御処理を実行し、エンジン始動後の機関回転数Neの積算値enesumを所定周期で演算する。積算値enesumが、冷却水温Twに応じて基準値マップMP1から取得される積算値の基準値t_neoilpr以上であった場合、ECU100は、VVTコントローラ216に係るオイルの液圧が、ロックピン224によるベーン219のロック状態を解除し得る解除液圧以上に上昇したものと判別し、ベーン219を係る最遅角位置に強制的に維持する強制最遅角モードを解除し、目標変位角に基づいた吸気バルブタイミングの通常制御を開始する。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えばVVT(Variable Valve Timing:可変バルブタイミング機構)等の可変動弁装置を制御する可変動弁装置の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、バルブタイミング調整装置における油圧の上昇を始動後の経過時間に基づいて判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された内燃機関の可変バルブタイミング制御装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、エンジン始動後の経過時間が所定時間を超えた場合に、ロックピンによるロックが解除され、カム軸位相の制御が可能となる。この際、冷却水温をパラメータとすることにより、カム軸位相を制御するのに十分な油圧を供給できるか否かを規定する始動後の経過時間を適正に設定できるとされている。
特開2001−50064号公報
内燃機関の始動期間における、このような可変動弁装置の作動に供される作動液の液圧の上昇特性は、冷却水温が一定であっても、内燃機関の機関運転条件によってその都度異なる。従って、従来技術の如く単に冷却水温に基づいて設定される所定時間によって液圧の上昇を判定しようとした場合、必然的に、より安全な側へのマージンを設けざるを得ず、多くの場合、実際には可変動弁装置の動作が可能な状態であるにもかかわらずロックが解除されないといった事態が発生する。即ち、従来の技術には、可変動弁装置の制御機会が意味無く損なわれかねないという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、可変動弁装置を効率的に動作させることが可能な可変動弁装置の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る可変動弁装置の御装置は、内燃機関に備わると共に(i)吸気側カム軸と排気側カム軸とのうち少なくとも一方における、クランク軸の回転位相に対する相対的な回転位相を、作動液の液圧に応じて変化させることが可能な回転位相可変手段、(ii)前記液圧に応じて駆動され、前記内燃機関の機関停止時に、前記回転位相可変手段の少なくとも一部を機械的に固定することにより前記相対的な回転位相を固定するロック状態を採り且つ前記内燃機関の機関始動時において前記液圧が所定値以上となった場合に前記ロック状態を解除することが可能に構成されたロック手段並びに(iii)前記回転位相可変手段及び前記ロック手段に対し前記内燃機関に係る動力を利用して前記作動液を供給することが可能な供給手段を含んでなる可変動弁装置を制御する、可変動弁装置の制御装置であって、前記内燃機関の機関回転数を特定する機関回転数特定手段と、前記特定された機関回転数に基づいて、前記液圧が所定値以上であるか否かを判別する判別手段と、前記液圧が所定値以上であると判別された場合に、前記回転位相可変手段を介して前記少なくとも一方における相対的な回転位相が前記内燃機関の機関運転条件に応じた値となるように前記供給手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る「内燃機関」とは、例えば複数の気筒を有し、例えば吸気管又は吸気ポート等の吸気系に或いは気筒内の燃焼室に直接噴射される例えばガソリン等の燃料を含む混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼に伴う爆発力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等を適宜介して動力とし取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念であり、且つ特に可変動弁装置及び供給手段を備えた、例えば2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を指す。
本発明に係る「可変動弁装置」とは、空気の吸入に係る吸気弁及び燃焼室における燃焼行程を経た後の混合気の排気に係る排気弁のうち少なくとも一方における、開弁時期及び閉弁時期(以降、これらを総称するものとして適宜「バルブタイミング」なる言葉を使用する)を可変とし得る物理的、機械的、機構的又は電気的な装置或いはそれらが適宜組み合わされた装置を包括する概念であり、本発明では特に、回転位相可変手段、ロック手段及び供給手段を含んでなる。尚、バルブタイミングに係る「時期」とは、時刻概念ではなくクランク角或いはクランク角に対応付けられた指標によって規定される角度概念である。従って、これ以降、開弁時期及び閉弁時期を相対的早める或いは遅くすることを適宜「進角する」或いは「遅角する」等と表現することとする。
回転位相可変手段は、吸気側カム軸及び排気側カム軸のうち少なくとも一方における、クランク軸の回転位相に対する相対的な回転位相(これ以降、適宜「回転位相差」と表現することとする)を、例えばオイル等の作動液の液圧に応じて変化させることが可能な手段を包括する概念であり、例えばカム軸に同期して回転可能なベーンロータを液圧に応じて進角側又は遅角側に回転させる構成を有していてもよいし、或いはカム軸にヘリカルギア又はヘリカルスプライン等を適宜介して連結される、カム軸方向に往復運動可能な軸体或いはピストン等を、液圧を駆動源とするアクチュエータ等によって駆動せしめ、それらの往復運動をカム軸の回転運動に変換せしめる構成であってもよい。
ロック手段は、回転位相可変手段と共用される作動液の液圧により駆動され、内燃機関の機関停止時に、例えば液圧の下降に伴って自然に、或いは然るべき制御に従って、回転位相可変手段における、例えば前述したベーンやヘリカルギア等、その少なくとも一部を機械的に固定する(以下、適宜「ロックする」等と表現する)ロック状態を採り、係るロック状態において、カム軸の回転位相差を、その可動範囲よりも狭小な範囲に、典型的には一の値に固定する。ロック手段は、機関始動後作動液の液圧が所定値以上となった場合に係るロック状態を解除することが可能に構成される。
これら回転位相可変手段及びロック手段の駆動に供される作動液は、供給手段によって給される。供給手段は、内燃機関に係る動力を利用して作動液を供給する、例えば機械的、物理的、機構的又は電気的な手段を包括する概念であり、例えば内燃機関における、例えば潤滑油等の粘性流体を循環供給することが可能な、例えば内燃機関の補機の一部たるオイルポンプ等の循環装置を含み、例えば回転位相可変手段及びロック手段の或いは可変動弁装置全体の構成又は構造に応じて、回転位相可変手段及びロック手段に夫々作動液を供給可能に構成される。
ここで特に、可変動弁装置に係る効果を最大限に享受するためには、内燃機関の始動後、作動液の液圧がロック手段のロック状態を解除し得る所定値以上に上昇したか否かを迅速に且つ正確に判別する必要がある。特に、ロック状態を解除するために必要な液圧の値(即ち、所定値)が回転位相可変手段の動作に要する液圧よりも高い場合、係る判別の精度が低いと未だロック状態を解除し得る液圧となる前に回転位相可変手段の動作が開始される場合がある。
この場合、無論ロック状態は解除されないから、回転位相差は固定された状態を維持するが、ロック手段の構造によっては、例えば回転位相可変手段がロックされているにもかかわらず回転位相差を変化させるべく回転位相可変手段が動作しようとすることによって、ロック手段と回転位相可変手段とが例えば機械的に噛み合い、然るべき時間経過の後に液圧が所定値を超えても、ロック状態を解除することが困難になる場合がある。或いはロック手段又は回転位相可変手段の一部が物理的に損壊する可能性がある。
一方で、作動液の液圧を直接検出するためにセンサ等の直接的な検出手段を設けることは、部品点数の増加に伴う制御負荷及びコストの増加を招くため好ましくない。また、例えば、単に始動後の経過時間に応じて係る判別を行おうとする場合、供給手段が内燃機関の動力に応じて駆動される構成であることに鑑みれば、冷却水温等をパラメータとして判別に係る基準値を複数設定しておいた所で、内燃機関の動作状態によって液圧の上昇速度はまちまちであり、端的に言えば、液圧の上昇速度が極端に低い場合にも確実に液圧が所定値を超え得る時間に基準値を設定せざるを得ない。従って、実際にはロック状態を解除し得る液圧に到達していても回転位相可変手段を介した実際の回転位相差の制御を実行することができない状況、即ち実行機会の損失が実用上問題となる程度に顕在化しかねない。
本発明に係る車両の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される機関回転数特定手段により、内燃機関の機関回転数が特定される。
尚、本発明に係る「特定」とは、例えば物理的、電気的、機械的、機構的又は化学的な検出手段によって直接的又は間接的に検出することの他に、これら直接的又は間接的に検出された値に基づいて、予め設定されたアルゴリズムや算出式に従って導出又は算出すること等を含み、更には、これら検出された又は導出若しくは算出された値或いはこのような値に対応する電気信号等を単に取得すること等を含む広い概念である。
更に、本発明に係る車両の制御装置によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される判別手段により、特定された機関回転数に基づいて液圧が所定値以上であるか否かが判別される。
ここで、供給手段は内燃機関に係る動力を利用して作動液を供給する構成であり、例えば供給手段がオイルポンプ等循環装置を含む場合には特に、内燃機関の機関回転数は、作動液の液圧を高精度に推定し得る指標となり得る。例えば、機関回転数がより高ければ、冷却水温等のパラメータが等しいとしても液圧の上昇速度は高いものと推定し得る。
尚、機関回転数に基づいた判別の態様は何ら限定されるものではなく、例えば予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、機関回転数と液圧の上昇特性との相関が推定される場合には、そのような上昇特性に基づいて係る判別に際しての基準値が設定されていてもよい。
このような判別の結果、液圧が所定値以上であると判別された場合には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される制御手段によって、回転位相可変手段を介して少なくとも一方のカム軸における回転位相差が内燃機関の機関運転条件に応じた値となるように供給手段が制御する。
尚、この際、ロック手段は、液圧が所定値以上に上昇したことに伴って(即ち、判別手段に係る判別の結果とは別に)、ロック状態が例えば機械的、物理的又は機構的な原理により自動的に解除されるように構成されていてもよい。或いは制御手段が、上述した回転位相可変手段を介して回転位相差の制御を行う場合に、その前段階として或いは同時に、ロック手段に対し作動液(即ち、液圧が所定値以上であると判別された状態の作動液)を供給するよう供給手段を制御してもよい。
尚、内燃機関の機関運転条件に応じた値とは、例えば、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて燃費、エミッション又は動力性能等の諸条件をその時点で要求されるスペックに適合すべく決定された、基準となるバルブタイミングからの遅角又は進角量に従ったバルブタイミング等を指す。
このように、本発明に係る車両の制御装置によれば、ロック状態を解除し得る液圧に達したか否かの判別を、内燃機関の機関回転数に基づいて高精度に行うことが可能であり、そのような判別の結果に従って回転位相可変手段が制御されることにより、回転位相可変手段の制御機会の損失を大きく低減することが可能となる。即ち、可変動弁装置を効率的に動作させることが可能となるのである。
本発明に係る可変動弁装置の制御装置の一の態様では、前記回転位相可変手段は、前記クランク軸と同期して回転する第1の回転体、前記第1の回転体と同軸に構成され、前記少なくとも一方に連結された第2の回転体、及び前記第1又は第2の回転体に設けられ、前記第1の回転体と前記第2の回転体との間に形成される液室を進角室と遅角室とに区画するベーンを含み、前記進角室及び遅角室に夫々供給される前記作動液の液圧に応じて前記相対的な回転位相を進角又は遅角させることが可能に構成されており、前記ロック手段は、前記ロック状態において前記ベーンの一部と係合又は嵌合することにより前記少なくとも一部として前記ベーンを機械的に固定し、前記供給手段は、前記進角室及び前記遅角室に夫々前記作動液を供給可能であり、前記制御手段は、前記少なくとも一方における相対的な回転位相が前記内燃機関の機関運転条件に応じた値となるように前記供給手段を介して前記進角室及び遅角室の各々における前記液圧を制御する。
この態様によれば、回転位相可変手段は、クランク軸と同期して回転する例えばハウジング等の第1の回転体と、吸気側カム軸及び排気側カム軸のうち少なくとも一方に連結された、例えばロータ等の第2の回転体と、これらいずれか一方に設けられ、例えばロータとハウジングとの間に形成される液室を、回転位相差を遅角せしめるべく作動液が供給される遅角室及び回転位相差を進角せしめるべく作動液が供給される進角室とに区画するベーンを含んで構成される。このような構成の下、進角室及び遅角室の各々における液圧によりベーンが進角側又は遅角側に回動し、ベーンが設けられたロータ或いはハウジングが、クランク軸或いはカム軸に対し進角又は遅角せしめられる。従って、供給手段は、この遅角室及び進角室に夫々作動液を供給可能に構成される。
ロック手段は、例えばロックピン等の物理的な係合部材又は嵌合部材を含み、ロック状態において、例えばこのロックピンが、コイルバネ等の付勢手段による付勢を受けて、例えばベーンに設けられたロック孔等、ベーンの一部と係合又は嵌合することによってベーンをロックする。この場合、例えば液圧が所定値以上となり液圧が付勢手段による付勢に打ち勝つと、例えばロックピンが予め設定された収容部に収容され、ロックが解除される。
この態様によれば、制御手段は、進角室及び遅角室の各々における液圧が機関運転条件に応じた値となるように、例えば、供給手段に含まれるソレノイドバルブ等の流量制御手段におけるデューティ制御等を介して、或いは作動液の液圧伝達経路の切替え制御等を介して、これら遅角室及び進角室の液圧を制御することにより、吸気側カム軸又は排気側カム軸のうち少なくとも一方における回転位相差を連続的に可変に制御することが可能となる。
一方、このような構成においては、通常、ロック状態を解除するための液圧の所定値は、ベーンを進角側又は遅角側に回動させるために必要な液圧の値よりも大きく設定される。従って、既に述べたように、ロック手段が例えばベーン等回転位相可変手段の一部と例えば過剰な接触状態に陥らないように、液圧がロック状態を解除し得る所定値に達したか否かの判別を高精度に行う要求が顕著に生じ得る。即ち、このようにベーン方式の可変動弁装置を搭載する車両においては、本発明に係る車両の制御装置に係る効果が顕著に発揮される。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記判別手段は、前記内燃機関の始動後における前記特定される機関回転数の積算値が基準値以上である場合に前記液圧が所定値以上であると判別する。
この態様によれば、始動後における機関回転数の積算値が基準値以上であるか否かに基づいて、高精度に且つ迅速に液圧上昇に係る判別が実行されるため、例えば瞬間的に機関回転数が上昇した場合や、機関回転数が安定しない場合等に生じ得る誤判定を回避することができ効果的である。尚、ここで述べられる「始動後」とは、内燃機関が始動を開始した時点以降の時間領域の少なくとも一部を表す概念であり、例えば、厳密に始動回転の開始時点を基準に採ってもよいし、始動回転が終了した時点を基準に採ってもよい趣旨である。
尚、積算値の基準値は、予め適合等のプロセスを経てマップとして然るべき記憶手段に記憶されていてもよいし、制御手段がその都度、所定のアルゴリズムや算出式に基づいて算出してもよい。また、基準値は複数用意されていてもよく、その場合、液圧の上昇に影響を与え得る内燃機関の状態を規定する、例えば冷却水温や潤滑油温等の各種指標値や外気温や湿度等環境条件を規定する指標値が、予めパラメータとして設定されていてもよい。
尚、この態様では、前記内燃機関における冷却水温を特定する冷却水温特定手段と、前記特定された冷却水温に基づいて前記積算値の基準値を設定する基準値設定手段とを更に具備してもよい。
この場合、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される冷却水温特定手段が、例えば冷却水温センサ等の検出手段から電気信号等として取得することにより特定した冷却水温に基づいて、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される基準値設定手段が、積算値の基準値を設定する。
冷却水温は、作動液の液圧上昇と相関のある指標値であり、冷却水温に応じて積算値の基準値が複数設定される場合には、より高精度に液圧上昇に係る判別を行うことが可能となる。
尚、この際、基準値設定手段は、例えば予め適合等のプロセスを経て例えばマップ等に記憶されてなる複数の基準値の中から、特定された冷却水温に対応する値を選択することにより基準値を設定する。或いは、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて与えられた冷却水温と液圧上昇との相関関係を反映して、その都度個別具体的な演算の結果として基準値を設定してもよい。
更にこの場合、前記基準値設定手段は、前記冷却水温が高い程小さくなるように前記基準値を決定してもよい。
冷却水温が高い程作動液の温度も高いと考えられ、また作動液の温度が高い程、液圧の上昇も早いから、このように基準値が設定された場合には、基準値を冷却水温に応じて的確に補正し得、積算値による液圧の判別精度を効果的に向上させることが可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、本発明に係るエンジンシステムの構成について説明する。ここに、図1はエンジンシステム10の模式図である。
図1において、エンジンシステム10は、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作を制御すると共に、本発明に係る「可変動弁装置の制御装置」の一例として機能するように構成された電子制御ユニットである。
エンジン200は、不図示の車両の動力源たるガソリンエンジンであり、本発明に係る「内燃機関」の一例である。以下に、エンジン200の要部構成について、その動作の一部を交えて説明する。
エンジン200は、シリンダブロック内にシリンダ201が4本直列に配置されてなる直列4気筒エンジンである。エンジン200は、各シリンダ内部において空気と燃料との混合気が燃焼するに際して生じる不図示のピストンの往復運動を、コネクティングロッド及びクランクシャフト(いずれも不図示)を介して回転運動に変換することが可能に構成されている。このクランクシャフトの回転位置は、ECU100と電気的に接続された不図示のクランクポジションセンサによって絶えず検出されており、所定の制御バスを介してECU100により常に把握され、後述するバルブタイミングや点火時期等の各種制御に供される構成となっている。
エンジン200が動作するに際し、外部から吸入された空気は、吸気管202に導かれ、エアクリーナ203によって浄化された後に、各気筒に連通する吸気マニホールド202aへ供給される。また、吸入された空気に係る吸入空気量は、エアクリーナ203の下流に位置するエアフローメータ204によって検出される。エアフローメータ204は、ECU100と電気的に接続されており、エアフローメータ204によって検出された吸入空気量は、ECU100により絶えず把握される構成となっている。
吸気管202には、スロットルバルブ205が設けられ、その開度に応じて吸気マニホールド202aに供給される吸入空気量が制御される構成となっている。スロットルバルブ205は、スロットルバルブモータ(不図示)等の電動アクチュエータにより駆動される電子制御式のスロットルバルブであり、ECU100と電気的に接続され、ECU100により、例えば不図司のアクセルペダルの開度に応じて或いはアクセルペダルの開度とは無関係にその開度が制御される構成となっている。また、スロットルバルブ205の開度たるスロットル開度は、スロットルバルブ205近傍に設けられたスロットル開度センサ206により検出される。スロットル開度センサ206は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたスロットル開度は、ECU100により常に把握される構成となっている。
シリンダ201内の燃焼室には、吸気マニホールド202aを介して供給される空気と、吸気マニホールド202aに連通する不図示の吸気ポートにおいて、例えば電子制御式のインジェクタ(図示は省略)等から噴射供給される燃料との混合気が、二個の吸気バルブ207を介して吸入される。この際、係る混合気は、吸気バルブ207の開弁時に燃焼室内へ供給される構成となっている。尚、係るインジェクタ等の燃料供給系は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその噴射量及び噴射時期(噴射クランク角)が制御される構成となっている。
燃焼室内部では、燃焼行程において点火プラグ208による点火動作により混合気が燃焼する。尚、点火プラグ208は、ECU100と電気的に接続されており(制御ラインは不図示)、ECU100によってその点火時期(点火クランク角)が制御されるように構成されている。燃焼室において燃焼済みとなった混合気は、不図示の排気ポートに連通する二個の排気バルブ209の開弁時に、排気として係る排気ポートに排出される。係る排気は、排気ポートに連通する排気マニホールド210a及び排気管210を介して排出される。
排気管210には、三元触媒211が設けられており、排気管210に排出された排気は、係る三元触媒211により浄化せしめられ、更に後段に設置される他の触媒装置により順次浄化せしめられた後に車外へ排出される構成となっている。また、エンジン200のシリンダブロック内に収容されるウォータジャケットには、冷却水が循環供給されており、係る冷却水の温度たる冷却水温Twは、水温センサ233によって検出され、水温センサ233と電気的に接続されたECU100によって絶えず把握される構成となっている。
吸気バルブ207は、不図示のシリンダヘッド上に回転可能に支持された吸気カムシャフト212(即ち、本発明に係る「吸気側カム軸」の一例)に、個々の吸気バルブ207に対応付けられて固定された吸気カム213によって、その開閉動作が制御される。
一方、排気バルブ209は、不図示のシリンダヘッド上に回転可能に支持された排気カムシャフト214(即ち、本発明に係る「排気側カム軸」の一例)に、個々の排気バルブ209に対応付けられて固定された排気カム215によって、その開閉動作が制御される。
ここで、本実施形態では特に、吸気側カムシャフト212の一方の端部付近にVVTコントローラ216が備わり、吸気バルブ207のバルブタイミングを可変に制御することが可能に構成されている。
ここで、図2を参照して、VVTコントローラ216の構成について説明する。ここに、図2は、VVTコントローラ216の、吸気カムシャフト212と直交する平面における模式断面図である。
図2において、VVTコントローラ216は、ハウジング217(即ち、本発明に係る「第1の回転体」の一例)とロータ218(即ち、本発明に係る「第2の回転体」の一例)とを備える。
ハウジング217は、紙面に垂直な方向へ伸長する吸気カムシャフト212の外周に回動可能に支持されたスプロケット(不図示)にボルト等で締め付けられることによって固定されている。この際、エンジン200におけるクランクシャフトの回転は、タイミングチェーン(不図示)を介してスプロケットとハウジング217に伝達されるため、スプロケット及びハウジング214は、クランクシャフトに同期して回転することが可能である。
吸気カムシャフト212は、エンジン200のシリンダヘッドとベアリングキャップにより回転可能に支持されている。ロータ218は、このように支持された吸気カムシャフト212の一方の端部においてストッパを介してボルトで締め付けられることによって固定されており、ハウジング217内に回動可能に収容されている。また、ハウジング217の内部には、複数の液室が形成されており、その各々が、ロータ218の外周部に形成されたベーン219によって、進角室220及び遅角室221に区画されている。尚、ロータ218に形成された複数のベーン219のうち一つには、ロック孔223が形成されている。ロック孔223の作用については後述する。
吸気カムシャフト212の外周部分には、遅角側流路部222が環状に形成されており、遅角室221の各々に不図示の液圧流路を介して連通している。また、吸気カムシャフト212の外周部には更に、進角側流路部(不図示)が、遅角側流路部222と同様環状に形成されており、進角室220の各々に不図示の液圧流路を介して連通している。
一方、VVTコントローラ216は、前述した遅角側流路部222及び進角側流路部等の液圧流路を含む液圧伝達系225(即ち、本発明に係る「供給手段」の一例)を備える。ここで、図3を参照して、液圧伝達系225について説明する。ここに、図3は、液圧伝達系225の模式図である。
図3において、液圧伝達系225は、スプリング227及びソレノイド228により駆動される液圧制御弁226を備える。液圧制御弁226は、その弁体の位置を、進角室220に液圧を伝達せしめる進角位置、遅角室221に液圧を伝達せしめる遅角位置並びに進角室220及び遅角室221の何れにも液圧を伝達させない非伝達位置のいずれかに切替えることが可能に構成される。尚、ソレノイド228は、不図示の駆動系を介してECU100と電気的に接続されており、ECU100の上位制御によって制御されるソレノイド電流に応じて、液圧制御弁226の弁体の位置を切替えることが可能に構成されている。
スプリング227は、液圧制御弁226を図示右方向に付勢する弾性部材である。ソレノイド228に電流が供給されない場合、液圧制御弁226は、スプリング227による付勢を受けて、図示するように遅角位置で停止するように構成されている。
液圧伝達系225は、ポンプ229を備える。ポンプ229は、エンジン200の動力によって作動するように構成されており、エンジン200における潤滑用のオイル(即ち、本発明に係る「作動液」の一例)の一部をオイルパン230から汲み上げて、VVTコントローラ216の各部に循環供給することが可能に構成されている。
このポンプ229によって循環供給されるオイルは、液圧制御弁226に接続された遅角側デリバリ231及び進角側デリバリ232を介して、更にはこれらに連通する前述した遅角側流路部222や進角側流路部等を介して夫々最終的に遅角室221及び進角室220に供給される構成となっている。
<実施形態の動作>
<VVTコントローラによるバルブタイミング制御>
VVTコントローラ216では、以下に説明する三種類の制御モードが実行される。
<保持モード>
図2において、液圧伝達系225を介して進角室220及び遅角221に所定値以上の液圧が加えられた状態で、液圧制御弁226の弁体が非伝達位置に制御されると、保持モードが作動する。保持モードでは、進角室220及び遅角室221における液圧が保持されるため、進角室220及び遅角室221双方の液圧によってベーン209は固定され、クランクシャフトの回転に伴うハウジング217の回転がオイルを介してロータ218及びベーン219に伝達される。従って、ロータ218に固定された吸気カムシャフト212は、クランクシャフトとの間で一定の回転位相差が保持された状態でロータ218と一体に回転駆動される。
<フィードバックモード>
進角室220及び遅角室221における液圧を変化させた場合、ベーン219は所定の可動範囲内で双方の液圧の度合いに応じて図示進角方向及び遅角方向に回動する。この際、ベーン219が形成されるロータ218もベーン219に伴って回動するため、結果的に吸気カムシャフト212の回転位相は、クランクシャフトの回転位相に対して変化し、即ち吸気カムシャフト212のクランクシャフトに対する回転位相差が変化し、吸気カムシャフト212に固定された吸気バルブ207のバルブタイミングが変化する。
ECU100は、フィードバックモード(以下、適宜「F/Bモード」と称する)において、その時点のエンジン200の運転条件に応じて吸気バルブ207のバルブタイミングの目標変位角を演算し、ソレノイド228を駆動する駆動系に対しフィードバック電流値に相当する信号を供給してソレノイド228を制御する。その結果、F/Bモードでは、吸気カムシャフト212の回転位相差が、所望の値にフィードバック的に収束する。
<強制最遅角モード>
エンジン200が機関停止状態にある期間或いは始動後暫時の期間については強制最遅角モードが実行される。ここで、図4を参照して、強制最遅角モードについて説明する。ここに、図4は、図2と同様のVVTコントローラ216の模式断面図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、VVTコントローラ216に供給されるオイルの液圧が、エンジン200の停止に伴ってベーン219の駆動に要する値以下まで低下した場合、フリクションによってベーン219は遅角側に回動し、吸気カムシャフト212の回転位相は徐々に遅角側に変化して最終的には最遅角状態(即ち、ベーン219が可動範囲の最も遅角側に位置する状態)となる。本実施形態では、ベーン219の位置を係る最遅角位置に強制的に固定するモードを強制最遅角モードと称することとする。
一方、ロック孔223が形成されたベーン219の最遅角位置に相当する部位には、ロックピン224がロック孔223に対し出没可能に構成されている。ロックピン224は、通常、コイルバネ(不図示)によってロック孔223の方向に付勢を受けており、ロック孔223に所定の解除液圧(ベーン219を回動せしめるのに要する液圧よりも高い)以上の液圧でオイルが供給され、液圧がコイルバネによる付勢に打ち勝つと、ベーン219の回動を阻害しない所定の収容孔に収容される構成となっている。従って、機関停止時にベーン219が最遅角位置で停止すると、コイルバネによる付勢を受けてロックピン224がロック孔223に嵌合し、ベーン219の回動が機械的に固定、即ちロックされる。
他方、ロック孔223へのオイルの供給経路は、遅角室221へのオイルの供給経路と共有されており、ロック孔223の液圧は、遅角室221の液圧と略等しく保たれている。従って、遅角室221の液圧がロック状態を解除し得る解除液圧以上となった合には、ロックピン224によるロックは解除され、物理的にはベーン219は回動可能、即ち、吸気バルブ207のバルブタイミングを可変に制御することは可能である。
ソレノイド228への通電がなされない場合、液圧制御弁226の弁体は遅角位置で停止するから、エンジン200の始動に伴ってオイルの液圧が上昇し、遅角室221の液圧が解除液圧以上に上昇すれば、ロックピン224に係るロック状態は解除され得るが、オイルの液圧がロック状態を解除するために必要な解除液圧以上となったか否かは、迅速且つ正確に検出する必要がある。即ち、ベーン219を可動せしめるのに要する液圧は解除液圧よりも低く、係る検出の精度が低い場合、ロックピン224が未だベーン219をロックしている状態で強制最遅角モードが解除されることによって、ロックピン224とベーン219との機械的又は物理的な軋轢が生じ、逆に解除液圧以上の液圧においてロック状態が解除されないといった事態が生じ得るのである。
このように、強制最遅角モードは、オイルの液圧がロックピン224に係るロック状態を解除し得る解除液圧以上となったことが明確となった場合に解除され、他の制御モードへ移行されるべきであり、結局は、VVTコントローラ216に係るバルブタイミング可変の効果を最大限に享受するためには、オイルの液圧が解除液圧以上となったか否かを高精度に且つ迅速に特定する必要がある。そこで、本実施形態では、ECU100が、吸気バルブタイミング制御処理を実行することによって、VVTコントローラ216を効率的に動作させることが可能となっている。
ここで、図5を参照して、吸気バルブタイミング制御処理の詳細について説明する。ここに、図5は、吸気バルブタイミング制御処理のフローチャートである。尚、係る制御は、エンジン200が始動した時点で実行されるものとする。
図5において、ECU100は始めに、機関回転数Ne(単位はrpm)の積算タイミングであるか否かを判別する(ステップA10)。本実施形態では、積算周期が64msecに設定されており、始動直後においては始動後経過時間が64msecであるかが、またそれ以降は、前回の積算タイミングから64msecが経過したか否かが判別される。
ECU100は、積算タイミングでは無い場合(ステップA10:NO)ステップA10に係る処理を繰り返すと共に、積算タイミングが訪れると(ステップA10:YES)、下記(1)式に従って、機関回転数Neの積算値enesumを算出する(ステップA11)。尚、機関回転数Neは、図1においては不図示である回転センサによって検出され、ECU100が制御バスを介して係る検出された回転数を取得する構成となっている。
enesum(n)=enesum(n−1)+Ne/60/1000×64…(1)
ここで、enesum(n)とは、n回目の演算結果であり、(1)式は、64msecの間にエンジン200が回転した回数を、64msec毎に前回の値に順次積算することを表す式である。
ECU100は、一回の積算処理が終了すると、水温センサ233から冷却水温Twを取得する(ステップA12)。冷却水温Twを取得すると、ECU100は更に、積算値の基準値t_neoilprを取得する(ステップA13)。この際、ECU100はROMに格納された基準値マップMP1を参照するように構成される。
ここで、図6を参照して、基準値マップMP1の詳細について説明する。ここに、図6は、基準値マップMP1の模式図である。
図6において、積算値の基準値t_neoilprは、オイルの液圧が前述した解除液圧以上であると見なし得る積算値の値を表したものであり、冷却水温Twが高い程液圧伝達系225におけるオイルの液圧の上昇速度が早くなることに鑑み、冷却水温Twが高い程小さく設定されている。尚、係る基準値t_neoilprの値は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、外気温や湿度といった環境条件やその他エンジン200を取り巻く各種条件が如何なるものであったとしても、オイルの液圧が少なくとも解除液圧を超える値として設定される。
ECU100は、取得した冷却水温Twに対応する値を、積算値の基準値t_neoilprとして取得する。尚、図6に示す基準値マップMP1は例示に過ぎず、実際には、実践上問題が顕在化しない程度の冷却水温Twの間隔毎に基準値t_neoilprが設定されている。また、基準値マップMP1に設定されていない冷却水温Twについては、相前後する冷却水温Twに対応する値が適宜補間されて基準値が設定される。
図5に戻り、基準値t_neoilprを取得すると、ECU100は、ステップA11に係る処理において算出された積算値enesumが係る取得した基準値t_neoilpr以上であるか否かを判別する(ステップA14)。
積算値enesumが基準値t_neoilpr未満である場合(ステップA14:NO)、ECU100は、VVTコントローラ216の制御モードを前述した強制最遅角モードに維持すると共に処理をステップA10に戻し、所定周期毎に機関回転数Neの積算値enesumを算出して一連の処理を繰り返す。
一方、積算値enesumが基準値t_neoilpr以上である場合(ステップA14:YES)、ECU100は、液圧伝達系225に係る液圧、より具体的にはロック孔223における液圧が解除液圧を超えたものとして、即ちロックピン224が収容孔に収容されベーン219の回動が可能となったものとして、VVTコントローラ216に係る目標変位角evvtを算出すると共に、係る目標変位角evvtがゼロであるか否かを判別する(ステップA15)。
目標変位角evvtがゼロである場合(ステップA15:YES)、吸気バルブ207のバルブタイミングを変化させる必要はないので、ECU100は、液圧制御弁226の弁体の位置が非伝達位置となるようにソレノイド228の電流値を制御し、VVTコントローラ216に係る制御モードを前述した保持モードに制御する(ステップA16)。VVTコントローラ216を保持モードに制御すると、ECU100は処理をステップA15に戻し、一連の処理を繰り返す。
目標変位角evvtがゼロではない場合(ステップA15:NO)、ECU100は、VVTコントローラ216に係る制御モードを前述したF/Bモードに制御し、吸気バルブ207のバルブタイミングを係る目標変位角evvtに応じて変化させる(ステップA17)。この際、ECU100は、吸気カムシャフト212が最終的に目標変位角に相当する量、クランクシャフトに対し進角側或いは遅角側に相対回動するように、ソレノイド228の制御電流をフィードバック制御し、液圧制御弁226の弁体の位置を、前述した遅角位置及び進角位置との間で適宜切替えつつ、ベーン219の位置を目標変位角evvtに対応する位置に収束させる。ステップA17に係る処理が実行されると、ECU100は、処理をステップA15に戻し、目標変位角evvtに基づいた、保持モード又はF/Bモードのいずれかの制御モードを実行する。
ここで、図7を参照して、本実施形態に係る吸気バルブタイミング制御処理に係る効果について説明する。ここに、図7は、吸気バルブタイミング制御処理に係るタイミングチャートである。
図7において、横軸は時刻であり、縦軸の系列には、夫々機関回転数Ne、積算値enesum、オイルの液圧及びVVTコントローラ216に係る制御モードが表されている。
時刻T1において、エンジン200が始動を開始し、始動期間において機関回転数Neが、機関回転数Ne1で安定した図示プロファイルNeprf1(実線)の如き経過を辿ったとする。この場合、積算値enesumの上昇特性は、図示Nesumprf1(実線)の如く推移する。また、機関回転数Neが、Neprf1よりも傾きが緩やかな、機関回転数Ne2(Ne1>Ne2)で安定した図示プロファイルNeprf2(破線)の如き経過を辿ったとする。この場合、積算値enesumの上昇特性は、同様にNesumprf1よりも傾きが緩やかな、図示Nesumprf2(破線)の如く推移する。
一方、オイルの液圧は、積算値enesumと同様の上昇特性を示し、積算値enesumの特性がNesumprf1の場合には図示実線の如く、また積算値enesumの特性がNesumprf2の場合には図示破線の如く夫々推移する。
従って、積算値enesumの基準値(ここではenesum1とする)を適切に設定することにより、オイルの液圧が所望の値(ここでは、Pthとする)に達した時刻(Nesumprf1の場合には図示時刻T2、Nesumprf2の場合には図示時刻T3)が、正確に検出される。
このため、本実施形態によれば、積算値enesumが基準値enesum1に達した時刻T2或いはT3において、VVTコントローラ216の制御モードを速やかに強制最遅角モードから保持又はF/Bモードに移行させることができ(図示実線或いは破線参照)、VVTコントローラ216による吸気バルブ207のバルブタイミングの制御機会を損失させることなく、効率的にエンジン200を動作せしめることが可能となるのである。
以上説明したように、本実施形態に係るエンジンシステム10によれば、エンジン200が始動した後のエンジン200の積算回転数enesumに基づいて、オイルの液圧が、VVTコントローラ216においてロックピン224に係るロック状態が解除され得る解除液圧に達したことを、正確且つ迅速に判別することが可能となる。従って、VVTコントローラ216に係るロック状態を、安全に且つ迅速に解除し得、効率的に吸気バルブ207のバルブタイミングを可変制御することが出来るのである。
尚、本実施形態では吸気カムシャフト212に対してVVTコントローラ216が設けられているが、無論本実施形態に係る効果はVVTコントローラ216或いはそれに準じる装置又は機構が排気カムシャフト214に作用するように構成されていても何ら変わりなく享受されるものである。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う可変動弁装置の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の一実施形態に係るエンジンシステムのブロック図である。 図1のエンジンシステムにおけるVVTコントローラの一部分の模式断面図である。 図1のエンジンシステムにおけるVVTコントローラに備わる液圧伝達系の模式図である。 VVTコントローラの一部分の他の模式図である。 ECU100が実行する吸気バルブタイミング制御処理のフローチャートである。 吸気バルブタイミング制御処理において参照される基準値マップの模式図である。 吸気バルブタイミング制御処理に係る効果を説明するタイミングチャートである。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、201…シリンダ、216…VVTコントローラ、217…ハウジング、218…ロータ、219…ベーン、220…進角室、221…遅角室、223…ロック孔、224…ロックピン、225…液圧伝達系、226…液圧制御弁、227…スプリング、228…ソレノイド。

Claims (5)

  1. 内燃機関に備わると共に(i)吸気側カム軸と排気側カム軸とのうち少なくとも一方における、クランク軸の回転位相に対する相対的な回転位相を、作動液の液圧に応じて変化させることが可能な回転位相可変手段、(ii)前記液圧に応じて駆動され、前記内燃機関の機関停止時に、前記回転位相可変手段の少なくとも一部を機械的に固定することにより前記相対的な回転位相を固定するロック状態を採り且つ前記内燃機関の機関始動時において前記液圧が所定値以上となった場合に前記ロック状態を解除することが可能に構成されたロック手段並びに(iii)前記回転位相可変手段及び前記ロック手段に対し前記内燃機関に係る動力を利用して前記作動液を供給することが可能な供給手段を含んでなる可変動弁装置を制御する、可変動弁装置の制御装置であって、
    前記内燃機関の機関回転数を特定する機関回転数特定手段と、
    前記特定された機関回転数に基づいて、前記液圧が所定値以上であるか否かを判別する判別手段と、
    前記液圧が所定値以上であると判別された場合に、前記回転位相可変手段を介して前記少なくとも一方における相対的な回転位相が前記内燃機関の機関運転条件に応じた値となるように前記供給手段を制御する制御手段と
    を具備することを特徴とする可変動弁装置の制御装置。
  2. 前記回転位相可変手段は、前記クランク軸と同期して回転する第1の回転体、前記第1の回転体と同軸に構成され、前記少なくとも一方に連結された第2の回転体、及び前記第1又は第2の回転体に設けられ、前記第1の回転体と前記第2の回転体との間に形成される液室を進角室と遅角室とに区画するベーンを含み、前記進角室及び遅角室に夫々供給される前記作動液の液圧に応じて前記相対的な回転位相を進角又は遅角させることが可能に構成されており、
    前記ロック手段は、前記ロック状態において前記ベーンの一部と係合又は嵌合することにより前記少なくとも一部として前記ベーンを機械的に固定し、
    前記供給手段は、前記進角室及び前記遅角室に夫々前記作動液を供給可能であり、
    前記制御手段は、前記少なくとも一方における相対的な回転位相が前記内燃機関の機関運転条件に応じた値となるように前記供給手段を介して前記進角室及び遅角室の各々における前記液圧を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の可変動弁装置の制御装置。
  3. 前記判別手段は、前記内燃機関の始動後における前記特定される機関回転数の積算値が基準値以上である場合に前記液圧が所定値以上であると判別する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の可変動弁装置の制御装置。
  4. 前記内燃機関における冷却水温を特定する冷却水温特定手段と、
    前記特定された冷却水温に基づいて前記積算値の基準値を設定する基準値設定手段と
    を更に具備する
    ことを特徴とする請求項3に記載の可変動弁装置の制御装置。
  5. 前記基準値設定手段は、前記冷却水温が高い程小さくなるように前記基準値を決定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の可変動弁装置の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009108736A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Toyota Motor Corp 可変動弁機構の制御装置
JP2015001216A (ja) * 2013-06-18 2015-01-05 本田技研工業株式会社 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2015169082A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 ダイハツ工業株式会社 内燃機関の制御装置

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