JP2007276015A - 工作機械のびびり振動抑制装置 - Google Patents

Abstract

【課題】重量増を招いたり、手間のかかる調整作業を行なうことなく、びびり振動を抑制できる工作機械のびびり振動抑制装置を提供する。
【解決手段】主軸頭６に取付けられた箱体２１と、該箱体２１内の前，後壁２１ａ，２１ｂ間に架け渡して配置された支持部材２２と、該支持部材２２に支持された弾性部材２７と錘２６とからなるダンパ２３とを備える。
【選択図】 図３

Description

本発明は、工具が装着された主軸と、該主軸を回転自在に支持する主軸頭とを備えた工作機械に関し、詳細にはワーク加工中に生じるびびり振動を抑制するようにしたびびり振動抑制装置に関する。

工作機械においては、ワーク加工中に発生するびびり振動によって、ワークの加工精度が悪化するおそれがある。このようなびびり振動を抑制するために、例えば、特許文献１では、球状，チップ状の金属粒からなる多数の固体微片が収容された容器を刃物の近傍の非回転部分に配置したものがある。
特開昭５６−１０２４４１号公報

ところで、上記従来装置のように、多数の固体微片が収容された容器を配置する構造とした場合には、固体微片による重量負担が大きくなり、また固体微片を増減させて調整するという手間のかかる作業となるという問題がある。

本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、重量増を招いたり、手間のかかる調整作業を行なうことなく、びびり振動を抑制できる工作機械のびびり振動抑制装置を提供することを目的としている。

請求項１の発明は、工具が装着された主軸を回転自在に支持する主軸頭を備えた工作機械の、加工中に生じるびびり振動を抑制するようにしたびびり振動抑制装置であって、上記主軸頭に取付けられた箱体と、該箱体内に配置された支持部材と、該支持部材に支持された弾性部材と錘とからなるダンパとを備えたことを特徴としている。

請求項２の発明は、請求項１において、上記支持部材は、上記箱体の互いに対向する壁間に架け渡して、かつ該支持部材の軸線が上記主軸頭の主軸軸線と平行になるよう配置されていることを特徴としている。

請求項３の発明は、請求項２において、上記ダンパは、上記錘の両面に上記弾性部材を配置固定してなり、該錘と上記支持部材との間に隙間を設けて該支持部材に固定されていることを特徴としている。

請求項４の発明は、請求項３において、上記ダンパは、上記支持部材に対する軸方向における取付け位置が調整可能となっていることを特徴としている。

請求項５の発明は、請求項１ないし４の何れかにおいて、上記箱体は、上記主軸頭の工具の反対側端面に配置されていることを特徴としている。

本発明に係るびびり振動抑制装置によれば、主軸頭に取付けられた箱体と、該箱体内に配置された支持部材と、該支持部材に弾性部材を介して支持された錘とを備えたので、ワーク加工中に生じるびびり振動は、支持部材から弾性部材を介して錘に伝わるが、該錘はその慣性が大きいことから振動しにくく、その結果びびり振動を吸収することができる。これにより、重量増を招いたり手間のかかる調整作業を行なうことなく、ワークの加工精度を高めることができる。

請求項２の発明では、支持部材をこれの軸線が主軸頭の主軸軸線に平行となるよう配置したので、工具のびびり振動の伝達方向に支持部材が略一致することとなり、びびり振動を弾性部材を介して錘に効率よく伝達することができる。

請求項３の発明では、弾性部材を錘を挟んだ両面に配置固定し、該錘と支持部材との間に隙間を設けたので、錘が支持部材に対してフリーとなり、びびり振動を効率よく吸収することかできる。

請求項４の発明では、弾性部材及び錘の支持部材に対する取付け位置を調整可能としたので、錘の位置をびびり振動の吸収効果の高い位置に調整することができ、より一層びびり振動吸収効果を高めることができる。

請求項５の発明では、箱体を主軸頭の工具の反対側端面に配置したので、びびり振動抑制装置を主軸頭の後側の空きスペースを有効利用して配置でき、振動抑制装置により加工領域が制限されることがない。

以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。

図１ないし図４は、本発明の一実施形態による工作機械のびびり振動抑制装置を説明するための図であり、図１は工作機械の斜視図、図２は主軸頭の側面図、図３，図４はびびり振動抑制装置の断面図，斜視図である。

図において、１は横型マシニングセンタを示している。該マシニングセンタ１のベッド２は、平面視で矩形状をなしており、該ベッド２の後端部に門形状のコラム３が起立させて配置固定されている。該ベッド２のコラム３の前側に加工テーブル４がＺ軸（前後）方向に移動可能に配置されている。上記コラム３の前面にサドル５がＸ軸（左右）方向に移動可能に配置され、該サドル５に主軸頭６がＹ軸（上下）方向に移動可能に配置されている。

上記加工テーブル４は、支持ベース４ａと該支持ベース４ａ上に配置されたワーク載置台４ｂとを有している。この支持ベース４ａは、上記ベッド２上に配置された左右一対のガイドレール７，７によりＺ軸方向に移動自在に支持されている。

上記サドル５は、矩形枠状に形成されており、上記コラム３の上端部及び下端部に配置された上下一対のガイドレール８，８によりＸ軸方向に移動自在に支持されている。

上記主軸頭６は、矩形状の主軸ベース９に軸心をＺ軸方向に向けて固定されている。この主軸ベース９は、上記サドル５の左，右縦辺部５ａ，５ａに配置された左右一対のガイドレール１０，１０によりＹ軸方向に移動自在に支持されている。上記主軸頭６は、概ね前側半部が主軸ベース９より前方に位置し、後側半部が後方に位置するよう支持されており、該後側半部はサドル５及びコラム３の開口内に位置している。

上記主軸頭６は、円筒状のものであり、該主軸頭６内には主軸１１が挿入配置されている。この主軸１１は、複数の軸受１２を介して主軸頭６により回転自在に支持されている。また上記主軸頭６内には主軸モータ１３が組み込まれており、該主軸モータ１３により主軸１１が回転駆動される。

上記主軸１１の前端部には回転工具Ｔを支持する工具ホルダ１４が着脱可能に装着されている。上記主軸１１の軸心には軸穴１１ａが形成され、該軸穴１１ａ内には上記工具ホルダ１４をクランプするドローバー１５及び皿ばね（不図示）からなるクランプ機構が配置されている。

上記主軸頭６の後端面６ａには、アンクランプ機構１６が配置されている。このアンクランプ機構１６は、上記主軸頭６の後端面６ａに締結固定された金属製カバー１７により覆われており、シリンダ部１６ａと、該シリンダ部１６ａに進退可能に挿入されたピストン部１６ｂと、該シリンダ部１６ａとピストン部１６ｂとで形成された油圧室１６ｃとを備えている。この油圧室１６ｃには油圧供給管１８が接続されている。該油圧供給管１８は、上記カバー１７を挿通して後方に配索され、油圧発生源（不図示）に接続されている。なお、本実施形態のアンクランプ機構１６及びカバー１７は主軸頭６の一部を構成している。

上記油圧室１６ｃに油圧供給管１８を介して油圧を供給することにより、ピストン部１６ｂが前進し、上記ドローバー１５をアンクランプ方向に移動させ、これにより工具ホルダ１４のクランプが解除される。上記油圧が解放されると、ピストン部１６ｂが後退し、ドローバー１５が皿ばねによりクランプ方向に移動し、工具ホルダ１４をクランプする。

上記横型マシニングセンタ１は、上記回転工具Ｔによるワーク加工中に生じるびびり振動を抑制するびびり振動抑制装置２０を備えている。このびびり振動抑制装置２０は、上記主軸頭６の一部を構成するカバー１７に取付けられた金属製箱体２１と、該箱体２１内の互いに対向する前，後壁２１ａ，２１ｂ間に架け渡して配置されたボルトからなる左右一対の支持部材２２，２２と、各支持部材２２により懸吊支持されたダンパ２３とを備えている。

上記箱体２１は、底面が下方に開口する略直方体状のものであり、これの前壁２１ａが複数のボルト２４により上記主軸頭６の回転工具Ｔの反対側に配置された上記カバー１７の後壁部１７ａに締結固定されている。上記箱体２１は、これの上部がカバー１７の上面より上方に突出するように配置されている。

上記左，右の支持部材２２は、上記箱体２１の前，後壁２１ａ，２１ｂの上記カバー１７から上方に突出する部分を貫通するよう挿入されており、ナット２５，２５により箱体２１に固定されている。これにより上記各支持部材２２は、これの軸線Ｂが上記主軸頭６の主軸軸線Ａと平行で、該主軸軸線Ａに対して左，右対称をなし、かつ該主軸軸線Ａより高所に位置するよう配置されている。

上記ダンパ２３は、矩形ブロック状のものであり、錘２６と、該錘２６の両主面に固着されたゴムプレート製の一対の弾性部材２７，２７とを有している。上記ダンパ２３の下部には、上述の油圧供給管１８との干渉を回避するための逃げ凹部２３ａが形成されており、該油圧供給管１８は、逃げ凹部２３ａを通って箱体２１の下端開口から後方に延びている。

上記錘２６及び各弾性部材２７の左，右上部には、挿通穴２７ａ，２６ａが同軸をなすよう形成されており、この左，右の挿通穴２７ａ，２６ａに支持部材２２が挿通されている。これによりダンパ２３は、支持部材２２の軸方向に対する取付け位置が調整可能となっている。

上記弾性部材２７の挿通穴２７ａは、上記支持部材２２の外周面に当接可能な大きさとなっている。一方、上記錘２６の挿通穴２６ａは、支持部材２２より大径に形成され、これにより該支持部材２２と挿通穴２６ａとの間には所定の隙間ｓが設けられている。

上記各支持部材２２には一対のダブルナット３０，３０が螺装されており、各ダブルナット３０で弾性部材２７を締め付けることにより、上記ダンパ２３は支持部材２２の軸方向中央部に固定されている。

ワークが載置固定された加工テーブル４をＺ軸方向に、サドル５をＸ軸方向に、主軸頭６をＹ軸方向にそれぞれ相対移動させつつ、回転工具Ｔにより所定のワーク加工が施される。この場合、回転工具Ｔによるワーク加工中に該回転工具Ｔにびびり振動が発生するおそれがあった。

これに対して本実施形態のびびり振動抑制装置２０によれば、主軸頭６にボルト締め固定された箱体２１と、該箱体２１内の互いに対向する前，後壁２１ａ，２１ｂ間に架け渡して締結固定された一対の支持部材２２，２２と、該支持部材２２に支持された弾性部材２７及び錘２６からなるダンパ２３とを備えたので、回転工具Ｔに生じるびびり振動は、支持部材２２から弾性部材２７を介して錘２６に伝わることとなるが、該錘２６はその慣性が大きいため動きにくいことから、該錘２６によって吸収されることとなる。これにより、重量増を招いたり手間のかかる調整作業を行なうことなく、ワークの加工精度を高めることができる。

本実施形態では、上記振動抑制装置２０を主軸頭６の工具Ｔの反対側のカバー１７の後壁部１７ａに配置したので、主軸頭６の後側の空きスペースを有効利用でき、回転工具Ｔの加工領域を制限することがない。

本実施形態では、支持部材２２をこれの軸線Ｂが主軸頭６の主軸軸線Ａに平行となるよう配置したので、回転工具Ｔのびびり振動の伝達方向に支持部材２２が略一致することとなり、びびり振動を弾性部材２７を介して錘２６に効率よく伝達することができる。

本実施形態では、ダンパ２３を、錘２６の両面に弾性部材２７を貼着したものとし、該ダンパ２３を、支持部材２２と錘２６との間に隙間ｓを設けて該支持部材２２に固定したので、びびり振動を効率よく吸収することかできる。

またダンパ２３の支持部材２２に対する取付け位置を調整可能としたので、びびり振動の吸収効果の高い位置に調整することができ、より一層びびり振動抑制効果を高めることができる。

なお、上記実施形態では、錘２６の両主面に弾性部材２７，２７を貼着し、各弾性部材２７を支持部材２２に該支持部材２２と錘２６との間に隙間ｓを設けて固定した場合を説明したが、本発明では、例えば図５に示すように、錘２６′に穴２６ｂを形成し、該穴２６ｂ内に弾性部材２７′を挿入して固着し、該弾性部材２７′の軸心部に支持部材２２を挿入することにより、該支持部材２２により弾性部材２７′を介して錘２６′を支持するようにしてもよい。この場合にも上記実施形態と略同様の効果が得られる。

本発明の一実施形態による工作機械の斜視図である。 上記工作機械の主軸頭の側面図である。 上記主軸頭に配置されたびびり振動抑制装置の断面図である。 上記びびり振動抑制装置の斜視図である。 上記実施形態の変形例によるびびり振動抑制装置の断面図である。

符号の説明

１ 横型マシニングセンタ（工作機械）
６ 主軸頭
１１ 主軸
２０ びびり振動抑制装置
２１ 箱体
２１ａ 前壁
２１ｂ 後壁
２２ 支持部材
２３ ダンパ
２６ 錘
２７ 弾性部材
Ａ 主軸軸線
Ｂ 支持部材の軸線
Ｔ 工具
ｓ 隙間

Claims (5)

1. 工具が装着された主軸を回転自在に支持する主軸頭を備えた工作機械の、加工中に生じるびびり振動を抑制するようにしたびびり振動抑制装置であって、上記主軸頭に取付けられた箱体と、該箱体内に配置された支持部材と、該支持部材に支持された弾性部材と錘とからなるダンパとを備えたことを特徴とする工作機械のびびり振動抑制装置。
2. 請求項１において、上記支持部材は、上記箱体の互いに対向する壁間に架け渡して、かつ該支持部材の軸線が上記主軸頭の主軸軸線と平行になるよう配置されていることを特徴とする工作機械のびびり振動抑制装置。
3. 請求項２において、上記ダンパは、上記錘の両面に上記弾性部材を配置固定してなり、該錘と上記支持部材との間に隙間を設けて該支持部材に固定されていることを特徴とする工作機械のびびり振動抑制装置。
4. 請求項３において、上記ダンパは、上記支持部材に対する軸方向における取付け位置が調整可能となっていることを特徴とする工作機械のびびり振動抑制装置。
5. 請求項１ないし４の何れかにおいて、上記箱体は、上記主軸頭の工具の反対側端面に配置されていることを特徴とする工作機械のびびり振動抑制装置。

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