JP2007273725A - 磁性体およびその製造方法、ならびに巻線コイルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻線コイルに備えるフェライトコアを構成する磁性体であって、高周波特性の優れたものを提供する。
【解決手段】主成分としてFe、NiO、CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBiを含む、フェライトを含み、かつ、SiO−EO−AO系ガラス(Eは、Ba、Sr、Caおよび/またはMg。Aは、Li、Naおよび/またはK。)を、フェライト100重量部に対して、1.5〜3.0重量部含むとともに、コバルト酸化物を、フェライト100重量部に対して、Coに換算して0.1〜0.7重量部含む、磁性体。この磁性体は、巻線コイル1に備えるフェライトコア2の材料として有利に用いられる。
【選択図】図1

Description

この発明は、磁性体およびその製造方法、ならびに巻線コイルおよびその製造方法に関するもので、特に、高周波用途に適した磁性体およびその製造方法、ならびに上記磁性体を用いた巻線コイルおよびその製造方法に関するものである。
106010
この発明にとって興味ある技術として、たとえば特開2000−164417号公報(特許文献1)に記載されたものがある。特許文献1には、フェライトと、焼結助剤としてのガラスとを含む、磁性体であって、ガラスにはホウ素が含まれないことを特徴とするものが記載されている。このように、フェライトにガラスを添加することにより、磁性体を得るための焼成工程において、低温での焼結が可能となるとともに、磁性体の高周波特性を優れたものとすることができるとされている。また、ガラスとして、ホウ素を含まないものを用いることにより、磁性体と接する導体のマイグレーションを抑制することができる。
しかしながら、上記特許文献1に記載の磁性体は、優れた高周波特性が得られるとされているが、たとえばQの周波数特性に関して、100MHzといった高周波域にまで高いQが必ずしも得られるとは限らない。より具体的には、Qがピークとなる周波数がそれほど高くなく、また、Qのピークもそれほど高くない。
他方、この発明にとって興味ある他の技術として、特開平10−163017号公報(特許文献2)に記載されたものがある。特許文献2には、NiCuZn系フェライトに、B―Bi―ZnO系ガラスを添加するとともに、コバルト酸化物を添加することが記載されている。このように、NiCuZn系フェライトにコバルト酸化物を添加すれば、高周波特性が向上するとされている。より具体的には、その段落「0018」には、特にCoについては、3.0wt%以下が好ましいと記載されている。
しかしながら、上記特許文献2に記載の磁性体には、ホウ素を含むガラスが添加されているので、この磁性体を得るために作製されるスラリーの粘度が上昇しやすく、かつゲル化の兆候を見せやすいため、スラリーの粘度安定性が低いとともに、ガラスがビスマスを含むため、磁性体上に形成された導体膜に対してめっきを施そうとする場合、磁性体表面上の、導体膜以外の部分において、不所望なめっき成長を引き起こすことがある。
特開2000−164417号公報 特開平10−163017号公報
そこで、この発明の目的は、上述したような問題を解決し得る、磁性体およびその製造方法、ならびにこの磁性体を用いた巻線コイルおよびその製造方法を提供しようとすることである。
この発明は、まず、磁性体に向けられる。この発明に係る磁性体は、上述した技術的課題を解決するため、主成分としてFe、NiO、CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBiを含む、NiCuZn系フェライトと、SiO−EO−AO系ガラス(Eは、Ba、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種。Aは、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種。)と、コバルト酸化物とを含み、上記ガラスは、フェライト100重量部に対して、1.5〜3.0重量部含むとともに、上記コバルト酸化物は、フェライト100重量部に対して、Coに換算して0.1〜0.7重量部含むことを特徴としている。
上記ガラスは、その軟化点が750℃以下のものであることが好ましい。
また、ガラスは、ホウ素およびビスマスのいずれをも含まないものであることが好ましい。
この発明は、また、フェライトコアと巻線とを備える、巻線コイルにも向けられる。この発明に係る巻線コイルでは、上記フェライトコアが、この発明に係る磁性体をもって構成されていることを特徴としている。
この発明は、また、磁性体の製造方法にも向けられる。この発明に係る磁性体の製造方法は、主成分としてFe、NiO、CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBiを含む、NiCuZn系フェライト原料粉末を準備する工程と、SiO−EO−AO系ガラス粉末(Eは、Ba、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種。Aは、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種。)を準備する工程と、コバルト酸化物粉末を準備する工程とを備えるとともに、上記フェライト原料粉末に、上記ガラス粉末を、フェライト原料粉末100重量部に対して、1.5〜3.0重量部混合するとともに、上記コバルト酸化物粉末を、フェライト原料粉末100重量部に対して、Coに換算して0.1〜0.7重量部混合して、混合粉末を得る工程と、混合粉末を焼成する工程とを備えることを特徴としている。
この発明は、さらに、巻線コイルの製造方法にも向けられる。この発明に係る巻線コイルの製造方法は、主成分としてFe、NiO、CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBiを含む、NiCuZn系フェライト原料粉末を準備する工程と、SiO−EO−AO系ガラス粉末(Eは、Ba、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種。Aは、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種。)を準備する工程と、コバルト酸化物粉末を準備する工程とを備えるとともに、上記フェライト原料粉末に、上記ガラス粉末を、フェライト原料粉末100重量部に対して、0.5〜3.0重量部混合するとともに、上記コバルト酸化物粉末を、フェライト原料粉末100重量部に対して、Coに換算して0.1〜0.7重量部混合して、混合粉末を得る工程と、混合粉末を造粒して、造粒粉末を得る工程と、造粒粉末を成形して、所定形状の成形体を得る工程と、成形体を焼成して、焼結体としてのフェライトコアを得る工程と、フェライトコアに巻線を施す工程とを備えることを特徴としている。
この発明に係る磁性体によれば、副成分としてBiを含む、NiCuZn系フェライトに対して、SiO−EO−AO系ガラスが添加されているので、この磁性体を得るための焼成工程において、比較的低温での焼結が可能である。
また、この発明に係る磁性体は、コバルト酸化物を含んでいる。コバルト酸化物の添加は、Qを高くするように作用するが、初透磁率(μ)を低くし、かつ温度特性を悪化させる。この発明に係る磁性体では、コバルト酸化物に加えて、上述したように、ガラスを複合添加しているので、温度特性を良好に維持したまま、高いQを与えることができる。また、このような複合添加によって、比抵抗を下げることなく、所望の初透磁率を得ることができる。
このようなことから、この発明に係る磁性体は、高周波領域で用いられる巻線コイルのようなインダクタにおいて有利に適用されることができる。
この発明に係る磁性体において、ガラスとして、その軟化点が750℃以下のものが用いられると、比較的低温での焼成によっても、焼結体としての磁性体をより緻密なものとすることができる。
この発明に係る磁性体において、ガラスが、ホウ素およびビスマスのいずれをも含まないものであると、磁性体を得るためのスラリーのゲル化を防ぎ、粘度上昇などの磁性体の製造時の不安定要素を除くことができるとともに、フェライトにおいてビスマスを含んでいても、不所望なめっき成長発生因子を除去あるいは低減することができる。
この発明に係る磁性体は、高周波領域用として適したものであるので、初透磁率の値が比較的小さいが、積層体にコイル導体を内蔵する積層コイルにおいて積層体を構成するために用いられるより、フェライトコアと巻線とを備える巻線コイルにおいてフェライトコアを構成するために用いられる方が、製品として高いインダクタンス値を取得することができる。したがって、この発明に係る磁性体は、巻線コイル用のフェライトコアにおいて用いられることがより好ましい。
また、この発明に係る磁性体は、前述したように、ガラスが添加されたものであるので、材料強度が向上している。したがって、異型であり、そのため、外部からの応力に弱い巻線コイル用のフェライトコアにおいて用いることがより好ましい。
図1は、この発明に係る磁性体が有利に適用される巻線コイルの一例を一部断面で示す正面図である。
図1に示した巻線コイル1は、特開平10−321438号公報に開示されるものである。この巻線コイル1は、表面実装可能なもので、フェライトコア2と巻線3とコーティング材4とを備えている。
フェライトコア2は、巻線部5とこの巻線部5の各端部にそれぞれ設けられたフランジ状脚部6および7とを形成しており、いわゆる横置きタイプのものである。フランジ状脚部6および7の各下端側には、端子電極8および9がそれぞれ設けられている。
巻線3は、フェライトコア2の巻線部5上に巻回される。巻線3の各終端部10および11は、それぞれ、前述の端子電極8および9に電気的に接続される。
コーティング材4は、樹脂からなるもので、フェライトコア2の上面側を、巻線3の対応の部分とともに覆うように付与されている。
このような巻線コイル1において、フェライトコア2が、この発明に係る磁性体をもって構成される。
この発明に係る磁性体は、前述したように、主成分としてFe、NiO、CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBiを含む、NiCuZn系フェライトを含み、かつSiO−EO−AO系ガラス(Eは、Ba、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種。Aは、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種。)を、フェライト100重量部に対して、1.5〜3.0重量部含むとともに、コバルト酸化物粉末を、フェライト100重量部に対して、Coに換算して0.1〜0.7重量部含むことを特徴としている。
上述したNiCuZn系フェライトは、より具体的な好ましい実施態様では、次のような組成とされる。すなわち、主成分の組成は、Feを45.5〜47.5モル%、NiOを37.5〜41.5モル%、CuOを10.0〜13.0モル%、およびZnOを4モル%以下含むようにされ、この主成分100重量部に対して、副成分としてのBiを0.1〜0.75重量部含むようにされる。
このような磁性体をフェライトコア2の材料として用いることにより、巻線コイル1にとって必要な初透磁率μ(すなわち、100MHzにおいて、μ≧8)を確保しつつ、100MHzでのQが50以上、Qピーク周波数が70MHz以上、比抵抗ρ[Ω・cm]がlogρで8以上(比抵抗ρが10Ω・cm以上)、インダクタンス値の温度変化率について、20〜125℃の温度範囲で14%以下、−25〜20℃の温度範囲で−6%以上(絶対値で6%以下)といった電気的特性を満足させることができる。
この発明に係る磁性体に含まれる前述のガラスは、その軟化点が750℃以下のものであることが好ましい。これによって、比較的低温での焼成によっても、焼結体としての磁性体を緻密なものとすることができる。
ガラスは、磁性体を得るためのスラリーの粘度の上昇およびスラリーのゲル化の原因となるホウ素を含まないことが好ましい。また、ガラスは、不所望なめっき成長発生因子となるビスマスをできる限り抑えるために、ビスマスを含まないものであることが好ましい。なお、ガラスにビスマスが含まれる場合、フェライトの副成分として含まれるビスマスとガラス成分として含まれるビスマスとは、焼結体をWDXマッピング分析した際、互いに異なる位置に現れる。ガラス成分として含まれるビスマスは、WDXマッピング分析において、他のガラス成分の存在する位置に重なるように現れるが、フェライトの副成分として含まれるビスマスは、ガラス成分としてビスマスが含まれていた場合と比較して相対的異なる位置に現れる。
図1に示した巻線コイル1は、次のようにして製造される。
まず、主成分として、Fe、NiO、CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBiを含む、NiCuZn系フェライト原料粉末、SiO−EO−AO系ガラス粉末ならびにコバルト酸化物粉末がそれぞれ準備される。
次に、上記フェライト原料粉末に、上記ガラス粉末を、フェライト原料粉末100重量部に対して、1.5〜3,0重量部混合するとともに、上記コバルト酸化物粉末を、フェライト原料粉末100重量部に対して、Coに換算して0.1〜0.7重量部混合して、混合粉末を得る工程が実施される。
次に、上記混合粉末を造粒して、造粒粉末を得、この造粒粉末を成形して、フェライトコア2の形状を有する成形体を作製する。そして、この成形体を焼成すれば、焼結体としてフェライトコア2が得られる。
このようにして得られたフェライトコア2に、端子電極8および9が設けられる。そして、フェライトコア2に巻線3を施し、巻線3の終端部10および11を、それぞれ、端子電極8および9に電気的に接続し、さらに、コーティング材4を形成すれば、巻線コイル1が完成される。
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
この実験例では、コバルト酸化物として、Coを用い、ガラスとして、BおよびBiのいずれをも含まないSiO−BaO−LiO系ガラスを用いた。そして、このガラスとして、後述する実験例3の場合を除いて、軟化点750℃のものを用いた。
(実験例1)
実験例1では、NiCuZn系フェライト原料粉末として、主成分が、47.5モル%のFe、1.0モル%のZnO、39.5モル%のNiOおよび12.0モル%のCuOからなり、副成分として、主成分100重量部に対して、0.25重量部のBiを含む、フェライト仮焼原料粉末を準備した。
このフェライト仮焼原料粉末100重量部に対して、表1の「Co」および「ガラス」の欄に示すような添加量をもって、Co粉末およびガラス粉末を複合添加し、アトライターで湿式混合粉砕を行ない、次いで、スプレードライヤーによって造粒粉末を作製した。
次に、得られた造粒粉末を用いて、外径20mm、内径10mmおよび厚み1.5mmの円形トロイダルコア形状の成形体、ならびに直径7.2mmおよび厚み1.2mmの円板形状の成形体をそれぞれプレス成形し、945℃の温度で60分間焼成して、焼結体としての磁性体からなる円形トロイダルコアおよび円板を得た。後述するように、円形トロイダルコアは、インダクタンス、Qおよびインダクタンス温度特性測定用として用いられ、円板は、比抵抗測定用として用いられるものである。
次に、上記円形トロイダルコアに軟銅線を3ターン巻き、インピーダンスアナライザーで100MHzでのインダクタンス(L)およびQを測定した。また、この測定されたL値から初透磁率(μ)を算出した。
また、円形トロイダルコアに軟銅線を40ターン巻き、そのリングを恒温槽に設置した。恒温槽内の温度を変化させ、所定の温度における10kHzでのL値をLCRメーターで測定した。−25℃、20℃および125℃での各L値から、以下の式を用いて、L温度変化率を算出し、これをL温度特性とした。
L温度変化率[%]=(L−L20)/L20×100
上記式において、Lは、t℃におけるL値であり、L20は、20℃におけるL値である。
また、上記円板に、1対の対向電極を形成し、これら電極間に50V(DC)を印加してハイレジスタンスメーターにて絶縁抵抗を測定し、比抵抗(ρ)を算出した。そして、logρを求めた。
以上のようにして求められた初透磁率(μ)、Q、Qピーク周波数、L温度特性およびlogρが表1に示されている。
Figure 2007273725
表1において、試料番号に*を付したものは、この発明の範囲外の比較例である。
この発明の範囲内にある試料3、6〜8、11および12によれば、μが8以上、Qが50以上、Qピーク周波数70MHz以上、L温度特性について、20〜125℃の温度範囲で14%以下、−25〜20℃の温度範囲で−6%以上(絶対値で6%以下)、ρ[Ω・cm]がlogρで8以上といった特性が得られている。
この発明の範囲内の試料3と比較例としての試料1および2とから、ガラスの単独添加では、Qまたはlogρについて上記のような特性が得られないことがわかり、また、この発明の範囲内の試料11と比較例としての試料4および10とから、Coの単独添加では、L温度特性について上記のような特性が得られないことがわかる。よって、所望の特性を得るには、ガラスおよびCoの複合添加しかないことがわかる。
次に、この発明の範囲内にある試料6、7および8と比較例としての試料4、5および9とから、ガラスの添加量が1.5重量部以上であると、Coの添加との組み合わせで、所望の特性を得ることができるが、ガラスの添加量が1.5重量部未満であると、L温度特性が悪化することがわかる。他方、ガラスの添加量が3.0重量部を超えると、logρが低下することがわかる。これらのことから、ガラスの添加量は、1.5〜3.0重量部に選ばれなければならないと言える。
この発明の範囲内の試料3、11および12と比較例としての試料10および13とから、Coの添加量が0.7重量部を超えると、ガラスの添加量の増減によらず、L温度特性が悪化することがわかる。他方、前述したように、この発明の範囲内の試料3と比較例としての試料1および2とから、ガラスの単独添加では、Qまたはlogρについて望ましい特性が得られず、Coが少なくとも0.1重量部添加されなければならないことがわかる。よって、Coの添加量は0.1〜0.7重量部に選ばれなければならないと言える。
図2に、この発明の範囲内にある試料の代表例としての試料7についてのQの周波数特性が示されている。
(実験例2)
実験例2では、NiCuZn系フェライト原料粉末として、主成分が、46.5モル%のFe、3.0モル%のZnO、38.5モル%のNiOおよび12.0モル%のCuOからなり、副成分として、主成分100重量部に対して、0.25重量部のBiを含む、フェライト仮焼原料粉末を準備した。
このフェライト仮焼原料粉末100重量部に対して、表2の「Co」および「ガラス」の欄に示すような添加量をもって、Co粉末およびガラス粉末を複合添加し、以後、実験例1の場合と同様の操作を経て、試料となる円形トロイダルコアおよび円板を作製し、実験例1の場合と同様の方法によって、特性を評価した。実験例2における特性の評価結果が表2に示されている。
Figure 2007273725
表2において、試料番号に*を付したものは、この発明の範囲外の比較例である。また、実験例1における表1に示した試料1〜13は、「Co」および「ガラス」の各添加量に関して、表2の試料21〜33にそれぞれ対応している。
表2と前掲の表1とを比較すればわかるように、この実験例2においても、Coおよびガラスの複合添加による効果に関して、実験例1の場合と同様の傾向が現れている。
(実験例3)
実験例3では、添加されるガラスの軟化点が及ぼす影響を調査した。
実験例1では、軟化点750℃のガラスを用いたが、実験例3では、ガラス中のSiO含有量を変えることによって、表3の「ガラス軟化点」に示すように、軟化点が640℃、750℃および800℃にそれぞれ調整されたガラスを準備した。また、焼成工程では、表3に示すように、915℃、945℃および960℃の3種類の温度での焼成を実施した。その他の点については、実験例1における試料7の場合と同様の操作を経て、焼結体としての円形トロイダルコアを作製し、表3に示すように、その密度および吸水率を評価した。
なお、密度および吸水率は、次のように求めた。アルキメデス法により、焼結体の乾燥重量、水中重量および飽水重量をそれぞれ測定し、これらから、密度および吸水率を算出した。上記水中重量および飽水重量については、乾燥重量測定後に焼結体を水中に入れて2時間煮沸した後に測定した。
Figure 2007273725
表3から、軟化点が800℃のガラスを用いた試料47〜49では、軟化点が750℃以下のガラスを用いた試料41〜46に比べて、密度が比較的低く、かつ吸水が生じているのがわかる。特に、試料49に注目すれば、焼成温度を960℃と高くしても、吸水が生じていることがわかる。これに対して、軟化点が750℃以下のガラスを用いた試料41〜46では、吸水が生じておらず、焼成温度が915℃と低い試料41および44であっても、吸水率が0%となっている。
以上のような結果から、ガラスの軟化点は750℃以下であることが好ましく、特に、低温焼成を可能とするためには、ガラスの軟化点は750℃以下とされることが好ましいことがわかる。
この発明に係る磁性体が有利に適用される巻線コイルの一例を一部断面で示す正面図である。 実験例1において作製した試料7についてのQの周波数特性を示す図である。
符号の説明
1 巻線コイル
2 フェライトコア
3 巻線

Claims (6)

  1. 主成分としてFe、NiO、CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBiを含む、NiCuZn系フェライトを含み、かつ、
    SiO−EO−AO系ガラス(Eは、Ba、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種。Aは、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種。)を、前記フェライト100重量部に対して、1.5〜3.0重量部含むとともに、
    コバルト酸化物を、前記フェライト100重量部に対して、Coに換算して0.1〜0.7重量部含む、
    磁性体。
  2. 前記ガラスは、その軟化点が750℃以下のものである、請求項1に記載の磁性体。
  3. 前記ガラスは、ホウ素およびビスマスのいずれをも含まないものである、請求項1または2に記載の磁性体。
  4. フェライトコアと巻線とを備え、
    前記フェライトコアは、請求項1ないし3のいずれかに記載の磁性体をもって構成されている、
    巻線コイル。
  5. 主成分としてFe、NiO、CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBiを含む、NiCuZn系フェライト原料粉末を準備する工程と、
    SiO−EO−AO系ガラス粉末(Eは、Ba、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種。Aは、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種。)を準備する工程と、
    コバルト酸化物粉末を準備する工程と、
    前記フェライト原料粉末に、前記ガラス粉末を、前記フェライト原料粉末100重量部に対して、1.5〜3.0重量部混合するとともに、前記コバルト酸化物粉末を、前記フェライト原料粉末100重量部に対して、Coに換算して0.1〜0.7重量部混合して、混合粉末を得る工程と、
    前記混合粉末を焼成する工程と
    を備える、磁性体の製造方法。
  6. 主成分としてFe、NiO、CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBiを含む、NiCuZn系フェライト原料粉末を準備する工程と、
    SiO−EO−AO系ガラス粉末(Eは、Ba、Sr、CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種。Aは、Li、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種。)を準備する工程と、
    コバルト酸化物粉末を準備する工程と、
    前記フェライト原料粉末に、前記ガラス粉末を、前記フェライト原料粉末100重量部に対して、1.5〜3.0重量部混合するとともに、前記コバルト酸化物粉末を、前記フェライト原料粉末100重量部に対して、Coに換算して0.1〜0.7重量部混合して、混合粉末を得る工程と、
    前記混合粉末を造粒して、造粒粉末を得る工程と、
    前記造粒粉末を成形して、所定形状の成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼成して、焼結体としてのフェライトコアを得る工程と、
    前記フェライトコアに巻線を施す工程と
    を備える、巻線コイルの製造方法。
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