JP2007273376A - 弁の加熱システム及び弁の加熱装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水素が貯蔵された水素タンク10から、水素の流通を遮断する遮断弁20を介して、水素を消費する燃料電池110に、水素が供給されるアノード系において、遮断弁20を加熱する加熱システムであって、遮断弁20を加熱する加熱手段70と、燃料電池110が水素を消費したことに対応する実測出力電流A1に基づいて、加熱手段70の加熱量を制御するECU90と、を備えた遮断弁の加熱システムである。
【選択図】図1
Description
そうすると、遮断弁に内蔵されるOリング等のシール部材も冷却されて低温になり、硬くなる。よって、シール部材が低温の状態で、閉弁指令を受けて遮断弁が閉弁しても、そのシール性が低下しているため、遮断弁が完全に閉じていないおそれがある。
そこで、本発明は、燃料ガス貯蔵容器と燃料ガス消費機器との間に配置される弁の作動性を確保可能とする弁の加熱システム、及び、弁の加熱装置の制御方法を提供することを課題とする。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池システム1は、燃料電池110(燃料ガス消費機器)と、燃料電池110のアノードに対して水素(燃料ガス)を供給及び排出するアノード系(燃料ガス供給系)と、燃料電池110のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス)を供給及び排出するカソード系と、燃料電池110の発電電力を消費する電力消費系と、アノード系の後記する遮断弁20を適宜に加熱する加熱手段70と、温度センサ81と、これらを電子制御するECU90(Electronic Control Unit、電子制御装置)と、を主に備えている。
因みに、燃料電池システム1は、燃料電池自動車(図示しない)に搭載されており、この燃料電池自動車は後記する走行モータ61を動力源として走行するようになっている。
燃料電池110(燃料電池スタック)は、単セルが複数積層されることによって構成された固体高分子型燃料電池であって、水素(燃料ガス)及び酸素を含む空気(酸化剤ガス)を消費することで発電するようになっている。
単セルは、電解質膜(固体高分子膜)の両面をアノード(燃料極)及びカソード(空気極)で挟んでなるMEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、MEAを挟む一対のセパレータと、を主に備えている。各セパレータには、各単セルを構成するMEAの全面に水素又は酸素を供給するための溝や、全単セルに水素、酸素を導くための貫通孔等が形成されており、これら溝等がアノード流路111、カソード流路112として機能している。
アノード系は、燃料電池110に供給される水素が高圧で貯蔵された水素タンク10(水素貯蔵容器)と、遮断弁20と、減圧弁121と、エゼクタ122と、パージ弁123とを主に備えている。そして、水素タンク10から下流側に向かって、遮断弁20と、配管121aと、減圧弁121と、配管121bと、エゼクタ122と、配管122aと、アノード流路111とが順に接続されており、ECU90によって遮断弁20が開かれると、減圧弁121で所定圧力に減圧された水素が、アノード流路111に供給されるようになっている。
次に、水素タンク10と遮断弁20の具体的構成について、図2から図4を参照して説明する。
なお、図2は、本実施形態に係る遮断弁が取り付けられた水素タンクの平面図であり、図3は、図2の遮断弁及び水素タンクのX1−X1線断面図である。図4は、同X2−X2線断面図である。また、図3は、ソレノイド56がOFFされ、圧縮コイルバネ54(リターンスプリング)によってプランジャ51が閉方向(図3の上向き)に付勢され、シール53が弁座体32に当接した状態、つまり、遮断弁20が閉じている状態を記載している。
図3に示すように、水素タンク10は、金属製(アルミニウム合金等)のタンク本体11(ライナー)と、タンク本体11の表面を覆ったカバー13と、を主に備えている。タンク本体11は、外部に開口すると共に遮断弁20が取り付けられるネック部12を有している。カバー13は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)や、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic:ガラス繊維強化プラスチック)等から形成され、これにより、タンク本体11が補強されると共に、水素タンク10の断熱性が高められている。
遮断弁20は、水素タンク10に一体的に取り付けられた弁であり、本実施形態では、その略半分が水素タンク10内に配置されるためインタンク弁とも称される。また、本実施形態に係る遮断弁20は、水素タンク10から外部への水素の流通を適宜に遮断する本来の機能に加えて、水素の充填口としての機能と、リリーフ弁としての機能とを備えている。このような遮断弁20は、水素タンク10に螺合固定された固定部30と、プランジャ51(弁体)を有する作動部50と、を主に備えている。
固定部30は、弁箱31と、弁座体32と、水素の放出口となる放出用リセプタクル33(レセプタクル)と、水素の充填口となる充填用リセプタクル34と、逆止弁35と、リリーフ弁36と、を主に備えている。
作動部50は、ECU90からの指令に従って、プランジャ51を作動させる部分である。具体的に、作動部50は、プランジャ51と、シール53と、圧縮コイルバネ54(リターンスプリング)と、ガイド体55と、ソレノイド56と、マウント57と、を主に備えている。
プランジャ51は、ガイド体55に摺動自在に収容されており、ガイド体55によってガイドされている。プランジャ51の上端には、カップ52及びゴム製のシール53が固定されている。そして、圧縮コイルバネ54が、カップ52とガイド体55との間に介設されており、この圧縮コイルバネ54によって、カップ52、シール53及びプランジャ51が、図3における上方向に付勢されている。よって、ソレノイド56がOFFされている場合、シール53が弁座体32の下端面に当接し、これにより、弁座体32内の流路32aの下端開口が閉じられ、水素タンク10内の水素が外部に流出しないようになっている(遮断弁20の閉状態)。
図1に戻って説明を続ける。
燃料電池110に対して空気を供給及び排出するカソード系は、コンプレッサ131を主に備えている。コンプレッサ131は、配管131aを介して、カソード流路112と接続されている。そして、コンプレッサ131が作動すると、酸素を含む空気がカソード流路112に供給されるようになっている。なお、配管131aには加湿器(図示しない)が設けられており、カソード流路112に供給される空気が適宜に加湿されるようになっている。
電力消費系60は、走行モータ61と、出力検出器62とを主に備えている。走行モータ61は、燃料電池自動車を走行させるモータであって、燃料電池110の出力端子に接続されている。出力検出器62は、燃料電池110(スタック)の実際の出力電流(以下、実測出力電流A1)を検出する機器であって、電流計を備えている。そして、出力検出器62(電流計)は、燃料電池110と走行モータ61との間で、燃料電池110の実測出力電流A1を検出可能なように、適所に配置されている。また、出力検出器62はECU90と接続されており、ECU90は実測出力電流A1を監視するようになっている。
加熱手段70は、ECU90からの指令に従って、遮断弁20を適宜に加熱する手段であって、ヒータ71と、電源72と、インバータ73とを主に備えている。
電源72は、ヒータ71の作動電源であって、例えば、燃料電池自動車に搭載されたバッテリ(二次電池)が使用される。その他に、燃料電池110の発電電力や、回生時における走行モータ61の発電電力を使用することもできる。
温度センサ81は、水素タンク10内の実際の水素(実測水素温度T1)の温度を検出するセンサであって、水素タンク10内の適所に配置されている。そして、温度センサ81はECU90と接続されており、ECU90は実測水素温度T1を監視するようになっている。
ECU90(制御手段)は、燃料電池システム1を電子制御する制御装置である。このようなECU90は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路等を含んで構成されている。そして、ECU90は、ヒータ71を作動させる必要があるか否かを判定する機能と、実測水素温度T1及び実測出力電流A1とに基づいてヒータ71の出力(加熱量)を制御する機能と、を備えている。
マップAは、水素タンク内の水素温度(℃)と、ヒータ71の出力であるヒータ出力Aとが関連付けられたデータである。本実施形態に係るマップAでは、水素温度が所定温度T4以下の範囲ではヒータ出力Aは100%に、所定温度T4以上でシール53の保障温度T3以下の範囲では水素温度が上昇するに従いヒータ出力Bが線形的に減少するように、保障温度T3以上の範囲ではヒータ出力Aは0%に、それぞれ設定されている。なお、マップAは、水素タンク10の容量や、ヒータ71の仕様等に関係する。
マップBは、燃料電池110の出力電流(A)と、ヒータ出力Bとが関連付けられたデータである。本実施形態に係るマップBでは、出力電流が0以上で所定電流A2以下の範囲では出力電流が増加するに従いヒータ出力Bが線形的に増加するように、出力電流が所定電流A2以上の範囲では100%に、それぞれ設定されている。さらに説明すると、出力電流が高くなると、燃料電池110において水素が多量に消費され、この消費された分に対応して水素タンクから水素が流出し、この水素の流出に対応して水素が膨張し、水素タンク内の温度が低下するため、出力電流が高くなるに従って、ヒータ出力Bが高くなる関係となっている。なお、マップBは、ヒータ71の仕様等に関係する。
次に、図7を主に参照して、燃料電池システム1(遮断弁の加熱システム)の動作と共に、ヒータ71(加熱装置)の制御方法について説明する。ヒータ71の制御方法は、燃料電池110の実測出力電流A1を検出する第1ステップと、実測出力電流A1に基づいて、ヒータ71の出力(加熱量)を制御する第2ステップと、を含んでいる。
なお、所定水素温度T2は、前記した遮断弁20を構成するシール53の保障温度T3よりも高い温度であって、運転者がアクセルを急に踏み込んだ等により、燃料電池110が多量の水素を消費し、これにより、水素タンク10内の水素が急に断熱膨張しても、断熱膨張後の水素タンク10内の水素の温度(実測水素温度T1)が、シール53の保障温度T3未満に低下しない温度に設定される。したがって、所定水素温度T2は、単セルの数等の燃料電池110の仕様や、アクセルの最大踏み込み量等に関係し、燃料電池システム1毎に事前試験等によって求められる。そして、所定水素温度T2は、ECU90に記憶されている。
ステップS104において、ECU90は、実測出力電流A1とマップB(図6参照)とに基づいて、ヒータ出力B(%)を決定する。
したがって、この後、低温の水素が水素タンク10から流れ出し、遮断弁20内を低温の水素が流通しても、シール53の温度が、そのシール性が保障される保障温度T3未満に、低下することは防止される。すなわち、ECU90から遮断弁20に閉指令が送られた場合、遮断弁20は確実に閉まることができる。
その後、リターンを経由してスタートに戻り、各ステップの処理を繰り返す。
次に、図8を主に参照して、燃料電池システム1の一動作例を説明する。なお、ここでは、実測水素温度T1が所定水素温度T2よりも低い場合を例示する(S101・Yes)。
なお、実測水素温度T1が保障温度T3以上の場合、ヒータ出力Aが0%であるので(図5参照)、ヒータ出力Aとヒータ出力Bとの和である指令ヒータ出力は一定となる。因みに、本動作例では、実測出力電流A1が一定であり、これに基づくヒータ出力Bが一定である場合を記載している。
また、前記した実施形態では、遮断弁20が水素タンク10に取り付けられた構成を例示したが、遮断弁20が配管121a上に配置された構成であってもよい。
10 水素タンク(燃料ガス貯蔵容器)
20 遮断弁
31 弁箱
32 弁座体
33 放出用リセプタクル
34 充填用リセプタクル
35 逆止弁
36 リリーフ弁
51 プランジャ(弁体)
53 シール
54 圧縮コイルバネ
56 ソレノイド
62 出力検出器(出力検出手段)
70 加熱手段
71 ヒータ(加熱装置)
73 インバータ
81 温度センサ
90 ECU(制御手段)
110 燃料電池
121 減圧弁
122 エゼクタ
123 パージ弁
Claims (2)
- 燃料ガスが貯蔵された燃料ガス貯蔵容器から、弁を介して、燃料ガスを消費する燃料ガス消費機器に、燃料ガスが供給される燃料ガス供給系における前記弁を加熱する加熱システムであって、
前記弁を加熱する加熱手段と、
前記燃料ガス消費機器が燃料ガスを消費したことに対応する出力に基づいて、前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする弁の加熱システム。 - 燃料ガスが貯蔵された燃料ガス貯蔵容器から、弁を介して、燃料ガスを消費する燃料ガス消費機器に、燃料ガスが供給される燃料ガス供給系における前記弁を加熱する加熱装置の制御方法であって、
前記燃料ガス消費機器が燃料ガスを消費したことに対応する出力を検出する第1ステップと、
当該検出した出力に基づいて、前記加熱装置の加熱量を制御する第2ステップと、
を含むことを特徴とする弁の加熱装置の制御方法。
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