JP2007273224A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】レート特性及びサイクル特性が向上した非水電解液二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明の非水電解液二次電池は、正極活物質として、(イ)Li(MnaCobNic)O2及び(ロ)Li(MndCoeNif)O2(式中、a及びcは0以上の数を表し、b,d,e及びfは0よりも大きい数を表し、a+b+c=1、d+e+f=1、c<fである。)の混合物を用いた正極を具備することを特徴とする。(イ)はLiCoO2であり、(ロ)はLi(MnxCoyNiz)O2(式中、x,y,及びzは0.2よりも大きい数であり、x+y+z=1である)であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池等の非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池の負極活物質には、一般にグラファイトが使用されている。しかし、近年の電子機器の多機能化に伴いその消費電力が著しく増加しており、大容量の二次電池がますます必要となっていることから、グラファイトを用いている限り、近い将来そのニーズに応えるのは困難となると予想される。そこで、グラファイトの5〜10倍の容量ポテンシャルを有しているSi系物質からなる負極活物質の開発が活発になされている。
ところで、現行の電子機器に用いられているリチウム二次電池は、その充放電条件が4.2−3Vとなっている。容量の大きい物質であるSi系物質等を負極活物質として用いた場合、電池電圧はグラファイト系の負極活物質と比較すると低い傾向にあるので、容量を引き出すためには放電カットオフ電位を2.5−2.7V程度にまで引き下げる必要がある(非特許文献1参照)。しかしながら、このことは平均放電電圧の低下及び電子機器回路の設計変更を余儀なくさせるものである。動作電圧の変更は、前掲の非特許文献1に記載されているように、電子機器そのものの設計変更に関わる重大な変更である。
日経エレクトロニクス、第35−36頁、2005年10月24日
本発明の目的は、現行の電子機器の設計を変更することなく、従来の非水電解液二次電池よりも各種性能が一層向上した非水電解液二次電池を提供することにある。
本発明は、正極活物質として、(イ)Li(MnaCobNic)O2及び(ロ)Li(MndCoeNif)O2(式中、a及びcは0以上の数を表し、b,d,e及びfは0よりも大きい数を表し、a+b+c=1、d+e+f=1、c<fである。)の混合物を用いた正極を具備することを特徴とする非水電解液二次電池を提供するものである。
また本発明は、正極活物質として、(イ)Li(MnaCobNic)O2及び(ロ)Li(MndCoeNif)O2(式中、a及びcは0以上の数を表し、b,d,e及びfは0よりも大きい数を表し、a+b+c=1、d+e+f=1、c<fである。)の混合物を用いたことを非水電解液二次電池用正極を提供するものである。
本発明の非水電解液二次電池によれば、レート特性及びサイクル特性が向上する。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の非水電解液二次電池は、典型的には、負極及び正極並びに両極間に介在配置されたセパレータを備えている。負極と正極との間には非水電解液が存在している。負極は、集電体と、その少なくとも一面に形成された活物質層とを有している。活物質層は、負極活物質を含んでいる。負極活物質としては、リチウムの吸蔵が可能な物質を特に制限なく用いることができる。例えばシリコン、スズ、ゲルマニウム等の第14族元素の単体、合金、金属間化合物、酸化物、窒化物、ホウ化物等、アルミニウム等の第13族元素の単体、合金、金属間化合物、酸化物、窒化物、ホウ化物等を用いることができる。特に負極活物質として、シリコンやスズを含む材料を用いると、現在非水電解液二次電池の負極材料として用いられているグラファイトに比較して高容量の二次電池を実現できるという利点がある。この観点から、シリコンを含む材料を負極活物質として用いることがとりわけ好ましい。
本発明で用いられる負極活物質としてシリコンを含む材料を用いる場合、該材料は、シリコン単体のみならず、シリコンと他の金属との合金、シリコンと他の金属との金属間化合物、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコンホウ化物などを用いることができる。他の金属としては、Co、Ni、Cu、Fe、V、Ti、Mn、Cr、W、Mg、Ndなどのリチウム化合物の形成能の低い金属が挙げられる。「リチウム化合物の形成能の低い」とは、リチウムと金属間化合物若しくは固溶体を形成しないか、又は形成したとしてもリチウムが微量であるか若しくは非常に不安定であることを意味する。また、他の金属としてLiを用いることもできる。
他の金属としてLiを用いる場合、シリコンに対するリチウムの添加量は、シリコンの理論容量に対して3〜20%、特に5〜15%であることが好ましい。この範囲の量のリチウムを添加することで、放電末期における放電電圧の急速な低下を防止でき、レート特性の向上及びエネルギ密度の増大を図ることができる。シリコンは、組成式SiLi4.4で表される状態までリチウムを吸蔵することができる。この吸蔵状態のとき、リチウムの吸蔵量が理論容量の100%であると定義する。従って理論容量の20%までリチウムが吸蔵されるとは、1モルのSiに対してLiが0.88モル(=4.4×0.2)吸蔵されることをいう。なおシリコンを含む材料がシリコン単体でなく、シリコン化合物である場合の理論容量は、シリコン化合物に含まれているシリコンの量を基準に算出される。例えば、シリコン化合物がシリコン合金である場合には、当該合金のうちからシリコン以外の元素の量を差し引き、当該合金に含まれるシリコンの量を基準としてリチウムの吸蔵量を算出する。シリコン化合物がシリコンの酸化物である場合も同様である。
負極活物質は、例えば薄膜の形状であり得る。この場合、化学気相蒸着法、物理気相蒸着法、スパッタリング法等の各種薄膜形成手段によって、集電体の少なくとも一面に薄膜からなる活物質層が形成される。この薄膜をエッチングしてその厚み方向に延びる空隙を多数形成してもよい。エッチングには、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた湿式エッチング法の他、ドライガスやプラズマ等を用いた乾式エッチング法が採用できる。
負極活物質は粒子の形状でもあり得る。粒子としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2005−63767号公報に記載のものを用いることができる。具体的には、イ)シリコン単体の粒子、ロ)シリコンの粒子と炭素の粒子との混合粒子、ハ)シリコンの粒子と金属の粒子との混合粒子、ニ)シリコン及び金属の化合物粒子、ホ)シリコン及び金属の化合物粒子と、金属の粒子との混合粒子などが挙げられる。粒子は、結着剤及び溶剤等と混合されてなるスラリーの状態で、集電体の少なくとも一面に塗布される。これによって該スラリーの塗膜からなる活物質層が形成される。この塗膜を焼成して粒子どうしを焼結させてもよい。焼結の方法としては、例えば特開2002−260637号公報に記載の方法を用いることができる。或いは、粒子間にリチウム化合物の形成能の低い金属が浸透していることも好ましい。粒子間に金属が浸透していることで、充放電で体積変化することに起因して微粉化した活物質の脱落を効果的に防ぐことができる。ここで言う浸透とは、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が、粒子の表面を被覆するように粒子間の空間に存在している状態を指し、粒子間の空間が当該金属材料で埋め尽くされていることを要しない。むしろ当該金属材料は、粒子間に空間が存在するように粒子の表面を被覆していることが好ましい。当該金属材料がこのような状態で存在していることで、電解液が活物質層の深部にまで確実に到達するという利点がある。また、リチウムを吸蔵した粒子が膨張することに起因する体積の増加分が緩和されるという利点もある。
粒子間に金属を浸透させるには、スラリーの塗膜に対して電解めっきを行い、粒子間にリチウム化合物の形成能の低い金属を析出させればよい。電解めっきによって粒子間に金属を析出させるには、例えば本出願人の先の出願に係る特開2005−63929号公報に記載の方法を用いることができる。具体的には、集電体上に、活物質の粒子を含むスラリーを塗布して塗膜を形成する。スラリーは、活物質の粒子、導電性炭素材料の粒子、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。結着剤としてはポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、エチレンプロピレンジエンモノマーなどが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリーの塗膜の形成後、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬して電解めっきを行う。電解めっきの条件としては、例えば銅を用いる場合、硫酸銅系溶液を用いるときには、銅の濃度を30〜100g/l、硫酸の濃度を50〜200g/l、塩素の濃度を30ppm以下とし、液温を30〜80℃、電流密度を1〜100A/dm2とすればよい。ピロ燐酸銅系溶液を用いる場合には、銅の濃度2〜50g/l、ピロ燐酸カリウムの濃度100〜700g/lとし、液温を30〜60℃、pHを8〜12、電流密度を1〜10A/dm2とすればよい。これらの電解条件を適宜調節することで、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が塗膜内に浸透して、目的とする活物質層が形成される。
負極において、活物質層を支持する集電体は、リチウム化合物の形成能の低い金属材料から一般に構成される。そのような金属材料としては、例えば銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの合金などが挙げられる。
正極と負極とを隔てるセパレータの種類には特に制限はなく、従来この種の材料として用いられているものと同様のものを用いることができる。例えば合成樹脂製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンの多孔質フイルム等が好ましく用いられる。
非水電解液としては、非水溶媒に支持電解質を溶解してなるものが用いられる。非水溶媒としては、エチレンカーボネート(以下、ECともいう)、プロピレンカーボネート(以下、PCともいう)、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート(以下、DECともいう)、ジメチルカーボネート(以下、DMCともいう)などが挙げられる。これらの非水溶媒は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
特に、負極活物質としてシリコンを含む材料を用いる場合には、非水電解液の溶媒として、PCと、DECやDMCなどのジアルキルカーボネート(以下、DACともいう)との混合溶媒を用いることが好ましい。これによって、温度特性やサイクル特性を高めることができる。詳細には、PCを用いることで電池のサイクル特性が向上し、DACを用いることで電池の温度特性が向上する。
PCとDACとは広い容積比の範囲で混合可能である。具体的には、混合溶媒におけるPCとDACとの容積比(前者:後者)は好ましくは5:95〜95:5であり、更に好ましくは20:80〜70:30である。PCの容積比が95%超になると、非水電解液二次電池において一般的に使用されるセパレータとの濡れ性が低くなる傾向にあり、電解質の流通が円滑にならないことがある。一方、DACの容積比が95%超になると、混合溶媒全体としての極性が低下し、電解質の溶解が困難になる場合がある。
DACとしては、例えばDEC又はDMCの何れか一方を用いることもでき、或いは両者を併用することもできる。氷点下における使用適合性を考慮すると、特にDECを用いることが好ましい。
なお、非水電解液の溶媒としてPCとDACの混合溶媒を用いる場合、PC及びDAC以外の溶媒を更に用いることは何ら妨げられない。尤も、PCとDACの混合溶媒を用いた場合の効果を最大限発揮させるためには、PC及びDACのみを用い、且つ他の非水溶媒は用いないことが最も好ましい。
非水溶媒に溶解される支持電解質としては、この種の物質として従来用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えばLiC1O4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiSCN、LiC1、LiBr、LiI、LiCF3SO3、LiC49SO3等が挙げられる。これらの支持電解質は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、前記の各種支持電解質を、シリコンを含む材料からなる負極活物質の表面に、硫黄を含有する被膜の形成が可能な硫黄含有リチウム塩(以下、被膜形成性リチウム塩ともいう)と併用することが好ましい。被膜形成性リチウム塩を併用することで、SEIと(solid electrolyte interface)呼ばれる被膜が負極活物質の表面に形成される。本発明者らの検討結果、被膜形成性リチウム塩を併用することで形成されるSEIは、リチウムイオン伝導性を有し且つ電解液の分解を抑制する性質を有することが判明した。電解液の分解防止は電池のサイクル特性の向上につながる。特に、被膜形成性リチウム塩を、先に述べたPC/DACの混合溶媒と併用することで、電池のサイクル特性を一層向上させることが可能になる。
被膜形成性リチウム塩としては、例えば、負極活物質に含まれているシリコンと反応可能な硫黄を含有するリチウム塩や、それ自身で反応が可能な、硫黄を含有するリチウム塩を用いることができる。被膜形成性リチウム塩は、電池の充放電の間に、負極活物質に含まれているシリコンと反応することによって、或いはそれ自身で反応して、負極活物質の表面にSEIを形成する。そのようなリチウム塩の例としては、LiS2や、以下の化学式で表される2−チエニルリチウム(C43SLi)が挙げられる。
Figure 2007273224
例えばLi2Sは、以下の反応式(1)によって負極活物質の表面にLi4SiS4からなるSEIを形成する。
Si+2S2-+2Li2S−4e-→Li4SiS4 (1)
前記の被膜形成性リチウム塩のうち、LiS2は水分を吸収しやすいので、水分を嫌う非水電解液二次電池においてはその取り扱いに十分に留意すべきである。また、2−チエニルリチウムは、それを直接非水溶媒に溶解してもよく、或いはテトラヒドロフラン(THF)等に一旦溶解した上で非水溶媒に添加してもよい。
被膜形成性リチウム塩はそれ単独で用いられるよりも、通常の支持電解質、即ち、硫黄を含有しないリチウム塩、及び硫黄を含有するが、シリコンを含む材料からなる負極活物質の表面に、硫黄を含有する被膜の形成が可能でないリチウム塩と併用されることが好ましい。この場合、電解液における被膜形成性リチウム塩の濃度は、0.01〜0.5mol/l、特に0.5〜0.2mol/lであることが、温度特性(低温特性)とサイクル寿命とのバランスの点から好ましい。
しかして本発明においては、正極に用いられる活物質として、(イ)Li(MnaCobNic)O2及び(ロ)Li(MndCoeNif)O2(式中、a及びcは0以上の数を表し、b,d,e及びfは0よりも大きい数を表し、a+b+c=1、d+e+f=1、c<fである。)の混合物を用いている。(イ)及び(ロ)の物質は、それらの放電電圧が異なることによって特徴付けられる。具体的には、前記の式中、c<fであることによって、(イ)の物質の方が(ロ)の物質よりも放電電圧が高くなっている。この理由は、Mn、Co、及びNiのうち、放電電圧を降下させる効果が最も大きな元素はNiだからである。放電電圧の異なる正極活物質を用いることで、サイクル特性が向上することが本発明者らの検討の結果判明した。その理由は次の通りである。
例えば負極活物質としてシリコンを含む材料を用いて二次電池を組み、初回の充放電を行うときに、放電のカット・オフ電圧を例えば3.1Vに設定すると、図1に示すように、約0.7mAh/m2分のリチウムが負極活物質に吸蔵されたままとなり、これが不可逆容量となる。この不可逆容量分のリチウムは、前記の(イ)及び(ロ)の物質のうち、(ロ)の物質から供給される。換言すれば、放電電圧の高い方の物質である(イ)の物質に含まれているリチウムは負極に消費されず初期の量が温存され、2回目以上の充放電(リチウムの吸脱蔵)に寄与する。
2回目の充電は、負極活物質に約0.7mAh/m2分のリチウムが吸蔵された状態から開始されることになる。そして、それに重畳する形で、充電によって負極活物質にリチウムが更に吸蔵されることになる。そのときのリチウムの供給源は、主として放電電圧の高い方の物質である(イ)の物質である。何故ならば、放電電圧の低い方の物質である(ロ)の物質に含まれているリチウムは、1回目の充電によって負極活物質に吸蔵されており、しかも吸蔵されたリチウムは不可逆容量として負極活物質に残存したままになっているからである。つまり、(ロ)の物質においてはリチウムが枯渇した状態になっているからである。そして、放電電圧の高い方の物質である(イ)の物質がリチウムの供給源になることによって、2回目の放電電圧は、図1に示すように1回目よりも高くなる。
また負極活物質中にリチウムが吸蔵された状態から2回目の充電を開始すると、2回目以降の充放電がほぼ100%可逆的に行われるようになる。リチウムが吸蔵された状態にある負極活物質を充電することは、電池に組み込む前から負極活物質にリチウムを吸蔵させておいた状態と同じ状態が実現されることを意味する。電池に組み込む前から負極活物質にリチウムを吸蔵させておいた状態と同じ状態が本発明において実現されることは、負極活物質へのリチウムの吸蔵を容易に且つ生産性よく行えるという点で極めて有利である。
その上、各回の放電時には、負極活物質中にリチウムが常時吸蔵された状態になっているので、その電子伝導性が常に良好な状態にあり、負極の分極が小さくなる。これによって、放電末期における負極の電圧の急激な低下が起こりにくくなる。また正極が、リチウムに対して4.3V以上の高電位にさらされないので、正極の劣化も防止される。これらの結果、電池のレート特性及びサイクル特性が向上する。
以上の観点から、本発明の二次電池においては、充電するときのカット・オフ電圧を4.0〜4.4V、特に4.10〜4.25Vに設定し、放電するときのカット・オフ電圧を2.8〜3.3V、特に2.9〜3.3Vに設定するという使用方法を採用することが好ましい。充電においては、従来のリチウム二次電池と同様に、定電流制御方式や定電流定電圧制御方式を採用することが好ましい。或いは、初回の充電に定電流定電圧制御方式を採用し、2回目以降の充電に定電流制御方式を採用してもよい。
(イ)の物質と(ロ)の物質との使用割合は、用いる負極活物質の種類や量に応じて適切に調整される。前述の説明から明らかなように、本発明の二次電池の2回目以降の充放電においてリチウムの主たる供給源となる物質は(イ)の物質であることから、(イ)の物質を、(ロ)の物質と同量又は(ロ)の物質よりも多量に用いることが好ましい。具体的には、(イ)の物質と(ロ)の物質の重量比(前者:後者)は、95:5〜50:50、特に90:10〜60:40、とりわけ70:30〜60:40であることが好ましい。
(イ)の物質及び(ロ)の物質はいずれも粒子の状態で、結着剤及び溶剤等と混合されてスラリーとなされる。このスラリーを集電体の少なくとも一面に塗布することで、正極活物質層が形成される。活物質層を支持する集電体としては、一般にアルミニウム箔が用いられる。この場合、活物質の粒子どうしの接触性が良好でないと、接触抵抗が大きくなりレート特性やサイクル特性にマイナスの影響を及ぼす。そこで本発明においては、接触抵抗を低減させることを目的として、相対的に大粒径の(イ)の物質と、相対的に小粒径の(ロ)の物質との混合物を用いることが好ましい。こうすることによって、相対的に小粒径の(ロ)の物質の粒子が、相対的に大粒径の(イ)の物質の粒子間に入り込み、接触抵抗が効果的に低減する。この観点から、相対的に大粒径の(イ)の物質の粒子は、その粒径がD50で表して5〜30μm、特に6〜15μmであることが好ましく、相対的に小粒径の(ロ)の物質の粒子は、その粒径がD50で表して1〜15μm、特に2〜6μmであることが好ましい。同様の理由により、(イ)の物質の粒子の粒径D50と、(ロ)の物質の粒子の粒径D50との比率(前者:後者)は、5:1〜2:1であることが好ましい。粒径は例えばレーザ回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される。
(イ)の物質と(ロ)の物質との好ましい組み合わせとしては、例えば(イ)においてa+b≧0.6で、(ロ)においてf≧0.2である組み合わせが挙げられる。(イ)においてa+bの値が大きいと、放電電位が上がり、一方(ロ)においてfの値が大きいと、放電電位が下がる。その結果、(イ)及び(ロ)間において放電電位の差が一層大きくなり、レート特性及びサイクル特性が一層向上する。a+b≧0.6とf≧0.2は、(a+b)/f≧2と書き改めることができる。即ち(a+b)/f≧2であれば、(イ)の物質と(ロ)の物質との放電電圧の差を確保できる。
特に(イ)においてa+b≧0.666で、(ロ)においてf>0.333である組み合わせが特に好ましい。とりわけ(イ)がLiCoO2であり、(ロ)がLi(MnxCoyNiz)O2(式中、x,y,及びzは0.2よりも大きい数であり、x+y+z=1である)である組み合わせが好ましい。これらの組み合わせを用いることで、(イ)と(ロ)の放電電圧の差を充分に確保することができ、サイクル特性を一層向上させることができる。
本発明の二次電池の形態は、コイン型や円筒型、角型であり得る。例えば本発明の二次電池は、負極と正極との間にセパレータを介在させ、これら三者を巻回させて巻回体を形成し、該巻回体を電池容器内に収容してなるジェリーロールタイプの電池(円筒型電池や角型電池)とすることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「%」及び「部」はそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
〔実施例1〕
(1)負極の製造
厚さ18μmの電解銅箔からなる集電体を室温で30秒間酸洗浄した。処理後、15秒間純水洗浄した。集電体上にSiの粒子を含むスラリーを膜厚15μmになるように塗布し塗膜を形成した。粒子の平均粒径D50は2μmであった。スラリーの組成は、粒子:スチレンブタジエンラバー(結着剤)=100:1.7(重量比)であった。
塗膜が形成された集電体を、以下の浴組成を有するピロリン酸銅浴に浸漬させ、電解めっきにより塗膜中の粒子間に銅を析出させて活物質層を形成した。この電解めっきによって塗膜の厚み方向全域にわたって銅が析出した。このようにして負極を製造した。電解の条件は以下の通りとした。陽極にはDSEを用いた。電源は直流電源を用いた。
・ピロリン酸銅三水和物:105g/l
・ピロリン酸カリウム:450g/l
・硝酸カリウム:30g/l
・浴温度:50℃
・電流密度:3A/dm2
・pH:アンモニア水とポリリン酸を添加してpH8.2になるように調整した。
(2)正極の製造
正極活物質として平均粒径D50が15μmのLiCoO2(以下、LCOという)の粉末と、平均粒径D50が2μmのLiMn1/4Co3/4Ni1/42(以下、LSMという)の粉末とを、LCO:LSM=95:5(重量比)で用いた。この混合粉末90部と、導電剤としてのアセチレンブラック5部を、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン5部を含む5%のN−メチルピロリドン溶液に混合してスラリーを得た。このスラリーを、集電体であるアルミニウム箔の上に塗布し、乾燥した後圧延して正極を製造した。
(3)二次電池の製造
得られた負極及び正極を、ポリエチレン多孔質フィルムからなるセパレータを介して対向させ、電池ケース内に収容した。電解液としては、PC及びDECを前者:後者=3:7の容積比で混合した混合溶媒に、支持電解質を溶解したものを用いた。支持電解質としては、1mol/lのLiPF6及び0.1mol/lのLi2Sを用いた。
(4)評価
得られた二次電池について、表1に示す電圧条件で充放電を繰り返し、体積容量密度及び100サイクル容量維持率を以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。また、実施例4及び比較例の二次電池について、2サイクル目の充放電特性を測定した。その結果を図2に示す。
〔体積容量密度〕
最大容量が得られたサイクルにおける、正極活物質の単位体積当たりの放電容量を測定した。
〔100サイクル容量維持率〕
100サイクル後の放電容量を測定し、その値を最大負極放電容量で除し、100を乗じて算出した。放電のカット・オフ電圧は2.7V(実施例1ないし3及び比較例1)又は3.1V(実施例4)とした。充電は、初回は定電流・定電圧モード、2回目以降は定電流モードとした。放電は、初回は定電流・定電圧モード、2回目以降は定電流モードとした。
〔実施例2ないし4及び比較例1〕
実施例1で用いたLSMに代えて表1に示す物質を用い、また2種類の正極活物質の重量比及びカット・オフ電圧を表1に示す値とした以外は実施例1と同様にして二次電池を得た。但し、比較例1においては非水溶媒としてEC及びDECを前者:後者=3:7の容積比で用い、支持電解質として1mol/lのLiPF6のみを用いた。得られた二次電池について実施例1と同様の評価を行った。この結果を表1に示す。
Figure 2007273224
表1に示す結果から明らかなように、2種類の正極活物質を組み合わせて用いた各実施例の二次電池は、1種類のみの正極活物質を用いた比較例の二次電池に比べてサイクル特性が向上することが判る。更に、充放電のカット・オフ電圧の範囲を狭めることで、体積容量密度の低下を防止しつつサイクル特性を一層向上させられることが判る。
また、図2に示す結果から明らかなように、実施例4の電池は、比較例1の電池に比べて、放電末期における電圧の低下が緩やかであることが判る。
本発明の非水電解液二次電池における充放電曲線の一例を示すグラフである。 実施例4及び比較例1の電池の2サイクル目の充放電曲線を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 正極活物質として、(イ)Li(MnaCobNic)O2及び(ロ)Li(MndCoeNif)O2(式中、a及びcは0以上の数を表し、b,d,e及びfは0よりも大きい数を表し、a+b+c=1、d+e+f=1、c<fである。)の混合物を用いた正極を具備することを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 前記式中、(a+b)/f≧2である請求項1記載の非水電解液二次電池。
  3. 負極活物質として、第13族元素若しくは第14族元素、これらの元素と他の金属との合金又はこれらの元素と他の金属との金属間化合物を用いた請求項1又は2記載の非水電解液二次電池。
  4. (イ)と(ロ)の重量比(前者:後者)が、95:5〜50:50である請求項1ないし3の何れかに記載の非水電解液二次電池。
  5. 相対的に大粒径の(イ)と相対的に小粒径の(ロ)の混合物を用いた請求項1ないし4の何れかに記載の非水電解液二次電池。
  6. (イ)がLiCoO2であり、(ロ)がLi(MnxCoyNiz)O2(式中、x,y,及びzは0よりも大きい数であり、x+y+z=1である)である1ないし4の何れかに記載の非水電解液二次電池。
  7. 請求項1記載の非水電解液二次電池を充電するときのカット・オフ電圧を4.0〜4.4Vに設定し、放電するときのカット・オフ電圧を2.8〜3.3Vに設定する非水電解液二次電池の使用方法。
  8. 正極活物質として、(イ)Li(MnaCobNic)O2及び(ロ)Li(MndCoeNif)O2(式中、a及びcは0以上の数を表し、b,d,e及びfは0よりも大きい数を表し、a+b+c=1、d+e+f=1、c<fである。)の混合物を用いたことを特徴とする非水電解液二次電池用正極。
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