JP2007270937A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無段変速機の制御装置において、ライン圧とベルト挟圧とをそれぞれ別個独立した油圧アクチュエータを有する構成であっても、ライン圧の生成機能の異常を検出することができるようにする。
【解決手段】本発明の無段変速機の制御装置においては、車両の停車時においてベルト挟圧を最大にした状態でライン圧の制御指示値を変化させることで、ライン圧の生成機能の異常を検出することができる(S2,S3)。すなわち、ライン圧とベルト挟圧とを別個独立した油圧アクチュエータにより制御する構成でありながら、ライン圧の生成機能の異常を検出することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、無段変速機の制御装置に関し、特に、無段変速機の異常を検出可能な制御装置に関する。
従来より、自動車等の自動変速機には、ロバスト性に優れる等の理由から無段変速機(Continuously Variable Transmission:「CVT」とも呼ばれる)が広く採用されている。その一つであるベルト式の無段変速機においては、エンジン側に設けられた駆動側のプーリ(以下「プライマリプーリ」という)と、車輪側に設けられた従動側のプーリ(以下「セカンダリプーリ」という)との間にVベルトが掛け渡されている。これらプライマリプーリ及びセカンダリプーリのそれぞれの溝幅は、例えば油圧制御により変更可能となっている。そして、プライマリプーリの溝幅を制御してVベルトの掛径を変化させ、セカンダリプーリの挟圧力を保持しつつその溝幅をプライマリプーリの溝幅に対応して変化させることで、変速比を連続的に変更している。
このような無段変速機では、プライマリプーリの溝幅の制御は、通常、油圧制御装置を駆動してプライマリプーリを構成する固定輪と可動輪との間に形成されるチャンバに、所定の圧力(以下「プライマリ圧」という)で作動油を給排することにより行われる。これら固定輪と可動輪との間にはテーパ状の溝部が形成されており、このチャンバ内の油量を制御することにより可動輪を固定輪に対して近接又は離間する方向に動作させることで、その溝幅を調整する。プライマリプーリには、作動油の給排量を調整するための油圧バルブが設けられており、ソレノイド等の油圧アクチュエータによりこれを駆動する。その油圧バルブには通常、油圧源から作動油を汲み上げて生成したライン圧が入力される。
一方、セカンダリプーリの挟圧力(以下「ベルト挟圧」という)の制御も同様に、油圧制御装置を駆動してセカンダリプーリを構成する固定輪と可動輪との間に形成されるチャンバに作動油を給排することにより行われる。このベルト挟圧は、供給されるライン圧を元圧とし、油圧制御装置によりそのライン圧を減圧することにより生成される。そして、そのベルト挟圧の作動油がチャンバ内に供給されることにより、固定輪と可動輪とに挟まれるVベルトに適度な締付力がかかり、その滑りが防止される。
このように、ライン圧は、油圧制御装置の各油圧アクチュエータが制御する油圧バルブに油圧を供給するための元圧となるものであるが、通常はエンジントルクに応じた圧力に調整される。近年では、油圧をより最適に制御するために、ライン圧を調圧する専用の油圧アクチュエータが設けられ、電子制御装置にてそのライン圧制御が行われている。
ところで、従来においては当初、上述したライン圧とプライマリ圧とが独立した油圧アクチュエータにより制御され、ライン圧とベルト挟圧とが共通の油圧アクチュエータにより連動して制御される油圧制御装置が採用されていた(例えば特許文献1参照)。図7は、このような油圧制御装置及びその周辺の概略構成を表す説明図である。
すなわち、このような油圧制御装置においては、ライン圧PLを制御するためのライン圧制御バルブ101と、ベルト挟圧Poutを制御するためのベルト挟圧制御バルブ102が、共通の油圧ソレノイド103により連動して制御される。そして、電子制御装置104が、目標変速比と実変速比との偏差に基づいて算出された制御指令値を油圧ソレノイド103へ出力し、この油圧ソレノイド103の駆動により、ライン圧制御バルブ101とベルト挟圧制御バルブ102とがそれぞれ動作制御される。
このようにライン圧とベルト挟圧とを共通の油圧アクチュエータにより連動して制御する場合には、ライン圧PLとベルト挟圧Poutとがほぼ比例的に変化する。一方、上述のようにプライマリ圧もライン圧PLを元圧とするが、ベルト挟圧Poutとプライマリ圧とは逆比例の関係にある。このため、プライマリ圧を確保しつつベルト挟圧Poutをも確保するためには、ライン圧PLを、プライマリ圧の減少にもかかわらずベルト挟圧Poutに比例して常に増加するように変化させなければならない。本来、ライン圧PLは、ベルト挟圧Pout及びプライマリ圧のいずれか高い方を満足できる大きさであれば足りるところ、不要に高く設定されてしまう。このため、エネルギー効率が悪くなり、燃費を悪化させてしまうという問題があった。
そこで、ライン圧とベルト挟圧とを独立した油圧アクチュエータにより制御する油圧制御装置が考えられている。このように、ライン圧とベルト挟圧とが独立して制御されると、ライン圧を必要最小限に設定することができる。それにより、エネルギー効率を良くすることで、燃費の向上を図ることができる。この場合、ライン圧制御とベルト挟圧制御にそれぞれ別個のアクチュエータを設ける必要がある点では従来に比べてコストアップとなるが、燃費の向上に伴う自動車の商品価値の向上及び車両全体の部品のコストダウンにより、そのコストの相殺以上の効果を得ることができるのである。
特開平11−182662号公報
ところで、上述したライン圧は、プライマリ圧やベルト挟圧を生成するための元圧となるため、無段変速機を正常に機能させるためにはこれが正常に供給されることが極めて重要である。現在の法定要件においても、油圧制御装置におけるダイアグノーシスが義務付けられており、ライン圧を生成する油圧アクチュエータの動作が異常である場合には、これを検出することが行われている。
このようなライン圧の生成機能の異常判定は、ライン圧とベルト挟圧とを共通の油圧アクチュエータにより連動して制御する油圧制御装置においては、ベルト挟圧を検出するベルト挟圧センサの出力値を用いて行うことができた。すなわち、上述のようにライン圧とベルト挟圧とがほぼ比例的に変化するため、ベルト挟圧が正常であることが検出されることで(つまり、制御指示値どおりのベルト挟圧が得られることで)、ライン圧も正常に生成されていることが推定される。一方、ベルト挟圧に異常がある場合には、ライン圧の異常を推定することができる。
しかしながら、ライン圧とベルト挟圧とを独立した油圧アクチュエータにより制御する油圧制御装置においては、ライン圧とベルト挟圧とが独立に制御されるため、ベルト挟圧が正常であることをもってライン圧の生成機能が正常であると断定することができない。このため、ベルト挟圧が正常であってライン圧に異常がある場合に、正常なプライマリ圧が得られず、適正な変速比が得られなくなる可能性があるといった問題があった。
なお、無段変速機の制御装置の構成上、これを搭載した車両には一般に上記ベルト挟圧センサが設けられているため、ベルト挟圧の生成機能の異常、つまりベルト挟圧を制御する油圧アクチュエータの故障については検出することが可能である。しかし、プライマリプーリ側の制御対象である作動油の流入油量については、後述する実施の形態でも述べるように、無段変速機の入力軸の回転数と出力軸の回転数とから得られる変速比からその実際の流入油量(「実流入油量」という)が算出される。したがって、このような車両には一般に実流入油量を検出するためのセンサは設けられていない。このため、プライマリプーリへの流入油量を制御する油圧アクチュエータの異常についても、何らかの方法で検出できるようにするのが好ましい。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、変速比を制御する制御系の異常を検出することができ、より好ましくは、ライン圧を生成する制御系の異常を検出できる無段変速機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明では上記問題を解決するために、油圧回路を制御することによって、ベルトが掛け渡されたプーリの径を変化させることによって変速比を制御する無段変速機の制御装置であって、油圧源の油圧からライン圧を生成するバルブの開度を制御するライン圧制御手段と、前記ライン圧からプライマリ圧を生成し、プライマリプーリに供給される油量を調整するバルブの開度を制御するプライマリ油量制御手段と、前記ライン圧制御手段の制御量と前記プライマリ油量制御手段の制御量とをパラメータとして含む油圧回路の物理モデルを用いて前記プライマリプーリ内への所定期間内の推定流入油量を、算出する推定流入油量算出手段と、実変速比に基づいて、前記プライマリプーリ内への前記所定期間内の実流入油量を算出する実流入油量算出手段と、前記推定流入油量と前記実流入油量とに基づいて、変速比を制御する制御系の異常を検出するシステム異常検出手段と、を備えることを特徴とする無段変速機の制御装置が提供される。
このような無段変速機の制御装置においては、物理モデルから算出される推定流入油量と実変速比から算出される実流入油量とに基づいて、ライン圧の生成機能及びプライマリプーリの油量の調整機能の少なくとも一方の異常が検出される。すなわち、実流入油量との比較対象となる推定流入油量が物理モデルから算出されるため、プライマリプーリへの流入油量を検出するための検出装置などを別途設ける必要もない。
なお、上記の制御系とは、センサ、制御部、アクチュエータ等で構成され、所定の制御を行うための全体構成である。
本発明の無段変速機の制御装置によれば、ライン圧とベルト挟圧とを別個独立した油圧アクチュエータにより制御する構成でありながら、変速比を制御する制御系の異常を検出することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本実施の形態は、本発明の無段変速機の制御装置を車両制御システムに適用したものである。図1は、本実施の形態に係る無段変速機を含む車両制御システムの構成を表すシステム構成図である。
この車両制御システムは、車両の駆動源であるエンジン11と駆動輪12との間にベルト式の無段変速機1が設置され、各制御対象が、それぞれ電子制御装置(Electronic Control Unit:以下「ECU」という)により制御される。すなわち、エンジン用のECU(以下「エンジンECU」という)13によりエンジン制御が行われ、無段変速機用のECU(以下「CVTECU」という)14により後述する変速制御が行われる。エンジン11の出力軸には、オイルポンプ15、トルクコンバータ16、前後進切換装置17、無段変速機1、及びリダクションギヤ18が順次接続され、リダクションギヤ18の出力がディファレンシャル19を介して左右の駆動輪12に伝達される。
エンジンECU13及びCVTECU14は、それぞれマイクロコンピュータからなる演算部を中心に構成された独立した電子制御ユニットである。各ECUは、各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、各種の制御演算プログラムやデータを格納したROM(Read Only Memory)、演算過程の数値やフラグが所定領域に格納されるRAM(Random Access Memory)、演算処理の結果などが格納される不揮発性の記憶装置であるEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)コンバータ、各種デジタル信号が入出力される入出力インタフェース、演算過程で使用される計時用のタイマ、及びこれら各機器がそれぞれ接続されるバスラインなどを備えている。また、各ECUには、通信ラインLを介して互いに通信処理を行うための通信制御部が内蔵されており、互いにデータを送受信できるようにされている。
エンジンECU13には、エンジン11の状態を検出する各種センサからの出力信号を取り込むととともに、エンジン11に設けられた各種アクチュエータに駆動信号を出力する信号入出力部が内蔵されている。すなわち、このエンジンECU13の信号入出力部には、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセル開度センサ、吸入空気量を検出するエアフローメータ、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ、冷却水温を検出する水温センサ、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ、車両駆動軸の回転から車速を検出する車速センサ、ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキストロークセンサ、イグニッションスイッチなどのセンサ・スイッチ類が接続されるとともに、エンジン11の気筒毎に設けられたインジェクタ、点火用の高電圧を発生するイグナイタ、燃料タンクから燃料を汲み上げてインジェクタに供給する燃料ポンプ、エンジン11の吸気管に設けられたスロットルバルブを開閉するためのスロットル駆動モータ、といったエンジン制御のための各種アクチュエータが接続されている。エンジンECU13は、ROMに格納された制御プログラムにしたがって所定のエンジン制御処理を行う。
CVTECU14には、無段変速機1の状態を検出する各種センサからの出力信号を取り込むとともに、無段変速機1に設けられた各種アクチュエータに駆動信号を出力するための信号入出力部が内蔵されている。すなわち、同図にも示されるように、このCVTECU14の信号入出力部には、無段変速機1の入力軸の回転数Ninを検出する入力軸回転数センサ、無段変速機1の出力軸の回転数Noutを検出する出力軸回転数センサ、車両駆動軸の回転から車速Vを検出する車速センサ、作動油の温度を検出する油温センサ、セカンダリプーリ内の油圧(後述するベルト挟圧Pout)を検出するベルト挟圧センサ(「ベルト挟圧検出手段」に該当する)、現在のシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ、といったセンサ・スイッチ類が接続されるとともに、無段変速機1の変速を制御する変速ソレノイド、無段変速機1のベルトの滑りを抑制するためにそのベルトの挟圧力を制御するベルト挟圧ソレノイド、変速制御に用いられる油圧の元圧となるライン圧を制御するライン圧制御ソレノイド、トルクコンバータ16の入・出力軸を締結する後述するロックアップクラッチの締結力を操作するためのロックアップ圧ソレノイド、といった変速制御のための各種アクチュエータが接続されている。CVTECU14は、ROMに格納された制御プログラムにしたがって後述する変速制御処理を行う。
トルクコンバータ16は、エンジン11の動力を車軸に滑らかに伝えるためのものであり、エンジン11の出力軸に連結されたポンプインペラ21、そのトルクコンバータ16の出力軸に連結されたタービンライナ22、これらの間に挟まれて内部のオイルの流れを変えるステータ23、及び所定条件によりポンプインペラ21とタービンライナ22とを締結するロックアップクラッチ24等を備えている。
前後進切換装置17は、プラネタリギヤからなり、トルクコンバータ16の出力軸に連結されたサンギヤ31、無段変速機1の入力軸に連結されたキャリア32、ブレーキ33に連結されたリングギヤ34を備えている。
無段変速機1は、駆動側に配置された入力軸に連結されたプライマリプーリ2、従動側に配置された出力軸に連結されたセカンダリプーリ3、及びこれらプライマリプーリ2とセカンダリプーリ3との間に掛け渡されたVベルト4を備え、入力軸から伝達されたトルクを出力軸へ伝達する。この無段変速機1は、プライマリプーリ2の溝幅を油圧制御により変化させる一方、セカンダリプーリ3のVベルト4への挟圧力を油圧制御により保持し、各プーリにおけるVベルト4の掛径をそれぞれ変化させることにより、入力軸と出力軸との回転数の比である変速比を連続的に変化させる。これらプライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3の油圧制御は油圧制御装置40により行われる。
リダクションギヤ18は、車軸の回転方向をエンジン11の出力軸の回転方向に一致させるものである。すなわち、無段変速機1において、その入力軸と出力軸との間で回転方向が反転するが、リダクションギヤ18は、その反転された出力軸の回転方向をさらに反転させて入力軸の回転方向に合わせるものである。
ディファレンシャル19は、リダクションギヤ18の出力を左右の駆動輪12にそれぞれつながるアクセルシャフトに伝達するとともに、車両がカーブを走行するときの左右の駆動輪12の回転差を吸収し、車両のスムーズな走行を実現させる。
次に、上述した無段変速機の構成及び動作について詳細に説明する。
図2は、無段変速機の概略構成を表す説明図である。
無段変速機1は、プライマリプーリ2、セカンダリプーリ3及びVベルト4からなる変速機構と、この変速機構の動作を油圧制御する油圧制御装置40とから構成される。この油圧制御装置40は、CVTECU14から出力された制御指令信号に基づいた油圧制御を行う。
プライマリプーリ2は、無段変速機1の入力軸41と一体に形成された固定輪42と、固定輪42に対向配置された可動輪43とを有する。これら固定輪42と可動輪43との間には、Vベルト4を挟むテーパ状の溝部が形成されている。また、可動輪43のVベルト4と反対側には、可動輪43との間で容積可変のプライマリチャンバ44を形成するケース45が、入力軸41に一体に形成されている。入力軸41の内部には、油圧制御装置40の制御によりプライマリチャンバ44の作動油を給排するための油路46が形成されている。そして、このプライマリチャンバ44の油量を調整することにより、可動輪43を固定輪42に近接又は離間する方向に動作させ、Vベルト4の掛径を変化させる。
セカンダリプーリ3は、無段変速機1の出力軸51と一体に形成された固定輪52と、固定輪52に対向配置された可動輪53とを有する。これら固定輪52と可動輪53との間には、Vベルト4を挟むテーパ状の溝部が形成されている。また、可動輪53のVベルト4と反対側には、可動輪53との間で容積可変のセカンダリチャンバ54を形成するチャンバ壁55が、出力軸51に一体に形成されている。出力軸51の内部には、油圧制御装置40の制御によりセカンダリチャンバ54の作動油を給排するための油路56が形成されている。そして、セカンダリチャンバ54の油量を調整することにより、可動輪53を固定輪52に近接又は離間する方向に動作させ、Vベルト4への挟圧力を保持する。
すなわち、油圧制御装置40の制御により、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3におけるVベルト4の掛径をそれぞれ変化させることにより、入力軸と出力軸との間の変速比が連続的に変化する。その際、セカンダリプーリ3の挟圧力により、Vベルト4が各プーリに対して滑ることを防止又は抑制している。
油圧制御装置40は、オイルポンプ15により油圧源から汲み上げられた作動油を用いてライン圧を生成するライン圧制御装置60と、ライン圧を用いてプライマリプーリ2のプライマリチャンバ44の油量を制御するプライマリ油量制御装置70と、ライン圧を減圧してセカンダリプーリ3へ供給するベルト挟圧を生成するベルト挟圧制御装置80とを備えている。
ライン圧制御装置60は、元圧となるライン圧を生成するために動作するライン圧制御バルブ61と、これを動作制御するライン圧制御ソレノイド62(「第1アクチュエータ」に該当する)を備える。ライン圧制御ソレノイド62は、ライン圧がCVTECU14の指令に基づいて供給される電流値に応じた大きさになるようにライン圧制御バルブ61を駆動する。
プライマリ油量制御装置70は、ライン圧制御装置60にて生成されたライン圧を減圧してプライマリ圧を生成し、プライマリプーリ2のプライマリチャンバ44に流入出する作動油の流量を制御する。プライマリ油量制御装置70は、その作動油の流量を増加させるように動作するアップ変速バルブ71及びこれを動作制御するアップ変速ソレノイド72(「第2アクチュエータ」に該当する)と、その作動油の流量を減少させるように動作するダウン変速バルブ73及びこれを動作制御するダウン変速ソレノイド74とを備える。
アップ変速ソレノイド72及びダウン変速ソレノイド74は、それぞれCVTECU14の指令に基づいて通電がオン・オフされるデュ−ティ制御により動作する。アップ変速ソレノイド72は、そのデューティ比に応じた開口面積が得られるようにアップ変速バルブ71を駆動し、ライン圧の作動油のプライマリチャンバ44への給入量を調整する。一方、ダウン変速ソレノイド74は、CVTECU14の指令に基づいて供給される電流のデューティ比に応じた開口面積が得られるようにダウン変速バルブ73を駆動し、プライマリチャンバ44内からの作動油の排出量を調整する。
すなわち、変速制御を停止する場合には、アップ変速ソレノイド72及びダウン変速ソレノイド74への通電を停止する。シフトダウン変速制御を行う場合は、アップ変速ソレノイド72への通電を停止した状態で、ダウン変速ソレノイド74にCVTECU14の指令に基づいたデューティ比で通電を行う。シフトアップ変速制御を行う場合は、ダウン変速ソレノイド74への通電を停止した状態で、アップ変速ソレノイド72にCVTECU14の指令に基づいたデューティ比で通電を行う。
ベルト挟圧制御装置80は、ライン圧制御装置60にて生成されたライン圧を減圧してベルト挟圧を生成するベルト挟圧制御バルブ81と、これを動作制御するベルト挟圧制御ソレノイド82(「第3アクチュエータ」に該当する)を備える。ベルト挟圧制御ソレノイド82は、ベルト挟圧がCVTECU14の指令に基づいて供給される電流値に応じた大きさになるように、ベルト挟圧制御バルブ81を駆動する。なお、図示のように、ベルト挟圧制御バルブ81は、セカンダリプーリ3へ向う作動油を外部(他の油圧系など)に放出する方向に開くため、開度0%のときにベルト挟圧が最大になる。
このように、無段変速機1においては、ライン圧制御バルブ61を制御するライン圧制御ソレノイド62と、ベルト挟圧制御バルブ81を制御するベルト挟圧制御ソレノイド82が、別個独立した油圧アクチュエータとして設けられている。
そして、CVTECU14は、目標値となる変速比である目標変速比と現在の変速比である実変速比との偏差を用いたフィードバック制御を行う。すなわち、制御量を目標変速比と実変速比との差に比例した大きさとすることにより実変速比を目標変速比に徐々に近づける比例制御、比例制御のみでは解消できない定常偏差を詰めるための積分制御、及び時定数を小さくして実変速比を目標変速比に素早く近づけるための微分制御を含むPID制御を行い、変速制御のために各ソレノイドに出力すべき制御指示値を演算する。油圧制御装置40では、この制御指示値に基づいて各ソレノイドが駆動されて各バルブを動作制御し、目標変速比が得られるようにプライマリチャンバ44へ給排する作動油の油量及びセカンダリチャンバ54へ給排する作動油の圧力(ベルト挟圧)を調整する。
次に、本実施の形態に係る油圧制御装置の異常検出処理について説明する。
この異常検出処理は、ライン圧の生成機能の異常とプライマリプーリ2の油量の調整機能の異常をそれぞれ検出するものであり、エンジン始動時から所定の時間間隔で繰り返し実行される。図3は、CVTECUが実行する異常検出処理の流れを表すフローチャートである。同図は、車両の停車時に行われるライン圧の生成機能の異常検出処理を示している。以下、この異常検出処理の流れを各フローチャートのステップ番号(以下「S」で表記する)を用いて説明する。
CVTECU14は、まず、ライン圧の異常検出開始条件が成立したか否かを判断する(S1)。すなわち、このライン圧の異常検出処理においては、ライン圧の制御指示値を通常の制御領域にないところまで意図的に変化させ、その変化に対応した油圧が検出されているか否かにより異常検出を行う。このため、安全性を確保するために車両が走行しているときには行わない。ここでは、その異常検出開始条件を、シフトポジションがPレンジであり、ブレーキペダル及びアクセルペダルがともに踏み込まれておらず、さらにエンジン11がアイドリング中であることに設定している。なお、これらの条件の成立の有無は、上述したシフトポジションセンサ、ブレーキストロークセンサ、アクセル開度センサ及びエンジン回転数センサの出力信号に基づいて判定することができる。
このとき、異常検出開始条件が成立したと判断されると(S1:YES)、続いて、ベルト挟圧制御ソレノイド82への制御指示値を0%にして、ベルト挟圧が最大になるようにする(S2)。
そして、ライン圧の異常検出処理を行う(S3)。ここでは、ライン圧制御ソレノイド62の制御指示値を0%〜100%の間で複数段階に設定し、そのときのベルト挟圧センサの出力値が、その制御指示値に本来対応すべき値になっているか否かにより判断する。例えば、ライン圧制御ソレノイド62の制御指示値を0%,20%,40%,60%,80%,100%と変化させ、これに対応するベルト挟圧センサの出力値が、それぞれ誤差を考慮した所定範囲内であるか否かを判定する。このとき、そのベルト挟圧センサの出力値がその所定範囲内にあればライン圧の生成機能は正常であると判断し、所定範囲外であればライン圧の生成機能が異常であると判断してこれを検出する。
その間、ライン圧の異常検出中止条件が成立したか否かも判断する(S4)。ここでは、その異常検出中止条件を上記異常検出開始条件が成立しなくなったことを条件としている。このとき、異常検出中止条件が成立したと判断されると(S4:YES)、一連の処理を終了する。すなわち、ドライバの操作等によって車両が走行を開始すると、この異常検出処理を継続することがその走行を妨げるため、処理を中止するようにしている。
一方、異常検出中止条件が成立していないと判断されると(S4:NO)、続いて、上記異常検出処理の過程でライン圧の異常が検出されたか否かを判断する(S5)。このとき、異常検出がない場合には(S5:NO)、一連の処理を終了する。一方、異常検出がなされていれば(S5:YES)、その段階で「ライン圧が異常」である旨を車室内の所定の警告ランプ又は表示装置等に表示し(S6)、所定のフェイルセーフ処理を行って処理を終了する(S7)。なお、本処理での異常情報及び正常情報については、次回の処理のためにEEPROMなどに記憶しておく。
このフェイルセーフ処理では、上記異常検出処理により、ベルト挟圧センサの出力値が上記所定範囲を超える増圧側異常と判定された場合には、例えばエンジンECU13によるスロットル開度制御に上限ガード値(例えばスロットル開度:10%)を設ける。すなわち、ライン圧が高すぎた状態で車速が上がると、大きなベルト挟圧によりVベルト4の耐久性が悪くなる可能性があるため、これを防止するものである。あるいは、アイドリング時のエンジン回転数を上げて、前後進切換装置17のクラッチの急激な係合によるエンジンストールを防止するようにしてもよい。なお、上記においては述べなかったが、前後進切換装置17のクラッチの係合は、ライン圧を用いて調圧される。
また、ベルト挟圧センサの出力値が上記所定範囲を下まわる減圧側異常と判定された場合には、例えばエンジンECU13によるスロットル開度制御に上限ガード値(例えばスロットル開度:10%)を設ける。これは、減圧側異常の場合には十分なベルト挟圧が得られずにVベルト4が滑って車両の走行が困難になる可能性があるため、滑りが発生しない最低限の速度で車両を走行させるものである。
図4は、CVTECUが実行する異常検出処理の流れを表すフローチャートである。同図は、車両の走行中に行われるプライマリプーリ2の油量の調整機能の異常検出処理を示している。図5及び図6は、この異常検出処理の演算過程に用いられる演算マップを表す説明図である。図5は、アップ変速ソレノイド72のデューティ比とアップ変速バルブ71の開口面積との関係を示し、横軸がそのデューティ比DUTYを表し、縦軸が開口面積Ainを表している。図6は、プライマリプーリ2のVベルト4の掛径と変速比との関係を示し、横軸がそのベルト掛径Rinを表し、縦軸が変速比γを表している。以下、この異常検出処理の流れを各フローチャートのステップ番号(以下「S」で表記する)を用いて説明する。
図4に示すように、CVTECU14は、まず、車速センサの出力信号に基づいて車速が所定車速VO(例えば10km/h)以上であるか否かを判断する(S11)。このとき、車速が所定車速よりも低い場合には(S11:NO)、一旦処理を終了する。すなわち、車速が極低速である場合には無段変速機1による変速動作が行われず変速比が変化しないため、後述する異常検出そのものがなし得ない。そこで、このような場合には異常検出処理を中止し、CVTECU14の処理負荷を軽減するものである。
車速が所定車速以上であると判断されると(S11:YES)、続いて、油温センサの出力信号に基づいて油温が予め設定した有効温度範囲である温度T1(例えば50℃)以上T2(例えば100℃)以下であるか否かを判断する(S12)。このとき、油温が有効温度範囲内にない場合には(S12:NO)、一旦処理を終了する。すなわち、油温が低すぎると、作動油の粘性が大きくて制御指示値どおりの油圧に高まるのが遅れ、油圧制御装置40が正常であっても適正な変速比が得られない可能性がある。一方、油温が高すぎると、車両に何らかの異常が発生している可能性がある。ここでは、後述のように変速比を用いて異常検出を行うため、油温が適正な変速比が得られる有効温度範囲にあることを異常検出開始の条件としている。
油温が有効温度範囲内にあると判断されると(S12:YES)、続いて、アップ変速ソレノイド72への通電が行われ、アップ変速ソレノイド72が動作中であるか否かを判断する(S13)。この判断は、CVTECU14自身がアップ変速ソレノイド72の通電制御を行っているか否かにより判断される。このとき、アップ変速ソレノイド72への通電制御が行われていない場合には(S13:NO)、一旦処理を終了する。
アップ変速ソレノイド72の動作中であると判断されると(S13:YES)、続いて上記タイマを起動し、これから行う算出処理の算出時間の計測を開始する(S14)。
そして、プライマリチャンバ44への所定時間T内の流入油量を、以下の物理モデルを用いて算出する。なお、この所定時間Tには、高精度な異常検出を行うために十分な流入油量が得られる程度の時間が予め設定される。
この物理モデルでは、プライマリチャンバ44における微小時間の流入油量であるプライマリ油室流入油量Qinを所定のサンプリング間隔で算出する(S15)。
すなわち、まず、下記式(1)によりプライマリ圧Pinを推定する。
Figure 2007270937
ここで、ベルト挟圧Poutは、上述したベルト挟圧センサにより検出される。入力軸回転数Ninは、入力軸回転数センサにより検出され、出力軸回転数Noutは、出力軸回転数センサにより検出される。また、プライマリプーリ油圧ピストン面積Sinは、アップ変速バルブ71又はダウン変速バルブ73の受圧面積であり、セカンダリプーリ油圧ピストン面積Soutは、ベルト挟圧制御バルブ81の受圧面積である。さらに、プライマリプーリ入力トルク推定値Tinは、無段変速機1の入力軸41に加わるトルクの推定値であり、エンジンECU13にて算出された値を受信して用いる。なお、このトルクの推定値は、エンジン11の吸入空気量とエンジン回転数からトルクが求まる図示しない制御マップから算出される。また、プライマリプーリ遠心油圧係数Kin,セカンダリプーリ遠心油圧係数Kout,推力比係数a,b,c,dについては、実験により求められる。さらに、変速比γは、入力軸回転数Nin及び出力軸回転数Noutを用いて下記式(2)により求められる。
Figure 2007270937
そして、ライン圧制御ソレノイド62への制御指示値から推定されるライン圧PLと、上述のように算出されるプライマリ圧Pinとの差圧ΔPを求め、これを下記式(3)に代入することによりプライマリ油室流入油量Qinを算出する。
Figure 2007270937
なお、上記式(3)におけるアップ変速バルブの開口面積は、図5の演算マップから求められる。すなわち、アップ変速ソレノイド72のデューティ比からアップ変速バルブ71の開口面積Ainが求まる。流量係数Cinと作動油の密度であるオイル密度ρには、予め設定又は測定した値が用いられる。
このプライマリ油室流入油量Qinの算出を、所定時間Tが経過するまで継続する。すなわち、この演算処理が継続される中で、上記所定時間Tが経過したか否かを判断する(S16)。このとき、所定時間Tが未経過の場合には(S16:NO)、S15に戻って演算処理を継続する。
そして、所定時間Tが経過すると(S16:YES)、サンプリングされたプライマリ油室流入油量Qinに基づき、所定時間T内の推定流入油量V1を、下記式(4)により算出する(S17)。
Figure 2007270937
続いて、プライマリチャンバ44への所定時間T内の実際の流入油量(「実流入油量」に該当する)を、変速比を用いて算出する(S18)。
この実流入油量V2は、下記式(5)により算出される。
Figure 2007270937
ここで、上記式(5)における時間t=0のときのベルト掛径Rin(γt=0)と、時間t=Tのときのベルト掛径Rin(γt=T)は、図6の演算マップから求められる。また、比例係数αは、ベルト掛径Rinとプライマリプーリ2の可動輪43の変位量との間の比例定数である。すなわち、流入油量は、上記プライマリプーリ油圧ピストン面積Sinと可動輪43の変位量との乗算値から得られる一方、プライマリプーリ2におけるVベルト4のベルト掛径Rinと可動輪43の変位量とは比例関係にある。ここでは、プライマリプーリ2のVベルト4の掛径と変速比との関係を示す演算マップを用いるため、そのベルト掛径Rinに対して比例係数αを乗算することにより、流入油量が得られるようにしている。なお、各時間の変速比については上記式(2)により求められる。
そして、推定流入油量V1と実流入油量V2から下記式(6)に基づくプライマリプーリ2の油量の調整機能の異常判定を行う(S19)。
Figure 2007270937
すなわち、実流入油量V2から推定流入油量V1を減算した減算値(V2−V1)が正の第1基準値C1以上であった場合には、増圧側異常と判定される。また、その減算値(V2−V1)が負の第2基準値C2以下であった場合には、減圧側異常と判定される。さらに、その減算値(V2−V1)の絶対値が、第1基準値C1及び第2基準値C2の絶対値よりも小さい第3基準値C3以下であった場合には、正常と判定される。なお、減算値(V2−V1)がいずれの判定領域にも属さない場合には、プライマリプーリ2の油量の調整機能が正常であるか異常であるかが微妙で判定できないため、前回の判定結果を引き継ぐことにする。
なお、これらの各基準値C1,C2,C3は、例えば実車試験などを行って適合値を設定する。例えば、実車試験において意図的にアップ変速ソレノイド72の断線状態を形成したり、アップ変速バルブ71の弁開度を固定するなどして、そのときの減算値(V2−V1)と無段変速機1の動作状況(Vベルト4の滑り具合による変速比の制御性など)を記録しておく。そして、その動作状況が車両の走行に支障をきたすと判断される境界値を決め、その境界値を基準にして各基準値C1,C2,C3を設定するようなことが考えられる。
そして、上記異常検出処理により異常が検出されたか否かを判断する(S20)。このとき、異常検出がない場合には(S20:NO)、一連の処理を終了する。一方、異常検出がなされていれば(S20:YES)、その旨を車室内の所定の警告ランプ又は表示装置等に表示し(S21)、所定のフェイルセーフ処理を行って処理を終了する(S22)。なお、本処理での異常情報及び正常情報については、次回の処理のためにEEPROMなどに記憶しておく。
ここでは、上記異常検出処理により増圧側異常と判定された場合には、例えばダウン変速ソレノイド74への制御指示値の出力係数を上げて作動油の流量を速やかに減少させるようにする。これにより、車両の停車時のベルト戻り不良を防止することができる。あるいは、ベルト挟圧制御ソレノイド82を制御してベルト挟圧を大きくし、シフトダウン変速制御を補助するようにしてもよい。
また、減圧側異常と判定された場合には、例えばエンジンECU13によるスロットル開度制御に上限ガード値(例えばスロットル開度:10%)を設けるようにしてもよい。すなわち、シフトアップしない状態で車速が上がると、アクセルペダルの踏み込みを解除したときに大きなエンジンブレーキがかかる可能性があるため、これを防止するものである。
なお、本実施の形態において、CVTECU14が、ライン圧制御手段、プライマリ油量制御手段、推定流入油量算出手段、実流入油量算出手段、システム異常検出手段及びライン圧異常検出手段に該当する。
以上に説明したように、本実施の形態の無段変速機の制御装置においては、車両の停車時においてベルト挟圧を最大にした状態でライン圧の制御指示値を変化させることで、ライン圧の生成機能の異常を検出することができる。すなわち、ライン圧とベルト挟圧とを別個独立した油圧アクチュエータにより制御する構成でありながら、ライン圧の生成機能の異常を検出することができる。
また、物理モデルから算出される推定流入油量V1と実変速比から算出される実流入油量V2とに基づいてプライマリプーリ2の油量の調整機能の異常をも検出することができる。物理モデルを用いるため、プライマリプーリ2への流入油量を検出するためのセンサなどの検出装置を設ける必要もない。
なお、上記実施の形態においては、図4のフローチャートに示される処理によってプライマリプーリ2の油量の調整機能の異常検出を行った例を示したが、同様の処理によってライン圧の生成機能の異常検出を行うこともできる。すなわち、プライマリプーリ2の油量の調整機能が正常であることを前提として同様の処理を行った場合、ライン圧の生成機能に異常があれば、推定流入油量V1と実流入油量V2との差が大きくなる。そこで、実流入油量V2から推定流入油量V1を減算した減算値(V2−V1)が、正の第1基準値C1以上であった場合には増圧側異常と判定し、負の第2基準値C2以下であった場合には減圧側異常と判定し、その減算値(V2−V1)の絶対値が第1基準値C1及び第2基準値C2の絶対値よりも小さい第3基準値C3以下であった場合には、正常と判定するようにしてもよい。なお、これらの基準値C1,C2,C3についても、別途実車試験などを行ってその適合値を設定することになる。プライマリプーリ2の油量の調整機能が正常であることについては、例えばライン圧制御ソレノイド62の断線を検出する手段(「回路異常検出手段」に該当する)等を設けておき、その検出がなければ正常と判断するようなことが考えられる。
この場合には、予めプライマリプーリ2の油量の調整機能が正常であることを検出しておいて、その後にライン圧の生成機能の異常を検出することになるが、その逆の判断手法をとってもよい。すなわち、図4のフローチャートに示される処理によってプライマリプーリ2の油量の調整機能又はライン圧の生成機能のいずれかが異常であることを検出した後、ライン圧制御ソレノイド62の断線等の有無を検出し、その検出があればライン圧の生成機能が異常であると判断し、その検出がなければプライマリプーリ2の油量の調整機能が異常であると判断してもよい。
このように物理モデルからライン圧の生成機能の異常を検出するという観点では、例えばセカンダリプーリ3へ供給する作動油の油量を基準に検出することも可能であると考えられる。しかし、ベルト挟圧はそもそもそれ程大きく変化するものではないため、車両の走行中のセカンダリプーリ3への流入油量の変化も小さい。このため、上述のような推定流入油量V1と実流入油量V2との比較により異常検出を行うのは難しいと考えられる。したがって、物理モデルを用いた異常検出を行う場合には、プライマリプーリ2へ供給する作動油の油量を基準に検出するのが効果的であると考えられる。
また、上記実施の形態においては述べなかったが、車両がいわゆるクルーズ制御装置を搭載している場合には、上記異常検出をそのクルーズ制御中に行うと効果的である。クルーズ制御中はドライバの意図に影響されることなく車両の加速が実施されるため、そのタイミングに合わせて異常検出を行えば都合がよいからである。
さらに、上記実施の形態では、推定流入油量V1及び実流入油量V2の算出に際し、作動油の流入時間として所定時間Tを設定したが、シフトアップ変速制御が開始されてからそれが終了するまでの期間を設定してもよい。このようにすれば最大の流入油量で比較できるため、より高精度な異常検出を行うことができる。なお、このような所定期間が短時間であった場合には十分な作動油の流入油量が得られないため、異常検出を中止するようにしてもよい。また、このような所定期間内に変速比が大きく変動する場合には推定流入油量V1と実流入油量V2との適正な対比ができなくなる可能性がある。このため、変速比が所定値以上変動する場合には、異常検出を中止するようにしてもよい。さらに、プライマリプーリ2の回転速度やセカンダリプーリ3の回転速度が所定値以下の場合にも、異常検出を中止するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、車速が所定車速よりも低い場合に異常検出を行わないようにしたが、車速の変動が所定値以内の場合にも十分な作動油の流入油量が得られないとして、異常検出を行わないようにしてもよい。
また、上記実施の形態では述べなかったが、図4のS15〜S19の処理の過程でVベルト4の滑りが検出された場合には、制御指示値どおりの変速比が得られない可能性がある。このため、ベルト滑りが検出された場合には、異常検出を中止するようにするのが好ましい。なお、このベルト滑りの有無は、入力軸の回転数と出力軸の回転数との関係から判断することができる。その場合、CVTECU14がベルト滑り検出手段に該当する。
さらに、上記実施の形態では、上記式(6)に示したように、減算値(V2−V1)の絶対値が第3基準値C3以下であった場合に正常と判定した例を示したが、減算値(V2−V1)が第2基準値C2よりも大きくて第1基準値C1よりも小さい場合に正常と判定してもよい。
本実施の形態に係る無段変速機を含む車両制御システムの構成を表すシステム構成図である。 無段変速機の概略構成を表す説明図である。 CVTECUが実行する異常検出処理の流れを表すフローチャートである。 CVTECUが実行する異常検出処理の流れを表すフローチャートである。 異常検出処理の演算過程に用いられる演算マップを表す説明図である。 異常検出処理の演算過程に用いられる演算マップを表す説明図である。 従来の油圧制御装置及びその周辺の概略構成を表す説明図である。
符号の説明
1 無段変速機
2 プライマリプーリ
3 セカンダリプーリ
4 Vベルト
11 エンジン
13 エンジンECU
14 CVTECU
40 油圧制御装置
60 ライン圧制御装置
61 ライン圧制御バルブ
62 ライン圧制御ソレノイド
70 プライマリ油量制御装置
71 アップ変速バルブ
72 アップ変速ソレノイド
73 ダウン変速バルブ
74 ダウン変速ソレノイド
80 ベルト挟圧制御装置
81 ベルト挟圧制御バルブ
82 ベルト挟圧制御ソレノイド

Claims (11)

  1. 油圧回路を制御することによって、ベルトが掛け渡されたプーリの径を変化させることによって変速比を制御する無段変速機の制御装置であって、
    油圧源の油圧からライン圧を生成するバルブの開度を制御するライン圧制御手段と、
    前記ライン圧からプライマリ圧を生成し、プライマリプーリに供給される油量を調整するバルブの開度を制御するプライマリ油量制御手段と、
    前記ライン圧制御手段の制御量と前記プライマリ油量制御手段の制御量とをパラメータとして含む油圧回路の物理モデルを用いて、前記プライマリプーリ内への所定期間内の推定流入油量を、算出する推定流入油量算出手段と、
    実変速比に基づいて、前記プライマリプーリ内への前記所定期間内の実流入油量を算出する実流入油量算出手段と、
    前記推定流入油量と前記実流入油量とに基づいて、変速比を制御する制御系の異常を検出するシステム異常検出手段と、
    を備えることを特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. 前記ライン圧からセカンダリプーリに供給されるベルト挟圧を生成するバルブの開度を制御するベルト挟圧制御手段と、
    前記システム異常検出手段によって異常が検出される場合に、ベルト挟圧を検出するベルト挟圧検出手段の検出状態に基づき、前記ライン圧を生成する制御系の異常を検出するライン圧異常検出手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
  3. 前記ライン圧異常検出手段は、前記ベルト挟圧制御手段により前記ベルト挟圧を生成するバルブを前記ベルト挟圧が最大となる状態に制御させた状態で、前記ライン圧制御手段により前記ライン圧を生成するバルブの開度を変化させるように制御させ、そのとき前記ベルト挟圧検出手段により検出されるベルト挟圧と、そのときの制御指示値に対応して得られるべきベルト挟圧とのずれが所定範囲外の場合に、前記ライン圧の生成機能が異常であると判定することを特徴とする請求項2記載の無段変速機の制御装置。
  4. 前記プライマリプーリに供給される油量を調整するバルブを駆動する駆動回路の異常を検出する回路異常検出手段と、
    前記システム異常検出手段により少なくとも一方の異常が検出された場合に、前記回路異常検出手段の検出状態に基づき、前記ライン圧の生成機能及び前記プライマリプーリの油量の調整機能のいずれの異常であるかを判定するライン圧異常検出手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
  5. 前記システム異常検出手段は、
    前記実流入油量から前記推定流入油量を減算した減算値が正の第1基準値以上であった場合に増圧側異常を検出し、
    前記減算値が負の第2基準値以下であった場合に減圧側異常を検出し、
    前記減算値が前記第2基準値よりも大きく、前記第1基準値よりも小さい所定の範囲内にあった場合に正常を検出すること、
    を特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
  6. 前記所定期間が、前記無段変速機によるアップ変速動作開始からそのアップ変速動作終了までの期間に設定されたことを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
  7. 前記システム異常検出手段は、車速の変動が所定値以内の場合には、異常検出を行わないことを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
  8. 前記システム異常検出手段は、ベルト滑り検出手段によりベルト滑りが検出された場合には、異常検出を行わないことを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
  9. 前記システム異常検出手段は、クルーズ制御による加速中に異常検出を行うことを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
  10. 前記所定期間内に変速比が所定値以上変動する場合には異常検出を中止することを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
  11. プライマリプーリ回転速度、セカンダリプーリ回転速度が所定値以下の場合には異常検出を中止することを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装置。
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