以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明のロックアップクラッチの制御装置が適用された車両用動力伝達装置10の骨子図である。この車両用動力伝達装置10は横置き型自動変速機であって、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の駆動力源としてエンジン12を備えている。内燃機関にて構成されているエンジン12の出力は、エンジン12のクランク軸13、流体伝動装置としてのトルクコンバータ14から前後進切換装置16、入力軸36、ベルト式無段変速機(CVT)18、減速歯車装置20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配される。上記トルクコンバータ14、前後進切換装置16、自動変速機としてのベルト式無段変速機18などにより動力伝達機構が構成されている。
エンジン12の吸気配管31には、図示しないスロットルアクチュエータを用いてエンジン12の吸入空気量を電気的に制御するための電子制御スロットル弁80が備えられている。電子制御装置60(図2参照)により、運転者の出力要求量を表すアクセル操作量であるアクセル開度Accなどに応じて上記電子制御スロットル弁80の開閉制御および燃料噴射制御等が行われることによりエンジン12の出力が増減制御される。
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられており、油圧制御回路86(図2参照)のロックアップコントロール弁などによって係合側油室15および解放側油室17に対する油圧供給が切り換えられることにより、ロックアップクラッチ26の作動状態が係合(締結或いは締結状態と同じ)または解放(解放状態と同じ)されるようになっており、係合させられることによってポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tは一体回転させられる。この係合によってエンジン12とベルト式無段変速機18との間は、上記前後進切換装置16において動力伝達経路が成立させられる場合には実質的に直結されたことになる。上記ポンプ翼車14pには、ベルト式無段変速機18を変速制御したりベルト挟圧力を発生させたり、或いは各部に潤滑油を供給したりするための油圧を発生する機械式のオイルポンプ28が設けられている。上記タービン軸34は、トルクコンバータ14の出力側部材に相当する。
前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに一体的に連結され、ベルト式無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに一体的に連結されている一方、キャリア16cとサンギヤ16sは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ16rは後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は断続装置に相当するもので、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置であり、前進用クラッチC1が係合させられるとともに後進用ブレーキB1が解放されることにより、前後進切換装置16は一体回転状態とされることにより前進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、前進方向の駆動力がベルト式無段変速機18側へ伝達される一方、後進用ブレーキB1が係合させられるとともに前進用クラッチC1が解放されることにより、前後進切換装置16は後進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、入力軸36はタービン軸34に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力がベルト式無段変速機18側へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されると、前後進切換装置16は動力伝達を遮断するニュートラル(遮断状態)になる。
ベルト式無段変速機18は、前記入力軸36に設けられた入力側部材である有効径が可変の入力側可変プーリ42と、出力軸44に設けられた出力側部材である有効径が可変の出力側可変プーリ46と、それ等の可変プーリ42、46に巻き掛けられた摩擦接触する動力伝達部材として機能する伝動ベルト48とを備えており、可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。可変プーリ42および46は、入力軸36および出力軸44にそれぞれ固定された固定回転体42aおよび46aと、入力軸36および出力軸44に対して軸まわりの相対回転不能かつ軸方向の移動可能に設けられた可動回転体42bおよび46bと、それらの間のV溝幅が可変とする推力を付与する入力側油圧シリンダ42cおよび出力側油圧シリンダ46cとを備えて構成されており、入力側可変プーリ42の油圧シリンダの油圧が制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が連続的に変化させられる。
図2は、図1のエンジン12やベルト式無段変速機18などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図で、電子制御装置60には、エンジン回転速度センサ62、タービン回転速度センサ64、入力軸回転速度センサ65、車速センサ66、アイドルスイッチ付きスロットルセンサ68、冷却水温センサ70、CVT油温センサ72、アクセル開度センサ74、フットブレーキスイッチ76、レバーポジションセンサ78、エアコンスイッチ92などが接続され、エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)NE、タービン軸34の回転速度(タービン回転速度)NT、入力軸36の回転速度(入力軸回転速度)NIN、車速V、電子スロットル弁80の全閉状態(アイドル状態)およびその開度(スロットル弁開度)θTH、エンジン12の冷却水温TW 、ベルト式無段変速機18やロックアップクラッチ26等の油圧回路の油温TCVT、アクセルペダル等のアクセル操作部材の操作量であるアクセル開度Acc、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無、シフトレバー77のレバーポジション(操作位置)PSH、エアコンの作動の有無などを表す信号が供給されるようになっている。タービン回転速度NTは、前進用クラッチC1が係合させられた前進走行時には入力軸回転速度NINと一致し、車速Vはベルト式無段変速機18の出力軸44の回転速度(出力軸回転速度)NOUTに対応する。また、アクセル開度Accは運転者の出力要求量を表している。また、上記レバーポジションセンサ78は、たとえばニュートラル位置検出スイッチ、ドライブ位置検出スイッチ、エンジンブレーキ位置検出スイッチ、リバース位置検出スイッチなどの複数のスイッチを備えている。
電子制御装置60は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御やベルト式無段変速機18の変速制御、ベルト挟圧力制御、ロックアップクラッチ26の係合、解放制御、などを実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用と変速制御用とに分けて構成される。エンジン12の出力制御は電子スロットル弁80、燃料噴射装置82、点火装置84などによって行われ、ベルト式無段変速機18の変速制御、ベルト挟圧力制御、およびロックアップクラッチ26の係合、解放制御は、何れも油圧制御回路86によって行われる。油圧制御回路86は、電子制御装置60により励磁されて油路を開閉するソレノイド弁や油圧制御を行うリニアソレノイド弁、それらのソレノイド弁から出力される信号圧に従って油路を開閉したり油圧制御を行ったりする開閉弁、調圧弁などを備えて構成されている。
また、ベルト式無段変速機18の変速制御については、電子制御装置60は例えば図3に示すように運転者の出力要求量を表すアクセル操作量Accおよび車速Vをパラメータとして予め定められた変速マップから入力側の目標回転速度NIN *を算出し、実際の入力軸回転速度NINが目標回転速度NIN *と一致するように、それ等の偏差に応じて無段変速機18の変速制御、すなわち入力側可変プーリ42の油圧シリンダ42cに対する作動油の供給、排出によって変速制御圧PBELTが制御され、変速比γが連続的に変化させられる。図3のマップは変速条件に相当するもので、車速Vが小さくアクセル操作量Accが大きい程大きな変速比γになる目標回転速度NIN *が設定されるようになっている。また、車速Vは出力軸回転速度NOUTに対応するため、入力軸回転速度NINの目標値である目標回転速度NIN *は目標変速比に対応し、無段変速機18の最小変速比γminと最大変速比γmaxの範囲内で定められている。
また、ロックアップクラッチ26のロックアップクラッチ制御については、ロックアップクラッチ26の係合トルクすなわち係合力を連続的に制御可能なものであり、電子制御装置60は例えば図4に示すようにスロットル弁開度θTHおよび車速Vをパラメータとして予め記憶された解放領域(ロックアップオフ領域)と係合領域(ロックアップオン領域)との境界線を有するマップ(関係)から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいてロックアップクラッチ26の作動状態を制御するロックアップクラッチ制御手段100を機能的に備えていて、ロックアップクラッチ26のオン、オフを切り換えるためにロックアップソレノイドSLを制御する。また、このロックアップクラッチ26のオン、オフの切換制御では、その切換制御における係合或いは解放ショックを抑制するために、ロックアップクラッチ26の作動油圧PLUを漸増或いは漸減するためにロックアップ作動圧ソレノイドDSUをデューティ制御する。また、減速走行時ロックアップ制御は、たとえば、スロットル開度θTHが零と判定される値で惰行走行(減速走行)する前進走行時において、ロックアップクラッチ26を係合することで駆動輪側からの逆入力をエンジン12側へ、タービン回転速度NTおよびエンジン回転速度NEが略一致された状態で伝達する。これによってエンジン回転速度NEは車両の減速にしたがって緩やかに減少させられる。このようにロックアップクラッチ26が係合させられると、エンジン回転速度NEがタービン回転速度NTまで引き上げられるため、ロックアップクラッチ26の解放時に比較してエンジン12に対する燃料供給を停止するフューエルカット領域(車速範囲)が拡大されて燃費が向上する。
図5は油圧制御回路86のロックアップクラッチ26の制御に関する油圧回路部分としてのロックアップ制御部200の一例を示す図であり、ロックアップコントロール弁250を備えロックアップクラッチのオン、オフを制御する。
ロックアップコントロール弁250は、互いに当接可能で且つ両者間にスプリング202が介在させられた第1スプール弁子204および第2スプール弁子206と、その第1スプール弁子204の軸端側に設けられ、第1スプール弁子204および第2スプール弁子206を係合(ON)側の位置へ付勢するためにロックアップ作動圧ソレノイドDSUの作動圧PDSUを受け入れる油室208と、第1スプール弁子204および第2スプール弁子206を解放(OFF)側位置へ付勢するために第2ライン圧PL2を受け入れる油室210と、第1スプール弁子204を解放(OFF)側位置へ付勢するためにロックアップソレノイドSLの作動圧PSLを受け入れる油室212とを備えている。第1スプール弁子204がその解放側位置に位置すると、入力ポート214に供給された第2ライン圧PL2が解放側ポート216からトルクコンバータ14の解放側油室17へ供給されると同時に、トルクコンバータ14の係合側油室15内の作動油が係合側ポート218から排出ポート220を経てクーラバイパス弁224或いはオイルクーラ226へ排出させられて、ロックアップクラッチ26の係合圧すなわち差圧ΔP(=係合側油室32内の油圧−解放側油室34内の油圧)が低められる。反対に、第1スプール弁子204がその係合側位置に位置すると、入力ポート222に供給された第2ライン圧PL2が係合側ポート218からトルクコンバータ14の係合側油室15へ供給されると同時に、トルクコンバータ14の解放側油室17内の作動油が解放側ポート216から排出ポート228を経て排出されて、ロックアップクラッチ26の係合圧が高められる。
したがって、前記電子制御装置60はロックアップクラッチ26のオン、オフを切り換えるためにロックアップ作動圧ソレノイドDSUおよびロックアップソレノイドSLを制御する油圧指令値SPを油圧制御回路86へ出力する。図6は、ロックアップクラッチ26の締結状態から解放状態とする場合のその油圧指令値SPの一例であり、縦軸はその油圧指令値SPによるロックアップクラッチ26の作動油圧PLUの指令油圧値である。この指令油圧値はロックアップクラッチ26の実際のトルク容量である実トルク容量を設定するための目標となる目標トルク容量に対応するものであり、図6では油圧指令値SPの大きさが実トルク容量を示すように画かれている。したがって、ロックアップクラッチ26の実トルク容量はその油圧指令値SPに従って制御されることになる。図6によれば、tS時点より前ではロックアップクラッチ26は所定の締結圧としての指令油圧値PLUONで締結状態とされるように前記ロックアップ作動圧ソレノイドDSUの作動圧PDSUおよび前記ロックアップソレノイドSLの作動圧PSLが制御される。そして、tS時点でロックアップクラッチ26の解放指令が出されると指令油圧値は解放初期圧PLUFまで急低下させられその後、t0時点での所定の解放圧としての指令油圧値PLUOFFとなるようにtE時点まで漸減されるように前記作動圧PDSUおよび前記作動圧PSLが制御されて、ロックアップクラッチ26は解放状態とされる。但し、実際にはロックアップクラッチ26の上記実トルク容量がロックアップクラッチ26の必要トルク容量より低下すれば、ロックアップクラッチ26は解放が開始されることになる。したがって、図6に示すように指令油圧値が解放初期圧PLUFから解放圧としての指令油圧値PLUOFFまで漸減される間となるtR時点で実トルク容量が必要トルク容量より低下することとなって、その解放が開始される解放開始ポイントとなり、tS時点乃至tR時点がロックアップクラッチ26が実際に解放されるまでの時間である解放時間αとなる。
上記必要トルク容量はロックアップクラッチ26のすべりを生じさせないための最小トルク容量であり、車両の減速走行時のロックアップオン状態では駆動輪からの逆入力によるタービン回転速度NT(この場合には入力回転速度NINと同じ)に相当する負トルクと車両の減速に伴ってエンジン回転速度NEが減少することによるエンジンから放出されるエンジンクランク軸系のイナーシャトルクとのそれぞれの絶対量の差によって決定される。従って、エンジンクランク軸系のイナーシャトルクが車両の減速状態によって変化することからこの必要トルク容量も変化することとなり、上記油圧指令値SPによる解放初期圧PLUFが一定であるとロックアップクラッチ26の解放タイミングが変化して上記解放ポイント(解放時間αと同じことを表す)が変化する、すなわちその解放ポイントが車両の減速状態に応じてばらつくこととなる。このため、車両停止前(車両減速走行から車両停止までの間)における自動変速機の変速を決定する変速線の設定次第では、たとえば本実施例におけるベルト式無段変速機18では、エンジン回転速度NE(或いは、入力軸回転速度NIN)を維持したり再発進のために車両停止前の減速に従って変速比を大きくしていくように変速制御されるため車両停止前の上記解放ポイントの違いによって変速比が異なる設定となり、ロックアップオン状態からロックアップオフ状態となるときの解放ショックの大きさが車両の減速状態の違いによってばらつくこととなって、ドライバビリティーが悪化する可能性があった。
図7は、前記電子制御装置60が備えている車両減速走行時のロックアップクラッチ26の制御を実行する制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図において走行状態読込手段110は、現在の車両の走行状態を車両に備えられている各センサから読み込む。たとえば、エンジン回転速度センサ62、タービン回転速度センサ64、入力軸回転速度センサ65、車速センサ66、スロットルセンサ68、アクセル操作量(開度)センサ74、レバーポジションセンサ78、CVT油温センサ72、エアコンスイッチ92などから、エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)NE、タービン軸34の回転速度(タービン回転速度)NT、入力軸36の回転速度(入力軸回転速度)NIN、車速V、電子スロットル弁80の全閉状態およびその開度(スロットル弁開度)θTH、アクセルペダル等のアクセル操作部材の操作量であるアクセル開度Acc、シフトレバー77のレバーポジション(操作位置)PSH、ベルト式無段変速機18やロックアップクラッチ26等の油圧回路の油温TCVT、エアコンの作動の有無などを読み込む。また、この走行状態読込手段110は、上記車速Vから車速変化率である車両の加速度(減速度も含む)ΔV、或いは上記エンジン回転速度NEからエンジン回転速度変化率ΔNEを読み込む。
ロックアップクラッチ制御手段100は、減速時ロックアップ係合手段102と減速時ロックアップ解放手段104とを備えており、前記図4に示す予め設定された関係(マップ)に従ってロックアップクラッチ26の作動状態を制御するように前記油圧制御回路86に油圧指令値SPを出力する。また、車両の減速走行時にはたとえばエンジン12への燃料供給を停止するフューエルカット領域を拡大するためにロックアップクラッチ26を締結状態とし、エンジン12への燃料供給の再開に伴ってロックアップクラッチ26を解放状態とするように前記油圧制御回路86に油圧指令値SPを出力する。
上記減速時ロックアップ係合手段102は、車両の減速走行時にロックアップクラッチ26を所定の締結圧としての指令油圧値PLUONで締結状態とするように前記ロックアップ作動圧ソレノイドDSUの作動圧PDSUおよび前記ロックアップソレノイドSLの作動圧PSLを制御する。
上記減速時ロックアップ解放手段104は、車両の減速走行時に所定の締結圧PLUONで締結状態とされているロックアップクラッチの作動状態を所定の解放圧としての指令油圧値PLUOFFで解放状態とするように前記ロックアップ作動圧ソレノイドDSUの作動圧PDSUおよび前記ロックアップソレノイドSLの作動圧PSLを制御する。このロックアップクラッチ26の締結状態から解放状態への切換過度期では、減速時ロックアップ解放手段104は前記図6に示すように指令油圧値を所定の締結圧PLUONから解放初期圧PLUFまで急低下させその後、所定の解放圧PLUOFFまで漸減する。
ロックアップ解放判定手段106は、車両の減速走行時に上記減速時ロックアップ係合手段102によってロックアップクラッチ26が締結状態とされているときに、上記減速時ロックアップ解放手段104によってロックアップクラッチ26が解放状態とされる制御が開始されてもよいか否かを、すなわち車両の減速からの停止時にエンジン12がアイドル回転速度で速やかに回転するようにロックアップクラッチ26が解放状態とされる制御が開始されてもよいか否かを、たとえば車速Vが予め設定されている所定車速たとえば10km/h以下となった否かで判定する。この所定車速はエンジン12からの情報によってエンジン12が自力回転可能な回転速度に基づいて変化させてもよいし、車両減速度ΔVに基づいて変化させてもよいし、或いはフューエルカット作動が終了させられて燃料供給が再開されるかに基づいて変化させてもよい。
解放初期圧設定手段108は、上記減速時ロックアップ解放手段104によってロックアップクラッチ26が締結状態から解放状態とされる切換過度期における前記解放タイミングのばらつきを抑制するために、予め記憶された関係から減速走行中の実際の車両の減速状態に基づいて前記解放初期圧PLUFを設定する。具体的には、上述したように車両の減速状態に応じて変化する(異なる)エンジンクランク軸13のイナーシャトルク、たとえばそのイナーシャトルクと同様に車両の減速状態に応じて変化するイナーシャトルクに関連するパラメータに応じて解放初期圧PLUFを設定する。このイナーシャトルクに関連するパラメータは車両の減速状態を表すものであって、たとえば車両の減速度ΔV或いはエンジン回転速度変化率ΔNE、或いはそれら車両の減速度ΔV或いはエンジン回転速度変化率ΔNEに関連するパラメータである。図8は、車両の減速度ΔVと解放初期圧PLUFとの予め記憶された関係の一例を表す図である。たとえば図8の実線において、車両の減速度(減速度の絶対値)がΔV1に比較して大きいΔV2の場合には、エンジン12からロックアップクラッチ26に入力される側を正側とすると、エンジンクランク軸13のイナーシャトルクが正側に大きくなり、エンジントルクTE(言い換えると、駆動輪からベルト式無段変速機18を介して、そのベルト式無段変速機18の現在のギヤ比に基づいてロックアップクラッチ26に入力されるトルク)はエンジンブレーキ状態である減速走行時には負トルクであるので、ロックアップクラッチ26の必要トルク容量の絶対値は小さくなる。従って、図6からもわかるように必要トルク容量が小さくなる場合には解放初期圧PLUFをPLUF1に比較して小さな値であるPLUF2にすればよいのである。上記図8は、そのような関係に基づいて予め設定されているのである。
図9は、前記電子制御装置60の制御作動の要部すなわち車両減速走行時にロックアップクラッチ26の作動状態が締結状態から解放状態へ切り換えられるときの制御作動を説明するフローチャートであり、図10はその制御作動を説明するタイムチャートである。図9において前記減速時ロックアップ係合手段102に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、車両の減速走行時にロックアップクラッチ26が所定の締結圧PLUONで締結状態とされるように前記ロックアップ作動圧ソレノイドDSUの作動圧PDSUおよび前記ロックアップソレノイドSLの作動圧PSLが制御される。たとえば、このSA1における制御は好適には車両減速走行中にフューエルカット作動が実行される場合に、そのフューエルカット領域を拡大して燃費を一層向上するために実行される。
次に、前記ロックアップ解放判定手段106に対応するSA2において、上記SA1において締結状態とされているロックアップクラッチ26が解放状態とされてもよいか否かが、たとえば、エンジン回転速度NE(ロックアップオン状態の時には入力回転速度NINであってもよい)が予め設定されてる所定車速たとえば10km/h以下となった否かで判定される。このSA2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記走行状態読込手段110および前記解放初期圧設定手段108に対応するSA3において、車速センサ66から読み込まれた車速Vから車速変化率である車両の減速度ΔVが読み込まれる。そして、前記図8に示した車両の減速度ΔVと解放初期圧PLUFとの関係に基づいて解放初期圧PLUFが設定される。たとえば、車両の減速度ΔVがΔV1では解放初期圧PLUFがPLUF1に設定され、ΔV1に比較して絶対値が大きなΔV2では解放初期圧PLUFがPLUF2に設定される。
つづく、前記減速時ロックアップ解放手段104に対応するSA4において、ロックアップクラッチ26の作動状態が締結状態から解放状態とされるために、先ず、前記指令油圧値を所定の締結圧PLUONから上記SA3で設定された解放初期圧PLUFとしその後、所定の解放圧PLUOFFとなるまで漸減するように、前記ロックアップ作動圧ソレノイドDSUの作動圧PDSUおよび前記ロックアップソレノイドSLの作動圧PSLが制御される。たとえば、図10の実線に示すように車両の減速度ΔVがΔV1の場合には、前記指令油圧値は上記SA3で設定された解放初期圧PLUF1とされ(tS時点)、その後所定の解放圧PLUOFFとなるまで漸減される(tE1時点)。このとき、実際にはロックアップクラッチ26はその作動油圧PLUとして示される実トルク容量が実線に示す必要トルク容量(減速度ΔV1)より低下したタイミングで解放開始となる。すなわちtR時点が解放ポイントとなる。しかしながら、車両の減速度ΔVがΔV2の場合である場合にもΔV1の場合と同様に実線に示す指令油圧値であるならば、ロックアップクラッチ26はその作動油圧PLUとして示される実トルク容量が一点鎖線に示す必要トルク容量(減速度ΔV2)より低下したタイミングで解放開始となるため、解放ポイントがtR’時点となってしまう。そこで、車両の減速度ΔVがΔV2の場合には、前記指令油圧値が図10の一点鎖線に示すように上記SA3で設定された解放初期圧PLUF2とされ(tS時点)、その後所定の解放圧PLUOFFとなるまで漸減される(tE2時点)ようにすれば、上記減速度ΔV1の場合と同様に解放ポイントがtR時点となるのである。図8の関係はこのように車両の減速度ΔVの違いに拘わらず解放ポイントのばらつきが抑制されるように設定されているのである。また、図8に示す車両の減速度ΔVはその減速度ΔVに関連するパラメータ、たとえば出力軸回転速度変化率ΔNOUT等であってもよい。
なお、この解放初期圧PLUFは車両の減速度ΔVに加えて図8の一点鎖線に示すように、入力回転速度NINに応じて設定されるようにしてもよい。また、ここでの入力回転速度NINはその入力回転速度NINに関連するパラメータ、たとえばエンジン回転速度NE等であってもよい。このようにすれば、入力回転速度NINによって異なる前記負トルクも考慮して解放初期圧PLUFが設定されるので、ロックアップクラッチ26に入力されるトルクがより正確に把握され、ロックアップクラッチ26が解放される際の必要トルク容量がより正確に解放初期圧PLUFに反映される。
図11は、前記解放初期圧設定手段108によって車両の減速度ΔVに替えてエンジン回転速度変化率ΔNEに応じて解放初期圧PLUFを設定する場合の実施例に用いられるエンジン回転速度変化率ΔNEと解放初期圧PLUFとの予め記憶された関係の一例を表す予め設定されている図であって、図8に相当する図である。図11と図8とは車両の減速度ΔVがエンジン回転速度変化率ΔNEに入替わったものであり、図11は図8に替えて用いられ得るものである。
また、図12は、前記電子制御装置60の制御作動の要部すなわち車両減速走行時にロックアップクラッチ26の作動状態が締結状態から解放状態へ切り換えられるときの制御作動の別の実施例を説明するフローチャートであり、図9に相当する図である。図12においてSB3だけが図9のSA3と異なるだけで他のSB1、SB2、SB4はそれぞれ図9のSA1、SA2、SA4と同じである。そのSB3は図9のSA3と同様に前記走行状態読込手段110および前記解放初期圧設定手段108が対応するものであって、エンジン回転速度センサ62から読み込まれたエンジン回転速度NEからエンジン回転速度変化率ΔNEが読み込まれる。そして、前記図11に示したエンジン回転速度変化率ΔNEと解放初期圧PLUFとの関係に基づいて解放初期圧PLUFが設定される。たとえば、エンジン回転速度変化率ΔNEがΔNE1では解放初期圧PLUFがPLUF1に設定され、ΔNE1に比較して絶対値が大きなΔNE2では解放初期圧PLUFがPLUF2に設定される。
これによって前記図9における実施例と同様にエンジン回転速度変化率ΔNEの違いに拘わらず解放ポイントのばらつきが抑制されるように解放初期圧PLUFが設定される。また、図11に示すエンジン回転速度変化率ΔNEはそのエンジン回転速度変化率ΔNEに関連するパラメータ、たとえば入力軸回転速度変化率ΔNIN等であってもよい。
なお、この解放初期圧PLUFはエンジン回転速度変化率ΔNEに加えて車速Vに応じて設定されるようにしてもよい。また、ここでの車速Vはその車速Vに関連するパラメータ、たとえば出力軸回転速度NOUT等であってもよい。このようにすれば、車速Vによって異なる前記負トルクも考慮して解放初期圧PLUFが設定されるので、ロックアップクラッチ26に入力されるトルクがより正確に把握され、ロックアップクラッチ26が解放される際の必要トルク容量がより正確に解放初期圧PLUFに反映されるか、或いは予め実験等によって求められた各車速Vにおける適合値によって解放初期圧PLUFが設定される。
上述のように、本実施例によれば、車両の減速走行時において、減速時ロックアップ解放手段104(SA4、SB4)によってロックアップクラッチ26を締結状態から解放状態とする切換過度期にロックアップクラッチ26を締結状態とする所定の締結圧PLUONから急低下させるための設定油圧である解放初期圧PLUFが、その減速走行に伴ってエンジン12から放出されるイナーシャトルクすなわちエンジンクランク軸13系のイナーシャトルクに関連するパラメータ、たとえば車両の減速走行時の車両減速度ΔV或いは車両の減速走行時のエンジン12の回転速度変化率ΔNE、或いはそれらに関連するパラメータに応じて解放初期圧設定手段108(SA3、SB3)によって設定されるので、エンジンクランク軸13系のイナーシャトルクの違いによってロックアップクラッチの必要トルク容量が異なってもロックアップクラッチ26が実際に解放される解放タイミングのばらつきが抑制されることとなる。これによって、車両の減速状態の違いによるエンジンクランク軸13系のイナーシャトルクつまりそのイナーシャトルクに関連するパラメータの違いに拘わらず、ロックアップクラッチ26が実際に解放されるまでの時間である解放時間αを安定させることができ、車両停止前のベルト式無段変速機18の変速制御である車両停止前の減速に従って変速比を大きくしていくように車両停止前の変速比を設定することで発生するロックアップクラッチ26の解放ショックのばらつきが抑制されてドライバビリティーが好適に向上される。
また、本実施例によれば、前記解放初期圧設定手段108(SA3)によって前記車両減速度ΔVに加えベルト式無段変速機18の入力回転速度NINに応じて前記解放初期圧PLUFが設定されるので、そのベルト式無段変速機18の入力回転速度NINの違いによるエンジン12の負トルクの違いを必要トルク容量により正確に反映させることができる。
また、本実施例によれば、また、第5発明では、前記解放初期圧設定手段108(SB3)によって前記エンジン12の回転速度変化率ΔNEに加え車両の実際の車速Vに応じて前記解放初期圧PLUFが設定されるので、その車速Vの違いによるエンジンの負トルクの違いを必要トルク容量により正確に反映させることができる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例は、前記図6に示す前記解放時間αを学習することで、図8に示すような予め設定されている関係図から設定される前記解放初期圧PLUFを変更設定するものである。つまり、本実施例の学習制御は、解放初期圧PLUF=f(減速度ΔV)とするならば解放初期圧PLUF=f(減速度ΔV)+学習値K としてその学習値Kを実際の解放時間αを学習することで設定して、たとえば上記図8の関係から上記解放時間αのばらつきを抑制するために設定された解放初期圧PLUFを解放時間αのばらつきをより抑制するため変更設定するものである。
図13は、前記電子制御装置60が備えている車両減速走行時のロックアップクラッチ26の解放制御を実行する場合に用いられる前記解放初期圧PLUFを設定する制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図において、ロックアップ解放学習許可判定手段112は、前記解放初期圧PLUFを変更するために前記解放時間αの学習を許可してよいか否かを、たとえばその解放時間αの学習が可能な車両状態であるか否かで判定する。たとえばこの学習が可能な車両状態は、前記走行状態読込手段110によって読み込まれたベルト式無段変速機18やロックアップクラッチ26等の油圧回路の油温TCVTが通常走行に適した温度となっていること、エアコン等の外部負荷がないこと、車両の減速度ΔVの変動が予め設定された学習に適する所定範囲内となっていること等である。
計数手段114は、前記ロックアップ解放判定手段106によってロックアップクラッチ26が解放状態とされる制御が開始されてもよいと判定されてからの時間であるロックアップ解放制御カウンタが所定時間Aを越えたか否かを判定する。この所定時間Aは、たとえば前記減速時ロックアップ解放手段104によるロックアップクラッチ26を解放状態とする制御が安定するとされる時間であって、予め実験等によって求められたものである。また、この計数手段114は、後述する実解放判定手段120によってスリップ量積算値ΔNSLIPが開放判定値Cを越えたと判定されると、ロックアップクラッチ26が解放状態とされる制御が開始されてもよいと判定されてからこのスリップ量積算値ΔNSLIPが開放判定値Cを越えたと判定されるまでの時間を解放時間αRとして確定する。
スリップ状態開始判定手段116は、前記走行状態読込手段110によって読み込まれたエンジン回転速度NEおよびタービン回転速度NTから、ロックアップクラッチ26のスリップ量NSLIP(=|NE−NT|)が所定スリップ量Bを越えているか否かを判定する。この所定スリップ量Bは、たとえばよく知られたロックアップクラッチ26の開放判定に用いられる判定閾値(スリップ量が所定時間連続でその判定閾値を越える場合に解放と判定される。また、通常この判定閾値は誤判定防止のためにある程度大きな値に設定されている。)よりは小さい値に設定されている。これによって、極めて小さなスリップ量はノイズとして除外できることになり、また、上記判定閾値より小さなスリップ量NSLIPが連続するような場合であってもロックアップクラッチ26の解放判定に用いることができて前記解放時間αを確定する精度が向上する。なお、上記タービン回転速度NTに替えて入力軸回転速度NINが用いられてもよい。
スリップ量積算手段118は、上記スリップ状態開始判定手段116によってスリップ量Bを越えたと判定された上記スリップ量NSLIPをスリップ量積算値ΔNSLIP(=∫|NE−NT|dt)として積算する。
実解放判定手段120は、上記スリップ量積算手段118によるスリップ量積算値ΔNSLIPが開放判定値Cを越えたか否かを判定する。この開放判定値Cは、予め実験等によってロックアップクラッチ26が実際に解放されていると判定される値に設定されている。また、この実解放判定手段120は、このスリップ量積算値ΔNSLIPが開放判定値Cを越えたと判定されるとロックアップ解放判定フラグをONとする。
解放初期圧学習制御手段122は、前記計数手段114によって確定された前記解放時間αRに基づいて、現在設定されている現在解放初期圧PLUFCを減速時ロックアップ解放手段104よってロックアップクラッチ26が次回解放制御されるときに用いられる次回解放初期圧PLUFFに変更する。たとえば、前記解放初期圧設定手段108によって前記解放時間αとするように解放初期圧PLUF=f(減速度ΔV)として設定される場合に、この解放初期圧学習制御手段122は、次回解放初期圧PLUFF=現在解放初期圧PLUFF+学習値K としてその学習値Kを上記解放時間αRに基づいて変更するものである。たとえばこの学習値Kは、その解放時間αRが上記解放時間α(この解放時間αは上記解放初期圧PLUFの場合に想定される解放時間ということになる)に比較して長い場合には短くするために次回解放初期圧PLUFFを現在解放初期圧PLUFFに比較して小さくするように、或いはその解放時間αRが上記解放時間αに比較して短い場合には長くするために次回解放初期圧PLUFFを現在解放初期圧PLUFFに比較して大きくするように設定されている。
図14は、前記電子制御装置60の制御作動の要部すなわち車両減速走行時にロックアップクラッチ26を解放状態とする制御作動に用いられる前記解放初期圧PLUFを前記解放時間αを学習することでその解放初期圧PLUFを設定変更するときの制御作動を説明するフローチャートである。図14において前記ロックアップ解放学習許可判定手段112に対応するSC1において、前記解放初期圧PLUFを変更するために前記解放時間αの学習を許可してよいか否かが、たとえばベルト式無段変速機18やロックアップクラッチ26等の油圧回路の油温TCVTが通常走行に適した温度となっていること、エアコン等の外部負荷がないこと、車両の減速度ΔVの変動が予め設定された学習に適する所定範囲内となっていること等に基づいてその解放時間αの学習が可能な車両状態であるか否かで判定される。このSC1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記計数手段114に対応するSC2において、ロックアップクラッチ26が解放状態とされる制御が開始されてもよいと判定されてからの時間であるロックアップ解放制御カウンタが所定時間Aを越えたか否かが判定される。
上記SC2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記スリップ状態開始判定手段116に対応するSC3において、ロックアップクラッチ26のスリップ量NSLIP(=|NE−NT|)が所定スリップ量Bを越えているか否かが判定される。上記SC3の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記スリップ量積算手段118に対応するSC4において、スリップ量Bを越えたと判定された上記スリップ量NSLIPがスリップ量積算値ΔNSLIP(=∫|NE−NT|dt)として積算される。次に、前記実解放判定手段120に対応するSC5において、上記スリップ量積算値ΔNSLIPが開放判定値Cを越えたか否かが判定される。このSC5の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は上記実解放判定手段120および前記計数手段114に対応するSC6において、ロックアップ解放判定フラグがONとされ、さらにロックアップクラッチ26が解放状態とされる制御が開始されてもよいと判定されてからこのスリップ量積算値ΔNSLIPが開放判定値Cを越えたと判定されるまでの時間が前記解放時間αRとして確定される。つづく、前記解放初期圧学習制御手段122に対応するSC7において、上記SA6で確定された上記解放時間αRに基づいて、現在設定されている現在解放初期圧PLUFCが、ロックアップクラッチ26が次回解放制御されるときに用いられる次回解放初期圧PLUFFに変更される。
上述のように、本実施例によれば、スリップ状態開始判定手段116(SC3)によってロックアップクラッチ26のスリップ量NSLIP(=|NE−NT|)が所定スリップ量Bを越えていると判定された場合に、スリップ量積算手段118(SC4)によってスリップ量Bを越えたと判定された上記スリップ量NSLIPがスリップ量積算値ΔNSLIP(=∫|NE−NT|dt)として積算される。そして、計数手段114(SC6)によってロックアップクラッチ26が解放状態とされる制御が開始されてもよいと判定されてから上記スリップ量積算値ΔNSLIPが実解放判定手段120(SC5)によって解放判定値Cを越えたと判定されるまでの時間が前記解放時間αRとして確定されるので、ロックアップクラッチ26の実際の解放が適切に判定されて精度の良い上記解放時間αRの学習が実行される。したがって、解放初期圧学習制御手段122(SC7)によって現在設定されている現在解放初期圧PLUFCが上記解放時間αRに基づいてロックアップクラッチ26の次回解放制御に用いられる次回解放初期圧PLUFFへ変更される学習制御の精度が向上する。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例の車両は、自動変速機としてベルト式無段変速機18を備えるものであったが、共通の軸心まわりに回転させられる一対のコーンと、その軸心と交差する回転中心回転可能な複数個のローラがそれら一対のコーンの間で挟圧され、そのローラの回転中心と軸心との交差角が変化させられることによって変速比が可変とされた所謂トラクション型無段変速機などであってもよい。このトラクション型無段変速機では、一対のコーンの間で挟圧されるローラが動力伝達部材として機能している。
また、前述の実施例の車両は、自動変速機としてベルト式無段変速機18を備えるものであったが、クラッチ或いはブレーキ等の係合装置の作動の組合せによって複数の変速段が構成されるような遊星歯車式などの有段自動変速機であってもよい。
また、前述の実施例の車両は、エンジン12の出力を流体を介して伝達するトルクコンバータ14を有するものであったが、トルクコンバータ14に替えて、流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式動力伝達装置が採用されてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。