JP2007270909A - コネクティングロッド、コネクティングロッドの製造方法及びコネクティングロッドの製造治具 - Google Patents

コネクティングロッド、コネクティングロッドの製造方法及びコネクティングロッドの製造治具 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストが高くなることを抑制しつつキャップにおける座面とこれに隣接するクランク軸の側壁との境界領域に残留圧縮応力を発生させる。
【解決手段】キャップとなる鋳物部材3Aに形成されたクランク軸のピン部を挟持するためのキャップ側円弧面31をボルト孔32の延在方向に関するキャップ側円弧面31が開放されている方向の反対方向であるY方向に押圧するとともに、鋳物部材3Aにおけるキャップ側円弧面31の両側に位置する各側壁に形成された係合部34をY方向の反対方向であるX方向に押圧することによって、ナットが接する座面33が形成される領域Bに引張応力を発生させる。座面33が形成される領域Bに引張応力を発生させた状態で座面33を加工形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ピストンとクランク軸とを連結するコネクティングロッド、コネクティングロッドの製造方法及びコネクティングロッドの製造治具に関する。
内燃機関エンジンにおけるピストンとクランク軸とを連結するコネクティングロッドとしては、一方端部にピストンを支持するピストン支持部を有するコネクティングロッド本体と、ボルト、又は、ボルト及びナットによってコネクティングロッド本体に締結されることによってコネクティングロッド本体の他方端部との間でクランク軸を挟持するキャップとを有するものが知られている。このようなコネクティングロッドにおいては、ピストンが上下動することによりキャップにおけるボルトやナットが当接する座面に慣性荷重が作用する。このとき、当該座面とこれに隣接するクランク軸側の側壁との境界領域に引張応力が発生する。そして、この引張応力が繰り返し発生することによって、この境界領域に疲労亀裂が発生することがある。このような疲労亀裂が発生するのを防止するため、この境界領域にフィレットローリング加工を施すことによって残留圧縮応力を発生させる技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。残留圧縮応力が発生することにより、引張応力に対する耐久性を向上させることができる。
実開平5−62723号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術によると、キャップにおける座面とこれに隣接するクランク軸側の側壁との境界領域にフィレットローリング加工を施すため、独立した工程が必要となる。これにより、工数が増大するとともに、大型の加工設備又は加工設備の追加が必要となり、コネクティングロッドの製造コストが高くなってしまう。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、省工数化及び加工設備の簡易化により製造コストが高くなることを抑制しつつ、キャップにおける座面とこれに隣接するクランク軸側の側壁との境界領域に残留圧縮応力を発生させるコネクティングロッド、コネクティングロッドの製造方法及びコネクティングロッドの製造治具を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び効果
本発明に係るコネクティングロッドの製造方法は、一方端部にピストンを支持するピストン支持部を有するコネクティングロッド本体の他方端部にボルト、又は、ボルト及びナットで締結されるキャップとなる部材において、前記ボルトの頭部及び前記ナットのいずれかが当接する座面が加工形成される領域に引張応力を発生させる引張応力発生工程と、前記座面が加工形成される領域に引張応力を発生させた状態で、前記座面を加工形成する座面加工形成工程とを備えていることを特徴とする。
本発明によると、キャップとなる部材における座面が加工形成される領域において、引張応力発生工程により引張応力が発生し、座面加工形成工程によって引張応力が開放される。これにより、座面と当該座面に隣接する第2円弧面側の側壁との境界領域に残留圧縮応力が発生する。このように、引張応力発生工程と座面加工形成工程とがほぼ同時に行われることにため、省工数化及び加工設備の簡易化を図ることができ、キャップの製造コストが高くなることを抑制しつつ当該境界領域に残留圧縮応力を発生させることができる。
本発明においては、前記コネクティングロッド本体の他方端部に形成された第1円弧面との間でクランク軸を挟持する第2円弧面と、前記第2円弧面の両側において前記ボルトが貫通するボルト孔と、前記第2円弧面の両側に位置する各側壁に形成されている当接部とを有する前記キャップとなる部材を形成する部材形成工程をさらに備えており、前記引張応力発生工程において、前記当接部を前記ボルト孔の延在方向に関する前記第2円弧面が開放されている方向である第1方向に押圧するとともに、前記第2円弧面を前記第1方向の反対方向である第2方向に押圧することによって、前記座面が加工形成される領域に引張応力を発生させることが好ましい。
また、本発明に係るコネクティングロッドは、一方端部にピストンを支持するピストン支持部を有するとともに、他方端部に第1円弧面が形成されたコネクティングロッド本体と、前記コネクティングロッド本体の他方端部にボルト、又は、ボルト及びナットで締結されるキャップとを備えており、前記キャップが、前記第1円弧面との間でクランク軸を挟持する第2円弧面と、前記第2円弧面の両側において前記ボルトが貫通するボルト孔と、前記第2円弧面の両側に位置する各側壁に形成されている当接部と、前記ボルトの頭部及び前記ナットのいずれかが当接する座面とを備えており、前記キャップにおける、前記座面と当該座面に隣接する前記第2円弧面側の側壁との境界領域に残留圧縮応力が発生しており、前記当接部が、前記残留圧縮応力を生じさせるための部材が当接するものであることを特徴とする。
これら本発明によると、第2円弧面と第2円弧面の両側に位置する当接部とを互いに異なる方向に押圧するという簡易な方法で座面が加工形成される領域に引張応力を発生させることができる。これにより、加工設備の簡易化をさらに図ることができ、製造コストが高くなることをさらに抑制しつつ座面と当該座面に隣接する第2円弧面側の側壁との境界領域に残留圧縮応力を発生させることができる。
本発明に係るコネクティングロッドの製造治具は、一方端部にピストンを支持するピストン支持部を有するコネクティングロッド本体の他方端部に形成された第1円弧面との間でクランク軸を挟持する第2円弧面と、前記第2円弧面の両側において前記コネクティングロッド本体に締結するためのボルトが貫通するボルト孔と、前記第2円弧面の両側に位置する各側壁に形成されている当接部とを有するキャップとなる部材において、前記当接部を前記ボルト孔の延在方向に関する前記第2円弧面が開放されている方向である第1方向に押圧する第1押圧部材と、前記第2円弧面を前記第1方向の反対方向である第2方向に押圧する第2押圧部材と、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を前記第1及び第2方向に関して相対移動させる駆動機構とを備えていることを特徴とする。
本発明によると、簡易な構成でキャップにおける座面が加工形成される領域に引張応力を発生させることができる。これにより、より簡易な加工設備を用いて製造コストが高くなることをさらに抑制しつつ座面と当該座面に隣接する第2円弧面側の側壁との境界領域に残留圧縮応力を発生させることができる。
本発明においては、前記駆動機構が、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材のいずれか一方を前記第1及び第2方向に移動させるアクチュエータと、前記第1押圧部材に前記第1及び第2方向に沿って敷設された第1ラックと、前記第2押圧部材に前記第1ラックと対向するように前記第1及び第2方向に沿って敷設された第2ラックと、前記第1ラック及び前記第2ラックと噛合しているピニオンとを有していることが好ましい。これによると、アクチュエータが第1押圧部材及び前記第2押圧部材のいずれか一方を第1及び第2方向に移動させると、第1ラック、ピニオン及び第2ラックを介して、第1押圧部材及び前記第2押圧部材の他方が反対方向に移動する。このように、1つのアクチュエータで駆動機構を動作させることができるため、コネクティングロッドの製造治具を安価に製作することができる。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の実施形態に係るコネクティングロッドについて説明する。図1は、本実施形態に係るコネクティングロッド1の外観図である。
図1に示すように、コネクティングロッド1は、内燃機関エンジンにおいて、図示しないピストンとクランク軸とを連結するものであって、コネクティングロッド本体2とキャップ3とを有している。コネクティングロッド本体2とキャップ3とは、2つのボルト4及びナット5によって締結されている。コネクティングロッド本体2は、図1中上下方向(一方向)に延在しており、図1中上方端部(一方端部)にピストンを支持するピストン支持部21を有しており、図1中下方端部(他方端部)にキャップ3のキャップ側円弧面31との間でクランク軸のピン部を挟持する本体側円弧面(第1円弧面)22が形成されている。ピストン支持部21は、ピストンを揺動自在に支持する円形状を有する穴となっている。本体側円弧面22は、半円形状を有する凹部となっており図1中下方に向かって開放されている。コネクティングロッド本体2における本体側円弧面22の両側にボルト4が貫通するボルト孔23が図1中上下方向に延在するように形成されている。ボルト孔23のピストン支持部21側の開口位置にボルト4の頭部41が当接する座面24が形成されている。
キャップ3は、キャップ側円弧面(第2円弧面)31を有している。キャップ側円弧面31は、コネクティングロッド本体2の本体側円弧面22との間でクランク軸のピン部を挟持するものであり、本体側円弧面22と同じ半円形状を有する凹部となっており図1中上方に向かって開放されている。キャップ3がコネクティングロッド本体2に締結されることによって、キャップ側円弧面31と本体側円弧面22との間で真円を形成する。この真円内にクランク軸(ピン部)が配置される。キャップ3における、キャップ側円弧面31の両側にはボルト4が貫通するボルト孔32が図1中上下方向に延在するように形成されている。ボルト孔32におけるコネクティングロッド本体2の反対側の開口位置に、ボルト4に螺合したナット5が当接する座面33が形成されている。そして、座面33と座面33に隣接するキャップ側円弧面31側の側壁との境界領域Aには残留圧縮応力が発生している。
また、キャップ側円弧面31の両側に位置する各側壁には外側に向かって突出している係合部34が形成されている。係合部34の図1中下方端面が、ボルト孔32の延在方向に対して垂直且つ図1中下方(キャップ側円弧面31が開放されている方向の反対方向)に向いている矩形状の平面部(当接部)35となっている。このように、各係合部34に形成された平面部35がキャップ側円弧面31の両側に位置している。後述するように、平面部35は、境界領域Aに残留圧縮応力を発生させるために、製造治具6(図3参照)の係合部材61が当接するものである。
次に、図2〜図4を参照しつつコネクティングロッド1の製造方法について説明する。なお、本発明においては、キャップ3を製造する方法に特徴があるため、以下、キャップ3を製造する工程を中心に説明する。図2は、キャップ3となる鋳物部材3Aの外観図である。図3は、キャップ3の境界領域Aに残留圧縮応力を発生させるための製造治具6の外観図である。図4は、コネクティングロッド1の製造方法に係る各工程を説明するための図である。
コネクティングロッド1の製造方法においては、まず、キャップ3となる鋳物部材3Aを形成する(部材形成工程)。図2に示すように、鋳物部材3Aは、キャップ3と同様に、キャップ側円弧面31を有している。また、鋳物部材3Aにおけるキャップ側円弧面31の両側にはボルト孔32が形成されている。さらに、鋳物部材3Aにおけるキャップ側円弧面31の両側に位置する各側壁には外側に向かって突出している係合部34が形成されている。係合部34の図2中下方端面が平面部35となっている。そして、鋳物部材3Aの状態においては、キャップ3における座面33が加工形成されていない。
次に、製造治具6を用いて、鋳物部材3Aにおける座面33が加工形成される領域Bに引張応力を発生させる(引張応力発生工程)。図3に示すように、製造治具6は、2つの係合部材(第1押圧部材)61と、押圧治具(第2押圧部材)62と、駆動機構63とを有している。そして、係合部材61は、図3中下方向に延在する支持部61aと、支持部61aの図3中下方端部から内側に向かうように、支持部61aの延在方向に対して垂直に延びた係合部61bとを有している。係合部61bの図3中上方端面が押圧面61cとなっている。製造治具6に鋳物部材3Aを取り付けた状態においては、各係合部材61の係合部61bと鋳物部材3Aの係合部34とが係合することによって、係合部61bの押圧面61cと係合部34の平面部35とが当接する。
押圧治具62は、図3中上下方向に延在する支持部62aと、支持部62aの図3中下方端部に支持された円筒形状を有する押圧体62bとを有している。押圧体62bの外周面が押圧面62cとなっている。製造治具6に鋳物部材3Aを取り付けた状態においては、押圧面62cが、鋳物部材3Aのキャップ側円弧面31と対向している。なお、本実施形態においては、係合部材61及び押圧治具62が、図示しないフレームにより、図3中上下方向(後述するX方向及びY方向)に摺動可能に支持されている。
駆動機構63は、アクチュエータ64と、ラック(第1ラック)65a、ラック(第2ラック)65bと、ピニオン65cとを有している。アクチュエータ64は、押圧治具62を図3中上下方向(製造治具6に取り付けられた鋳物部材3Aのボルト孔32の延在方向)に移動させるものであり、押圧治具62の支持部62aの上端部に取り付けられている。ラック65aは、各係合部材61の支持部61aの内側壁面に図3中上下方向に沿って敷設されている。ラック65bは、押圧治具62における各係合部材61の支持部61aと対向する壁面に、ラック65aと対向するように図3中上下方向に沿って敷設されている。ピニオン65cは、各ラック65a及びこれに対向しているラック65bに噛合している。なお、本実施形態においては、アクチュエータ64及びピニオン65cが上述した図示しないフレームに固定されている。
この構成により、アクチュエータ64が押圧治具62を図3中上下方向に移動させると、固定されたピニオン65cを基準として、ラック65b及びラック65aが図3中上下方向に関する互いに異なる方向に移動するため、各係合部材61が、押圧治具62が移動した方向の反対方向に移動する。つまり、駆動機構63は、押圧治具62と各係合部材61とを図3中上下方向に関する互いに異なる方向に相対移動させることができる(図3中矢印参照)。
引張応力発生工程においては、図4(a)に示すように、各係合部材61の係合部61bと鋳物部材3Aの係合部34とが係合するように、製造治具6に鋳物部材3Aを取り付ける。このとき、上述したように、係合部61bの押圧面61cと係合部34の平面部35とが当接する。そして、この状態で、駆動機構63が、押圧治具62を図4中下方向であるY方向(ボルト孔32の延在方向に関するキャップ側円弧面31が開放されている方向の反対方向:第2方向)に移動させるとともに、各係合部材61をY方向の反対方向であるX方向(ボルト孔32の延在方向に関するキャップ側円弧面31が開放されている方向:第1方向)に移動させる。そして、押圧治具62の押圧面62cが鋳物部材3Aのキャップ側円弧面31をY方向に押圧し、各係合部材61の押圧面61cが鋳物部材3Aの平面部35をX方向に押圧する。つまり、キャップ側円弧面31とキャップ側円弧面31の両側に位置する平面部35とがX方向及びY方向に関する互いに異なる方向に押圧される。これにより、鋳物部材3Aにおける座面33が加工形成される領域Bに引張応力が発生する。
次に、鋳物部材3Aに座面33を加工形成する(座面加工形成工程)。図4(b)に示すように、引張応力発生工程において鋳物部材3Aにおける座面33が加工形成される領域Bに引張応力が発生した状態で、鋳物部材3Aに座面33を加工形成する。これにより、座面33が加工形成される領域Bにおける引張応力が開放される。その後、図4(c)に示すように、駆動機構63が、押圧治具62をX方向に移動させるとともに、各係合部材61をY方向に移動させる。これにより、押圧治具62の押圧面62cが鋳物部材3Aのキャップ側円弧面31から離隔し、キャップ側円弧面31及び平面部35に対する押圧が解除される。このとき、座面33と座面33に隣接するキャップ側円弧面31側の側壁との境界領域Aに残留圧縮応力が発生し、キャップ3が完成する。
以上説明したように、本実施形態によると、キャップ3の境界領域Aに残留圧縮応力を発生させるにあたり、引張応力発生工程と座面加工形成工程とがほぼ同時に行われることになるため、省工数化及び加工設備の簡易化を図ることができ、コネクティングロッド1の製造コストが高くなることを抑制できる。
また、引張応力発生工程において、製造治具6を用いることによって、キャップ側円弧面31とキャップ側円弧面31の両側に位置する平面部35とを互いに異なる方向に押圧するという簡易な方法で、鋳物部材3Aにおける座面33が加工形成される領域Bに引張応力を発生させることができる。これにより、加工設備の簡易化をさらに図ることができ、コネクティングロッド1の製造コストが高くなることをさらに抑制しつつ境界領域Aに残留圧縮応力を発生させることができる。
さらに、製造治具6においては、駆動機構63が、押圧治具62をX及びY方向に移動させるアクチュエータ64と、各係合部材61の支持部61aの内側壁面に敷設されたラック65aと、押圧治具62の支持部62aにラック65aと対向するように敷設されたラック65bと、各ラック65a及びこれに対向しているラック65bに噛合しているピニオン65cとを有する構成となっているため、1つのアクチュエータ64で押圧治具62と各係合部材61とを互いに異なる方向に相対移動させることができる。これにより、製造治具6を安価に製作することができる。
(変形例)
次に、本発明の変形例について説明する。図5は、本実施形態の変形例に係るコネクティングロッドが有するキャップとなる鋳物部材103Aの外観図である。図6は、鋳物部材103Aの部分斜視図である。本変形例は、上述した実施形態におけるキャップ3及び鋳物部材3Aが有する係合部34の形状に関する変形例であるため、以下、本変形例に係る鋳物部材103Aの係合部134を中心に説明する。上述した実施形態と実質的に同じ部材に関しては同一の符号を付してその説明を省略する。
図5及び図6に示すように、鋳物部材103Aにおいては、コネクティングロッド本体2と接する面側の端部近傍において段差が形成されている。そして、キャップ側円弧面31の両側端部に位置する段差が係合部134となっている。係合部134は、図5中紙面垂直方向に係る鋳物部材103Aの両側に突出している。そして、係合部134における2つの図5中下方端面が、ボルト孔32の延在方向に対して垂直且つキャップ側円弧面31が開放されている方向の反対方向に向いている矩形状の平面部(当接部)135となっている。このように、鋳物部材103Aにおいては、各係合部134に形成された2つの平面部135がキャップ側円弧面31の両側に位置している。
次に、引張応力発生工程において平面部135を押圧する係合部材(第1押圧部材)161について図7を参照しつつ説明する。図7は、係合部材161の外観斜視図である。なお、係合部材161は、上述した実施形態に係る駆動機構63の係合部材61の変形例である。係合部材161は、2つに分岐しつつ図7中下方向に延在する支持部161aと、支持部161aの各下方端部から互いに近づくように、支持部161aの延在方向に対して垂直に延びた係合部161bとを有している。係合部161bの図7中上方端面が押圧面161cとなっている。係合部材161を備えた製造治具に鋳物部材103Aを取り付けた状態においては、係合部材161の係合部161bと鋳物部材103Aの係合部134とが係合することによって、係合部161bの押圧面161cと係合部134の平面部135とが当接する。そして、係合部材161がX方向(図4参照)に移動することによって、係合部161bの押圧面161cが係合部134の平面部135をX方向に押圧する。これによると、係合部134を、鋳物部材103Aにおけるキャップ側円弧面31の両側に位置する各側壁から外側に突出させることなく、押圧面161cと平面部135とが当接する面積を大きくすることができる。
なお、鋳物部材3A、103Aにおける係合部34、134の形状は上述した形状に限定されるものではなく、ボルト孔32の延在方向に対して垂直且つキャップ側円弧面31が開放されている方向の反対方向に向いている平面部を有する他の形状であってもよい。例えば、図8及び図9に示すように、鋳物部材203Aの係合部234を、係合部134と比較してボルト孔32の延在方向に係る厚みを厚く、平面部(当接部)235の当該延在方向に直交する方向(図8中左右方向)の長さが短くなるように形成してもよい。これによると、係合部234の強度を維持しつつ、係合部234と係合する係合部材を小さくすることができる。また、これら平面部35、135、235は矩形状を有しているが、例えば、平面部が半円形状や多角形状など他の形状を有していてもよい。
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のような発明を実施することもできる。
(1)上記実施形態では、キャップ3及び鋳物部材3A、103A、203Aが有する係合部34、134、234が、引張応力発生工程において押圧される平面部35、135、235を有する構成であるが、引張応力発生工程において押圧される面部は、任意の形状を有していてもよい。例えば、係合部における引張応力発生工程において押圧される面部が、キャップ側円弧面31が開放されている方向に向かって凹となっていてもよい。
(2)また、上記実施形態では、キャップ3及び鋳物部材3A、103A、203Aが有する係合部34、134、234が、側壁から外側に突出するように形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、係合部が、鋳物部材におけるキャップ側円弧面31の両側に位置する壁面に形成された穴であってもよい。
(3)さらに、上記実施形態では、製造治具6において、アクチュエータ64が押圧治具62を上下方向に移動すると、各係合部材61が、押圧治具62が移動した方向の反対方向に移動する構成であるが、アクチュエータを駆動することによって押圧治具62及び各係合部材61のいずれか一方のみが移動する構成であってもよいし、押圧治具62及び各係合部材61を異なるアクチュエータで移動させる構成であってもよい。なお、アクチュエータの動力を押圧治具62及び各係合部材61に伝達する機構は任意のものが適用可能である。
(4)さらに、上記実施形態では、キャップ3がボルト4及びナット5によって、コネクティングロッド本体2に締結及び固定されているが、締結手段は必ずしもボルト4及びナット5の両方を必要とするものではない。例えば、特開平7−119730号公報に記載される如く、ボルトをコネクティングロッド本体2に形成されたネジ孔に直接締結することで、キャップ3が固定される構造が採用されていたとしても、本発明を適用することは可能である。
本発明の一実施形態に係るコネクティングロッドの外観図である。 図1に示すキャップとなる鋳物部材の外観図である。 図1に示すキャップの境界領域に残留圧縮応力を発生させるための製造治具の外観図である。 図1に示すコネクティングロッドの製造方法に係る各工程を説明するための図である。 本実施形態の変形例に係るコネクティングロッドが有するキャップとなる鋳物部材の外観図である。 図5に示す鋳物部材の部分斜視図である。 図5に示す鋳物部材の係合部と係合する製造治具の係合部材の外観斜視図である。 図5に示す鋳物部材のさらなる変形例の外観図である。 図8に示す鋳物部材の部分斜視図である。
符号の説明
1 コネクティングロッド
2 コネクティングロッド本体
3 キャップ
4 ボルト
5 ナット
6 製造治具
21 ピストン支持部
22 本体側円弧面(第1円弧面)
31 キャップ側円弧面(第2円弧面)
32 ボルト孔
33 座面
34、134、234 係合部
35、135、235 平面部(当接部)
41 頭部
61、161 係合部材(第1押圧部材)
61a、161a 支持部
61b、161b 係合部
61c、161c 押圧面
62 押圧治具(第2押圧部材)
62a 支持部
62b 押圧体
62c 押圧面
63 駆動機構
64 アクチュエータ
65a、65bラック
65c ピニオン
3A、103A、203A 鋳物部材(キャップとなる部材)
A 境界領域

Claims (5)

  1. 一方端部にピストンを支持するピストン支持部を有するコネクティングロッド本体の他方端部にボルト、又は、ボルト及びナットで締結されるキャップとなる部材において、前記ボルトの頭部及び前記ナットのいずれかが当接する座面が加工形成される領域に引張応力を発生させる引張応力発生工程と、
    前記座面が加工形成される領域に引張応力を発生させた状態で、前記座面を加工形成する座面加工形成工程とを備えていることを特徴とするコネクティングロッドの製造方法。
  2. 前記コネクティングロッド本体の他方端部に形成された第1円弧面との間でクランク軸を挟持する第2円弧面と、前記第2円弧面の両側において前記ボルトが貫通するボルト孔と、前記第2円弧面の両側に位置する各側壁に形成されている当接部とを有する前記キャップとなる部材を形成する部材形成工程をさらに備えており、
    前記引張応力発生工程において、前記当接部を前記ボルト孔の延在方向に関する前記第2円弧面が開放されている方向である第1方向に押圧するとともに、前記第2円弧面を前記第1方向の反対方向である第2方向に押圧することによって、前記座面が加工形成される領域に引張応力を発生させることを特徴とする請求項1に記載のコネクティングロッドの製造方法。
  3. 一方端部にピストンを支持するピストン支持部を有するコネクティングロッド本体の他方端部に形成された第1円弧面との間でクランク軸を挟持する第2円弧面と、前記第2円弧面の両側において前記コネクティングロッド本体に締結するためのボルトが貫通するボルト孔と、前記第2円弧面の両側に位置する各側壁に形成されている当接部とを有するキャップとなる部材において、前記当接部を前記ボルト孔の延在方向に関する前記第2円弧面が開放されている方向である第1方向に押圧する第1押圧部材と、
    前記第2円弧面を前記第1方向の反対方向である第2方向に押圧する第2押圧部材と、
    前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を前記第1及び第2方向に関して相対移動させる駆動機構とを備えていることを特徴とするコネクティングロッドの製造治具。
  4. 前記駆動機構が、
    前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材のいずれか一方を前記第1及び第2方向に移動させるアクチュエータと、
    前記第1押圧部材に前記第1及び第2方向に沿って敷設された第1ラックと、
    前記第2押圧部材に前記第1ラックと対向するように前記第1及び第2方向に沿って敷設された第2ラックと、
    前記第1ラック及び前記第2ラックと噛合しているピニオンとを有していることを特徴とする請求項3に記載のコネクティングロッドの製造治具。
  5. 一方端部にピストンを支持するピストン支持部を有するとともに、他方端部に第1円弧面が形成されたコネクティングロッド本体と、
    前記コネクティングロッド本体の他方端部にボルト、又は、ボルト及びナットで締結されるキャップとを備えており、
    前記キャップが、
    前記第1円弧面との間でクランク軸を挟持する第2円弧面と、
    前記第2円弧面の両側において前記ボルトが貫通するボルト孔と、
    前記第2円弧面の両側に位置する各側壁に形成されている当接部と、
    前記ボルトの頭部及び前記ナットのいずれかが当接する座面とを備えており、
    前記キャップにおける、前記座面と当該座面に隣接する前記第2円弧面側の側壁との境界領域に残留圧縮応力が発生しており、
    前記当接部が、前記残留圧縮応力を生じさせるための部材が当接するものであることを特徴とするコネクティングロッド。
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