JP2007270443A - 免震下部構造施工方法及びベースプレート - Google Patents

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Abstract

【課題】ベースプレートの高さ位置と略同一の高さ位置まで高流動コンクリートを密実に充填する作業は難しく時間と手間が掛かることを解消する。
【解決手段】高さ調整ボルトを備えた高さ調整架台を固定する調整架台固定工程と、下面にアンカーナットを備えたベースプレートを配置するベースプレート配置工程と、ベースプレートの高さ位置、水平位置及び傾きを管理値以内に調整するベースプレート調整工程と、ベースプレートを高さ調整ボルトに固定するベースプレート固定工程と、ベースプレートの中心孔より、ベースプレートの高さ位置と略同一の高さ位置までコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、コンクリート上面に無収縮モルタルを塗布するモルタル塗布工程と、無収縮モルタルが固まる前に免震装置をベースプレート上面に乗せ、アンカーナットに固定ボルトを通し、免震装置をベースプレートに固定する免震装置設置工程とからなる。
【選択図】図7

Description

本発明は、免震建築物において、免震装置の下部に設置する免震下部構造施工方法及び免震下部構造施工方法に用いられるベースプレートに関する。
免震建築物に地震の激しい揺れが建築物に伝わらないようにするためには、上記施工の過程で、免震装置を重力に対して水平に設置しなければならない。
従来、免震装置を水平に設置するためには、免震装置と下部構造との間に、水平を確保するためのベースプレートが必要であると考えられていた。従って、ベースプレートの表面の平面度は重要視されており、ベースプレートの平面度は基準値以下になるよう加工しなければならないという考えが一般的である。
このため、従来は、上述の通り、免震装置を水平に設置するためには、下部構造の平面度の精度が高いことが必須であると考えられていた。平面度の精度を確保するものとして、鋼板製のベースプレートを、免震装置の土台となる下部構造に採用していた。
その一方で、数年前より、ベースプレートを全く使用せずに、打設したコンクリート面の上に直接、免震装置を乗せる施工方法が試みられている。
しかし、打設したコンクリートの表面を、上記ベースプレートに求められる平面度で水平に均す技は、腕の良い左官職人でなければできない職人技である。従って、ベースプレートを使用せず、腕の良い左官職人が下部構造の打設コンクリートの表面を水平に均すことにより、下部構造の平面度が確保できれば、構造的には成功する方法と考えられている。しかし、腕の良い左官職人がいなければ施工できないため、大量に施工を行うことは、現実的には難しい。現状ではベースプレートを用いて行う施工方法の方が安価であり、経済的に成功するには至っていない。
このため、免震装置を設置する土台部分には、鋼版からなるベースプレートが用いられている。鋼板の板厚は3mm以下になると、ひずみが発生すると考えられている。ひずみが発生した場合には、ひずみ取りが必要となる。ひずみ発生により、平面加工は難しくなり、時間と手間が掛かる。従って、鋼板の加工のし易さから、鋼板の板厚は3mm以上が望ましいと考えられている。
また、鋼板は高価なものであるにも関わらず、鋼板に一定値以上の板厚が必要であることから、鋼板の使用量を抑えることは難しい。従って、ベースプレートは高価にならざるを得ず、ベースプレート製作コストを削減することは難しい。さらに、最近では、大型の免震装置の採用が増えていることに伴い、ベースプレートの直径も大きくなっている。
ベースプレートの大型化に従って、ベースプレートの高さ位置と略同一の高さ位置までコンクリートを密実に充填するためには、圧入充填口や充填方向、空気抜き孔兼充填確認孔の位置を十分に検討する必要がある。作業の難易度は高く、時間と手間が掛かる。よって、コンクリート充填作業コストを削減することも難しい。
このような状況の下、従来より行われている免震装置の代表的な施行工法に、グラウト充填工法とコンクリート打込み工法とがある(非特許文献1参照)。以下、これらの工法を図面に添って説明する。
図8及び図9は、グラウト充填工法の概略を示す図である。図8には、免震装置810が下部ベースプレート800の上部に配置され、ボルト830及びアンカーナット840とで固定されている様子が示されている。また、免震装置810の上部には建造物20が同様にボルト830及びアンカーナット840とで固定されている。レベル調整装置820は、下部ベースプレート800の水平度を調整するものである。
図9は、グラウト充填工法により下部ベースプレートを固定する場合の工程途中を示す図である。グラウト充填工法におけるコンクリート充填は、コンクリート投入口から行わずに下部ナットプレートと基礎型枠の隙間から注ぎ込む形で行う。
従って、ナットプレートはコンクリート投入口を有しない。グラウト充填工法で使用するベースプレート800は、中央部にコンクリート充填孔を有しないことから、コンクリート又はグラウト材のベースプレートの下部への打設は、立上り基礎型枠900に設けた圧入充填口からの圧入、又は、ベースプレートと立上り基礎型枠との隙間からのコンクリート又はグラウト材910の投入により行われる。なお、図8と同一符号は同一の要素を示している。
コンクリート又はグラウト材910は、ベースプレート裏面−30〜50mm程度の位置920まで打ち上げる。打設したコンクリート又はグラウト材に、ある程度の強度の発現が確認できたら、ベースプレートとコンクリート又はグラウト材との隙間に、無収縮モルタルの圧入を行う。コンクリート又はグラウト材、及び無収縮モルタルの充填状況の確認は、ベースプレートに設けた空気抜き孔兼充填確認孔等の僅かな隙間から行う。
かかるベースプレートとコンクリート又はグラウト材との隙間に圧入する無収縮モルタルは、高価なため、コストを抑えるためには使用量を抑えることが望ましい。そのためには、無収縮モルタル材の使用を押さえるためには、コンクリート又はグラウト材をベースプレートの高さ位置近傍まで打設すればよい。
しかし、コンクリート又はグラウト材を充填し過ぎ、充填高さがベースプレートの高さ位置を超えてしまった場合において、ベースプレートの厚みが薄い場合には、コンクリート又はグラウト材の圧力により、ベースプレートの中央部が盛り上がる変形を起こすことがある。よって、コンクリート又はグラウト材の打設の際には、無収縮モルタルのための隙間をある程度は用意しておく必要がある。また、ベースプレートの板厚はある程度は必要となる。
逆に、コンクリート又はグラウト材の充填高さが低かった場合には、充填性が低下し空気溜まりができるやすくなる等の問題が生じる。よって、充填高さには注意を必要とする。
以上述べたように、グラウト充填工法においては、コンクリートの充填に時間と手間が掛かるという問題があった。かかる問題点を解決するための工法としてコンクリート打込み工法がある。コンクリート打ち込み工法によれば、コンクリートの充填作業が比較的容易になり、また、高価な無収縮モルタルを使用する必要がなくなる。以下、コンクリート打込み工法について図面を参照しつつ説明する。
図10は、コンクリート打込み工法で使用するベースプレートを示す図である。コンクリート打込み工法で使用するベースプレート1000は、中央部に表裏を貫通するコンクリート充填孔1020が穿たれている。また、免震装置810とベースプレート1000とを固定する固定ボルトを通すために、コンクリート充填孔1020の周囲に等間隔に設けた複数のボルト取付孔33と、免震装置810とベースプレート30とを固定する固定ボルト830を締結するための、ボルト取付孔33の下面に溶接取付したアンカーナット840とを備えている。
図11及び図12は、コンクリート打込み工法の概略を示す図である。図11には、免震装置810が下部ベースプレート800の上部に配置され、ボルト830及びアンカーナット840とで固定されている様子が示されている。図8と同じ符号は同じものを意味する。
図12には、コンクリート打込み工法により下部ベースプレートを固定する場合の工程途中が示されている。コンクリート打込み工法では、コンクリートの下部ベースプレート1000の下部への打設は、ホッパー1200を用いて、下部ベースプレート1000の中央部のコンクリート充填孔1020からコンクリート1210を投入し、ベースプレート裏面まで行われる。よって、コンクリート充填孔の大きさは、ホッパー1200のコンクリート投入孔の大きさに略同一の大きさであればよい。コンクリート打込み工法においては、コンクリートの充填は、ナットプレートに設けられたコンクリート投入口よりコンクリートを流し込む。最近では、コンクリート打設に使用するコンクリートには、高流動コンクリートが採用されている。また、バイブレータにより締固めを行う方法も多く採られている。高流動コンクリートを用いれば、投入口から投入されたコンクリートが水平方向に拡散するためである。このため、コンクリート充填孔の大きさは、ホッパー1200によりコンクリートが充填できる大きさであれば足りる。
しかし、この方法でも、コンクリートの充填状況の確認は、前記グラウト充填工法と同様、空気抜き孔兼充填確認孔に頼らざるをえない。作業の難易度は高く、時間と手間が掛かり、コンクリート充填作業コストを削減することは難しい。
また、コンクリート打込み工法は、コンクリートの打設と同時に、中央部からプレート外周方向へコンクリート流れをつくり、プレート下面の気泡を追いやることを基本としている。よって、前記グラウト充填工法と同様、ベースプレートの高さ位置と略同一の高さ位置までコンクリートを密実に充填するためには、圧入充填口や充填方向、空気抜き孔兼充填確認孔の位置を十分に検討する必要がある。
高流動コンクリートの採用により、コンクリートを型枠の隅々まで、自然に流動、充填させることで、充填性を高めるとともに、巻き込む空気量を少なくしている。普通コンクリートを使用する場合には、バイブレータを使う時間が長くなると、かえって巻き込む空気量を増すことになるので注意をする必要がある。また、打込み量が多い時場合、すなわち、打込む高さが大きい場合は、膨張剤を組み合わせたものが使用されている。
当該コンクリート打込み工法で使用する下部ベースプレート1000の板厚は、前記グラウト充填工法で使用する下部ベースプレート800の板厚と同一でよい。高流動コンクリート充填し過ぎ、または、高流動コンクリートにいれた膨張剤のために、充填高さがベースプレートの高さ位置を超えてしまった場合において、ベースプレートの厚みが薄い場合には、コンクリート圧力により、ベースプレートの中央部が盛り上がる変形を起こすことがあるからである。前記グラウト充填工法と異なるのは、ベースプレートの高さ位置と略同一の高さ位置よりコンクリート打設高さが高くなった場合には、コンクリート充填孔から盛り上がった部分は、削ればよい点である。充填作業は前記グラウト充填工法よりは簡易になり、時間と手間を減らすことができる。よって、コンクリート充填作業コストを削減することが可能になる。
当該コンクリート打込み工法では、前記グラウト充填工法で使用する無収縮モルタルを使用しないため、高流動コンクリートは、事前にブリージングによる沈下実験を行う必要がある。また、コンクリート充填作業はブリージングによる沈下状況を管理しながらの作業となる。
JSSI免震構造施工基準2005(編集 社団法人 日本免震構造協会、発行 財団法人 経済調査会)
上述した通り、グラウト充填工法よりはコンクリート打込み工法は優れてはいるものの、ベースプレートの高さ位置と略同一の高さ位置まで高流動コンクリートを密実に充填する作業は難しく時間と手間が掛かる。よって、コンクリート充填作業コストを削減することも難しく、当該コンクリート打込み工法においては、上述のように、コンクリートの充填に時間と手間がかかるという課題があり、免震装置の下部の構造を施工する新たな免震下部構造施工方法が望まれていた。
そこで、本発明に係る免震下部構造施工方法は、建築物と地盤とを振動的に絶縁する免震装置を設置する際に、免震装置の下部構造を施工する免震下部構造施工方法であって、コンクリート基礎上に、高さ調整ボルトを備えた高さ調整架台を固定する調整架台固定工程と、下面にアンカーナットを備えたベースプレートを配置するベースプレート配置工程と、高さ調整ボルトにより、ベースプレートの高さ位置、水平位置及び傾きを管理値以内に調整するベースプレート調整工程と、高さ調整ボルトの調整を固定し、かつ、ベースプレートを高さ調整ボルトの先端に固定するベースプレート固定工程と、ベースプレートの中心孔より、ベースプレートの高さ位置と略同一の高さ位置までコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、コンクリートが固まった後、コンクリート上面に無収縮モルタルを塗布するモルタル塗布工程と、工程により塗布された無収縮モルタルが固まる前に免震装置をベースプレート上面に乗せ、アンカーナットに固定ボルトを通し、免震装置をベースプレートに固定する免震装置設置工程とからなる。
また、本発明に係るベースプレートは、コンクリート打設の基準位置に配置され、コンクリート打設後に免震装置を高さ位置、水平位置及び傾きを管理値以内に設置するためのベースプレートであって、コンクリート充填のためにベースプレートの中央部に設けたコンクリート充填孔と、免震装置とベースプレートとを固定する固定ボルトを通すために、コンクリート充填孔の周囲に等間隔に設けた複数のボルト取付孔と、免震装置とベースプレートとを固定する固定ボルトを締結するための、ボルト取付孔の下面に溶接取付したアンカーナットとを備えたことを特徴とする。
また、このベースプレートは、免震装置を水平に設置するために、下面に補強材を備えていてもよい。
本発明によれば、コンクリート充填作業コストを削減するとともに、コンクリートの充填に時間と手間がかからない。
本発明に係る免震下部構造施工方法は、新たなベースプレートを用いて下部構造を施工するものである。以下、本発明に係る免震下部構造施工方法を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る免震下部構造施工方法を用いて建造物が設置された状態を示す図である。図1には、地盤22の上にコンクリート基礎23を打設し、その上に複数個の免震装置810を設置する。その免震装置810の上に建物20が建てられた状態が示されている。
図2は、免震装置810の全体図である。免震装置810は、建築物と地盤とを振動的に絶縁する。設置部12、13との間を振動的に絶縁するために絶縁部11は例えば積層ゴムが用いられる。
図3は、本発明に係る免震下部構造施工方法により下部ベースプレートを設置した状態を示す図である。図3には、図8にて述べたレベル調整装置820の詳細が示されている。図3には、調整架台固定工程として、地盤22上のコンクリート基礎23上に、高さ調整ボルト45を備えた高さ調整架台40を固定する。次に、ベースプレート配置工程として、下面にアンカーナット840を備えたベースプレート30を配置する。このようにして、 コンクリート基礎23の上にレベル調整用架40を、アンカー60で固定して設置を行う。レベル調整用架台40のレベル調整部50の上に下部ベースプレート30を配置する。
さらに、ベースプレート調整工程として、高さ調整用のボルト45により、ベースプレート30の高さ位置、水平位置及び傾きを管理値以内に調整する。この管理値としては、例えば、1m幅につき1mm以内という管理値以内で水平度を保つように調整される。
そして、ベースプレート固定工程として、高さ調整用のボルト45の調整を固定し、かつ、ベースプレート30を高さ調整用のボルト30の先端に固定する。
図4は、本発明に係る免震下部構造施工方法に用いられるベースプレートの全体図である。図4には、コンクリート打設の基準位置に配置され、コンクリート打設後に免震装置810を高さ位置、水平位置及び傾きを管理値以内に設置するためのベースプレート30であって、コンクリート充填のためにベースプレートの中央部に設けたコンクリート充填孔32と、免震装置810とベースプレート30とを固定する固定ボルトを通すために、コンクリート充填孔の周囲に等間隔に設けた複数のボルト取付孔33と、免震装置810とベースプレート30とを固定する固定ボルト830を締結するための、ボルト取付孔33の下面に溶接取付したアンカーナット840とを備えている。
本発明に係る免震下部構造施工方法に用いられるベースプレート30のコンクリート充填孔32は、コンクリート打込み工法のコンクリート充填孔1020のように、コンクリートを充填するためだけのみならず、コンクリートの充填状況の確認を行うことができるよう、孔を大きく設けている。この孔により、充填作業は簡易になり、時間と手間を減らすことができる。よって、コンクリート充填作業コストを削減することが可能になる。
図5は、本発明に係る免震下部構造施工方法に用いられる他のベースプレートの全体図である。補強材34は、従来のコンクリート打込み工法用下部ベースプレートよりも、穴が大きく、鋼板の薄さが薄いため、その補強として用いるものである。補強材34は、ベースプレート30のひずみやたわみを防止することを目的とする。当該補強材34は、ベースプレート30の設置前に、事前にベースプレート30の下面に溶接取付しておく。
図6及び図7は、本発明に係る免震下部構造施工方法を説明する説明図である。免震建築物の下部構造の施工は、地盤の上に捨てコンクリートを打設した後、墨出しを行い、基礎配筋及び基礎型枠を組み立て、コンクリート基礎23を打設した後、基礎型枠を解体を行い、ベースプレートの墨出しを行い、レベル調整用架台40の架台部を固定用アンカー60を用いて固定し(図3参照)、立上り基礎配筋をした上に、下面にアンカーナット840を溶接取付したベースプレート30を設置し、レベル調整部50にて平面位置、高さ位置及び傾きの調整を行った後、レベル調整部50とベースプレート30とをボルト45で固定し、立上り基礎配筋の追加及び立上り基礎型枠を組み立てた後、立上り基礎へのコンクリートを打設、すなわち、ベースプレート30の下部にコンクリートを打設することにより行われる。
図6には、免震装置810が下部ベースプレート800の上部に配置され、ボルト830及びアンカーナット840とで固定されている様子が示されている。また、免震装置810の上部には建造物20が同様にボルト830及びアンカーナット840とで固定されている。レベル調整装置820は、下部ベースプレート800の水平度を調整するものである。
ナットプレートフレーム工法におけるコンクリート充填工法は、ナットプレートに設けられたコンクリート投入口よりコンクリートを流し込む。このとき用いるコンクリートは、通常のコンクリートである。
図7では、本発明に係る免震下部構造施工方法において、コンクリート充填孔32の孔からコンクリートを流し込む状態を示している。当該ナットプレートフレーム工法では、コンクリートのベースプレートの下部への打設は、コンクリート打込み工法と同様の方法で行う。ただし、中央部のコンクリート投入孔の部分のコンクリート打設は、ベースプレートの天端から0〜±1mm程度まで行う。コンクリートの打設確認後、上面に無収縮モルタルを薄く塗り、その上に免震装置810を設置する。
図7には、ベースプレート30の充填孔32より、ベースプレート30の高さ位置と略同一の高さ位置までコンクリート投入装置705によりコンクリート710を打設するコンクリート打設工程と、コンクリート710が固まった後、コンクリート上面に無収縮モルタル720を塗布するモルタル塗布工程が示されている。
ここで図6に戻る。免震建築物の上部構造の施工は、一般に、上記下部構造の上に免震装置810を設置し、ベースプレート30と免震装置810とをボルト830で固定した後、免震装置810の上に上面にアンカーナット840を溶接取付したベースプレート30を設置し、平面位置の調整を行った後、平面位置、高さ位置及び傾きの調整を行った後、免震装置810と上部ベースプレートとをボルト830で固定し、その上に建造物を建てる
図6には、免震装置設置工程として、モルタル塗布工程により塗布された無収縮モルタル720が固まる前に免震装置810をベースプレート30上面に乗せ、アンカーナット840に固定ボルト830を通し、免震装置810をベースプレート30に固定する工程が施された状態が示されている。さらに、ボルトナットの接続により建造物20が上部に配置されることになる。
免震装置は、設置を際に重機を用いて行う程に非常に重い機械である。従って、ベースプレートの際に天端から0〜±1mm程度コンクリートが盛り上がるか、あるいはへこんでいても、無収縮モルタルを薄く塗り免震装置を乗せることにより、その高さ位置は0mmになる。
無収縮モルタルは、上述の通り、高価なものであるが、当該ナットプレートフレーム工法においては、その使用量はグラウト充填工法と比較して遙かに少なくて済むので、コストにはそれほどの影響を与えない。
以上のように、本発明のベースプレートは、免震装置を水平に設置するためには、下部構造の平面度に従来のような高精度は必要が無いという考えの基づき、発明されたものである。
ベースプレートを全く設置しない場合には、コンクリートの打設高さが不明になる。また、免震装置と下部構造とを固定することができなくなる。
本発明のベースプレート30は、コンクリートの打設高さのガイドとしての役割を果たし、また、アンカーナット840を取り付ておくことで、免震装置と下部構造とを固定することを可能にする。
また、従来は、地震による建造物の振動は、建築物から上部構造のアンカーナット、スタッドボルト、ベースプレートを伝わり、免震装置へと伝わると考えられていたが、本発明のベースプレートは、地震による建造物及び地盤の振動は、建造物から上部構造のアンカーナット、スタッドボルトから直接、免震装置の振動へと伝わり、ベースプレートを経由しないとの考え基づき、発明されたものであり、免震装置の設置の分野で幅広い利用の可能性がある。
本発明に係る免震下部構造施工方法を用いて建造物が設置された状態を表した図である。 免震装置の全体図である。 本発明に係る免震下部構造施工方法により下部ベースプレートを設置した状態を示す図である。 本発明に係る免震下部構造施工方法に用いられるベースプレートの全体図である。 本発明に係る免震下部構造施工方法に用いられる他のベースプレートの全体図である。 本発明に係る免震下部構造施工方法を説明する説明図である。 本発明に係る免震下部構造施工方法を説明する説明図である。 グラウト充填工法の概略を示す図である。 グラウト充填工法の概略を示す図である。 コンクリート打込み工法で使用するベースプレートを示す図である。 コンクリート打込み工法の概略を示す図である。 コンクリート打込み工法の概略を示す図である
符号の説明
10 免震装置
11 絶縁部
12、13 設置部
20 建築物
22 地盤
23 コンクリート基礎
30 ベースプレート
32 コンクリート充填孔
33 ボルト取付け孔
34 補強材
35 アンカーナット
40 レベル調整用架台
45 レベル調整用ボルト
50 レベル調整部
60 アンカー
70 コンクリート打込工法用下部ベースプレート
80 コンクリート投入口
90 ナットプレートフレーム工法用下部ベースプレート
600 ベースプレート
620 コンクリート充填孔
705 コンクリート投入装置
710 コンクリート
720 無収縮モルタル
810 免震装置
820 レベル調整装置
830 ボルト
840 アンカーナット
900 立上り基礎型枠
910 コンクリート又はグラウト材
1000 ベースプレート
1020 コンクリート充填孔
1200 ホッパー
1210 コンクリート

Claims (3)

  1. 建築物と地盤とを振動的に絶縁する免震装置を設置する際に、免震装置の下部構造を施工する免震下部構造施工方法であって、
    コンクリート基礎上に、高さ調整ボルトを備えた高さ調整架台を固定する調整架台固定工程と、
    下面にアンカーナットを備えたベースプレートを配置するベースプレート配置工程と、
    前記高さ調整ボルトにより、前記ベースプレートの高さ位置、水平位置及び傾きを管理値以内に調整するベースプレート調整工程と、
    前記高さ調整ボルトの調整を固定し、かつ、前記ベースプレートを前記高さ調整ボルトの先端に固定するベースプレート固定工程と、
    前記ベースプレートの中心孔より、前記ベースプレートの高さ位置と略同一の高さ位置までコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
    コンクリートが固まった後、コンクリート上面に無収縮モルタルを塗布するモルタル塗布工程と、
    前記工程により塗布された前記無収縮モルタルが固まる前に前記免震装置を前記ベースプレート上面に乗せ、前記アンカーナットに固定ボルトを通し、前記免震装置を前記ベースプレートに固定する免震装置設置工程と
    からなる免震下部構造施工方法。
  2. コンクリート打設の基準位置に配置され、コンクリート打設後に免震装置を高さ位置、水平位置及び傾きを管理値以内に設置するためのベースプレートであって、
    コンクリート充填のために前記ベースプレートの中央部に設けたコンクリート充填孔と、
    前記免震装置と前記ベースプレートとを固定する前記固定ボルトを通すために、前記コンクリート充填孔の周囲に等間隔に設けた複数のボルト取付孔と、
    前記免震装置と前記ベースプレートとを固定する前記固定ボルトを締結するための、前記ボルト取付孔の下面に溶接取付した前記アンカーナットと
    を備えたことを特徴とするベースプレート。
  3. 前記免震装置を水平に設置するために、下面に補強材を備えた、請求項2記載のベースプレート。

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