JP2007270050A - 感熱圧性接着剤、並びに、感熱圧性接着シート及びその貼付方法 - Google Patents

感熱圧性接着剤、並びに、感熱圧性接着シート及びその貼付方法 Download PDF

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Abstract

【課題】貼付する際に接着剤層と被着体との間に巻き込んだ空気を容易に抜くことができ、美麗に、能率よく貼付けることができ、生産性も良好な感熱圧接着剤、感熱圧接着シートの提供。
【解決手段】ガラス転移点が−45〜+20℃のポリエステル系樹脂、及び、アルキッド系樹脂の群から選ばれた一種又は二種以上の有機高分子(A)と、軟化点が70〜180℃の樹脂成分(B)を含有し、有機高分子(A)の連続層中に、樹脂成分(B)が分散した状態で存在する非水液状体であることを特徴とする感熱圧性接着剤。
【選択図】 図1

Description

本発明は、感熱圧性接着剤、感熱圧性接着シート、及び、その貼付方法に関し、さらに詳しくは、貼付する際に接着剤層と被着体層との間に巻き込まれた空気を容易に抜くことができ、貼着を美麗に、能率よく行うことができ、また、生産性も良好な感熱圧性接着剤、感熱圧性接着シート、及び、その貼付方法に関する。
従来、広告、案内、防熱、あるいは、装飾として粘着フィルムが広く使用されているが、粘着フィルムは貼付する際、粘着剤層と被着体との間に空気を巻き込んでしまい、空気を巻き込んだ部分は透明性が低下するため、意匠性が低下する問題があり、空気を巻き込まないように貼着するためにはかなりの熟練を要し、また、作業上、労力と時間を要する問題があった。
その改良方法として、特許文献1には、感圧粘着剤をドット方式あるいは筋状のパターンで点在させることによって粘着剤層を不連続性として空気の抜き出しを容易とした感圧粘着シートが開示されている。しかしながら、この提案には、特別な塗工機が必要になるとともに、部分設置したドットや筋状のパターンによってフィルム表面に凹凸が発生するという問題もあった。
特許文献2には、軽量で、かつ、堅く、壁が薄く脆い中空のガラス粒子を、液状の粘着剤中に配合した感圧粘着剤を塗布した感圧粘着シートが開示されている。この感圧粘着シートは、含有された粒子によって、感圧粘着剤が被着体から浮き上がり、ずらし易いため、位置合わせ、空気の抜き取りが容易となり、施工の能率が向上する特徴を有する。
しかしながら、感圧粘着剤中に中空のガラス粒子を混合する際の均一分散が難しく、また、撹拌混合中のガラス粒子の破砕などの問題が避けられず、安定した品質の感圧粘着シートを得ることは容易ではなかった。
特許文献3には弾性微小球と粘着剤とからなる感圧粘着剤を塗布した感圧粘着シートが開示されている。同技術は、感圧粘着剤として、水を媒体とした懸濁重合法により得られた弾性微小球を分散させて感圧粘着剤組成物を調製して、これを基材に塗布することによって感圧粘着シートを形成するものである。この感圧粘着シートは、感圧粘着剤の粘着力の不足、高温高湿下でのクリープ特性の劣悪、曲面粘着のしにくさ、感熱圧接着剤層形成時や貯蔵時における圧力、熱、湿度、光などの外的要因による物性変化等、幾多の課題が存在している。
このように、粘着テープ及び粘着シートについての従来の各種提案には、それぞれに課題を有しており、前記の諸課題を同時に解決した粘着シートは未だ完成されていないのが実情である。
実開昭59−37343 特公昭45−17074 特開平8−113768
感圧粘着シートの貼着の難しさは、貼着作業中においても粘着性が強く、感圧粘着シートが、一旦被着体に接触すると横にずらすことができないため位置合わせが難しく、また、巻き込んだ空気を閉じ込めてしまうことにある。したがって、貼着作業を能率的にするためには、貼着作業中にはタック性が低く、貼着後には強力に接着する性質を付与することが必要となる。
本発明は、かかる事情に基づき、貼付する際に接着剤層と被着体との間に巻き込んだ空気を容易に抜くことができ、美麗に、能率よく貼付けることができ、生産性も良好な感熱圧接着剤、感熱圧接着シート、及び、その貼付方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果なされたもので、具体的には、ガラス転移点が−45〜+20℃のポリエステル系樹脂、及び、アルキッド系樹脂の群から選ばれた一種又は二種以上の有機高分子(A)と、軟化点が70〜180℃の樹脂成分(B)を含有し、有機高分子(A)の連続層中に、樹脂成分(B)が分散した状態で存在する非水液状体であることを特徴とする感熱圧性接着剤を提供することにある。
また、本発明は、有機高分子(A)が、ポリエステル系樹脂、又は、アルキッド系樹脂の群から選ばれた一種又は二種以上が有機溶媒に溶解してなる上記の感熱圧性接着剤、及び、樹脂成分(B)が、ロジン、クマロン・インデン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、石油系炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、又は、テレピン系樹脂の群から選ばれた一種又は二種以上の混合物である上記の感熱圧性接着剤を提供することにある。
さらに、本発明は、上記の感熱圧性接着剤が熱可塑性樹脂製の基材の片面又は両面に、気泡を含まないように塗着されてなることを特徴とする感熱圧性接着シート、及び、上記の感熱圧性接着剤が熱可塑性樹脂製の長尺状基材の片面又は両面に、気泡を含まないように塗着されてなることを特徴とする感熱圧性接着シートを提供することにある。
さらに、また、本発明は、上記の感熱圧性接着シートを被着体表面に添着し、巻き込んだ空気の抜き出し操作を行った後、加熱して接着することを特徴とする感熱圧性粘着テープを提供することにある。
本発明の感熱圧性接着シートは、位置合わせが容易で、貼付する際に接着剤層と被着体層との間に巻き込まれた空気を容易に抜くことができるため、美麗に貼着することができる。また、生産性にも優れたものである。
本発明の接着剤は、ガラス転移点が−45〜+20℃の有機高分子(A)、及び、軟化点が70〜180℃の樹脂成分(B)を含有し、かつ、有機高分子(A)の連続層中に、樹脂成分(B)が分散された状態で含有された非水分散液とされる。
有機高分子(A)としては、ポリエステル系樹脂、あるいは、アルキッド系樹脂が使用される。
ポリエステル系樹脂の製法としては、一般に採用されている方法を採用することができ、例えばジカルボン酸成分(a)とグリコール成分(b)とを直接反応させて重収縮を行なう直接エステル化法あるいは上記ジカルボン酸成分のジメチルエステルとグリコール成分とを反応させてエステル交換を行なうエステル交換法などの調製法が利用される。また調製は回分式及び連続式のいずれかの方法で行なわれてもよい。
ジカルボン酸成分(a)としては、特に制限されることなく2価以上の酸であればよいが、脂肪族ジカルボン酸(a−1)、及び芳香族ジカルボン酸(a−2)が好適に使用される。脂肪族ジカルボン酸(a−1)としては、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜10脂環族ジカルボン酸が挙げられ、具体的には、シュウ酸,マロン酸,コハク酸,グルタール酸,アジピン酸,アゼライン酸,セパシン酸,ピメル酸,スベリン酸,ウンデカン酸,ドデカンジカルボン酸,ブラシリン酸,テトラデカンジカルボン酸,タプシン酸,ノナデカンジカルボン酸,ドコサンジカルボン酸ダイマー酸の水添物、1−ブチルヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその置換体4,4′−ジカルボキシシクロヘキサン等の脂環族ジカルボン酸及びその置換体等が挙げられ、中でもドデカンジカルボン酸、セバシン酸、アゼライン酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸(a−2)としては、例えばテレフタル酸,イソフタル酸,フタル酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類、4,4′−ジカルボキシビフェニール等のジカルボキシビフェニール類、5−第3級ブチルイソフタル酸等の置換フタル酸類、2,2,6,6−テトラメチルビフェニール−4,4′−ジカルボン酸等の置換ジカルボキシルビフェニール類、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸及びその置換体、1,2−ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸及びその置換体等が使用できる。コスト面や反応性の観点で、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。これらは単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
グリコール成分(b)の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2−n−プロパンジオール等の分岐脂肪族ジオール類、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類、2,2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシジフェニール)プロパン、ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物、キシリレングリコール等の芳香族系のジオール類、低分子量ポリブタジエンポリオール、低分子量ポリオレフィン系ポリオール等が挙げられる。本発明では上記ジカルボン酸成分(a)とグリコール成分(b)を重縮合して有機高分子(A)が得られる。
また、ジカルボン酸成分(a)とグリコール成分(b)とはモル比で(a):(b)=1:1.1〜1:2.0、好ましくは1:1.2〜1:1.8で行うことが望ましい。
本発明に用いることのできる有機高分子(A)としては、このようなポリエステル系樹脂の他に、アルキッド系樹脂を使用することができる。
本発明に用いられる有機高分子(A)のガラス転移点(以下、Tgと略記することがある)は−45〜+20℃、好ましくは−40〜+10℃であることが必要である。
Tgが上限値を超えると、得られる接着剤の粘着力が不十分となることがあるので好ましくなく、下限値未満になると、得られる接着剤のタック性が強くなりすぎ、貼付の際に、接着剤層と被着体層との間に巻き込んだ空気を容易に抜きにくくなることがあり好ましくない。
なお、有機高分子(A)は前記のとおり2種以上の混合物して用いることができるが、この場合、混合される各樹脂のTgが全て上記範囲を満足している必要はないが、得られた混合物のTgが該範囲を満足していることが必要である。
また本発明に用いられる有機高分子(A)は、その重量平均分子量(以下Mwと略記することがある)が、5000以上、特には5000〜10万であるのが好ましい。Mwの値がこの下限値以上であれば、得られる接着剤の粘着力及び凝集力が良好なバランスを有しているので好ましく、上限値以下であれば、シートを形成する時の接着剤組成物溶液の塗工に際して、この組成物溶液の固形分をあまり低下させなくても好適な塗工粘度が得られるので比較的短時間で乾燥硬化させて接着剤層を形成させることができ、揮散する有機溶媒量も多くなることがないので、コスト的にもまた環境衛生的にも好ましい。
本発明における有機高分子(A)の「重量平均分子量」とは、GPC法により測定した値をいい、有機高分子(A)のガラス転移点(Tg)はDSC法で測定した値をいう。また後記するように有機高分子(A)が架橋剤等により架橋される場合には、架橋前に測定した有機高分子(A)のMw及びTgをもって有機高分子(A)のMw及びTgとする。
上記の重合性組成物には、必要に応じて、物性を損なわない範囲で粘着付与剤、安定剤、可塑剤等が添加されてもよく、これらの添加量は、重縮合性組成物100重量部に対して、一般に、10重量部以下とされる。
本発明の感熱圧接着シートに使用される接着剤組成物は、有機高分子(A)と共に、軟化点が70〜180℃の樹脂成分(B)を含有してなるものである。
樹脂成分(B)は粘着付与剤として機能するもので、樹脂成分(B)としては、例えば、ロジン、クマロン・インデン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、p−t−ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、石油系炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、テレピン系樹脂等を使用することができ、粘着力及び曲面粘着性のよさ等の観点から、α−ピネン樹脂、ロジン、石油系炭化水素樹脂の使用が好ましい。本発明に用いられる樹脂成分(B)の軟化点は、70〜180℃、好ましくは75〜160℃、特に好ましくは80〜150℃であることが必要である。
樹脂成分(B)の軟化点が下限値未満では、接着剤のタック性が強すぎ、はり付けの際に、接着剤層と被着体層との間に巻き込んだ空気を容易に抜き難くなることがあるので好ましくなく、一方、上限値を超えると、粘着性が発揮される温度が高すぎるので好ましくない。なお樹脂の軟化点の測定は、JIS K−2531の環球法に従って測定された値である。
また本発明に好適に用いることのできる樹脂成分(B)は、その重量平均分子量(以下Mwと略記することがある)が、5000以下、特には2000〜4000であることが必要である。Mwの値が該上限値を超えると得られる接着剤の粘着力、曲面粘着性等の粘着物性が低下する傾向にあるので好ましくない。一方、下限値以上であれば、得られる接着剤層の凝集力の低下などの不都合が生じることがないので好ましい。
なお、本発明における樹脂成分(B)のMwは有機高分子(A)と同様の方法で測定した値をいう。本発明に用いることのできる有機高分子(A)及び樹脂成分(B)は、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、または、紫外線、電子線等による放射線重合、イオン重合、付加重合、重縮合など従来公知の方法で製造することができ、該ポリエステル系樹脂の製造方法については特に制限されることなく、例えば、前記の酸成分とグリコール成分を同時に又は段階的に直接エスエル化するか、あるいはエステル交換反応させた後重縮合する方法等が採用される。その際、任意の各種の触媒、安定剤、改質剤、あるいは添加剤等を使用してもよい。例えば、エステル化の触媒としてはジブチルスズオキサイド、酢酸亜鉛等があり、重合触媒としてはテトラn−ブチルチタネート、三酸化アンチモン等が使用できる。
本発明における感熱圧接着剤中に含有される有機高分子(A)及び樹脂成分(B)の割合は、有機高分子(A)及び樹脂成分(B)の合計100重量%として、有機高分子(A)30〜95重量%、特には40〜90重量%、及び、樹脂成分(B)70〜5重量%、特には60〜10重量%であるのが好ましい。有機高分子(A)の含有割合が上限値以下であれば、得られる接着剤の粘着力や曲面粘着性が不十分となることがないので好ましく、下限値以上であれば、接着剤の凝集力が不足することがないので好ましい。
本発明における有機高分子(A)には、必要に応じて有機溶媒が添加される。有機溶媒としては、ケトン、エーテル、セロソルブ、アルコール、芳香族系炭化水素、直鎖状炭化水素等を用いることができる。
本発明において好適に用いることのできる感熱圧接着剤の調製方法としては、例えば、有機高分子(A)を溶解成分とし、樹脂成分(B)を分散成分とする非水樹脂分散液を用いて形成する方法;樹脂成分(B)をコア部とし、有機高分子(A)をシェル部とするコア−シェル型水性樹脂分散液を用い、必要に応じてこれに、有機高分子(A)からなる通常の水性樹脂分散液をブレンドしたものを用いて形成する方法などが好適に採用できるが、得られる接着剤の耐候性や、耐水性などの観点から、有機高分子(A)を溶解成分とし、樹脂成分(B)を分散成分とする非水樹脂分散液を用いて形成する方法を用いるのが特に好ましい。
本発明において好適に用いることのできる非水樹脂分散液の製造は、特に限定されるものではなく、公知の方法で行うことができ、例えば、先ず、重縮合性組成物中に樹脂成分(B)を溶解して、次いでこの樹脂成分(B)を含有する重縮合性組成物溶液中で、得られる(共)重縮合体は樹脂成分(B)の溶解性が小さくなるような重縮合組成物を選択して、重合触媒を用いて(共)重合し、有機高分子(A)を形成させることによって樹脂成分(B)を析出、調製することができる。その後、溶剤で調整して、有機高分子(A)を溶解成分とし、樹脂成分(B)を分散成分とする半透明の非水樹脂分散液を形成させる方法を挙げることができる。
本発明における接着剤は、必要に応じて、適宜架橋した有機高分子(A)により形成することができる。ただしこの場合には、該接着剤が好ましい粘着力と凝集力とのバランスを失わないように配慮することが重要である。
架橋方法としては、例えば、接着剤組成物に多官能架橋剤を添加混練した後、シート状に成形し、紫外線や電子線を照射する方法、あるいは、重縮合性組成物中に予め多官能架橋剤を添加しておき、シート状にした後、紫外線や電子線を照射して架橋する方法等が挙げられる。
多官能架橋剤としては、例えば、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基(或いはグリシジル基)含有化合物、アジリジニル基含有化合物、金属錯体、メラミン系化合物等が例示でき、具体的には、p−又はm−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又は、これらの2量体もしくは3量体、イソシアネートとエチレングリコールもしくはトリメチロールプロパン等の2価、3価ポリオールとのアダクト体等のイソシアネート系化合物、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3ビス−(N,Nジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等のエポキシ化合物、アルミニウム−トリ−2−アセチルアセテート、アルミニウム−t−プロピオレート等の有機の金属化合物が使用される。これらは単独で用いてもよいし、また2種類以上併用してもよい。中でもイソシアネート化合物、ポリグリシジルアミン系化合物、又は有機の金属化合物が好ましい。
また、接着剤組成物中に、無機充填材を添加することができる。無機充填材の種類としては、例えば、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ウオラストナイト、ゼオライト、シリカ、珪酸カルシウム等を使用することができる。
さらに、接着剤組成物中に少量の可塑剤を配合することが可能である。配合される可塑剤の種類は限定されるものではなく、例えば、アジピン酸ジエステル等の脂肪族多価カルボン酸のエステル、ジオクチルフタレート等の芳香族多価カルボン酸のエステル、安息香酸トリメチロールプロパンエステル等の固体可塑剤、リン酸エステル等の低分子可塑剤や、ポリエステル、プロセスオイルのような高分子可塑剤等が例示できる。その配合量は10重量%以下が好ましい。
また、接着剤中にはベンゾトリアゾール系化合物を添加することが望ましい。ベンゾトリアゾール系化合物は、金属腐蝕を防止する作用が知られており、これを配合することで金属腐蝕による変色をより効果的に防止することが可能となる。ベンゾトリアゾール系化合物は有効量が添加されればよく、およそ0.1〜10重量%程度とされる。また、接着剤中には紫外線防止剤、酸化防止剤、光安定剤を添加することができる。
本発明感熱圧性接着剤は、図1に示すように、シート状の基材2に塗着して接着剤層1を形成することによって感熱圧性接着シート3を得ることができる。基材2としては、その形状、厚さは任意であり、一般には、テープ、板体と称されるものも含むものとする。
また、材質としては、金属、ガラス、紙、布帛、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のシート等が挙げられる。特に、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂が好ましく、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドが望ましい。また、目的に応じて、図2に示すように、織布4を裏打ちすることも可能である。織布を積層することによって手切れ性を向上することができる。なお、感熱圧性接着剤の塗布は、接着剤層1内に気泡が発生しないように配慮することが必要である。
接着剤層1を塗布する塗布面には、必要に応じて、感熱圧性接着剤との密着力を高めるため、その表面にサンドブラスト処理や火炎処理等の物理的処理またはコロナ処理やプラズマ処理等の化学的処理、あるいは、プライマー処理等を施すことが好ましい。接着剤は、通常、適宜の有機溶剤に溶解された上で、基材2上に塗工した後乾燥され、あるいは、シート状に離型処理が施された工程紙上に塗工後乾燥されたものが支持体上に転写されて、基材2と接着剤層1が積層された感熱圧性接着シート3とされる。塗工手段や乾燥方法に制限はなく、公知の方法を採用することができる。
また、基材2上に形成される接着剤層1は、特に限定されるものではないが、その厚みが10μm〜0.5mmであることが好ましい。接着剤層の厚みが10μm未満であると、粘着テープ1の粗面粘着性や凹凸追従性が不十分となることがあり、逆に接着剤層4の厚みが0.5mmを超えると、粘着性や粘着力はもはやそれ以上向上しないにもかかわらず、コスト高となることがある。
本発明感熱圧性接着シート3を使用するときは、感熱圧性接着シート3を被着体(図示せず)の表面に添着し、位置あわせ、空気抜きの操作をした後、加熱することによって行うことができる。加熱は、熱風あるいはアイロン等の熱板を用いて行うことができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の内容をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。なお、本発明の接着剤および粘着シートの試験用シートの作成方法、粘着力、気泡抜け性、及びフィルム表面の凹凸の測定方法は次の通りである。
(粘着力)
粘着シートから25mm巾の短冊状に切り出した試験片を、120℃に設定した乾燥機中で30秒加熱し粘着性を発現させた後、JIS Z0237に準じて180°剥離により1日後の粘着強度を測定した。
(気泡抜け性)
剥離フィルムをはがした100mm×100mmのサンプルを平滑なアクリル板上に設置し、スキージで中心に向かって圧着した。その後2kgのローラーを転がし、気泡の抜け具合を観察した。
○:5往復以内で気泡が完全に抜けた。
×:5往復では一部気泡が残った。
(フィルム表面の凹凸)
300mm×300mmのサンプルを平滑なアクリル板にはり付けフィルム表面の凹凸を目視で観察した。
○:凹凸が少なく目視で確認できない。
×:凹凸が確認できる。
(実施例1)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、樹脂成分(B)としてα−ピネン樹脂「ピコライトA115」[商品名:双日ケミカル(株)製]100重量部、ジカルボン酸成分(a)であるドデカンジカルボン酸(DDA)14重量部、テレフタル酸(TPA)36重量部、グリコール成分(b)であるブチルエチルプロパンジオール(BEPG)14重量部、低分子量ポリオレフィン系ポリオール「ポリテールHA」(HA)「商品名:三菱化学(株)製」33.5重量部、エイレングリコール(EG)2.5重量部を混合溶解し、窒素雰囲気下230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、酢酸エチル(EAc)150重量部を加えて希釈し、固形分約40重量%、粘度2,000mPaS(B型回転粘度型、30℃、10rpm)の、有機高分子(A)を生成して溶解成分を形成して、樹脂成分(B)を分散成分とする半透明の非水樹脂分散液を得た。
得られた分散液100重量部に、架橋剤(D)としてイソシアネート化合物「コロネートL55E」[商品名:日本ポリウレタン(株)製]1重量部を撹拌混合した後、乾燥後の厚さが25μmになるように、厚さ50μmのポリエステルフィルムに塗布し100℃にて5分間乾燥して剥離フィルムを積層し粘着シートを得た。得られた粘着シートを使用し、各種粘着物性を測定した。接着剤の形成に使用した有機高分子(A)の共重合組成、粘度、固形分、Mw及びTg、及び、樹脂成分(B)の種類及び軟化点、(A)成分と(B)成分との含有割合、架橋剤の種類及び量を表1に、接着特性測定結果を表2に示した。
(実施例2〜4、比較例1)
実施例1において、合成有機高分子(A)と樹脂成分(B)との割合を変え、または樹脂成分(B)を用いない以外は実施例1と同様にして非水樹脂分散液を調製し、その結果を表1に示した。また、粘着シートを作成しシートを評価した。その結果を表2に示した。
(実施例5〜6、比較例2)
実施例1において、DDA、TPA、BEPG、HA及びEGの使用割合を変え、または、ネオペンチルグリコール(NPG)を用いる以外は実施例1と同様にして非水樹脂分散液を調整し、その結果を表1に示した。以下同様にして粘着シートを作成し、シートの評価結果を表2に示した。
(実施例7〜9、比較例3)
実施例1において、「ピコライトA−115」を用いる代わりにスチレン型樹脂「FTR6100」[商品名:三井化学(株)製]、もしくは、特殊ロジンエステル樹脂「スーパーエステルA−75」[商品名:荒川化学工業(株)製]、テルペンフェノール樹脂「タマノル803L」[商品名:荒川化学工業(株)製]、キシレン樹脂「ニカノールH」[商品名:三菱ガス化学(株)製]を用いた以外は実施例1と同様にして非水樹脂分散液を調整し、その結果を表1に示した。また、粘着シートを作成しシートを評価した。その結果を表2に示した。
(実施例10)
実施例1において、添加剤(C)として安息香酸トリメチロールプロパンエステル(軟化点:85℃)25重量部を追加添加した以外は実施例1と同様にして非水樹脂分散液を調整し、その結果を表−1に示した。以下同様にして粘着シートを作成し、シートの評価結果を表2に示した。
Figure 2007270050
Figure 2007270050
本発明感熱圧性接着シートの例を示す断面図 本発明感熱圧性接着シートの他の例を示す断面図
符号の説明
1:感熱圧接着剤層
2:基層
3:感熱圧性接着シート
4:織布

Claims (6)

  1. ガラス転移点が−45〜+20℃のポリエステル系樹脂、及び、アルキッド系樹脂の群から選ばれた一種又は二種以上の有機高分子(A)と、軟化点が70〜180℃の樹脂成分(B)を含有し、有機高分子(A)の連続層中に、樹脂成分(B)が分散した状態で存在する非水液状体であることを特徴とする感熱圧性接着剤。
  2. 有機高分子(A)が、非水溶媒に溶解されてなる請求項1に記載の感熱圧性接着剤。
  3. 樹脂成分(B)が、ロジン、クマロン・インデン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、石油系炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、又は、テレピン系樹脂の群から選ばれた一種又は二種以上の混合物である請求項1又は2に記載の感熱圧性接着剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の感熱圧性接着剤が、熱可塑性樹脂製の基材の片面又は両面に、気泡を含まないように塗着されてなることを特徴とする感熱圧性接着シート。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の感熱圧性接着剤が、熱可塑性樹脂製の長尺状基材の片面又は両面に、気泡を含まないように塗着されてなることを特徴とする感熱圧性接着シート。
  6. 請求項4又は5に記載の感熱圧性接着シートを被着体表面に添着し、巻き込んだ空気の抜き出し操作を行った後、加熱して接着することを特徴とする感熱圧性粘着テープの貼付方法。
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