JP2007269122A - 作業車両のクルーズコントロール装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業車両のクルーズコントロール装置において、作業機を適正負荷で作業するように走行させる。
【解決手段】無段変速装置(1)を操作手段(3,4)により前後進の切替及び増減速を可能に構成し、操作手段(3,4)の操作位置を設定保持する操作位置保持手段(15)を設け、PTO軸(54)から作業機(51)に作業動力を伝達可能に構成する。そして、クルーズコントロール運転中において、PTO軸(54)から作業機(51)に動力を伝達している作業時には、エンジン(E)の回転数とPTO軸(54)の回転数から作業負荷の適否を判断する作業負荷判定手段(C)を設け、作業負荷判定手段(C)の作業過負荷判定に関連して、減速制御手段(C)により無段変速装置(1)を減速制御する。
【選択図】図9

Description

この発明は、農業、土木等の作業車両において、走行速度を一定に保持して走行できるクルーズコントロール装置に関する。
従来、乗用芝刈機等の作業車両にクルーズコントロール装置を搭載する場合には、変速ペダルあるいは変速レバーを回動自在に設け、この回動基部に摩擦部材を備えて操作位置を保持する構成となっている。例えば、特開平7−46924号公報では、摩擦保持式のクルーズコントロールレバーを備え、このレバーの操作位置を変速ペダルの保持位置に優先して保持し、静油圧式無段変速装置の変速操作軸の回動位置を保持する構成となっている。
特開平7−46924号公報
前述のような構成では、走行速度を設定保持して、モアーで芝刈り作業をする場合には、草類の丈や草類の密度が一様でなく、作業負荷が大きくなった場合には、設定車速を保持すると草類が詰まったり、エンストを起こすことがある。この発明はこのような不具合を解決しようとするものである。
請求項1の発明は、無段変速装置(1)を操作手段(3,4)により前後進の切替及び増減速を可能に構成し、前記操作手段(3,4)の操作位置を保持する操作位置保持手段(15)を設け、PTO軸(54)から作業機(51)に作業動力を伝達可能に構成した作業車両であって、クルーズコントロール運転中の前記PTO軸(54)から前記作業機(51)に動力を伝達している作業時において、エンジン(E)の回転数と前記PTO軸(54)の回転数から作業負荷の適否を判断する作業負荷判定手段(C)を設け、この作業負荷判定手段(C)の作業過負荷判定に基づき前記無段変速装置(1)を減速する減速制御手段(C,36)を設けたことを特徴とする作業車両におけるクルーズコントロール装置とする。
前記構成によると、クルーズコントロール運転の設定速度におけるPTO軸(54)から作業機(51)に動力を伝達している作業時には、作業負荷判定手段(C)が作動して、エンジン(E)の検出回転数とPTO軸(54)の検出回転数を設定基準値に比較して作業負荷の適否を判断し、作業負荷判定手段(C)が作業過負荷の判定をすると、無段変速装置(1)が減速制御される。
請求項2の発明は、クルーズコントロール運転中の前記PTO軸(54)から前記作業機(51)への動力伝達が停止している非作業時には、エンジン(E)の回転数と走行速度から走行速度の適否を判断する走行負荷判定手段(C)を設け、この走行負荷判定手段(C)の走行過負荷判定に基づき前記無段変速装置(1)を減速する減速制御手段(C,36)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両におけるクルーズコントロール装置とする。
前記構成によると、請求項1の発明の前記作用に加えて、クルーズコントロール運転中のPTO軸(54)から作業機(51)への動力伝達が停止している非作業時には、走行負荷判定手段(C)が作動してエンジン(E)の検出回転数、検出走行速度と設定基準値を比較して走行負荷の適否が判断され、走行負荷判定手段(C)により走行の過負荷が判定されることにより無段変速装置(1)が減速される。
請求項3の発明は、作業負荷判定手段(C)あるいは走行負荷判定手段(C)が過負荷判定をすると、表示部(37)に作業過負荷あるいは走行過負荷の表示をすることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の作業車両におけるクルーズコントロール装置とする。
前記構成によると、請求項1あるいは請求項2の発明の前記作用に加えて、作業負荷判定手段(C)により過負荷と判定すると、表示部(37)に作業過負荷の表示がなされ、また、走行負荷判定手段(C)により走行過負荷と判定すると、表示部(37)に走行過負荷の表示がなされる。
請求項1の発明は、クルーズコントロール運転中の作業時に、作業過負荷を判定すると、走行速度を減速制御することにより設定走行速度に近い速度で円滑に作業を進めることができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明の前記効果に加えて、クルーズコントロール運転中の非作業時に走行過負荷になると、走行速度を減速制御することにより坂道でも設定走行速度に近い速度で円滑に走行することができる。
請求項3の発明は、請求項1あるいは請求項2の発明の前記効果に加えて、表示部(37)に作業過負荷あるいは走行過負荷が表示されるので、走行状態が判り運転操作が容易になる。
以下、図1乃至図7に基づき、この発明のクルーズコントロール装置を農業用トラクタに搭載した形態について説明する。
トラクタ2は、図1乃至図3に示すように、機体前側部のボンネット内にエンジンEを備え、このエンジンEの後方に車体となるHSTカバー8及びミッションケース16を連設している。また、HSTカバー8の内部には、無段変速装置としてのHST(静油圧式無段変速装置)1を設け、このモータ出力回転を正逆切り替え操作して、車両の前後進切替及び無段階の変速を行なうように構成している。
また、トラクタ2の操縦席Sの前方には、ステアリングハンドル9を設け、ステアリングハンドル9の回動操作により、左右前輪を操舵する構成とし、操縦席Sの前方のフロア20上には、ブレーキペダル12を設けると共に、前進ペダル3と後進ペダル4からなる変速ペダルを並設し、夫れ夫れの回動基部を支持軸5に軸受して、踏み込み操作によりHST1のモータの出力回転を正逆に切り替え、また、増減操作するように構成している。また、操縦席Sの側方には、オートクルーズ入切レバー15を設けている。
次に、前進変速ペダルについて具体的に説明する。
図1及び図4に示すように、前進ペダル3は、ペダルアーム3aの基端部を支持軸5に固定し、更に、この支持軸5を前進ロッド21、トラニオンアーム22を介してトラニオン軸7に連結し、前進操作系のリンク機構6を構成している。しかして、前進ペダル3を踏み込むと、ペダルアーム3aの基端部は支持軸5を中心にして図4において時計方向に回転して前進ロッド21を引き、続いてトラニオンアーム22を介してトラニオン軸7を矢印F側に回転させて前進側の速度を増速するように構成している。
また、後進ペダル4は、ペダルアーム4aの基端部を前進ペダル3のペダルアーム3aよりも外側で支持軸5に対して回動自在に支持し、更に、このペダルアーム4aを後進ロッド24、トラニオンアーム22を介してトラニオン軸7に連結し、後進操作系のリンク機構6を構成している。しかして、後進ペダル4を踏み込むと、ペダルアーム4aの基端部は支持軸5を中心にして図4において反時計方向に回転して後進ロッド24を押し上げ、続いてトラニオンアーム22を介してトラニオン軸7を矢印R側に回転させ、後進側の速度を増速するように構成している。
また、前記支持軸5の後方には、側面視「く」の字状のニュートラルカムアーム30aを支持し、スプリング30bによりトラニオンアーム22を常時中立位置に復帰するように付勢している。これにより、前進ペダル3及び後進ペダル4を踏み込み次いで離すと、自動的にペダル3,4及びトラニオン軸7が中立位置に復帰し、車速が0になる構成である。
また、ニュートラルカムアーム30aは、この回転基部をワイヤ7bを介してエンジンEのスロットル機構31に接続している。このように構成すると、エンジンEは前進ペダル3あるいは後進ペダル4を踏み込んで車速を増速操作するに従い、スロットル開度が大きくなり、エンジンEの回転数も増速するので、負荷の変動に対応できエンスト等がなくなる利点がある。なお、図4に示す符号7cは、ワイヤ7bの端部に接続したスプリングを示し、このスプリング7cの長さ及びバネ係数を変更することにより、車体やエンジンの仕様、あるいは作業の種類に対応してエンジンの増速操作を調整することができる。
また、支持軸5は、トラクタ2の車体の左右外側、即ち、前記リンク機構6を備えた反対側のHSTカバー8の側面まで延長して貫通支持し、その端部に内部拡張式のブレーキ11を備えている。
また、内部拡張式のブレーキ11は、図1及び図5に示すように、HSTカバー8の側部に複数のボス10,…を側方に向かって取り付け自在に突設し、このボス10の端部にプレートを介してブレーキケース11cを着脱自在に取り付けると共に、HSTカバー8とブレーキケース11cとの間隙部に、支持軸5をニュートラルカムあるいは30aの付勢に抗して中立位置へ緩やかに付勢させるダンパー19を備えている。ブレーキケース11c内部にベアリングを介して支持軸5を支持している。
また、支持軸5は、その端部にブレーキドラム11bを固着し、このブレーキドラム11b内に、前記ブレーキケース11c側に支持され且つ前記ドラム内面に対して摺動させる摩擦部材を備えたブレーキアーム11a,11aを備えている。また、ブレーキケース11cの外側面には、ブレーキアーム11a,11aを拡開操作するブレーキ操作アーム11dを回動自在に支持し、このブレーキ操作アーム11dを後述するオートクルーズ入切レバー15により図5の矢印ON方向に回動操作することで、ブレーキアーム11a,11aが外側に拡開してブレーキドラム9の内周面に圧接して制動力を付与し、支持軸5の回転位置、即ち、前進ペダル3の操作位置に固定している。
次に、前記内部拡張式のブレーキ11を操作する入切操作具について説明する。
入切操作具であるオートクルーズ入切レバー15は、レバー形態に構成し、操縦席さS側方のフェンダ17上に突設している。このレバー15の基部を左右方向のレバー支持軸Pにより回動自在に支持すると共に、レバーアームと前記内部拡張式のブレーキのブレーキ操作アーム11dとを押し引きワイヤ18を介して接続している。また、レバー支持軸Pには、図6に示すように、レバー15の支持部の外側に、短辺アーム13aと長辺アーム13bとをV字状に突設した筒軸13を回動自在に支持している。
そして、前記短辺アーム13aには、ブレーキペダル12の回動基部と押し引きワイヤ18を介して接続すると共に、前記長辺アーム13bには、オートクルーズ入切レバー15の基部に向かって係止ピン13pを突設している。また、前記短辺アーム13aには、フェンダ17に固定したブラケットBRとの間にスプリング14を介装している。
前記のように構成したオートクルーズ入切レバー15は、図6乃至図8に示すように、内部拡張式のブレーキ11を操作し、オートクルーズ装置を入切操作する。
図6に示す状態は、オートクルーズ入切レバー15を切りの状態、即ち、前進ペダル3の操作位置を固定していない状態を示し、この状態から前進ペダル3を踏み込んで車両を走行させ目的の車速となったところで、レバー15を図の矢印の方向(機体後側)へ回動操作する。
すると、図7に示すように、オートクルーズ入切レバー15は、その基部のワイヤ18が支点となる軸Pを超えて後側に回動した状態で保持される。これにより、押し引きワイヤ18を介してブレーキ操作アーム11dは図5の矢印ON方向に回動操作され、そのケース内部のブレーキアーム11a,11aが拡開操作されて支持軸5の回動位置を固定する。従って、オートクルーズ入り状態となり、前進ペダル3の位置が固定され、車速が一定に保持される。また、この車速の保持を解除するには、入切レバー15を前側へ回動操作することで、オートクルーズが切りとなる。
また、図7の状態から、ブレーキペダル12が踏み込まれると、押し引きワイヤ28の引き操作を介して短辺アーム13aに伝達され、短辺アーム13aと一体の長辺アーム13bを軸Pを中心に時計方向に回転させる。すると、長辺アーム13bの係止ピン13pがオートクルーズ入切レバー15のアーム基部に当接し、レバー15を強制的に機体前側へ回動させる。これにより、前記クルーズコントロールは解除される。
なお、短辺アーム13aは、スプリング14により一方に付勢されているので、ブレーキペダル12の踏み込み解除後は、長辺アーム13bは機体後側へ退避する。
前記構成によると、車体一側に変速ペダル3,4からHST1のトラニオン軸7に至るリンク機構6を配設し、他側方には内部拡張式のブレーキ11を配設しているので、両側のスペスを有効活用してゆとりをもって配置でき、メンテナンスが容易になる。また、内部拡張式のブレーキ11は、HSTカバー8にボス10,…を立てて一定距離だけ左右方向に離して構成、即ち、フロア20の側方に近づけて構成しているため、前記メンテナンスが一層容易となる。また、内部拡張式のブレーキ11は、ボス10,…から車体に対して着脱自在に構成しているので、トラクタの型式によりオートクルーズ装置を装備しない型式を生産するときには、整備に要する費用を低減することができる。
また、操縦席S近傍のオートクルーズ入切レバー15を前後に回動操作することで、内部拡張式ブレーキの作動状態と非作動状態に切り替わり、特に非作動状態では支持軸5にブレーキが作用しないので、従来装置の変速ペダルの基部に摩擦部材を備え常時制動力を働かせるものと比較して、操作力が軽くなる。また、更にオートクルーズ入り状態を解除することができるので、走行中に障害物との接触を回避するときには、車両を緊急停止することができる。
次に、図8及び図9に基づき、オートクルーズ装置を利用した走行制御について説明する。
この制御は、オートクルーズ装置を具備するHST1搭載のトラクタにおいて、PTO軸が駆動している作業時には、エンジンの回転数とPTO軸の回転数から作業負荷の適否を判断して過負荷時にはHST1を減速制御し、また、PTO軸の非駆動時には、エンジンの回転数と車速から車速の適否を判断して、走行過負荷時にはHST1を減速制御するものである。
オートクルーズ装置で走行速度を設定して、例えばモアーで芝刈り作業をする場合には、草類の丈や草類の密度が一様でなく、作業負荷が大きくなった場合には、設定車速を保持すると草類が詰まったり、エンストを起こすことがある。また、PTO軸切りの非作業時でも、傾斜地を登坂の際にはエンストを起こすことがある。この制御ではこのような不具合を解決しようとするものである。
図8に示すように、CPU内蔵のコントローラCの入力側には、入力インターフェイスを介してエンジン回転数センサSE1、トラクタ2の車速を検出する車速センサSE2、オートクルーズ装置で設定している車速をトラニオン軸7の傾斜角度から検出する設定車速検出センサSE3、PTOクラッチの入切を検出するPTOクラッチセンサSE4、PTO軸の回転数を検出するPTO軸回転数検出センサSE5を接続している。また、コントローラCの出力側には、出力インターフェイスを介してHST1のトラニオン軸を回動調節するHST変速手段36、表示部37を接続している。
図9に示すように、変速ペダル(3、4)を操作しオートクルーズ入切レバー15を操作してオートクルーズ装置の車速が設定されると(ステップS1)、エンジンEの設定回転数及び設定車速が入力され(ステップS2)、次いで、PTOクラッチの入切を判定する(ステップS3)。そして、PTOクラッチ入りの場合には、PTO軸の設定回転数が入力され(ステップS4)、次いで、予め記憶したエンジンの検出回転数及びPTO軸の検出回転数関係グラフ(図10(B))に基づいてこれらは正常か否かを判定する(ステップS5)。
エンジンの検出回転数とPTO軸の検出回転数が正常な場合には、作業を継続し、正常でない場合には、エンジンの設定回転数及びPTO軸の設定回転数の関係パラメータが入力され(ステップS6)、次いで、エンジンの検出回転数及びPTO軸の検出回転数の減速量が正常か否かを判定する(ステップS7)。そして、減速量が正常なときには、PTO軸の負荷が大と判定し(ステップS8、図10(A)の補正の範囲A)、例えば車速を10%減速し(ステップS9)、エンジンの再設定回転数及びPTO軸の再設定回転数を計算し(ステップS10)、前記ステップS3に戻る。
また、エンジンの検出回転数及びPTO軸の検出回転数の減速量が正常か否かを判定し(ステップS7)、減速量が正常でなくPTO軸のみの減速であると、PTO軸の伝動系の故障と判定し(ステップS11)、HST変速手段36によりHST1のトラニオン軸7を中立位置に戻し車速をゼロにして停止し、ワーニングランプを点灯し、表示部37にPTO軸の故障と表示する(ステップS12)。
なお、再度前記ステップS3以降の制御中に、エンジンEの検出回転数が初期の設定回転数に復帰すると、10%の減速設定制御から初期の標準設定速度に戻す制御がなされる。
また、PTOクラッチの入切を判定し(ステップS3)、PTO軸切りの場合には、オートクルーズ装置の設定車速と検出車速とは誤差の範囲か否かを判定し(ステップS13)、誤差の範囲であると走行を継続する。また、誤差の範囲でない場合には、エンジンの設定回転数と車速の関係パラメータが入力され(ステップS14)、次いで、エンジンの検出回転数と検出車速の関係は誤差の範囲か否かを判定する(ステップS15)。
そして、誤差の範囲内であると走行を継続し、誤差の範囲でない場合には、走行負荷大と判定し(ステップS16)、次いで、設定車速を例えば10%減速し、エンジンの再設定回転数と再設定車速を計算し(ステップS18)、前記ステップS3に戻る。
前記構成によると、走行負荷や作業負荷に応じて、オートクルーズ装置による設定車速に近い適正な車速で走行することができ、走行操作が容易となり適正な作業をすることができる。
次に、図11に基づき、オートクルーズ装置を利用した他の走行制御について説明する。
この制御は、オートクルーズ装置を具備するHST1搭載のトラクタにおいて、PTO軸が駆動している作業時には、エンジンの回転数とPTO軸の回転数から作業負荷が適正か否かを判断して、作業負荷大のときにはその旨表示部37に表示し、また、PTO軸が非作動時には、エンジンの回転数と車速の関係から車速が適正か否かを判断して、負荷大のときにはその旨表示部37に表示し、運転者に過負荷の警報を発し、適正運転を促そうとするものである。
運転者が変速ペダルを操作し走行速度を設定して、例えばモアーで芝刈り作業をする場合には、草類の丈や草類の密度が一様ではなく、作業負荷が大きくなった場合には、車速が同じだと草類が詰まったり、エンストを起こすことがある。また、PTO軸切りの場合にも、傾斜地を登坂の際にもエンストを起こすことがある。このような場合に運転者に負荷大の警報を発し適正走行を促そうとするものである。
図11に示すように、表示部37の負荷表示部に適正負荷である負荷「0」を設定し、運転者は変速ペダル(3、4)及びオートクルーズ入切レバー15を入り操作し走行速度を設定し作業を開始する(ステップS1)。すると、オートクルーズ運転に基づくエンジンEの設定回転数及び設定車速が入力され(ステップS2)、次いで、PTOクラッチの入切を判定する(ステップS3)。そして、PTOクラッチ入りの場合には、PTO軸の設定回転数が入力され(ステップS4)、次いで、エンジンの検出回転数とPTO軸の検出回転数は正常か否かを判定する(ステップS5)。
そして、正常な場合には、作業を継続し、また、正常でない場合には、次いで、エンジンの設定回転数及びPTO軸の設定回転数の関係パラメータが入力され(ステップS6)、次いで、エンジンの検出回転数及びPTO軸の検出回転数の減速量が正常か否かを判定する(ステップS7)。正常なときには、PTO軸の負荷が大と判定し(ステップS8)、表示部37のPTO負荷表示部に「+1の過負荷表示」をし(ステップS9)、過負荷時のエンジンの設定回転数及びPTO軸の設定回転数を再計算し(ステップS10)、前記ステップS3に戻る。
また、エンジンの検出回転数及びPTO軸の検出回転数の減速量が正常か否かを判定し(ステップS7)、正常でなく、PTO軸のみの減速であると、PTO軸の伝動系の故障と判定し(ステップS11)、車速をゼロにして停止し、ワーニングランプを点灯し、表示部37にPTO軸の故障と表示する(ステップS12)。
また、PTOクラッチの入切を判定し(ステップS3)、PTOクラッチ切りの場合には、HST1のトラニオン軸7の回動角度が検出し入力され(ステップS13)、次いで、トラニオン軸7の回動角度と検出車速とは誤差の範囲か否かを判定し(ステップS14)、誤差の範囲であると走行を継続する。
また、誤差の範囲でない場合には、次いで、エンジンの設定回転数と設定車速の関係パラメータが入力され(ステップS15)、次いで、エンジンの検出回転数と検出車速の関係は誤差の範囲か否かを判定し(ステップS16)、誤差の範囲内であると、走行を継続する。
また、誤差の範囲でない場合には、走行負荷大と判定し(ステップS17)、次いで、表示部37の走行負荷表示部に「+1の過負荷表示」をし(ステップS18)、過負荷時のエンジンの回転数及び車速を再計算し(ステップS19)、前記ステップS3に戻る。
前記構成によると、走行時の過負荷や作業時の過負荷が表示されるので、オペレータはエンジンの過負荷状態を知ることができ、オートクルーズ入切レバー15及び変速ペダルを操作することにより、オートクルーズ運転を再設定し適正走行に容易に復帰させることができる。
次に、図12に基づきオートクルーズ装置の他の実施形態について説明する。
フレーム40にはオートクルーズレバー41をピン41aにより回動自在に軸支し、オートクルーズレバー41の下端部には、復帰スプリング41bを連結して中立位置に復帰するように押圧付勢し、また、伸縮調節自在のロッド42を介してHST1のトラニオン軸7に連係している。
オートクルーズレバー41の上側部には、ロック爪43をピン43aにより回動自在に軸支し、ロック爪43の長孔43cとレバー側のピン41cを係合し所定範囲回動するように構成し、また、フレーム40側にはロック爪43の係合する係止爪44,…を円弧状に沿わせて形成し、ロック爪43にはスプリング43bを介装してロック爪43を係止爪44,…側に押圧している。また、ロック爪43の端部には押し引きワイヤ45の一端を連結し、押し引きワイヤ45の他端をブレーキペダル46に連結している。
前記構成によると、中立位置Nにあるオートクルーズレバー41を時計方向に回動し前進変速位置Fに変速操作する。すると、ロック爪43の先端部が円弧状の係止爪44,…の周面に接触しながら回動し、スプリング43bにより押圧されているロック爪43は係止爪44にロックされ、オートクルーズレバー41は所定位置で支持される。この状態で、HST1のトラニオン軸7は所定変速位置に設定され、トラクタ2は所定速度で走行する。
また、走行停止時にブレーキペダル46を踏み込むと、押し引きワイヤ45によりロック爪43が解除側に回動してロック爪43が係止爪44から離脱し、オートクルーズレバー41は復帰スプリング41により中立位置に回動される。
前記構成によると、オートクルーズレバー41をブレーキシューにより操作位置に保持するものに比べて、復帰時の操作加重が軽くなり、円滑に中立位置Nに復帰させることができる。また、HST1のトラニオン軸7は設定変速位置でロック爪43と係止爪44とによりロックされているので、機体が震動しても設定速度位置を確実に保持しながら設定速度で走行することができる。
次に、図13に基づきトラクタ2の機体前側部に設けたモアー51の昇降装置について説明する。
機体前側部にモアーリンク52によりモアー51を昇降自在に支持し、モアー昇降シリンダ53を伸縮してモアー51を昇降するように構成している。そして、前部PTO軸54から自在継手55を経由してモアー52に動力を伝達している。また、モアー検出回路56には、自動入切スイッチ57、モアー上昇検出スイッチ58、ブザー59、PTOクラッチ作動用のソレノイドバルブ60及びPTOクラッチ61を設けている。
前記構成によると、自動入切スイッチ57をONし、レバーを操作してPTOクラッチ59を入りにしてモアー51に動力を伝達し、昇降レバー(図示省略)を操作しながら芝刈り作業を行なう。芝刈り作業中に、昇降レバー(図示省略)を上昇位置に操作しモアー51が所定高さまで上昇させる。すると、モアー上昇検出スイッチ58がONしモアー51の上昇を検出すると、ブザー59が警報音を発すると共に、PTOクラッチ作動用のソレノイドバルブ60がONし、PTOクラッチ61が切りとなる。また、昇降レバー(図示省略)を下降位置に操作しモアー51を下降させると、ソレノイドバルブ60がOFFし、PTOクラッチ61が入りになり、モアー51による芝刈り作業が再開される。
前記構成によると、モアー51のPTOクラッチ61が切りの場合には、レバー操作によるPTOクラッチ61切りと、モアー51の上昇時の自動的な切りとがあるが、自動的に切りの場合には警報音を発することにより、オペレータに知らせることができ、作業の安全性を高めることができる。
次に、図14に基づきトラクタ2の機体前側部に設けたモアー51の昇降装置の他の実施形態について説明する。
この実施形態は、モアー51の昇降装置において、モアー51の上昇位置を検出するモアー上昇検出スイッチ58を設け、前部PTO軸54が回転中にモアー51が所定位置まで上昇すると、前部PTO軸54を自動停止させる電気回路であって、モアー上昇検出スイッチ58がONした状態からモアー51を下降させても前部PTO軸54の停止を継続させ、スイッチ操作によりPTOクラッチ61を切りにしないと、前部PTO軸54を再度駆動できないようにし、安全を確実にしながらモアー51の上昇位置停止制御をしようとするものである。
図14に示すように、回路には自動/手動切替スイッチ71と、並列状のモアー51の上昇位置検出用の上昇検出スイッチ58及びスイッチ側リレーR’1、スイッチ側リレーR’3と、並列状の通電側リレーR1,R2を順次配設している。回路の自動/手動切替スイッチ71の近くから分岐した回路には、三極式のPTOクラッチスイッチ73を配設し、このPTOクラッチスイッチ73のON側から分岐した回路には、ノーマルクローズ型のスイッチ側リレーR’2、PTOクラッチON/OFF用のソレノイドバルブ74を配設している。また、PTOクラッチスイッチ73のOFF側から分岐した回路には、切りスイッチ75及び通電側の停止リレーRsvと、通電側のリレーR3とを並列状に配設している。
前記構成によると、自動/手動切替スイッチ71を入り状態とし、PTOクラッチスイッチ73をONにすると、ソレノイドバルブ74がONし、PTOクラッチ61は入りとなる。この状態で、モアー51が上昇し上昇検出スイッチ58がONすると、通電側リレーR1,R2が通電し、スイッチ側リレーR’2はOFF、ソレノイドバルブ74はOFFになり、スイッチ側リレーR’1は閉じ、通電側R1,R2は通電状態を維持する。
また、この状態で上昇検出スイッチ58がOFFになっても、スイッチ側リレーR’1−R’3−R2(R1)は通電状態を維持し、スイッチ側リレーR’2は開状態を維持する。次いで、PTOクラッチスイッチ73がOFFになると、通電側リレーR3は通電し、このとき上昇検出スイッチ58がOFFならば、通電側リレーR1,R2はOFFとなり、ノーマルクローズ型のスイッチ側リレーR’2は通電状態となる。しかし、PTOクラッチスイッチ73がOFFなので、ソレノイドバルブ74はOFFとなり、PTOクラッチ61は切り状態となる。
しかして、再度PTOクラッチスイッチ73をOFFにすると、電気回路は始動状態となり、上昇検出スイッチ73がモアー51の上昇を検出すると、PTOクラッチ61をOFFにすることができる。
前記構成によると、安全法規の基準に合致した状態で、安全性を確実にしながらモアー51の上昇位置停止制御をすることができる。
トラクタの車体中央部の平面図。 トラクタの左側面図。 トラクタの右側面図。 トラクタの変速ペダル部の側面図。 トラクタの変速ペダル部の側面図。 オートクルーズ入切レバーの側面図。 オートクルーズ入切レバーの側面図。 制御ブロック図。 フローチャート。 設定車速−実車速関係グラフ(A)、エンジン回転数−PTO回転数関係グラフ(B) フローチャート。 オートクルーズレバーの側面図、正面図。 モアーの側面図、制御ブロック図。 電気回路図。
符号の説明
1 無段変速装置(HST)
3 操作手段(前進ペダル)
4 操作手段(後進ペダル)
15 操作位置保持手段(オートクルーズ入切レバー)
37 表示部
54 PTO軸
51 作業機(モアー)
C 作業負荷判定手段(コントローラ)
C 走行負荷判定手段(コントローラ)
C、36 減速制御手段(コントローラ)
E エンジン

Claims (3)

  1. 無段変速装置(1)を操作手段(3,4)により前後進の切替及び増減速を可能に構成し、前記操作手段(3,4)の操作位置を保持する操作位置保持手段(15)を設け、PTO軸(54)から作業機(51)に作業動力を伝達可能に構成した作業車両であって、クルーズコントロール運転中の前記PTO軸(54)から前記作業機(51)に動力を伝達している作業時において、エンジン(E)の回転数と前記PTO軸(54)の回転数から作業負荷の適否を判断する作業負荷判定手段(C)を設け、この作業負荷判定手段(C)の作業過負荷判定に基づき前記無段変速装置(1)を減速する減速制御手段(C,36)を設けたことを特徴とする作業車両におけるクルーズコントロール装置。
  2. クルーズコントロール運転中の前記PTO軸(54)から前記作業機(51)への動力伝達が停止している非作業時には、エンジン(E)の回転数と走行速度から走行速度の適否を判断する走行負荷判定手段(C)を設け、この走行負荷判定手段(C)の走行過負荷判定に基づき前記無段変速装置(1)を減速する減速制御手段(C,36)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両におけるクルーズコントロール装置。
  3. 作業負荷判定手段(C)あるいは走行負荷判定手段(C)が過負荷判定をすると、表示部(37)に作業過負荷あるいは走行過負荷の表示をすることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の作業車両におけるクルーズコントロール装置。
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