JP7234827B2 - 作業車両 - Google Patents
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Description
また特許文献1には、副変速レバーが高速側に切り替えられた場合はスロットルレバーが連動手段によって低速側に切り替えられるとともに高速側への操作が規制された状態になるので、その状態で路上走行するときは、エンジンの回転調節をスロットルレバーとは別系統であるフートペダルのみで行うことが記載されている。
このため、この作業車両では、圃場、牧場等の作業場において例えばトレーラーを牽引して荷物の運搬移動をする場合、副変速レバーを高速側に切り替えたときには、スロットルレバーを操作して高速で走行したいときがあっても、それができず不便を強いられることになる。
このようなモード切り替えが可能な作業車両であれば、作業走行モードを選択したときにスロットルレバーによる制御操作ができるので、作業場においてスロットルレバーを操作して低速以外の高速等の選択内容にしたうえで走行することも可能になる。
請求項1に記載の発明は、
回転動力を発生するエンジン(5)と、
前記エンジン(5)の回転数を所定の低速回転数から高速回転数までの範囲内で固定するよう操作するスロットル操作手段(15)と、
前記エンジン(5)の回転数を任意に変更するよう操作するアクセル操作手段(16)と、
路上走行モードと作業走行モードを切り替えるモード切替え手段(20)と、
前記スロットル操作手段(15)の選択された回転数を検出するスロットルセンサ(72)と、
前記アクセル操作手段(16)の操作量を検出するアクセルセンサ(73)と、
前記モード切替え手段(20)の切り替えを検出するモード切替えセンサ(74)と、
車体(2)の位置を計測する測位装置(100)と、
少なくとも前記エンジン(5)の動作を制御する制御手段(70)と、
を備え、
前記制御手段(70)は、
前記測位装置(100)で得られる測位情報を少なくとも予め作業走行する圃場の範囲および前記圃場の出入口に関する位置情報と照合して車体(2)の位置を検出する位置検出部(88)を有し、
前記位置検出部(88)において車体(2)の位置が前記圃場の外側の位置であると検出された場合、前記エンジン(5)の回転数を前記アクセルセンサ(73)の検出値に応じて制御し、
前記位置検出部(88)において車体(2)の位置が前記圃場の出入口に対して所定の距離未満になる接近した位置であると検出された場合、前記エンジン(5)の回転数を前記所定の低速回転数にするよう制御することを特徴とする作業車両である。
この発明では、位置検出部で作業車両の車体が圃場の外側にいることが検出されると、制御手段によりエンジンの回転数がアクセルセンサの検出値に応じて制御されるよう自動で設定される。これにより、圃場の外側において路上走行するときには、エンジンの回転数をスロットル操作手段の操作で変更することはできないがアクセル操作手段の操作により任意に変更することができる。このため、路上走行モードの切り替えの有無にかかわらず路上走行時に適したエンジンの回転数に関する制御操作が行われるようになり、安全性が確保される。
また、請求項1に記載の発明によれば、作業車両が圃場の出入口に接近すると、制御手段によりエンジンの回転数が低速回転数になるよう自動で制御されることで走行速度も低下するので、圃場の出入口における安全性を確保することができる。
この発明では、作業車両が路上又は圃場内から圃場の出入口に接近する場合に、位置検出部で作業車両の車体が圃場の出入口に接近した位置にいることが検出されると、制御装置により自動でエンジンの回転数が所定の低速回転数に変更されて車体の走行速度が低下させられる。これにより、操縦者は圃場の出入口に接近したことを知ることができ、また走行が続行されていても圃場の出入口を少なくとも低下した速度で通過することができ、圃場の出入口の安全な移動が可能になる。
図1には、この発明の第1の実施形態に係る作業車両の一例であるトラクタ1が示されている。図2には、図1のトラクタ1の一部(駆動伝達系や制御系の構成)が示されている。
以下の説明では、前後とはトラクタ1の前進する方向と後進する方向とする。また同様に、左右(L,R)とはトラクタ1の前進する方向で見たときの左側および右側とし、上下とはトラクタ1の上側および下側とする。
これにより、トラクタ1は、所要の速度で前進および後進することが可能な車両として構成されている。エンジン5については、その前部および上部を含む一部が、開閉するボンネット7で覆われている。
この前輪駆動クラッチ65を接続する状態(入り状態)にしたときは、その回転動力が差動装置の前輪デフ装置31から左右の前輪軸部32L,32Rを通して前輪3に伝わるとともに後輪デフ装置41から左右の後輪軸部42L,42Rを通して後輪4に伝わって、四輪が駆動される。また、前輪駆動クラッチ65を切断する状態(切り状態)にしたときは、回転動力が後輪4のみに伝わって二輪が駆動される。
これにより、トラクタ1は、前輪駆動クラッチ65を切り替えることにより、二輪駆動(2WD)と四輪駆動(4WD)のいずれかの形態で走行することが可能になっている。
ステアリングホイール12は、前輪3の操舵装置33を作動させて走行するときの向きを調節するよう操作される。メーターパネル13は、トラクタ1における走行速度、設定や状態の状況、警告内容等の情報を表示する表示手段等で構成されている。
前後進切替えレバー14は、前進走行と後進走行との切り替えを行うように操作される。スロットルレバー15は、エンジン5の回転数を所定の範囲内で選択して固定するよう操作するスロットル操作手段の一例である。スロットルレバー15は、例えば、所定の低速回転数と所定の高速回転数の2種類の回転数を選択できるようになっている。このときの所定の低速回転数は、アイドリング状態のときの回転数に設定される。
路上走行モードとしての「走行」は、道路走行、圃場の出入り、傾斜地等の場所を走行する際に適した機能や動作が予め選定されており、例えば4WD,2WDの駆動切り替え機能や水平切替え等が実行されるよう設定されている。作業走行モードとしての「耕うん」は、圃場等の作業場において行われる作業に適した機能や動作が予め選定されている。その機能や動作としては、例えば、4WDに固定されること、後進に切り替えたときやステアリングホイール12を切ったときに作業機90を自動で上昇させること、旋回時に内側の後輪4に自動的にブレーキをかけること等の機能や動作であり、これらが実行されるよう設定されている。
また、このモード切替えスイッチ20には、カスタマイズ設定モードとしての「こだわり」も用意されている。このカスタマイズ設定モードとしての「こだわり」は、主に作業時の機能について操縦者が任意に選択変更することが可能なモードであり、主に作業走行モードとしての「耕うん」における機能や動作の採用の有無を選択することができる。
アクセルペダル16は、エンジン5の回転数を任意に変更するよう操作するアクセル操作手段の一例であり、ペダル式になっている。左右のブレーキペダル17L,17Rは、左右の後輪4L,4Rにおける図示しないブレーキ装置を作動させるときに踏み込んで操作される。クラッチペダル18は、エンジン5と主変速部6Aの間に配置されてエンジン5の回転動力の伝達を接続又は切断するとともに回転動力を前進および後進用に切り替えて伝達させる前後進クラッチ55を作動させるときに踏み込んで操作される。PTO変速レバー19は、PTO軸9の回転の速度や方向の切り替えが行われるPTO変速部96を作動させるときに操作される。
副変速レバー21は、例えば、副変速ギヤ機構におけるギヤの組み合わせとして低速段、中速段および高速段の3種類の副変速段を選択して切り替えることができるよう構成されている。
主変速レバー22は、例えば、主変速ギヤ機構におけるギヤの組み合わせとして1段(低速側)から15段(高速側)までの複数の主変速段のいずれかに自由に切り替えることができるよう構成されている。
測位装置100は、測位衛星から送信される測位信号を受信して車体2の現在位置を測定する装置である。この測位装置100は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを使用した装置であり、例えば、測位衛星から送信される測位信号を受信するアンテナ等の受信部101と、受信部101で受信した測位信号から座標位置を算出する計測部102を有している。
制御手段70は、例えばマイクロコンピュータ等で構成されるものであり、メモリ部70mに格納されている制御用のプログラムやデータに基づいて必要な制御を行うようになっている。
エンジン回転センサ71は、エンジン5の回転数(例えばクランクの回転数)を検出する手段である。スロットルセンサ72は、スロットルレバー15の選択したときの回転数の移動位置を検出する手段である。アクセルセンサ73は、アクセルペダル16の操作量(ペダルの踏み込み量)を検出する手段である。
回転数調節装置51は、エンジン5がガソリンエンジンである場合には、そのエンジン5におけるスロットルの開度をスロットルセンサ72又はアクセルセンサ73の検出値に応じて調節するようスロットルをワイヤーにより動かす装置として構成される。また、回転数調節装置51は、エンジン5がディーゼルエンジンである場合には、そのエンジン5における燃焼噴射のタイミングをスロットルセンサ72又はアクセルセンサ73の検出値に応じて調節するようセンサアームをリンクにより動かす装置として構成される。
モード切替えセンサ74は、モード切替えスイッチ20の切り替えたときのモードの選択位置を検出する手段である。副変速操作センサ75は、副変速レバー21の選択したときの副変速段の移動位置を検出する手段である。主変速操作センサ76は、主変速レバー22の選択したときの主変速段の移動位置を検出する手段である。走行速度センサ77は、トラクタ1(車体2)の走行速度を検出する手段である。
副変速駆動装置61は、副変速操作センサ75の検出値に応じて副変速部6Bにおける副変速段等の変更を行うためのメカリンクや副変速の操作位置を検出する副変速操作センサ75等で構成された装置である。主変速駆動装置62は、主変速操作センサ76の検出値に応じて主変速部6Aにおける主変速段等の変更を行うためのソレノイド、油圧クラッチ等で構成された装置である。
PTO入切センサ78は、PTO入切スイッチ23における入り状態および切り状態を検出する手段である。PTO変速センサ79は、PTO変速レバー19の選択したときの移動位置を検出する手段である。
クラッチ駆動装置85は、PTO入切センサ78の検出値に応じてPTOクラッチ95における接続又は切断の状態の切り替えを行うためのソレノイド、油圧クラッチ等で構成された装置である。PTO変速駆動装置86は、PTO変速センサ79の検出値に応じてPTO変速部96における変速段等の変更を行うためのメカリンクやPTO変速の操作位置を検出するPTO変速センサ79等で構成された装置である。
また、位置検出部88は、測位装置100で得られる測位情報と上記圃場等の位置情報との照合から検出される車体2の現在位置が、作業走行する予定の外側の位置(実際には圃場でない路上)であるか否かを判定する機能を備えている。
なお、位置検出部88としては、上記照合および検出を行う機能を有する装置等のハードウェアとして構成されるものを適用しても構わない。装置形式の位置検出部88を適用する場合には、その位置検出部88が有するメモリ部に上記位置情報を予め格納すればよい。
ここでは、トラクタ1が作業走行する予定の圃場から路上に移動した場合を想定して説明する。また、圃場から路上に移動した後に路上走行をするに先立って操縦者がモード切替えスイッチ20を操作して路上走行モードに切り替えたことのモード切替えセンサ74からの検出値が制御手段70で得られたことを前提にした場合に加えて、操縦者がモード切替えスイッチ20を操作して路上走行モードに切り替えることを忘れていることを前提にした場合を含むものとして説明する。
このステップS10において位置検出部88で検出される車体2の現在位置が圃場の外側の位置であるとの検出値が得られると、制御手段70は、エンジン5の回転数をアクセルセンサ73の検出値に応じて制御するよう処理する(S11)。
また、このときの制御手段70による制御は、図8に示されるように、位置検出部88で検出される車体2の現在位置が圃場の外側の位置であるとの検出値が得られなくなるまで継続され(S12)、その検出値が無くなって検出終了になった段階で終了する。
このときのトラクタ1は、エンジン5の回転数をアクセルペダル16の操作により変更させながら路上走行することが可能になる。一方、このときのトラクタ1は、エンジン5の回転数をスロットルレバー15の操作により変更させて路上走行することはできないことになる。
つまり、モード切替えスイッチ20が路上走行モードを選択していない場合には、モード切替えスイッチ20そのものを路上走行モードに自動で切り替える制御操作をするか又はそのモード切替えセンサ74の検出値を路上走行モードに選択された検出値に自動で変更して扱うようにする制御である。
このうち前者の路上走行モードに自動で切り替える制御操作をする制御を採用する場合、この制御は、路上走行モードに自動で切り替える制御をしたときでかつステップS11の制御を行う前に、数秒間だけエンジン5の回転数を低速回転数であるアイドリング状態の回転数に制御するよう構成してもよい。また、後者の路上走行モードに選択された検出値に変更して扱うようにする制御を採用する場合、その制御は、モード切替えスイッチ20が実際に路上走行モードを選択するように操作された段階で終了させるように構成すればよい。
図9には、この発明の第2の実施形態に係るトラクタの一部(制御の構成例)が示されている。
第2の実施形態に係るトラクタは、制御手段70の制御処理を追加した以外は第1の実施形態に係るトラクタ1と同じ構成のものである。
そして、このステップS20において位置検出部88で検出される車体2の現在位置が圃場200の出入口203に接近した位置であるとの検出値が得られると、制御手段70は、トラクタの走行速度を低下させるように制御する(S21)。
また、作業走行する圃場200の出入口203に関する位置情報は、測位装置100で得られる測位情報との照合が可能な情報であり、制御手段70におけるメモリ部70mに予め格納される。この位置情報は、図10に地図形式で模して例示するような状態である。なおこの位置情報は、上記した装置形式の位置検出部88を適用する場合には、その位置検出部88が有するメモリ部に予め格納すればよい。
この際、制御手段70は、走行速度センサ77から得られる現時点での速度情報に基づいて、予め定める減速割合だけ減速させるようブレーキ装置を必要な量だけ作動させるか、あるいは、予め定める低速度になるようブレーキ装置を必要な量だけ作動させる。
また、このときの制御手段70による制御は、図9に示されるように、位置検出部88で検出される車体2の現在位置が圃場の出入口に接近した位置であるとの検出値が得られなくなるまで継続され(S22)、その検出値が無くなって検出終了になった段階で終了する。
この結果、このトラクタによれば、圃場200の出入口203における安全性を確保することができる。
図11には、この発明の第3の実施形態に係るトラクタの一部(制御の構成例)が示されている。
第3の実施形態に係るトラクタは、制御手段70の追加した制御処理を以下に示すように変更した以外は第2の実施形態に係るトラクタと同じ構成のものである。
また、このときの制御手段70による制御は、図11に示されるように、位置検出部88で検出される車体2の現在位置が圃場の出入口に接近した位置であるとの検出値が得られなくなるまで継続され(S32)、その検出値が無くなって検出終了になった段階で終了する。
この結果、このトラクタによっても、圃場200の出入口203における安全性を確保することができる。
図12には、この発明の第4の実施形態に係るトラクタの一部(制御の構成例)が示さている。
第4の実施形態に係るトラクタは、制御手段70の追加した制御処理を以下に示すように変更した以外は第2の実施形態に係るトラクタと同じ構成のものである。
また、このときの制御手段70による制御は、図12に示されるように、位置検出部88で検出される車体2の現在位置が圃場の出入口に接近した位置であるとの検出値が得られなくなるまで継続され(S42)、その検出値が無くなって検出終了になった段階で終了する。
この結果、このトラクタによっても、圃場200の出入口203における安全性を確保することができる。
第1~第4の実施形態では、スロットル操作手段として、その一例であるスロットルレバー15に代えて、例えば段階式又は無段階式のダイヤル形態のスロットルダイヤル、押下方式や接触(タッチ)方式のスロットルボタン等に代表される他の形態からなるものを適用してもよい。
また第1~第4の実施形態では、アクセル操作手段として、その一例であるアクセルペダル16に代えて、例えばレバー式のアクセルレバー等に代表される他の形態からなるものを適用してもよい。
3 前輪
4 後輪
5 エンジン
6A 主変速部
6B 副変速部
15 スロットルレバー
16 アクセルペダル
20 モード切替えスイッチ
70 制御手段
72 スロットルセンサ
73 アクセルセンサ
74 モード切替えセンサ
88 位置検出部
100 測位装置
200 圃場
203 出入口
L 所定の距離
Claims (1)
- 回転動力を発生するエンジン(5)と、
前記エンジン(5)の回転数を所定の低速回転数から高速回転数までの範囲内で固定するよう操作するスロットル操作手段(15)と、
前記エンジン(5)の回転数を任意に変更するよう操作するアクセル操作手段(16)と、
路上走行モードと作業走行モードを切り替えるモード切替え手段(20)と、
前記スロットル操作手段(15)の選択された回転数を検出するスロットルセンサ(72)と、
前記アクセル操作手段(16)の操作量を検出するアクセルセンサ(73)と、
前記モード切替え手段(20)の切り替えを検出するモード切替えセンサ(74)と、
車体(2)の位置を計測する測位装置(100)と、
少なくとも前記エンジン(5)の動作を制御する制御手段(70)と、
を備え、
前記制御手段(70)は、
前記測位装置(100)で得られる測位情報を少なくとも予め作業走行する圃場の範囲および前記圃場の出入口に関する位置情報と照合して車体(2)の位置を検出する位置検出部(88)を有し、
前記位置検出部(88)において車体(2)の位置が前記圃場の外側の位置であると検出された場合、前記エンジン(5)の回転数を前記アクセルセンサ(73)の検出値に応じて制御し、
前記位置検出部(88)において車体(2)の位置が前記圃場の出入口に対して所定の距離未満になる接近した位置であると検出された場合、前記エンジン(5)の回転数を前記所定の低速回転数にするよう制御することを特徴とする作業車両。
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