JP2007269033A - ポリエステル容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】環状三量体成分含量を抑制するための熱水処理や固相重合等を行うことなく得られたポリエステル樹脂から延伸成形され、しかも金型汚れやそれに起因する表面光沢性や透明性の低下が有効に防止されたポリエステル容器を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂の延伸成形により得られたポリエステル容器において、前記ポリエステル樹脂は、環状三量体含量低減化の熱水処理をしていないエチレンテレフタレートのホモポリマーからなり、且つ環状三量体含量が0.25乃至0.7重量%の範囲にあるとともに、クロロホルム抽出によって測定される容器表面に分布する環状三量体量が450ng/cm以上であり、且つ密度法による結晶化度が30%以上であることを特徴とする。
【選択図】無し

Description

本発明は、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂から成るの延伸成形により得られたポリエステル容器に関するものであり、より詳細には、環状三量体の成形金型表面への移行、即ち金型汚れが有効に防止され、金型汚れに起因する表面光沢性や透明性の低下が有効に抑制されたポリエステル容器に関する
ポリエチレンテレフタレート(PET)の如きポリエステル樹脂から成る延伸成形により得られたポリエステル容器は、優れた透明性や表面光沢性を有すると共に、ボトル等の容器に必要な耐衝撃性、剛性、ガスバリヤー性をも有しており、各種飲料等の液体用容器として広く使用されている。一方、上記のようなポリエステル容器は、耐熱性に劣るという欠点を有しており、特に内容物を熱間充填する用途に使用される場合には、延伸成形後に熱固定(ヒートセット)することが必要である。熱固定の方法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、延伸ブロー成形により得られる成形品を成形ブロー金型から取り出した後、熱固定用の金型内に保持して熱固定を行なう方法(ツーモールド法)や、特許文献2に開示されているように、ブロー成形型中で延伸ブロー成形と同時に熱固定を行なう方法(ワンモールド法)などが代表的な方法として知られている。
ところで、上記のように熱固定されたポリエステル容器では、原料のポリエチレンテレフタレート中に含まれる環状三量体成分に起因して、成形金型に金型汚れを生じ、この結果、容器表面の平滑性が損なわれ、表面光沢性の低下(即ち、肌荒れ)や透明性の低下という問題を生じていた。このため、原料ポリエステル樹脂として、このような環状三量体成分含量が著しく抑制されたものを使用することが提案されている。例えば、特許文献3には、環状三量体成分含量が0.5重量%以下のポリエチレンテレフタレートを用いてポリエステル容器を製造することが記載されている。
特公昭60−56606号公報 特公昭59−6216号公報 特公平7−64920号公報
しかしながら、環状三量体成分含量が著しく抑制されたポリエチレンテレフタレートを使用することは、確かに金型汚れ及びそれに起因する問題を解決するには有効であるが、反面、経済性の点で不満足なものとなってしまう。即ち、上記のような環状三量体成分含量が著しく抑制されたポリエチレンテレフタレート(以下、ハイグレードPETと呼ぶことがある)は、通常の溶融重合法により得られるPETについて、更に熱水処理や固相重合を行なうことにより得られるものであり、この結果原料コストが増大してしまうという欠点がある。
従って本発明は、環状三量体成分含量を抑制するための熱水処理や固相重合等を行うことなく得られたポリエステル樹脂から延伸成形され、しかも金型汚れやそれに起因する表面光沢性や透明性の低下が有効に防止されたポリエステル容器を提供することにある。
本発明によれば、ポリエステル樹脂の延伸成形により得られたポリエステル容器において、
前記ポリエステル樹脂は、環状三量体含量低減化の熱水処理をしていないエチレンテレフタレートのホモポリマーからなり、且つ環状三量体含量が0.25乃至0.7重量%の範囲にあるとともに、
クロロホルム抽出によって測定される容器表面に分布する環状三量体量が450ng/cm以上であり、且つ密度法による結晶化度が30%以上であることを特徴とするポリエステル容器が提供される。
本発明において、ポリエステル容器の延伸成形に使用するポリエステル樹脂は、その環状三量体含量が0.25乃至0.7重量%の範囲にある。また、本発明において、一次成形体の延伸成形及び熱固定は、ワンモールド法により行なわれるが、そのライン速度、即ち、成形金型当たりの単位時間での容器成形個数は、10本/分以上とする。
即ち、本発明は、ポリエステル容器において、環状三量体含量低減化の熱水処理がされていないポリエステル樹脂を容器の延伸成形に用い、クロロホルム抽出によって測定される容器表面に分布する環状三量体量が450ng/cm以上であり、且つ密度法による結晶化度が30%以上とすることが重要な特徴である。
従来公知の延伸成形されたポリエステル容器では、例えば、環状三量体含量が0.5重量%以下のものが使用され、従って、既に述べた通り、熱水処理や固相重合等の環状三量体含量を低減化するための処理が行なわれたものが使用されており、コスト高を招いていた。
しかるに本発明で用いるポリエステル樹脂は、環状体含量が従来使用されていたものに比して多く、このことは、熱水処理や固相重合等処理が行なわれていないものを成形用原料として使用し得ることを意味し、また、本発明は、安価なポリエステル樹脂を使用し得ると共に、容器表面に分布する環状三量体の量と結晶化度を規定することにより、環状三量体の成形金型表面への移行、即ち金型汚れが有効に防止され、金型汚れに起因する表面光沢性や透明性の低下が有効に抑制されるという顕著な利点を有している。
また、本発明においては、上記のようなポリエステル樹脂を使用している結果、このようなポリエステルからなるプリフォーム等の一次成形体を、ワンモールド法により延伸成形及び熱固定するに際して、熱固定時間を3.0秒以下に設定することが重要である。即ち、環状三量体を一定量以上含むポリエステル樹脂を用いて延伸成形等を行なった場合には、既に述べた通り、この環状三量体が成形金型表面に付着してしまい、この結果、容器表面の平滑性が損なわれ、表面光沢性や透明性が失われてしまう。しかるに本発明によれば、熱固定時間を上記のように極めて短時間に設定することにより、高温に保持された延伸成形体と金型との接触時間が短く、従って、成形体表面に存在する環状三量体の成形金型表面への移行、即ち金型汚れが有効に防止され、金型汚れに起因する表面光沢性や透明性の低下が有効に抑制される。
[原料ポリエステル樹脂]
本発明において、原料として用いるポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレートのホモポリマー(PET)であり、環状三量体含量低減化の為の熱水処理がされておらず、環状三量体含量が0.25乃至0.7重量%の範にあるものであり、従来使用されているものに比して、比較的多量の環状三量体を含有している。
このようなPETは、これに限定されるものではないが、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを主体とする原料を、触媒の存在下に液相重合させることにより得られるものであることが好ましい。経済的なPETの合成は、高純度のテレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)とを直接反応させることにより行なわれ、通常、二つの工程に分けられている。即ち、第一段の工程では、TPAとEGとを反応させて、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)オリゴマーが合成され、第二段の工程で、BHTオリゴマーからエチレングリコール(EG)を留去して重縮合が行なわれる。
第一段の工程でのBHTオリゴマーの合成は、それ自体公知の条件で行なうことができ、例えばTPAに対するEGの量を1.1〜1.5モル倍として、EGの沸点以上(例えば220〜260℃)の温度に加熱して、1.5kg/cm程度の加圧下に、水を系外に留去しながらエステル化が行なわれる。この場合、TPA自体が触媒となるので、それ自体公知のエステル化触媒を用いることもできる。
第二段での重縮合工程では、前記工程で得られたBHTオリゴマーにそれ自体公知の重縮合触媒を加えた後、反応系を、例えば220〜290℃に保ちながら徐々に圧力を低下させ、最終的に1〜3mmHgの減圧下に攪拌し、生成するEGを系外に留去しながら反応を進行させる。反応系の粘度によって分子量を検出し、所定の値に達したら、生成されたPETを系外に吐出し、冷却後、チップとする。重合触媒としては、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、アンチモン化合物等が使用されるが、これらの中でも、二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシドなどのゲルマニウム化合物が最適である。
また、本発明において用いる原料ポリエステル樹脂の分子量は、これから得られるボトル等の容器の強度、耐圧性、耐熱性等の特性に大きな影響を与える。例えば、ボトル等の容器では、未延伸部から高延伸部まで、延伸の程度の異なる種々の領域が存在しているため、強度等に優れた容器を得るためには、分子量の高いものを用いる必要がある。このため、上記により得られるPETは、0.70dl/g以上、特に0.75乃至0.80dl/gの固有粘度(IV)を有していることが好ましい。
上記のようにして製造されるホモポリエチレンテレフタレートは、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に55乃至80℃の範囲にあり、更に融点(Tm)が200乃至275℃、特に220乃至270℃の範囲にあることが好適である。
本発明において、上記のようなホモポリエチレンテレフタレートの使用は、特に容器の耐熱圧性等の点で好適である。
本発明においては、前述した液状重合で得られたPETをペレタイズし、このペレットをPETの結晶化温度に加熱してPETの結晶化を行なう。即ち、前述した液状重合で得られたPETは、環状三量体(以下、CTと呼ぶことがある)を多く含むが、この結晶化処理により、内部に含有されるCTは外部にはみだし、この結果、CT含有量は減少する。この結晶化温度は、CT含有量の減少に関して最適範囲があり、一般に100乃至140℃、特に115乃至125℃の範囲が適当であり、また処理時間は、100乃至180分間、特に120乃至150分間が適当である。PETペレットの結晶化のための熱処理は、例えば加熱窒素ガス等の加熱不活性ガスを用い、流動床または固定床で行うことができ、また真空加熱炉内で行なうこともできる。
このようにして熱結晶化処理されたPETペレットは、CT含有量が0.25乃至0.7重量%の範囲に調整されており、本発明では、これを成形用の原料ポリエステル樹脂として使用する。即ち、従来のポリエステル延伸成形容器では、上記で得られたPETペレットについて、更に熱水処理或いは固相重合等により、更にCT含有量を減少させたいわゆるハイグレードのポリエステル樹脂を原料として使用していた。しかるに、本発明では、上記のように、CT含有量が従来使用されていたものに比して多く含むポリエステル樹脂を使用するため、CT含有量の低減化のための熱水処理や固相重合を行なう必要がない。即ち、ハイグレードのポリエステル樹脂に比して、極めて安価なポリエステル樹脂を原料として使用するものであり、このようなポリエステル樹脂を使用できることは、本発明の大きな利点である。
[ポリエステル延伸成形容器の製造]
本発明のポリエステル延伸成形容器は、上記のポリエステル樹脂(PETペレット)を使用し、一次成形体を成形し、次いで、延伸金型内で延伸成形及び熱固定を行なうことにより製造される
以下、延伸ブロー成形法により、二軸延伸ボトルを製造する場合を例にとって、この製造方法を説明する。
二軸延伸ボトルを製造するには、先ず、一次成形体としてプリフォームを成形するが、このプリフォームは、射出成形法で成形することができ、また圧縮成形法で成形することもできる。射出成形法によりプリフォームを成形する場合、その条件等は特に制限されるものではないが、一般に、260乃至300℃の射出温度、30乃至60kg/cmの射出圧力で有底プリフォームを成形することができる。
上記で得られたプリフォームに耐熱性を与えるため、通常、プリフォームに形成されている口頚部(螺合部、嵌合部、支持リング等)を熱処理により結晶化して白化せしめる。この熱結晶化は、前述したポリエチレンテレフタレートの熱結晶化温度領域、特に140乃至200℃の範囲で行なうのがよい。この場合、2軸延伸ブロー成形完了後に、未延伸部分の口頚部を熱処理により結晶化させ、白化させることも可能である。
以上のようにして得られた一次成形体であるプリフォームを、所定の延伸成形温度に加熱し、延伸成形金型内でプリフォーム内に加圧流体を吹き込み、延伸棒による軸方向引張延伸と周方向膨張延伸とを行なうことにより、二軸延伸ブロー成形が行なわれる。
延伸成形温度は、通常、85〜125℃の温度であり、延伸成形温度へのプリフォームの加熱は、赤外線加熱、高周波誘導加熱、熱風加熱等の公知の手段で行なわれ、また、射出機のプリフォームに与えた熱(即ち余熱)を利用して行なうこともできるし、コールドパリソンにあっては再加熱により行なわれる。
軸方向延伸倍率は、1.3乃至3.5倍、特に1.5乃至3倍とすることが好ましく、また、周方向延伸倍率は、2乃至5.5倍、特に3乃至5倍程度が好適である。この場合、軸方向の延伸速度が3.0倍/秒以上、特に4.0倍/秒以上であり、且つ周方向の延伸速度が5.0倍/秒以上、特に6.0倍/秒以上の高速延伸が特に好適である。更に、ブロー成形時に吹き込む加圧流体としては、プリフォーム温度よりも少なくとも10℃高い温度に保持されている高温流体を用いるのがよい。
本発明においては、いわゆるワンモールド法が使用され、延伸成形金型(ブロー金型)で2軸延伸成形するにあたり、この金型を、前記ポリエチレンテレフタレートの熱結晶化温度領域に加熱保持しておく。即ち、延伸ブロー成形されたプリフォームの器壁の外側が金型内面と接触すると同時に、熱固定(ヒートセット)を行なうが、この熱固定時間を3.0秒以下、特に2.5秒以下に設定する。即ち、この熱固定時間を短縮することにより、高温に保持された延伸成形ボトルの器壁表面と加熱金型との接触時間が短くなり、この結果、器壁表面に存在する環状三量体成分の金型表面への移行、即ち、金型汚れが有効に防止され、金型汚れに起因するボトルの表面光沢性や透明性の低下を有効に抑制することができる。例えば、この熱固定時間を上記範囲よりも長く設定すると、器壁表面に存在する環状三量体成分が金型表面に移行し付着する時間が長くなってしまうため、金型汚れが生じ、得られるボトルの表面光沢性や透明性が失われてしまう。
また、本発明では、熱固定を上記のような短時間で行なうため、前述した金型温度を、短時間での熱固定により、例えば容器壁の密度法による結晶化度が30%以上、特に35%以上となるような温度領域に保持しておくことにより、耐熱性が付与できる。即ち、前記ポリエチレンテレフタレートの熱結晶化温度領域の中でも特に高温側、例えば、140乃至180℃、特に150乃至165℃の範囲に金型温度をシフトさせておくことが好ましい。
上記のように制限された時間内での熱固定が終了後、ブロー用加圧流体を内部冷却用流体に切り換え、内部の冷却を行ない、冷却終了後に金型から延伸成形及び熱固定された二次延伸成形容器(延伸ブローボトル)を取り出す。この冷却用流体としては、適当な温度に冷却された各種気体、例えば−40℃〜室温に保持された窒素、空気、炭酸ガスが好適に使用されるが、これ以外にも、化学的不活性な液化ガス、例えば液化窒素ガス、液化炭酸ガス、液化トリクロロフルオロメタンガス、液化ジクロロジフルオロメタンガス、その他の液化脂肪族炭化水素ガス等を使用することもできる。
上記の冷却用流体を用いての冷却時間は、熱固定温度(金型温度)や熱固定時間によっても異なるが、本発明では、成形金型(ブロー金型)当たりの成形本個数で示されるライン速度が10本個/分以上、特に15本個/分以上となるように冷却時間を調整するのがよい。即ち、このような高速のライン速度で延伸成形及び熱固定を行なうことにより、環状三量体成分を含むポリエステル樹脂と金型との接触時間が大幅に短縮され、金型表面への環状三量体の移行及び付着による金型汚れを、一層、有効に防止することができる。
以上、本発明によるポリエステル樹脂延伸成形容器の製法を、二軸延伸ブローボトルを例にとって説明したが、このようなブローボトル以外にも本発明を適用し得ることは勿論である。
即ち、環状三量体含量低減化の為の熱水処理がされていないポリエステル樹脂を使用し、射出成形、押出成形等により一次成形体であるシート乃至フィルムを成形し、このシート等を、所定の成形金型を用いて、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の延伸成形を行ない、ブロー成形と同様、成形金型を熱固定温度に加熱しておくことにより、延伸成形と同時に熱固定を行ない、カップ容器を製造することができる。即ち、このときの熱固定時間を、3.0秒以下、特に2.5秒以下の短時間とすることにより、金型表面への環状三量体の移行及び付着による金型汚れを有効に防止することができる。また、ブロー成形の場合と同様、成形金型当たりのライン速度を10本個/分以上、特に15本個/分以上となるようにすることにより、環状三量体による金型汚れを一層有効に抑制することができる。
[ポリエステル容器]
かくして得られる本発明のポリエステル容器は、原料ポリエステル樹脂として比較的多くの環状三量体を含有するものを使用しているため、容器表面に分布している環状三量体量をクロロホルム抽出によって測定したとき、その量は、450ng/cm以上、特に480乃至600ng/cmの範囲にある。
しかるに、本発明のポリエステル容器は、上記のような量の環状三量体成分を含有しているものの、成形金型の環状三量体成分による金型汚れが有効に抑制されているため、表面光沢度や透明性の点で極めて優れている。
また、前述した熱固定により、密度法による結晶化度は、30%以上、特に35%以上であり、優れた耐熱性を示す。
本発明のポリエステル容器に用いるポリエチレンテレフタレートの特性値の評価、測定方法は次の方法による。
(1)PET中の環状三量体(CT)の含有量
サンプル約100mgを精秤し、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)約1.0mlに溶解する(室温×16時間)。テトラヒドロフランを少しずつ混合して行き、ポリマー分を再沈させ、濾過して全量を25mlに希釈後、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行った。
(CT100%の時のピーク面積値を基準として、含有量を算出する。)
GPC測定条件
装置:東ソー(株)・HLC−8120GPC
カラム:ガードカラム+東ソー(株)・TSK−GEL SuperHM-H
検出器:示差屈折計東ソー(株)・UV−8020
溶離液:クロロホルム
(2)金型付着物の定量
脱脂綿にクロロホルム:HFIP=1:1の混合溶液を含ませて、金型付着物を拭き取り、この脱脂綿を濾紙を用いて濾過し、クロロホルム・HFIP混合溶液で繰り返し洗浄した。この濾液をエバポレーターで濃縮し、GPC測定を行った。
GPC測定条件:(1)同様
(3)容器表面に分布するCT量
容器表面を定量したクロロホルム0.075ml/cmで洗い流し、その溶液を濾紙を用いて濾過し、エバポレーターで乾固寸前まで揮発させた。最後ジメチルホルムアミドで希釈し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定を行った。所定量のCTを同様の方法で溶解し定量用試料とした。
HLPC測定条件
装置:東ソー(株)・AS−8010
カラム:東ソー(株)・ODS−80Ts 4.6×150mm
検出器:UV254mm
溶離液:A;0.05%リン酸含有水
B;アセトアクリル
(4)光沢度
容器の胴壁を切り出し、外表面の光沢度を60度鏡面で測定した。(JISK 7105)
装置:スガ試験機(株)・デジタル変角光沢計UGV−5K
(5)Haze
容器の胴壁を切り出し、積分球式光線透過率測定装置で測定した。(JISK 7105)
装置:スガ試験機(株)・ヘーズメーターHGM−2K
(実施例1)
環状三量体含有量低減化の熱水処理をしていないポリエチレンテレフタレート樹脂(明細書記載の方法で測定した結果、環状三量体の含有量は0.25重量%であった)を用いて、射出成形機によりプリフォームを成形し、口部結晶化した後、遠赤外線ヒーターで過熱後延伸ブロー成形を行い、内容量約500mlの容器を作成した。この時、成形金型当り17.8本/分の速度、金型の温度150℃、熱固定時間2.2秒とした。
また、成形は金型清掃後開始し、約48時間後に延伸ブロー成形されたポリエステルボトル及び金型について前述した方法で評価を行った。
(実施例2)
上記実施例1において、環状三量体の含有量が0.45重量%のポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルボトルを作成し、測定、評価を行った。
(実施例3)
上記実施例1において、環状三量体の含有量が0.70重量%のポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルボトルを作成し、測定、評価を行った。
(実施例4)
上記実施例1において、環状三量体の含有量が0.45重量%のポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、成形金型当り10本/分の速度、熱固定時間2.9秒とした以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルボトルを作成し、測定、評価を行った。
(比較例1)
実施例1において、環状三量体の含有量が0.45重量%のポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、成形金型当り8.0本/分の速度、熱固定時間4.0秒とした以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルボトルを作成し、測定、評価を行った。
(比較例2)
実施例1において、環状三量体の含有量が0.25重量%のポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、成形金型当り6.0本/分の速度、熱固定時間6.7秒とした以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルボトルを作成し、測定、評価を行った。
(比較例3)
実施例1において、環状三量体含有量の低減化として熱水処理を行っているポリエチレンテレフタレート樹脂(環状三量体の含有量は0.29重量%であった)を用い、成形金型当り8.0本/分の速度、熱固定時間4.0秒とした以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルボトルを作成し、測定、評価を行った。
(比較例4)
実施例1において、環状三量体含有量の低減化として熱水処理を行っているポリエチレンテレフタレート樹脂(環状三量体の含有量は0.29重量%であった)を用い、成形金型当り10本/分の速度、熱固定時間2.9秒とした以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルボトルを作成し、測定、評価を行った。
(比較例5)
実施例1において、環状三量体含有量の低減化として熱水処理を行っているポリエチレンテレフタレート樹脂(環状三量体の含有量は0.29重量%であった)を用い、成形金型当り17.8本/分の速度、熱固定時間2.2秒とした以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルボトルを作成し、測定、評価を行った。
Figure 2007269033
この結果、樹脂中の環状三量体の含有量が0.70重量%と多いポリエステル容器でも、最適な熱固定時間にする事により、外観特性であるHaze、光沢度において環状三量体含有量の少ない容器と見劣りしない事が確認された。また、金型付着物に関しても環状三量体は確認されず、金型汚れの防止にも有効である事も確認された。
さらに、実施例と比較例4乃至5から明らかなように、本発明においては低減化の熱水処理をしていないポリエステル樹脂を用いているが、従来の熱水処理を行って環状三量体成分含量を著しく抑制したハイグレードPETと同等の効果が得られる事も確認された。尚、ポリエステル容器において、樹脂中の環状三量体の含有量が0.25重量%未満、又0.7重量%を越えるポリエステル樹脂を用いる事は現実的でないため、実施例及び比較例の何れからも除外した。
本発明のポリエステル容器によれば、環状三量体含量低減化の熱水処理をしていないポリエステル樹脂を原料として使用しているため、この環状三量体を抑制するための熱水処理や固相重合等を行う必要がなく、経済的に極めて有利である。
また、本発明のポリエステル容器によれば、容器表面に分布する環状三量体の量と結晶化度を規定することにより、環状三量体の成形金型表面への移行、即ち金型汚れが有効に防止され、金型汚れに起因する表面光沢性や透明性の低下が有効に抑制される。

Claims (1)

  1. ポリエステル樹脂の延伸成形により得られたポリエステル容器において、
    前記ポリエステル樹脂は、環状三量体含量低減化の熱水処理をしていないエチレンテレフタレートのホモポリマーからなり、且つ環状三量体含量が0.25乃至0.7重量%の範囲にあるとともに、
    クロロホルム抽出によって測定される容器表面に分布する環状三量体量が450ng/cm以上であり、且つ密度法による結晶化度が30%以上であることを特徴とするポリエステル容器。
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