JP2007268970A - サーマルプリンタヘッド及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保護膜の耐摩耗性が良好なサーマルプリンタヘッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁基板2上にガラス層3を設け、その上面の一部に蒲鉾状の凸部3aを形成する。ガラス層3上に抵抗発熱体4、電極5a及び5bを設け、これらを覆うように、アルミニウム酸化物又はアルミニウム窒化物からなる腐食防止膜を形成する。そして、この腐食防止膜上に、Bi系のガラスを含み、フィラーを含まないガラスペーストをスクリーン印刷により塗布する。そして、このガラスペーストを500℃以下の温度に加熱して、結晶化させる。これにより、保護膜7を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、サーマルプリンタヘッド及びその製造方法に関し、より詳細には、抵抗発熱体を覆うガラス製の保護膜を設けたサーマルプリンタヘッド及びその製造方法に関する。
サーマルプリンタヘッドにおいては、セラミックス等からなる絶縁基板上に、抵抗発熱体が電極と共に一組の回路をなすように形成され、それが複数個、略直線状に配置されている。また、少なくともその抵抗発熱体列を覆うように、絶縁材料からなる保護膜が形成されている。そして、保護膜の上面にインクリボンを介してプリント用紙を圧着させた状態で、または、保護膜の上面に感熱紙を圧着させた状態で、抵抗発熱体にパルス電流を流して発熱させて、印刷を行う。
保護膜は、抵抗発熱体の摩耗を防ぐために設けられており、通常、スパッタ等の薄膜形成技術によって形成される場合と、塗布等の厚膜印刷技術によって形成される場合とがある。特に厚膜印刷技術に着目すると、例えば、特許文献1には、B−PbO−Al−SiO系非晶質ガラスを725〜750℃の温度で焼成することにより、保護膜を形成する技術が記載されている。
しかしながら、従来の技術においては、保護膜の硬度が低いため、耐摩耗性が不足し、寿命が短いという問題があった。
特開平2−229053号公報
本発明の目的は、保護膜の耐摩耗性が良好なサーマルプリンタヘッド及びその製造方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、通電されることにより発熱する抵抗発熱体と、前記抵抗発熱体の少なくとも一部を覆う保護膜と、を備え、前記保護膜は、結晶化されたガラスからなることを特徴とするサーマルプリンタヘッドが提供される。
本発明の他の一態様によれば、通電されることにより発熱する抵抗発熱体の少なくとも一部を覆うようにガラスペーストを被着させる工程と、前記ガラスペーストを結晶化させる工程と、を備えたことを特徴とするサーマルプリンタヘッドの製造方法が提供される。
本発明によれば、保護膜の耐摩耗性が良好なサーマルプリンタヘッドを実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るサーマルプリンタヘッドを例示する部分断面図である。
本実施形態に係るサーマルプリンタヘッド1においては、絶縁基板2が設けられており、絶縁基板2の上面上には、ガラス層3が設けられている。ガラス層3の上面の一部には、一方向に延びる蒲鉾状の凸部3aが形成されている。そして、ガラス層3上には、電極5a及び5bと抵抗発熱体4が一組の回路となり、それが略直線状に複数個並ぶように設けられている。
更に、ガラス層3、抵抗発熱体4並びに電極5a及び5bを覆うように、保護膜7が設けられている。保護膜7の形状は、ガラス層3の形状を反映しており、ガラス層3の凸部3aに相当する領域には、凸部7aが形成されている。保護膜7は結晶化されたガラスからなり、例えば、ビスマス酸化物を主成分とする結晶化ガラスが結晶化されて形成されている。このビスマス酸化物を主成分とする結晶化ガラスは、亜鉛酸化物及びボロン酸化物をさらに含有していることが好ましく、鉛を実質的に含有しないことが好ましい。保護膜7は、フィラーを含んでいなくてもよく、または、5質量%以下の濃度でフィラーを含んでいてもよい。保護膜7がフィラーを含む場合は、このフィラーは、金属酸化物からなり、平均粒径が50ナノメートル以下の粒子であることが好ましい。
次に、本実施形態に係るサーマルプリンタヘッド1の製造方法について説明する。
図2は、本実施形態に係るサーマルプリンタヘッドの製造方法を例示するフローチャート図である。
先ず、図2のステップS1に示すように、絶縁基板2上に、例えば水ガラスを塗布して焼成することにより、ガラス層3を形成する。ガラス層3には、一方向に延びる蒲鉾状の凸部3aを形成する。
次に、ステップS2に示すように、ガラス層3を形成した基体主面の全面に、抵抗発熱体層を形成する。
次に、ステップS3に示すように、抵抗発熱体層を全面に形成した主面を覆うように、導電性材料からなる電極層を形成する。その後、フォトエングレービング等の写真食刻法を用いて、抵抗発熱体層及び電極層を選択的に除去してパターニングする。これにより、ガラス層3の凸部3a上に、抵抗発熱体4並びに電極5a及び5bを形成する。このとき、抵抗発熱体4並びに電極5a及び5bが一組の回路を構成し、それが複数個、略直線状に配置されるように形成する。
次に、ステップS4に示すように、ガラス層3上に、抵抗発熱体4並びに電極5a及び5bを覆うように、例えばスクリーン印刷法によりガラスペーストを塗布する。このガラスペーストは、結晶化ガラスの粉末を、バインダーと共に溶剤に混ぜ込んだものである。結晶化ガラスには、例えば、その軟化点が400℃以下であり、その結晶化温度が500℃以下であるものを使用し、例えば、ビスマス酸化物を主成分とするガラスを使用する。このとき、ガラスペースト層の形状は、ガラス層3の凸部3aの形状を反映して盛り上がる。なお、このガラスペーストには、フィラーを含有させなくてもよく、金属酸化物からなり平均粒径が50ナノメートル以下の微粒子であるフィラーを含有させてもよい。ガラスペーストにフィラーを含有させる場合は、焼成後のフィラーの含有量が5質量%以下になるようにする。
次に、ステップS5に示すように、ガラスペースト層を、結晶化ガラスの軟化点以上で且つ結晶化温度以下の温度、例えば、400乃至500℃の温度に加熱する。これにより、ガラスペースト層中の溶剤が揮発し、バインダーが焼失し、ガラス粉末が融着し、結晶化する。これにより、結晶化されたガラスからなる保護膜7が形成される。このとき、保護膜7には、ガラス層3の凸部3aの形状を反映した凸部7aが形成される。
その後、ステップS6として、ワイヤー等により、ドライバIC6とサーマルヘッド基板との接続をとることで、サーマルプリンタヘッド1が製造される。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係るサーマルプリンタヘッド1の動作について説明する。
図1に示すように、サーマルプリンタヘッド1がプリンタに組み込まれる場合には、保護膜7の凸部7aの上方にローラ11が配置され、このローラ11と凸部7aとの間にインクリボン12及びプリント用紙13が挟み込まれ、ローラ11により、プリント用紙13を介して、インクリボン12が凸部7aに対して押圧される。そして、ローラ11が回転することにより、インクリボン12及びプリント用紙13がサーマルプリンタヘッド1に対して移動する。このとき、インクリボン12は凸部7aに対して摺動する。
この状態で、ドライバIC6が、電極5a、抵抗発熱体4及び電極5bからなる電流経路のそれぞれに、選択的にパルス電流を印加する。このパルス電流は、凸部7aの直下域においては抵抗発熱体4内を流れる。これにより、抵抗発熱体4が発熱する。この熱が、保護膜7内を伝導してインクリボン12における凸部7aに接触している部分に伝わり、インクリボン12中のインク成分がプリント用紙13に転写される。これにより、プリント用紙13にインク層14が形成され、印刷される。
本実施形態によれば、保護膜7は結晶化したガラスにより形成されているため、硬度が高く、インクリボン12が摺動しても、摩耗しにくい。すなわち、保護膜7の耐摩耗性が良好であり、サーマルプリンタヘッド1の寿命が長い。また、保護膜7を形成する結晶化ガラスとして、結晶化温度が500℃以下のガラスを使用しているため、ガラスペーストを結晶化させるための熱処理の温度を500℃以下に抑えることができる。これにより、この熱処理によって抵抗発熱体4並びに電極5a及び5bに損傷を与えることを防止できる。更に、保護膜7にはフィラーが含まれていないか、または、平均粒径が50ナノメートル以下の微細なフィラーが5質量%以下しか含まれていないため、保護膜7の表面が平坦であり、印刷性能が優れている。
次に、本実施形態を具現化するための第1の具体例について説明する。
図3は、本具体例に係るサーマルプリンタヘッドを例示する部分斜視図であり、
図4は、その部分断面図である。なお、図3においては、図を見易くするために、保護膜、エンキャップ及びICカバーは一部分しか図示されていない。また、図4においては、便宜上、ヒートシンクは省略されている。
本具体例に係るサーマルプリンタヘッド21においては、絶縁基板として、例えばアルミナ(Al)からなるセラミック基板22が設けられており、このセラミック基板22上に、例えば水ガラスからなる水ガラス層23が設けられている。水ガラス層23の上面には、一方向に延びる蒲鉾状の凸部23aが1ヶ所形成されている。凸部23aの頂部は、水ガラス層23の上面における凸部23a以外の領域と比較して、例えば90ミクロン程度高くなっている。
また、水ガラス層23上には、、例えばTa−SiOからなる複数個の抵抗発熱体24が、基体主面の全領域にわたって形成されている。
更に、主面上の全領域に形成された抵抗発熱体24を覆うように、例えば、アルミニウム(Al)からなる電極25a及び25bが形成されている。抵抗発熱体24並びに電極25a及び25bは一組の回路を構成し、複数の回路が略直線状に配列されている。
更にまた、水ガラス層23上には、抵抗発熱体24並びに電極25a及び25bを覆うように、アルミニウム酸化物(Al)又はアルミニウム窒化物(AlN)からなる腐食防止膜26が設けられている。腐食防止膜26の厚さは例えば200ナノメートルである。
そして、腐食防止膜26上には、ビスマス酸化物を主成分とする結晶化ガラス、例えば、Bi系のガラスが結晶化されてなる保護膜27が設けられている。このガラスには、鉛(Pb)は実質的に含有されていないものを用いることができる。すなわち、不可避的不純物として混入している分以外は含有されていない。また、保護膜27には、フィラーも含有されていない。保護膜27の厚さは例えば5乃至10ミクロンである。
また、本具体例の場合、セラミック基板22上には、ドライバIC30が実装されており、このドライバIC30の端子には、電極25aにおける抵抗発熱体24に接続されていない側の端部が接続されている。例えば、4本の電極25aが1個のドライバIC30に接続されている。更に、セラミック基板22におけるドライバIC30側の側方には、樹脂基板31が設けられており、セラミック基板22に連結されている。樹脂基板31の上面及び下面は、セラミック基板22の上面及び下面とそれぞれ同一平面上にある。樹脂基板31上には、複数本の配線層32が形成されており、この配線層32がドライバIC30の電極25aが接続されていない端子に接続されている。
更にまた、セラミック基板22及び樹脂基板31上には、ドライバIC30、並びに電極25a及び配線層32におけるドライバIC30との接続部分を覆うように、樹脂からなるエンキャップ33が設けられており、このエンキャップ33を覆うように、例えば、樹脂板が折り曲げられて成形されたICカバー34が設けられている。一方、セラミック基板22及び樹脂基板31の下面上には、ヒートシンク35及びコネクタ36が連結されている。コネクタ36の端子は、配線層32に接続されている。
次に、本具体例に係るサーマルプリンタヘッド21の製造方法について説明する。
先ず、例えばアルミナからなるセラミック基板22を用意し、このセラミック基板22上に水ガラスを塗布して焼成することにより、水ガラス層23を形成する。この水ガラス層23には、インクリボンを接触させるための凸部23aを形成する。凸部23aの形状は、一方向に延びる蒲鉾状とし、その高さは例えば90ミクロンとする。
次に、水ガラス層23上の全面に、例えば、スパッタリング法により、Ta−SiO層(抵抗発熱体層)を形成する。これは後にパターニングによって、抵抗発熱体24の列となる。
次に、抵抗発熱体層を覆うように、アルミニウムからなる層を形成する。そして、フォトエングレービング等の写真食刻法により、このアルミニウム層を前述の抵抗発熱体層と併せてパターニングすることにより、抵抗発熱体24並びに電極25a及び25bを形成する。このとき、抵抗発熱体24並びに電極25a及び25bは一組の回路となり、これが複数個、略直線状に並んで形成される。
次に、例えばスパッタリング法により、アルミニウム酸化物(Al)又はアルミニウム窒化物(AlN)からなる層を、例えば200ナノメートルの厚さに堆積させる。これにより、腐食防止膜26を形成する。
次に、ガラス成分として、ビスマス酸化物を主成分とする結晶化ガラス、例えば、Bi系のガラスの粉末を含み、バインダー成分としてニトロセルロースを含み、溶剤成分としてn−ブチルカルビトールを含むガラスペーストを作製する。なお、このガラスペーストには、フィラーを含有させない。そして、このガラスペーストを、例えばスクリーン印刷法により、腐食防止膜26上の全面に塗布する。このとき、ガラスペースト層における水ガラス層23の凸部23aの直上域に相当する部分は、凸部23aの形状を反映して盛り上がる。なお、この塗布は真空中で行うことが好ましい。これにより、ガラスペースト中の気泡を抜くことができる。
次に、このガラスペースト層を、例えば140℃の温度で20分間加熱する。これにより、ガラスペースト層中の溶剤成分(n−ブチルカルビトール)が揮発して失われる。次に、このガラスペースト層を、大気中で、例えば450℃の温度で30分間加熱する。これにより、ガラスペースト層中のバインダー成分(ニトロセルロース)が焼失し、ガラス粉末が融着して一体化し、その後結晶化する。すなわち、ガラスペースト層が焼成される。このようにして、結晶化されたBi系のガラスからなる保護膜27が形成される。このとき、保護膜27の上面には、水ガラス層23の凸部23aの形状を反映した凸部27aが形成される。なお、保護膜27の色調は、黄色味がかった半透明な色調となる。
次に、セラミック基板22上にドライバIC30を実装し、このドライバIC30の端子に、電極25aにおける電極25bから遠い側の端部を接続する。また、樹脂基板31上に配線層32を形成し、この樹脂基板31をセラミック基板22の側部に連結し、配線層32をドライバIC30の他の端子に接続する。そして、セラミック基板22及び樹脂基板31の上面上に、ドライバIC30と、電極25a及び配線層32におけるドライバIC30への接続部分とを覆うように、樹脂からなるエンキャップ33を形成し、このエンキャップ33を覆うように、ICカバー34を取り付ける。また、セラミック基板22及び樹脂基板31の下面上にヒートシンク35及びコネクタ36を取り付ける。これにより、サーマルプリンタヘッド21が製造される。
このサーマルプリンタヘッド21の動作は、前述のサーマルプリンタヘッド1の動作と同様である。すなわち、ローラにより、プリント用紙及びインクリボンが保護膜27の凸部27aに押しつけられ、凸部27aに対して摺動する。この状態で、ドライバIC30が、コネクタ36を介して入力された信号に基づいて、電極25aに選択的にパルス電流を印加する。このパルス電流が、凸部27aの直下域において抵抗発熱体24内を流れることにより、この抵抗発熱体24が発熱する。この熱が、保護膜27を介してインクリボンに伝わり、プリント用紙に対する印刷が行われる。
次に、本具体例の効果について説明する。
本具体例によれば、Bi系のガラスを含むガラスペーストを焼成することにより、保護膜27を形成しているため、保護膜27を結晶化されたガラスにより構成することができる。これにより、保護膜27の硬度を高め、耐摩耗性を良好にすることができる。
図5は、横軸に研磨回数をとり、縦軸に累積の研磨量をとって、保護膜の耐摩耗性を例示するグラフ図である。
図5に示す耐摩耗性の評価は、上述のBi系のガラスを含むガラスペーストを480℃の温度で90分間焼成して結晶化させた膜(以下、「結晶化膜」という)と、400℃の温度で90分間焼成したアモルファス構造を有する膜(以下、「アモルファス膜」という)とを、#1000の研磨紙上で150gf/cmの荷重をかけながら10センチメートルの距離を摺動させる研磨を、所定の回数行い、累積の研磨量を測定することにより行っている。
図5に示すように、結晶化膜はアモルファス膜よりも研磨量が少なく、耐摩耗性が良好である。
なお、ガラスペースト中にフィラーを大量に添加して、保護膜の硬度を高めることも考えられるが、そうすると、保護膜の表面の平坦性が低下すると共に、膜厚が不均一になり、熱伝導性も不均一になる。この結果、印刷性能が低下する。
図6は、横軸に保護膜中へのフィラーの添加量をとり、縦軸に保護膜の表面粗さ(Ra)をとって、フィラーの添加量が表面粗さに及ぼす影響を例示するグラフ図である。
図6に示すように、保護膜の表面粗さ(Ra)は、保護膜にフィラーを添加しない場合が最も小さく、従って膜厚均一性が高い。そして、フィラーの添加量が増加するに伴って、表面粗さ(Ra)も増加し、粗くなる。
これに対して、本具体例においては、保護膜27にフィラーが含まれていないため、保護膜27の表面の平坦性が高く滑らかであると共に、保護膜27の膜厚が均一である。このため、インクリボン等の摺動性が良好であると共に、熱伝導性のムラが少なく、印刷性能が高い。
そして、本具体例によれば、フィラーを含まずとも比較的高い機械的強度が得られる。 図7は、フィラーを含有した保護膜とフィラーを含有しない本具体例の保護膜の引掻き強度を表したグラフ図である。ここで、フィラーとしては、粒径0.9マイクロメータのアルミナ粒子を用いた。
図7から分かるように、フィラーを重量比で20パーセント含有させた保護膜の引掻き強度は約9.3gfであるのに対して、フィラーを含有させない本具体例の保護膜の引掻き強度は約5.8gfであり、比較例の60パーセント以上の引掻き強度が得られている。
次に、図8は、横軸に角度(2θ)をとり、縦軸にX線回折強度をとって、上述のBi系のガラスを含むガラスペーストを各温度で焼成して形成した膜のXRD(X-ray Diffraction:X線回折)結果を例示するグラフ図である。測定はθ−2θ法によって行い、焼成時間は90分間である。
図8に示すように、Bi系のガラスを含むガラスペーストは、400℃の温度で焼成してもアモルファスのままであるが、420℃以上の温度で焼成すると結晶化する。
このように、Bi系のガラスは420℃以上、例えば450℃程度の温度で結晶化させることができるため、このガラスを結晶化させるための熱処理に伴い、Ta−SiOからなる抵抗発熱体24並びにアルミニウムからなる電極25a及び25bに与える損傷が少ない。
なお、熱処理温度が500℃を超えると、アルミニウムからなる電極が軟化または溶融してしまう。このため、保護膜をその結晶化温度が500℃を超えるガラスにより形成する場合には、電極をタングステン(W)等の高融点材料により形成することが必要となり、材料選択の自由度が減少する。
なお、焼成温度を低下させるために、ガラス成分中に鉛(Pb)または鉛酸化物(PbO)を添加することも考えられるが、そうすると環境性が低下してしまう。本具体例の保護膜27には鉛が含まれていないため、環境性が良好である。
更に、本具体例においては、抵抗発熱体24並びに電極25a及び25bと、保護膜27との間に、アルミニウム酸化物またはアルミニウム窒化物からなる腐食防止膜26が設けられているため、保護膜27を形成するためのガラスペースト中のバインダー成分及び溶剤成分により、抵抗発熱体24並びに電極25a及び25bが腐食されることを防止できる。これにより、ガラスペーストの熱処理に伴う抵抗発熱体及び電極の抵抗値の変動を抑制することができる。
また、本具体例においては、保護膜27にフィラーが含まれていないため、従来のフィラーが含まれている保護膜に比べて、その膜厚をできるだけ薄くなるように抑えることができる。従って、本具体例では、保護膜27の膜厚を薄くできる分、従来のフィラーが含まれている保護膜に比べて、電極からの熱を良好にインクリボンに伝え、サーマルプリンタヘッドの印刷性能を高めることが可能となる。
次に、本実施形態の第2の具体例について説明する。
本具体例に係るサーマルプリンタヘッドは、前述の第1の具体例に係るサーマルプリンタヘッドと比較して、保護膜27(図4参照)に5質量%以下のフィラーが含有されている点が異なっている。このフィラーは例えばアルミナ粒子からなり、その平均粒径は50ナノメートル以下である。本具体例に係る上記以外の構成、製造方法及び動作は、第1の具体例と同様である。
本具体例によれば、保護膜に少量のフィラーを含有させることにより、保護膜の硬度をより一層向上させ、耐摩耗性をより優れたものとすることができる。なお、図6に関して前述したように、保護膜にフィラーを含有させることにより、フィラーを含有させない場合と比較して、保護膜表面の平坦性はやや低下する。しかしながら、図6からも分かるように、フィラーの添加量が5質量%以下であれば、表面粗さの増加量は小さく、実用上問題のない平坦性を維持できる。そこで、本具体例においては、フィラーの含有量を保護膜全体の5質量%以下とし、さらにフィラーの平均粒径を50ナノメートル以下とすることにより、保護膜表面の平坦性を実用上問題がない程度に維持することができる。
次に、本実施形態の第3の具体例について説明する。
図9は、本具体例に係るサーマルプリンタヘッドを例示する部分断面図である。
本具体例に係るサーマルプリンタヘッド41は、前述の第1の具体例に係るサーマルプリンタヘッド21(図4参照)と比較して、保護膜27上に耐薬品保護膜28が設けられている点が異なっている。耐薬品保護膜28は、例えばSiOからなり、例えばスパッタリング法により形成されたものである。これにより、サーマルプリンタヘッドの耐楽品性を高めることができる。本具体例における上記以外の構成、製造方法、動作及び効果は、前述の第1の具体例と同様である。
なお、上述の実施形態及びその具体例においては、サーマルプリンタヘッドをインクリボン方式のプリンタに適用する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、インクリボンを用いず、感熱紙を使用する方式のプリンタに適用してもよい。本実施形態に係るサーマルプリンタヘッドを備えたプリンタは、インクジェット方式のプリンタと比較して画質が優れているため、プロフェッショナル用プリンタ又は写真シール作成機等に好適に利用することができる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例には限定されない。例えば、前述した各具体例は技術的に可能な範囲において互いに組み合わせることができ、このようにして得られたものも本発明の範囲に包含される。また、各具体例を構成する各層の形成方法も、形成の容易性及び形成後の品質等を考慮して、適宜選択することができる。例えば、腐食防止膜26及び耐薬品保護膜28の形成方法はスパッタリング法に限定されず、CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相成長法)、イオンプレーティング法若しくは蒸着法等の他のドライ成膜法、又は、Spin−on−glass材料によるスピンコーティング法を選択してもよい。また、保護膜27の厚さを調整するために、スクリーン印刷を繰り返し行い、ガラスペースト層を重ね塗りしてもよい。
本発明の実施形態に係るサーマルプリンタヘッドを例示する部分断面図である。 本実施形態に係るサーマルプリンタヘッドの製造方法を例示するフローチャート図である。 本実施形態の第1の具体例に係るサーマルプリンタヘッドを例示する部分斜視図である。 このサーマルプリンタヘッドを例示する部分断面図である。 横軸に研磨回数をとり、縦軸に累積の研磨量をとって、保護膜の耐摩耗性を例示するグラフ図である 。 横軸に保護膜中へのフィラーの添加量をとり、縦軸に保護膜の表面粗さ(Ra)をとって、フィラーの添加量が表面粗さに及ぼす影響を例示するグラフ図である。 フィラーを含有した保護膜とフィラーを含有しない第1具体例の保護膜の引掻き強度を表すグラフ図である。 横軸に角度をとり、縦軸にX線回折強度をとって、Bi系のガラスを含むガラスペーストを各温度で焼成して形成した膜のXRD結果を例示するグラフ図である。 本実施形態の第3の具体例に係るサーマルプリンタヘッドを例示する部分断面図である。
符号の説明
1、 サーマルプリンタヘッド、2 絶縁基板、3 ガラス層、3a 凸部、4 抵抗発熱体、5a、5b 電極、6 ドライバIC、7 保護膜、7a 凸部、11 ローラ、12 インクリボン、13 プリント用紙、14 インク層、21 サーマルプリンタヘッド、22 セラミック基板、23 水ガラス層、23a 凸部、24 抵抗発熱体、25a、25b 電極、26 腐食防止膜、27 保護膜、28 耐薬品保護膜、30 ドライバIC、31 樹脂基板、32 配線層、33 エンキャップ、34 ICカバー、35 ヒートシンク、36 コネクタ、41 サーマルプリンタヘッド

Claims (13)

  1. 通電されることにより発熱する抵抗発熱体と、
    前記抵抗発熱体の少なくとも一部を覆う保護膜と、
    を備え、
    前記保護膜は、結晶化されたガラスからなることを特徴とするサーマルプリンタヘッド。
  2. 前記ガラスは、ビスマス酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタヘッド。
  3. 前記ガラスは、鉛を実質的に含有しないことを特徴とする請求項2記載のサーマルプリンタヘッド。
  4. 前記保護膜は、フィラーを含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のサーマルプリンタヘッド。
  5. 前記保護膜は、フィラーを5質量%以下含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のサーマルプリンタヘッド。
  6. 前記フィラーの平均粒径が50ナノメートル以下であることを特徴とする請求項5記載のサーマルプリンタヘッド。
  7. 前記抵抗発熱体と前記保護膜との間に配置され、アルミニウム酸化物又はアルミニウム窒化物からなる膜をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のサーマルプリンタヘッド。
  8. 前記保護膜上に設けられたシリコン酸化膜をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のサーマルプリンタヘッド。
  9. 通電されることにより発熱する抵抗発熱体の少なくとも一部を覆うようにガラスペーストを被着させる工程と、
    前記ガラスペーストを結晶化させる工程と、
    を備えたことを特徴とするサーマルプリンタヘッドの製造方法。
  10. 前記ガラスペーストには、その軟化点が400℃以下であり、その結晶化温度が500℃以下であるものを使用し、
    前記結晶化させる工程において、前記ガラスペーストを、前記軟化点以上且つ前記結晶化温度以下の温度に加熱することを特徴とする請求項9記載のサーマルプリンタヘッドの製造方法。
  11. 前記ガラスペーストには、そのガラス成分の主成分がビスマス酸化物であるものを使用することを特徴とする請求項10記載のサーマルプリンタヘッドの製造方法。
  12. 前記ガラスペーストには、鉛を実質的に含有しないものを使用することを特徴とする請求項11記載のサーマルプリンタヘッドの製造方法。
  13. 前記ガラスペーストを被着させる工程の前に、
    前記抵抗発熱体上にアルミニウム酸化物又はアルミニウム窒化物からなる膜を形成する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項9〜12のいずれか1つに記載のサーマルプリンタヘッドの製造方法。
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