JP2007268764A - 塗装金属材 - Google Patents

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Abstract

【課題】通電抵抗溶接による接合が可能で,防錆塗装を施さずに腐食環境で用いても,腐食による孔あきを生じ難い塗装金属材を提供する。
【解決手段】本発明の塗装金属板は,金属材の表面の少なくとも一部に,導電粒子を含有する平均厚み3μm以上40μm以下の塗装皮膜を有し,該塗装皮膜の表面と金属材との間で通電する通電箇所を有する。該通電箇所は,例えば,金属材の表面の全部又は一部に,特定の高さ及び単位面積当りに特定の面積を占める凸部として形成される。
【選択図】なし

Description

本発明は,耐食性の良好な塗装金属材に関するものである。詳しくは,通電抵抗溶接による接合が可能で,防錆塗装を施さずに腐食環境で用いても,腐食による孔あきを生じ難い塗装金属材に関するものである。
自動車外板,内板,構造部材等に用いられる金属製素材は,特に腐食の厳しい袋状部品の内面の合わせ部や折り曲げヘム部では,電着塗装による被覆や,シーラーやアドヒーシブ,ワックス等の防錆副資材の適用によって,その耐食性を確保していることが多い。
一方で,自動車用金属材として塗装金属板(主として塗装鋼板)を用いることで,防錆を目的とする自動車部材内面の塗装やシーラー・ワックス等の防錆処理を省略又は低減して,自動車製造コストを低減するため,従来から種々の塗装金属材が開発されてきた。例えば,特許文献1では,金属材表面にZnを含有した塗膜を形成する手法が開示されている。また,電着塗装や防錆副資材が無くとも耐孔あき錆性を確保できることを目的とした金属材も開発され,例えば,特許文献2,特許文献3,特許文献4では,導電性樹脂被覆層を表面に形成した金属材が開示されている。その一般的な構成は,めっき鋼板に下地処理層を介して導電性顔料や防錆顔料を含有した有機皮膜を塗布したものである。
特開昭55−17508号公報 特開平9−23480号公報 特開平10−128906号公報 特開平11−5269号公報
しかしながら,これら従来の手段は,耐食性を高めるために塗装皮膜の膜厚を厚くすると,溶接電極から導電性顔料を介して金属材に到る通電経路が確保され難くなり,通電抵抗溶接性が低下し易いという問題があった。その一方で,通電抵抗溶接性を向上させるには,導電性顔料の有機皮膜に対する相対的なサイズを大きくする必要があるが,そのために皮膜を薄くすれば耐食性が低下し,導電性顔料のサイズを大きくすれば塗料中で顔料が分離・沈降し易くなるので工業的な生産性が低下すると言う問題があった。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたものであって,通電抵抗溶接による接合が可能で,防錆塗装を施さずに腐食環境で用いても腐食による孔あきを生じ難い塗装金属材を提供することを目的とする。
本発明者らは,上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果,塗装皮膜の表面と金属材との間で通電する通電箇所,例えば,所定の高さを有し,かつ,金属材表面の単位面積当りに所定の面積を占める凸部を有する金属材表面に,導電粒子を含有する塗装皮膜を設けることで,通電抵抗溶接による接合が可能で,防錆塗装を施さずに腐食環境で用いても腐食による孔あきを生じ難い塗装金属材を得られることを見出し,この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち,本発明の要旨とするところは,以下のとおりである。
(1) 金属材の表面の少なくとも一部に,導電粒子を含有する平均厚み3μm以上40μm以下の塗装皮膜を有し,該塗装皮膜の表面と前記金属材との間で通電する通電箇所を有することを特徴とする,塗装金属材。
(2) 前記通電箇所は,前記金属材の表面の全部又は一部に設けられた凸部に存し,該凸部の近傍の平坦部に対する該凸部の高さが3μm以上30μm以下で,前記金属材の表面の1mm×1mm当りに占める凸部の面積の合計が1×10−3mm以上3×10−1mm以下であることを特徴とする,前記(1)に記載の塗装金属材。
(3) 前記導電粒子の粒子サイズが,1μm以上30μm以下であることを特徴とする,前記(1)または(2)に記載の塗装金属材。
本発明に係る塗装金属材によれば,耐食性を高めるために塗装皮膜の膜厚を厚くしても,金属材表面の通電箇所に存在する導電性粒子を経由して溶接電極への通電経路が確保し易いので,通電抵抗溶接性が低下しない。したがって,通電抵抗溶接性を向上する手段として,導電性顔料の有機皮膜に対する相対的なサイズを過度に大きくする必要がないので,塗装皮膜を薄くして耐食性の低下を招いたり,導電性顔料のサイズを大きくして塗料中で顔料が分離・沈降し易くなり,工業的な生産性が低下するような問題が生じ難い。
以下に,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明に用いる金属材としては,鋼製,アルミニウム製,銅製,チタン製等の各種金属又は合金製の材料(板材,管材,線材,形材等,及び,それらを成型・接合したもの)や,それらに亜鉛,アルミニウム,ニッケル,クロム,銅,コバルト,シリコン,鉄,マグネシウム,マンガン等の任意の金属又は合金によるめっきを施した金属材等,任意の金属材を用いることができる。本発明品を自動車車体用の金属板とする場合には,金属材として一般的なのは,鋼板,めっき鋼板,アルミニウム板等である。
本発明に用いる塗装皮膜の成分は,塗装金属材の用途に適した物性を有する既知の有機樹脂,金属,合金及び無機化合物から選択することができる。これらについては後ほど詳述する。
塗装皮膜の平均厚みは,塗装金属材断面の観察や電磁膜厚計等の利用により測定できる。塗装基材である金属材表面に凹凸があり正確な測定が困難な場合には,単位面積当りに付着した塗装皮膜の質量を塗装皮膜の比重又は塗料の乾燥後比重で除算して算出してもよい。塗装皮膜の付着質量は,塗装前後の質量差,塗装後の皮膜を剥離した前後の質量差,又は,塗装金属材表面を蛍光X線分析して予め皮膜中の含有量が分かっている元素の存在量を測定する等,既存の手法から適切に選択すればよい。塗装皮膜の比重又は塗料の乾燥後比重は,単離した皮膜の容積と質量を測定する,適量の塗料を容器に取り乾燥させた後の容積と質量を測定する,又は,皮膜構成成分の配合量と各成分の既知の比重から計算する等,既存の手法から適切に選択すればよい。
塗装皮膜の平均厚みは,3μm以上40μm以下であることが望ましい。3μm未満の薄い皮膜では高い耐食性を得ることは困難であり,40μm超の厚い皮膜を有する金属材に実用性のある溶接性を与えることは困難である。高度な溶接性を得るには,皮膜の平均厚みは3〜13μmであることが望ましい。一方,高度な耐食性を得るためには,皮膜の平均厚みは10〜40μmであることが望ましい。
本発明に用いる導電粒子は,体積抵抗率が10Ω・cm以下の既存の物質から,価格,粒子としての入手容易性,導電性以外の性能(例として耐食性等)への影響ないしは効果等を考慮して選択できる。工業的に使用するために安価かつ大量に安定的に用いることを考慮すれば,典型金属,遷移金属,半金属元素の単体,合金又は化合物の1種以上を,例えば,固体の粉砕や,溶融物を気相や水相に噴出する等の公知の方法で粒子化したものを用いるのが好ましい。より確実な通電溶接性を必要とする場合は,導電粒子として,体積抵抗率が10−3Ω・cm以下である典型金属を単独又は混合物の一部として用いることが好ましい。
このような導電粒子としては,例えば,マグネシウム,アルミニウム,シリコン,カルシウム,スカンジウム,チタン,バナジウム,クロム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,銅,亜鉛,ガリウム,ゲルマニウム,ストロンチウム,イットリウム,ジルコニウム,ニオブ,モリブデン,テクネチウム,ルテニウム,ロジウム,パラジウム,銀,カドミウム,インジウム,錫等の金属単体や,これらの金属やヒ素,アンチモン,テルル等の合金又は化合物を用いることができる。
前述の金属,金属元素の合金又は化合物の粒子の内,工業的に比較的安価かつ安定的に入手できるものとして,マグネシウム,アルミニウム,シリコン,クロム,鉄,ニッケル,亜鉛,錫,亜鉛−アルミニウム合金,亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金,亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコン合金,亜鉛−鉄合金,亜鉛−クロム合金,亜鉛−ニッケル合金,鉄−ニッケル合金,鉄−クロム合金,ステンレス鋼,フェロシリコン,フェロホスホル等が挙げられる。
塗装金属材のさらなる高耐食性を実現するには,前述の導電粒子において,シリコンを構成成分とするのが望ましい。シリコンを構成成分とすることで高耐食性を実現できるのは,腐食環境においてシリコンを含有する保護皮膜が形成されるためと思われる。本発明においては,特に,シリコン70質量%以上のフェロシリコンを用いることが好ましい。具体的にはSi含有率が75〜80質量%のJIS2号フェロシリコン等を導電性粒子として用いることで,導電性を確保できると同時に耐食性が向上する。フェロシリコンの体積抵抗率について公知の文献値はないが,体積抵抗率が約10Ω・cmである珪素と,体積抵抗率が約10−6Ω・cmである鉄とを含有することから,体積抵抗率が10Ω・cm以下であると言う本発明の要件は満たすと推定される。
上記の導電粒子は,塗装皮膜中に少なくとも0.5体積%配合することが望ましい。より高い溶接性を求める場合は1体積%以上配合することが好ましい。
塗装金属材の通電箇所の有無は,例えば,塗装皮膜の表面に,先端を半径3mm,幅30mmに折り曲げ加工したステンレス製端子を加重14.7Nで押し付け,ステンレス製端子と金属材との間の通電抵抗を測定して求めることができる。この測定を複数回行う内で1回以上通電抵抗が1MΩ以下ならば,通電箇所は存在すると言える。この通電性は,通電溶接の容易性や安定性に関わるものであり,工業的に通電溶接が可能であると言うためには,10回の測定の内で少なくとも1回は通電する(通電抵抗が1MΩ以下である)ことが好ましい。より高度な通電溶接性を必要とする場合は10回の内5回以上通電することが好ましく,確実に溶接できることが必要な用途には,10回の内10回,通電抵抗が1MΩ以下であることが好ましい。
塗装金属材の基材である金属材の表面に凸部を設けることにより,従来よりも塗装皮膜が厚くても,通電箇所を確保し易くすることができる。その凸部の高さは,断面の直接観察,触針式粗度計による表面プロファイル,非接触式表面形状測定装置(例としてレーザー式顕微鏡等)による表面プロファイルにて,近傍の平坦部との高さの差として定義するが,その高さは3μm以上30μm以下が好適である。3μm未満では通常の金属材表面が有するなだらかな凹凸に対して有意に突出する凸部とは言えず,30μmを超える凸部を工業的に安価に設けることは一般に困難である。凸部を設けることによる導電性の向上効果の十分な発現,及び,工業的手段による凸部付与の容易さを考慮すれば,より好ましい平均的な凸部高さは4μm〜10μmである。
上述の凸部が金属材表面に占める面積は,金属材表面1mm当りに存する凸部面積の合計であり,通常1mmの範囲には複数の凸部が存在するが,その場合はそれらの合計である。凸部面積は,想定範囲における凸部の数平均高さを通過し,凸部を除いた表面に平行な仮想的な面により該凸部が切断される断面積とする。金属材表面の二次元的広がりに対して,その二次元座標における位置に対して高さ情報を得られるマッピング機能を有する触針式粗度計や,レーザー顕微鏡等の非接触式表面形状測定装置にて,高さ情報を彩色した出力結果を画像解析処理することで,上述の断面積,即ち,凸部面積を得ることができる。凹部を設けたロールで圧延して金属材表面に凸部を設ける場合,ロール表面の凹部および金属材表面に転写された凸部がその他の表面と明確に区別可能ならば,ロール表面1mmに存する凹部面積の合計をもって,それが転写された金属材表面1mmに存する凸部面積の合計としても実用上は差し支えない。凸部面積が過小な場合は,その凸部の上に導電性粒子が配置される確率が低く,通電溶接性が悪化する。金属材表面1mm当りに存する凸部面積の合計が1.0×10−3mm以上ならば,通電溶接性が確保され易い。また,凸部面積が過大な場合は,凸部を設けない状況との差異が小さくなり,やはり通電溶接性が悪化する。適切な凸部面積の上限は0.30mmである。工業的な実現容易性を考慮すれば,より好ましい凸部面積は0.01〜0.2mmである。上記のように,凸部の面積を適切に限定すれば,凸部があることで塗装皮膜が局所的に薄くなることによる耐食性への悪影響も防ぐことができる。
金属材表面を本発明で規定する状態に加工する手段としては,特定の表面形状を有する金型やロールによる押付転写又はロール間での圧延,化学薬品による侵食,マスキングした状態での化学薬品によるエッチング,表面への硬質粒子の投射,硬質工具や研磨紙による表面研削,及びそれらの手法の組合せ(例として,硬質粒子の投射後にロール間で圧延する等)を用いることができる。連続的に大量生産することを考えれば,加工ロールによる圧延や硬質粒子の投射等を用いれば,高速かつ均一に表面を加工できる。特に,凹部を設けたロールで圧延する手法は,加工する対象が板状材に限られるものの凸部の高さや面積をコントロールし易く,かつ,短時間で大量の表面を加工できる点で優れている。
塗装皮膜に分散する導電粒子の粒子サイズは,塗装皮膜の塗料をJIS K5600−2−5に基づいた粒ゲージによる測定値とする。粒ゲージによる測定は,大きさの異なる粒子が含まれる場合には大サイズ粒子の影響を大きく受けるが,通電抵抗溶接の通電経路となる導電粒子は,まさにその大サイズ粒子なので,本測定法を用いることが適切である。
導電粒子の粒子サイズは,1μm以上30μm以下が望ましい。サイズ1μm未満の導電粒子を安価に得ることは困難であり,サイズ30μm超の導電粒子を塗料中で分離沈降せぬように長時間安定して保持することは困難なためである。発明の効果(耐食性及び通電溶接性)及び塗装皮膜の塗工容易性を考慮すれば,より好ましい粒子サイズは3〜20μmである。
塗装金属材にて,塗装皮膜中の導電性粒子を介して塗装皮膜表面に接触する通電溶接用電極と基材の金属材との間に通電経路が確保されるには,凸高さをA(μm),導電粒子の粒子サイズをB(μm),塗装皮膜の平均厚みをC(μm)とする場合に,A+B−C≧0の関係が満足されることが好ましい。
基本的にA+B−Cは大きいほど溶接性が良好であり,特にA+B−C≧1(μm)であれば安定した溶接性が得られる。従来技術においては,ことさらに凸部を設けることをせずに,導電性粒子を塗装皮膜厚みに対して十分大きくすることで,塗装金属材の通電溶接性を確保することが多かったが,この場合は,耐食性等の機能を高めるために塗装皮膜の平均厚みを増そうとすると,それに応じて導電粒子のサイズを大きくする必要があった。導電粒子のサイズが大きいと,塗料内での導電粒子の分離や,塗装皮膜からの導電粒子の脱落,さらに,導電粒子として硬度の高い粒子を用いる場合は,塗装鋼板を整形するためにプレス加工する際に,プレス金型の表面に導電粒子が噛み込むために,塗装金属材の成形性が低下したり,金型を損耗する等の問題が生じていた。本発明の技術を用いれば,金属材表面に凸部を設けることで,導電粒子のサイズが小さくても塗装皮膜の平均厚みを増やすことができる。
導電粒子のサイズが塗装皮膜の平均厚み以下であれば,塗装鋼板をプレス成形する際の成形性の低下やプレス金型の損耗等の悪影響を低減させることができる。また,(A+B−C)≦B/2であれば,凸部の上に位置する導電粒子が塗装皮膜から露出する割合が粒子サイズの半分以下となるので,塗装皮膜から導電粒子が脱落することを十分に防止することができる。
次に,本発明の塗装皮膜の成分の内,有機樹脂及び防錆顔料について,さらに詳細に述べる。また,塗装下地処理を施す場合についても述べる。
特に,塗装金属材がプレス成型により変形量の大きい加工を受ける場合,(イ)ポリエステルポリオール,(ロ)有機ポリイソシアネートのブロック化物又は有機ポリイソシアネートと活性水素化合物との反応により得られる末端にNCO基を有するプレポリマーのブロック化物,を含む成膜性樹脂原料から得られた有機樹脂,又は,さらに(ハ)2級の水酸基を少なくとも1個有するエポキシ樹脂又はその付加物,を含む成膜性樹脂原料から得られた有機樹脂を用いると,塗装皮膜が変形によく追随する。
上記の樹脂の例として,(イ)の官能基数が少なくとも3のポリエステルポリオールは,ジカルボン酸,グリコール及び少なくとも3個のOH基を有するポリオールをエステル化することにより得ることができる。ポリエステルポリオールの製造に用いられるジカルボン酸としては,芳香族及び脂環族系のものが挙げられる。グリコールとしては,脂肪族系あるいは芳香族系のものが挙げられる。少なくとも3個のOH基を有するポリオールとしては,例えば,グリセリン,トリメチロールプロパン,トリメチロールエタン,1,2,6−ヘキサントリオール,ペンタエリスリトール,ジグリセリン又はこれらのポリオールを開始剤としたエチレンオキサイド付加体,プロピオンオキサイド付加物あるいはε−カプロラクタン付加体等が挙げられる。
さらに,(ロ)のブロック化物としては,少なくとも2個のNCO基を有する脂肪族ジイソシアネート,シクロアルキレン系ジイソシアネート,芳香族ジイソシアネート,芳香脂肪族ジイソシアネート,トリイソシアネート,テトライソシアネートのブロック化物や,ダイマー,トリマー,ビュウレット,アロファネート,カルボジイミド,ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI,c−MDI,ポリメリックMDI),クルードTDI,等のイソシアネート化合物からの誘導体のブロック化物や,あるいは,これらと活性水素化合物との反応により得られる末端にNCO基を有するプレポリマーのブロック化物が挙げられる。
さらに,(ハ)の2級の水酸基を少なくとも1個有するエポキシ樹脂又はその付加物を加える場合,その例である2級の水酸基を少なくとも1個有するエポキシ樹脂にラクトン化合物又はアルキレンオキサイドを付加させたものとしては,下記一般式(式1)で表されるエポキシ樹脂にラクトン化合物又はアルキレンオキサイドを公知の手段により付加させたものが挙げられる。
Figure 2007268764
ラクトン化合物又はアルキレンオキサイドの付加量は,2級の水酸基を少なくとも1個有するエポキシ樹脂約95〜60質量部に対して約5〜40質量部程度である。特に,該エポキシ樹脂約90〜70質量部に対してラクトン化合物又はアルキレンオキサイドは約10〜30質量部が好ましい。上記一般式(式1)で表されるエポキシ樹脂の中で,Xがp−フェニレン基のもので,nは2〜9のものが好ましい。ハロゲンとしては,例えば,臭素,塩素等が挙げられる。この置換基の数は,通常,1〜3程度で,その位置はフェニレン基もしくはシクロヘキシレン基のいずれの位置でもよい。ラクトン化合物としては,例えば,β−プロピオンラクトン,ブチロラクトン,γ−バレロラクトン,γ−カプロラクトン,δ−バレロラクトン,δ−カプロラクトン,ε−カプロラクトン等が挙げられるが,これらの中で,特にε−カプロラクトンが好ましい。
塗装皮膜中に防錆顔料を添加することで,さらに耐食性を向上させることができる。
防錆顔料は,例えば,ストロンチウムクロメート,カルシウムクロメートのような6価クロム酸塩等,公知の防錆顔料を用いることができる。
防錆剤として6価クロム化合物の使用を回避したい場合は,ケイ酸イオン,リン酸イオン,バナジン酸イオンの内,一種類以上を放出するもの等を用いることができる。
例として,バナジン酸イオンとリン酸イオンを放出する防錆顔料について説明する。防錆顔料は,前述の2種類のイオンを放出することで,リン酸イオンだけでは不足するオキシダイザー機能をバナジン酸イオンにより補う。即ち,該防錆顔料は,水及び酸素の存在する環境下で,リン酸イオンを放出するリン酸イオン源と,水及び酸素の存在する環境下でバナジン酸イオンを放出するバナジン酸イオン源である。
有機皮膜の防錆力を発揮させるためには,有機皮膜層中にリン酸イオンとバナジン酸イオンが共存すれば良く,リン酸イオン及びバナジン酸イオンがそのまま存在しても,水及び酸素の存在する環境下でリン酸イオンとバナジン酸イオンを放出する物質を含んでもよい。リン酸イオンは,水溶液中において単独で存在することが少なく,種々の形態,例えば,縮合体として存在するが,そのような場合でも,本明細書中の「リン酸イオン」とは縮合リン酸イオンも含む概念と理解される。リン酸イオン源及びバナジン酸イオンは主として防錆顔料として提供され,リン化合物,バナジウム化合物,及び,必要により左記以外の化合物を含有する混合物を焼成し粉砕することにより得られる。
防錆顔料に用いられるリン化物は,オルトリン酸,縮合リン,種々の金属のオルトリン酸塩又は縮合リン酸塩,五酸化リン,リン酸塩鉱物,市販の複合リン酸塩顔料,又は,これらの混合物などが挙げられる。ここで言うオルトリン酸塩の中には,その一水素塩(HPO 2−)の塩,二水素塩(HPO )も含むものとする。また,縮合リン酸塩の中にも水素塩を含むこととする。また,縮合リン酸塩には,メタリン酸塩も含み,通常のポリリン酸塩,ポリメタリン酸塩も含むものとする。リン化合物の具体例としては,リン酸塩鉱物,例えば,モネタイト,トルフィル石,ウィトロック石,ゼノタイム,スターコライト,ストルーブ石,ラン鉄鉱石や,市販の複合リン酸塩顔料,例えば,ポリリン酸シリカ等や,複合リン酸,例えば,ピロリン酸,メタリン酸や,複合リン酸塩,例えば,メタリン酸塩,テトラメタリン酸塩,ヘキサメタリン酸塩,ピロリン酸塩,酸性ピロリン酸塩,トリポリリン酸塩や,あるいはこれらの混合物が挙げられる。リン酸塩を形成する金属種は特に限定的でなく,アルカリ金属,アルカリ土類金属,その他の典型元素の金属種又は遷移金属が挙げられる。好ましい金属種の例としては,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,チタン,ジルコニウム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,亜鉛,アルミニウム,鉛,錫等が挙げられる。
この他に,バナジル,チタニル,ジルコニル等,オキソカチオンも含まれる。特に好ましいのは,カルシウム,マグネシウムである。アルカリ金属の多量の使用は好ましくない。アルカリ金属のリン酸塩を用いた場合,焼成生成物が水に溶解し過ぎる傾向にある。しかしながら,アルカリ金属のリン酸塩を用いた場合において,水への溶解性の制御を防錆剤製造時あるいはその他の時点で実施できれば使用しても良い。そのような制御は,例えば,水への溶解性の防止のためのマトリックス材(特に,ガラス状物質)の使用,あるいはコーティング等種々の態様が挙げられる。
防錆顔料に用いるバナジウム化合物は,バナジウムの原子価が0,2,3,4又は5のいずれか1つの価数又は2種以上の価数を有する化合物であり,これらの酸化物,水酸化物,種々の金属の酸素酸塩,バナジル化合物,ハロゲン化物,硫酸塩,金属粉等が挙げられる。これらは,加熱時又は水の存在下で分解して,酸素と反応し高級化する。例えば,金属粉又は2価の化合物は,最終的に3,4,5価のいずれかの化合物に変化する。0価のもの,例えば,バナジウム金属粉は,上記の理由で使用可能であるが,酸化反応が不十分等の問題があるので,実用上好ましくない。5価のバナジウム化合物を1つの成分として含むのも好ましい。5価のバナジウム化合物は,バナジン酸イオンを有し,リン酸イオンと加熱反応し,ヘテロポリマーを作り易い。バナジウム化合物の具体例としては,バナジウム(II)化合物,例えば,酸化バナジウム(II),水酸化バナジウム(II),バナジウム(III)化合物,例えば,酸化バナジウム,バナジウム(IV)化合物,例えば,酸化バナジウム(IV),ハロゲン化バナジル等,バナジウム(V)化合物,例えば,酸化バナジウム(V),バナジン酸塩,例えば,種々の金属のオルトバナジン酸塩,メタバナジン酸塩又はピロバナジン酸塩,ハロゲン化バナジル等,又はこれらの混合物が挙げられる。バナジン酸塩の金属種は,リン酸塩で示したものと同じ物が挙げられる。これは,バナジウムの酸化物と種々の金属の酸化物,水酸化物,炭酸塩等とを600℃以上に焼成して作っても良い。この場合も,アルカリ金属は溶解性の故にあまり好ましくないが,リン酸塩において説明した適当な処理をして溶解性を制御すれば,これらの使用も差し支えない。また,ハロゲン化物,硫酸塩も同様である。
配合するリン酸イオン源とバナジン酸イオン源との比は,PとVのモル比に換算して1:3〜100:1とするのが好ましい。バナジン酸イオン源の量がモル比1:3を超える場合には,リン酸塩イオンによる防錆効果が低下し,バナジン酸イオン源の量がモル比100:1よりも少ない場合には,バナジン酸イオンによるオキシダイザー機能が不十分であるため,好ましくない。
上記の防錆顔料は,塗装皮膜に対して2体積%以上加えることで耐食性の向上効果を認められるようになり,さらに顕著な耐食性向上効果が得るには5体積%以上の添加が好ましい。
下地処理層としては,公知の6価クロム酸を主成分とし,微粒シリカやシランカップリング剤等を必要に応じて添加した水溶液の塗布・乾燥して得られる皮膜,6価クロム酸を主成分とし,微粒シリカやシランカップリング剤等を必要に応じて添加した水溶液とめっき表面とを接触して下地処理層を成膜した上で洗浄・乾燥して得られる皮膜,3価クロム酸を主成分として6価クロム酸を含有しない水溶液に,必要に応じて微粒シリカやシランカップリング剤等を添加した水溶液の塗布・乾燥して得られる皮膜,クロム酸水溶液中での電解によりめっき表面に3価クロムを主成分とする皮膜を析出後に洗浄・乾燥して得られる皮膜,亜鉛,ニッケル又は鉄の1種以上のリン酸塩をめっき面に析出して得られる皮膜,等の方法で得られる皮膜の内のいずれか一つ又は複数の組合せにて形成する皮膜を用いて良い。又は,水性樹脂を主成分とし,微粒シリカ,シランカップリング剤,タンニン,タンニン酸の内少なくとも1種類を含有する水溶液をめっき表面に塗布・乾燥して形成する皮膜を用いて良い。6価クロムの使用を回避したい場合には,3価クロム,各種金属のリン酸塩,又は,水性樹脂により形成される皮膜を下地処理層として用いればよい。
下地処理層の水性樹脂としては,水溶性樹脂の他,本来水不溶性でありながらエマルジョンやサスペンジョンのように水中に微分散された状態になり得る樹脂を含めて言う。このような水性樹脂として使用できるものは,例えば,ポリオレフィン系樹脂,アクリルオレフィン系樹脂,ポリウレタン系樹脂,ポリカーボネート系樹脂,エポキシ系樹脂,ポリエステル系樹脂,アルキド系樹脂,フェノール系樹脂,その他の熱硬化型樹脂が挙げられ,架橋可能な樹脂が望ましい。特に好ましい樹脂は,アクリルオレフィン系樹脂,ポリウレタン系樹脂,又は両者の混合樹脂である。これらの水性樹脂の2種類以上を混合あるいは重合して使用しても良い。
シランカップリング剤は,有機樹脂の存在下で,Zn又はZnを含有する合金のめっきと皮膜の両者と強固に結合し,皮膜の密着性を飛躍的に向上させ,ひいては耐食性を向上させる。シランカップリング剤としては,例えば,γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン,アミノシラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,メチルトリメトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド,γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン,メチルトリクロロシラン,ジメチルジクロロシラン,トリメチルクロロシラン等を挙げることができる。
シランカップリング剤を水性樹脂による下地処理層に用いる際の含有量は,固形分換算で,水性樹脂100質量部に対して,0.1〜3000質量部であることが望ましい。0.1質量部未満では,シランカップリング剤の量が不十分であるため,加工時に十分な密着性が得られず耐食性が劣る。3000質量部を越えると,密着性向上効果が飽和するため不経済である。
水性樹脂による下地処理層のタンニン又はタンニン酸の役割は,Zn又はZnを含有する合金のめっき層と強固に反応して密着することと,一方で水性樹脂とも密着することにある。タンニン又はタンニン酸と密着した水性樹脂は,その上に塗装される樹脂と強固に密着し,その結果として,めっき層と皮膜が従来から使用されてきたクロメート処理を使用せずとも強固に密着するようになったものと考えられる。また,タンニンやタンニン酸そのものが,水性樹脂を仲立ちとせずに,めっき鋼板と皮膜の結合に関与している部分も存在するものと考えられる。
タンニンやタンニン酸は,水性樹脂の存在下で,Zn又はZnを含有する合金のめっきと皮膜の両者と強固に結合し,皮膜の密着性を飛躍的に向上させ,ひいては耐食性を向上させる。タンニン又はタンニン酸としては,加水分解できるタンニンでも縮合タンニンでもよく,これらの一部が分解されたものでも良い。タンニン及びタンニン酸は,ハマメタタンニン,五倍子タンニン,没食子タンニン,ミロバロンのタンニン,ジビジビのタンニン,アルガロビラのタンニン,バロニアのタンニン,カテキン等,特に限定するものではなく,市販のもの,例えば「タンニン酸:AL」(富士化学工業製)等を使用することができる。
タンニン又はタンニン酸の含有量は,樹脂100質量部に対して,タンニン又はタンニン酸0.2〜50質量部がよい。タンニン又はタンニン酸の含有量が0.2質量部未満では,これらを添加した効果が見られず,皮膜密着性や加工部の耐食性が不十分である。一方,50質量部を越えると,逆に耐食性が低下したり,処理液を長期間貯蔵しておくとゲル化したりして問題がある。
さらに,微粒シリカを添加すると,耐擦り傷性,皮膜密着性,耐食性が向上する。本発明において微粒シリカとは,微細な粒径をもつために水中に分散させた場合に安定して水分散状態を維持でき,半永久的に沈降が認められないような特色を有するシリカを総称して言うものである。このような微粒シリカとしては,ナトリウム等の不純物が少なく,弱アルカリ系のものであれば,特に限定されない。例えば,「スノーテックスN」(日産化学工業社製),「アデライトAT−20N」(旭電化工業社製)等の市販のシリカ等を用いることができる。
微粒シリカの含有量は,固形分換算で,水性樹脂100質量部に対して1〜2000質量部,さらに好ましくは10〜400質量部である。1質量部未満では添加した効果が少なく,2000質量部を越えると耐食性向上の効果が飽和して不経済である。
また,エッチング性フッ化物を添加すると,皮膜密着性が向上される。ここで,エッチング性フッ化物としては,フッ化亜鉛四水和物,ヘキサフルオロケイ酸亜鉛六水和物等を使用することができる。エッチング性フッ化物の含有量は,固形分換算で,水性樹脂100質量部に対して1〜1000質量部であることが好ましい。1質量部未満では添加の効果が少なく,1000質量部を越えるとエッチングの効果が飽和して皮膜密着性が改善されないので不経済である。
また,必要に応じて,界面活性剤,防錆抑制剤,発泡剤等を添加しても良い。下地処理層の乾燥後の付着量は,10〜300mg/mが好適である。10mg/m未満では,密着性が劣り,加工部の耐食性が不十分である。一方,300mg/mを越えると,不経済であるばかりか,加工性も低下して耐食性も劣るようになる。
下地処理層及び有機皮膜の塗布方法は特別限定するものではなく,一般に公知の塗装方法,例えば,ロールコート,エアースプレー,エアーレススプレー,浸漬等が適用できる。塗布後の乾燥・焼き付けは,熱風炉,誘導加熱炉,近赤外線炉,等公知の方法あるいはこれらを組み合わせた方法で行えばよい。また,使用する水性樹脂の種類によっては,紫外線や電子線等によって硬化させることもできる。あるいは,強制乾燥を用いずに自然乾燥してもよいし,めっき鋼板を予め加熱しておいて,その上に塗布して自然乾燥してもよい。
塗装皮膜中の樹脂分配合量は,硬化・乾燥後の皮膜に対して35体積%以上94体積%以下が望ましい。35体積%未満だと,硬化後の皮膜の凝集力が低下し,十分な皮膜強度や塗装金属材が成形加工される場合の塗装皮膜の追随性が得られない場合がある。94体積%を超えると,導電性粒子や防錆剤等の配合成分の量が少ないことで,それらの効果が不十分になる場合がある。より好ましい樹脂分配合量は60〜85体積%である。
以下,本発明の実施例について説明する。但し,本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に,本発明の実施例又は比較例である金属材1から金属材15の構成を示す。金属材の基材として,板厚0.8mmの軟鋼板を使用した。表中の凹パターン付与ロールとは,表面にレーザービームを照射することで,直径40μm,深さ10μm以上の穴(穴壁面と表面との角度は90°)を格子状に複数設け,硬質クロムめっきを施したロールである。このロールにて,所定の表面形状が得られる圧延伸率にて基材を圧延し,表面に凸部を付与した。金属材1,2,3,4,5,6,7,8,11,16は,金属材表面に凸部を付与後に電気めっきを施し,金属材9,10,12,13,14,15は,めっきされた鋼板を圧延して凸部を設けた。
Figure 2007268764
表2に,本発明の実施例又は比較例への塗装下地処理方法を示す。用途上6価クロムを含有しても良い場合は下地処理1,6価クロムは許容されないが3価クロムは含有しても良い場合は下地処理2,下地処理にクロムを含有しないことが求められる場合は下地処理3,4又は5を選択することができる。
Figure 2007268764
表3に,本発明の実施例又は比較例の塗装皮膜が必要に応じて含有する防錆剤を示す。用途上6価クロムを含有しても良い場合は防錆剤3,クロムを含有しないことが求められる場合は防錆剤1,2,4,5を選択することができる。
Figure 2007268764
表4及び式2にて,本発明の実施例及び比較例で用いる塗装皮膜の樹脂を示す。
Figure 2007268764
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表5に,本発明の実施例及び比較例で用いる導電粒子を示す。表中の粒子サイズは,塗装皮膜の塗料をJIS K5600−2−5に基づいて粒ゲージにより測定した読取り値を用いた。粒子1,2,4,5,7,8,10,11,12の粒子サイズは25μmゲージでの読取りを用いた。粒子3の粒子サイズは50μmゲージでの読取りを用いた。粒子6,9の粒子サイズは,25μmゲージでの読取りと50μmゲージでの読取りが一致したので,25μmゲージでの読取り値を用いた。
Figure 2007268764
表6〜8に,本発明の実施例及び比較例を示す。表1に示す金属材に,表2に示す下地処理,及び,表3に示す防錆剤,表4に示す樹脂及び表5に示す導電粒子を,表6〜8に示す比率にて,混合した塗料による塗装皮膜を順次積層して塗装金属材を得た。塗料はバーコーターにて塗布し,到達板温度220℃となるように温風式乾燥炉にて成膜し,塗装皮膜とした。
本発明の実施例及び比較例の性能評価として,溶接性試験,平板の耐食性試験,カップ絞り後の金型損耗の確認,カップ絞り後の耐食性試験を実施した。また,6価クロム及び3価クロムの含有の有無について確認した。
塗装金属材の通電抵抗は,塗装皮膜の表面に,先端を半径3mm,幅30mmに折り曲げ加工したステンレス製端子を加重14.7Nで押し付け,ステンレス製端子と金属材との間の通電抵抗を測定して求めた。表6〜8には,塗装金属材表面のそれぞれ10mm以上離れた位置で通電抵抗を10回測定し,そのうち抵抗値が1MΩ未満であった回数を記した。
加工性試験は,塗装後の板を,20℃で,厚み0.8mmのスペーサを挟んで180°折り曲げ,折り曲げ部の皮膜の状態を10倍の拡大鏡で観察した。
皮膜状態の評価は,加工部にツヤひけなどみられず全く正常であれば評点4,加工部に色調変化見られるものの亀裂や剥離は見られないものであれば評点3,若干の割れがあるものを評点2,拡大鏡を用いずとも割れが認められたものを評点1とした。
溶接性試験として,塗装鋼板の2枚合わせ連続スポット溶接試験を行い,連続溶接可能であった打点数を評価した。本試験は,本発明を自動車部材として組み立てる際の工業的な生産容易性を評価するものである。
溶接条件は,電極先端径4mm,加圧力2.94kN,一回の溶接の通電時間0.2秒とした。通電電流値は,次の手順で決定した。即ち,電極先端径4mm,加圧力2.94kN,溶接通電時間0.2秒で,電流値を3kAから0.2kAずつ増加し,(ナゲット径が4.0mmを超えた最初の電流値+溶接後に塗装鋼板が電極に強く溶着した最初の電流値)÷2を,連続溶接試験の溶接電流値とした。連続溶接性の評点は,連続2000点に亘ってナゲット径3.6mmを確保できた場合を評点4,1000点以上2000点未満で評点3,500点以上1000点未満で評点2,500点未満で評点1とした。
耐食性試験は,サイクル腐食試験を行った。本試験は,本発明品の実使用における耐食性を促進条件にて評価するものである。
サイクル腐食試験は,塩水噴霧2時間,乾燥2時間,湿潤6時間の合計10時間を1サイクルとして実施した。塩水噴霧の条件は,JIS K 5400のとおりとした。乾燥条件は,温度50℃,湿度30%RH以下とし,湿潤条件は,温度35℃,湿度95%RH以上とした。塩水噴霧時間と湿潤時間を合計すると全体の試験時間の80%を占めると言う,湿潤時間比率の高い試験を用いるのは,自動車鋼板としてボディ部品に用いられる場合に,通常は表面を腐食から保護する電着塗装皮膜が付着せず,かつ,乾燥し難いと言う形状部位を想定した厳しい腐食条件での耐食性を調べるためである。
耐食性試験に供するサンプルの形状は,150×70mmサイズの平板試験片と絞り成型を行ったカップ型試験片を用いた。カップ絞り成型の詳細については後述する。いずれの形状の試験片も端面からの発錆の影響を避けるために,防錆塗料を端面に塗布して試験に供した。
平板試験片の耐食性試験の評点付けは,上記のサイクル腐食試験において500サイクル後も,鋼板の板厚減少を示す赤錆が発生せず,めっき層の腐食を示す白錆がサンプルを覆う面積率が全体の50%以下の場合は評点4,350サイクル後も鋼板の板厚減少を示す赤錆が発生しない場合は評点3,150サイクル後には赤錆が見られず350サイクルで赤錆が見られる場合は評点2,150サイクルで赤錆が見られる場合は評点1とした。
円筒カップ絞りは,ポンチ径50mm,ポンチ肩半径4mm,ダイス径52mm,ダイス肩半径4mmの金型で,防錆油を塗布後に1時間〜1時間30分間立てかけて静置した塗装鋼板を,塗装面が外側になるように絞り比1.4で絞り成型した。成型後に,塗装皮膜中の導電粒子との摩擦によってダイスの肩部等に著しい損耗が生じないかにつき,目視で観察しながら絞り成型した。円筒カップ絞り成型の評点付けは,目視の観察にてダイスの損耗を認めない場合は評点2,線状の傷や金属光沢の低下等の損耗を認めた場合は評点1とした。
カップ絞り後の耐食性試験の評点付けは,前述のサイクル腐食試験において500サイクル後も,鋼板の板厚減少を示す赤錆が発生せず,めっき層の腐食を示す白錆がサンプルを覆う面積率が全体の50%以下の場合は評点4,350サイクル後も鋼板の板厚減少を示す赤錆が発生しない場合は評点3,150サイクル後には赤錆が見られず350サイクルで赤錆が見られる場合は評点2,150サイクルで赤錆が見られる場合は評点1とした。
6価クロム及び3価クロムの含有の有無について,表6の”クロム区分”の項目に記した。塗装鋼板全体として3価クロム及び6価クロムを含有しない場合は”3”,6価クロムを含有しないで3価クロムを含有する場合は”2”,6価クロムを含有する場合は”1”と表示した。
Figure 2007268764
Figure 2007268764
Figure 2007268764
評価結果は表6〜8に記すとおりで,本発明の実施例は,耐食性試験,カップ絞り後の耐食性試験,溶接性試験のいずれにおいても,評点2以上を示した。また,実施例の構成によっては,評点3又は4と,より良好な性能を示している。これらの結果は,表6〜8に示す実施例が,通電抵抗溶接による接合が可能で,さらに上層に防錆塗装を施さずに腐食環境で用いても,腐食による孔あきを生じ難い塗装金属材を提供するという本発明の課題を解決できることを示す。
なお,3価クロム及び6価クロムの含有を望まない場合は,”クロム区分3”,6価クロムの含有のみを望まない場合は,”クロム区分2”又は”クロム区分3”の実施例の材料を用いればよい。
以上,本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (3)

  1. 金属材の表面の少なくとも一部に,導電粒子を含有する平均厚み3μm以上40μm以下の塗装皮膜を有し,該塗装皮膜の表面と前記金属材との間で通電する通電箇所を有することを特徴とする,塗装金属材。
  2. 前記通電箇所は,前記金属材の表面の全部又は一部に設けられた凸部に存し,該凸部の近傍の平坦部に対する該凸部の高さが3μm以上30μm以下で,前記金属材の表面の1mm×1mm当りに占める凸部の面積の合計が1×10−3mm以上3×10−1mm以下であることを特徴とする,請求項1に記載の塗装金属材。
  3. 前記導電粒子の粒子サイズが,1μm以上30μm以下であることを特徴とする,請求項1または2に記載の塗装金属材。

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