JP2007266573A - 固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】漏れ電流を抑制した固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】本発明による固体電解コンデンサ1は、陽極2と、誘電体層3と、導電性高分子層4と、カーボン層5と、銀ペースト層6と、モールド樹脂10とを備えている。誘電体層3は、電子線を照射した際に放出されるニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が0.98Å以上である酸化ニオブからなる。また、ニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が1.00Å以上である酸化ニオブによって誘電体層3を構成することが、より好ましい。
【選択図】図2
【解決手段】本発明による固体電解コンデンサ1は、陽極2と、誘電体層3と、導電性高分子層4と、カーボン層5と、銀ペースト層6と、モールド樹脂10とを備えている。誘電体層3は、電子線を照射した際に放出されるニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が0.98Å以上である酸化ニオブからなる。また、ニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が1.00Å以上である酸化ニオブによって誘電体層3を構成することが、より好ましい。
【選択図】図2
Description
本発明は、ニオブ又はニオブ合金からなる陽極と、前記ニオブ又はニオブ合金の表面に酸化ニオブからなる誘電体層とを備えた固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法に関する。
近年のCPUの高周波化に伴う、パーソナルコンピュータの高性能化により、高容量でESR(等価直列抵抗)の小さい固体電解コンデンサが望まれている。そこで、静電容量を決定する誘電率が従来の固体電解コンデンサの陽極の材料であるタンタルに比べて約1.8倍であるニオブが、高容量を実現可能な固体電解コンデンサの陽極の材料として注目されている。
しかし、ニオブ又はニオブ合金からなる陽極と、酸化ニオブからなる誘電体層とを備えた固体電解コンデンサの場合、酸化ニオブ中に欠陥が多く存在するため漏れ電流が大きくなるといった問題がある。欠陥即ち酸化ニオブ中の結晶性の酸化物が少ない場合漏れ電流が抑制されるが、酸化ニオブ中に結晶性の酸化物が多く存在すると漏れ電流が増大する。このため、ニオブ及びニオブ合金からなる陽極を用いた固体電解コンデンサは実用化に至っていない。そこで、漏れ電流を抑制するための様々な技術が考えられている。
例えば、特許文献1には、陽極の表面に酸化ニオブを形成する際に、リン酸水溶液中で陽極酸化を行うことによって、漏れ電流を減少させることが可能な固体電解コンデンサが開示されている。
また、特許文献2には、ニオブ金属の表面に窒化物を形成した後、酸化ニオブを形成することによって、漏れ電流を抑制しかつリフロー前後の静電容量の変化を抑制させることができる固体電解コンデンサが開示されている。
特開平7−153650号公報
特開平11−329902号公報
しかしながら、特許文献1及び2による固体電解コンデンサでは、実用化可能なまで、漏れ電流を減少させることはできていない。
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、陽極にニオブ又はニオブ合金を用い、漏れ電流が小さい固体電解コンデンサを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、ニオブ又はニオブ合金からなる陽極と、前記ニオブ又はニオブ合金の表面に酸化ニオブからなる誘電体層とを備えた固体電解コンデンサにおいて、前記酸化ニオブは、電子線を照射した際に放出されるニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が、0.98Å以上であることを特徴とする固体電解コンデンサである。ここでいうMz線とは、原子核の周りのM殻に存在していた電子が、低いエネルギー準位に移動した際に放出される特性X線のことである。
また、請求項2に係る発明は、前記酸化ニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が、1.00Å以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサである。
また、請求項3に係る発明は、ニオブ又はニオブ合金からなる陽極を、ギ酸水溶液、酒石酸水溶液、若しくは、クエン酸水溶液のうちから選ばれた水溶液中で陽極酸化することによって、誘電体層を形成する誘電体層形成工程を備えたことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
また、請求項4に係る発明は、前記誘電体層形成工程で用いられるギ酸水溶液、酒石酸水溶液、若しくは、クエン酸水溶液は、0.05重量%以上の濃度であることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
本発明又は本発明の製造方法によって作製された固体電解コンデンサは、ニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が0.98Å以上、即ち酸化ニオブ中に結晶性の酸化物が少ない誘電体層を備えているので、漏れ電流を抑制することができる。中でも、半値幅を1.00Å以上とすることにより、さらに結晶性の酸化物が少ない誘電体層を備えるため、漏れ電流を一層抑制できる。一方、半値幅が0.98Å未満の場合、酸化ニオブ中に結晶性の酸化物が多く存在するため漏れ電流が増大する。これは、本発明又は本発明の製造方法によって作製された固体電解コンデンサでは、結晶性の酸化物が少ない酸化ニオブによって誘電体層を構成しているため、誘電体層を主に構成するアモルファスの酸化物と結晶性の酸化物との収縮量の違いによって発生し漏れ電流の原因となるクラック等の欠陥を抑制することができるためと考えることができる。
このような結晶性の酸化物が少ない誘電体層は、ニオブ又はニオブ合金からなる陽極をリン酸ではなくギ酸水溶液、酒石酸水溶液、又はクエン酸水溶液中で陽極酸化することにより形成できる。リン酸水溶液中では、半値幅が0.98Å未満の結晶性の酸化物が多く存在する誘電体層が形成されるため、漏れ電流が大きくなる。中でも、ギ酸水溶液、酒石酸水溶液、又はクエン酸水溶液中の濃度を0.05重量%以上にすることにより、さらに結晶性の酸化物が少ない誘電体層となるため、漏れ電流を一層抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る固体電解コンデンサの構成図である。
図1に示すように、固体電解コンデンサ1は、陽極2と、誘電体層3と、導電性高分子層4と、カーボン層5と、銀ペースト層6と、モールド樹脂10とを備えている。
陽極2は、弁作用金属であるニオブ又はニオブ合金の粉末状の粒子を焼結させた多孔質焼結体からなる。ニオブ合金としては、アルミニウム、バナジウム、ハフニウム、ジルコニウム、チタン及びタンタルと、ニオブとの合金を適用することができる。
誘電体層3は、陽極2を構成するニオブ又はニオブ合金の粉末の表面に形成された酸化ニオブ(Nb2O5)からなる。ここで本発明では、誘電体層3を構成する酸化ニオブは、電子線を照射した際に放出されるニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が、約0.98Å以上なるように構成されている。更に、誘電体層3を構成するニオブのMZ線のピークの半値幅が、約1.00Å以上となるように構成することが好ましい。
導電性高分子層4は、陰極として機能するものであって、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子からなり、陽極2及び誘電体層3を覆うように形成されている。カーボン層5は、カーボンペーストからなり、導電性高分子層4を覆うように形成されている。銀ペースト層6は、銀粒子と有機溶媒との混合物からなり、カーボン層5を覆うように形成されている。これらカーボン層5及び銀ペース塗装6が陰極の集電体として機能する。銀ペースト層6には、導電性接着剤8を介して、外部と接続するための陰極端子9が接続され、陽極2には、陽極端子7が接続されている。モールド樹脂10は、陽極端子7及び陰極端子9の端部を除いた、上述の部材を覆うように設けられている。
次に、上述した固体電解コンデンサ1の製造方法について説明する。
まず、陽極作製工程において、ニオブ又はニオブ合金からなる粉末及び結着剤を混合して成形したものを焼結させて、ニオブ又はニオブ合金からなる陽極を作製する。次に、誘電体形成工程において、ギ酸水溶液、酒石酸水溶液、若しくは、クエン酸水溶液中に陽極2を浸漬した状態で陽極酸化を行い、ニオブ又はニオブ合金の粉末の表面に酸化ニオブからなる誘電体層3を形成する。尚、誘電体形成工程では、約0.05重量%以上の濃度を有するギ酸水溶液、酒石酸水溶液、若しくは、クエン酸水溶液を用いることが好ましい。
次に、固体電解コンデンサ作製工程において、誘電体層3を覆うように導電性高分子層4、カーボン層5及び銀ペースト層6を順次作製する。最後に、銀ペースト層6に導電性接着剤8を介して陰極端子9を接着し、陽極2に陽極端子7を接続した後に、樹脂モールド層10を形成することによって固体電解コンデンサ1が完成する。
本発明による固体電解コンデンサでは、電子線を照射した際に放出されるニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が約0.98Å以上であるか、より好ましくは半値幅が約1.00Å以上である結晶性の酸化ニオブが少ない誘電体層3を構成しているので、漏れ電流を抑制することができる。
以下、上述した漏れ電流が抑制できる効果を証明するために行った実験について説明する。
(実験1)
まず、ギ酸を用いて、半値幅が約0.98Å以上の誘電体層を形成することによって、漏れ電流を抑制することができる効果を証明するために行った実験1について説明する。
まず、ギ酸を用いて、半値幅が約0.98Å以上の誘電体層を形成することによって、漏れ電流を抑制することができる効果を証明するために行った実験1について説明する。
最初に、実験を行うために作製した実施例1〜8及び比較例1〜3の固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
(実施例1)
まず、陽極作製工程において、ニオブの金属単体からなる粉末及び結着剤を混合して成型したものを約1150℃で焼結させることにより、ニオブ粒子間が溶着した多孔質焼結体により構成されたニオブ基体からなる陽極を作製する。
まず、陽極作製工程において、ニオブの金属単体からなる粉末及び結着剤を混合して成型したものを約1150℃で焼結させることにより、ニオブ粒子間が溶着した多孔質焼結体により構成されたニオブ基体からなる陽極を作製する。
次に、誘電体層形成工程において、このニオブ基体からなる陽極を約40℃に保持した約0.05重量%のギ酸水溶液中で、約40Vの定電圧で約10時間、陽極酸化させて、陽極を構成するニオブの粉末の表面に酸化ニオブからなる誘電体層を形成した。
次に、固体電解コンデンサ作製工程において、誘電体層の表面を覆うように、化学重合及び電解重合の手法を用いて、ポリピロールからなる導電性高分子層を作製した。更に、カーボンペースト及び銀ペーストを順次塗布して、カーボン層及び銀ペースト層を形成した後、銀ペースト層に導電性接着剤を介して陰極端子を接着し、陽極に陽極端子を接続した。その後、陽極端子及び陰極端子の端部を除いた部分を、モールド樹脂によって被覆することによって、実施例1の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例2)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.075重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例2の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.075重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例2の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例3)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.1重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例3の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.1重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例3の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例4)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.2重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例4の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.2重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例4の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例5)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.5重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例5の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.5重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例5の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例6)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.7重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例6の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約0.7重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例6の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例7)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約1.0重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例7の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において、約1.0重量%のギ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例7の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例8)
上述の実施例1の陽極作製工程において、ニオブの金属単体からなる粉末の代わりに、アルミニウムを約0.5重量%含むニオブ−アルミニウム合金からなる粉末を用いると共に、誘電体層形成工程において約0.1重量%のギ酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様の作製方法によって、実施例8の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の陽極作製工程において、ニオブの金属単体からなる粉末の代わりに、アルミニウムを約0.5重量%含むニオブ−アルミニウム合金からなる粉末を用いると共に、誘電体層形成工程において約0.1重量%のギ酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様の作製方法によって、実施例8の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例1)
上述の実施例1の誘電体形成工程において、ギ酸水溶液の代わりに、約0.1重量%のリン酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様の作製方法によって、比較例1の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体形成工程において、ギ酸水溶液の代わりに、約0.1重量%のリン酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様の作製方法によって、比較例1の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例2)
上述の実施例1の陽極作製工程において、ニオブ基体からなる陽極を作製した後、陽極を作製した焼結炉に窒素ガスを導入した。そして、窒素の温度及び圧力をそれぞれ約300℃及び約300Torrに設定した雰囲気中で、陽極の表面に窒化物層を形成した後、誘電体形成工程で酸化ニオブからなる誘電体層を形成した以外は実施例1と同様の作製方法によって、比較例2の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の陽極作製工程において、ニオブ基体からなる陽極を作製した後、陽極を作製した焼結炉に窒素ガスを導入した。そして、窒素の温度及び圧力をそれぞれ約300℃及び約300Torrに設定した雰囲気中で、陽極の表面に窒化物層を形成した後、誘電体形成工程で酸化ニオブからなる誘電体層を形成した以外は実施例1と同様の作製方法によって、比較例2の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例3)
上述の実施例1の誘電体形成工程において、ギ酸水溶液の代わりに、約0.1重量%の硫酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様の作成方法によって、比較例3の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体形成工程において、ギ酸水溶液の代わりに、約0.1重量%の硫酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様の作成方法によって、比較例3の固体電解コンデンサを作製した。
(特性X線のMZ線のピークの半値幅の測定)
まず、上述の誘電体層形成工程において、作製した誘電体層を構成する酸化ニオブの断面をエレクトロンプローブマイクロアナライザー(EPMA)で分析した。具体的には、以下の条件に設定された島津製作所製の電子線マイクロアナライザー(EPMA−1600)を用いて、電子線を酸化ニオブに照射した際に放出されるニオブの特性X線のMZ線のピークを測定した。
まず、上述の誘電体層形成工程において、作製した誘電体層を構成する酸化ニオブの断面をエレクトロンプローブマイクロアナライザー(EPMA)で分析した。具体的には、以下の条件に設定された島津製作所製の電子線マイクロアナライザー(EPMA−1600)を用いて、電子線を酸化ニオブに照射した際に放出されるニオブの特性X線のMZ線のピークを測定した。
加速電圧 : 10kV
照射ビーム径 : 50μm
ビーム電流値 : 0.04μA
分光結晶 : PBST(ステアリン酸鉛)
分析開始波長 : 78Å
分析終了波長 : 68Å
測定ステップ幅 : 0.098Å
X線計数時間 : 1秒
測定点数 : 任意の5点
上述の測定方法によって測定したMZ線のピークを、所定の1点及びその1点を挟んだ両側の2点の合計5点を用いて移動平均を求めてスムージングを行った。スムージングを行った実施例1のMZ線のピークを図2に示す。図2において、縦軸はカウントされた特性X線の数を示し、横軸は特性X線の波長(Å)を示す。
照射ビーム径 : 50μm
ビーム電流値 : 0.04μA
分光結晶 : PBST(ステアリン酸鉛)
分析開始波長 : 78Å
分析終了波長 : 68Å
測定ステップ幅 : 0.098Å
X線計数時間 : 1秒
測定点数 : 任意の5点
上述の測定方法によって測定したMZ線のピークを、所定の1点及びその1点を挟んだ両側の2点の合計5点を用いて移動平均を求めてスムージングを行った。スムージングを行った実施例1のMZ線のピークを図2に示す。図2において、縦軸はカウントされた特性X線の数を示し、横軸は特性X線の波長(Å)を示す。
次に、MZ線のピークを挟んで対向する2つの領域の極小値を結んだベースラインBLをバックグラウンドとし、このバックグラウンドをMZ線のピークから引いた。そして、バックグラウンドを引いたピークにおいて、ピークの高さHが半分になる位置の半値幅HWを実施例1〜8及び比較例1〜3について求めた。
(漏れ電流の測定)
実施例1〜8及び比較例1〜3による固体電解コンデンサに約20秒間、約5Vの電圧を印加して、固体電解コンデンサの外部に接続された電流計によって漏れ電流を測定した。
実施例1〜8及び比較例1〜3による固体電解コンデンサに約20秒間、約5Vの電圧を印加して、固体電解コンデンサの外部に接続された電流計によって漏れ電流を測定した。
表1に示したように、ギ酸水溶液を用いて誘電体層を形成することによって、半値幅を約0.98Å以上とすることができた本発明による実施例1〜8は、漏れ電流が約20μA以下と小さくなった。更に、半値幅を約1.00Å以上とすることができた実施例3〜8は、漏れ電流が約8μA以下と非常に小さくなった。一方、リン酸水溶液、硫酸水溶液を用いて誘電体層を形成し、若しくは、陽極に窒化物層を形成した後、誘電体層を形成した比較例1〜3では、半値幅が約0.97Å以下となり、漏れ電流が約90μA以上と非常に高い数値になった。
これは、半値幅が約0.98Å以上である本発明による実施例1〜8は、酸化ニオブ中の欠陥が抑制できる。従って、実施例1〜8では、漏れ電流を抑制することができたが、比較例1〜3では、酸化ニオブ中に欠陥即ち結晶性の酸化ニオブが多く存在するため欠陥に起因する漏れ電流が大きくなったと考えられる。
また、上記実施例8の実験結果より、ニオブの金属単体の粉末を用いた場合のみならず、ニオブ−アルミニウム合金を用いた場合も、ギ酸により誘電体層を形成することによって、半値幅を約1.00Åにすることができ、漏れ電流を抑制できることがわかった。
(実験2)
次に、誘電体層形成工程において、ギ酸水溶液以外に酒石酸水溶液及びクエン酸水溶液を用いた場合にも、上述の効果を得ることができることを証明するために行った実験2について説明する。
次に、誘電体層形成工程において、ギ酸水溶液以外に酒石酸水溶液及びクエン酸水溶液を用いた場合にも、上述の効果を得ることができることを証明するために行った実験2について説明する。
(実施例9)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において用いた約0.05重量%のギ酸水溶液の代わりに約0.1重量%の酒石酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例9の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において用いた約0.05重量%のギ酸水溶液の代わりに約0.1重量%の酒石酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例9の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例10)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において用いた約0.05重量%のギ酸水溶液の換わりに約0.1重量%のクエン酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例10の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において用いた約0.05重量%のギ酸水溶液の換わりに約0.1重量%のクエン酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例10の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例11)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において用いた約0.05重量%のギ酸水溶液の代わりに約0.05重量%の酒石酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例11の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において用いた約0.05重量%のギ酸水溶液の代わりに約0.05重量%の酒石酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例11の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例12)
上述の実施例1の誘電体層形成工程において用いた約0.05重量%のギ酸水溶液の換わりに約0.05重量%のクエン酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例12の固体電解コンデンサを作製した。
上述の実施例1の誘電体層形成工程において用いた約0.05重量%のギ酸水溶液の換わりに約0.05重量%のクエン酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の作製方法によって実施例12の固体電解コンデンサを作製した。
これら実施例9〜12の固体電解コンデンサについても、実験1と同様に、特性X線のMZ線のピークの半値幅及び漏れ電流を測定した。その結果を以下の表2に示す。尚、実施例9、10と同じ濃度(約0.1重量%)のギ酸水溶液で作製した実施例3及び実施例11、12と同じ濃度(約0.05重量%)のギ酸水溶液で作製した実施例1の測定値も比較のため表2に記載する。
表2に示すように、酒石酸水溶液及びクエン酸水溶液を用いて酸化ニオブからなる誘電体層を形成した場合でも、ギ酸水溶液を用いた場合と同様に、半値幅が約0.99以上となり、漏れ電流が約26μA以下と小さい値となった。
これにより、ギ酸水溶液のみならず、約0.05重量%以上の濃度の酒石酸水溶液及びクエン酸水溶液中で酸化ニオブからなる誘電体層を形成しても漏れ電流を抑制できることがわかった。
以上、上記実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更形態として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
1 固体電解コンデンサ
2 陽極
3 誘電体層
4 導電性高分子層
5 カーボン層
6 銀ペースト層
7 陽極端子
8 導電性接着剤
9 陰極端子
10 モールド樹脂
2 陽極
3 誘電体層
4 導電性高分子層
5 カーボン層
6 銀ペースト層
7 陽極端子
8 導電性接着剤
9 陰極端子
10 モールド樹脂
Claims (4)
- ニオブ又はニオブ合金からなる陽極と、前記ニオブ又はニオブ合金の表面に酸化ニオブからなる誘電体層とを備えた固体電解コンデンサにおいて、
前記酸化ニオブは、電子線を照射した際に放出されるニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が、0.98Å以上であることを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記ニオブの特性X線のMZ線のピークの半値幅が、1.00Å以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- ギ酸水溶液、酒石酸水溶液、若しくは、クエン酸水溶液のうちから選ばれた1種の水溶液中で、ニオブ又はニオブ合金からなる陽極を陽極酸化することによって、酸化ニオブからなる誘電体層を形成する誘電体層形成工程を備えたことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記誘電体層形成工程で用いられるギ酸水溶液、酒石酸水溶液、若しくは、クエン酸水溶液は、0.05重量%以上の濃度であることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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