JP2007265979A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】
燃料欠乏状態による触媒などの溶解を抑制した燃料電池を提供することを目的とする。
【解決手段】
電解質層112と、電解質層の一方の面に設けられ、燃料が供給される第1の電極122と、電解質層の他方の面に設けられ、酸化剤が供給される第2の電極114と、を備える燃料電池110において、第1の電極122は、燃料からプロトンが生成される生成反応電位よりも高く、第1の電極122に含まれる構成物質(C)の酸化電位よりも低い範囲に酸化還元電位を有する添加剤(MoO2)を含むことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池に関し、具体的には、アノードでの燃料欠乏状態による触媒などの溶解を抑制した燃料電池に関する。
ITやバイオなどの新技術が世界規模で展開される時代となったが、そうした状況にあっても、エネルギ産業は最大級の基幹産業であることに変わりはない。最近では、地球温暖化防止をはじめとする環境意識の浸透に伴い、いわゆる新エネルギに対する期待が高まっている。新エネルギは、環境性に加え、電力需要家に近接して分散型で生産できるため、送電損失面と電力供給のセキュリティ面でもメリットがある。また、新エネルギの開発が新たな周辺産業を創出する副次的効果も期待できる。新エネルギに対する取り組みは、約30年前の石油危機を契機として本格化し、現在では、太陽光発電などの再生可能エネルギ、廃棄物発電などのリサイクルエネルギ、燃料電池などの高効率エネルギ、およびクリーンエネルギカーを代表とする新分野エネルギなどのエネルギが、それぞれ実用化に向けた開発の段階にある。
そうした中でも、燃料電池は業界でもっとも注目されるエネルギのひとつである。燃料電池は、天然ガスやメタノールなどと水蒸気を反応させて作った水素と、大気中の酸素を化学反応させて電気と熱を同時に生成するもので、発電による副産物が水だけであり、低出力域でも高効率で、しかも発電が天候に影響されず安定的である。殊に固体高分子形燃料電池は、住居用をはじめとする定置型、車載用あるいは携帯用などの用途において次世代のひとつの標準電源と目されている。
特開2004−185830号公報
上記のように固体高分子形燃料電池を有する住居用の電源システムでは、天然ガスやメタノールなどと水蒸気を反応させて生成した水素(理論的には水素約80%と二酸化炭素約20%の混合ガス)がアノードへ供給され、自動車の駆動源としての車載用燃料電池システムでは、水素タンクに貯えられたほぼ100%の純水素がアノードへ供給され、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などの携帯機器用の電源システムでは、メタノールなどのアルコール系の液体燃料がアノードへ供給される。これらの燃料が、アノードへ充分に供給され、発電に寄与している場合には、式(1)、(2)に示すようなアノード反応が起こり、プロトン(H+)が電解質層を介してカソードへ移動する。
Figure 2007265979
Figure 2007265979

しかしながら、急激に負荷が上昇したり、燃料の濃度が低下したりするなど発電中にアノードに必要な燃料が不足する、所謂、燃料欠乏状態に陥ると、アノードでは(場合によってはカソードでも)、例えば、触媒担時カーボンのカーボン(C)と水(H2O)とが反応して、式(3)、(4)に示すようなプロトン(H+)を生成し、カーボン(C)が二酸化炭素(CO2)として脱落してしまう問題が発生する。また、アノードの触媒にルテニウム(Ru)が含まれている場合は、式(5)示すような反応が起こり、ルテニウム(Ru)が酸化ルテニウム(RuO2)となって酸化溶解してしまうという問題が発生する。触媒担持カーボンのカーボン(C)が脱落してしまった場合、担持していた触媒(PtやRuなど)を保持することができなくなり、アノードから触媒が減少してしまい、ルテニウム(Ru)が酸化溶解してしまった場合、耐CO性が低下してしまうという問題がある。
Figure 2007265979
Figure 2007265979
Figure 2007265979

本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、アノードでの燃料欠乏状態による触媒などの溶解を抑制した燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池は、上記目的を達成するために、電解質層と、電解質層の一方の面に設けられ、燃料が供給される第1の電極と、電解質層の他方の面に設けられ、酸化剤が供給される第2の電極と、を備える燃料電池において、第1の電極は、燃料からプロトンが生成される生成反応電位よりも高く、第1の電極に含まれる構成物質の酸化電位よりも低い範囲に酸化還元電位を有する添加剤を含むことを特徴とする。
ここで、燃料には、純水素や、都市ガスあるいは液化天然ガスなどを改質した80%程度の水素を含む改質ガス、また、メタノールなどの有機燃料を直接供給するタイプの燃料電池であれば、その有機燃料及びその水溶液などが挙げられる。また、この燃料からプロトンが生成される電位は、使用される燃料や第1の電極に含まれる白金などの触媒物質の作用によって異なるが、可逆水素電極の電位に対して、−0.10V〜0.25Vの範囲であり、第1の電極において燃料欠乏状態となったときに、触媒などの溶解を抑制するために添加する添加剤は、この燃料がプロトンになる反応を阻害しないことが望ましい。一方、この添加剤は、第1の電極において燃料欠乏状態となったときに、触媒などの溶解を抑制するため、触媒を支持している炭素など第1の電極を構成する構成物質が酸化してしまう電位よりも低い電位で、構成物質の代わりとなって酸化あるいは還元反応が起こるものが望まれる。本発明は、第1の電極が、上記のように、燃料からプロトンが生成される生成反応電位よりも高く、第1の電極に含まれる構成物質の酸化電位よりも低い範囲に酸化還元電位を有する添加剤を含むことにより、第1の電極での燃料欠乏状態による触媒などの溶解を抑制することができる。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料電池において、構成物質は、炭素またはルテニウムであることを特徴とする。第1の電極を構成する構成物質としては、このほかにも、イオン交換機能を備え、第1の電極で生成したプロトンの、電解質層への通路となる電解質溶液や第1の電極中の水分量を調整する撥水剤、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、スズ、タングステン、イリジウム、金のようにCO被毒を抑制する助剤が含まれるものも考えられる。しかし、燃料からプロトンを生成する触媒として、一般的には白金、特に白金担持カーボン(炭素上に白金が付与されているもの)が多く用いられており、また、燃料電池内部でCO被毒の虞がある系では、白金触媒に加えてルテニウムが多く用いられる。この2物質は燃料電池のアノード反応電位とカソード反応電位との間に酸化電位を有するという点でも、特に、炭素またはルテニウムに代わって酸化反応が起こる添加剤を第1の電極に添加することは触媒などの溶解を抑制する上で重要となる。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の燃料電池において、添加剤は、導電性を有する金属酸化物、金属炭火物、金属窒化物、導電性高分子であることを特徴とする。ここで、導電性とは、例えば電気伝導率で10-10S/cm以上(室温)を示すような性質をいう。このような性質を有する金属酸化物を添加剤として用いることにより、請求項1または2記載の発明の効果に加え、添加剤が電子のパスにもなり得るので、第1の電極の電気的抵抗を上昇させることがなく、燃料電池の発電効率を維持することができる。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池において、添加剤は、耐酸性を有する金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、導電性高分子であることを特徴とする。ここで、耐酸性とは、例えば0.5Mの硫酸に対する溶解度が1g/dl以下を示すような性質をいう。通常、燃料電池に用いられる固体高分子膜のような電解質層は強い酸性を示すため、この電解質層に接して溶解するような添加剤では、電解質層の劣化を引き起こす可能性がある。0.5Mの硫酸に対する溶解度が1g/dl以下となる耐酸性を有する添加剤であれば、電解質層に影響を及ぼすことなく、触媒などの溶解を抑制することができる。
請求項5記載の発明は、燃料電池システムであって、請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池と、第1の電極へ燃料を供給する燃料供給手段と、第2の電極へ酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、を備えることを特徴とする。これにより、第1の電極での燃料欠乏状態による触媒などの溶解を抑制し、長期間にわたって、燃料電池システムの発電効率を維持することができる。
本発明によれば、アノードでの燃料欠乏状態による触媒などの溶解を抑制することができる。
以下、本発明の燃料電池10について図を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る燃料電池10の構成を示す構成模式図である。本発明の燃料電池において、拡散層は、カーボンペーパ、カーボンの織布あるいは不織布を基材として、基材にカーボンブラックを主とする粘性の有るカーボンペーストを塗布して作製する。図1に示すように、拡散層は生産性を考慮して、両拡散層20、28の基材18、26に共通のカーボンペーパを用い、基材18、26に塗布する拡散層ペースト(充填層)16、24をカソード側とアノード側とで異なるものを用いる。即ち、基材18に拡散層ペーストを塗布・乾燥・熱処理して作製されたカソード側充填層16は、アノード側より撥水性を低く(フッ素樹脂量を少なく)する。一方、基材26に拡散層ペーストを塗布・乾燥・熱処理して作製されたアノード側充填層24は、撥水性を高く(フッ素樹脂量を多く)する。
しかし、一般的なフッ素樹脂(以下、高分子フッ素樹脂)は結着性を有するため、拡散層ペースト中に多くの高分子フッ素樹脂を投入すると、混合作業や塗布作業により、粘性が高くなり、団子状になる。そのため、塗布工程が非常に困難となる。そこで、高分子フッ素樹脂よりも平均分子量が小さく、結着性が非常に低い性質を有する低分子フッ素樹脂を用い、低分子フッ素樹脂に撥水性を、高分子フッ素樹脂に結着性を担わせることにより、それぞれの拡散層ペーストが、バランスよく撥水性と結着性とを持つようにする。具体的には、拡散層の基材となるカーボンペーパ(東レ社製:TGPH060H)は、重量比でカーボンペーパ:FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)=95:5(カソード用)、60:40(アノード用)となるように、FEP分散液に浸漬した後、60℃1時間の乾燥後、380℃15分間の熱処理(FEP撥水処理)を行う。これにより、カーボンペーパはほぼ均一に撥水処理される。
次に、カーボンブラック(CABOT社製:Vulcan XC72R)と溶媒としてテルピネオール(キシダ化学社製)と非イオン性界面活性剤のトリトン(キシダ化学社製)とを、重量比がカーボンブラック:テルピネオール:トリトン=20:150:3となるように、万能混合機(DALTON社製)にて常温で60分間、均一になるように混合し、カーボンペーストを作製する。低分子フッ素樹脂(ダイキン社製:ルブロンLDW40E)と高分子フッ素樹脂(デュポン社製:PTFE30J)とを、分散液中に含まれるフッ素樹脂の重量比が低分子フッ素樹脂:高分子フッ素樹脂=20:3となるように混合し、カソード用混合フッ素樹脂を作製する。ハイブリッドミキサ用容器に上記カーボンペーストを投入し、カーボンペーストが10〜12℃になるまで冷却する。冷却したカーボンペーストに上記カソード用混合フッ素樹脂を、重量比がカーボンペースト:カソード用混合フッ素樹脂(分散液中に含まれるフッ素樹脂成分)=31:1となるように投入し、ハイブリッドミキサ(キーエンス社製:EC500)の混合モードにて12〜18分間混合する。混合停止のタイミングはペーストの温度が50〜55℃となるまでとし、混合時間を適宜調整する。ペーストの温度が50〜55℃に達した後、ハイブリッドミキサを混合モードから脱泡モードへ切換え、1〜3分間脱泡を行う。脱泡を終えたペーストを自然冷却してカソード用拡散層ペーストを完成させる。
ハイブリッドミキサ用容器に上記カーボンペーストと上記低分子フッ素樹脂とを、重量比がカーボンペースト:低分子フッ素樹脂(以下、アノード用フッ素樹脂とする)(分散液中に含まれるフッ素樹脂成分)=26:3となるように投入し、ハイブリッドミキサの混合モードにて15分間混合する。混合した後、ハイブリッドミキサを混合モードから脱泡モードへ切換え、4分間脱泡を行う。脱泡を終えたペーストの上部に上澄み液が溜まった場合はこの上澄み液を廃棄し、ペーストを自然冷却してアノード用拡散層ペーストを完成させる。常温まで冷却した各拡散層ペーストを、FEP撥水処理を施した上記カーボンペーパの表面に、カーボンペーパ面内の塗布状態が均一になるように塗布し、熱風乾燥機(サーマル社製)にて60℃60分間乾燥する。最後に、360℃2時間熱処理を行い、拡散層を完成させる。
以下、各実施例では、各燃料電池システムに合わせた触媒を含む触媒ペーストを、拡散層20、28上の水マネジメント層16、24を形成した側に塗布してカソード14、アノード22を作製する。一般的な触媒としては、白金(Pt)あるいは白金担持カーボン(Pt/C)などが用いられ、これにNafion(登録商標)溶液のような電解質溶液や撥水剤、結着剤を混合して触媒ペーストを作製する。
本実施例では、図2を用いて車載用燃料電池システム100に用いられる固体高分子形燃料電池110について説明する。車載用燃料電池システム100は、外部より水素充填口152を介して高圧水素タンク154に貯えられた純水素が燃料としてアノード122へ供給される。また、アノード122にて発電に寄与しなかった燃料は燃料電池110から排出され、水素ポンプ156によって再度アノード122へ供給される。高圧水素タンク154と燃料電池110とを接続する燃料供給路には圧力調整器158が設けられており、高圧水素タンク154から燃料電池110へ供給する燃料の圧力を調整すると共に、燃料電池110から排出され循環する燃料が高圧水素タンク154へ逆流しないように、調整している。
一方、カソード114へは、外部からエアコンプレッサ162によって圧縮された空気が供給される。このとき、カソード114から排出された排空気と熱交換を行うが、本燃料電池110は発電によってカソード114より水が生成されるので、この熱交換器164には、顕熱と潜熱の両方の熱交換が行える、所謂、全熱交換器を用い、カソード114側の加湿手段ともなっている。このような燃料電池110によって発電される電力は、インバータ170を介して自動車のモータ172へ供給され、自動車の駆動源となるが、自動車の始動時や急激な負荷変動に対応するため、通常は二次電池174などが接続され、燃料電池110と二次電池174とのハイブリッドなシステムを構成する。
従来の燃料電池では、アノード122は、アノード側拡散層128のアノード用拡散層ペーストを塗布して形成したアノード側水マネジメント層124側に、カーボン(C)に触媒として白金(Pt)を担持させた白金担持カーボン(Pt/C)と電解質溶液(5%Nafion(登録商標)溶液)を混合した触媒ペーストを塗布して形成していたが、本発明の燃料電池110では、Pt/Cと酸化モリブデン(MoO、MoO2、MoO3など)とを、重量比でPt/C:MoO2=5:1となるように混合したものと電解質溶液とを混合して触媒ペーストを作製する。酸化モリブデンは、触媒(Pt/C)量の25%を超えると、アノード122に含まれる触媒量が少なくなってしまうため、電極としての反応効率が低下してしまい、触媒(Pt/C)量の1%より少ないと、アノード122が燃料欠乏状態となったときに、すぐに酸化モリブデンが利用されてなくなってしまい、効果が長持ちしなくなってしまう。そのため、1〜25%程度混合することが望ましいと考えられる。
図3はアノード反応及びカソード反応の電位とカーボンの酸化電位を示すグラフであり、図3に示すように、Pt/Cをアノード122用いる燃料電池110が、燃料欠乏状態に陥ると、代わりに、CとH2OからH+を生成して電子を取出す反応が起こりやすくなる。Cが溶解してしまうとCに担持されていたPtも脱落して、アノード122の反応効率が著しく低下してしまうので、上記のように酸化モリブデンを、アノード122を形成する触媒ペーストに混合する。燃料電池110内での酸化モリブデンの酸化電位は−0.05V〜0.30V(A.J.Bard,R.Parsons,J.Jordan,Eds.,「Standerd Potential in Aqueous Solution」,Marcel Dekker(1985),p.479参照)であると考えられ、Cの酸化電位よりも低いので、アノード122が燃料欠乏状態に陥ったときには、式(3)、(4)に示したようなCの酸化反応が起こる前に、アノード122に混合した酸化モリブデンがより酸化数の高い酸化モリブデンへ移行する。
したがって、アノード122において燃料欠乏状態となっても、式(3)、(4)は起こらず、CがCO2としてアノード122から脱落してしまう問題を回避することができ、Cが担持していた触媒(Pt)触媒が減少してしまうこともない。上記のように、燃料欠対策用添加剤としては、燃料電池110内部の環境下(本実施例の場合、水素イオン指数が−0.5<pH<1)において、0V以上0.52V以下の範囲に酸化還元電位を有する物質、望ましくは0V以上0.21V以下の範囲に酸化還元電位を有するものであれば良く、金属酸化物としては、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタンなどがあり、金属炭化物としては、炭化タングステン、炭化チタン、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化ホウ素などがあり、金属窒化物としては、窒化チタン、窒化タングステン、窒化クロムなどがあり、導電性高分子としては、ポリアニロン、ポリピロール、キノサリン系ポリマーなどがある。特に、金属酸化物の酸化モリブデンは導電性も優れており、特に、MoO2、MoO3は入手が容易であるので、アノード122へ混合する燃料欠対策用添加剤として適している。また燃料欠対策用添加剤の電気伝導度は10-10S/cm以上(室温)で効果あり、10-8S/cm以上(室温)が望ましい。本実施例(図2)ではMoO2をPt/Cと混合して触媒ペーストを作製したが、MoとPtとは電子的な相互作用を有するので、MoO2もCに担持させたMoO2Pt/Cを用いても良い(但し、PtはMoO2に担持されないほうが良い)。MoO2をCに担持させることにより、Ptの触媒作用を向上させることができる。
本実施例では、図4を用いて家庭用燃料電池コージェネレーションシステム200に用いられる燃料電池210について説明する。家庭用燃料電池コージェネレーションシステム200は、LPGや都市ガスなどの原燃料(炭化水素系燃料)を改質し、水素(燃料)を約80%含有する改質ガスを生成する改質装置と、改質装置から供給される改質ガスと空気中の酸素(酸化剤)とにより発電を行う燃料電池210と、改質装置や燃料電池210などから発生する熱を、お湯(40℃以上の水)というかたちで熱回収して貯湯する貯湯装置と、を備えており、発電機能と給湯機能との両方を有するシステムである。
家庭に敷設されているLPGや都市ガスなどの原燃料は、通常、ガス漏れに対する安全対策として硫化物によって付臭されているが、この硫化物は改質装置内の触媒を劣化させてしまうので、改質装置では、はじめに脱硫器252によって原燃料中の硫化物を除去する。脱硫器252によって脱硫された原燃料は、次に水蒸気と混合され、改質器254によって水蒸気改質され、変成器256に導入される。そして、変成器256によって、水素約80%、二酸化炭素約20%、一酸化炭素1%以下の改質ガスが生成されるが、一酸化炭素の影響を受けやすい低温(100℃以下)で運転される燃料電池210へ改質ガスを供給する本システム200では、さらに改質ガスと酸素とを混合して、CO除去器258によって一酸化炭素を選択的に酸化する。CO除去器258により、改質ガス中の一酸化炭素濃度を10ppm以下にすることができる。
改質装置とは、少なくとも改質器254と変成器256とを含み、本システム200のように、家庭に敷設されているガスを原燃料とする場合には脱硫器252を、燃料電池210として固体高分子形燃料電池のような低温タイプの燃料電池210を用いる場合にはCO除去器258を、さらに含むものとする。
水蒸気改質は吸熱反応であるため、改質器254にはバーナ260が設けられる。改質装置の起動時には、このバーナ260にも原燃料が供給されて改質器254を昇温し、本システム200が安定的に運転できるようになると、バーナ260への原燃料の供給はストップし、燃料電池210から排出される未反応の燃料をバーナ260に供給することで、改質器254へ熱を供給する。バーナ260により改質器254へ熱を供給した後の排気は、まだ大きな熱量をもっているため、この排気は熱交換器HEX01、HEX02にて貯湯タンク262内の水と熱交換される。そして、この水は燃料電池210のカソード214からの排ガスと熱交換(HEX03)し、さらにアノード222からの排ガスとも熱交換(HEX04)して貯湯タンク262に戻る。この熱交換器HEX01、HEX02、HEX03、HEX04を通る水配管264には、熱交換器HEX04を通った後の水(お湯)の温度によって、カソード側加湿タンク266の昇温または冷却に利用できるように、分岐配管268が設けられている。本システム200の起動時など、カソード側加湿タンク266の温度が低いときには、水は熱交換器HEX04を通った後、分岐配管268を通って熱交換器HEX05にてカソード側加湿タンク266に熱を供給してから貯湯タンク262に戻る。
このカソード側加湿タンク266は、冷却水タンクとしても機能しており、カソード側加湿タンク266内の水は、燃料電池210を冷却してカソード側加湿タンク266に戻る。上記のように、本システム200の起動時など、燃料電池210の温度が低いときには、熱交換器HEX05によって温められた冷却水を燃料電池210へ供給することにより、燃料電池210を温めることもできる。また、冷却水が通る冷却水通路270は、アノード側加湿タンク272に設けられる熱交換器HEX06に接続され、冷却水はカソード側加湿タンク266とアノード側加湿タンク272の温度をほぼ同一にする役割も果たしている。
改質装置からの改質ガスは、このアノード側加湿タンク272にて、加湿(本システム200の場合はバブリング)されてアノード222へ供給される。アノード222にて発電に寄与しなかった未反応の燃料は、燃料電池210から排出されてバーナ260へ供給される。この燃料電池210は通常70〜80℃の範囲で発電するように運転しており、燃料電池210から排出された排ガスは80℃程度の熱を持っているため、上記のように熱交換器HEX04にて熱交換した後、さらに熱交換器HEX07にて、カソード側加湿タンク266およびアノード側加湿タンク272へ供給される水を昇温した後に、バーナ260へ供給される。
カソード側加湿タンク3266およびアノード側加湿タンク272へ供給される水は、導電率が低く、有機物の混入が少ない清浄な水が望ましいので、上水からの水を水処理装置274にて、逆浸透膜とイオン交換樹脂による水処理を施してから供給される。また、この水処理を施した水は、改質器254の水蒸気改質にも用いられる。上水は貯湯タンク262にも供給されるが、このとき上水は貯湯タンク262の下部から供給される。また、水配管264も貯湯タンク262の下部から温度の低い水を引出し、各熱交換器と熱交換した水を上部へ戻す。
HEX10は全熱交換器である。カソード214にて発電に寄与しなかった未反応の酸素を含む排ガスは80℃程度の熱と反応によって生成された生成水を含んでいるため、全熱交換器HEX10にてカソード214へ供給される空気へ熱と水分を供給する。カソード214へ供給される空気は、さらにカソード側加湿タンク266にて加湿(本システム200の場合はバブリング)されてからカソード214へ供給され、一方、全熱交換器HEX10にて熱と水分とを供給した排ガスは、さらに熱交換器HEX03にて水と熱交換してから、本システム200の外部へ排出される構成となっている。
従来の燃料電池では、アノード222は、アノード側拡散層228のアノード用拡散層ペーストを塗布して形成したアノード側水マネジメント層224側に、カーボン(C)に触媒として白金(Pt)とルテニウム(Ru)を担持させた白金ルテニウム担持カーボン(Pt−Ru/C)と電解質溶液(5%Nafion(登録商標)溶液)を混合した触媒ペーストを塗布して形成していたが、本発明の燃料電池210では、Pt−Ru/Cと酸化タングステン(WO2、W25、WO3など)とを、重量比でPt−Ru/C:WO2=5:1となるように混合したものと電解質溶液とを混合して触媒ペーストを作製する。酸化タングステンもまた、実施例1と同様に、触媒(Pt−Ru/C)量の25%を超えると、アノード222に含まれる触媒量が少なくなってしまうため、電極としての反応効率が低下してしまい、触媒(Pt−Ru/C)量の1%より少ないと、アノード222が燃料欠乏状態となったときに、すぐに酸化タングステンが利用されてなくなってしまい、効果が長持ちしなくなってしまう。そのため、1〜25%程度混合することが望ましいと考えられる。
図5はアノード反応電位、カソード反応電位、カーボンの酸化電位およびルテニウムの酸化電位を示すグラフであり、図5に示すように、Pt−Ru/Cをアノード222用いる燃料電池210が、燃料欠乏状態に陥ると、代わりに、CとH2OからH+を生成して電子を取出す反応が起こりやすくなったり、Ruから電子を取出してRuがRu2+となり、酸化溶解する反応が起こりやすくなったりしてしまう。Cが溶解してしまうとCに担持されていたPtやRuも脱落して、アノード222の反応効率が著しく低下してしまい、また、Ruが酸化溶解してしまうとアノード222の耐CO性が著しく低下してしまうので、上記のように酸化タングステンを、アノード222を形成する触媒ペーストに混合する。燃料電池210内での酸化タングステンの酸化電位は−0.03V〜0.30V(Pourbaix,p.282参照)であると考えられ、CやRuの酸化電位よりも低いので、アノード222が燃料欠乏状態に陥ったときには、式(3)、(4)、(5)に示したようなCやRuの酸化反応が起こる前に、アノード222に混合した酸化タングステンがより酸化数の高い酸化タングステンへ移行する。
したがって、アノード222において燃料欠乏状態となっても、式(3)、(4)、(5)は起こらず、CがCO2としてアノード222から脱落したり、RuがRu2+として酸化溶解したりしてしまう問題を回避することができる。これにより、Cが担持していた触媒(Pt、Ru)触媒が減少してアノード222の反応効率が低下してしまうことやアノード222の耐CO性が低下してしまうこともない。上記のように、燃料欠対策用添加剤としては、燃料電池210内部の環境化(本実施例の場合、水素イオン指数が−0.5<pH<1)において、0V以上0.68V以下の範囲に酸化還元電位を有する物質、望ましくは0V以上0.52V以下さらには0.21V以下の範囲に酸化還元電位を有するものであれば良いが、酸化タングステンは水に不溶性、酸に難溶性で入手も容易であるので、アノード222へ混合する燃料欠対策用添加剤として適している。
本実施例では、改質装置(CO除去器258)から出た改質ガスは、アノード側加湿タンク272を経由してアノード222へ供給されるよう説明したが、改質ガスはCOを含んでおり、COが改質装置や配管などに用いられるステンレス鋼(Fe、Ni)と反応して鉄カルボニル、ニッケルカルボニルが発生すると、燃料電池210の発電性能を著しく低下させることが明らかになった。そこで、図4には図示しなかったが、アノード側加湿タンク272の前段に、アルミナの多孔質体や、KMnO4、K2Cr27、NaBrO3、KBrO3などの酸化剤を付与したフィルタあるいは上記酸化剤を溶解した溶液に改質ガスをバブリングさせるタンクのようなカルボニルトラップ装置を設けると良い。
本実施例では、図6を用いて携帯用燃料電池システム300に用いられる燃料電池310について説明する。本燃料電池310は、アノード322にメタノール水溶液あるいは純メタノール(以下、「メタノール燃料」と記載する)が供給される直接メタノール供給形燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)であり、本燃料電池310の発電部は、カソード側拡散層320およびアノード側拡散層328を用いず、固体高分子膜312がカソード314とアノード322とに挟持され形成される触媒コーティング膜(Catalyst Coated Membrane:CCM)330となっている。
アノード322へ供給されるメタノール燃料は、燃料電池310の外部より、メタノール燃料供給孔352を通って燃料室354へ供給される。各燃料室354は連通しており、各燃料室354に貯蔵されるメタノール燃料から各アノード322へ供給される。アノード322では、式(2)に示したようなメタノールの反応が起こり、H+が固体高分子膜312を介してカソード314へ移動すると共に、電力が取出される。式(2)からも明らかなように、この反応により、アノード322からは二酸化炭素が発生する。そこで、燃料室354と、燃料電池310のアノード側の筐体356aに設けられたアノード側生成物排出孔356との間には、気液分離フィルタ360を配置する。
この気液分離フィルタ360は、気体成分を選択的に透過し、液体成分は透過させない微細な孔を有する平面状のフィルタであり、耐メタノール(アルコール)性を有する材料が適している。また、筐体356は、軽量で剛性を有し、かつ、耐食性を有する材料が適しており、合成樹脂やアルミニウム合金、チタン合金、ステンレス鋼などの金属が適している。また、強化ガラスやスケルトン樹脂でも良い。そして、気液分離フィルタ360と同様に、筐体356もメタノール燃料と接触する部分を有するので、特に、メタノール燃料と接触する部分では、上記合成樹脂あるいは金属にフッ素系合成樹脂を重ね合わせた複合材料を用いると良い。さらに、362は、燃料室354を形成すると共に、CCM330を締め付ける支持部材362であり、支持部材362もまた筐体356のメタノール燃料と接触する部分と同じ材料を用いると良い。
カソード314へはカソード側生成物排出孔364を通って空気が供給され、固体高分子膜322を介してカソード314へ移動してきたH+と空気中の酸素との間で反応が起こり、生成水が生成される。カソード314へ空気を供給すると共に、カソ−ド314からの生成水を排出するカソード側生成物排出孔364は、アノード側生成物排出孔358と総面積としては同等になるように設けられているが、アノード側生成物排出孔358よりも径の小さい孔を多数配している。また、カソード側生成物排出孔364の内壁およびカソード側生成物排出孔364が設けられている部分のカソード側の筐体356c表面は、酸化チタンなどの光触媒を含む機能性コーティング材にて被覆されている。小さい孔を多数配することにより、カソード314より排出される生成水が滴下する虞がなく、また、内壁に機能性コーティング材を被覆することにより、生成水が孔を塞ぐことなく、内壁表面に薄く広がって蒸発しやすくなると共に、微生物の繁殖などを防ぐことができる。
この機能性コーティング材には、燃料電池310に、太陽光など光触媒が機能する特定の波長を含む光が照射されないときにも、有機物分解機能あるいは抗菌機能が作用するように、銀、銅、亜鉛などの金属が含まれていると良い。さらに、筐体356の表面全体に、機能性コーティング材を被覆すれば、燃料電池310の利用者が、燃料電池310に触ることにより付着する有機物を分解し、燃料電池310に防汚機能あるいは抗菌機能を付与することができる。アノード322からカソード314へメタノール燃料が流入することを防ぐため、CCM330を取り囲むように、Oリング366(アノード側Oリング366a、カソード側Oリング366c)が配されている。本実施例では、カソード側の筐体356cと支持部材362とによって押圧され、メタノール燃料がアノード322からカソード314へ流入することを防止すると共に、アノード322へ酸素が流入することも防止している。このOリング366は柔軟性と耐食性を有するものが望ましい。
本実施例において、CCM330は、固体高分子膜312にNafion115(Dupont社製)を用い、この固体高分子膜312の一方の面に、Pt黒と5%Nafion溶液(DuPont社製)とを混合したカソード触媒ペーストを塗布してカソード314を形成し、他方の面に、Pt−Ru黒と酸化モリブデンと5%Nafion溶液(DuPont社製)とを混合したアノード触媒ペーストを塗布してアノード322を形成する。このとき、Pt−Ru黒と酸化モリブデンとを、重量比でPt−Ru黒:MoO2=19:1となるように混合したものと電解質溶液とを混合してアノード触媒ペーストを作製する。触媒担持カーボンではなくPt−Ru黒のようなPt−Ruからなる触媒を用いる場合、添加剤(本実施例の場合MoO2)の量が触媒量の10%を超えると、アノード322に含まれる触媒量が少なくなり、電極としての反応効率が低下してしまう。また、実施例1および2と同様に、触媒量の1%より少ないと、アノード322が燃料欠乏状態となったときに、すぐに酸化モリブデンが利用されてなくなってしまい、効果が長持ちしなくなってしまう。そのため、1〜10%程度混合することが望ましいと考えられる。
図7はDMFCにおけるアノード反応及びカソード反応電位とルテニウムの酸化電位を示すグラフであり、図7に示すように、本燃料電池310のアノード反応電位はH2を利用する燃料電池のアノード反応電位よりは高いが、燃料欠乏状態に陥ると、代わりに、Ruから電子を取出してRuがRu2+となり、酸化溶解する反応が起こりやすくなってしまう。式(2)に示したように、本燃料電池310のアノード322からはCO2が反応生成物として発生するが、その過程で(あるいは不完全な反応によって)、COも発生する。Ruが酸化溶解してしまうとアノード322の耐CO性が著しく低下してしまうので、上記のように酸化モリブデンを、アノード322を形成する触媒ペーストに混合する。燃料電池310内での酸化モリブデンの酸化電位は−0.05V〜0.30Vであり、Ruの酸化電位よりも低いので、アノード322が燃料欠乏状態に陥ったときには、式(5)に示したようなRuの酸化反応が起こる前に、アノード322に混合した酸化モリブデンがより酸化数の高い酸化モリブデンへ移行する。
したがって、アノード322において燃料欠乏状態となっても、式(5)は起こらず、RuがRu2+として酸化溶解してしまう問題を回避することができる。これにより、アノード322の耐CO性が低下してしまうこともない。上記のように、DMFCの燃料欠対策用添加剤としては、燃料電池310内部の環境下(本実施例の場合、水素イオン指数が0<pH<2.5)において、0.03V以上0.68V以下の範囲に酸化還元電位を有する物質であれば良いが、酸化モリブデンは導電性も良く、水や希酸に対する不溶性も有し、入手も容易であるので、アノード322へ混合する燃料欠対策用添加剤として適している。
本実施例では、固体高分子膜322にNafion115を用いたが、固体高分子膜322はイオン伝導性を有する厚さ50〜200μmの電解質層であれば良く、本実施例のように、燃料にメタノール燃料を使用するDMFCの場合、メタノールが固体高分子膜322を透過してカソード側へ移動する、所謂、クロスリークと呼ばれる現象を抑制できる電解質層であれば、なお望ましい。また、カソード314およびアノード322を固体高分子膜322上に形成する方法を採ったが、作製方法は実施例1および2のようにカーボンペーパなどの電極基材上に触媒層を形成する構成および方法を用いてもよい。さらに、触媒は、メタノールからH+を、あるいは、H+と酸素から水を生成する触媒機能を有する触媒であれば、Pt−RuやPtからなる粒子(Pt−Ru黒やPt黒)ではなく、触媒をカーボンに担持させた触媒担持カーボンを用いてもよい。
本実施の形態では、車載用燃料電池システム、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムおよび携帯用燃料電池システムを用いて説明したが、燃料電池の燃料欠乏状態による問題は上記のシステム以外にも発生し得る問題である。したがって、上記システムに限定させるものではなく、水素源と酸素源との電気化学的反応により発電する燃料電池全てにおいて利用可能である。また、燃料欠対策添加剤として、酸化モリブデン、酸化タングステンを例示したが、実施例でも記載したように、アノード反応電位とカソード反応電位との間に酸化還元電位を有する物質であって、アノード側に用いられる材料(構成物質)の酸化電位よりも低い酸化還元電位を有する物質であれば良い。上記の実施例以外には、酸化ルテニウム、タングステンカーバイトなども利用可能であると考えられる。また、燃料欠状態での運転は、カソード触媒の劣化を招く可能性もあるため、本発明のように、燃料欠対策添加剤をアノードへ添加することにより、カソード触媒の劣化も防止できる。
本発明に係る燃料電池の構成を示す構成模式図である。 本発明の実施例1に係る車載用燃料電池システムの構成を示す構成模式図である。 本発明の実施例1に係る燃料電池内部で発生する反応の酸化還元電位を表すグラフである。 本発明の実施例2に係る家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの構成を示す構成模式図である。 本発明の実施例2に係る燃料電池内部で発生する反応の酸化還元電位を表すグラフである。 本発明の実施例3に係る携帯用燃料電池システムの構成を示す構成模式図である。 本発明の実施例3に係る燃料電池内部で発生する反応の酸化還元電位を表すグラフである。
符号の説明
10、110、210、310 燃料電池
12、112、212、312 固体高分子膜(電解質層)
14、114、214、314 カソード
16、116、216 カソード側水マネジメント層
18、118、218 カソード側基材
20、120、220 カソード側拡散層
22、122、222、322 アノード
24、124、224 アノード側水マネジメント層
26、126、226 アノード側基材
28、128、228 アノード側拡散層
100 車載用燃料電池システム
152 水素充填口
154 高圧水素タンク
156 水素ポンプ
158 圧力調整器
162 エアコンプレッサ
164 熱交換器
170 インバータ
172 モータ
174 二次電池
176 インバータ
178 補機用モータ
180 DC/DCコンバータ
200 家庭用燃料電池コージェネレーションシステム
252 脱硫器
254 改質器
256 変成器
258 CO除去器
260 バーナ
262 貯湯タンク
264 水配管
266 カソード側加湿タンク
268 分岐配管
270 冷却水通路
272 アノード側加湿タンク
274 水処理装置
276 冷却水流路
278 給湯配管
300 携帯用燃料電池システム
330 触媒コーティング膜
352 メタノール燃料供給孔
354 燃料室
356 筐体(356a:アノード側筐体、356c:カソード側筐体)
358 アノード側生成物排出孔
360 気液分離フィルタ
362 支持部材
364 カソード側生成物排出孔
366 Oリング(366a:アノード側Oリング、366c:カソード側Oリング)
HEX01、HEX02、HEX03、HEX04、HEX05 熱交換器

Claims (5)

  1. 電解質層と、前記電解質層の一方の面に設けられ、燃料が供給される第1の電極と、前記電解質層の他方の面に設けられ、酸化剤が供給される第2の電極と、を備える燃料電池において、
    前記第1の電極は、
    前記燃料からプロトンが生成される生成反応電位よりも高く、前記第1の電極に含まれる構成物質の酸化電位よりも低い範囲に酸化還元電位を有する添加剤を含むことを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、
    前記構成物質は、炭素またはルテニウムであることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1または2記載の燃料電池において、
    前記添加剤は、導電性を有する金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、導電性高分子であることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池において、
    前記添加剤は、耐酸性を有する金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、導電性高分子であることを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池と、
    前記第1の電極へ前記燃料を供給する燃料供給手段と、
    前記第2の電極へ前記酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
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