JP5153108B2 - 固体高分子膜を使用した燃料電池および燃料電池システム - Google Patents

固体高分子膜を使用した燃料電池および燃料電池システム Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池に関し、具体的には、燃料電池を構成する電解質膜の性能劣化を抑制する技術に関する。
ITやバイオなどの新技術が世界規模で展開される時代となったが、そうした状況にあっても、エネルギ産業は最大級の基幹産業であることに変わりはない。最近では、地球温暖化防止をはじめとする環境意識の浸透に伴い、いわゆる新エネルギに対する期待が高まっている。新エネルギは、環境性に加え、電力需要家に近接して分散型で生産できるため、送電損失面と電力供給のセキュリティ面でもメリットがある。また、新エネルギの開発が新たな周辺産業を創出する副次的効果も期待できる。新エネルギに対する取り組みは、約30年前の石油危機を契機として本格化し、現在では、太陽光発電などの再生可能エネルギ、廃棄物発電などのリサイクルエネルギ、燃料電池などの高効率エネルギ、およびクリーンエネルギカーを代表とする新分野エネルギなどのエネルギが、それぞれ実用化に向けた開発の段階にある。
そうした中でも、燃料電池は業界でもっとも注目されるエネルギのひとつである。燃料電池は、天然ガスやメタノールなどと水蒸気を反応させて作った水素と、大気中の酸素を化学反応させて電気と熱を同時に生成するもので、発電による副産物が水だけであり、低出力域でも高効率で、しかも発電が天候に影響されず安定的である。殊に固体高分子形燃料電池は、住居用をはじめとする定置型、車載用あるいは携帯用などの用途において次世代のひとつの標準電源と目されており、商品化に向けて、電解質膜の長寿命化を図る技術が(特許文献1参照)活発に開発されている。
特開2006−073303号公報
従来の固体高分子形燃料電池では、電解質膜と触媒層との間に水の移動を抑制する層が特に設けられていないことから、カソード側で生成した生成水は、逆拡散の形で電解質膜へも容易に移動する。そのため、生成水に溶解した白金イオンなどの触媒金属イオンが水を移動媒体として電解質膜中へ移動し、所定の電位となる電解質中の部分で帯状に析出する。またこの電解質膜中での触媒金属の析出量は、燃料電池の起動停止を繰り返すことにより徐々に増加する。電解質膜中で触媒金属が析出すると、アノードからカソードへ透過する、所謂、クロスリークする燃料と、カソードからアノードへクロスリークする酸化剤とが帯状の析出部分(金属触媒サイト)で反応し、その反応熱や反応によって発生した過酸化水素により、電解質が劣化する問題が発生する。
これに対し、特許文献1では、カソード触媒層と電解質膜との界面に、水の移動を抑制するために撥水層を設けているが、撥水剤による撥水層を設けると、電解質層でのイオン伝導性が低下し、燃料電池の発電特性も低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、金属触媒サイトの形成を抑制し、電解質膜の性能劣化を低減させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のある態様は、固体高分子膜を使用した燃料電池であって、電解質層と、前記電解質層の一方の面に設けられるカソード触媒層と、前記電解質層の他方の面に設けられるアノード触媒層と、を備える燃料電池において、前記電解質層と前記カソード触媒層との間に設けられ、カソード触媒よりも比抵抗の高い物質を含む還元層を備え、前記カソード触媒層に酸化剤の反応流体が供給され、前記還元層は、カソード触媒層における反応流体の上流側に対応する領域よりも下流側に対応する領域に集中して形成されていることを特徴とするものである。
た、前記カソード触媒層に酸化剤の反応流体が供給され、前記還元層は、カソード触媒層における反応流体の上流側に対応する領域から下流側に対応する領域に向けて塗布量が多くなるように傾斜をつけて形成されていることを特徴とするものである。
これにより、触媒層を構成する金属触媒が電解質層の中に析出することを抑制することができ、析出した金属触媒によって発生する反応による反応熱や過酸化酸素が要因であると考えられる電解質層の劣化を低減することができる。
また、電解質層内において金属触媒が析出しないようにするためには、この還元層は、厚さ方向において、1×10−9Ωの電気抵抗を有することが望ましく、電解質層のプロトン伝導性を保持するために、この還元層は可及的に薄く構成することが望ましいので、5×10−5Ω・cm以上の比抵抗を有する物質で構成することが望ましい。そして、このような比抵抗の高い物質と10mS/cm以上のイオン伝導率を有するイオン交換体とを混合し、カソード触媒層の厚さに対して10%以下の厚さで形成すると良い。このとき、比抵抗が高い物質とイオン伝導体との割合は、燃料電池を作製する上でのハンドリング性を考慮して5:1〜1:10の範囲で混合するのが好ましく、かつ効果的である。
カソード触媒層の厚さの10%よりも厚くすると、比抵抗の高い物質によって内部抵抗が上昇して発電に支障をきたす虞があり、特に有効な範囲は0.1%〜5%、理想的には1%程度であると考えられる。また、比抵抗が高い物質の割合を5:1よりも多くした場合には、イオン伝導が十分に担保されず内部抵抗の上昇を引き起こし、1:10よりも少なくした場合には、効果の発現が期待しにくい。そこで、比抵抗が高い物質とイオン伝導体との比の特に有効な範囲は2:1〜1:5、理想的には1:1がより好ましいと考えられる。
具体的な態様は、電解質層と、前記電解質層の一方の面に設けられるカソード触媒と、前記電解質層の他方の面に設けられるアノード触媒層と、を備える固体高分子膜を使用した燃料電池において、前記電解質層と前記カソード触媒層との間に設けられ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化タングステン、タングステンカーバイド、タンタルカーバイド、チタンカーバイドおよびモリブデンカーバイドからなる群のうち少なくとも1つを含む層を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の別の態様としては、固体高分子膜を使用した燃料電池システムであって、上記の固体高分子膜を使用した燃料電池と、前記固体高分子膜を使用した燃料電池のカソード触媒層に酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、前記固体高分子膜を使用した燃料電池のアノード触媒層に燃料を供給する燃料供給手段と、を備えることを特徴とするものである。これにより、上記のように電解質層の劣化を低減することができ、延いては、固体高分子膜を使用した燃料電池システムの長寿命化を図ることができる。
本発明によれば、電解質層が劣化することを抑制することができる。
本発明の燃料電池10を用いる家庭用燃料電池コージェネレーションシステム100について、図を用いて詳細に説明する。図1の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム100は、LPGや都市ガスなどの原燃料(炭化水素系燃料)を改質し、水素(燃料)を約80%含有する改質ガスを生成する改質装置と、改質装置から供給される改質ガスと空気中の酸素(酸化剤)とにより発電を行う燃料電池10と、改質装置や燃料電池10などから発生する熱を、お湯(40℃以上の水)というかたちで熱回収して貯湯する貯湯装置と、を備えており、発電機能と給湯機能との両方を有するシステムである。
家庭に敷設されているLPGや都市ガスなどの原燃料は、通常、ガス漏れに対する安全対策として硫化物によって付臭されているが、この硫化物は改質装置内の触媒を劣化させてしまうので、改質装置では、はじめに脱硫器152によって原燃料中の硫化物を除去する。脱硫器152によって脱硫された原燃料は、次に水蒸気と混合され、改質器154によって水蒸気改質され、変成器156に導入される。そして、変成器156によって、水素(H)約80%、二酸化炭素(CO)約20%、一酸化炭素(CO)1%以下の改質ガスが生成されるが、COの影響を受けやすい低温(100℃以下)で運転される燃料電池10へ改質ガスを供給する本システム100では、さらに改質ガスと酸素とを混合して、CO除去器158によってCOを選択的に酸化する。CO除去器158により、改質ガス中のCO濃度を10ppm以下にすることができる。
改質装置とは、少なくとも改質器154と変成器156とを含み、本システム100のように、家庭に敷設されているガスを原燃料とする場合には脱硫器152を、燃料電池10として固体高分子形燃料電池のような低温タイプの燃料電池10を用いる場合にはCO除去器158を、さらに含むものとする。
水蒸気改質は吸熱反応であるため、改質器154にはバーナ160が設けられる。改質装置の起動時には、このバーナ160にも原燃料が供給されて改質器154を昇温し、本システム100が安定的に運転できるようになると、バーナ160への原燃料の供給はストップし、燃料電池10から排出される未反応の燃料をバーナ160に供給することで、改質器154へ熱を供給する。バーナ160により改質器154へ熱を供給した後の排気は、まだ大きな熱量をもっているため、この排気は熱交換器HEX01、HEX02にて貯湯タンク162内の水と熱交換される。そして、この水は燃料電池10のカソード14からの排ガスと熱交換(HEX03)し、さらにアノード22からの排ガスとも熱交換(HEX04)して貯湯タンク162に戻る。この熱交換器HEX01、HEX02、HEX03、HEX04を通る水配管164には、熱交換器HEX04を通った後の水(お湯)の温度によって、カソード側加湿タンク166の昇温または冷却に利用できるように、分岐配管168が設けられている。本システム100の起動時など、カソード側加湿タンク166の温度が低いときには、水は熱交換器HEX04を通った後、分岐配管168を通って熱交換器HEX05にてカソード側加湿タンク166に熱を供給してから貯湯タンク162に戻る。
このカソード側加湿タンク166は、冷却水タンクとしても機能しており、カソード側加湿タンク166内の水は、燃料電池10を冷却してカソード側加湿タンク166に戻る。上記のように、本システム100の起動時など、燃料電池10の温度が低いときには、熱交換器HEX05によって温められた冷却水を燃料電池10へ供給することにより、燃料電池10を温めることもできる。また、冷却水が通る冷却水通路170は、アノード側加湿タンク172に設けられる熱交換器HEX06に接続され、冷却水はカソード側加湿タンク166とアノード側加湿タンク172の温度をほぼ同一にする役割も果たしている。
改質装置からの改質ガスは、このアノード側加湿タンク172にて、加湿(本システム100の場合はバブリング)されてアノード22へ供給される。アノード22にて発電に寄与しなかった未反応の燃料は、燃料電池10から排出されてバーナ160へ供給される。この燃料電池10は通常70〜80℃の範囲で発電するように運転しており、燃料電池10から排出された排ガスは80℃程度の熱を持っているため、上記のように熱交換器HEX04にて熱交換した後、さらに熱交換器HEX07にて、カソード側加湿タンク166およびアノード側加湿タンク172へ供給される水を昇温した後に、バーナ160へ供給される。
カソード側加湿タンク166およびアノード側加湿タンク172へ供給される水は、導電率が低く、有機物の混入が少ない清浄な水が望ましいので、上水からの水を水処理装置174にて、逆浸透膜とイオン交換樹脂による水処理を施してから供給される。また、この水処理を施した水は、改質器154の水蒸気改質にも用いられる。上水は貯湯タンク162にも供給されるが、このとき上水は貯湯タンク162の下部から供給される。また、水配管164も貯湯タンク162の下部から温度の低い水を引出し、各熱交換器と熱交換した水を上部へ戻す。
HEX10は全熱交換器である。カソード14にて発電に寄与しなかった未反応の酸素を含む排ガスは80℃程度の熱と反応によって生成された生成水を含んでいるため、全熱交換器HEX10にてカソード14へ供給される空気へ熱と水分を供給する。カソード14へ供給される空気は、さらにカソード側加湿タンク166にて加湿(本システム100の場合はバブリング)されてからカソード14へ供給され、一方、全熱交換器HEX10にて熱と水分とを供給した排ガスは、さらに熱交換器HEX03にて水と熱交換してから、本システム100の外部へ排出される構成となっている。
図2は、本発明に係る膜電極接合体50およびこれを用いた燃料電池10の構造を模式的に示す斜視図である。図3は図2のA−A’断面における断面図である。燃料電池10は平板状の膜電極接合体50を備え、この膜電極接合体50の両側にはセパレータ34、36が設けられている。本実施の形態では、一つの膜電極接合体50のみを示すが、セパレータ34、36を介して、複数の膜電極接合体50と積層して、燃料電池10が構成されてもよい。本発明の燃料電池10および膜電極接合体50は、固体高分子膜(電解質層)12と、固体高分子膜12の一方の面に設けられたカソード14と、固体高分子膜12の他方の面に設けられたアノード22とを有し、固体高分子膜12とカソード14との間に間挿され、カソード14からイオン化して溶出した白金を還元して捕捉する還元層30を有する。
カソード14側に設けられるセパレータ34にはガス流路38が設けられ、このガス流路38を通じて膜電極接合体50に酸化剤ガスが供給される。同様に、アノード22側に設けられるセパレータ36にもガス流路40が設けられており、このガス流路40を通じて膜電極接合体50に燃料ガスが供給される。具体的には、燃料電池10の運転時、酸化剤ガス、たとえば、空気がガス流路38内をカソード側拡散層20の表面に沿って上方から下方へ流通することにより、カソード側触媒層16に酸化剤ガスが供給される。一方、燃料電池10の運転時、燃料ガス、例えば水素ガスがガス流路40内をアノード側拡散層28の表面に沿って上方から下方へ流通することにより、アノード側触媒層24に燃料ガスが供給される。これにより、膜電極接合体50内で反応が生じる。アノード側拡散層28を介して触媒層24に水素ガスが供給されると、ガス中の水素がプロトンとなり、このプロトンが固体高分子膜12中をカソード14側へ移動する。このとき放出される電子は外部回路に移動し、外部回路からカソード14に流れ込む。一方、カソード側拡散層20を介して触媒層16に空気が供給されると、酸素がプロトンと結合して水となる。この結果、外部回路においてはアノード22からカソード14に向かって電子が流れることとなり、電力を取り出すことができる。
固体高分子膜12は、湿潤状態において良好なイオン伝導性を示し、カソード14およびアノード22の間でプロトンを移動させるイオン交換膜として機能する。固体高分子膜12は、含フッ素重合体や非フッ素重合体等の固体高分子材料によって形成され、例えば、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体、ポリサルホン樹脂、ホスホン酸基又はカルボン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体等を用いることができる。スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体の例として、ナフィオン(デュポン社製:登録商標)112などがあげられる。また、非フッ素重合体の例として、スルホン化された、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホンなどが挙げられる。
カソード側触媒層16は、イオン交換樹脂と、触媒を担持した炭素粒子すなわち触媒担持炭素粒子とから構成される。イオン交換樹脂は、触媒を担持した炭素粒子と固体高分子膜12を接続し、両者間においてプロトンを伝達する役割を持つ。イオン交換樹脂は、固体高分子膜12と同様の高分子材料から形成されてよい。担持される触媒には、例えば白金、ルテニウム、ロジウムなどの1種または2種を合金化したものなどがある。また触媒を担持する炭素粒子には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどがある。また、カソード側拡散層20は、カソード基材に塗布された微細孔層18を有する。カソード基材は、電子伝導性を有する多孔体で構成されることが好ましく、たとえばカーボンペーパ、カーボンの織布または不織布などを用いることができる。
微細孔層18は、導電性粉末と撥水剤とを混練して得られるペースト状の混練物をアノード基材に塗布することにより形成したものである。導電性粉末としては、たとえば、カーボンブラックを用いることができる。また、撥水剤としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)などのフッ素系樹脂を用いることができる。なお、撥水剤は結着性を有することが好ましい。ここで、結着性とは、粘りの少ないものやくずれやすいものをつなぎ合わせ、粘りのあるもの(状態)にすることができる性質をいう。撥水剤が結着性を有することにより、導電性粉末と撥水剤とを混練することにより、ペースト状の混練物を得ることができる。カソード14は、カソード側触媒層16を、この微細孔層18が形成されたカソード側拡散層20の面に上記材料を塗布して形成される。
アノード側触媒層24は、イオン交換樹脂と、触媒を担持した炭素粒子すなわち触媒担持炭素粒子とから構成される。イオン交換樹脂は、触媒を担持した炭素粒子と固体高分子膜12を接続し、両者間においてプロトンを伝達する役割を持つ。イオン交換樹脂は、固体高分子膜12と同様の高分子材料から形成されてよい。担持される触媒には、例えば白金、ルテニウム、ロジウムなどの1種または2種を合金化したものなどがある。また触媒を担持する炭素粒子には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどがある。また、アノード側拡散層28は、アノード基材に塗布された微細孔層26を有する。アノード基材は、電子伝導性を有する多孔体で構成されることが好ましく、たとえばカーボンペーパ、カーボンの織布または不織布などを用いることができ、カソード基材と同じものを用いると、コスト的にメリットがある。
微細孔層26は、導電性粉末と撥水剤とを混練して得られるペースト状の混練物をアノード基材に塗布することにより形成したものである。導電性粉末としては、たとえば、カーボンブラックを用いることができる。また、撥水剤としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)などのフッ素系樹脂を用いることができる。なお、撥水剤は結着性を有することが好ましい。ここで、結着性とは、粘りの少ないものやくずれやすいものをつなぎ合わせ、粘りのあるもの(状態)にすることができる性質をいう。撥水剤が結着性を有することにより、導電性粉末と撥水剤とを混練することにより、ペースト状の混練物を得ることができる。アノード22は、アノード側触媒層24を、この微細孔層26が形成されたアノード側拡散層28の面に上記材料を塗布して形成される。
還元層30は、酸化チタンと5wt%ナフィオン(デュポン社製:登録商標)溶液とを重量比で1:1となるように混合して得られる混合溶液を、固体高分子膜12の一方の面にスプレー法を用いて0.05mg/cmとなるように塗布することにより形成したものである。本発明の膜電極接合体50は、還元層30が形成された固体高分子膜12の面にカソード14を配し、他方の面にアノード22を配してホットプレスすることにより接合して作製されるものである。
比較例として、固体高分子膜、カソードおよびアノードの構成は、本実施の形態と同様に作製し、還元層を形成しない状態で固体高分子膜の一方の面にカソード、他方の面にアノードを配してホットプレスにより接合した膜電極接合体を作製する。本実施の形態の膜電極接合体50と上記比較例とを、カソードに露点60℃まで加湿した酸素を供給し、アノードに露点60℃まで加湿した水素を供給して特性試験を行った。
特性試験は、カソード、アノードの両極に上記反応流体を100mL/min.で供給した状態で、負荷を接続しない開回路状態にし、カソード側にリークする水素のリーク電流を測定する。リーク電流が大きくなるほど、アノードに供給された水素がカソードに多くリークしていることを示しており、固体高分子膜の劣化が進行していることを表している。図4に特性試験の結果を示す。グラフ中の10mA/cmの点線は膜電極接合体の寿命の基準となる値を表しており、この値を超える膜電極接合体(燃料電池)が積層されて構成される燃料電池スタックでは、この部分で短絡して他の膜電極接合体(燃料電池)にも悪影響を及ぼす可能性があるため、交換する必要が出てくる。また、1つ膜電極接合体で構成される燃料電池でもこの値を超えると、急激に固体高分子膜の劣化が進行して性能が急激に低下するため、使用を停止する必要がある。
図4より、本実施の形態の膜電極接合体では、寿命に至るまでの時間が2倍以上向上するほか、寿命の基準を超えた後の性能の低下も比較例より緩やかになっていることが分かる。図5に示すように、膜電極接合体50を巨視的に見る(図5(a)参照)と、カソード14とアノード22との間には約1Vの電位差があるが、微視的に見ると、固体高分子膜12、カソード14およびアノード22の内部では、それぞれの場所によって電位の勾配が存在する(図5(b)参照)。金属触媒サイトは、電位の高いカソードで酸化物となった触媒(例えば、PtO)が強酸の電解質によってイオン化して溶出し、電位が所定の値(範囲)になる固体高分子膜内部で、イオン化した触媒が還元されて析出するものであると考えられている。本実施の形態のように固体高分子膜12とカソード14との界面に還元層30を形成することにより、電位勾配は図5(c)のようになり、固体高分子膜12内は十分に電位が下がった状態になるので、固体高分子膜12内に金属触媒サイトは形成されにくくなり、金属触媒サイトでの反応による固体高分子膜の劣化が進行しにくくなったものと考えられる。
また、還元層30にて還元された触媒は、還元層30の電位がカソード14より低いため、酸化物になる虞は低く、酸化物にならなければ、イオン化して再溶出する虞も低い。したがって、触媒は還元層30に留まることができる。カソード14側で生成した生成水は、逆拡散の形で固体高分子膜12内を自由に(スルホン基に拘束されずに)移動し、イオン化した白金イオンなどの触媒金属イオンの移動媒体となるので、生成水の多い反応流体(空気)の下流側の電解質膜中で、特に金属触媒サイトが形成されやすい。そこで、この還元層30を反応流体の下流側に集中して形成する、あるいは、上流側から下流側に向けて塗布量が多くなるように傾斜つけて形成しても効果的である。
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。例えば、本実施の形態では還元層30に酸化チタンを用いたが、還元層30は固体高分子膜12とカソード14との間で電位を下げられる物質を配すればよく、具体的には、比抵抗が高い酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化タングステンのような半導体金属酸化物、タングステンカーバイド、タンタルカーバイド、チタンカーバイド、モリブデンカーバイドのようなカーバイド(金属の炭化物)を用いることができる。
本実施の形態では、改質ガスをアノードに供給するタイプの燃料電池を用いて説明したが、生成水の逆拡散によって、カソードから溶解した白金イオンが移動して金属触媒サイトを形成してしまう虞のある燃料電池はこれに限定させるものではなく、他の燃料電池でも本発明を利用することは可能である。
本発明に係る燃料電池を用いた家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの構成を示す構成模式図である。 本発明の燃料電池の構成を示す構成模式図である。 図2のA−A’断面における断面図である。 本発明の燃料電池の寿命特性を示すグラフである。 (a)燃料電池アノードからカソードまでの電位差を模式的に示す模式図、(b)従来の燃料電池おけるカソード近傍での電位差を模式的に示す模式図、(c)本発明の燃料電池おけるカソード近傍での電位差を模式的に示す模式図である。
符号の説明
10 燃料電池
12 固体高分子膜(電解質層)
14 カソード
22 アノード
16 カソード側触媒層
18 カソード側微細孔層
20 カソード側拡散層
24 アノード側触媒層
26 アノード側微細孔層
28 アノード側拡散層
50 膜電極接合体
100 家庭用燃料電池コージェネレーションシステム
152 脱硫器
154 改質器
156 変成器
158 CO除去器
160 バーナ
162 貯湯タンク
164 水配管
166 カソード側加湿タンク
168 分岐配管
170 冷却水通路
172 アノード側加湿タンク
174 水処理装置
HEX01、HEX02、HEX03、HEX04、HEX05、HEX06、HEX07 熱交換器
HEX10 全熱交換器

Claims (4)

  1. 電解質層と、前記電解質層の一方の面に設けられるカソード触媒層と、前記電解質層の他方の面に設けられるアノード触媒層と、を備える固体高分子膜を使用した燃料電池において、前記電解質層と前記カソード触媒層との間に設けられ、カソード触媒よりも比抵抗の高い物質を含む還元層を備え、前記カソード触媒層に酸化剤の反応流体が供給され、前記還元層は、カソード触媒層における反応流体の上流側に対応する領域よりも下流側に対応する領域に集中して形成されていることを特徴とする固体高分子膜を使用した燃料電池。
  2. 電解質層と、前記電解質層の一方の面に設けられるカソード触媒層と、前記電解質層の他方の面に設けられるアノード触媒層と、を備える固体高分子膜を使用した燃料電池において、前記電解質層と前記カソード触媒層との間に設けられ、カソード触媒よりも比抵抗の高い物質を含む還元層を備え、前記カソード触媒層に酸化剤の反応流体が供給され、前記還元層は、カソード触媒層における反応流体の上流側に対応する領域から下流側に対応する領域に向けて塗布量が多くなるように傾斜をつけて形成されていることを特徴とする固体高分子膜を使用した燃料電池。
  3. 請求項1記載または請求項2記載の固体高分子膜を使用した燃料電池において、前記還元層は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化タングステン、タングステンカーバイド、タンタルカーバイド、チタンカーバイドおよびモリブデンカーバイドからなる群のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする固体高分子膜を使用した燃料電池。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の固体高分子膜を使用した燃料電池と、
    前記固体高分子膜を使用した燃料電池のカソード触媒層に酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、前記固体高分子膜を使用した燃料電池のアノード触媒層に燃料を供給する燃料供給手段と、を備えることを特徴とする固体高分子膜を使用した燃料電池システム。
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