JP2003288915A - 固体高分子型燃料電池用膜電極接合体 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用膜電極接合体

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JP2003288915A
JP2003288915A JP2002092029A JP2002092029A JP2003288915A JP 2003288915 A JP2003288915 A JP 2003288915A JP 2002092029 A JP2002092029 A JP 2002092029A JP 2002092029 A JP2002092029 A JP 2002092029A JP 2003288915 A JP2003288915 A JP 2003288915A
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cathode
polymer electrolyte
layer
anode
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Eiji Endo
栄治 遠藤
Shinji Terasono
真二 寺園
Widjaja Hardiyanto
ウイジャヤ ハルデイヤント
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガスの低加湿運転や無加湿運転においても出力
電圧低下が起こらず、高い電池出力を起動初期から長期
間にわたり安定して得られる固体高分子型燃料電池用膜
電極接合体の提供。 【解決手段】触媒層とガス拡散層とを有するアノード及
びカソードと、それらの間に配置され、アノード及びカ
ソードの触媒層とそれぞれ隣接する高分子電解質膜とを
有する固体高分子型燃料電池用膜電極接合体において、
カソード及びアノードの少なくとも一方の触媒層と高分
子電解質膜との間に、水の接触角が10度以下である無
機化合物を含む層を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池用膜電極接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、電池反応による生成物が原
理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないク
リーンな発電システムとして注目されている。
【0003】特に、高分子電解質膜を有する固体高分子
型燃料電池は、(1)高いイオン導電性を有する高分子
電解質膜が開発されたこと、(2)高分子電解質膜と同
種或いは異種のイオン交換樹脂(高分子電解質)で被覆
した触媒担持カーボン微粒子を電極の触媒層の構成材料
として使用し、触媒層内の反応サイトの3次元化が図ら
れるようになったこと等によって、電池特性が飛躍的に
向上した。そして、このような高い電池特性を得られる
ことに加え、小型軽量化が容易であることから、固体高
分子型燃料電池は、電気自動車等の移動車両や、小型コ
ジェネレーションシステムの電源等としての実用化が期
待されている。
【0004】現在検討されている固体高分子型燃料電池
は、その作動温度領域が高分子電解質膜の耐熱性やイオ
ン伝導性等の制約により一般的に50〜120℃と低
く、その排熱を利用しにくいので、その実用化に向け
て、特に純水素等のアノード反応ガス利用率及び空気等
のカソード反応ガス利用率の高い作動条件下において、
高い発電効率、高い出力密度を得ることのできる性能が
要求されている。
【0005】通常、固体高分子型燃料電池に使用される
ガス拡散電極は、上記のイオン交換樹脂で被覆された触
媒担持カーボン微粒子を含有する触媒層と、この触媒層
に反応ガスを供給すると共に触媒層において発生する電
荷を集電するガス拡散層とからなる。そして、ガス拡散
電極の触媒層内には、上記の構成材料となるカーボン微
粒子の二次粒子間又は三次粒子間に形成される微少な細
孔からなる空隙部が存在し、当該空隙部が反応ガスの拡
散流路として機能している。
【0006】従来の固体高分子型燃料電池においては、
高分子電解質膜及び触媒層中のイオン交換樹脂(高分子
電解質)が乾燥すると伝導度が低下し、発電電圧が低下
して発電におけるエネルギー効率が低下していた。発電
効率を上げて燃料電池を運転するためには、この乾燥の
防止が必要となる。そこで従来はアノード及びカソード
にあらかじめ加湿したガスを供給したり、セル内に水を
供給して気化させ加湿する等の方法が採用されていた。
前者の場合、加湿による供給ガスの露点が高くセル温度
に近いほど電池特性が高い傾向がある。
【0007】しかし、セル温度に近い露点のガスを供給
するためには、加湿用純水の確保や加湿に消費するエネ
ルギーが必要となる。特に供給量が多いカソードガスの
場合は顕著である。しかし、カソードガスの低加湿運転
や無加湿運転により加湿エネルギーの低減を図ろうとす
ると上述の乾燥の問題が生じる。なお本明細書では、
「低加湿運転」とは、供給ガスの露点をセル温度よりも
10℃以下の温度として運転することをいう。
【0008】低加湿運転における乾燥を改善するための
方法として、高分子電解質膜のイオンクラスター内部に
SiO等の親水性物質をゾルゲル法等で形成して、高
分子電解質膜の保湿性を向上することが検討されてい
る。しかしこの方法では、親水性の程度を調整すること
が困難であり、また、膜の柔軟性の低下や、イオンクラ
スター内部に存在する親水性物質による伝導度の低下と
いう高分子電解質膜本来の機能を損なう問題点がある。
【0009】また、特開平11−45733には、親水
性金属酸化物の層をカソード触媒層と支持層(ガス拡散
層)との間に設ける方法が開示されている。しかしこの
方法では、親水性金属酸化物層が高分子電解質膜に直接
接していないため、低加湿運転又は無加湿運転において
は、親水性金属酸化物の層に保持された水分は支持層
(ガス拡散層)を拡散してくる露点の低いカソードガス
により奪われ、高分子電解質膜を十分に加湿することは
できず、特性低下が避けられなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する課題に鑑みてなされたものであり、供給する
ガスの露点が低い低加湿運転や無加湿運転においても出
力電圧低下が起こらず、高い電池出力を起動初期から長
期間にわたり安定して得ることのできる固体高分子型燃
料電池用膜電極接合体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、低加湿運転や無
加湿運転により発電電圧が低下する原因は、供給するガ
スの露点が低いため、そのガスの蒸気圧と平衡にある触
媒層中のイオン交換樹脂及び高分子電解質膜の含水率が
低下するためであることが判明した。すなわち、イオン
交換樹脂等の含水率が低下することにより、比抵抗が増
加してオーム損が増加し、さらにカソードではイオン交
換樹脂の酸素ガス透過性が減少して酸素還元反応の過電
圧が増加するため、発電電圧が低下することが判明し
た。
【0012】そこで、本発明は、アノードと、カソード
と、前記アノードと前記カソードとの間に配置される高
分子電解質膜とを有し、前記アノード及びカソードはガ
ス拡散層と、当該ガス拡散層と前記高分子電解質膜との
間に配置される触媒層とを備えている固体高分子型燃料
電池であって、前記カソード及び前記アノードの少なく
とも一方の触媒層と前記高分子電解質膜との間に、水の
接触角が10度以下である無機化合物を含む層を有する
ことを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜電極接合体
を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、アノード及び/又は
カソードの触媒層と高分子電解質膜との間に、水の接触
角が10度以下である無機化合物を含む層が存在する
が、ここで水の接触角の物理化学的な意味は以下のとお
りである。固体表面で液体が濡れるか否かは、液体分子
間の相互作用と液体/固体分子間の相互作用の大小関係
で決定される。液体分子間の相互作用よりも液体/固体
分子間の相互作用が大きければ、液体は固体表面で濡れ
広がる。液体が固体表面に置かれた時、どういう平衡状
態で静止するかを示す尺度ととして接触角がある。接触
角とは液滴端での接線と固体表面との角度であり、液
体、固体の表面張力及び液体、固体の界面張力とYou
ngの式:γ=γcosθ+γSLによって関係づ
けられるものである。
【0014】ここで、θは接触角、γ、γはそれぞ
れ固体、液体の表面張力、γSLは液体/固体の界面張
力を示す。液体と固体の接触角が小さいほど液体は固体
表面で濡れ広がり、液体/固体分子間の相互作用が大き
いことを示す。すなわち、物質の水の接触角とは、その
物質と水の相互作用の大きさを示すものであり、物質の
親水性を定義する尺度で、水の接触角θが小さい物質ほ
ど親水性が高いことを意味し、水の接触角θが大きい物
質ほど疎水性が高いことを意味する。水の接触角が10
度以下の無機化合物は、親水性が高いため、触媒層中に
含まれることによりその触媒層及び膜電極接合体全体が
保水性に優れ乾燥しにくくなる。特に水の接触角が8度
以下の無機化合物が触媒層に含まれるとより好ましい。
さらに、触媒層を有する電極中に長期にわたって安定に
保持され水とともに排出されないように、上記無機化合
物の接触角は2度以上であることが好ましい。
【0015】この接触角を測定する方法としては、粉体
(固体)を錠剤成型しその上に置かれた液滴の接触角を
直接する「液滴法」、粉体を液体中に分散した時に発生
する熱量を測定する「浸漬熱法」、円筒内に充填した粉
体に毛管現象で吸収される液体の移動速度や移動液量を
測定する「毛細管法」等がある。上記の「液滴法」の場
合には、例えば、協和界面科学社製FACE自動接触角
計CA−Z型等を用いて測定することができ、「毛細管
法」の場合には、協和界面科学社製FACE自動粉体接
触角計PHW−S型等を用いて測定することができる。
本明細書における接触角は、毛細管法で測定して得られ
る数値をいう。毛細管法で測定できない、平板状の物質
等の場合は例えば液適法で測定してもよい。
【0016】水の接触角は、同じ物質でもその製造方法
により数値が異なる。例えばSiO の場合、スパッタ
等により基板上に形成したものは初期の接触角は通常1
0度程度であるが、空気に触れると空気中の有機物や汚
れの付着により経時的に接触角は増加して20〜30度
程度となる。一方ゾルゲル法等で作製したSiOは非
常に多孔質な構造になり、また表面に多量の水酸基を有
するため長期にわたって低い水の接触角(例えば8度以
下)が保てる。
【0017】次に、図面を参照しながら本発明の固体高
分子型燃料電池の好適な実施形態について説明する。図
1は、本発明の膜電極接合体の実施態様を含む固体高分
子型燃料電池のセルを示す図である。この燃料電池の膜
電極接合体は、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜
1と、アノード2と、カソード5と、アノード2と水の
接触角が10度以下である無機化合物を含む層8と、カ
ソード5と高分子電解質膜1との間に形成された水の接
触角が10度以下である化合物を含む層9とにより構成
される。アノード2は、アノードの触媒層3とアノード
のガス拡散層4とからなり、カソード5は、カソードの
触媒層6とカソードガス拡散層7とからなる。アノード
2には水素を含む燃料ガスが供給され、燃料ガスはアノ
ードガス入口10aに供給され、アノードガス出口10
bから排出される。同様に酸素を含む酸化剤ガスがカソ
ードガス入口11aに供給され、カソードガス出口11
bから排出される。
【0018】上述の燃料ガスとしては、例えばメタノー
ルや天然ガスといった炭化水素系原燃料を水蒸気改質し
て生成される水素含有ガスが用いられ、酸化剤ガスとし
ては例えば空気等の酸素含有ガス用いられる。そして、
アノード8においては、H→2H+2eの反応
が、カソード5においては(1/2)O+2H+2
→HOの反応が進行し、全体としてH+(1/
2)O→HOの全電池反応が進行して電気エネルギ
ーが発生する。
【0019】本発明では、水の接触角が10度以下であ
る無機化合物を含む層(以下、本親水層という)を高分
子電解質膜とカソードの触媒層との間に配置することに
より、カソードガスの低加湿運転や無加湿運転における
発電電圧の低下を効果的に防止できる。この理由として
は、アノードで水素が酸化されて生成した水素イオンが
電気浸透水を伴って膜を透過してカソードに移動する過
程において、その電気浸透水が本親水層に捕捉されて、
本親水層からなる含水率の高い層が膜電極接合体中に形
成されるためと考えられる。すなわち、含水率の高い層
の存在により、カソードガスの低加湿運転や無加湿運転
においても高分子電解質膜及びカソード触媒層が十分加
湿されるため、発電電圧の低下が防止できるものと考え
られる。
【0020】一方、露点の高いガスを供給しやすいアノ
ードでも、反応により水素が酸化されて生成された水素
イオンが膜を透過してカソードに移動する際に水和水
(電気浸透水)を伴うので乾燥しやすい。したがって、
アノードの触媒層と高分子電解質膜との間に接触角が1
0度以下の無機化合物を含む層を配置することも膜電極
接合体の乾燥の防止には有効である。すなわち、本発明
における水の接触角が10度以下である無機化合物を含
む層は、高分子電解質膜とアノードの触媒層の間でも、
高分子電解質膜とカソードの触媒層との間でもよく、さ
らに膜の両面に形成されていてもよい。
【0021】なお、本発明者らは、水の接触角が10度
以下の無機化合物のかわりに水の接触角が10度よりも
高い物質を含む層をイオン交換膜と触媒層との間に配置
した場合は、水素イオンの同伴水の捕捉が不充分なた
め、発電電圧の低下を効果的に防止できないことを確認
した。
【0022】本発明における水の接触角が10度以下の
無機化合物は、接触角測定計で測定した値が10度以下
であれば特に限定されない。しかし、固体高分子型燃料
電池においては酸素電極反応が進行し、この反応は非常
に酸化性が高いことから、耐酸化性の高い物質が好まし
い。またこれらの化合物を含む層は、アノードで生成し
た水素イオンが電気浸透水を伴って、膜を透過してカソ
ードに移動する間に配置される層であるから、水素イオ
ンの移動を阻害しないものが好ましく、さらには水素イ
オンの移動を助長するイオン交換機能を有する化合物で
あると好ましい。具体的には、金属酸化物(TiO
SiO等)、ヘテロポリ酸、無機リン酸塩(Zr(H
PO、(ZrO)(HPO等)等が好ま
しい。なかでも、リン酸ジルコニウム及びポリリン酸ジ
ルコニウムは、結晶構造が層状であり、その層間に水分
子を取り込むことができるので特に好ましい。
【0023】本発明における水の接触角が10度以下で
ある無機化合物は、本親水層において単位面積あたり
0.1〜10mg/cm含まれることが好ましく、さ
らには0.3〜3mg/cm含まれることが好まし
い。上記無機化合物の量が0.1mg/cm未満であ
ると、低加湿運転や無加湿運転の際に十分に膜及び触媒
層の乾燥を防止できないおそれがある。一方、10mg
/cmを超えると、本親水層の厚さが厚くなり、本親
水層の抵抗が高くなり燃料電池の出力の低下につながる
おそれがある。
【0024】本発明における高分子電解質膜とカソード
及び/又はアノードの触媒層との間に、本親水層を形成
する方法としては、水の接触角が10度以下である無機
化合物を分散媒に分散した分散液を用い、高分子電解質
膜又は触媒層に対し、噴霧、塗布、濾過転写するなどの
方法が採用できる。
【0025】また、本親水層にはバインダが含まれてい
てもよく、バインダが含まれると本親水層の強度が高く
なり、かつ効率的に本親水層を高分子電解質膜面に形成
することができる。特にこのバインダは、高分子電解質
膜を構成する樹脂と同様の樹脂であれば、膜と触媒層と
の密着性が高められるので好ましい。具体的な形成方法
としては、水の接触角が10度以下である無機化合物
を、高分子電解質膜を構成する樹脂を溶解した液に分散
させて分散液を作製し、高分子電解質膜又は触媒層に対
し、噴霧、塗布、転写する等の方法で形成できる。
【0026】また、上述の分散液をキャストして水の接
触角が10度以下である無機化合物とイオン交換樹脂と
からなる複合膜をあらかじめ形成し、これを種々の方法
で高分子電解質膜表面に貼り付けることもできる。
【0027】本発明の構成によれば、上述のとおり低加
湿運転や無加湿運転の際、アノードで水素が酸化されて
生成した水素イオンが電気浸透水を伴って膜を透過しカ
ソードに移動する過程において、その電気浸透水が本親
水層に捕捉されて膜電極接合体中に含水率の高い層が形
成されるため高分子電解質膜及び触媒層が十分加湿され
る。その結果、高分子電解質膜の近傍の触媒層領域にお
いては、多数の反応サイトが有効に利用されるので電池
の高出力密度化を図ることができる。すなわち、本発明
の構成を採用することにより、ガスの低加湿運転や無加
湿運転において、作動中の固体高分子型燃料電池の触媒
層中の反応サイトへの反応ガス及びプロトンの十分な供
給を長期間にわたり保持でき、良好な耐久性を有する固
体高分子型燃料電池用膜電極接合体を提供できる。
【0028】
【実施例】以下に本発明の具体的態様を実施例及び比較
例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定さ
れない。
【0029】<例1(実施例)>水の接触角が10度以
下である親水性の無機化合物として、SiOの微粒子
を用いた。この材料の接触角を協和界面科学社製自動粉
体接触角計(PHW−S型)で測定した結果、8度であ
った。この微粒子を水/エタノール(質量比で1:9)
の混合分散媒に分散し、固体高分子電解質膜としてスル
ホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる
イオン交換膜(商品名:フレミオンS膜、旭硝子社製、
イオン交換容量1.0ミリ当量/g乾燥樹脂、膜厚80
μm)を使用し、該イオン交換膜に対して、後にカソー
ドの触媒層を形成する面に前記分散液を噴霧し、SiO
の質量が1.0mg/cmとなる層を形成した。
【0030】次に、カーボンブラック粉末に白金を40
重量%担持した担持触媒、イオン交換容量が1.1ミリ
当量/g乾燥樹脂であるCF=CFとCF=CF
−OCFCF(CF)−OCFCFSOHと
の共重合体からなるイオン交換樹脂(以下、樹脂aとい
う)のエタノールを主体とする溶液とを混合して触媒分
散液を調製した。なお、触媒分散液中の担持触媒とイオ
ン交換樹脂の質量比は0.80:0.20であった。上
述のカソード側にSiOからなる層が形成されたイオ
ン交換膜を電解質膜とし、この膜に対して、カソード側
及びアノード側に上記触媒分散液を、いずれも白金含有
量が0.5mg/cmとなるように噴霧し120℃に
て1時間乾燥することにより膜・触媒層接合体(電極面
積10cm)を作製した。
【0031】ガス拡散層としては、厚さ300μmのカ
ーボンペーパーに四フッ化エチレン樹脂の分散液を含浸
させた後、空気雰囲気で350℃で20分焼成したもの
を作製した。2枚のガス拡散層で上記膜・触媒層接合体
を挟み込み、膜・電極接合体を作製した。
【0032】<例2(実施例)>水の接触角が10度以下
である親水性の無機化合物として、TiOの微粒子を
用いた。この材料の接触角を自動粉体接触角計で測定し
た結果、7度であった。この微粒子を例1と同様に水/
エタノールの混合分散媒に分散させ、例1で用いたもの
と同じイオン交換膜に対して、後に空気極の触媒層を形
成する面に上記分散液を噴霧し、TiOの質量として
1.0mg/cmの層を形成した。
【0033】上述のTiOからなる層がカソード側に
形成されたイオン交換膜を電解質膜として用いた以外は
例1と同様にして膜・電極接合体(電極面積10c
)を作製した。
【0034】<例3(実施例)>水の接触角が10度以下
である親水性の無機化合物として、例2で用いたTiO
の微粒子を用いた。このTiOの微粒子と、バイン
ダとして樹脂aのエタノールを主体とする溶液とを混合
してTiO微粒子分散液を調製した。TiO 微粒子
と樹脂aの質量比は2:1であった。次にこの分散液
を、ポリエステルのフィルム上にアプリケータを用いて
キャストした後乾燥し、例1で用いたものと同じイオン
交換膜のカソード側に積層して120℃でホットプレス
することにより、樹脂aをバインダとしたTiO微粒
子層をイオン交換膜片面に形成した。なお、このTiO
微粒子層中のTiOの質量は0.6mg/cm
あった。
【0035】上述のTiOからなる層がカソード側に
形成されたイオン交換膜を電解質膜として用いた以外は
例1と同様にして膜・電極接合体(電極面積10c
)を作製した。
【0036】<例4(実施例)>例3と同様の手法で、
例1で用いたのと同じイオン交換膜の両面に樹脂aをバ
インダとするTiO微粒子層を形成した。なお、Ti
の質量はカソード側は0.5mg/cm、アノー
ド側は0.4mg/cmとなるようにした。このイオ
ン交換膜を電解質膜として用いた以外は例1と同様にし
て膜・電極接合体(電極面積10cm)を作製した。
【0037】<例5(実施例)>水の接触角が10度以
下である親水性の無機化合物として、リン酸ジルコニウ
ム粒子を用いた。この粒子の接触角を自動粉体接触角計
で測定した結果、7度であった。このリン酸ジルコニウ
ム粒子を用い、例4と同様の手法で例1で用いたのと同
じイオン交換膜の両面に、イオン交換樹脂をバインダと
するリン酸ジルコニウム粒子層を形成した。リン酸ジル
コニウムの質量はカソード側は0.5mg/cm、ア
ノード側は0.5mg/cmとなるようにした。この
イオン交換膜を電解質膜として用いた以外は例1と同様
にして膜・電極接合体(電極面積10cm)を作製し
た。
【0038】<例6(比較例)>例1におけるSiO
層を形成しないイオン交換膜を電解質膜として用いた以
外は、例1と同様にして膜・電極接合体(電極面積10
cm)を作製した。
【0039】<例7(比較例)>ガス拡散層としては、
厚さ300μmのカーボンペーパーに四フッ化エチレン
樹脂の分散液を含浸させた後、空気雰囲気で350℃で
20分焼成した。その後、この表面に例1で作製したS
iOの水/エタノール分散液を噴霧し、乾燥して特開
平11−45733に記載された構成と同等の親水層を
形成した。この親水層はガス拡散層と触媒層との間に配
置されるものである。なお、SiOの質量はカーボン
ペーパーの面積換算で1.0mg/cmであった。
【0040】次に例6と同様にして例1におけるSiO
層を形成しないイオン交換膜を電解質膜として用いた
膜・触媒層接合体を作製し、上述の親水層が形成された
ガス拡散層を膜・触媒層接合体のカソード側に配置し、
例1におけるカーボンペーパーと同じものをアノード側
に配置した以外は例6と同様にして膜・触媒層接合体が
2枚のガス拡散層に挟まれてなる膜・電極接合体を作製
した。
【0041】<例8(比較例)>水の接触角が10度以
上である無機化合物のかわりに、ポリエチレンの微粒子
を用いた。この微粒子の接触角を自動粉体接触角計で測
定した結果、94度であった。この微粒子をエタノール
に分散させ、例1で用いたのと同じイオン交換膜に対し
て、後にカソードの触媒層を形成する面この液を噴霧
し、ポリエチレンの質量が0.2mg/cmの層を形
成した。その後は、例1と同様の手法で該イオン交換膜
に対して、空気極側に触媒分散液、水素極側にも触媒分
散液を、いずれも白金含有量が0.5mg/cmとな
るように噴霧し80℃にて1時間乾燥することにより膜
・電極接合体(電極面積10cm)を作製した。
【0042】[電池特性試験]上記の例1〜8の膜・電
極接合体を、ガスの流路となる溝が形成されたセパレー
タを装着した測定セルに組み込んだ。次に、電子負荷と
直流電源(高砂製作所社製、FK400L及びEW17
50L)を用いてセルの発電特性を測定した。測定条件
は、水素導入口圧力;0.05MPa、空気導入口圧
力;0.05MPa、測定セルの作動温度;80℃、水
素は露点70℃のものを用い、空気は露点50℃のもの
を用いて、アノードに水素、カソードに空気を供給し
た。そして、電流密度;1.0A/cmにおける測定
セルのセル電圧の1000時間にわたる経時変化を測定
した。これらの各単位セルの試験結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の固体高分
子型燃料電池用膜電極接合体は、燃料電池作動中におい
て触媒層内のイオン交換樹脂の乾燥による特性低下を防
止して当該触媒層内の反応サイトを有効に利用できる。
したがって、本発明によれば、特にカソードガスの低加
湿運転や無加湿運転においても出力電圧低下が起こりに
くく、高い電池出力を起動初期から長期間にわたり安定
して得ることのできる固体高分子型燃料電池用膜電極接
合体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜電極接合体の実施態様を含む固体高
分子型燃料電池のセルを示す図。
【符号の説明】
1:高分子電解質膜 2:アノード 3:アノードの触媒層 4:アノードのガス拡散層 5:カソード 6:カソードの触媒層 7:カソードガスの拡散層 8、9:水の接触角が10度以下である化合物を含む層 10a:アノードガス入口 10b:アノードガス出口 11a:カソードガス入口 11b:カソードガス出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H026 AA06 CX05 EE11 EE12 HH00 HH05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アノードと、カソードと、前記アノードと
    前記カソードとの間に配置される高分子電解質膜とを有
    し、前記アノード及びカソードはガス拡散層と、当該ガ
    ス拡散層と前記高分子電解質膜との間に配置される触媒
    層とを備えている固体高分子型燃料電池であって、前記
    カソード及び前記アノードの少なくとも一方の触媒層と
    前記高分子電解質膜との間に、水の接触角が10度以下
    である無機化合物を含む層を有することを特徴とする固
    体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
  2. 【請求項2】前記無機化合物は、金属酸化物、金属リン
    酸塩及びヘテロポリ酸からなる群から選ばれる1種以上
    である請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用膜電極
    接合体。
  3. 【請求項3】前記無機化合物は、前記無機化合物を含む
    層において単位面積あたり0.1〜10mg/cm
    まれる請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用
    膜電極接合体。
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