JP2007242423A - 膜電極接合体およびこれを用いた固体高分子型燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体およびこれを用いた固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 触媒成分の電解質膜中への析出を防止することにより、電解質膜の穴あきを防止することのできる膜電極接合体を提供する。
【解決手段】 カソード触媒層と電解質膜との間に、カソード触媒層から電解質膜への触媒イオンの溶出を抑制ないし防止する機能を持つカソード側ブロッキング層を有し、
カソード触媒層:カソード側ブロッキング層:電解質膜の厚さの比が、20:1:500〜1:1:25であることを特徴とする膜電極接合体。
【選択図】図1

Description

本発明は、高耐久構造を有する膜電極接合体(単にMEAともいう)およびこれを用いた固体高分子型燃料電池に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動して高出力密度が得られる燃料電池が移動体用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。特に、電解質に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動することから、燃料電池自動車から携帯機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末、携帯音楽プレイヤー、ノート型パソコン等)まで幅広い分野での移動体用電源として期待されている。
しかしながら、こうした固体高分子型燃料電池において、電池の作動時にPtまたはPt合金触媒がカソード触媒層より電解質膜内にPtイオンとして溶出・析出し、そのPtイオンの析出部分が選択的に劣化、膜の穴あきが生じることが報告されている。これは、電解質膜内に析出したPtイオンによって過酸化水素から反応性が高く寿命の短いOHラジカル等が生成する。この短寿命のラジカルがPtイオン析出部分の膜を攻撃して、膜を構成する高分子電解質材料の分子鎖(例えば、側鎖の−CF−基やイオン交換基の−SO イオン等)などを切断(分解)して劣化させ、膜の穴あきを招くものと考えられている。つまり、OHラジカルが膜を攻撃する領域は、該OHラジカルの発生箇所であるPtイオンの析出部分近傍の狭い範囲に留まる為、当該Ptイオンの析出部分がいわば選択的に劣化されるのである。
かかる課題に対して、電解質にリン酸を用いるリン酸型燃料電池では、特許文献1に見られるように、電解質にPtイオンを予め添加することにより触媒層からのPtの溶出防止を行っている。
また、特許文献2には、Co、Fe、Cr、Mn、Cu、V、Ru、Pd、Ni、Mo及びWからなる金属が塩、酸化物、有機金属錯体の形態または様々な担体物質(C、SiO、Al、ゼオライトまたはヘテロポリ酸)と組合せた形態の添加物が、過酸化物を分解するために固体高分子型燃料電池の触媒層に添加されることが記載されている。
特開平1−315954号公報 特開2003−086188号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明を固体高分子型燃料電池に適用した場合、固体高分子電解質膜には予めPtイオンを分散させる技術が困難であり、確立されていない。そのため、触媒イオンの溶出防止を図ることができず、膜内のPt析出部分が選択的に劣化、膜の穴あきが生じるという問題点は解決困難であった。
また、特許文献2に記載の発明は、触媒層内の過酸化物を分解する技術であり、触媒(Pt)イオンの溶出防止を図ることができず、膜内の触媒金属(Pt)析出部分が選択的に劣化、膜の穴あきが生じるという問題点は何ら解決し得ないものであった。即ち、触媒層内の過酸化物(H)を分解できたとしても、膜内のPtイオンにより過酸化物が生成し、この過酸化物が膜を劣化させ、膜の穴あきを生じてしまう。
そこで、本発明は、触媒成分の電解質膜中への析出を防止することにより、電解質膜の穴あきを防止することのできるMEA及びこれを用いた固体高分子型燃料電池を提供することにある。
本発明は、少なくともカソード触媒層と電解質膜との間に、電解質膜中へのカソード触媒金属の析出を抑制乃至防止する機能を持つカソード側ブロッキング層を有し、カソード触媒層:カソード側ブロッキング層:電解質膜の厚さの比が、20:1:500〜1:1:25であることを特徴とするMEAにより達成することができる。
本発明のMEAにより、カソード触媒層から電解質膜への触媒イオンの溶出をカソード側ブロッキング層にて防止することができる。これにより、電解質膜中へのPt析出を効果的に防止する機能をもつ。この機能により、これまでに膜中に析出したPt上で過酸化物が生成し、この過酸化水素、更にはOHラジカル等が周囲の膜を攻撃することにより生じる膜の穴明きを防ぐ効果を持つ。すなわち、燃料電池の劣化を防止する効果がある。
本発明のMEAは、少なくともカソード触媒層と電解質膜との間に、電解質膜中へのカソード触媒金属の析出を抑制乃至防止する機能、(好ましくは、さらに過酸化物を分解する機能)を持つカソード側ブロッキング層を有し、カソード触媒層:カソード側ブロッキング層:電解質膜の厚さの比が、20:1:500〜1:1:25であることを特徴とするものである。
図1は、本発明に係るMEAの基本構成を模式的に表した断面概略図である。図2は、本発明に係るMEAを用いた固体高分子形用燃料電池の基本構成である燃料電池セルを模式的に表した断面概略図である。
図1、2に示すように、本発明において、燃料電池セル11を構成するMEA10の構造は、電解質膜1の両面にアノード及びカソード触媒層3a、3bがそれぞれ接合されている。さらに、本発明では、カソード触媒層3bと電解質膜1との間(界面)に、カソード側ブロッキング層2bが配置されているものである。本発明では、更に、アノード触媒層3aと電解質膜1との間(界面)にもアノード側ブロッキング層2aが配置されているのが望ましい。
次に、本発明の燃料電池セル11全体の構造は、MEA10の各触媒層3a、3bの外側にアノード及びカソードGDL4a、4bが配置されているものである。なお、このGDL4a、4bまでを、本発明のMEAに含めてもよい。この各GDL4a、4bの外側にアノード及びカソードパレータ5a、5bが配置されている。該セパレータ5a、5bの内部にはガス流路(溝)6、7が設けられている。このガス流路(溝)6、7を通じて、水素含有ガス(例えば、Hガスなど)及び酸素含有ガス(例えば、Airなど)がアノード側及びカソード側のGDL4a、4bを通して触媒層3a、3bにそれぞれ供給される。さらに、ガスが外部へ漏洩することを防止するために、電解質膜1の外周領域とセパレータ5a、5bとの間にガスケット(シーリング層)8がそれぞれ配置されている。
以下、本発明のMEA、更にこれを用いてなる固体高分子形用燃料電池につき、構成要件ごとに説明する。
[カソード側ブロッキング層]
本発明では、図1、2に示すように、カソード触媒層3bと電解質膜1との間に、カソード側ブロッキング層2bが配置されていることを特徴とするものである。このブロッキング層2bは、電解質膜1中へのカソード触媒金属(例えば、Ptなど)イオンの溶出を抑制ないし防止する機能を持つものである。好ましくは更に過酸化物(H、HOラジカル)を分解する機能を持つものである。こうした機能により電解質膜への触媒イオンの溶出を抑制及び防止し、更に過酸化物の侵入をも防止することができ、電池性能の低下を抑制することができる。
すなわち、触媒層3bで溶出された触媒イオン(Pt2+等)は、ブロッキング層2bの持つ電解質膜1中への触媒溶出抑制・防止機能により、膜1内への移動を制限されることにより、触媒イオンの多くはカソード側ブロッキング層2bの手前で再析出される。更にブロッキング層2b内に入れても、ここで捕獲されるものである。図1中では、触媒イオンの代表例としてPt2+を表記し、その移動の様子を矢印で示し、移動が抑制乃至防止されたことを×印で表記した。また、過酸化物(図示せず)もブロッキング層2bの持つ過酸化物分解機能により分解される。そのため、膜1内への触媒イオンの溶出ないし過酸化物の侵入を効果的に防止することができ、電池の耐久性の向上を図ることができる。これにより、触媒層3bと電解質膜1との間において触媒イオンが移動しにくい界面を提供するという作用を有する。更に、触媒層3b内で発生した過酸化物を膜1内に侵入する前に効果的に分解除去できるという作用を有する。
カソード側ブロッキング層2bを構成することのできる材料としては、上記した作用効果を奏することのできるものであればよく、特に制限されるものではない。好ましくは、ポリ酸からなる機能性材料を含有していることが望ましい。より好ましくは、Co、Mn、V、Pd、Mo、SnおよびWよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の元素を用いて形成されてなるポリ酸からなる機能性材料を含有していることが望ましい。ただし、本発明では、上記のものに制限されるものではなく、例えば、Nb、Taなどの金属元素を用いて形成されるポリ酸などの機能性材料を含有するものであってもよい。これら特定の金属元素を用いて形成されたポリ酸からなる機能性材料は、以下の点で優れている。
(1)固体酸として触媒イオンを捕獲することにより、触媒の電解質膜中へ溶出防止する機能を有する。
(2)過酸化物(H、HOラジカル)を分解(除去)する機能を有する。
(3)Hをイオン交換してプロトンを放出する機能(かかる機能は主にアノード側に用いた際に有効である)を有する。
そして、上記(1)〜(3)の機能を兼ね備えることで、これをカソード側ブロッキング層2bに用いることで、電解質膜1中への触媒金属(例えば、Ptなど)の析出を効果的に防止する機能をもつ。この機能により、これまでに膜中に析出した触媒金属上で過酸化物が生成し、この過酸化物が周囲の膜を攻撃することにより生じる膜の穴あきを防ぐ効果を持つ。すなわち、燃料電池の劣化を防止する効果がある。
上記機能性材料として用いられるポリ酸の構造は、例えば、バナジウム(V5+)、ニオブ(Nb5+)、モリブデン(Mo6+)、タングステン(W6+)、タンタル(Ta5+)などの遷移金属イオンに酸化物イオン(O2−)が4〜6配位してできる四面体、四角錐、八面体などの多面体が基本単位となっている。ポリ酸は、これら多面体が稜や頂点を共有して積み木のように多数縮合してできた多核錯体である。具体的には、例えば、[PW12403−などのケギン型(Keggin type)構造や[P1862n−などのドーソン型(Dawson−type)構造がある。さらに、ポリ酸は、通常陰イオン(anion)として存在し、その負電荷を補償するため結晶中では対カチオンとしてプロトン(H)、NaやKなどのアルカリ金属イオン、Ca2+、Sr2+などのアルカリ土類金属イオン、時にはアルキルアンモニウムイオン(R4−n)などの有機カチオンが周囲を取り囲み、さらに水分子などの溶媒分子も格子中に存在しているものもあり、いずれの構造のものも利用可能である。例えば、ケギン型のK[BW1240]・13HOなども利用できる。また、本発明のポリ酸には、イソポリ酸(例えば、[Mo192−、[W10324−、[H12425−、[Mo2−など)、ヘテロポリ酸(例えば、[BW12405−、[SbW248−、[(RE)(W188−、[(RE)(BW1139)(W18)]15−、[(RE)(CO)(SbW33)(W1818−、[(RE)(HO)(SbW33)(W1815−、[{(RE)O(OH)(HO)Al(Nb1926−、[(RE)(HO)12Mo27](ここで、REは希土類元素である))の双方を含むものである。ヘテロポリ酸では周期律表の大部分の元素がヘテロ原子としてポリ酸の構造内に取り込まれ得る。また、ヘテロポリ酸には、ヘテロ原子だけでなく分子がポリ酸中にカプセル化されたもの(例えば、[V1844(N)]n−など)も含まれるものとする。ポリ酸には、さらに同じ化学式をもち構造が異なる「構造異性体」も含まれる。また、無限構造のポリ酸(例えば、八面体と四面体の両方から構成されてなる、[Mo2−)も含まれる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリ酸として好ましくは、一般式
(式中、Mはポリ原子Co、Mn、V、Pd、Mo、SnおよびWから選ばれる少なくとも1種であり、mは6〜12である。)で表されるケギン型構造のヘテロポリ酸を有するものが望ましい。これは、上記ポリ酸が持つHの分解能が、これらのヘテロポリ酸では特に優れており、触媒層3b内で生成されたHが膜1内に侵入するのを化学的かつ効果的に防止することができる点で優れている。本発明でいうポリ酸には、上記したように、イソポリ酸及びヘテロポリ酸(分子がカプセル化されたポリ酸などを含む)の双方を含むものとする。
カソード側ブロッキング層2bの上記機能性材料の含有量は、重量比で、カソード触媒層3bの金属触媒(単に、カソード触媒金属ともいう):カソード側ブロッキング層2bの機能性材料=1:0.01〜5、好ましくは1:0.05〜1.5の範囲である。上記機能性材料の含有量が、重量比で、カソード触媒金属含有量の0.05倍以上の場合には過酸化水素の分解を促進する機能を果たすことができる。さらに、触媒層3b中の金属触媒量に対して機能性材料の含有量を十分確保することができる。そのため、溶出されるカソード触媒イオンを長期間安定して触媒イオンを捕獲することができるなど、上記(1)〜(3)の機能を有効に発現することができる。その結果、発電性能および膜耐久性に優れるMEAを提供することができる。一方、上記機能性材料の含有量が、重量比で、カソード触媒金属含有量の5倍以上の場合には電池性能を損なうおそれがある。触媒層3b中の金属触媒量に対して機能性材料の含有量が本発明の範囲であれば、触媒層の金属触媒量を制限して電池性能を損なうこともなく、効果的に上記(1)〜(3)の機能を発現させることができる。その結果、発電性能および膜耐久性に優れるMEAを提供することができる。
また、上記カソード側ブロッキング層2bの構成(構造)としては、特に制限されるものではないが、前記機能性材料の持つ特性を効果的に作用させるように形成されているのが望ましい。好ましくは前記機能性材料を(細孔内部に担持するなど)含有してなるポーラス体を用いて構成されているものである。より好ましくは、前記機能性材料を含有(ドープ)してなる直径が10〜100Åの細孔を持つメソポーラス体、特にメソポーラスシリカを用いて形成されているものが望ましい。これは、ポリ酸などの機能性材料がポーラス体中にドープされ、そのポーラス体をカソード触媒層3bと電解質膜1との間の界面に形成させることにより、溶解した触媒金属が膜中へ析出することを、物理的にも、化学的にも、防ぐことができる点で優れている。なお、カソード側ブロッキング層2bを後述するアノード側ブロッキング層2aのような炭化水素系膜または有機−無機ハイブリッド膜中に前記ポリ酸などの機能性材料がドープされた構成(構造)としてもよい。ただし、溶解した触媒金属が膜中へ析出することを物理的にブロッキングする点では、ポーラス体を用いた場合の方が優れている。
カソード側ブロッキング層2bとして、より好ましくは、上記機能性材料をドープしてなる上記ポーラス体(特に上記細孔径を持つメソポーラスシリカ)が、カソード触媒層3bと電解質膜1との間の界面に特定方向に配列された状態で形成されているのがより望ましい構造といえるものである。上記ポーラス体は、電解質膜と触媒層との間のプロトンイオンの移動を妨げない方向性を持って配列することが好ましい。このような構成とすることにより、触媒イオンが電解質膜中に溶出する量を大幅に低減ないしなくすことができる。かかる配列の具体例を図面を用いて説明する。図3はポーラス体(例えば、メソポーラスシリカ)の好適な配列の様子を模式的に表した概略図である。このうち、図3Aは、ポーラス体の長軸方向を膜の厚さ方向に並行に配列させた様子を模式的に表した概略図である。図3Bは、ポーラス体の長軸方向を膜の面内方向に並行に配列させた様子を模式的に表した概略図である。図3Cは、図3Bのポーラス体の配列を膜厚方向に多数重ねて(図では、便宜的に2列重ねた例を表している)配列させた様子を模式的に表した概略図である。
図3Aに示すカソード側ブロッキング層2bでは、電解質膜1とカソード触媒層3bとの間(界面)をポーラス体31を、該ポーラス体31の長軸方向(細孔チャンネル32の開口面)が、電解質膜1ないしカソード触媒層3bの厚さ方向に並行に配列されている。かかる配列により、当該ポーラス体31の細孔32内部を通じて、電解質膜1側からカソード触媒層3b側へのプロトン(図中、Hで表記)の伝導及びこれに同伴される水(図中、Hを囲った破線の丸印で表記)の移動がスムーズに行われる。そのため、膜のドライアウト現象やフラッティング現象が生じるのを効果的に防止することができ、高い発電性能を保持することができる点で特に優れている。また、電解質膜1とカソード触媒層3bとの間(界面)をポーラス体31を、図3Aのように配列して形成することで、カソード触媒層3bで溶出して形成される触媒イオン(図中、Ptn+で表記)の粒子サイズが細孔32サイズよりも大きく、ポーラス体31の細孔32内部に浸入(通過)できない為、カソード触媒層3bから電解質膜1に移動しにくい構造(配列)となっている。そのため、カソード触媒層3bで溶出した触媒イオン(図中、Ptn+を囲った破線の丸印で表記)は、カソード側ブロッキング層2bを構成するポーラス体31の手前で再析出させることができる。また、触媒イオンがポーラス体31の細孔チャンネル32内部に浸入したとしても、ポーラス体31にドープ(例えば、細孔32内表面に担持)された機能性材料により捕獲される為、カソード触媒層3bから電解質膜1に移動しにくい構造(配列)となっている。
図3B及び3Cに示すカソード側ブロッキング層2bでは、電解質膜1とカソード触媒層3bとの間(界面)をポーラス体31を、該ポーラス体31の長軸方向(細孔チャンネル32の開口面)が、電解質膜1ないしカソード触媒層3bの面内方向に並行に配列されている。かかる配列により、隣接するポーラス体31間の隙間を通じてプロトン(図中、Hで表記)の伝導及びこれに同伴して移動する水(図中、Hを囲った破線の丸印で表記)の移動が行われるため、膜のドライアウト現象やフラッティング現象が生じるのを防止することができ、高い発電性能を保持することができる。また、電解質膜1とカソード触媒層3bとの間(界面)をポーラス体31を、図3B、Cのように配列して形成することで、触媒イオン(図中、Ptn+で表記)の粒子サイズが大きく、ポーラス体31間の隙間を通過できない為、カソード触媒層3bから電解質膜1に移動しにくい構造となっている。そのため、溶出した触媒イオン(図中、Ptn+を囲った破線の丸印で表記)は、カソード側ブロッキング層2bを構成するポーラス体31の手前で再析出されている。また、触媒イオンがポーラス体31間の隙間に浸入したとしても、ポーラス体31にドープ(例えば、ポーラス体31外表面に担持)された機能性材料により捕獲される為、カソード触媒層3bから電解質膜1に移動しにくい構造(配列)となっている。尚、図3A〜3Cのカソード触媒層3bは、金属触媒粒子33を担持した導電性担体34からなる電極触媒35および電解質36により構成されており、該電極触媒35から溶出した金属触媒イオンをPtn+を囲った破線の丸印で表記している。また、アノード触媒層から水を同伴し、膜1内を通過してカソード触媒層3bに移動してきたプロトンをHで、これに同伴する水を併せたものをHを囲った破線の丸印で表記している。そして、これら触媒イオンやプロトン+水の移動の様子を矢印で示し、その移動が制限乃至防止されている様子を×印で示している。なお、ブロッキング層2bを構成するポーラス体31は、図3に示すように全体的にポーラス体31の長手方向(細孔チャンネル32)が特定の方向(例えば、膜厚方向や膜の面内方向)に規則的に配列しているのが望ましい。ただし、全てのポーラス体31の長手方向(細孔チャンネル32)が特定の方向に規則的に配列している必要はなく、その作用効果を損なわない範囲内であれば、一部のポーラス体31の長手方向が不規則になっているものが含まれていてもよい。
また、本発明のカソード側ブロッキング層2b、さらには後述するアノード側ブロッキング層2aは、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、多層化して形成されていてもよい。例えば、図3Aと図3B(又は図3C)を組み合わせて多層化した構成になっていてもよいし、後述する図4Bと図3A(又は図3Bや図3C)を組み合わせて多層化した構成になっていてもよい。
さらに、本発明のカソード側ブロッキング層2b、さらには後述するアノード側ブロッキング層2aでは、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、該ブロッキング層と電解質膜との間、あるいは該ブロッキング層と触媒層との間との間に、ブロッキング層以外の他の層が形成されていてもよい。かかる他の層としては、例えば、TiO薄膜などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。
更にまた、本発明のカソード側ブロッキング層2b、さらには後述するアノード側ブロッキング層2aでは、例えば、図3Bに示すように、ポーラス体31を配列させて形成するのに適したマトリック材料(充填材)を用いて形成してもよい。該マトリック材料(充填材)としては、本発明の作用効果を損なわず、高い発電性能を保持しえる材料が好適に用いられるものであり、例えば、水酸化アパタイトなどを好適に用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。
上記図3Aに示すポーラス体31の配列の方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を用いることができるものであり、例えば、膜化の採用方法としては、特開2005−060160号公報の段落「0050」〜「0053」などを好適に利用することができる。また、膜化前の溶液の調製方法としては、特開2005−104808号公報の実施例1の段落「0029」のスピンコート前までなどを好適に利用することができる。
上記図3B、Cに示すポーラス体31の配列の方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を用いることができるものであり、例えば、ゾルーゲル法により作製することができる。
また、後述する実施例1に示す方法によっても、図3の2bに示す配列を有するカソード側ブロッキング層2bを形成することができる。例えば、第一に、ヘテロポリ酸(例えば、モリブドリン酸・n水和物)を水溶液に溶解して所定の濃度に調製したものの中に、ポーラス体として直径10〜100Åの細孔を持つハニカム構造のメソポーラスシリカ(SBA−15等として市販されている)を1〜2時間浸漬し、撹拌して該ポーラス体の細孔中にヘテロポリ酸水溶液を含浸させる。
第二に、このポーラス体を浸漬した水溶液から、ポーラス体をろ過し、アルコール洗浄したのち、再度溶媒に分散(溶解)させ、短時間(10秒間程度)撹拌の後、ガラス基板上に滴下、50〜80℃で12〜36時間熱処理し、高温(400〜600℃)で1〜5時間焼結し、所望の厚さの薄膜を得る。この薄膜を電解質膜上にコールドプレス(詳しくは、加熱することなく室温下(約25℃)、100〜130MPaで1〜5分間プレス)し、カソード側ブロッキング層2bを形成することができる。上記の方法に得られたカソード側ブロッキング層2bは、細孔中にポリ酸が担持されたハニカム構造のポーラス体(図4C参照)が図3に示すように配列させて形成することができる。
上記ポーラス体の材料としては、本発明の作用効果を損なわないものであれば特に制限されるものではないが、好ましくは、メソポーラス体(メソ多孔体)、ゼオライト、金属酸化物、水酸化アパタイト及びリン酸三カルシウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種である。特に好ましくは、ミクロ孔とマクロ孔の中間であるメソ細孔を持つメソポーラス体(メソ多孔体)が好適といえる。これは、メソポーラス分子ふるい効果により、プロトンの移動を妨げることなく、触媒イオンが細孔チャンネル内やメソポーラス体間の隙間に進入するのをブロックすることができ、なおかつ当該メソ細孔内や外表面に上記機能性材料(ポリ酸など)を導入(ドープ)させることができるためである。
上記メソポーラス体(メソ多孔体)の具体例としては、例えば、メソポーラスシリカ、メソポーラスチタニア、メソポーラスジルコニア、メソポーラスアルミナなどが挙げられる。
上記ゼオライトの具体例としては、例えば、シリカ系、チタン系、アルミナ系のものなどが挙げられる。
上記金属酸化物の具体例としては、例えば、TiO−P複合ナノポーラス粉末などのチタニア系のものなどが挙げられる。
このようなポーラス体を選択することにより、触媒イオンの電解質膜中への溶解量を低減することが可能である。
特にカソード触媒層3bから電解質膜1への経路が、図3Aに示すように、ポーラス体31の細孔チャンネル32となるように配置し得る形状を有し、該細孔の直径(大きさ)を触媒イオンのイオンサイズよりも小さくすることで、分子ふるいの効果を発現でき、触媒イオンを物理的にブロッキングすることができる。これにより、電池の運転を重ねるにつれ、局所的(例えば、カソード側ブロッキング層の近傍部)に触媒イオン濃度の濃い領域を作り出し、溶出した触媒イオンが触媒層内(導電性担体表面)で、より再析出し易くなるという後発的な作用効果を獲得することもできる。
上記観点から、前記ポーラス体の細孔の大きさ(直径)は、好ましくは1〜100Å、より好ましくは5〜10Åの範囲であることが望ましい。このような範囲に設定することにより、より効果的に触媒イオンの膜内への溶出を低減し、高いプロトンの伝導性を保持することができる。ポーラス体の細孔の大きさが、直径100Å以下の場合には、分子ふるいの効果により、触媒イオン(7〜10Å程度)が細孔チャンネル内に進入するのをブロックすることができる。一方、ポーラス体の細孔の大きさが、直径10Å以上の場合には、ポーラス体の細孔内にポリ酸(例えば、12−タングストリン酸で分子サイズが約10Åである)を含浸、導入させておくことができる。更に必要があれば、ポーラス体の細孔内の水酸基をシリル化(Si−OH+RSiCl→Si−O−SiR)してポリ酸をナノポーラスの細孔チャンネル内に固定化させることができる。これにより、図3Aの配列での効果を高めることができる。ここで、ポーラス体の細孔の直径は、BETにより算出することができる。
前記ポーラス体の形状(構造)は、本発明の作用効果を損なわないものであれば特に制限されるものではない。配列のさせ方等によっても異なるものであるが、例えば、網目形状(構造)(例えば、ゼオライトなど)、筒型形状(構造)(例えば、ゼオライトなど)、ハニカム構造(例えば、ナノポーラスシリカなど)が挙げられる。このよう形状(構造)とすることにより、分子ふるいの効果により、形状の小さいプロトンのみを容易にブロッキング層を通過させ、触媒イオンは通過させないという作用を有する。図4は、ポーラス体の形状(構造)の1例を示した図面である。図4Aは、ポーラス体の形状が網目形状(構造)、すなわち一体的に形成されたポーラス体31に、いわば無数の細孔32が、いわば網目状に形成されている構造を表したものである。図4Bは、ポーラス体の形状が筒型形状(構造)、すなわち筒開口部を細孔32とする複数の筒型のポーラス体31が長手方向に(規則的に)並んだ構造を表したものである。図4Cは、ポーラス体の形状がハニカム形状(構造)、すなわち角柱開口部を細孔32とする複数の六角柱形状のポーラス体31が長手方向に規則正しく配列して形成された構造を表したものである。図4の構造からもわかるように、図3A〜Cの配列は、図4Bの筒型構造のポーラス体を用いて形成した例である。図4Cのハニカム構造のポーラス体も、図4Bの筒型構造のポーラス体と同様に図3A〜Cの配列を形成させることができる。また、図4Aの網目構造のポーラス体は、特に配列はなくても、上記に規定する直径の細孔を有するように形成することで、図3A〜Cで説明したと同様の作用効果を奏することができるものである。
上記カソード側ブロッキング層3bの厚さとしては、0.5〜200μmの範囲が好ましく、より好ましくは2〜10μmの範囲である。カソード側ブロッキング層の厚さが2μm以上の場合には、カソード側ブロッキング層3bを構成するパーラス体31及びポリ酸等の機能性材料の働きにより、カソード側ブロッキング層3bへの触媒イオンの侵入を妨げ、さらにカソード側ブロッキング層に侵入した触媒イオンも捕捉(トラップ)し、また過酸化物も分解させ、膜内への侵入を大幅に抑制ないし防止し、優れた電池性能(発電性能や耐久性)を長期間にわたって保持することができる。
さらに本発明では、カソード触媒層:カソード側ブロッキング層:電解質膜の厚さの比が、20:1:500〜1:1:10、好ましくは20:1:500〜1:1:25、より好ましくは10:1:250〜5:1:50であることを特徴とする。各層ないし膜の厚さの比を上記範囲に調整する事で、電池の発電効率の低下をきたすことなく、電解質膜への触媒イオンの溶出をより効果的に防ぐことができる点で有利である。カソード側ブロッキング層との関係で説明すれば、カソード側ブロッキング層の厚さに対してカソード触媒層の厚さを1倍以上、好ましくは5倍以上とし、電解質膜の厚さを10倍以上、好ましくは25倍以上、より好ましくは50倍以上に調整する事で、Ptイオンと過酸化水素の膜への移動を防止することが出来る。一方、カソード側ブロッキング層の厚さに対してカソード触媒層の厚さを20倍以下、好ましくは10倍以下とし、電解質膜の厚さを500倍以下、好ましくは250倍以下に調整する事で、電解質からのプロトンの移動を妨げることを防止することが出来る。個々に見ると、カソード側ブロッキング層と電解質膜の厚さの比は1:500〜1:10、好ましくは1:500〜1:25、より好ましくは1:250〜1:50の範囲が望ましい。一方、カソード触媒層とカソード側ブロッキング層の厚さの比は、20:1〜1:1、好ましくは10:1〜5:1の範囲が望ましい。
[アノード側ブロッキング層]
本発明では、図1、2に示すように、アノード触媒層3aと電解質膜1との間(界面)にもアノード側ブロッキング層2aが配置されているのが望ましい。本発明のMEA構造として、アノード及びカソード双方の触媒層3a、3bと電解質膜1との間(境界)にそれぞれブロッキング層2a、2bを形成することにより、アノード触媒層3aからのHのクロスオーバーと、ソード触媒層3bから電解質膜1への触媒イオンの溶出を同時に防止することにより、電解質膜1への触媒析出を効果的に防止できる(図1参照)。その結果、電解質膜1穴あきと触媒層3b(3a)の消耗が防止され、カソード側にのみブロッキング層3aを設けた場合よりも、電池の発電性能及び耐久性をより一層向上することができる。
このアノード側ブロッキング層2aは、アノード側からのHのクロスオーバーを抑制ないし防止する機能を持つものである。これにより、クロスオーバーしたHが膜内に溶出した触媒(Pt)イオンを還元して、触媒(Pt)バンドが形成されることを防止することができる点で優れている。
アノード側ブロッキング層2aを構成することのできる材料としては、上記した作用効果を奏することのできるものであればよく、特に制限されるものではない。好ましくは、ポリ酸からなる機能性材料を含有していることが望ましい。より好ましくは、Co、Mn、V、Pd、Mo、SnおよびWよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の元素を用いて形成されてなるポリ酸からなる機能性材料を含有していることが望ましい。ただし、本発明では、上記のものに制限されるものではなく、例えば、Nb、Taなどの金属元素を用いて形成されるポリ酸などの機能性材料を含有するものであってもよい。これら特定の金属元素を用いて形成されたポリ酸からなる機能性材料は、以下の点で優れている。
(1)固体酸として触媒イオンを捕獲することにより、触媒の電解質膜中へ溶出防止する機能を有する。
(2)過酸化物(H、HOラジカル)を分解(除去)する機能を有する。
(3)Hをイオン交換してプロトンを放出する機能(かかる機能は特にアノード側に用いた際に有効である)を有する。
そして、上記(1)〜(3)の機能を兼ね備えることで、これをアノード側ブロッキング層2aに用いることで、アノード側からのHのクロスオーバーを効果的に抑制ないし防止する機能をもつ。この機能により、カソード側ブロッキング層2bを通過して電解質膜1内に触媒(Pt)イオンが溶出してきたものがあったとしても、クロスオーバーするHを防止乃至抑制できるため、当該触媒(Pt)イオンを還元して、触媒(Pt)バンドが形成されることを極めて効果的に防止することができる。その結果、燃料電池の劣化を大幅に改善する効果がある。
上記機能性材料として用いられるポリ酸に関しては、上記カソードブロッキング層2bを構成する機能性材料として用いるポリ酸について説明したと同様であるので、ここでの説明は省略する。好ましくは、上記カソードブロッキング層2bを構成する機能性材料として用いるポリ酸と同じ一般式〔H12PO40〕・mHOで表されるケギン型構造のヘテロポリ酸を有するものが望ましい。
アノード側ブロッキング層2aの上記機能性材料の含有量は、重量比で、アノード触媒層3aの金属触媒(単に、アノード触媒金属ともいう):アノード側ブロッキング層2aの機能性材料=1:0.01〜5、好ましくは1:0.1〜1の範囲である。上記機能性材料の含有量が、アノード触媒金属含有量の0.01倍以上の場合には水素のクロスオーバー量を低減することが出来る。さらに、アノード触媒層3a中のアノード触媒金属量に対して機能性材料の含有量を十分確保することができる。そのため、機能性材料によりアノード側からクロスオーバーされるHをイオン交換によりHにすることができ、カソード側から溶出された溶出した触媒(Pt)イオンを還元して触媒(Pt)バンドが形成されるのを防止することができる。一方、機能性材料の含有量が、アノード触媒金属含有量の0.01倍以下の場合にはその効果を発揮することが出来ない。さらに、アノード触媒層3a中のアノード触媒金属量に対して機能性材料の含有量が多くなり過ぎて相対的に触媒層3aの触媒金属量を制限し電池性能を損なうこともなく、効果的に上記機能を発現させることができる。その結果、発電性能および膜耐久性に優れるMEAを提供することができる。
前記アノード側ブロッキング層2aの構成(構造)としては、特に制限されるものではないが、前記機能性材料の持つ特性を効果的に作用させるように形成されているのが望ましい。好ましくは炭化水素系膜または有機−無機ハイブリッド膜中に前記機能性材料がドープされた構成(構造)であることが望ましい。これは、カソード側ブロッキング層のように、分子サイズの大きな触媒イオンの溶出はなく、分子サイズの小さなHをブロッキングの対称としているため、より均一に層内に分散させることが有用となる。すなわち、アノード側ブロッキング層でHの分子サイズをブロックするようなナノサイズの細孔を持つポーラス体であれば有効であるように思われるが、プロトンの伝導は、通常数個のHO分子(クラスター化しているとも考えられている)を同伴して移動されることから、H分子よりも大きなHO分子が自由に移動できる大きさを確保する必要がある。従って、アノード側ブロッキング層2aでは、Hのクロスオーバーを物理的に制限するのは困難であり、化学的に制限するのが有効といえる。そのため上記したように電解質膜1中にポリ酸等の機能性材料をドープするのが効果的な手法となりえる。ただし、カソード側ブロッキング層2bと同様にポリ酸等の機能性材料をドープしてなるポーラス体、好ましくは、直径が1〜100Åの細孔を持つナノポーラスシリカなどを用いてアノード側ブロッキング層2aを形成してもよい。特に図3Aにように配列させ、Hが通過するポーラス体31の細孔チャンネル32内部に予めポリ酸等の機能性材料をドープ(充填)させておくことで効果的にブロッキングすることができる。
アノード側ブロッキング層2aに用いるポリ酸等の機能性材料のプロトン伝導度は、0.001S/cm以上、好ましくは0.001〜1S/cm、より好ましくは0.001〜0.5S/cm、特に好ましくは0.01〜0.5S/cmである。機能性材料のプロトン伝導度の上限は特に制限されるものではない。0.001S/cm以下の場合には電池性能を阻害する。こうした高いプロトン伝導度を有する機能性材料としては、例えば、ヘテロポリ酸類などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
アノード側ブロッキング層2a全体が、上記したように高いプロトン伝導度を有するには、アノード側ブロッキング層中のポリ酸等の機能性材料の含有量を0.5質量%以上、好ましくは1〜3質量%の範囲に調整するのが望ましい。なお、ポリ酸等の機能性材料の含有量の上限値は特に制限されるものではないが、製膜性などの観点からは、3質量%以下にするのが望ましい。
また、上記ポリ酸を含有するマトリックス材料としては、特に制限されるものではないが、炭化水素系膜または有機−無機ハイブリッド膜を用いるのが好ましい。触媒となるポリ酸等の機能性材料を高分散担持(保持)するのに適しているからである。
炭化水素系膜または有機−無機ハイブリッド膜としては、本発明の作用効果を損なわないものであれば特に制限されるものではなく、従来公知の燃料電池用電解質膜に用いられている炭化水素系や有機−無機ハイブリッド系の電解質膜を好適に利用することができる。ただし、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
アノード触媒層3a:アノード側ブロッキング層2a:電解質膜1の厚さの比は、10:1:250〜1:10:15、好ましくは10:1:250〜1:10:25、より好ましくは2:1:50〜1:2:25であることが望ましい。各層ないし膜の厚さの比を上記範囲に調整する事で、電解質膜1へのHのクロスオーバーと電解質膜1中への触媒イオンの析出を同時により効果的に防ぐことができる点で有利である。アノード側ブロッキング層2aとの関係で説明すれば、アノード側ブロッキング層2aの厚さに対してアノード触媒層3aの厚さを0.1倍以上、好ましくは0.5倍以上とし、かつ電解質膜1の厚さを1.5倍以上、好ましくは2.5倍以上、より好ましくは12.5倍以上に調整する事で、水素のクロスオーバーを低減することが出来る。一方、アノード側ブロッキング層2aの厚さに対してアノード触媒層3aの厚さを10倍以下、好ましくは2倍以下とし、かつ電解質膜1の厚さを250倍以下、好ましくは50倍以下に調整する事で、プロトン伝導性の低減効果を防ぐ。個々に見ると、アノード側ブロッキング層と電解質膜の厚さの比は、1:250〜1:1.5、好ましくは1:250〜1:2.5、より好ましくは1:50〜1:12.5の範囲が望ましい。一方、アノード触媒層とアノード側ブロッキング層の厚さの比は、10:1〜0.1:1、好ましくは2:1〜0.5:1の範囲が望ましい。
アノード側ブロッキング層2aは、例えば、後述する実施例2に記載の方法を用いて作製することができる。炭化水素系膜または有機−無機ハイブリッド膜の原料を適当な溶媒に適量溶解する。これとは別にポリ酸を適当な溶媒に適量溶解する。この両者を併せ、数分間撹拌して混合液を調製する。その後、テフロンシート等の基材上にテフロン製枠を設け、枠内に上記混合液を適量注ぎ込み均一になるようにへら等で伸ばし、室温にて2〜12時間静置後、更に100〜130℃飽和水蒸気下、6〜24時間加熱し、所望の厚さの透明な薄膜を得ることができる。この薄膜を電解質膜の片面に転写(100〜120℃、100〜200MPaで1〜5分間ホットプレス)し、アノード側ブロッキング層2aを形成することができる。ただし、これらの方法に何ら制限されるものではない。上記方法で得られるアノード側ブロッキング層2aは、機能性材料のポリ酸が、炭化水素系膜または有機−無機ハイブリッド膜中に均一に高分散した形で得ることができる点で優れた方法と言える。
[触媒層]
触媒層3a、3bは、主として、導電性担体34に金属触媒粒子33が担持されてなる電極触媒(触媒物質)35と、プロトン導電性を有する電解質(バインダないしアイオノマとも称する)36とで構成されている(図3参照)。さらに、本発明では、少なくともカソード触媒層3bに触媒錯体(図示せず)が含有されているのが望ましい。以下、これらの構成部材ごとに説明する。
(1)電極触媒
各触媒層3a、3bに含まれる電極触媒35の基本構成は、白金(Pt)などの金属触媒粒子33を担持したカーボンなどの導電性担体34からなるものである。そして導電性担体34表面に金属触媒粒子33が(ほぼ均一に)分散された状態で担持されている。さらに助触媒(粒子)などが担持されていてもよいし、こうした金属触媒33を粒子形態以外にも被膜として担持されている部分があってもよいなど、特に制限されるものではなく、任意の構成、形態を取りえるものである。以下、電極触媒の基本構成の要件を説明する。
(1−1)金属触媒(粒子)
導電性担体34に担持される金属触媒粒子33としては、アルミニウム、ケイ素、リン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、すず、アンチモン、テルル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、鉛およびビスマスよりなる群から選択される1種、もしくは、この群から選択される少なくとも2種の合金を用いることができる。発電特性、耐久性、一酸化炭素などに対する耐被毒性および耐熱性などの点から、白金、白金−鉄合金、白金−コバルト合金、白金−ニッケル合金、白金−モリブデン合金、または白金−ルテニウム合金が好ましい。
金属触媒粒子33の平均粒子径は、発電性能や溶出防止の観点から、1〜30nmが好ましい。平均粒子径が1nm以上であると比表面積に見合った触媒活性が得られる点から好ましく、30nm以下であると触媒活性の点から好ましい。本発明における金属触媒粒子33の平均粒子径は、X線回折における触媒粒子33の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径、または透過型電子顕微鏡像より得られる金属触媒粒子33の粒子径の平均値を求めることにより得ることができる。
(1−2)導電性担体
導電性担体34は、上記金属触媒粒子33を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として機能する導電性を有しているものであればよい。かかる導電性担体34としては、例えば、ケッチェンブラックTMまたはアセチレンブラックなどのカーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛または人造黒鉛などのグラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ガラス状炭素粉体、およびカーボンナノチューブなどが好ましい。なお、これらのカーボン材料は、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。本発明では、導電性担体34として、上記カーボン材料以外の多孔質の導電性担体を、本発明の作用効果を損なわない範囲内で併用してもよい。
導電性担体34の平均一次粒子径は、2nm〜1μmが好ましく、より好ましくは5〜200nm、特に好ましくは10〜100nmである。平均一次粒子径が2nm以上であると有効な導電性ネットワークを形成するという点から好ましく、1μm以下であると触媒層の厚みを適切な範囲で制御できる点から好ましい。
導電性担体34への金属触媒粒子33の担持は公知の方法で行うことができる。
例えば、触媒金属を第一の溶媒に溶解して触媒金属水溶液を調製する。次に、カーボン粒子などの導電性担体34、触媒金属水溶液、および還元剤を第二の溶媒に加えた混合液を調製し、触媒金属33を還元・析出させカーボン粒子などの導電性担体34に担持させることができる。次に、濾過により固形分を分離した後、固形分を乾燥することにより電極触媒35を得ることができる。
触媒金属水溶液として、金属触媒33に白金を用いる場合、塩化白金酸溶液またはジニトロジアミン白金錯体溶液などを用いることができる。還元剤として例えば、炭素数1〜6の有機酸類、アルコール類、炭素数1〜3のアルデヒド類、水酸化ホウ素ナトリウムおよびヒドラジンなどを用いることができる。炭素数1〜6の有機酸類としては特に限定されないが、ギ酸、酢酸、シュウ酸またはクエン酸などが挙げられる。アルコール類としては特に限定されないが、メタノール、エタノール、エチレングリコール、2−プロパノールまたは1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。炭素数1〜3のアルデヒド類としては特に限定されないが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはアクロレインなどを用いることができる。第二の溶媒として、水を用いることができる。
導電性担体34に対する金属触媒粒子33の含有率は、特に限定されないが、5〜80質量%が好ましく、より好ましくは10〜75質量%、特に好ましくは15〜70質量%である。金属触媒粒子33の含有量が5質量%以上であると高い触媒活性を維持できる点で好ましく、80質量%以下であると高い耐久性を維持できる点で好ましい。金属触媒粒子33の担持量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光法により求めることができる。
(2)電解質
触媒層3a、3bに含まれる電解質36は、プロトン導電性を有するものであればよいが、プロトン導電性を有するバインダ(ないしアイオノマ)として用いられるものである。そのため、電解質36は、上記電極触媒35(特に金属触媒粒子33)の周囲にプロトン導電性を有するバインダとして機能するように配されている。これにより、導電性担体34上の金属触媒粒子33近傍部に電池反応に適した三層界面を形成することができ、プロトン伝導性などを向上させ、電極構造を安定して維持することができ、電極性能を高めることができる。
上記電解質36としては、特に制限されるものではなく、例えば、フッ素系樹脂を用いてなるもの、芳香族系炭化水素樹脂を用いてなるもの等が挙げられる。さらに、電解質膜の項で説明する電解質などを用いることができる。即ち、Nafion溶液などのパーフルオロスルホン酸ポリマー系のプロトン導電体、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン導電体の官能基で置換された有機−無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン導電体などからなるイオン交換樹脂が挙げられる。パーフルオロスルホン酸ポリマー系のプロトン導電体として、具体的には、炭素原子とフッ素原子のみからなる重合体だけではなく、水素原子が全てフッ素原子と置換されていれば酸素原子等を含有するものなどが挙げられ、CF=CFに基づく重合単位とCF=CF−(OCFCFX)−O−(CF−SOHに基づく重合単位(式中、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0又は1である。)とを含む共重合体などがある。
上記フッ素系樹脂を用いてなる電解質としては、後述する電解質膜の項で説明するフッ素系樹脂と同様に、イオン交換基を備えた電解質を用いることができる。上記フッ素系樹脂を用いてなる電解質としては、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−g−ポリスチレンスルホン酸系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン−g−ポリスチレンスルホン酸系ポリマーなどが好適な一例として挙げられる。
上記芳香族系炭化水素樹脂を用いてなる電解質としては、後述する電解質膜の項で説明する芳香族系炭化水素樹脂と同様に、イオン交換基を備えた電解質を用いることができる。上記芳香族系炭化水素樹脂を用いてなる電解質としては、具体的には、ポリサルホンスルホン酸系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸系ポリマー、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸系ポリマー、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸系ポリマー、架橋ポリスチレンスルホン酸系ポリマー、ポリエーテルサルホンスルホン酸系ポリマー等が好適な一例として挙げられる。
前記イオン交換基としては、特に制限されないが、−SOH、−COOH、−PO(OH)、−POH(OH)、−SONHSO−、−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す)等の陽イオン交換基、−NH、−NHR、−NRR’、−NRR’R’’、−NH 等(R、R’、R’’は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等を表す)等の陰イオン交換基などが挙げられる。
次に、上記電解質と上記導電性担体との質量比は、順に、0.3:1〜1.3:1が好ましく、より好ましくは0.5:1〜1.1:1である。導電性担体質量に対して電解質の質量比が0.3倍以上であると触媒層内の良好なイオン伝導性の点で好ましく、1.3倍以下であると触媒層内のガス拡散及び水の排出の点で好ましい。
触媒層には、さらに、撥水性高分子や、その他の各種添加剤が含まれていてもよい。撥水性高分子が含まれていることにより、得られる触媒層の撥水性を高めることができ、発電時に生成した水などを速やかに排出することができる。撥水性高分子の混合量は、本発明の作用効果に影響を与えない範囲で適宜決定することができる。上述の撥水性高分子としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、または、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレンもしくはこれらのモノマーの共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体など)などのフッ素系の高分子材料などを用いることができる。その他の各種添加剤には、例えば、りん系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
(3)触媒錯体
本発明では、上記触媒層3a、3bのうち少なくともカソード触媒層3b中に、更に触媒錯体が含有されていることが望ましい。触媒錯体の存在により金属触媒(Pt等)の溶出そのものを抑制ないし防止することができる点で優れている。このように、本発明では、電解質膜1中への触媒析出を防止するために、MEA10の構造として、上記したようにアノード及びカソード双方の触媒層3a、3bと電解質膜1との間(境界)にそれぞれブロッキング層2a、2bを形成し、更に少なくともカソード触媒層3b内に触媒錯体を含むようにするのが特に望ましい形態と言える。かかるMEA構造とすることにより、Hのクロスオーバーと電解質膜1への触媒イオンの溶出を同時に防止することができ、電解質1中への触媒析出を効果的に防止できる。特に、触媒錯体の存在により触媒自身の溶出を防止することができるため、電解質膜1の穴あき防止に加え、更に触媒層3b(3a)自身の消耗をも防止することができ、電池の耐久性を飛躍的に向上することができる点で特に有効である。
該触媒錯体としては、本発明の作用効果を損なわない範囲であれば、特に制限されるものではなく、従来公知の触媒イオン捕捉剤などを利用することができる。さらに、本発明者が既に提案してなる出願(特願2004−335823号)に記載の新規化合物である「白金イオンを捕捉しうる白金イオン捕捉剤」などを好適に利用することができる。ただし、本発明は、これらに何ら制限されるものではない。
上記白金イオン捕捉剤につき、上記出願から抜粋して説明するが、これに制限されるものではなく、上記出願に開示されている「白金イオンを捕捉しうる白金イオン捕捉剤」の範囲内であれば本発明の触媒錯体として好適に利用可能である。
すなわち、本発明の触媒錯体として用いることのできる上記白金イオン捕捉剤とは、白金イオン(Ptn+)との接触により当該白金イオンを捕捉する機能を有する物質を意味する。白金イオン捕捉剤が少なくともカソード触媒層3bに含まれることにより、触媒層からの白金イオンの溶出が防止され、触媒活性の低下が抑制されうる。
該白金イオン捕捉剤は、白金イオンを捕捉する機能を有する物質であればよく、その具体的な形態は特に制限されない。一例を挙げると、白金イオンを捕捉することにより有機白金錯体を生成しうる化合物を白金イオン捕捉剤として用いることが好ましい。かような形態において、白金イオンを捕捉することにより生成する有機白金錯体は、電極触媒として機能しうる。つまり、触媒活物質としての白金の再利用が図られるのである。その結果、触媒層の長寿命化に有効に寄与しうる。
白金イオン捕捉剤が白金イオンを捕捉することにより生成する有機金属錯体は、平面型単核錯体であることが好ましい。なお、「平面型単核錯体」とは、1個の錯体中に1個の中心金属(イオン)が存在する平面型の錯体である。また、白金イオン捕捉剤が白金イオンを捕捉することにより生成する有機金属錯体の配位数は、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2である。さらに、白金イオン捕捉剤が白金イオンを捕捉することにより生成する有機金属錯体は、化学式Pt−(N)で示される配位構造を有することが好ましい。上述した種々の形態の白金イオン捕捉剤は、白金イオン捕捉能に優れ、また、白金イオンの捕捉により生成する有機金属錯体が、電極触媒として優れた性能を発揮しうる。
上述した好ましい形態の白金イオン捕捉剤の具体例としては、下記化学式2〜9で示される化合物が挙げられる。
ただし、これらの化合物のみには制限されず、その他の化合物が白金イオン捕捉剤として用いられてもよいことは勿論である。
触媒層中に白金イオン捕捉剤が含有される形態については、白金を含有する金属触媒粒子33から溶出した白金イオンを捕捉しうる形態であればよく、特に制限はない。白金イオンを捕捉した白金イオン捕捉剤を電極触媒35として機能させることを考慮すると、白金イオン捕捉剤は、上記で説明した導電性担体34に担持された形態で触媒層中に含有されることが好ましい。かような形態によれば、導電性担体34に白金イオン捕捉剤が担持されることで、白金イオン捕捉剤が白金イオンを捕捉することにより生成する化合物(例えば、有機金属錯体)が電極触媒35として機能する際の電子伝導パスが確保され、優れた触媒活性が提供されうる。
以上、白金イオンを捕捉することにより有機白金錯体を生成しうる化合物を白金イオン捕捉剤として用いる形態について詳細に説明したが、かような形態以外の白金イオン捕捉剤や白金以外の金属触媒イオン捕捉材が用いられてもよい。その他の白金イオン捕捉剤や白金以外の金属触媒イオン捕捉材としては、例えば、多量化ポルフィリンなどが挙げられる。
触媒層に白金イオン捕捉剤のような触媒錯体を含有する場合、該触媒層を構成する材料の含有比は、触媒層としての機能を考慮して決定されればよい。各材料の含有比を決定するにあたっては、各材料の機能のバランスを考慮することが好ましい。例えば、電極反応を十分に進行させるためには、金属触媒を担持する導電性担体の量を確保する必要がある。ただし、プロトン伝導性高分子が不足すると、発生したプロトンの伝導性が低くなり、電池性能が低下する虞がある。また、白金イオン捕捉剤のような触媒錯体が不足すると、金属触媒粒子から溶出した白金イオンなどの金属触媒イオンの捕捉が不充分となり、触媒活性が低下する虞がある。そこで、好ましくは、金属触媒の質量に対する白金イオン捕捉剤のような触媒錯体の質量比X(白金イオン捕捉剤質量/触媒活物質質量)が、0.25≦X≦0.7の範囲にあるのが望ましい。より好ましくは、質量比Xが、0.4≦X≦0.6である。Xが小さすぎる場合には、白金イオン捕捉剤等の触媒錯体の不足により、充分な触媒イオンの溶出抑制効果が得られない虞がある。また、Xが大きすぎる場合には、過剰の白金イオン捕捉剤等の触媒錯体により触媒層内の電子伝導抵抗が増加し、充分な電池性能が得られない虞がある。Xを上記範囲とすることによって、電池性能を確保した上で、触媒イオンの溶出を効果的に防止することが可能である。ただし、上記範囲外であっても、本発明を実施することは可能である。質量比Xは、触媒層を作製する際の原料比を調整することによって、制御可能である。なお、白金イオン捕捉剤等の触媒錯体が導電性担体に担持された形態で触媒層に含有される場合には、上記の質量比Xを算出するにあたって、白金イオン捕捉剤等の触媒錯体を担持する導電性担体の質量は「触媒錯体質量」に含まれないものとする。
以上が、触媒錯体に好適な1例である白金イオン捕捉剤の説明であるが、この他にもフラーレンやカーボンナノチューブなどを挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもとい。好ましくは、白金イオン捕捉剤の1種として例示した上記化学式2〜9に示されるような6員環以上の錯体が望ましい。6員環以上の錯体を用いることで、当該錯体自身の移動防止及び、錯体自身の劣化防止(大環状ほど劣化しにくい)を図ることができ、上記した触媒溶出抑制・防止効果の持続性を向上し得る点で優れている。該6員環以上の触媒錯体としては、例えば、上記化学式2〜9に示される白金イオン捕捉剤のほか、その他の大環状錯体などを挙げることができるが、これらに何ら制限されるものではない。
また、触媒錯体の含有量としては、電池性能を損なわない範囲内で、当該錯体の作用効果を有効に発現し得るものであればよく、電極触媒100質量部に対し10〜50質量部の範囲、好ましくは20〜40質量部の範囲であるのが望ましい。触媒錯体の含有量が、電極触媒100質量部に対し20質量部以上の場合には、Ptイオンを捕捉する機能のほか、当該錯体の作用効果を有効に発現することができる。一方、電極触媒100質量部に対し50質量部以下の場合には、触媒としても機能をする効果を得ることが出来、電池性能を損なうことなく所望の効果を発現させることができる点で優れている。
本発明における触媒層3a、3bの厚さ(片面)は、特に限定されないが、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜20μmである。触媒層の厚さが0.1μm以上であると所望する発電量が得られる点で好ましく、100μm以下であると高出力を維持できる点で好ましい。
[電解質膜]
本発明に用いることのできる電解質膜1は、高いプロトン伝導性を有していればよい。高いプロトン伝導性を有する膜としては、−SOH基などのイオン交換基を有するモノマーの重合体または共重合体;またはイオン交換基を有するモノマーと他のモノマーとの重合体などの公知の材料からなる膜を用いることができる。かかる電解質膜1の材質としては、具体的には、ポリマー骨格の全部又は一部がフッ素化されたフッ素系樹脂であってイオン交換基を備えた電解質、または、ポリマー骨格にフッ素を含まない芳香族系炭化水素樹脂であってイオン交換基を備えた電解質、などが挙げられる。
前記イオン交換基としては、特に制限されないが、−SOH、−COOH、−PO(OH)、−POH(OH)、−SONHSO−、−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す)等の陽イオン交換基、−NH、−NHR、−NRR’、−NRR’R’’、−NH 等(R、R’、R’’は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等を表す)等の陰イオン交換基などが挙げられる。
前記フッ素系樹脂であってイオン交換基を備えた電解質としては、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−g−ポリスチレンスルホン酸系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン−g−ポリスチレンスルホン酸系ポリマーなどが好適な一例として挙げられる。
前記芳香族系炭化水素樹脂であってイオン交換基を備えた電解質としては、具体的には、ポリサルホンスルホン酸系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸系ポリマー、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸系ポリマー、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸系ポリマー、架橋ポリスチレンスルホン酸系ポリマー、ポリエーテルサルホンスルホン酸系ポリマー等が好適な一例として挙げられる。
電解質膜1の材質は、高いイオン交換能を有し、化学的耐久性・力学的耐久性、などに優れることから、前記フッ素系ポリマーであってイオン交換基を備えた電解質を用いるのが好ましく、なかでも、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)などがより好ましく利用できる。
電解質膜1の膜厚は、得られる燃料電池の特性を考慮して適宜決定することができるが、5〜300μmが好ましく、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜150μmである。電解質膜の膜厚が5μm以上であると製膜時の強度や燃料電池作動時の耐久性の点から好ましく、300μm以下であると燃料電池作動時の出力特性の点から好ましい。
なお、本発明では、燃料電池のアノード及びカソードの両電極間に介在される電解質成分を含有してなる構成部材を、電解質膜と称したが、決してその名称に拘泥されるものではなく、燃料電池に用いられる使用目的からみて、例えば、電解質層や電解質などと称される場合であっても、本発明でいう電解質膜に含まれる場合があることはいうまでもない。他の構成要件についても同様であり、その名称に拘泥されるものではなく、使用目的に照らしてその同一性を判断すればよい。
[ガス拡散層]
ガス拡散層(単にGDLともいう)4a、4bは、MEA10の構成部材に含めてもよいし、MEA10以外の燃料電池セル11の構成部材としてもよい。GDL4a、4bとしては、特に限定されないが、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料を基材とする多孔質基材などが挙げられる。また、GDL4a、4bでも触媒層3a、3bと同様に撥水性を高めてフラッディング現象を防ぐために、公知の手段を用いて、前記GDL4a、4bの撥水処理を行ったり、前記GDL4a、4b上に炭素粒子集合体からなる層を形成してもよい。
本発明のMEAの構成を有する固体高分子型燃料電池において、触媒層2、3、GDL4、5および電解質膜1の厚さは、燃料ガスの拡散性などを向上させるには薄い方が望ましいが、薄すぎると十分な電極出力が得られない。従って、所望の特性を有するMEA10、更には固体高分子型燃料電池が得られるように適宜決定すればよい。好ましくは、上記で規定したアノード側及びカソード側ブロッキング層2a、2bの厚さに対して所定の割合になるように、触媒層3a、3bおよび電解質膜1、さらにはGDL4a、4bの厚さを適宜決定すればよい。
[触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)]
本発明においては、電解質膜1と触媒層3b(又は3a)との間、および/またはGDL4b(又は4a)と触媒層3b(又は3a)との間に、触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)(図示せず)が介在していてもよい。ここで、触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)は、「触媒層」の欄で説明した白金イオン捕捉剤等の触媒錯体を含む層である。かような形態によれば、触媒層3b(又は3a)で捕捉されなかった白金イオンが電解質膜1側やGDL4b(又は4a)側へ溶出することが防止され、触媒活性の低下がより一層抑制されうる。なお、触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)に含まれる白金イオン捕捉剤等の触媒錯体が触媒イオンを捕捉することにより生成する化合物(例えば、有機金属錯体)もまた、電極触媒として機能しうる。
触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)に含まれる白金イオン捕捉剤等の触媒錯体の好ましい形態については、「触媒層」の欄において説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)に含まれる白金イオン捕捉剤等の触媒錯体もまた、導電性担体に担持された形態で触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)に含まれることが好ましい。かような形態によれば、白金イオン捕捉剤等の触媒錯体が触媒イオンを捕捉することによって電極触媒として機能する際の電子伝導パスが確保され、優れた触媒活性が提供されうる。
触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)を構成するマトリックス材料(基材)は、白金イオン捕捉剤等の触媒錯体がその機能を発揮しうるものであればよく、特に制限されない。好ましくは、「触媒層」の欄において説明した電解質(プロトン伝導性高分子)が用いられうる。かような形態によれば、3相界面を形成可能となる為、白金イオン捕捉剤等の触媒錯体が触媒イオンを捕捉することによって電極触媒として機能する際のプロトン伝導パスが確保され、優れた触媒活性が提供されうる。
触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)は、カソードおよびアノードの双方において、触媒層の両側に配置されていてもよいし、電解質膜と触媒層との間、または、GDLと触媒層との間のいずれか一方のみに触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)が配置される形態もまた、採用されうる。
固体高分子型燃料電池において、触媒層に含まれる金属触媒粒子からの触媒イオンは、燃料電池の定格運転時にはGDL側へ溶出しやすく、一方で、車両駆動用電源のように作動および停止を繰り返す条件下では電解質膜側へ溶出しやすいことが知られている。従って、本発明の固体高分子型燃料電池の所望の作動条件を考慮することにより、触媒イオン捕捉層(触媒錯体含有層)の配置形態を決定するのが望ましい。
[セパレータ]
アノード及びカソードセパレータ5a、5bとしては、カーボンペーパ、カーボンクロス、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、特に制限されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。また、前記セパレータ5a、5は、酸素含有ガス(空気)と燃料ガス(H含有ガス)とを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するために所望の形状に加工されたガス流路(溝)6、7が形成されているのが望ましく、従来公知の技術を適宜利用することができる。セパレータ5a、5の厚さや大きさ、流路(溝)6、7の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
[ガスケット]
ガスケット8は、気体、特に酸素や水素ガスに対して不透過であればよいが、一般的には、ガス不透過材料からなるOリングなどの単一の不透過部により構成されていればよい。さらに、必要に応じて、電解質膜1やアノード及びカソード触媒層3a、3bのエッジとの接着を目的とする接着部を設けてなる、接着剤付きのガスシールテープ等のような複合的な構成としてもよい。Oリングやガスシールテープの不透過部を構成する材料は、設置後に所定の圧力がかかった状態で、酸素や水素ガスに対して不透過性を示すものであれば特に制限されない。
こうした不透過部を構成する材料のうち、Oリングを構成する材料としては、例えば、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
一方、ガスシールテープ等の不透過部を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などが挙げられる。また、ガスシールテープ等の接着部を構成する材料としては、電解質膜1やアノード及びカソード触媒層3a、3bと、ガスケット8を密接に接着できるものであれば特に制限されないが、ポリオレフィン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー等のホットメルト系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル、ポリオレフィン等のオレフィン系接着剤などが使用できる。
上記ガスケット8の形成方法は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、電解質膜1上に、あるいは触媒層3a、3bのエッジを被覆しながら電解質膜1上に、上記接着剤を、5〜30μmの厚みになるように塗布した後、上記したようなガス不透過材料を10〜200μmの厚みになるように塗布し、これを25〜150℃で、10秒〜10分間加熱することによって硬化させる方法が使用できる。または、予め、ガス不透過材料をシート状に成形した後に、この不透過膜に接着剤を塗布して、ガスケット8を形成した後、これを電解質膜1上に、あるいはガスケット8の一部を被覆しながら電解質膜1上に、貼り合わせてもよい。この際、不透過部の厚みは、特に制限されないが、15〜40μmが好ましい。また、接着部の厚みは、特に制限されないが、10〜25μmが好ましい。
上記ガスケット8については、市販のものを購入して用いてもよい。ここでいう市販のものには、購入者側の仕様(寸法、形状、材料、特性など)に応じてメーカーが製造したような発注品ないし特注品等も含まれるものとする。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1;カソード側ブロッキング層の作製(ポリ酸のメソポーラスシリカへのドープ)
第一に、直径が10Åの細孔を持つメソポーラスシリカとしてSBA−15を用いた。ヘテロポリ酸としてモリブドリン酸・n水和物を水溶液に溶解して0.3mMの濃度とした。この中にSBA−15を24時間浸漬し、撹拌してSBA−15の細孔中にモリブドリン酸水溶液を含浸させた。
第二に、このSBA−15を浸漬した水溶液から、SBA−15をろ過し、エタノール洗浄したのち、再度1−プロパノールに分散(溶解)させ、10秒間撹拌の後、ガラス基板上に滴下、室温にて24時間程度乾燥後、60℃で24時間熱処理し、450℃で1時間焼結し、厚さ1μmの薄膜を得た。得られた薄膜において、SBA−15の細孔に担持されたモリブドリン酸の担持量は20質量%であった。この薄膜を厚さ25μmのナフィオン膜上にコールドプレス(詳しくは、加熱することなく室温下(約25℃)、120MPaで3分間プレス)し、カソード側ブロッキング層2bを形成した。得られたカソード側ブロッキング層2bでは、図3の2bに示すように、SBA−15の長手方向(細孔チャンネル)が膜厚方向に配列したものが得られた。
実施例2;アノード側ブロッキング層の作製(膜化と転写)
1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン0.8gをイソプロピルアルコール1.5gに溶解した。これとは別にヘテロポリ酸としてタングストリン酸・n水和物0.7gをイソプロピルアルコール1.5gに溶解した。この両者を併せ、数分間撹拌した後、12cm×12cmのテフロンシート上に10cm×10cmのテフロン製枠を設け、このうちの90mgを注ぎ込み均一になるようにへらで伸ばし、室温(20℃)にて15時間、更に60℃飽和水蒸気下10時間加熱し、厚さ10μmの透明な薄膜を得た。これを実施例1でカソード側ブロッキング層が形成されたナフィオン膜の反対側の面(裏面)に転写(100℃、120MPaで1分間ホットプレス)し、アノード側ブロッキング層2aを形成した。得られるアノード側ブロッキング層2aは、ポリ酸が、炭化水素系膜(または有機−無機ハイブリッド膜)中に均一に分散した形で得ることができた。
実施例3及び比較例1;Pt溶出試験
(試料極用の触媒スラリーの作成)
・実施例3
電極触媒として白金担持カーボン触媒(白金担持量50wt%)を用いた。この電極触媒の質量に対して5倍量の精製水を加えた後、0.5倍量のイソプロピルアルコールを加え、白金量に対して40wt%のモノキノリルフェニレンジアミンを2倍のエタノールに溶解し、これを上記で作製したPt/C+精製水+イソプロパノール溶液に加えて混合し、触媒スラリーとした。
さらにナフィオン溶液(Aldrich社製 5wt%ナフィオン(デュポン社の登録商標)含有)を加え、ナフィオンの質量が1倍量になるように調整した。混合スラリーを超音波ホモジナイザでよく分散させ、それに続いて減圧脱泡操作を加えることによって最終の触媒スラリーを作製した。
・比較例1
電極触媒として白金担持カーボン触媒(白金担持量(50wt%)を用いた。この電極触媒の質量に対して5倍量の精製水を加えた後、0.5倍量のイソプロピルアルコールを加え、さらにナフィオン溶液(Aldrich社製 5wt%ナフィオン(デュポン社の登録商標)含有)を加え、ナフィオンの質量が1倍量になるように調整した。混合スラリーを超音波ホモジナイザでよく分散させ、それに続いて減圧脱泡操作を加えることによって触媒スラリーを作製した。
実施例3、比較例1ともにGDL基板4abとして厚さ20μmのカーボンペーパの片面にスクリーン印刷法によって所望の厚さに応じて所定量の触媒スラリーを印刷し、60℃で24時間乾燥させることにより、カーボンペーパ基板4b上に触媒層3bを作製した。触媒層3bの厚さは10μmであった。触媒層3bのPt使用量を見かけの電極面積1cmあたり0.5mgとし、電極面積300cmとするサンプルを2枚作製した。このうちのサンプル1枚を比較例1の試料極51’とした(図5C参照のこと)。
次に、上記で得られた残りのサンプル1枚の触媒層3b上に、実施例1と同様にして作製したカソード側ブロッキング層2bを実施例1と同様にコールドプレスして、実施例3の試料極51を作製した(図5B参照のこと)。
(Pt溶出及び酸素還元活性の測定)
0.5M HSO中で実施例1で得られたカソードブロッキング層2bの効果を調査するために、実施例3の試料極51及び比較例1の試料極51’について、Pt溶出及び酸素還元活性について評価した。
図5Aは、Pt溶出及び酸素還元活性の測定の実験に用いた装置の概略図である。図5Aにおいて、符号51ないし51’は(試料極の作成)により得られた実施例3ないし比較例1の試料極(WE)を、符号52は対極(CE)を、符号53は参照極(REF)、符号54は電解液を示す。また、図5Aに矢印(⇒)でICPを指しているのは、図5Aの実験装置50の矢印部分から取り出したサンプルを誘導結合プラズマ(ICP)発光分析に供することを意味するものである。
図5B,Cは、図5Aの実験装置の試料極51及び51’の電極構造を模式的に示す断面概略図である。
このうち図5Bは、実施例3の試料極51を、テフロン製のフォルダ55に、カーボンペーパ基板4bがフォルダ55側(内側)にカソード側ブロッキング層2bが電解液(図5Aの符号54参照)に触れる側(外側)となるように取り付けた。また、GDL基板4bに電極リード線56を接続した。試料極51の電極構造では、フォルダ55によって試料極51の周囲を覆い、カソード側ブロッキング層2bの表面が電解液(ナフィオン膜を模擬した。)に接する構造とした。即ち、触媒層3b中で溶解したPtイオンが外部の電解液中に溶出するには、必ずカソード側ブロッキング層2bを通り抜けなければならない構成とした。
図5Cは、比較例1の試料極51’を、テフロン製のフォルダ55に、カーボンペーパ基板4bがフォルダ55側(内側)に触媒層3bが電解液(図5Aの符号54参照)に触れる側(外側)となるように取り付けた。また、GDL基板4bに電極リード線56を接続した。
図5Cの試料極51’の電極構造では、フォルダ55によって試料極51’の周囲を覆い、触媒層3bの表面が電解液(ナフィオン膜を模擬した。)に接する構造とした。即ち、触媒層3b中で溶解したPtイオンはそのまま外部の電解液中に溶出する構成とした。
図5Aの実験装置を用いて、Pt溶出実験及び酸素還元電流の測定を行った。
図5Aに示す実験装置50である3電極型の電気化学セルを用いて室温(22〜25℃)で電流特性(CV)を測定した。実施例3の試料極51ないし比較例1の試料極51’を用い、対極(CE)52としては白金黒、参照極(REF)53としては可逆水素電極を用い、電解液54は0.5mol/Lの硫酸(HSO)水溶液を使用した。試料極51及び51’の電極触媒の性能評価として、酸素還元活性を評価した。
この場合、電解液54を酸素(O)で30分バブリングさせた後、酸素(O)をそのまま電解液54にバブリングさせたまま自然電位から1.5V vs.RHE(標準水素電極)まで100mV/sの速度で電位を掃引し、測定試料51(または51’)に含まれる白金の単位質量あたりの0.90V vs.RHEにおける電流値を質量活性(A/g−Pt)と定義し、この値で電極触媒の酸素還元活性を評価した。
このサイクル試験を9時間おこない、試料から析出したPtの量をICP発光分析法で測定した。
次に、主な実験条件を下記表1に示す。
図6は、実施例3と比較例1を9時間試験した結果であり、Pt溶出及び酸素還元活性(触媒活性)の結果を示す図面である。図6の結果から、実施例3ではPtの析出が確認できず、触媒活性も比較例1よりも優れていた。また、カソードブロッキング層2bを用いても、プロトン導電性は阻害されないことが認められた。
実施例4及び比較例2;耐久試験結果
(燃料電池セルの作製)
燃料電池セルの作製についてはいずれについても以下のように行った。Pt担持カーボン(Pt担持量:48.6wt%、平均Pt粒子径:3.5nm、担体カーボン:VulcanXC−72(Cabot社製))の重量に対して5倍量の精製水を加えた後、0.5倍量のイソプロピルアルコールを加え、さらにはナフィオン(デュポン社製、登録商標)の重量が0.8倍量になるようにナフィオン(デュポン社製、登録商標)溶液(Aldrich社製5wt.%ナフィオン(デュポン社製、登録商標)含有)を加えた。混合スラリーを超音波ホモジナイザでよく分散させ、それに続いて減圧脱泡操作を加えることによって触媒スラリーを作製した。これをテフロンシート(テフロンは、デュポン社の登録商標である。)の片面にスクリーン印刷法によって所定のPt量になるように触媒スラリーを印刷し、60℃で3時間乾燥させた後、触媒層を塗布した面を、実施例2で得られたブロッキング層2a、2bが形成してなる電解質膜(実施例4)またはブロッキング層2a、2bが形成してなる電解質膜(比較例2)に合わせて120℃、1.5MPaで10分間ホットプレスを行うことにより電解質膜上の両ブロッキング層上にそれぞれアノード及びカソード触媒層を取り付けた。このようにして作製した触媒層コート済の電解質膜の触媒層側とカーボン層コート済のカーボンペーパーのカーボン層側を貼り合わせて実施例4及び比較例2の膜電極接合体(MEA)を作製した。
これらのMEAは、Pt使用量を見かけの電極面積1cmあたりアノードでは0.3mg、カソードでは0.5mgとし、電極面積は25cmとした。また、電解質膜としてナフィオン(デュポン社製、登録商標)112(厚さ:約50μm)を用いた。
得られたMEAを、先に作製したGDLを2枚用いて挟んで重ねた状態とし、これをグラファイト製セパレータで挟持し、さらに金メッキしたステンレス製集電板で挟持して、評価用単セルとした。
(耐久試験によるセル評価)
作製したMEAを用いて燃料電池単セル(評価用単セル)を構成し、運転時間に対するセル電圧変化の評価を以下のような方法で行った。燃料電池のアノード側には燃料として水素を供給し、カソード側には空気を供給した。両ガスとも供給圧力は大気圧とし、燃料電池本体の温度は70℃に設定し、水素利用率は67%、アノード供給ガス露点は70℃、空気利用率は40%、カソード供給ガス露点は50℃として、電流密度0.2A/cmと1.0A/cmでそれぞれ10分ずつの負荷変動運転したときのセル電圧の変化を調べた。
発電特性結果として、負荷変動運転によるセル電圧の変化を示すグラフを図8に示す。この図8においてセル電圧は負荷変動運転の中で0.2A/cm運転開始からの9〜10分のセル電圧の平均値とした。図8に示すように、カソードブロッキング層2b及びアノードブロッキング層2aを用いて形成した実施例4の燃料電池セル(単セル)は、カソードブロッキング層2b及びのアノードブロッキング層2aを用いることなく形成した比較例2の燃料電池セルに比して、セル電圧の低下量が著しく減少していることから、高い発電性能(高電位)を長期間安定して保持することができることが確認できた。このことから、本発明のブロッキング層を備えた電池では、その耐久性を著しく向上させることができることがわかった。以上の結果から、ブロッキング層を形成することによって電極性能の劣化が有意に抑制されたことを示しており、実施例3においてPtの析出が確認できず、触媒活性も優れていることから、Ptの溶出が抑制されたことによるものだと考えられる。
(回転ディスク電極(RDE)による水素酸化測定(ブロッキング層の効果))
0.5M HSO中で実施例2で得られたアノードブロッキング層2bの効果を調査するために、Ptをディスクとする回転ディスク電極を用いて評価した。
図7Aの符号71および図7Bの符号72は、測定に用いた回転ディスク電極の概略図である。符号71はPtディスクのみを示す。また、符号72はPtディスクの上にブロッキング層を設けたことを意味するものである。
この後、各電極を回転ディスク電極装置に取り付け測定をおこなった。
北斗電工社製・回転ディスク電極装置を用いて室温(22〜25℃)で電流特性(LSV)を測定した。
71のPtディスク電極ないし72の実施例2のブロッキング層を表面に設けたPtディスク電極を用い、対極(CE)としては白金黒、参照極(REF)としては可逆水素電極を用い、電解液は0.5mol/Lの硫酸(HSO)水溶液を使用した。試料極71及び72の電極触媒の性能評価として、水素酸化活性を評価した。
この場合、電解液を水素(H)で30分バブリングさせた後、水素(H)をそのまま電解液にバブリングさせたまま0Vから0.5V vs.RHE(標準水素電極)まで電極の回転数を400〜1600rpmに変化させ、10mV/sの速度で電位を掃引し、測定試料71(または72)における水素酸化波を測定した。
次に、主な実験条件を下記表2に示す。
図7Cおよび図7Dのグラフは、それぞれ図7Aおよび図7Bの回転ディスク電極(RDE)による水素酸化測定(ブロッキング層の効果)の結果を示す図面である。図7Cの結果から、ブロッキング層がない場合は、Ptディスク電極のHの供給量が回転数に依存して増えた結果、酸化電流が増していることが認められる。対して、図7Dの結果から、実施例2のブロッキング層を設けた場合はこの回転数依存がない。更に、N雰囲気下よりもH雰囲気下では酸化電流が増しているため、ブロッキング層がHをプロトンに酸化していることが認められ、アノードブロッキング層2aを用いても、プロトン導電性は阻害されないことが認められた。
本発明に係るMEAの基本構成を模式的に表した断面概略図である。 本発明に係るMEAを用いた固体高分子形用燃料電池の基本構成である燃料電池セルを模式的に表した断面概略図である。 図3は、ポーラス体の好適な配列の様子を模式的に表した概略図である。このうち、図3Aは、ポーラス体の長軸方向を膜の厚さ方向に並行に配列させた様子を模式的に表した概略図である。 図3Bは、ポーラス体の長軸方向を膜の面内方向に並行に配列させた様子を模式的に表した概略図である。 図3Cは、図3Bのポーラス体の配列を膜厚方向に2列重ねて配列させた様子を模式的に表した概略図である。 図4は、ポーラス体の形状を示す図面である。このうち、図4Aは、ポーラス体が網目形状(構造)である様子を表した模式図である。 図4Bは、ポーラス体が筒型形状(構造)である様子を表した模式図である。 図4Cは、ポーラス体の形状がハニカム形状(構造)である様子を表した模式図である。 図5Aは、Pt溶出及び酸素還元活性の測定の実験に用いた装置の概略図である。 図5Bは、図5Aの実験装置の試料極51の電極構造を模式的に示す断面概略図である。 図5Cは、図5Aの実験装置の試料極51’の電極構造を模式的に示す断面概略図である。 実施例3及び比較例1の試料極51、51’を用いて行ったPt溶出及び酸素還元活性(触媒活性)の測定結果を示す図面である。 図7AはPtディスク電極(RDE)の概略図である。 図7Bはブロッキング層を表面に設けたPtディスク電極(RDE)の概略図である。 図7Cは、図7AのPtディスク電極上での水素酸化電流を示すグラフである。 図7Dは、図7Bのブロッキング層を設けた場合の水素酸化電流とN雰囲気下での電流電位曲線を示すグラフである。 実施例4のブロッキング層を用いた燃料電池とブロッキング層を用いない比較例2の燃料電池の電流密度0.2A/cmのセル電圧の負荷変動運転時間に対する変化を示すグラフである。
符号の説明
1 電解質膜、
2a アノード側ブロッキング層、
2b カソード側ブロッキング層、
3a アノード触媒層、
3b カソード触媒層、
4a アノード側のGDL、
4b カソード側のGDL、
5a アノードパレータ、
5b カソードパレータ、
6 アノード側のガス流路(溝)、
7 カソード側のガス流路(溝)、
8 ガスケット(シーリング層)、
10 MEA、
11 燃料電池セル、
31 ポーラス体、
32 細孔(細孔チャンネル)、
33 金属触媒(粒子)、
34 導電性担体、
35 電極触媒、
36 電解質、
50 実験装置、
51 実施例3の試料極、
51’ 比較例1の試料極、
52 対極(CE)
53 参照極(REF)、
54 電解液、
55 フォルダ、
56 電極リード線、
71 Ptディスク電極、
72 ブロッキング層を設けたPtディスク電極。

Claims (16)

  1. カソード触媒層と電解質膜との間に、カソード触媒層から電解質膜への触媒イオンの溶出を抑制ないし防止する機能を持つカソード側ブロッキング層を有し、
    カソード触媒層:カソード側ブロッキング層:電解質膜の厚さの比が、20:1:500〜1:1:25であることを特徴とする膜電極接合体。
  2. アノード触媒層と電解質膜との間に、カソード触媒層から電解質膜へのHのクロスオーバーを抑制ないし防止する機能を持つアノード側ブロッキング層を有することを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. アノード触媒層:アノード側ブロッキング層:電解質膜の厚さの比が、10:1:250〜1:10:25であることを特徴とする請求項2に記載の膜電極接合体。
  4. 少なくともカソード側触媒層中に、触媒錯体が電極触媒100質量部に対し10〜50質量部の範囲の割合で含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  5. 前記触媒錯体が、6員環以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  6. 前記ブロッキング層を構成する材料が、ポリ酸からなる機能性材料を含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  7. 前記ポリ酸が、Co、Mn、V、Pd、Mo、SnおよびWよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の元素を用いて形成されてなるポリ酸であることを特徴とする請求項6に記載の膜電極接合体。
  8. カソード側ブロッキング層の機能性材料の含有量が、重量比で、カソード触媒層の触媒金属:カソード側ブロッキング層の機能性材料=1:0.01〜5の範囲であることを特徴とする請求項6または7に記載の膜電極接合体。
  9. アノード側ブロッキング層の機能性材料の含有量が、重量比で、アノード触媒層の触媒金属:アノード側ブロッキング層の機能性材料=1:0.001〜10の範囲であることを特徴とする請求項6または7に記載の膜電極接合体。
  10. 前記カソード側ブロッキング層が、前記機能性材料を含有してなるポーラス体を用いて構成されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  11. 前記機能性材料を含有してなるポーラス体が、前記機能性材料を含有してなる直径が10〜100Åの細孔を持つメソポーラスシリカであることを特徴とする請求項10に記載の膜電極接合体。
  12. 前記ポーラス体が、プロトンイオンの移動を妨げない方向性で配列することを特徴とする請求項10または11に記載の膜電極接合体。
  13. アノード側ブロッキング層が、炭化水素系膜または有機−無機ハイブリッド膜中に前記機能性材料が含有された構成であることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  14. 前記機能性材料のプロトン伝導度が、0.001〜0.5S/cmであることを特徴とする請求項13に記載の膜電極接合体。
  15. 前記ポリ酸が、一般式
    (式中、Mはポリ原子Co、Mn、V、Pd、Mo、SnおよびWから選ばれる少なくとも1種であり、mは6〜12である。)で表されるケギン型構造を有するものであることを特徴とする請求項6〜14のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の膜電極接合体を用いてなることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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