JP2007265536A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録密度が高く、ヘッドとの不適切な接触、走行の不安定化、損傷等の磁気テープの問題が生じにくい磁気記録媒体を製造する方法を提供する。
【解決手段】板状無機顔料を含むバックコート層(板状無機顔料含有層)18を非磁性の支持体12の上に形成し、支持体12及びバックコート層18を有する中間製品10を少なくとも1対の金属ロール22A、22Bで挟んでカレンダ加工する。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気テープを備える磁気記録媒体の製造方法に関する。
従来、例えばLTO(Lenear Tape Open 登録商標)、DLT(Digital Lenear Tape 登録商標)と称される磁気テープを備える磁気記録媒体は、磁性層を構成する磁性粒子の微細化や磁気テープの薄膜化等により記録密度の向上が図られており、今後も更なる記録密度の向上が要望されている。
一方、磁気テープは薄膜化されると剛性や機械的強度が低下し、ヘッドとの不適切な接触、走行の不安定化やテープ表面の損傷等の問題が生じやすくなる。
これに対し、バックコート層や下地層、中間層に板状酸化鉄等の板状無機顔料を配合することで磁気テープの剛性や機械的強度を高める手法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2004−39086号公報 特開2004−253069号公報
しかしながら、このようにバックコート層や下地層、中間層に板状無機顔料を配合してもヘッドとの不適切な接触、走行の不安定化やテープ表面の損傷等の問題を充分に抑制できないことがあった。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、記録密度が高く、ヘッドとの不適切な接触、走行の不安定化やテープ表面の損傷等の磁気テープの問題が生じにくい磁気記録媒体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、板状無機顔料を含む板状無機顔料含有層を非磁性の支持体の上に形成し、支持体及び板状無機顔料含有層を有する中間製品を少なくとも1対の金属ロールで挟んでカレンダ加工することにより上記目的を達成するものである。
本発明に想到する過程で発明者らは、バックコート層や下地層、中間層に板状酸化鉄等の板状無機顔料を配合してもヘッドとの不適切な接触、走行の不安定化やテープ表面の損傷等の問題を充分に抑制できない原因を鋭意研究したところ、板状無機顔料を配合することで磁気テープの表面粗さが大きくなり、これがヘッドとの不適切な接触、走行の不安定化やテープ表面の損傷等の新たな原因となっていることを突き止めた。
例えば、下地層に板状酸化鉄等の板状無機顔料を配合すると下地層の表面粗さが大きくなる。磁性層は、下地層の上に磁性層用塗料を塗布して形成され、下地層の表面形状が磁性層の表面にも反映されるので、下地層の表面粗さが大きいと磁性層の表面粗さも大きくなる。これにより、ヘッドとの不適切な接触や走行の不安定化が生じることがある。
又、バックコート層に板状酸化鉄等の板状無機顔料を配合するとバックコート層の表面粗さが大きくなる。磁気テープは、磁性層が(1周前の)バックコート層の上に重なるようにリールに巻装されるので、バックコート層の表面形状が磁性層の表面にある程度転写される。従ってこの場合も、磁性層の表面粗さが大きくなり、ヘッドとの不適切な接触や走行の不安定化が生じることがある。
更に、磁気テープがリールに巻き取られたり、リールから送り出され、表面粗さが大きいバックコート層と磁性層とが擦れ合うことで、磁性層の表面が損傷することがある。
バックコート層には、電気抵抗を低下させて帯電を防止するためにカーボンが配合されることがあるが、このように板状無機顔料と共にカーボンが配合されたバックコート層は特に表面粗さが大きくなりやすく、ヘッドとの不適切な接触、走行の不安定化や磁性層の損傷等の問題が生じやすい。
これに対し、発明者らは、支持体及び板状無機顔料含有層を有する中間製品を少なくとも1対の金属ロールで挟んでカレンダ加工することで、板状無機顔料含有層の表面粗さを小さくし、板状無機顔料含有層の表面粗さが大きいことにより生じる新たなモードの磁気テープの問題を解決できることを見出した。特に、板状無機顔料と共にカーボンが配合されたバックコート層(板状無機顔料含有層)については表面粗さを抑制する効果が特に高いことを見出した。
このように本発明は、下地層やバックコート層、中間層等に板状無機顔料を配合することにより生じる新たなモードの磁気テープの問題を発見し、板状無機顔料含有層を有する中間製品を少なくとも1対の金属ロールで挟んでカレンダ加工することによりこれら新たなモードの磁気テープの問題を解決したものであり、従来と異なるコンセプトに基いてなされたものである。
即ち、以下の発明により上記目的を達成することができる。
(1)板状無機顔料を含む板状無機顔料含有層を非磁性の支持体の上に形成する板状無機顔料含有層形成工程と、前記支持体及び前記板状無機顔料含有層を有する中間製品を少なくとも1対の金属ロールで挟んでカレンダ加工するカレンダ工程と、をこの順で実行することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2) (1)において、前記板状無機顔料含有層形成工程において、前記板状無機顔料として板状酸化鉄を含む板状無機顔料含有層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(3) (1)又は(2)において、前記板状無機顔料含有層形成工程において、前記板状無機顔料含有層としてバックコート層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(4) (3)において、前記板状無機顔料含有層形成工程において、前記バックコート層として前記板状無機顔料及びカーボンを含むバックコート層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
尚、本出願において「板状無機顔料」という用語は、α酸化鉄、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、雲母、カオリン等の板状の無機粉体という意義で用いることとする。板状無機顔料の板比(板径/厚さ)は5以上であることが好ましい。
本発明によれば、支持体及び板状無機顔料含有層を有する中間製品を少なくとも1対の金属ロールで挟んでカレンダ加工することで、板状無機顔料含有層の表面粗さを抑制し、記録密度が高く、ヘッドとの不適切な接触、走行の不安定化やテープ表面の損傷等の磁気テープの問題が生じにくい磁気記録媒体を製造することができる。
以下、本発明を実施するための好ましい形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態は磁気記録媒体を構成する磁気テープを製造する方法に関し、図1に示されるように、板状無機顔料を含むバックコート層(板状無機顔料含有層)18を非磁性の支持体12の上に形成し、図2に示されるように支持体12及びバックコート層18を有する中間製品10を金属ロール22A、22Bの対で挟んでカレンダ加工する工程に特徴を有している。他の工程については、本実施形態の理解のために重要とは思われないため、説明を適宜省略する。
以下、図3のフローチャートに沿って本実施形態に係る磁気テープの製造方法を説明する。
まず、支持体12をその長手方向に送りつつ、支持体12の表面に近接して配置されたノズル(図示省略)から支持体12の上に下地層用塗料を吐出して塗布し、更にこれを乾燥させて下地層14を形成する(S102)。
支持体12の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホンセルローストリアセテート、ポリカーボネート等の樹脂材料を用いることができる。
下地層用塗料は、非磁性粉末及び結合剤を溶剤中に分散させたものであり、必要に応じて分散剤、研磨剤、潤滑剤等を添加してもよい。非磁性粉末としては、ゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用ブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、α酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、αアルミナ、酸化クロム、硫酸バリウム、炭化ケイ素、酸化ケイ素等の無機質粉末やこれらの混合物を用いることができる。尚、非磁性粉末の形状は、球状、針状、紡錘状、板状のいずれでもよいが、球状又は針状が好ましい。
結合剤としては、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース、スチレンブタジエン系共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリブタジエンエラストマー、合成ゴム系樹脂等の熱可塑性樹脂、縮重合するフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、ブチラール樹脂、ポリマール樹脂、メラニン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂やこれらの混合物を使用することができる。
又、分散剤としては、各種の界面活性剤等を用いることができる。研磨剤としてはαアルミナ、酸化クロム、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等を用いることができる。潤滑剤としては、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等を用いることができる。
尚、1カートリッジ当たりの記憶容量を高めるために磁気テープの全厚を薄くするという点では、下地層14の膜厚を薄くすることが望ましい。一方、支持体12の表面粗さに影響されずに下地層14の表面粗さを充分に小さくでき、又、磁性層に供給する潤滑剤を充分に下地層に貯められるという点では、下地層14の膜厚を一定以上とすることが望ましい。下地層14の膜厚は具体的には、0.3〜1.2μm以下であることが好ましい。
次に、支持体12をその長手方向に送りつつ、下地層14の表面に近接して配置されたノズル(図示省略)から下地層14の上に磁性層用塗料を吐出して塗布し、更にこれを乾燥させて磁性層16を形成する(S104)。尚、本実施形態では、乾燥した下地層14の上に磁性層用塗料を塗布する。即ち、ウェット・オン・ドライ塗布法により磁性層用塗料を塗布する。
磁性層用塗料は、強磁性粉末及び結合剤を溶剤中に分散させたものであり、必要に応じて分散剤、研磨剤、潤滑剤等を添加してもよい。
磁性粉末としては、γ−Fe、Fe、γ−FeとFeとの固溶体、Co化合物被着型γ−Fe、Co化合物ドープ型γ−Fe、Co化合物被着型Fe、Co化合物ドープ型Fe、Co化合物被着型γ−FeとCo化合物被着型Feとの固溶体、Co化合物ドープ型γ−FeとCo化合物ドープ型Feとの固溶体、CrO等の酸化物強磁性粉末、Fe−Co−Ni合金、Fe−Al合金、Mn−Bi合金、Fe−Al−P合金、Fe−Co−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Zn合金、Fe−Co−Ni−P合金、Fe−Ni合金、Co−Ni合金、Co−P合金、Fe−Mn−Zn合金、Fe−Ni−Cr−P合金等、Fe、Ni、Coを主成分とする強磁性粉末等を用いることができる。尚、磁性粉末の形状は、針状であることが好ましい。
磁性層16の結合剤としては、上記下地層用塗料の結合剤と同様の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂やこれらの混合物を用いることができる。
又、磁性層16の分散剤、研磨剤、潤滑剤についても、上記下地層用塗料と同様の分散剤、研磨剤、潤滑剤を用いることができる。
磁性層用塗料の溶剤としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、エチルn−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
磁性層用塗料の乾燥は、図示しない乾燥炉内で熱風、遠赤外線、電気ヒータ等により磁性層用塗料を加熱して溶剤成分を揮発させる。この際、下地層14上に塗布された磁性層用塗料に永久磁石や電磁石等により磁界を印加し、磁性層用塗料中の磁性粒子を支持体12の送り方向に配向させる。尚、磁性塗料の塗布と磁性塗料の乾燥との間で磁性層用塗料に磁界を印加し、磁性層用塗料中の磁性粒子を支持体12の送り方向に配向させてもよい。
次に、支持体12をその長手方向に送りつつ、支持体12における磁性層16と反対側の表面に近接して配置されたノズル20から支持体12の上にバックコート層用塗料を吐出して塗布し、更にこれを乾燥させてバックコート層18を形成する(S106)。
バックコート層用塗料は、板状無機顔料、カーボンブラック及び結合剤を溶剤中に分散させたものであり、必要に応じて分散剤、研磨剤、潤滑剤等を添加してもよい。
板状無機顔料としては、α−Fe、TiO、ZnO、各種雲母、Al・2SiO・2HO(カオリン)等の無機粉体を用いることができる。又、カーボンブラック、結合剤、分散剤、研磨剤、潤滑剤については上記下地層14と同様のものを用いることができる。
ノズル20は、先端にスリット20Aが形成されており、このスリット20Aから磁性層用塗料を吐出するようになっている。支持体12は所定の張力が付与された状態で長手方向に送られるようになっており、ノズル20は支持体12の表面に先端が押し付けられるように設置されている。又、ノズル20は、支持体12の表面に垂直な方向に対して支持体12の送り方向に若干傾斜した方向にバックコート層用塗料を吐出するように配置されている。吐出されたバックコート層用塗料がノズル20と支持体12との間に介在することで、ノズル20の先端は支持体12に接触することなく支持体12の表面に近接するようになっている。
次に、支持体12、下地層14、磁性層16及びバックコート層18を有する中間製品10を金属ロール22A、22Bの対で挟んでカレンダ加工する(S108)。金属ロール22A、22Bとしては、STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)、SCM(クロムモリブデン鋼鋼材)、SUJ(高炭素クロム軸受鋼鋼材)等の各種の鋼製のロールの表面にハードクロムメッキやセラミックコーティングを施したもの、あるいは超合金製のロール等を用いることができる。
又、カレンダ加工の処理温度は70〜110℃であることが好ましく、90〜110℃以下であれば、より好ましい。又、金属ロール22A、22Bの線圧力は1.9×10〜3.8×10N/mであることが好ましく、2.4×10〜3.8×10N/mであれば、より好ましい。又、金属ロール22A、22Bの直径は50〜500mmであることが好ましい。又、カレンダ処理における中間製品10の送り速度は20〜900m/minであることが好ましい。又、ニップ回数は2〜8回であることが好ましく、4〜6回であれば、より好ましい。従って、金属ロール22A、22Bを2〜8対備えるカレンダ装置でカレンダ加工を行うことが好ましく、金属ロール22A、22Bを4〜6対備えるカレンダ装置でカレンダ加工を行うことが、より好ましい。
次に、磁性層10及び下地層14が形成された支持体12を所定の幅に裁断する(S110)。これにより、磁気テープが完成する。
このようにして得られた磁気テープをリール(図示省略)に巻装し、カートリッジ(図示省略)に収容して磁気記録媒体が完成する。
尚、本実施形態において、磁性層形成工程(S104)の後にバックコート層形成工程(S106)を実行しているが、バックコート層18の形成は、磁性形成工程(S104)の前に行ってもよい。
又、本実施形態において、ノズル塗布法により、下地層用塗料、磁性層用塗料、バックコート層用塗料を塗布しているが、例えば、リバースロール塗布法、グラビアロール塗布法、ナイフコータ塗布法、ドクターブレード塗布法、キスコート塗布法、カラーコート塗布法、スライドビード塗布法等の他の塗布法を用いて下地層用塗料、磁性層用塗料、バックコート層用塗料を塗布してもよい。
又、本実施形態において、バックコート層形成工程(S106)と裁断工程(S110)との間にカレンダ工程(S108)だけを実行しているが、バックコート層形成工程(S106)と裁断工程(S110)との間)との間において、必要に応じて加熱、電子線等の照射による架橋処理、バーニッシュ処理、ブレード処理等を行ってもよい。
又、本実施形態において、バックコート層形成工程(S106)と裁断工程(S110)との間においてのみカレンダ加工を行っているが、カレンダ加工は複数回行ってもよい。例えば、磁性層形成工程(S104)とバックコート層形成工程(S106)との間においても、カレンダ加工を行ってもよい。又、各層を形成する毎にカレンダ加工を行ってもよい。
又、本実施形態において板状無機顔料をバックコート層18に配合しているが、下地層14に板状無機顔料を配合してもよい。又、下地層14と磁性層16との間や支持体12と下地層14との間に板状無機顔料を配合した中間層を設けてもよい。これらの場合も、下地層14、中間層等の板状無機顔料含有層を有する中間製品を少なくとも1対の金属ローラでカレンダ加工することで、板状無機顔料含有層の表面粗さを抑制し、記録密度が高く、ヘッドとの不適切な接触、走行の不安定化やテープ表面の損傷等の磁気テープの問題が生じにくい磁気記録媒体を製造することができる。
上記実施形態のとおり、4種類の磁気テープを作製し、これらをそれぞれリールに巻装し、カートリッジに収容して4種類の磁気記録媒体を作製した。4種類の磁気テープは、バックコート層18に含まれる板状酸化鉄(板状無機顔料)の板径が異なる構成であり、他の構成は同じである。
まず、4ロールの支持体12を用意し、これらの上に下地層14を形成した。具体的には、下記の材料
非磁性粉末:針状α−Fe 80.0質量部
(平均長軸長:0.1μm、結晶子径:12nm)
非磁性粉末:カーボンブラック 20.0質量部
(三菱化学(株)製 商品名:#950B、平均粒径:17nm、BET比表面積:250m/g、DBP吸油量:70ml/100g、pH:8)
電子線硬化型結合剤:電子線硬化型塩化ビニル樹脂 12.0質量部
(東洋紡績(株)製 商品名:TB−0246、(固形分)塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体、平均重合度:310、過硫酸カリ使用S含有量:0.6%(質量百分率)、2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)を使用して日本ゼオン(株)製 MR110をアクリル変性したもの、アクリル含有量:6モル/1モル)
電子線硬化型結合剤:電子線硬化型ポリウレタン樹脂 10.0質量部
(東洋紡績(株)製 商品名:TB−0216、(固形分)ヒドロキシ含有アクリル化合物−ホスホン酸基含有リン化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリオール、平均分子量:13.000、P含有量:0.2%(質量百分率)、アクリル含有量:8モル/1モル)
分散剤:リン酸エステル: 1.0質量部
(東邦化学工業(株)製 商品名:RE−610)
研磨剤 α−アルミナ 5.0質量部
(住友化学工業(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=33(質量%)
をニーダーで混練した後、0.8mmのジルコニアビーズを充填率80%(空隙率50vol%)で充填した横型のピンミルによって分散した。その後、さらに、下記潤滑剤材料:
潤滑剤:脂肪酸 1.0質量部
(日本油脂(株)製 商品名:NAA180)
潤滑剤:脂肪酸アマイド 0.5質量部
(花王(株)製 商品名:脂肪酸アマイドS)
潤滑剤:脂肪酸エステル 1.5質量部
(日光ケミカルズ(株)製 商品名:NIKKOLBS)
を添加して、
NV(固形分濃度)=25(質量%)
となるように
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1(質量比)
の溶剤で希釈した後、分散を行った。
続いて、得られた塗料を絶対濾過精度3.0μmのフィルターで濾過した。
更に、
熱硬化剤 0.2質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製 コロネートL)
を添加混合した後、更に絶対濾過精度1.0μmのフィルターで濾過して、本実施例で用いる下地層用塗料を作製した。
次に、この下地層用塗料を、材料がポリエチレンナフタレート、膜厚が約6.2μmである各支持体12の上にノズル塗布法で塗布し、乾燥させた。更に、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダ装置によって、ニップ数4回、加工温度100℃、線圧力3.5×10N/m、速度150m/minでカレンダ加工を行い、更に、4.0Mradの照射量で電子線照射を行って下地層14を形成した。
次に、磁性層16を下地層14の上に形成した。具体的には、下記の材料
磁性粉末:Fe系針状強磁性粉末 100.0質量部
(Fe/Co/Al/Y=100/20/3/10(原子比)、Hc:180kA/m、σs:135Am2/kg、BET比表面積値:55m/g、平均長軸長:0.09μm)
結合剤:塩化ビニル共重合体 10.0質量部
(日本ゼオン(株)製 商品名:MR110)
結合剤:ポリエステルポリウレタン 6.0質量部
(東洋紡績(株)製 商品名:UR8300)
分散剤:リン酸エステル 3.0質量部
(東邦化学工業(株)製、商品名:RE610)
研磨剤 α−アルミナ 10.0質量部
(住友化学工業(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=30(質量%)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=4/4/2(質量比)
をニーダーで混練した後、前分散として、0.8mmのジルコニアビーズを充填率80%(空隙率50vol%)で充填した横型のピンミルによって分散した。次いで、
NV(固形分濃度)=15%(質量百分率)
となるように
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサン=22.5/22.5/55(質量比)
の溶剤で希釈してから、仕上げ分散を行った。
更に、
熱硬化剤 10.0質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製 コロネートL)
を添加混合し、更に絶対濾過精度1.0μmのフィルターで濾過して、磁性層用塗料を作製した。
この磁性層用塗料をノズルから各支持体12上の下地層14の上に吐出し、塗布した。
次に、配向処理を施しつつ塗布した磁性塗料の溶剤成分を揮発させて乾燥させた。更に、プラスチックロールと金属ロールによりカレンダ処理を行って磁性層16を形成した。
次に、各支持体12における磁性層16が形成された側と反対側の面にバックコート層18を形成した。具体的には、下記の材料
板状酸化鉄(板状無機顔料) 70.0質量部
(平均板径0.15μm、0.20μm、0.30μm、0.50μm、板状比10)
カーボンブラック 30.0質量部
(キャボット社製 商品名:BP−130、平均粒径75nm、DBP吸油量69ml/100g、BET比表面積値25m/g)
ニトロセルロース 18.0質量部
(旭化成工業(株)製 商品名:BTH1/2)
ポリウレタン樹脂 7.0質量部
(東洋紡績(株)製 商品名:UR−8300、スルホン酸Na含有)
カルボン酸アミン塩 5.0質量部
(楠本化成(株)製 商品名:DA−7300)
メチルエチルケトン 200.0質量部
トルエン 200.0質量部
シクロヘキサノン 170.0質量部
をニーダーによって十分に混練した後、0.8mmのジルコニアビーズを充填率80%(空隙率50vol%)で充填した横型のピンミルによって分散を行った。その後に下記材料を投入し、更に前記横型のピンミルによって分散を行った。
メチルエチルケトン 350.0質量部
トルエン 350.0質量部
シクロヘキサノン 100.0質量部
尚、板状酸化鉄の平均板径は、無作為に抽出した100個の粒子の最大径の平均値である。又、粒子の最大径の測定にはTEM(透過型電子顕微鏡)を用いた。
以上のようにして板状酸化鉄の板径が異なる4種類のバックコート層用塗料を作製した。
これらのバックコート層用塗料を、それぞれノズル20から各支持体12における磁性層16と反対側の面に吐出して塗布し、乾燥させた。更に、金属ロール22A、22Bの対(本実施例では4対)によって、ニップ数4回、加工温度100℃、線圧力2.9×10N/m、速度100m/minでカレンダ加工を行い、膜厚が約0.7μmのバックコート層18を形成した。尚、金属ロール22A、22Bは、SUJ(高炭素クロム軸受鋼鋼材)のロールの表面にハードクロムメッキを施したもので、直径は300mmであった。
このように各支持体12に下地層14、磁性層16、バックコート層18が形成された各中間製品10をロールに巻き取り、常温下に24時間放置してから、60℃の温度環境下に約48時間保持して熱硬化させた後、12.65mm(1/2inch)の幅に裁断し、磁気テープを作製した。
このようにして得られた4種類の磁気テープをそれぞれリール(図示省略)に巻装し、カートリッジ(図示省略)に収容して4種類の磁気記録媒体を作製した。
これらの磁気記録媒体の磁気テープについて、バックコート層18の算術平均粗さRaを測定した。具体的には、TARYSTEPシステム(テーラーホブソン社製)を用い、JIS B 0601-1994に基いて算術平均粗さRaを測定した。測定器の条件は以下のように設定した。
フィルター条件:0.3〜9.0Hz
触針 :0.1×2.5μmスタイラス
触針圧 :2mg
測定スピード :0.03mm/sec
測定対象部長さ:500μm
算術平均粗さRaの測定結果を表1に示す。
又、これらの磁気記録媒体の磁気テープについて、エラーレートを測定した。具体的には、ドライブ装置Ultium460e(ヒューレットパッカード社製)及びSCSI制御ソフトを用い、磁気テープのデータ領域開始位置よりランダムデータを約8Gbit記録し、再生した。その際、SCSI制御ソフトにより抽出された訂正可能なC1エラーの個数をbitに換算し、エラーレートとした。具体的には
エラーレート=log10(C1エラービット数/総書き込みビット数)
である。エラーレートの測定結果を表1に示す。
又、これらの磁気記録媒体の磁気テープについて、耐久性を測定した。具体的には、ドライブ装置DLTIV7000(Quantum社製)を用い、40〜80℃の環境下で各磁気記録媒体について48時間繰り返し磁気テープを走行させた。磁気テープの走行速度は約2.5m/minだった。その後、各磁気記録媒体の磁気テープの磁性層16の表面を光学顕微鏡で観察し、磁性層16の表面の損傷の度合いを調べた。更に詳細には、48時間繰り返し走行させた磁気テープの磁性層16の表面において無作為に抽出した幅12.65mm、長さ300mmの範囲を光学顕微鏡により100倍の倍率で観察し、磁性層16の表面の傷の有無を調べた。更に、ドライブ装置から磁気ヘッドを取外し、磁気ヘッドの表面を光学顕微鏡により50倍の倍率で観察し、磁性層16から剥離して磁気ヘッドに付着した付着物の有無を調べた。観察結果を表1に示す。
Figure 2007265536
尚、表1中の○印は磁性層16の表面に傷が無く、磁気ヘッドへの付着物も無いことを示す。又、表1中の△印は磁性層16の表面に傷が観察されたものの、磁気ヘッドへの付着物は無く、実用上問題がないことを示す。又、表1中の×印(比較例)は磁性層16の表面に傷があり、且つ、磁気ヘッドへの付着物もあり、実用上問題があることを示す。
[比較例]
上記実施例に対し、バックコート層18の形成後、2つの金属ロールの対(上記実施例では4対)に代えて、金属ロールと弾性ロールの対(本比較例では4対)でカレンダ加工を行った。他は実施例と同じ条件として4種類の磁気記録媒体を作製した。弾性ロールの材料はエポキシ樹脂である。尚、弾性ロールの形状は実施例の金属ロール22A、22Bと同じである。
又、平均板径が0.15μmの板状酸化鉄を含むバックコート層18を有する磁気テープを備える磁気記録媒体については更に1種類作製した。具体的には、この磁気テープは、カレンダ加工における金属ロールと弾性ロールとの線圧力を実施例よりも大きい3.4×10N/mに設定した。
実施例と同様に、これら5種類の比較例の磁気記録媒体の磁気テープについてバックコート層18の表面の表面粗さRa、エラーレート、耐久性を調べた。結果を表1に示す。
表1に示されるように、実施例及び比較例のいずれについてもバックコート層18に含まれる板状酸化鉄の平均板径が大きい程、バックコート層18の表面の算術平均粗さRaが大きくなる傾向があることがわかる。
一方、バックコート層18に含まれる板状酸化鉄の平均板径が等しければ、実施例は比較例よりもバックコート層18の表面の算術平均粗さRaが小さいことが確認された。これは、比較例が金属ロールと弾性ロールの対でバックコート層18のカレンダ加工を行ったのに対し、実施例は2つの金属ロール22A、22Bの対でバックコート層18のカレンダ加工を行ったことによるものと考えられる。
又、比較例の磁気テープについてはいずれも実用上問題となるレベルの磁性層16の表面の損傷が確認されたのに対し、実施例の磁気テープについては実用上問題となるような磁性層16の表面の損傷は確認されなかった。これは、上記のように、実施例は磁性層16と擦れあうバックコート層18の表面の算術平均粗さRaが比較例よりも小さかったためと考えられる。
即ち、実施例は比較例よりも、磁性層16の損傷が抑制され、耐久性が高いことが確認された。特に、バックコート層18に含まれる板状酸化鉄の平均板径が0.15〜0.30μmの場合、実施例は比較例に対しバックコート層18の表面粗さを小さく抑制し、磁性層16の損傷を抑制する効果が顕著である。
尚、板状酸化鉄の板径が0.50μmの実施例のサンプルと、板状酸化鉄の板径が0.15μm比較例の2つのサンプルと、を比較するとバックコート層18の表面の算術平均粗さが同等であるにも拘わらず、磁性層16の損傷の度合いは、実施例の方が比較例よりも小さかった。これは、バックコート層18の表面の算術平均粗さRaが同等であっても、より微視的には、2つの金属ロール22A、22Bの対でバックコート層18のカレンダ処理を行った実施例のサンプルよりも、金属ロールと弾性ロールの対でバックコート層18のカレンダ処理を行った比較例のサンプルの方が、バックコート層18の表面の凸部が尖鋭であったためと考えられる。
又、バックコート層18の表面の算術平均粗さRaと同様に、実施例及び比較例のいずれについてもバックコート層18に含まれる板状酸化鉄の平均板径が大きい程エラーレートが大きくなる傾向があるが、バックコート層18に含まれる板状酸化鉄の平均板径が等しければ、実施例は比較例よりもエラーレートが小さかった。これは、実施例が比較例よりも磁性層16の損傷が少く、又、(板状酸化鉄の平均板径が等しければ)バックコート層18の表面の算術平均粗さRaが小さいために磁性層16の表面粗さも小さく抑制され、磁気テープとヘッドとの接触が良好で磁気テープの走行が安定していたためと考えられる。
尚、エラーレートが−7.0以下であれば、磁気テープに記録されたデータを良好に再生できることが経験上知られている。比較例は5種類の磁気記録媒体の磁気テープのうちバックコート層18に含まれる板状酸化鉄の板径が0.15μmで3.4×10N/mの線圧力でバックコート層18のカレンダ加工を行った1種類の磁気テープのエラーレートが−7.0であったものの、他の4種類の磁気記録媒体の磁気テープのエラーレートは−7.0よりも大きかった。これに対し、実施例の4種類の磁気記録媒体の磁気テープのエラーレートはいずれも−7.0以下であった。即ち、実施例によれば磁気テープに記録されたデータを良好に再生できることがわかる。
本発明は、磁気テープを備える磁気記録媒体の製造に利用できる。
本発明の実施形態に係る磁気テープのバックコート層の形成工程を模式的に示す側断面図 同磁気テープのカレンダ工程を模式的に示す側断面図 同磁気テープの製造工程の概要を示すフローチャート
符号の説明
10…中間製品
12…支持体
14…下地層
16…磁性層
18…バックコート層
20…ノズル
20A…スリット
22A、22B…金属ロール
S102…下地層形成工程
S104…磁性層形成工程
S106…バックコート層形成工程
S108…カレンダ工程
S110…裁断工程

Claims (4)

  1. 板状無機顔料を含む板状無機顔料含有層を非磁性の支持体の上に形成する板状無機顔料含有層形成工程と、前記支持体及び前記板状無機顔料含有層を有する中間製品を少なくとも1対の金属ロールで挟んでカレンダ加工するカレンダ工程と、をこの順で実行することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記板状無機顔料含有層形成工程において、前記板状無機顔料として板状酸化鉄を含む板状無機顔料含有層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記板状無機顔料含有層形成工程において、前記板状無機顔料含有層としてバックコート層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 請求項3において、
    前記板状無機顔料含有層形成工程において、前記バックコート層として前記板状無機顔料及びカーボンを含むバックコート層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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