JP2007265504A - ディスクカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】シャッタ部材の表面からの離脱規制用頭部の突出を回避する。
【解決手段】ディスク状情報媒体を収容するカートリッジ本体と、ディスクアクセス用の開口部の一部を規制状態において閉塞すると共に許容状態において開口するディスクトレイ5と、ディスクトレイ5に軸支されて開口部における他の一部を規制状態において閉塞すると共に許容状態において開口するシャッタ部材6とを備え、ディスクトレイ5には、シャッタ部材6に形成された軸受孔41に挿通させられてシャッタ部材6を軸支する支持軸23が底板21に突設され、支持軸23は、長板状の離脱規制用頭部32が軸本体31の先端部に形成されると共に底板21の表面からの高さH5がシャッタ部材6の厚みTよりも低くなるように形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、カートリッジ本体内に収容されたディスク状情報媒体に対してディスクアクセス用の開口部を介してのディスクアクセスが可能に構成されたディスクカートリッジに関するものである。
この種のディスクカートリッジとして、カートリッジ筐体内にディスク状の情報媒体を収容したディスクカートリッジが特開2003−123426号公報に開示されている。このディスクカートリッジは、光ディスク(情報媒体)と、上シェルおよびディスクアクセス用の開口部が形成された下シェルを有するカートリッジ筐体と、下シェルの開口部と同様の開口部が形成されてカートリッジ筐体内に回動可能に収容されたインナーシェル(ディスクトレイ)と、インナーシェルおよび下シェルの間に配設されてインナーシェルによって軸支された一対のシャッタ部材(シャッタ)とを備えている。このディスクカートリッジでは、記録再生装置に対する装填時および排出時において、記録再生装置によってインナーシェルがカートリッジ筐体に対して回動させられて下シェルにおける開口部の一部がインナーシェルによって開閉されると共に、インナーシェルの回動に伴って両シャッタ部材がインナーシェルに対して回動させられて下シェルにおける開口部の他の一部を開閉する構成が採用されている。
具体的には、このディスクカートリッジでは、インナーシェルに形成された支持軸をシャッタ部材に形成された軸受孔に挿通させた状態で支持軸の先端部をかしめ処理(かしめ加工)して支持軸の先端部に拡径頭部を形成することにより、インナーシェルに対するシャッタ部材の回動を許容しつつ、インナーシェルからのシャッタ部材の外れを回避する構成が採用されている。この場合、例えば熱かしめ装置によって支持軸の先端部を熱変形させて拡径頭部を形成する際に、頭部成型チップ(かしめ処理時に支持軸の先端部に当接させる部位)をかしめ処理に適した温度に温度管理する必要がある。しかしながら、ディスクカートリッジを連続して量産するときには、頭部成型チップを常に一定の温度に保つのが困難のため、均一な大きさで十分な厚みの拡径頭部を形成するのが困難となっている。
例えば、頭部成型チップの温度が低過ぎるときには、かしめ処理時に支持軸の先端部を十分に加熱することができないため、先端部が十分に熱変形せずに拡径頭部の径(大きさ)が小さくなる。この状態では、落下時などにおいて、支持軸がその衝撃などによって軸受孔から容易に抜けるため、シャッタ部材がインナーシェルから容易に外れることとなる。一方、頭部成型チップの温度が高過ぎるときには、支持軸の先端部が過度に熱せられて必要以上に大きく熱変形するため、拡径頭部は大きくなるものの、その厚みが薄くなり過ぎて破断し易くなる。この結果、破断に起因して、シャッタ部材がインナーシェルから外れることとなる。また、頭部成型チップの温度がさらに高温のときには、支持軸のみならず軸受孔の口縁部までもが熱変形して、シャッタ部材がインナーシェルに溶着されてインナーシェルに対するシャッタ部材の回動が阻害されるおそれもある。このように、熱かしめ装置等を用いてインナーシェルにシャッタ部材を取り付けている従来のディスクカートリッジには、インナーシェルからのシャッタ部材の外れや、インナーシェルに対するシャッタ部材の回動不良の発生を回避するのが困難であるという問題点が存在する。
一方、上記の問題点を解決するための技術として、出願人は、ディスクトレイ(上記のインナーシェル)の射出成形時において離脱規制用頭部(上記のディスクカートリッジにおける拡径頭部に相当する構成要素)を支持軸の先端部に形成したディスクカートリッジを特開2005−322292号公報に開示している。このディスクカートリッジ1x(以下、出願人が開示しているディスクカートリッジ1xの各構成要素については、符号の末尾に「x」を付して説明する)は、図8に示すように、ディスクトレイ5xの底板31xに突設された支持軸33xを備えている。この場合、この支持軸33xは、軸本体41xと、軸本体41xの先端部に形成されて一方の幅(支持軸の高さ方向に直交する方向の長さ)が他方の幅(一方の幅に直交する向きの幅)よりも広い(長い)長板状の離脱規制用頭部42xとを備えている。また、シャッタ部材6xには、支持軸33xが挿通させられる長孔状の軸受孔51xが形成されている。この場合、軸受孔51xは、離脱規制用頭部42xの挿通を可能としつつ、閉塞状態と開口状態との間でシャッタ部材6xがディスクトレイ5xに対して回動させられているときに(図示せず)、ディスクトレイ5xからのシャッタ部材6xの外れ(離脱)を規制可能に形成されている。
したがって、出願人が開示しているディスクカートリッジ1xによれば、熱かしめ装置等を用いてディスクトレイ(インナーシェル)にシャッタ部材をかしめ処理して固定している従来のディスクカートリッジとは異なり、ディスクトレイ5xに対するシャッタ部材6xの取り付け作業時においてシャッタ部材6xとディスクトレイ5xとを溶着する必要がないため、シャッタ部材6xの回動不良の発生を確実に回避することが可能となっている。また、射出成形時に支持軸33xを成形することで、離脱規制用頭部42xの大きさや厚み(同図における高さH5bx)にばらつきを生じさせることなく支持軸33xを形成することが可能となっている。このため、離脱規制用頭部42xが小さ過ぎて軸受孔51xから抜け易くなる事態や、離脱規制用頭部42xが薄過ぎて破断し易くなる事態を確実に回避することができる。これにより、ディスクトレイ5xからのシャッタ部材6xの意図しない外れ(離脱)を確実に回避することができる。
また、このディスクカートリッジ1xでは、離脱規制用頭部42xの挿通を可能とする挿通用孔61xを取り囲むようにして、離脱規制用頭部42xの厚み(同図における高さH5bx)よりも深い深さDxの凹部62xをシャッタ部材6xに形成することで上記の軸受孔51xが構成されている。このため、シャッタ部材6xをディスクトレイ5xに取り付けた状態において、離脱規制用頭部42xをシャッタ部材6xの厚みの範囲内(凹部62x内)に位置させることが可能となり、これにより、シャッタ部材6xの表面から離脱規制用頭部42xが突出する事態を回避することが可能となっている。
特開2003−123426号公報(第3−10頁、第1−28図) 特開2005−322292号公報(第6−13頁、第1−30図)
ところが、出願人が開示しているディスクカートリッジ1xには、以下の改善すべき課題がある。すなわち、出願人が開示しているディスクカートリッジ1xでは、離脱規制用頭部42xの厚み(図8における高さH5bx)よりも深い深さDxの凹部62xをシャッタ部材6xに形成することによってシャッタ部材6xの表面から離脱規制用頭部42xが突出する事態を回避するように構成されている。この場合、この種のディスクカートリッジでは、ディスクトレイに対してシャッタ部材をスムーズに回動させるために、ディスクトレイにシャッタ部材を取り付けた状態において、ディスクトレイとシャッタ部材との間に極く小さな隙間(例えば、図8に示す隙間Sx)が形成されるように構成されている。したがって、図9に示すように、ディスクトレイ5xの底板31xに向けてシャッタ部材6xを強く押し付けたときには、上記の隙間Sxの分だけシャッタ部材6xが底板31xに向けて移動することとなる。このため、出願人が開示しているディスクカートリッジ1xには、シャッタ部材6xの表面から離脱規制用頭部42xが高さH6xだけ突出するおそれがあり、突出した離脱規制用頭部42xが下シェルにおける開口部の口縁に当接してディスクトレイ5xの回動が阻害されるおそれがある。
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、シャッタ部材の表面からの離脱規制用頭部の突出を回避し得るディスクカートリッジを提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく本発明に係るディスクカートリッジは、第1シェル、およびディスクアクセス用の第1開口部が形成された第2シェルを有してディスク状情報媒体を収容するカートリッジ本体と、ディスクアクセス用の第2開口部が形成されて前記カートリッジ本体内に回動可能に配設され、ディスクアクセスを規制する規制状態において前記第1開口部の一部を閉塞すると共に当該ディスクアクセスを許容する許容状態において当該第1開口部に対して前記第2開口部が連通させられて当該一部を開口するディスクトレイと、前記第2シェルおよび前記ディスクトレイの間に配設されて当該ディスクトレイに軸支され、前記規制状態において前記第1開口部における他の一部を閉塞して前記ディスクトレイと相俟って当該第1開口部を閉塞すると共に前記許容状態において前記他の一部を開口するシャッタ部材とを備え、前記ディスクトレイには、前記シャッタ部材に形成された軸受孔に挿通させられて当該シャッタ部材を軸支する支持軸が本体部に突設され、前記支持軸は、軸本体の先端部に離脱規制用頭部が形成されると共に前記本体部の表面からの高さが前記シャッタ部材の厚みよりも低くなるように形成され、前記離脱規制用頭部は、前記支持軸の高さ方向に対して直交する第1の長さが当該第1の長さの方向および当該高さ方向の双方に対して直交する第2の長さよりも長い長板状に形成され、前記シャッタ部材には、前記支持軸を挿通可能に形成されると共に当該支持軸を中心として当該シャッタ部材を前記ディスクトレイに対して回動させることによって当該シャッタ部材の当該ディスクトレイからの離脱を規制可能な軸受孔が形成されている。
また、本発明に係るディスクカートリッジは、前記第1の長さが前記軸本体の前記先端部に近付くほど徐々に短くなるように前記離脱規制用頭部の下面がテーパ面で構成され、前記軸受孔には、前記離脱規制用頭部の前記テーパ面が当接可能な逆テーパ面が形成されている。
本発明に係るディスクカートリッジによれば、第1の長さが第2の長さよりも長い離脱規制用頭部を軸本体の先端部に形成すると共にその高さがシャッタ部材の厚みよりも低くなるように支持軸をディスクトレイにおける本体部に突設したことにより、たとえシャッタ部材をディスクトレイに向けて強く押し付けたとしても、離脱規制用頭部の先端部がシャッタ部材の表面から突出する事態を確実に回避することができる。したがって、シャッタ部材から突出した離脱規制用頭部が第2シェルにおける第1開口部の口縁部に当接する事態を回避することができるため、カートリッジ本体に対するディスクトレイの回動が阻害される事態を招くことなく、ディスクトレイをスムーズに回動させることができる。また、熱かしめ装置等を用いてディスクトレイ(インナーシェル)にシャッタ部材をかしめ処理して固定している従来のディスクカートリッジとは異なり、ディスクトレイの射出成形時に離脱規制用頭部をディスクトレイの本体部分と一体的に成形することができる。したがって、ディスクトレイに対するシャッタ部材の取り付け作業時におけるシャッタ部材とディスクトレイとの溶着作業を不要にできるため、シャッタ部材の回動不良の発生を確実に回避することができる。また、射出成形時において支持軸を成形することにより、頭部の大きさや厚み(支持軸の高さ方向における長さ)にばらつきを生じさせることなく支持軸を突設することができる。このため、頭部が小さ過ぎて軸受孔から抜け易くなる事態や、頭部が薄過ぎて破断し易くなる事態を確実に回避することができる。したがって、ディスクトレイからのシャッタ部材の意図しない外れ(離脱)を確実に回避することができる。
また、本発明に係るディスクカートリッジによれば、軸本体の先端部に近付くほど第1の長さが徐々に短くなるように離脱規制用頭部の下面をテーパ面で構成すると共に、離脱規制用頭部のテーパ面が当接可能な逆テーパ面を軸受孔に形成したことにより、離脱規制用頭部の下面(テーパ面)が軸受孔の内壁面(逆テーパ面)に当接することで支持軸の中心が軸受孔の中心に位置合わせされるため、位置ずれに起因してシャッタ部材が例えば第2シェル等に当接する事態を回避して、ディスクトレイに対してシャッタ部材をスムーズに回動させることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るディスクカートリッジの最良の形態について説明する。
最初に、ディスクカートリッジ1の構成について、図面を参照して説明する。
図1,2に示すディスクカートリッジ1は、各種記録データの記録および再生が可能に構成されたカートリッジ式の情報媒体であって、カートリッジ本体2、ディスクトレイ5、シャッタ部材6およびロック部材7などを備えてカートリッジ本体2内に光ディスク9が収納されて構成されている。なお、図2では、本発明についての理解を容易とするために、その厚み方向のサイズを誇張して厚く図示している。
この場合、光ディスク9は、一例として、片面仕様の書き換え型のディスク状情報媒体(ディスク状情報記録媒体)であって、図2に示すように、その中心部には、記録再生装置にクランプさせるための直径15mm程度の中心孔9aが形成されている。この光ディスク9は、カートリッジ本体2の上シェル4に取り付けられた円板状のクランピングプレート8が記録再生装置によって引き寄せられることによって記録再生装置にクランプされる。一方、図1,2に示すように、カートリッジ本体2は、互いに嵌合可能に(重ね合わせが可能に)形成された下シェル3および上シェル4を備えている。
下シェル3は、本発明における第2シェルに相当し、一対の下シェル本体11a,11bを備えて、一例として、ポリカーボネート(または、ABS樹脂等)を用いて射出成形されている。この下シェル3は、上シェル4に嵌合させた状態(上シェル4に重ね合わせて一体化させた状態)において、両下シェル本体11a,11bの間にディスクアクセス用の開口部15が形成されるように構成されている。この場合、開口部15は、本発明における第1開口部に相当し、記録データの記録再生時において、カートリッジ本体2内の光ディスク9に対するディスクアクセス(記録再生装置によるクランプや、光学ヘッドを介してのレーザービームの照射等)が可能となるようにその開口幅および開口長等が規定されている。
具体的には、図1に示すように、開口部15は、下シェル3の一方の外縁部(同図における手前側の縁部)から中心部を挟んで対向する他方の外縁部(同図における奥側の縁部)に亘る帯状となるように形成されている。これにより、開口部15は、カートリッジ本体2内に収容された状態の光ディスク9における中心孔9aの周囲を含む中心部領域を挟んで互いに対向する一対の外縁部領域間に亘る帯状の領域を露出可能な形状および大きさとなっている。この構成により、このディスクカートリッジ1では、2つの光学ヘッドを同時に用いて光ディスク9に対する記録データの記録および再生を行うことが可能となっている。また、両下シェル本体11a,11bの裏面側(カートリッジ本体2の内面側)には、シャッタ部材6のスリット42(図3参照)に挿入されて、後述するようにディスクトレイ5の回動に伴ってシャッタ部材6をスライドさせるための回動用凸部(図示せず)がそれぞれ立設されている。
上シェル4は、本発明における第1シェルに相当し、一例として、透過性を有するポリカーボネートを用いて射出成形されている。また、図2に示すように、上シェル4の中央部には、リング状の取付け部材8aによってクランピングプレート8が取り付けられている。この場合、クランピングプレート8は、例えば金属材料で円板状に形成され、上シェル4に対して回転可能で、上シェル4の天板に対する接離方向で僅かに移動可能に取り付けられている。
ディスクトレイ5は、図2,3に示すように、開口部25が形成された円板状の底板21(本発明における本体部)と、底板21の外縁部に立設された側壁22とで光ディスク9を載置可能な浅皿状に形成されて、光ディスク9と共にカートリッジ本体2内に回動可能に収容されている。この場合、開口部25は、本発明における第2開口部に相当し、下シェル3における開口部15の幅とほぼ同じ幅となるように形成されている。また、図3に示すように、側壁22には、記録再生装置のシャッタ開閉手段(図示せず)が噛合可能な噛合用歯部22aが形成されている。さらに、側壁22には、光ディスク9に対するディスクアクセスを規制している状態(常態)においてロック部材7(図1参照)が係合してカートリッジ本体2に対する回動を規制するための切り欠きや、記録再生装置のシャッタ開閉手段が係合してディスクトレイ5を回動させるための切り欠きなどが形成されている。
また、図3に示すように、ディスクトレイ5における底板21の下面(図2における下面:光ディスク9が載置される側の面に対する裏面)には、シャッタ部材6を軸支するための支持軸23,23が突出するようにして形成(突設)されている。この支持軸23は、ディスクトレイ5の射出成形時において底板21と一体的に成形されて、シャッタ部材6を回動可能に軸支する。この場合、図4に示すように、支持軸23は、底板21に立設された軸本体31と、軸本体31の先端部(同図における上端部)に形成された離脱規制用頭部(以下、「頭部」ともいう)32とを備えて形成されている。また、このディスクトレイ5には、頭部32を成形するための型抜き用孔33,33が底板21における軸本体31の近傍に開口されている。
この場合、軸本体31は、その直径が3.0mm程度で、底板21の表面からの高さH5a(図6参照)が0.3mm程度の円柱状に形成されている。また、頭部32は、平面視が長板状となるように軸本体31と一体成形されて、図3に示すように、短尺側の長さL1(本発明における第2の長さ)が3.0mm程度で、長尺側の長さL2(本発明における第1の長さ:長さL1に対して直交する向きの長さ)が3.6mm程度となるように形成されている。この場合、図6に示すように、頭部32は、軸本体31の先端部に近付くほど長尺側の長さが徐々に短くなるように、その下面がテーパ面で構成されている。また、頭部32は、その高さH5bが0.5mm程度となるように形成されている。これにより、底板21の表面からの支持軸23の高さH5(軸本体31の高さH5aと頭部32の高さH5bとの和)が0.8mm程度となっている。
シャッタ部材6は、図3に示すように、ディスクトレイ5の支持軸23を挿通可能な軸受孔41と、下シェル3の回動用凸部を挿通可能なスリット42とが形成されて、全体として、その厚みT(図6参照)が1.0mm程度となるように平板状に形成されている。このシャッタ部材6は、後述するように、支持軸23を軸受孔41に挿通させるようにしてディスクトレイ5に対して回動可能に軸支された状態で、図2に示すように、下シェル3とディスクトレイ5との間に挟み込まれるようにしてカートリッジ本体2内に収容されている。この場合、このディスクカートリッジ1では、ディスクトレイ5に対してシャッタ部材6をスムーズに回動させるために、ディスクトレイ5にシャッタ部材6を取り付けた状態において、ディスクトレイ5とシャッタ部材6との間に極く小さな隙間(一例として、0.1mm程度の隙間)が形成されるように構成されている。
軸受孔41は、図5,6に示すように、支持軸23における軸本体31の挿通が可能に構成された平面視長孔状の挿通用孔41aと、挿通用孔41aを取り囲むようにして形成された平面視長孔状で断面が逆テーパ状の凹部41bとがシャッタ部材6の厚み方向で連通するようにして構成されている。この場合、図5に示すように、挿通用孔41aは、シャッタ部材6の厚み方向に対して直交する長尺側の長さ(開口長)L4が3.7mm程度で、長さL4の方向およびシャッタ部材6の厚み方向の双方に対して直交する短尺側の長さ(開口長)L3が3.1mm程度となるように長孔状に形成されている。また、挿通用孔41aは、上記の長さL4が支持軸23における頭部32の長尺側の長さL2よりも0.1mm程度長く形成されると共に、上記の長さL3が頭部32の長尺側の長さL2よりも0.5mm程度短く、かつ、頭部32の短尺側の長さL1よりも0.1mm程度長くなるように形成されている。これにより、ディスクトレイ5に対するシャッタ部材6の取付け時において、挿通用孔41aに対する支持軸23の頭部32の挿通を可能としつつ、軸受孔41からの支持軸23の抜けが回避されている。
一方、凹部41bは、図6に示すように、その深さDが頭部32の高さH5bよりも僅かに深い0.7mm程度で、その短尺側および長尺側の長さ(開口長)が挿通用孔41aの各開口幅(長さL3,L4)よりもそれぞれ0.5mm程度大きくなるように形成されている。これにより、凹部41b内での頭部32の相対的回動(ディスクトレイ5に対するシャッタ部材6の回動に伴うシャッタ部材6に対する支持軸23の回動)が許容されている。
この場合、このディスクカートリッジ1では、図5において網線で塗りつぶした領域の厚みTが従来のディスクカートリッジ1xにおけるシャッタ部材6xの厚みTx(図8,9参照)よりも厚くなるようにシャッタ部材6を形成することにより、支持軸23の高さH5がシャッタ部材6における軸受孔41の周囲の厚みTよりも高さH6(図6参照)だけ低くなるように形成されている。したがって、このディスクカートリッジ1によれば、軸受孔41の周囲の領域を従来のシャッタ部材6xの厚みTxよりも厚く形成したことにより、例えばディスクカートリッジ1を1.5m程度の高さ(立っている人の肩の高さの一例:肩に担いだ状態のビデオカメラに対して挿入する際においてディスクカートリッジを誤って落下させた場合を想定した高さ)から木の床の上に落下させたとしても、軸受孔41の周囲が破断することに起因してシャッタ部材6がディスクトレイ5から外れることのない程度に、シャッタ部材6が丈夫に形成されている。
次に、ディスクカートリッジ1の組立て方法および使用方法について、図面を参照して説明する。
このディスクカートリッジ1の組立てに際しては、図3に示すように、まず、ディスクトレイ5にシャッタ部材6,6を取り付ける。具体的には、軸受孔41における長尺方向の向きと支持軸23における長尺方向の向きとを一致させた状態において、挿通用孔41aに支持軸23(頭部32)を挿通させ、その後にディスクトレイ5に対してシャッタ部材6を回動させることにより、頭部32が挿通用孔41aの口縁部(凹部41bの底部)に係合してディスクトレイ5からのシャッタ部材6の外れ(離脱)が規制される。したがって、このディスクカートリッジ1では、熱かしめ装置等によるかしめ処理を不要としつつ、ディスクトレイ5にシャッタ部材6を取り付けることが可能となっている。これにより、ディスクトレイ5に対するシャッタ部材6,6の取り付けが完了する。
次いで、シャッタ部材6の取り付けが完了したディスクトレイ5上に光ディスク9を載置した状態で下シェル3および上シェル4の間に挟み込むようにしてカートリッジ本体2内に収容する。この際には、シャッタ部材6のスリット42に下シェル3(下シェル本体11a,11b)の回動用凸部が挿入されるようにして上シェル4に下シェル3を重ね合わせて固定する。これにより、図1,2に示すように、ディスクカートリッジ1が完成する。
このディスクカートリッジ1では、図1に示すように、記録再生装置から取り外されている状態のときには、下シェル3の開口部15が、ディスクトレイ5とシャッタ部材6,6とによって閉塞されて、カートリッジ本体2内の光ディスク9に対するディスクアクセスが規制されている(本発明における規制状態)。具体的には、開口部15における長手方向両端部側の端部領域(光ディスク9の外縁部側を露出させるための開口部位:本発明における一部)がディスクトレイ5の底板21によって閉塞されると共に、開口部15における長手方向中央部の中央部領域(光ディスク9における中心孔9aの近傍を露出させるための開口部位:本発明における他の一部)がシャッタ部材6,6によって閉塞される。この結果、ディスクトレイ5およびシャッタ部材6,6によって開口部15の全域が閉塞されて、光ディスク9が保護される。
この際に、このディスクカートリッジ1では、ディスクトレイ5およびシャッタ部材6,6によって開口部15の全域が閉塞されている状態において、ディスクトレイ5における支持軸23の頭部32がシャッタ部材6における軸受孔41の挿通用孔41aの口縁部(凹部41bの底部)に係合する。これにより、ディスクトレイ5からのシャッタ部材6の外れ(離脱)が規制された状態が維持される。
一方、ディスクカートリッジ1を記録再生装置に装填した際には、ディスクカートリッジ1が記録再生装置によって装置内部に引き込まれる。この際には、記録再生装置のシャッタ開閉手段によってディスクトレイ5が回動させられるのに伴い、シャッタ部材6がディスクトレイ5に対して回動させられる。これにより、開口部15が開口されてカートリッジ本体2内の光ディスク9に対するディスクアクセスが許容される(本発明における許容状態)。
具体的には、まず、記録再生装置のシャッタ開閉手段がロック部材7に当接することによって、ロック部材7がカートリッジ本体2に対して回動させられてディスクトレイ5の回動規制を解除する。次に、ディスクカートリッジ1が記録再生装置内にさらに引き込まれた際には、シャッタ開閉手段がディスクトレイ5の噛合用歯部22aに噛合して、この状態でディスクカートリッジ1がさらに引き込まれることによってディスクトレイ5がカートリッジ本体2に対して回動させられる。この際には、ディスクトレイ5の回動に伴い、下シェル3の回動用凸部がシャッタ部材6のスリット42内を相対的にスライドすることによって、シャッタ部材6が軸受孔41(ディスクトレイ5の支持軸23)を中心としてディスクトレイ5に対して回動(スライド)させられる。
次いで、ディスクカートリッジ1が記録再生装置内にさらに引き込まれた際には、図2に示すように、下シェル3の開口部15とディスクトレイ5の開口部25とがディスクカートリッジ1の厚み方向において重ね合わされる(連通する)と共に、シャッタ部材6,6が開口部25上から退避させられる。これにより、ディスクトレイ5によって閉塞されていた開口部15の端部領域と、シャッタ部材6によって閉塞されていた開口部15の中央部領域とが開口されてカートリッジ本体2内の光ディスク9が露出して、カートリッジ本体2の外部からの光ディスク9に対するディスクアクセスが許容される。
この際に、このディスクカートリッジ1では、ディスクトレイ5およびシャッタ部材6,6による開口部15の閉塞が解除された状態(開口部15の全域が開口された状態)において、ディスクトレイ5における支持軸23の頭部32がシャッタ部材6における軸受孔41の挿通用孔41aの口縁部(凹部41bの底部)に係合してディスクトレイ5からのシャッタ部材6の外れ(離脱)が規制された状態が維持される。この後、記録再生装置によってクランピングプレート8が磁気的に吸引されて中心孔9aの口縁部(中心部領域)がクランプされ、開口部15を介してのレーザービームの照射(記録データの記録または再生)が実行される。
一方、記録データの記録再生を完了したディスクカートリッジ1を記録再生装置から取り出す際には、記録再生装置のシャッタ開閉手段によってディスクトレイ5が回動させられると共に、その回動に伴ってシャッタ部材6が回動させられて、ディスクトレイ5およびシャッタ部材6,6によって開口部15の全域が閉塞される。
この場合、図6に示すように、このディスクカートリッジ1では、支持軸23における軸本体31の高さH5aと頭部32の高さH5bの和である支持軸23の高さH5が、シャッタ部材6における軸受孔41の周囲の領域の厚みTよりも高さH6だけ低くなるように形成されている。したがって、記録再生装置の内部において、たとえシャッタ部材6がディスクトレイ5の底板21に向けて強く押し付けられたとしても、シャッタ部材6の表面から支持軸23における頭部32の先端部が突出することなく、頭部32が軸受孔41(凹部41b)内に位置した状態が維持される。これにより、開口部15を閉塞する際に、頭部32が下シェル3(下シェル本体11a,11b)における開口部15の口縁に当接することが回避されるため、ディスクトレイ5の回動が阻害されることなく、ディスクトレイ5をスムーズに回動させることが可能となっている。この結果、カートリッジ本体2、ディスクトレイ5およびシャッタ部材6,6によってカートリッジ本体2内の光ディスク9が保護される。
この場合、このディスクカートリッジ1では、ディスクトレイ5およびシャッタ部材6によって開口部15の全域が開口されている状態から、開口部15の全域が閉塞される状態まで移行する間において、ディスクトレイ5に対してシャッタ部材6が回動させられる際に、支持軸23の頭部32が軸受孔41の挿通用孔41aの口縁部(凹部41bの底部)に係合した状態が維持される。したがって、ディスクカートリッジ1を記録再生装置に装填した状態、および、ディスクカートリッジ1を記録再生装置から取り出した状態の双方において、ディスクトレイ5に対するシャッタ部材6の回動時におけるディスクトレイ5からのシャッタ部材6の外れ(離脱)が規制された状態が維持される。
このように、このディスクカートリッジ1によれば、長さL2(第1の長さ)が長さL1(第2の長さ)よりも長い離脱規制用頭部32を軸本体31の先端部に形成すると共にその高さH5がシャッタ部材6の厚みTよりも低くなるように支持軸23をディスクトレイ5における底板21(本体部)に突設したことにより、たとえシャッタ部材6をディスクトレイ5に向けて強く押し付けたとしても、離脱規制用頭部32の先端部がシャッタ部材6の表面から突出する事態を確実に回避することができる。したがって、シャッタ部材6から突出した離脱規制用頭部32が下シェル3における開口部15の口縁部(下シェル本体11a,11b)に当接する事態を回避することができるため、カートリッジ本体2に対するディスクトレイ5の回動が阻害される事態を招くことなく、ディスクトレイ5をスムーズに回動させることができる。また、熱かしめ装置等を用いてディスクトレイ(インナーシェル)にシャッタ部材をかしめ処理して固定している従来のディスクカートリッジとは異なり、ディスクトレイ5の射出成形時に離脱規制用頭部32ディスクトレイ5の本体部分と一体的に成形することができる。したがって、ディスクトレイ5に対するシャッタ部材6の取り付け作業時におけるシャッタ部材6とディスクトレイ5との溶着作業を不要にできるため、シャッタ部材6の回動不良の発生を確実に回避することができる。また、射出成形時において支持軸23を成形することにより、頭部32の大きさや厚み(図6における高さH5b)にばらつきを生じさせることなく支持軸23を突設することができる。このため、頭部32が小さ過ぎて軸受孔41から抜け易くなる事態や、頭部32が薄過ぎて破断し易くなる事態を確実に回避することができる。したがって、ディスクトレイ5からのシャッタ部材6の意図しない外れ(離脱)を確実に回避することができる。
また、このディスクカートリッジ1によれば、軸本体31の先端部に近付くほど徐々に細径となるように離脱規制用頭部32の下面をテーパ面で構成すると共に、離脱規制用頭部32のテーパ面が当接可能な逆テーパ面を軸受孔41(凹部41b)に形成したことにより、離脱規制用頭部32の下面(テーパ面)が軸受孔51の内壁面(逆テーパ面)に当接することで支持軸23の中心が軸受孔51の中心に位置合わせされるため、位置ずれに起因してシャッタ部材6が例えば下シェル3等に当接する事態を回避して、ディスクトレイ5に対してシャッタ部材6をスムーズに回動させることができる。
なお、本発明は、上記した構成に限定されない。例えば、本発明におけるディスク状情報媒体としては、上記した書き換え型の光ディスク9に限定されず、再生専用タイプの光ディスクや、追記型の光ディスクなどの各種の光ディスクが含まれるばかりでなく、光磁気ディスクや磁気ディスクも含まれる。また、上記したディスクカートリッジ1では、別個独立した下シェル本体11a,11bを有する下シェル3を備えてカートリッジ本体2が構成されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、図7に示すディスクカートリッジ1Aのように、ディスクカートリッジ1における下シェル3に代えて、連結部11c,11dによって下シェル本体11a,11bを一体的に連結した下シェル3Aを採用してカートリッジ本体2Aを構成することもできる。
さらに、本発明におけるディスクアクセス用の開口部の開口形状は、上記の例のようにカートリッジ本体2の前後方向に長い長方形形状の開口形状に限定されるものではなく、カートリッジ本体の左右方向に長い長方形形状の開口形状や、方形形状のカートリッジ本体における対角線方向に長い長方形形状の開口形状であってもよい(図示せず)。この場合、本発明に係るディスクカートリッジとしては、2つの光学ヘッドを同時に用いた記録再生が可能なタイプに限定されず、単一の光学ヘッドを用いた記録再生が可能な開口部を下シェル3に形成したタイプのディスクカートリッジが含まれる(図示せず)。
また、上記したディスクカートリッジ1では、下シェル3に回動用凸部を突設すると共にシャッタ部材6にスリット42を形成してディスクトレイ5の回動に伴ってシャッタ部材6を回動させる構成を採用しているが、本発明はこれに限定されず、シャッタ部材6に回動用凸部を突設すると共に下シェル3に回動用案内溝(スリット)を形成してディスクトレイ5の回動に伴ってシャッタ部材6を回動させる構成を採用することもできる。さらに、本発明における離脱規制用頭部の平面視形状、および軸受孔(挿通用孔)の開口形状は、ディスクカートリッジ1における頭部32および挿通用孔41aの形状に限定されず、一方の幅に対して他方の幅が長い長板状(長孔状)である限り、これらの形状を適宜変更することができる。
ディスクカートリッジ1の外観斜視図である。 開口部15を開口した状態のディスクカートリッジ1の断面図である。 ディスクトレイ5およびシャッタ部材6,6の平面図である。 ディスクトレイ5における支持軸23の近傍の斜視図である。 シャッタ部材6における軸受孔41の近傍の平面図である。 ディスクトレイ5における支持軸23、およびシャッタ部材6における軸受孔41の近傍の断面図である。 ディスクカートリッジ1Aの外観斜視図である。 出願人が開示しているディスクカートリッジ1xにおけるディスクトレイ5xの支持軸33x、およびシャッタ部材6xの軸受孔51xの近傍の断面図である。 出願人が開示しているディスクカートリッジ1xにおけるディスクトレイ5xの支持軸33x、およびシャッタ部材6xの軸受孔51xの近傍の他の断面図である。
符号の説明
1,1A ディスクカートリッジ
2,2A カートリッジ本体
3,3A 下シェル
4 上シェル
5 ディスクトレイ
6 シャッタ部材
9 光ディスク
11a,11b 下シェル本体
15,25 開口部
21 底板
23 支持軸
31 軸本体
32 離脱規制用頭部
41 軸受孔
41a 挿通用孔
41b 凹部
D 深さ
H5,H5a,H5b,H6 高さ
L1〜L4 長さ
T 厚み

Claims (2)

  1. 第1シェル、およびディスクアクセス用の第1開口部が形成された第2シェルを有してディスク状情報媒体を収容するカートリッジ本体と、
    ディスクアクセス用の第2開口部が形成されて前記カートリッジ本体内に回動可能に配設され、ディスクアクセスを規制する規制状態において前記第1開口部の一部を閉塞すると共に当該ディスクアクセスを許容する許容状態において当該第1開口部に対して前記第2開口部が連通させられて当該一部を開口するディスクトレイと、
    前記第2シェルおよび前記ディスクトレイの間に配設されて当該ディスクトレイに軸支され、前記規制状態において前記第1開口部における他の一部を閉塞して前記ディスクトレイと相俟って当該第1開口部を閉塞すると共に前記許容状態において前記他の一部を開口するシャッタ部材とを備え、
    前記ディスクトレイには、前記シャッタ部材に形成された軸受孔に挿通させられて当該シャッタ部材を軸支する支持軸が本体部に突設され、
    前記支持軸は、軸本体の先端部に離脱規制用頭部が形成されると共に前記本体部の表面からの高さが前記シャッタ部材の厚みよりも低くなるように形成され、
    前記離脱規制用頭部は、前記支持軸の高さ方向に対して直交する第1の長さが当該第1の長さの方向および当該高さ方向の双方に対して直交する第2の長さよりも長い長板状に形成されているディスクカートリッジ。
  2. 前記離脱規制用頭部は、前記第1の長さが前記軸本体の前記先端部に近付くほど徐々に短くなるようにその下面がテーパ面で構成され、前記軸受孔には、前記離脱規制用頭部の前記テーパ面が当接可能な逆テーパ面が形成されている請求項1記載のディスクカートリッジ。
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