JP2007264499A - 開口数が1以上の露光装置に使用可能なペリクル - Google Patents

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公彦 齊藤
Shin Fukuda
福田  伸
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和知  浩子
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Abstract

【課題】 半導体装置を製造するためのリソグラフィ工程で使用される、開口数が1よりも大きい露光装置で用いられる、ペリクルを提供する。
【解決手段】 露光光の透過率が、露光装置の開口数と縮小倍率から決定される入射角の全ての範囲で95%以上であるペリクルを用いる。表面平均粗さが1nm以上8nm以下のフッ化マグネシウムを用いて形成される反射防止層を有するペリクルを用いることで、193nmの光の入射角が0〜20°の全ての範囲で透過率が95%以上のペリクルを提供することが出来る。さらに反射防止層の屈折率と層厚を制御することで、入射角が0〜30°の全ての範囲で透過率が98.6%以上であり、透過率のばらつきが±1%以下に抑えられたペリクルを提供することができる。

Description

本発明は、半導体リソグラフィで用いられる、フォトマスクあるいはレチクル(以下、単にマスクという)に塵埃が付着することを防ぐペリクルに関し、更に、1より大きい開口数を有する露光装置でも好適に使用することが可能なペリクルに関する。
半導体素子は、リソグラフィといわれる工程を経て製造される。リソグラフィ工程ではスキャナやステッパと呼ばれる露光装置を用いて、回路パターンが描画されたマスクに波長の短い露光光を照射し、フォトレジストが塗布された半導体ウェハに回路パターンを転写する。
マスク上に塵埃等の異物が付着すると、該異物の影が半導体ウェハ上に転写されることで回路パターンの正確な転写が妨害され、結果として半導体素子が正常に作動せず不良品となってしまう。枠体にペリクル膜が張設されたペリクルをマスクに装着することによって、塵埃等の異物がマスク上ではなくペリクル膜上に付着するようにする。露光装置はマスク面と半導体ウェハ面が光学系の焦点面として設計されており、ペリクル膜上は光学系の焦点面から外れている。したがってペリクル膜上に付着した異物の影は半導体ウェハ上には結象しないため、回路パターンの転写を妨害する程度が大幅に軽減され、半導体素子の不良品発生率を著しく改善することが出来る。
ペリクルに用いられるペリクル膜には、露光光を高透過率で透過させる特性が求められる。透過率を低下させる要因としては、膜物質による露光光の吸収、ペリクル膜の界面で発生する反射、および光学密度の不均一さによって生じる散乱がある。
膜物質に吸収された露光光のエネルギーは、膜物質の化学結合の切断にも消費される。そのため吸収が無視できない場合には、膜物質が白濁化したり黄変したりしてより吸収が増大し、半導体ウェハ上に照射されるエネルギーを低下させて回路パターンの転写品質を低下させ、半導体素子の不良品発生率を増加させるという問題がある。あるいは、ペリクル膜が破膜して防塵機能を喪失するなどの問題を生じる。
反射や散乱は、ペリクル膜物質にダメージは与えないものの、露光装置の光学系内で迷光として望ましくない経路をたどって半導体ウェハ上に到達する成分が生じる。その結果、半導体ウェハ上に転写される回路パターンのコントラストを低下させ、半導体素子の不良品発生率を増加させるという問題を招く。
そこで、従来からペリクル膜表面に反射防止層を設ける対策が検討されて来た。
光学の理論から、屈折率が1である空気層から屈折率がnである物質に垂直に入射する光の単層の反射防止層としては、屈折率が√nで、反射防止層の厚みが入射する光の波長の1/4の奇数倍の反射防止層を用いた場合に反射が最少になることが知られている。
ペリクル膜に用いられるフッ素系樹脂の屈折率は1.4程度である。したがってフッ素系樹脂を用いたペリクル膜の反射防止層として好適に用いられる物質の屈折率は√1.4=1.18程度のものが好ましいことは広く知られていた。
反射の入射角依存性については、電場ベクトルが入射面に平行なP波ではブリュースター角と言われる屈折率に依存した特定の角度で0になり、それより広角側で反射率が急激に立ち上がること、電場ベクトルが入射面に垂直なS波の反射率は入射角に依存して一様に増大すること等が知られており、無偏向光では、これらS波成分とP波成分の和で示される。しかし、散乱の入射角依存性については双方向散乱分布関数(Bidirectional Scatter Distribution Function:BSDF)等を用いたシミュレーション手法が開発されたりしているものの、不明な点が多い。
反射防止層に好適に用いられる低屈折率物質としては、フッ化マグネシウムやフッ化カルシウム等の金属フッ化物が良く知られている。フッ化マグネシウム結晶の屈折率は波長193nmの光に対して1.4程度、フッ化カルシウム結晶の屈折率は波長193nmの光に対して1.5程度である。従って結晶質のフッ化マグネシウムやフッ化カルシウム等は、フッ素系樹脂を用いたペリクル膜の反射防止層には好適に使用できない。
しかし特開平11−77876号公報(特許文献1)には、多孔質膜を形成することで、フッ化マグネシウムの屈折率を低くすることが可能なことが開示されている。
一方、フッ化マグネシウムやフッ化カルシウム等の材料の密度を下げて反射防止層を設けた場合、密度の低下に比例して屈折率も小さな値をとるが、密度の低下は空隙の増大を意味し、反射防止層の強度が低下すると共に表面の平坦性も悪化するという問題がある。
反射防止層の表面の平坦性が悪化すると、反射防止層の表面での散乱が増加することが懸念されている。例えば、特開2001−194506号公報(特許文献2)では、紫外および真空紫外領域において、表面反射による損失やフレア・ゴーストの発生を抑制し、高い光透過率を有し、ペリクル用基板等に好適な反射防止基体の提供を課題として、屈折率と反射防止膜の幾何学的膜厚を検討したフッ化マグネシウム等からなる反射防止基体が開示されている。
さらに散乱の抑制に関して、特許文献2では段落番号(0038)において、光の散乱を起こりにくくさせ露光に際して迷光を生じさせないためには、反射防止基体の表面粗さを1nm以下にすることが好ましいと指摘されている。また特許文献2では、後述する本発明の解決すべき課題である、露光光の入射角については何ら言及されていない。
マスクに描画された回路パターンと、半導体ウェハ上に転写される回路パターンとの大きさの比を縮小倍率1/βと呼ぶ。1980年代には縮小倍率1/βは1/10程度であったが、回路パターンが微細化するにつれてマスクと半導体ウェハそれぞれを高精度で位置合わせする必要が高まり、1990年代には縮小倍率1/βは1/4に収斂して今後も当分の間は変わらないと見込まれている。
半導体素子に描画される回路パターンの微細化に伴い、リソグラフィに用いられる露光光の波長は、水銀ランプのg線(波長436nm)から、水銀ランプのi線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)へと短波長化が進んできた。さらに次世代光源として期待されたF2エキシマレーザ(波長158nm)は、露光装置に用いる種々の部材・材料の開発が遅れ、現時点で実用化の目処は立っていない。
光学顕微鏡の分解能を向上させる技術として、観察対象と顕微鏡の対物レンズとの間を高屈折率の液体で満たす液浸技術は古くから知られていた。特開平7−220990号公報(特許文献3)や特開平10−303114号公報(特許文献4)等に開示されているように、半導体素子を製造するリソグラフィにおいても液浸露光技術が適用されるようになってきた。
液浸露光技術とは、露光装置の光学系の開口数(Numerical Aperture.以下、NAと記すことがある)を大きくすることで回路パターンの解像度を上げる手法である。NAは NA = n × sinθで定義され、ここで n は露光光が透過する媒体の屈折率であり、θは露光光が媒体を透過する際の最大入射角である。
また露光装置の光学系を、マスク面上に焦点を結ばせるまでの上流部分を集光系あるいは集光光学系、それ以降の半導体ウェハ上に焦点を結ばせる下流部分を照射系あるいは照射光学系と呼ぶことにし、集光系の開口数をNAr、照射系の開口数をNAwとすると、NAr / NAw = 1/βとなる関係が成り立つ。ここで1/βは先に説明した縮小倍率である。またこの関係は光学系一般に普遍的に成立するもので光学的不変量といわれる関係がリソグラフィの露光装置に適用されたものである。
半導体リソグラフィ工程に従来使用されてきた大気中で露光(以下、ドライ露光と呼ぶことがある)する露光装置のNAは、空気の屈折率が1なので、原理的に1を超えることはない。実際には種々の制約からNAが0.84のステッパが広く用いられてきた。
最近になり露光装置の照射光学系のレンズと半導体ウェハとの間を、波長193nmの光の屈折率が1.44である純水で満たすことでNA=1.04の液浸露光装置が販売されるようになった。さらにNA=1.2の液浸露光装置が開発されつつある。
また、日経マイクロデバイス誌2005年4月号(非特許文献1)の78頁には純水よりも高屈折率の液浸露光に用いる液体が開発されていることが紹介され、日経マイクロデバイス誌2005年12月号(非特許文献2)の115頁には、将来的にはリソグラフィに用いられる露光装置の開口数は、最大で1.8に達する可能性が示唆されている。
特開平11−77876号公報 特開2001−194506号公報 特開平7−220990号公報 特開平10−303114号公報 日経マイクロデバイス誌2005年4月号 日経マイクロデバイス誌2005年12月号
半導体ウェハ上に転写する回路パターンを微細化するために照射光学系に液浸技術を適用した場合、縮小倍率を変えないためには、照射光学系の開口数が大きくなった割合だけ集光光学系の開口数も大きくする必要がある。照射光学系の開口数を大きくするために用いた液体を、集光光学系のレンズとマスクとの間に満たすことが出来れば、露光装置の他の部分を変更する必要はない。しかし、マスクの少なくとも一方の面にはペリクルにより空間が確保されているため集光光学系のレンズとマスクとの間を液体で満たすことは出来ない。
そのため、半導体リソグラフィに用いる露光装置の照射光学系に液浸技術を適用した場合は、露光装置の集光光学系の開口数を液浸技術以外の方法で大きくする必要がある。
NA = n × sinθ であり、nを変化させることが出来なければ最大入射角θの値を変化させることになる。
従来用いられている照射光学系の開口数NAwが0.84で縮小倍率1/βが1/4の露光装置の集光光学系の開口数NArは、NAr/0.84=1/4であるからNAr=0.21となる。空気の屈折率は1であるからsinθ=0.21であり、したがって集光光学系の最大入射角は12.1°であることが判る。
一方、液浸技術を適用して照射光学系の開口数NAwを1.2とした露光装置では、縮小倍率1/βが1/4とすると、同様の計算から、集光光学系の最大入射角は17.5°であることが判る。
照射光学系の開口数NAwが1.35の露光装置では、同様に縮小倍率1/βが1/4であれば、集光光学系の最大入射角は19.7°となる。さらに高屈折率の液体を用いることで照射光学系の開口数NAwが1.8とした露光装置では、同様に集光光学系の最大入射角は26.7°となる。
上述したように、液浸露光に用いる露光装置で使用するペリクルに対しては、従来よりも広い入射角の露光光に対応するペリクルを使用することが求められていることが確認された。
従来のドライ露光で使用されるペリクルは、最低でも95%以上の透過率が求められ、97%以上の透過率を有するペリクルが通常使用されてきた。
本発明者らは、従来のドライ露光で使用されているフッ素系樹脂であるペリクル膜について、高開口数の液浸露光装置でも使用できるかどうか確認する目的で、193nmの光に対する透過率をペリクル膜に対する入射角を0°から30°の範囲で測定した。その結果、ある入射角の範囲では95%以上の透過率が得られるものの、他の入射角の範囲では透過率は95%を大きく下回る結果しか得られなかった。異なる膜厚のペリクル膜について検討したが、95%以上の透過率を示す入射角の範囲は膜厚に依存して変化するものの、0°から30°の入射角の全ての領域で95%以上の透過率を示すペリクル膜はなかった。
本発明は、光学系の開口数が1よりも大きい露光装置で用いた場合でも、露光装置の開口数と縮小倍率から決定される全ての入射角の範囲で、高い透過率を示すペリクルを提供することを課題とする。そのために露光光の入射角が大きい場合でもペリクル膜表面での露光光の反射や散乱が極めて少ないペリクルを提供することを課題とする。
なお、ここで全ての入射角の範囲で、とは、入射角が0°の垂直入射から、露光装置の開口数と縮小倍率から決定される最大入射角までの範囲内の全ての入射角において、という意味である。
本発明者らは、光学系の開口数が1よりも大きい露光装置で用いた場合でも、露光装置の開口数と縮小倍率から決定される全ての入射角の範囲で高い透過率を示すペリクル膜の開発を種々検討した。ペリクル膜の少なくとも片方の表面に密度を制御した多孔性金属フッ化物層を設けることで、完全無反射の理論屈折率1.18に近い反射防止層を形成したところ、その表面平均粗さは1nmより大きいものの驚くべきことに表面での散乱は十分に小さく、広い入射角の範囲で高い透過率を発現していることを見出した。更に反射防止層の膜厚や成膜方法を最適化し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、光学系の開口数が1よりも大きい露光装置で用いた場合でも、制御された屈折率と膜厚を有する金属フッ化物からなる反射防止層を設けることで、露光装置の開口数と縮小倍率から決定される入射角の全ての範囲で透過率が95%以上であることを特徴とするペリクルを提供する。
本発明はまた、光学系の開口数が1よりも大きい露光装置で用いた場合でも、制御された屈折率と膜厚を有する金属フッ化物からなる反射防止層を設けることで、露光装置の開口数と縮小倍率から決定される入射角の全ての範囲で、透過率のばらつきが±1%の範囲にあることを特徴とするペリクルを提供する。
本発明は、多孔性金属フッ化物からなる反射防止層の表面の平均粗さが1nm以上8nm以下であることを特徴とする前記ペリクルを提供する。
本発明は前記多孔性金属フッ化物がフッ化マグネシウムであることを特徴とする前記ペリクルを提供する。
本発明はまた、ペリクル膜が主鎖中にパーフルオロ環状エーテル構造を有するフッ素樹脂であることを特徴とする、前記ペリクルを提供する。
本発明はまた、露光光が波長193nmのArFエキシマレーザ光である露光装置で用いられることを特徴とする、前記ペリクルを提供する。
さらに本発明は、前記ペリクルを用いることを特徴とする、液浸露光装置を提供する。
さらに本発明は、前記ペリクルを用いることを特徴とする、液進露光方法を提供する。
この様にして得られたペリクルは、ペリクル膜への最大入射角が12°以上の露光装置で用いた場合でも、入射角が0°から最大入射角までの全ての範囲で透過率を95%以上に保つことが可能である。
例えば、入射角が0〜27°の全ての範囲で露光光の透過率が95%以上となるペリクル膜を得るには、片面に反射防止層を設ける場合では屈折率が1.12〜1.24の反射防止層を設けることが望ましい。また、両面に反射防止層を設ける場合は、所望の反射防止性能を発現させるために1.1〜1.4の範囲の屈折率を有する反射防止層を適宜組み合わせることが可能であるが、1.12〜1.24の範囲に屈折率のある反射防止層を用いることが好ましい。
この様な屈折率を示す多孔性金属フッ化物を調製するには、公知のゾルゲル法やスピンコート法、ディップコート法およびスプレー法等の塗布法を用いても良い。また、抵抗加熱や電子ビームを用いて真空蒸着する際に、蒸着容器内に不活性ガス等を導入して減圧の程度を緩和させた状態で蒸着することによっても、容易に屈折率を制御した反射防止層を形成することが出来る。
塗布法に用いる塗布液は、水溶性のマグネシウム塩溶液と水溶性のフッ化物溶液とを混合することで、難溶性のフッ化マグネシウム微粒子が分散した塗布液を容易に調製することができる。
水溶性のマグネシウム塩溶液としては、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、マグネシウムエトキシド、マグネシウムメトキシド等の有機マグネシウム塩や、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機マグネシウム塩を、水、アルコール、または水−アルコール混合溶媒等に溶解させたものが使用できる。
水溶性のフッ化物溶液としては、フッ化水素酸溶液や、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等の水溶性の塩を、水、アルコール、または水−アルコール混合溶媒等に溶解させたものが使用できる。
この塗布液はそのまま用いても何ら問題はないが、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、あるいは陽・陰イオン混合型のイオン交換樹脂を用いて処理しても良い。この様にイオン交換処理を行った塗布液は、反射防止層の屈折率をより低下させ透過率をより向上させるという利点がある。
さらにこの塗布液はそのまま用いても何ら問題はないが、1−プロパノール、2−プロパノールや2−ブタノール等のアルコール等を用いて溶媒置換しても良い。この様に溶媒置換した塗布液は、ペリクル膜への濡れ性が向上し、より均一な反射防止膜を形成しやすいという利点を有している。
このような塗布液を、従来公知のスピンコート法、ディップコート法、スプレー法等の塗布方法を用いて、ペリクル膜上に塗布することが出来る。このうち塗布膜の均一性に特に優れるスピンコート法が好適に用いられる。
塗布液が塗布されたペリクル膜は加熱処理されて、塗布液が乾燥、硬化し反射防止層を形成する。このときの加熱処理温度は50〜500℃程度と広い条件で行うことが可能であるが、50〜150℃程度の範囲で十分に処理することができる。
加熱処理時の雰囲気は特に問わないが、空気、窒素等の不活性ガス雰囲気、あるいは減圧環境下が好適である。
また加熱処理時に同時にUV照射を行うことは、残留有機物および水分を除去するのに有効であり、膜強度が向上すると言う利点を有する。
硬化が終了した反射防止層は、その空隙率にもよるが1.38〜1.20程度の屈折率を有する。反射防止層の層厚は、塗布液の塗布量やスピンコート時の条件を調整すること等で、所望の層厚を容易に形成することができる。
蒸着法を用いる場合については、実施例等において後述する。
本発明の完成により、開口数が1よりも大きい露光装置でも好適に使用できるペリクルが初めて提供できる。液浸露光装置を用いたリソグラフィにより、従来にはない高集積度の半導体素子を、本発明のペリクルを使用することで歩留まり良く製造することが出来る。
本発明について、以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術範囲において、種々の形態に変更可能である。
(ペリクル膜) スピンコート法を用いてペリクル膜を調製した。先ずペリクル膜の平面性を確保するために、石英ガラス基板上に樹脂薄膜からなる下地層を形成した。ダウケミカル社製のエチルセルロース(商品名エトセル)をメチルイソブチルに溶解して5重量%の溶液を調製した。この溶液を、ポアサイズ0.5μmのポリテトラフルオロエチレン製メンブランフィルターを用いてろ過し、異物を除去した。この溶液20mlを石英基板上に滴下し、700rpmで30秒回転させた後、クリーンオーブン中で150℃で5分間乾燥させ下地層を形成した。室温まで冷却した後、膜厚計を用いて測定した下地層の膜厚は1.2μmであった。
ペリクル膜の成膜材料として、旭硝子社製のフッ素樹脂である商品名CYTOPのSタイプを、同社製のフッ素系溶媒であるFEL−147S溶媒を用いて4重量%の溶液に調製し、ポアサイズ0.5μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブランフィルターを用いてろ過し異物を除去した。この溶液20mlを前記下地層を有する石英基板上に滴下し、600rpmの速度で150秒間回転させ、クリーンオーブン中で180℃にて10分乾燥して膜厚829nmのペリクル膜を製膜した。
次いで、一端面に両面粘着テープを貼った樹脂製の外径210mm、内径170mm、高さ3mmの剥離リングをペリクル膜に押付けて接着し、剥離リングを持ち上げて石英ガラス基板上の下地層との界面からペリクル膜を剥離した。その後剥離リング上からホットメルト接着剤を塗布したペリクル枠上へペリクル膜を移してペリクルを完成させた。
193nmの光に対するペリクル膜の屈折率は1.40であった。
(反射防止層) 上記方法で作成したペリクルを、膜厚モニター用のシリコン基板と共に、真空蒸着装置内の基板ホルダーに装着した。タングステン製の蒸着ボートにフッ化マグネシウム粉末を仕込み、真空蒸着装置内を1×10−3Pa以下になるまで減圧した。次いで真空蒸着装置内に流量計を介してアルゴンガスを導入し、アルゴンガスの導入量を調整して真空蒸着装置内の圧力が0.2〜1.3Paの間の所望の一定値となるようにした。その状態で蒸着ボートを通電加熱してフッ化マグネシウムを蒸発させ、水晶振動子を用いた膜厚モニターを観察しながらシャッターを開閉して、所望の層厚のフッ化マグネシウム反射防止層を形成した。
上記反射防止層を片面に設けたペリクルと両面に設けたペリクルとを用意した。
(特性評価) 上記の方法で用意した反射防止層を設けたペリクル膜について、193nmの光に対する透過率の入射角依存性と反射防止層の屈折率、および反射防止膜の膜厚と表面平均粗さを評価した。
ペリクル膜の透過率は、島津製作所製紫外・可視分光光度計UV−2450を用い、波長193nmの光に対して、入射角を0°、5°、10°、15°、20°、25°、30°において、透過率を測定した。
反射防止層の屈折率と層厚はJ.A.Woollam社製の分光エリプソメトリー装置M−2000を用いて、193nmにおける屈折率と層厚の計測を行った。
反射防止層の表面平均粗さ(Ra)は、ビーコ社製原子間力顕微鏡ナノスコープを用いて、1μmの範囲の表面像を計測した後に、1μmの範囲全面における表面平均粗さを算出した。なお反射防止層を設けていないペリクル膜の表面平均粗さは0.56nmであった。
これらの計測結果を表1に示す。
表1
表1の結果から、フッ化マグネシウムを蒸着する際にアルゴンを導入することで、反射防止層の193nmの光に対する屈折率を、1.11〜1.45の範囲で制御できることが確認できる。また、屈折率に応じて反射防止層の表面平均粗さは0.9〜7.4nmの範囲で変化した。
また、片面および両面に反射防止層を設けたペリクル膜の、193nmの光に対する透過率の入射角依存性と、反射防止層の屈折率と層厚の結果を表2に示す。
表2
本実施例において、反射防止層を設けないペリクル膜では入射角が15°までは193nmの光に対して95%以上の透過率を示したが、それ以上の入射角では透過率が低下した。一方、本発明の反射防止層を設けたペリクル膜の上記実施例では、反射防止層の表面平均粗さが1nmより大きいにもかかわらず、入射角が0〜20°の範囲で193nmの光に対する透過率が95%以上であった。さらに反射防止層の屈折率と層厚とを制御することで入射角が0〜30°の範囲でも193nmの光に対して透過率が98.6%以上であり、透過率のばらつきが±1%以下に抑えられたペリクル膜も得られた。
本発明のペリクルは、開口数が1よりも大きい露光装置で用いた場合でも、露光装置の開口数と縮小倍率から決定される入射角の全ての範囲での透過率が高い。従ってペリクル膜による反射や散乱によって生じる迷光が少なく、マスク上の回路パターンがコントラストが低下することなく半導体ウェハ上に転写される。本発明のペリクルを用いることで、従来にはない微細な回路パターンを有する半導体素子を、歩留まりを低下させることなく製造することが、初めて可能になった。

Claims (9)

  1. 半導体リソグラフィ工程でマスクに塵埃が付着することを防止するために用いられる、枠体にフッ素系樹脂膜が張設されてなるペリクルであって、ペリクル膜の片面あるいは両面に、開口数が1より大きい露光装置でも使用可能なように制御された屈折率と層厚を有する金属フッ化物からなる反射防止層を設けたことを特徴とする、ペリクル。
  2. 請求項1に記載のペリクルであって、露光光に対するペリクル膜の透過率が、露光装置の開口数と縮小倍率から決定される入射角の全ての範囲で95%以上であることを特徴とする、ペリクル。
  3. 請求項1および2に記載のペリクルであって、露光光に対するペリクル膜の透過率のばらつきが、露光装置の開口数と縮小倍率から決定される入射角の全ての範囲で±1%以内であることを特徴とする、ペリクル。
  4. 請求項1から3に記載のペリクルであって、金属フッ化物からなる反射防止層の表面の平均粗さが1nm以上8nm以下であることを特徴とする、ペリクル。
  5. 請求項1から4に記載のペリクルであって、金属フッ化物がフッ化マグネシウムであることを特徴とする、ペリクル。
  6. 請求項1から5に記載のペリクルであって、ペリクル膜が主鎖中にパーフルオロ環状エーテル構造を有するフッ素樹脂であることを特徴とする、ペリクル。
  7. 請求項1から6に記載のペリクルであって、露光光が波長193nmのArFエキシマレーザ光である露光装置で用いられることを特徴とする、ペリクル。
  8. 請求項1から7に記載のペリクルを用いることを特徴とする、液浸露光装置。
  9. 請求項1から7に記載のペリクルを用いることを特徴とする、液浸露光方法。
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