JP2007264351A - マイクロレンズアレイシート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロレンズの配置された基材面の反対側面上に、光透過開口部が正確に位置決めされていて、導電性を有する金属製遮光層パターンが形成されたマイクロレンズアレイシート、及びその省資源に基づく安価な製造方法の提供。
【解決手段】透明基材2の片面2a上に、複数のマイクロレンズ3aが2次元配置されたマイクロレンズアレイシート1において、透明基材2のマイクロレンズ3aが配置されていない他方の面2b上に、マイクロレンズアレイ面2aより照射される光Lの集光する部分が光透過開口部5であり、それ以外の部分が遮光部である導電性金属の遮光パターン6と、該導電性金属の遮光パターン6の上に積層された金属メッキ層7とからなる金属製遮光層パターン8を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、透明基材の片面にマイクロレンズが2次元配置されるとともに、該マイクロレンズの配置された基材面の反対側面上に、正確に位置決めされた光透過開口部と金属製遮光層パターンとが形成されたマイクロレンズアレイシート及びその製造方法に関するものである。
近年、CRT、PDP(プラズマディスプレイパネル)などのディスプレイにおいては、ディスプレイ前面から発生する電磁波が人体に悪影響を与えたり、周囲の電子機器を誤動作させることが問題とされるようになり、ディスプレイの画像の鮮明さと共に、ディスプレイが周囲へ与える影響への対策が益々重要視されつつある。
特に、大型の薄型ディスプレイとして需要の増大しているPDPにおいては、電磁波シールドフィルム以外に、近赤外線の波長領域を使用している各種のリモコンスイッチの誤作動を防ぐための近赤外線吸収フィルム、その近赤外線吸収フィルムに使用されている近赤外線吸収剤の経時劣化を防ぐための紫外線吸収フィルム、さらには可視光領域の色調調整のためのネオン光カットフィルム、光学フィルターの表面に外部光が映り込むのを防ぐための反射防止フィルム等が、必要とされる機能に応じて組み合わせて構成されている。
これらのフィルムをディスプレイ用光学フィルターとして用いることにより画像の映り具合の改善を図ると共に、周囲へ与える影響を低減する対策が採られている。
一方、ディスプレイから発生する電磁波が外部に漏洩して人体に与える悪影響を防ぐという要求に対しては、従来から、種々の透明導電性フィルムおよび電磁波シールドフィルムが開発されている。公知の電磁波シールド材は、大きく分けると、透明導電膜による電磁波シールド材と、導電性の金属メッシュによる電磁波シールド材の2つに区分される。このうち、透明導電膜による電磁波シールド材は、金属メッシュによる電磁波シールド材に比べて透明性に優れる反面、表面抵抗率が大きく、電磁波シールド性能に劣る。このため、PDP等の強い電磁波を発生させる機器からの電磁波をシールドする用途では、金属メッシュによる電磁波シールド材が好ましい。
さらに、導電性の金属メッシュによる電磁波シールド材の製造方法としては、下記の(1)〜(3)に示す方法が挙げられる。
(1)透明基材に金属箔を貼り合わせ、または透明基材に金属の薄膜を蒸着した後、フォトリソグラフ法により導電性金属パターンを形成するエッチング法(例えば、特許文献1参照)。
(2)透明基材の上に導電性の金属ペーストをメッシュパターンに印刷した後にメッキして導電性金属パターンを形成する印刷−メッキ法(例えば、特許文献2参照)。
(3)細線パターンを写真製法により生成された現像銀で形成した後、この現像銀の薄膜の上にメッキすることにより導電性金属パターンを形成する写真銀−メッキ法(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
そして、写真製法により生成した現像銀でメッシュパターンを形成する方法には、下記の(a)、(b)に示す2通りがある。
(a)支持体上に設けられた銀塩を含有する銀塩含有層を露光し、現像処理することにより金属銀部と光透過性部とを形成し、さらに前記金属銀部を物理現像及び/又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させた導電性金属部を形成する方法(例えば、特許文献3参照)。この方法は、露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀は発現せず、露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、したがって、露光マスクと比較して反転した形に現像銀が表れるネガ型の露光・現像法である。
(b)透明基材上に、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層とをこの順で有する感光材料を露光し、物理現像核上に任意の細線パターンで金属銀を析出させ、次いで前記物理現像核上に設けられた層を除去した後、前記物理現像された金属銀を触媒核として金属をめっきする方法(例えば、特許文献4参照)。この方法は、露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現し、露光マスクに覆われていなくて露光された部分には現像銀が発現しない、したがって、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるポジ型の露光・現像法(銀錯塩拡散転写法、以降DTR法と称す。)である。
本発明は、マイクロレンズアレイシートのマイクロレンズアレイ面より光を照射することにより、マイクロレンズが配置されていない他方の該透明基材面上に塗布されている写真製法の感光材料を、各マイクロレンズの集光部において露光し、露光しない部分に現像銀を発現させて生成された現像銀からなる導電性金属の遮光パターンを形成し、該導電性金属の遮光パターンの上に金属メッキ層を積層して複数の光透過開口部を有する金属製遮光層パターンを形成するものであって、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法が好適に使用される。
一方、マイクロレンズアレイシートに関して、マイクロレンズアレイ面より光照射し、マイクロレンズアレイ面の反対面に、マイクロレンズを通した集光を当て、光硬化性樹脂組成物、遮光性および光吸収性を有する層に対して、光硬化などの加工を加えて遮光帯パターンを形成する、マイクロレンズアレイシート製造方法が開示されている(特許文献5及び6)。
特開平10−075087号公報 特開平11−170420号公報 特開2004−221564号公報 国際公開第2004/007810号パンフレット 特開2005−134823号公報 特開2005−275339号公報
光学フィルターに組み込まれる電磁波シールド材の金属メッシュパターンを製造するに際し、上記(1)のエッチング法においては、細線部分となるほんのわずかな部分のみを残し、それ以外のほとんど大部分の金属をエッチングにより溶解除去するのは資源を節減するという観点から問題である。また、金属の薄膜を蒸着する方法では、膨大な設備費が必要となることから簡単に製造を行うことができないという問題があった。
上記(2)の印刷−メッキ法においては、導電性ペーストにはバインダーが含有されているため、導電性ペーストを用いて基材の上に印刷したのみでは低い導電率しか得られず、高い電磁波シールド性能が得られないという問題があった。
上記(3)の写真銀−メッキ法においては、高い電磁波シールド性能が得られ、また、透明基材の寸法に制約を受けることが無く、ロールtoロールで製造でき非常に生産性が高いことから好ましい製造方法である。
一方、各種ディスプレイ、特に、PDPにおいては、ディスプレイに取り付ける光学フィルターとして、外部光(屋外光や室内照明光)による映り込みが生じることを防ぐために反射防止フィルム(ARフィルム)を最外層に採用している。
近年、各種ディスプレイ、特にPDPにおいては、暗い室内だけでなく、部屋を照明等で明るくしたままの状態で画像を見たいという要望が高まっている。しかし、部屋を明るくすると、外部光の反射や映り込みにより画像が白色化し、更には白黒のコントラストが低下して画像がぼやけるという現象が起きる。
このため、PDPにおいては、PDPの発光強度を減衰させないで鮮明な画像を映し出すため、全光線透過率が高くて輝度の低下が少ない光学フィルターが求められている。
しかし、写真銀−メッキ法による導電性金属のメッシュパターンによる電磁波シールド材を用いた光学フィルターであっても、電磁波シールド性を高めるためにメッシュパターンの細線密度を増やしているので、メッシュパターンの細線が全光線透過率を下げてしまうという問題があった。
また、特許文献5及び6に開示されているような、従来のマイクロレンズアレイシートでは、いずれも、遮光帯パターンに合成樹脂を用いていることから、導電性を有しておらず、全光線透過率が高い電磁波シールド材として用いることができないという問題があった。
このように、従来技術においては、全光線透過率が高い電磁波シールド材として用いることが可能であって、さらに、通常の透過型スクリーン用としても使用可能である、省資源に基づく安価な製造方法により製造された、導電性を有する遮光帯パターンを形成したマイクロレンズアレイシートは提供されていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、全光線透過率が高い電磁波シールド材として用いることが可能であって、さらに、通常の透過型スクリーン用としても使用可能である、マイクロレンズの配置された基材面の反対側面上に、光透過開口部が正確に位置決めされていて、省資源に基づく安価な製造方法を用いて導電性を有する金属製遮光層パターンが形成されたマイクロレンズアレイシート及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、透明基材の片面上に、複数のマイクロレンズが2次元配置されたマイクロレンズアレイシートにおいて、該透明基材の前記マイクロレンズが配置されていない他方の面上に、マイクロレンズアレイ面より照射される光の集光する部分が光透過開口部であり、それ以外の部分が遮光部である導電性金属の遮光パターンと、該導電性金属の遮光パターンの上に積層された金属メッキ層とからなる金属製遮光層パターンが形成されてなることを特徴とするマイクロレンズアレイシートを提供する。
前記導電性金属の遮光パターンが、写真製法により生成された現像銀のパターンであって、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法により生成された現像銀からなるパターンであることが好ましい。
また、前記現像銀のパターンの上に接して、無電解メッキ層および/または電解メッキ層が積層されていることが好ましい。
メッキ層の最表面は、メッキした金属の光沢による光の反射を防ぐために黒化処理することが好ましい。
前記のマイクロレンズアレイシートは、ディスプレイ用の光学フィルターに電磁波シールド材として好適に用いられる。また、前記のマイクロレンズアレイシートは、透過型スクリーンに好適に用いられる。
また、本発明は、上記課題を解決するため、透明基材の片面上に、複数のマイクロレンズが2次元配置されたマイクロレンズアレイ面を形成した後、前記マイクロレンズアレイ面より光を照射することにより、該透明基材の前記マイクロレンズが配置されていない他方の面上に塗布されている写真製法の感光材料を各マイクロレンズの集光部において露光し、前記露光後の感光材料を、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法を用いて現像することによって、前記露光した部分に複数の光透過開口部を有する現像銀からなる導電性金属の遮光パターンを生成し、該導電性金属の遮光パターンの上に金属メッキ層を積層して金属製遮光層パターンを形成することを特徴とするマイクロレンズアレイシートの製造方法を提供する。
前記感光材料を感光するための光の照射方向は、マイクロレンズアレイ面に垂直(または略垂直)の方向であることが好ましい。
前記マイクロレンズアレイ面は、透明基材の上に熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を用いて、賦型によりマイクロレンズアレイの形状パターンが形成されたものであることが好ましい。
本発明は、全光線透過率が高い電磁波シールド材として用いることが可能であって、さらに、通常の透過型スクリーン用としても使用可能である、マイクロレンズの配置された基材面の反対側面上において、マイクロレンズアレイ面より照射される光の集光する部分が光透過開口部となるように光透過開口部が正確に位置決めされていて、省資源に基づく安価な製造方法を用いて導電性を有する金属製遮光層パターンが形成されたマイクロレンズアレイシート及びその製造方法を提供することができる。
本発明のマイクロレンズアレイシートは、マイクロレンズの配置された基材面の反対側面上において、マイクロレンズアレイ面より照射される光の集光する部分(マイクロレンズで収束された光が遮光パターンの面上を通過する断面)が光透過開口部と一致するように光透過開口部が正確に位置決めされているので、マイクロレンズで集光した光線を有効に、金属製遮光層パターンの隙間である光透過開口部を通過させることが可能となり、全光線透過率を高くすることができる。
このため、本発明のマイクロレンズアレイシートを、ディスプレイ用の光学フィルターに電磁波シールド材として用いた場合、従来の導電性金属によるメッシュパターンの細線が光透過を遮蔽するのに比べて、全光線透過率を飛躍的に高めることができる。
本発明のマイクロレンズアレイシートを、透過型スクリーンに用いることにより、マイクロレンズで集光した光線を、有効かつ正確に金属製遮光層パターンの隙間である光透過開口部を通過させることが可能となり、鮮明な画像を得ることができる。
以下、最良の形態に基づいて本発明のマイクロレンズアレイシート及びその製造方法について詳しく説明する。
図1(a)〜(c)は、マイクロレンズアレイシートのマイクロレンズアレイ面の反対側面に、現像銀からなる導電性金属の遮光パターンを形成する方法を工程順に示す模式的断面図である。図2は、図1(c)に示す層構造の一例を模式的に示す部分切欠斜視図である。図3(a)は、本発明のマイクロレンズアレイシートの模式的断面図であり、図3(b)は、図3(a)のA部の部分拡大図である。図4は、図3に示す本発明のマイクロレンズアレイシートを模式的に示す部分切欠斜視図である。
なお、図5は、従来の、ディスプレイ用光学フィルターに用いられる電磁波シールド材の一例を示す模式的断面図である。図5に示す電磁波シールド材11は、透明基材12の片面に光透過開口部15と導電性金属のメッシュパターン14とが形成されたものである。この電磁波シールド材11をディスプレイ用の光学フィルターに組み込んだ場合は、電磁波を遮蔽する効果は期待できるが、ディスプレイからの画像光は、光透過開口部15と導電性金属のパターン14の断面積の比率に応じて遮蔽されるため、全光線透過率が導電性金属のパターン14の占有断面積比率に逆比例して低下してしまうという問題があった。
そこで本発明のマイクロレンズアレイシートでは、透明基材の前記マイクロレンズが配置されていない他方の面上に、マイクロレンズアレイ面より照射される光の集光する部分(マイクロレンズの集光部の位置)が光透過開口部であり、それ以外の部分(マイクロレンズの集光部にない位置)が遮光部である導電性金属の遮光パターンを設け、さらに該導電性金属の遮光パターンの上に金属メッキ層を積層して、金属製遮光層パターンを形成した。すなわち、電磁波シールド材の金属製遮光層パターンの隙間である光透過開口部を各マイクロレンズの集光部と一致させて配置した。これにより、マイクロレンズアレイ面側を入射側とする光は、光透過開口部を通過する前にマイクロレンズで集束されるので、光透過開口部の開口断面積よりも広い断面積の入射光を透過させることが可能になり、全光線透過率を高くすることができる。また、金属製遮光層パターンの遮光部により外部光を遮光することができるので、外部光の反射や映り込みによる画像の白色化や、更には白黒のコントラストの低下による画像のぼやけを防ぐことができる。
図1は、本発明において、マイクロレンズアレイシート1のマイクロレンズアレイ面2aの反対側の面2bに、導電性金属の遮光パターン6を製造する方法を示すものであって、図1(a)は、透明基材2の片側の面2aにマイクロレンズ3aが2次元配置されるとともに、該透明基材2の反対側の面2bに現像銀を生成するための感光材料層(写真銀層)4が形成されていることを示す。また、図1(b)は、マイクロレンズ3a側からマイクロレンズアレイ面2aに対して光Lを照射して、マイクロレンズ3aで集光した照射光を感光材料層4に当てて露光することを示す。図1(c)は、露光した感光材料層4を現像することにより、マイクロレンズ3aで集光した照射光が当たった部分が光透過開口部5となり、照射光が当たらなかった部分に現像銀が発現して、現像銀のパターンによる導電性金属の遮光パターン6が形成されることを示している。
感光材料層4を感光するための光Lの照射方向は、図1(b)に示すように、マイクロレンズアレイ面2aに垂直(または略垂直)の方向であることが好ましい。この場合、本発明のマイクロレンズアレイシート1の反対側面2b上において、マイクロレンズアレイ面2aに垂直(または略垂直)に照射される光の集光する部分が光透過開口部5と一致するように、マイクロレンズ3aに対して光透過開口部5を正確に位置決めして遮光パターンを形成することができる。
図2は、図1(c)に示す層構造においてマイクロレンズアレイシート1の一部を切り欠き、その下の導電性金属の遮光パターン6とマイクロレンズ3aとの位置関係を図示した模式的斜視図であり、前記透明基材2の反対側の面2bに形成された導電性金属の遮光パターン6が、各マイクロレンズ3aに対応した位置に光透過開口部5を有していることを示す。
図3は、本発明のマイクロレンズアレイシート1の一例を示す模式的断面図であって、透明基材2のマイクロレンズ3aの配設された面2aの反対側の面2bに、複数の光透過開口部5を有する導電性金属の遮光パターン6と、該導電性金属の遮光パターンの上に積層された金属メッキ層7とからなる金属製遮光層パターン8が形成されている。本発明においては、必要に応じて、金属製遮光層パターン8による凹凸を解消するために、透明樹脂を塗布して透明化処理層9を設けてもよい。図3には透明化処理層9を設けた例を示すが、本発明では透明化処理層9を省略することもできる。
透明化処理層9に用いる透明樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などのうちから適宜選択でき、特に限定されるものではない。
図4は、本発明のマイクロレンズアレイシート1の層構造の例を示す模式的斜視図である。マイクロレンズ3aを支持している透明基材2に隣接して、複数の光透過開口部5を有する導電性金属の遮光パターン6と、該導電性金属の遮光パターン6の上に積層された金属メッキ層7とからなる金属製遮光層パターン8が形成されている。マイクロレンズ3aで集光された透過光は、金属製遮光層パターン8に遮断されることなく、複数の光透過開口部5を通過することができる。このため、本発明のマイクロレンズアレイシート1を、電磁波シールド材としてディスプレイ用の光学フィルターに組み込んだ場合は、従来の電磁波シールド材に比べて全光線透過率を向上させることが可能となる。
(透明基材)
透明基材2を構成する透明材料としては、可視領域で透明であり、またフレキシブル性を有し、好ましくは耐熱性の良好な樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。そのようなフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等からなる厚さが10〜600μmの単層または複合フィルムが挙げられる。
(マイクロレンズアレイの形成)
透明基材2の片面2a上に2次元配列された複数の凸型のマイクロレンズ3aからなるマイクロレンズアレイ3は、成型金型を用いて紫外線硬化性樹脂または電離放射線硬化性樹脂を硬化させて成型加工することにより形成することができる。成型金型は、精密研削加工、電鋳加工、レーザー加工などの種々の加工方法を用いて作製することができる。この方法によれば、紫外線硬化性樹脂または電離放射線硬化性樹脂の反応硬化物からなるマイクロレンズアレイ3を低コストにて製造することができる。また、マイクロレンズ3aを樹脂製とすることによって、マイクロレンズアレイシート1のロールへの巻き取りが可能になり、取扱い性が向上する。
マイクロレンズアレイ面2a上でのマイクロレンズ3aの配列形状は、特に限定されず、格子状、六角形状(ハニカム状)などの任意の配列形状を採用することが可能である。マイクロレンズ3aの配列ピッチは、50〜250μmであることが好ましい。
(マイクロレンズアレイシートの製造方法)
透明基材2のマイクロレンズアレイ3が形成される面2aの裏面2bには、ポジ型による写真製法の感光材料4が塗布され、マイクロレンズ3aで集光された照射光にて露光された後、現像されて現像銀からなる遮光パターン6が形成される。遮光パターン6の遮光帯の最小線幅は、20〜40μmであることが好ましい。この遮光パターン6に金属メッキを施して本発明のマイクロレンズアレイシートが作製される。透明基材2に対して写真製法の感光材料4を塗布する時期は、透明基材2にマイクロレンズ3aを形成する前であっても、又は、透明基材2にマイクロレンズ3aを形成した後であっても構わない。
透明基材2の片面2a上に2次元配列された複数のマイクロレンズ3aからなるマイクロレンズアレイ3を形成した後、次の概略工程でマイクロレンズアレイシートを作製することができる。
(1)前記マイクロレンズアレイ3側の面2aより光Lを照射することにより、該マイクロレンズ面の反対側の面2b上に塗布されている写真製法の感光材料4を、各マイクロレンズ3aの集光部において露光する。
(2)露光した感光材料4を現像処理することにより、露光されない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法により生成された現像銀からなる導電性金属の遮光パターン6を形成する。この導電性金属の遮光パターン6は、露光した部分に光透過開口部5を有するものとなる。
(3)該導電性金属の遮光パターン6の上に金属メッキ層7を積層して複数の光透過開口部5を有する金属製遮光層パターン8を形成する。
(電磁波シールド材)
従来、ディスプレイから発生する電磁波が外部に漏洩して人体への悪影響を防ぐという要求に対して、種々の透明導電性フィルムおよび電磁波シールドフィルムが開発されている。公知の電磁波シールド層は、大きく分けると、透明導電膜による電磁波シールド材と、導電性の金属メッシュによる電磁波シールド材の2つに区分される。透明導電膜による電磁波シールド材は金属メッシュによる電磁波シールド材に比べて、透明性に優れる反面、表面抵抗率が大きく、電磁波シールド性能に劣る。プラズマディスプレイは多量の電磁波を発生させるので、金属メッシュによる電磁波シールド材が好ましい。
さらに、導電性の金属メッシュの製造方法としては、高い電磁波シールド効果と高い透明性(高い全光線透過率)とを両立させ得る点で、写真銀−メッキ法によるものが好ましい。
本発明のマイクロレンズアレイシートは、写真製法で生成した導電性金属の遮光パターン6の上に金属メッキ層7を積層して厚み及び導電性を増大させることにより、金属製遮光層パターン8を電磁波シールド材として利用することが可能となる。
(金属製遮光層パターンの製造方法)
本発明において電磁波シールド材としての利用も可能な金属製遮光層パターン8の製造方法は、異なる2つの銀塩写真現像法(ポジ型写真製法−メッキ法、ネガ型写真製法−メッキ法)のうち、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法を用いて現像銀からなるパターンを形成することを特徴としている。
銀塩写真現像法の1つの方法は、古くから知られる通常のいわゆる銀塩写真フィルムを用いて行う方法(ネガ型写真製法)であって、例えば、特許文献3に記載された方法、すなわち、支持体上に設けられた銀塩を含有する銀塩含有層を露光し、現像処理することにより金属銀部と光透過性部とを形成し、さらに前記金属銀部を物理現像及び/又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させた導電性金属部を形成する方法である。
本発明に用いる銀塩写真現像法(ポジ型写真製法)は、特許文献4に記載された方法であって、銀塩写真現像法を応用し、ハロゲン化銀を可溶性銀錯塩形成剤で溶解して可溶性銀錯塩にし、同時にハイドロキノン等の還元剤(現像主薬)で還元して現像核上に任意の細線パターンの金属銀を析出させる方法である。
なお、特公昭42−23745号公報には、ハロゲン化銀乳剤層とハロゲン化銀溶剤(銀錯塩形成材)を応用し、銀錯塩拡散転写現像法(DTR現像法)により物理現像銀からなる導電性層を形成する技術が記載されている。しかしながら、上述したように近年の電磁波シールド材に要求される、全光線透過率50%以上の透光性と表面抵抗率10オーム/□以下の導電性とを同時に満足させるには、上記特許公報に記載された技術だけでは達成することができなかった。
以下、本発明に用いるポジ型写真製法―メッキ法に基づいた、電磁波シールド材としての利用も可能な金属製遮光層パターンの新製法について説明する。
(ポジ型写真製法−メッキ法:物理現像核)
現像銀パターンが形成される透明基材には、予め物理現像核層が設けられていることが好ましい。
物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法等によって透明基材上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
透明基材は、塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層の接着層を設けることができ、また接着層と物理現像核層との間にはゼラチン等の親水性バインダーからなる中間層を設けることもできる。
物理現像核層には、親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜300質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。物理現像核層には親水性バインダーの架橋剤を含有することもできる。
物理現像核層や前記中間層等の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。本発明において物理現像核層は、上記したコーティング法によって、通常連続した均一な層として設けることが好ましい。
本発明において、物理現像核層に金属銀を析出させるためのハロゲン化銀の供給は、透明基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に一体的に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の基材上に設けられたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。
(ポジ型写真製法−メッキ法:ハロゲン化銀乳剤)
本発明において、ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀写真感光材料の一般的なハロゲン化銀乳剤の製造方法に従って製造することができる。ハロゲン化銀乳剤は、通常、硝酸銀水溶液、塩化ナトリウムや臭化ナトリウムのハロゲン水溶液をゼラチンの存在下で混合熟成することによって作られる。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成は、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された物理現像銀の導電性が向上する。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤層は、各種の光源に対して感光性を有している。電磁波シールド材を作製するための1つの方法として、例えば網目状などの細線パターンの物理現像銀の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は細線パターン状に露光されるが、露光方法として、細線パターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して紫外光で露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。前者の紫外光を用いた密着露光は、ハロゲン化銀の感光性は比較的低くても可能であるが、レーザー光を用いた走査露光の場合は比較的高い感光性が要求される。従って、後者の露光方法を用いる場合は、ハロゲン化銀の感光性を高めるために、ハロゲン化銀は化学増感あるいは増感色素による分光増感を施してもよい。化学増感としては、金化合物や銀化合物を用いた金属増感、硫黄化合物を用いた硫黄増感、あるいはこれらの併用が挙げられる。好ましくは、金化合物と硫黄化合物を併用した金−硫黄増感である。上記したレーザー光で露光する方法においては、450nm以下の発振波長の持つレーザー光、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも云う)を用いることによって、明室下(明るいイエロー蛍光灯下)でも取り扱いが可能となる。
本発明において、物理現像核層が設けられる透明基材上の任意の位置、たとえば接着層、中間層、物理現像核層あるいはハロゲン化銀乳剤層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層にハレーションないしイラジエーション防止用の染料もしくは顔料を含有させてもよい。
(ポジ型写真製法−メッキ法:露光・現像)
前記物理現像核層の上に直接にあるいは中間層を介してハロゲン化銀乳剤層が塗設された感光材料を用いて電磁波シールド材を作製する場合は、通常、網目状パターンのような任意の細線パターンの露光マスクと上記感光材料を密着して露光、あるいは、任意の細線パターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記感光材料に走査露光する。
しかし、本発明では、細線パターンの露光マスクを使用する代わりに、マイクロレンズアレイを利用する。すなわち、図1(a)に示すように、透明基材2の片面2a上に2次元配列された複数のマイクロレンズ3aからなるマイクロレンズアレイ3を形成した後、図1(b)に示すように、前記マイクロレンズアレイ3側の面2aより光Lを照射することにより、該マイクロレンズアレイ面2aの反対側の面2b上に塗布されている上記感光材料層4を、各マイクロレンズ3aの集光部において露光するものである。
このような露光処理を行った後、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で処理することにより銀錯塩拡散転写現像(DTR現像)が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して現像銀パターン6を得ることができる。露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、ハロゲン化銀乳剤層及び中間層、あるいは必要に応じて設けられた保護層は水洗除去されて、露光されなかった部分の現像銀パターン6が表面に露出する。これと同時に、露光された部分には光透過開口部5が形成される。
DTR現像後、物理現像核層の上に設けられたハロゲン化銀乳剤層等の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤、及びアルカリ液について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物であり、これらの作用はアルカリ液中で行われる。
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、アルカノールアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、T.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物等が挙げられる。
前記還元剤としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、物理現像核層と一緒に透明基材に塗布してもよいし、ハロゲン化銀乳剤層中に添加してもよいし、またはアルカリ液中に含有させてもよく、更に複数の位置に含有してもよいが、少なくともアルカリ液中に含有させるのが好ましい。
アルカリ液中への可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.1〜5モルの範囲で用いるのが適当であり、還元剤は現像液1リットル当たり0.05〜1モルの範囲で用いるのが適当である。
アルカリ液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14の範囲が好ましい。銀錯塩拡散転写現像を行うためのアルカリ液の適用は、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯流されたアルカリ液中に、物理現像核層及びハロゲン化銀乳剤層が設けられた透明基材を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えばハロゲン化銀乳剤層上にアルカリ液を1平方メートル当たり40〜120ml程度塗布するものである。
(遮光パターンの金属銀へのメッキ)
金属メッキした金属製遮光層パターン8の厚みは所望とする特性により任意に変えることができるが、0.5〜15μm、好ましくは2〜12μmの範囲である。
本発明のマイクロレンズアレイシートを、ディスプレイ用光学フィルターの電磁波シールド材として用いた場合は、金属製遮光層パターン8が0.5〜15μmの厚み及び20〜40μmの遮光帯の最小線幅であるとき、全光線透過率50%以上、かつ表面抵抗率が10オーム/□以下という優れた透光性能と導電性能を持ち、30MHz〜1,000MHzのような広い周波数帯に亘って30dB以上のシールド効果を発揮することができる。
導電性金属の遮光パターン6上に施す金属メッキは、無電解メッキ法、電解メッキ法あるいは両者を組み合わせたメッキ法のいずれでも可能であるが、透明基材2上にマイクロレンズアレイシートを作製するにあたり、透明基材2の片面2a上にマイクロレンズアレイ3を設け、その反対側の面2b上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を含む感光材料層4を設けたロール状の長尺ウェブに、少なくとも遮光パターンの露光、現像処理およびメッキ処理という一連の処理を施すことができる観点からも、電解メッキあるいはそれに無電解メッキを組み合わせた方法が好ましい。
(メッキ方法)
本発明においては、現像銀等の導電性金属からなる遮光パターン6をメッキする方法は、次による。
透明基材2の片面に、写真製法により生成された現像銀の遮光パターン6を形成し、当該現像銀層6の上に、銅(Cu)および/またはニッケル(Ni)をメッキする。
本発明において、金属メッキ法は公知の方法で行うことが出来るが、たとえば電解メッキ法は、銅、ニッケル、銀、金、半田、あるいは銅/ニッケルの多層あるいは複合系などの従来公知の方法を使用でき、これらについては、「表面処理技術総覧;(株)技術資料センター、1987年12月21日初版、281〜422頁」等の文献を参照することができる。
メッキが容易で、かつ導電性に優れ、さらに厚膜にメッキでき、低コスト等の理由により、銅および/またはニッケルを用いることが好ましい。
(無電解銅メッキ)
無電解銅メッキ液としては、金属銅(Cu)の濃度として0.5〜10g/リットルが好ましく、さらに好ましくは2〜3g/リットルの濃度である。
メッキ処理液の温度としては、30〜80℃が好ましく、さらに好ましくは40〜50℃である。メッキ処理液の温度が30℃より低いと銅のメッキ析出速度が遅くなり、80℃以上になると、エネルギー費用が嵩むことから好ましくない。
メッキ厚みは0.01〜1μmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.2μmである。また、無電解銅メッキ液は、公知のメッキ液であればどのような液であっても問題はない。
(電解銅メッキ)
電解銅メッキの場合は、硫酸銅、青化銅、ピロリン酸銅など、どのようなメッキ液でも良いが、その中でも硫酸銅がコスト面から見て好ましい。これらの電解銅メッキ液において、銅(Cu)の濃度は、それぞれ適当な濃度に設定すればよい。
硫酸銅メッキ浴を用いる場合、硫酸濃度が20〜400g/リットルが好ましく、さらに好ましくは70〜300g/リットルである。硫酸濃度が20g/リットルより低いと、メッキ液が不安定となり、300g/リットルより高いとメッキ粒子に異常が生じるから好ましくない。
メッキ処理温度としては、10〜60℃が好ましく、さらに好ましくは20〜40℃である。メッキ処理液の温度が、10℃より低いとメッキ時間が長く掛かりコストアップとなり、60℃より高いとメッキ外観が悪くなる。
電解メッキの電流密度としては、0.05〜20A/cmが好ましく、さらに好ましくは0.5〜8A/cmである。電解メッキの電流密度が0.05A/cmより低いと、メッキ時間が長くなりコストアップとなる。また、電解メッキの電流密度が20A/cmより高いと、メッキ皮膜の外観が悪くなるから好ましくない。
(電解ニッケルメッキ)
電解ニッケルメッキを行う場合には、ニッケルメッキ処理液として、ワット浴(硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸)、スルファミン酸ニッケル浴(スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸)その他、どのようなメッキ浴でもよい。
(黒化処理)
金属メッキ層7の最表面7a(図3(b)を参照。)は、メッキした金属の光沢による光の反射を防ぐために黒化処理することが好ましい。ニッケルメッキ表面の黒化処理の方法として、黒化処理皮膜の種類および用いる黒化処理液の配合について特に制限はないが、好ましい一例として、黒ニッケルを使用する場合、当該黒化処理液の硫酸濃度は、10〜50g/リットルで行うのが好ましく、さらに好ましくは20〜40g/リットルである。硫酸ニッケルの濃度が10g/リットルより低いと、メッキ析出が遅くなりコストアップとなり、50g/リットルより高いと黒化処理の仕上げ色が安定しないから好ましくない。
(光学フィルターの製造方法)
本発明では、銀塩写真現像法(ポジ型写真製法−メッキ法)を用いて透明基材の上に写真製法により生成された現像銀からなる遮光パターンの薄膜を形成し、この遮光パターンの上に、メッキにより金属層を積層して形成された金属製遮光パターンを有するマイクロレンズシートを得ることができる。
本発明のマイクロレンズアレイシートは、電磁波シールド材としてディスプレイ用光学フィルターに用いることができる。
光学フィルターの製造方法は特に限定されないが、例えば、反射防止層、本発明のマイクロレンズアレイシートからなる電磁波シールド層、近赤外線吸収剤層、ネオン吸収剤層等を積層して、光学フィルターを作製することができる。
本発明のマイクロレンズアレイシートは、マイクロレンズアレイ3の配置された基材面2aの反対側の面2b上に形成された金属製遮光層パターン8において、光透過開口部5がマイクロレンズ3aに対して正確に位置決めされているので、各マイクロレンズ3aで集光した光線を有効に、金属製遮光層パターン8の隙間である光透過開口部5を通過させることが可能となり、全光線透過率を高くすることができる。
このため、本発明のマイクロレンズアレイシートを、ディスプレイ用の光学フィルターに電磁波シールド材として用いた場合、従来の導電性金属によるメッシュパターンの細線が光透過を遮蔽するのに比べて、全光線透過率を飛躍的に高めることができる。
本発明のマイクロレンズアレイシートを、透過型スクリーンに用いることにより、各マイクロレンズ3aで集光した光線を、有効(正確に)に金属製遮光層パターン8の隙間である光透過開口部5を通過させることが可能となり、鮮明な画像を得ることができる。
本発明のマイクロレンズアレイシートは、ディスプレイの光学フィルターの電磁波シールド材、透過型スクリーンとして利用することができる。
(a)〜(c)は、マイクロレンズアレイシートのマイクロレンズアレイ面の反対側の面に、現像銀からなる導電性金属の遮光パターンを形成する方法を工程順に示す模式的断面図である。 マイクロレンズアレイシートのマイクロレンズアレイ面の反対側の面に、現像銀からなる導電性金属の遮光パターンが形成された、図1(c)に示す層構造の一例を模式的に示す部分切欠斜視図である。 (a)は、本発明のマイクロレンズアレイシートの模式的断面図であり、(b)は(a)のA部の部分拡大図である。 図3に示す本発明のマイクロレンズアレイシートを模式的に示す部分切欠斜視図である。 従来の、ディスプレイ用光学フィルターに用いられる電磁波シールド材の一例を示す模式的断面図である。
符号の説明
1…マイクロレンズアレイシート、2…透明基材、2a…マイクロレンズアレイ面、2b…マイクロレンズアレイ面の反対側の面、3…マイクロレンズアレイ、3a…マイクロレンズ、4…感光材料層、5…光透過開口部、6…導電性金属の遮光パターン(現像銀層)、7…金属メッキ層、8…金属製遮光層パターン、9…透明化処理層。

Claims (7)

  1. 透明基材の片面上に、複数のマイクロレンズが2次元配置されたマイクロレンズアレイシートにおいて、
    該透明基材の前記マイクロレンズが配置されていない他方の面上に、マイクロレンズアレイ面より照射される光の集光する部分が光透過開口部であり、それ以外の部分が遮光部である導電性金属の遮光パターンと、該導電性金属の遮光パターンの上に積層された金属メッキ層とからなる金属製遮光層パターンが形成されてなることを特徴とするマイクロレンズアレイシート。
  2. 前記導電性金属の遮光パターンが、写真製法により生成した現像銀であって、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法により生成された現像銀からなるパターンであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイシート。
  3. 前記現像銀のパターンの上に接して、無電解メッキ層および/または電解メッキ層が積層されていることを特徴とする請求項2に記載のマイクロレンズアレイシート。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のマイクロレンズアレイシートを、電磁波シールド材として用いたディスプレイ用の光学フィルター。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のマイクロレンズアレイシートを用いた透過型スクリーン。
  6. 透明基材の片面上に、複数のマイクロレンズが2次元配置されたマイクロレンズアレイ面を形成した後、前記マイクロレンズアレイ面より光を照射することにより、該透明基材の前記マイクロレンズが配置されていない他方の面上に塗布されている写真製法の感光材料を各マイクロレンズの集光部において露光し、前記露光後の感光材料を、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法を用いて現像することによって、前記露光した部分に複数の光透過開口部を有する現像銀からなる導電性金属の遮光パターンを生成し、該導電性金属の遮光パターンの上に金属メッキ層を積層して金属製遮光層パターンを形成することを特徴とするマイクロレンズアレイシートの製造方法。
  7. 前記マイクロレンズアレイ面は、透明基材の上に紫外線硬化性樹脂または電離放射線硬化性樹脂を用いて、賦型によりマイクロレンズの形状パターンが形成されたものであることを特徴とする請求項6に記載のマイクロレンズアレイシートの製造方法。
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