JP2007263104A - 圧縮機のスクロール部材およびそれを用いた圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】、素材の無駄をなくすことができる圧縮機のスクロール部材およびそれを用いた圧縮機を提供する。
【解決手段】 圧縮機1のスクロール部材26は、材料を成形型80に注入して成形される圧縮機1のスクロール部材26である。スクロール部材26は、平板状の鏡板26aと、ラップ26bとを備えている。ラップ26bは、鏡板26aに形成されている。ラップ26bは、渦巻き形状を有する。成形型80に対する抜き勾配は、ラップの巻き角に応じて変化している。
【選択図】図6

Description

本発明は、圧縮機のスクロール部材およびそれを用いた圧縮機に関する。
従来より、圧縮機のスクロール部材の製造方法として、金属材料を金型に注入する成形法(例えばチクソキャスティング等)を用いた製造方法が提案されている(特許文献1参照)。スクロール部材は、平板状の鏡板と、渦巻き形状を有するラップとを備えている。
特開2005−36693号公報
しかし、従来のスクロール部材では、ラップの抜き勾配がないか、または一定であるので、強度や品質に応じてラップ形状が決められておらず、スクロール部材の製造時において素材の無駄が生じるという問題がある。
また、スクロール部材の形状を見た場合、ラップの曲率が渦巻き形状を有するラップの中心部ほど小さいため、金型は、スクロール部材を金型から分離するときに応力を受けやすくなる。このため、金型の寿命を長くすることは困難である。
本発明の課題は、素材の無駄をなくすことができる圧縮機のスクロール部材およびそれを用いた圧縮機を提供する。さらに、成形型の寿命を長くすることができる圧縮機のスクロール部材およびそれを用いた圧縮機を提供する。
第1発明の圧縮機のスクロール部材は、材料を成形型に注入して成形される圧縮機のスクロール部材である。スクロール部材は、平板状の鏡板と、ラップとを備えている。ラップは、鏡板に形成されている。ラップは、渦巻き形状を有する。成形型に対する抜き勾配は、ラップの巻き角に応じて変化している。
ここでは、ラップにおける成形型に対する抜き勾配がラップの巻き角に応じて変化しているので、強度や品質に応じてラップ形状が決められ、素材の無駄をなくすことが可能である。
第2発明の圧縮機のスクロール部材は、第1発明の圧縮機のスクロール部材であって、材料を成形型に注入して成形される圧縮機のスクロール部材である。スクロール部材は、平板状の鏡板と、ラップとを備えている。ラップは、鏡板に形成されている。ラップは、渦巻き形状を有する。渦巻き形状は、中心に近い巻き始めの部分における成形型に対する抜き勾配が外側の巻き終わりの部分の抜き勾配よりも大きくなっている。
ここでは、ラップの渦巻き形状が、ラップの中心に近い巻き始めの部分における抜き勾配が外側の巻き終わりの部分の抜き勾配よりも大きくなっているので、材料を成形型に注入することによってスクロール部材を成形する際に、スクロール部材を成形型から分離する離型時に渦巻きの中心付近における成形型にかかるストレス(応力)が小さくなる。その結果、成形型の寿命を長くすることが可能になる。
第3発明の圧縮機のスクロール部材は、第1発明の圧縮機のスクロール部材であって、材料を成形型に注入して成形される圧縮機のスクロール部材である。スクロール部材は、平板状の鏡板と、ラップとを備えている。ラップは、鏡板に形成されている。ラップは、渦巻き形状を有する。渦巻き形状は、外側の巻き終わりの部分における成形型に対する抜き勾配が中心に近い巻き始めの部分の抜き勾配よりも大きくなっている。
ここでは、ラップの渦巻き形状が、ラップの外側の巻き終わりの部分における抜き勾配が中心に近い巻き始めの部分の抜き勾配よりも大きくなっているので、ラップの外周部分の肉厚が薄く、加工時の精度が出にくい場合に有効であり、ラップの肉厚が薄くなってもラップの外周部分の精度を保つことができる。
第4発明の圧縮機のスクロール部材は、第2発明または第3発明の圧縮機のスクロール部材であって、ラップは、巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が連続的に徐々に変化するように設定されている。
ここでは、ラップが巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が連続的に徐々に変化するように設定されているので、離型時の渦巻きの中心付近における成形型にかかるストレスが小さくなり、成形型の寿命を長くすることが可能になる。また、素材の無駄をより効果的になくすことが可能である。
第5発明の圧縮機のスクロール部材は、第2発明または第3発明の圧縮機のスクロール部材であって、ラップが巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が段階的に変化するように設定されている。
ここでは、ラップが巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が段階的に変化するように設定されているので、離型時の渦巻きの中心付近における成形型にかかるストレスが小さくなり、成形型の寿命を長くすることが可能になる。それとともに、ラップの個々の角度範囲における抜き勾配の設定が容易である。また、素材の無駄をより効果的になくすことが可能である。
第6発明の圧縮機のスクロール部材は、第2発明または第3発明の圧縮機のスクロール部材であって、ラップは、巻き始めと巻き終りとの間のうちの所定の角度範囲において、抜き勾配を他の角度範囲における抜き勾配よりも大きくなるように設定されている。
ここでは、ラップが巻き始めと巻き終りとの間のうちの所定の角度範囲において、抜き勾配を他の角度範囲における抜き勾配よりも大きくなるように設定されているので、離型時の渦巻きの中心付近における成形型にかかるストレスが小さくなり、成形型の寿命を長くすることが可能になる。それとともに、ラップ全体におけるニアネットシェイプ化に対する弊害をさらに小さくすることが可能である。また、素材の無駄をより効果的になくすことが可能である。
第7発明の圧縮機のスクロール部材は、第2発明または第3発明の圧縮機のスクロール部材であって、
少なくともラップが樹脂でコーティングされている。
ここでは、少なくともラップが樹脂でコーティングされているので、圧縮機で圧縮される媒体の漏れを低減し、かつ騒音を低減することが可能である。
第8発明の圧縮機は、第1発明から第7発明のいずれかのスクロール部材を備えている。圧縮機は、冷媒にCO2を使用している。
ここでは、圧縮機が冷媒としてCO2を使用しているので、高負荷となる高圧冷媒で特に有効である。
第1発明によれば、強度や品質に応じてラップ形状が決められ、素材の無駄をなくすことができる。
第2発明によれば、スクロール部材を成形型から分離する離型時において渦巻きの中心付近における成形型にかかるストレスを小さくすることができ、その結果、成形型の寿命を長くすることができる。
第3発明によれば、ラップの肉厚が薄くなってもラップの外周部分の精度を保つことができる。
第4発明によれば、離型時の渦巻きの中心付近における成形型にかかるストレスが小さくなり、成形型の長寿命化を達成することができる。また、素材の無駄をより効果的になくすことが可能である。
第5発明によれば、離型時の渦巻きの中心付近における成形型にかかるストレスが小さくなり、成形型の長寿命化を達成することができる。それとともにラップの個々の角度範囲における抜き勾配の設定が容易になる。また、素材の無駄をより効果的になくすことが可能である。
第6発明によれば、離型時の渦巻きの中心付近における成形型にかかるストレスが小さくなり、成形型の長寿命化を達成することができる。それとともにラップ全体におけるニアネットシェイプ化に対する弊害をさらに小さくすることができる。また、素材の無駄をより効果的になくすことが可能である。
第7発明によれば、圧縮機で圧縮される媒体の漏れを低減することができる。しかも、騒音を低減することができる。
第8発明によれば、高負荷となる高圧冷媒で特に有効である。
〔実施形態〕
以下、実施形態のスクロール部材から製造された固定スクロールおよび可動スクロールを用いた圧縮機について、高低圧ドーム型圧縮機1を例に挙げて説明する。
実施形態に係る冷媒としてCO2を使用している高低圧ドーム型圧縮機1は、蒸発器や、凝縮器、膨張機構などと共に冷媒回路を構成し、その冷媒回路中のガス冷媒を圧縮する役割を担うものであって、図1に示されるように、主に、縦長円筒状の密閉ドーム型のケーシング10、スクロール圧縮機構15、オルダムリング39、駆動モータ16、下部主軸受60、吸入管19、および吐出管20から構成されている。スクロール圧縮機構15は、スクロール部材として、後述する固定スクロール124および可動スクロール126を備えている。以下、この高低圧ドーム型圧縮機1の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
〔高低圧ドーム型圧縮機の構成部品の詳細〕
(1)ケーシング
ケーシング10は、略円筒状の胴部ケーシング部11と、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部13とを有する。そして、このケーシング10には、主に、ガス冷媒を圧縮するスクロール圧縮機構15と、スクロール圧縮機構15の下方に配置される駆動モータ16とが収容されている。このスクロール圧縮機構15と駆動モータ16とは、ケーシング10内を上下方向に延びるように配置される駆動軸17によって連結されている。そして、この結果、スクロール圧縮機構15と駆動モータ16との間には、間隙空間18が生じる。
(2)スクロール圧縮機構
スクロール圧縮機構15は、図1に示されるように、主に、ハウジング23と、ハウジング23の上方に密着して配置される固定スクロール124と、固定スクロール124に噛合する可動スクロール126とから構成されている。以下、このスクロール圧縮機構15の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
a)固定スクロール
固定スクロール124は、図1〜図3に示す素材である固定スクロール部材24の形状と同じく、主に、鏡板124aと、鏡板124aの下面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ124bとから構成されている。
鏡板124aには、後述する圧縮室40に連通する吐出穴41と、吐出穴41に連通する拡大凹部42とが形成されている。吐出穴41は、鏡板24aの中央部分において上下方向に延びるように形成されている。
実施形態の固定スクロール124は、素材である固定スクロール部材24を加工して製造される。すなわち、固定スクロール124を実際に圧縮機1に搭載する際は、固定スクロール部材24のラップ側面24bの抜き勾配を無くす加工(切削加工または後述する樹脂コーティング)をすることによって得られる固定スクロール124が使用される。
固定スクロール部材24の、ラップ24bの渦巻き形状が、後述する可動スクロール部材26のラップ26bと同様に、ラップ24bの中心に近い巻き始めの部分P0における抜き勾配(図7の可動スクロール部材26の抜き勾配θ1、θ2参照)が外側の巻き終わりの部分P4の抜き勾配よりも大きくなっている。したがって、固定スクロール部材24をチクソキャスティングにより成形する際に、固定スクロール部材24を金型から分離する離型時の渦巻きの中心付近における金型にかかるストレスが小さくなる。
しかも、ラップ24bは、図2および図3に示されるように、後述する可動スクロール部材26のラップ26bと同様に、巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が連続的に徐々に変化するように設定されている。具体的には、ラップ24bの巻き始めの部分P0の抜き勾配は、最大に設定され、途中の部分(P1〜P3)における抜き勾配は、巻き角(図4の可動スクロール部材26の巻き角α参照)が変化するにつれて連続的に小さくなるように設定され、巻き終わりの部分P4の抜き勾配は、最小に設定されている。したがって、離型時の渦巻きの中心付近における金型にかかるストレスが小さくなる。
また、24bは、図2および図3に示されるように、後述する可動スクロール部材26のラップ26bと同様に、ラップ24bにおける成形型に対する抜き勾配がラップ24bの巻き角に応じて変化しているので、強度や品質に応じてラップ形状が決められ、素材の無駄をなくすことが可能である。
拡大凹部42は、鏡板24aの上面に凹設された水平方向に広がる凹部により構成されている。そして、固定スクロール124の上面には、この拡大凹部42を塞ぐように蓋体44がボルト44aにより締結固定されている。そして、拡大凹部42に蓋体44が覆い被せられることによりスクロール圧縮機構15の運転音を消音させる膨張室からなるマフラー空間45が形成されている。固定スクロール部材24と蓋体44とは、図示しないパッキンを介して密着させることによりシールされている。
なお、実施形態において、この固定スクロール部材24は、新規かつ特殊な製造方法により製造される。この製造方法については、下記「摺動部品の製造方法」の欄で詳述する。
b)可動スクロール
可動スクロール126は、図1および図4、図5に示す素材である可動スクロール部材26の形状と同じく、主に、鏡板126aと、鏡板126aの上面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ126bと、鏡板126aの下面に形成された軸受部126cと、鏡板126aの両端部に形成される溝部26d(図5の可動スクロール部材26の溝部26d参照)とから構成されている。可動スクロール126は、アウタードライブの可動スクロールである。すなわち、可動スクロール126は、駆動軸17の外側に嵌合する軸受部26cを有している。
実施形態の可動スクロール126は、素材である可動スクロール部材26を加工して製造される。すなわち、可動スクロール126を実際に圧縮機1に搭載する際は、可動スクロール部材26のラップ側面26bの抜き勾配を無くす加工(切削加工または後述する樹脂コーティング)をすることによって得られる可動スクロール126が使用される。
可動スクロール部材26の、図4および図5に示されるように、ラップ26bの渦巻き形状が、ラップ26bの中心に近い巻き始めの部分Q0における抜き勾配(図7の可動スクロール部材26の抜き勾配θ1、θ2参照)が外側の巻き終わりの部分Q4の抜き勾配よりも大きくなっている。したがって、可動スクロール部材26をチクソキャスティングにより成形する際に、可動スクロール部材26を金型から分離する離型時の渦巻きの中心付近における金型にかかるストレスが小さくなる。
また、ラップ26bにおける成形型に対する抜き勾配がラップ26bの巻き角に応じて変化しているので、強度や品質に応じてラップ形状が決められ、素材の無駄をなくすことが可能である。
しかも、ラップ26bは、図4および図5に示されるように、巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が連続的に徐々に変化するように設定されている。具体的には、ラップ26bの巻き始めの部分Q0は、抜き勾配を最大(例えば2度)に設定され、途中の部分(Q1〜Q3)における抜き勾配は、巻き角αが変化するにつれて連続的に小さくなるように設定され、巻き終わりの部分Q4の抜き勾配は、最小(例えば0.5度)に設定されている。すなわち、ラップの巻き角αと抜き勾配θの関係は、図8のグラフに示されるように、抜き勾配θは、巻き角αが巻き始めの角度のときには最大値の2度であり、巻き角αの増加に比例して抜き勾配θは減少し、巻き角αが巻き終わりの角度のときには最小値の0.5度である。このようにラップ26bの抜き勾配θを連続的に徐々に小さくなるように設定することによって、離型時の渦巻きの中心付近における金型にかかるストレスが小さくなり、金型の寿命を長くすることが可能になる。
可動スクロール126は、溝部26d(図5参照)にオルダムリング39(図1参照)が嵌め込まれることによりハウジング23に支持される。また、軸受部26c(図5の可動スクロール部材26の軸受部26c参照))には駆動軸17の上端が嵌入される。可動スクロール126は、このようにスクロール圧縮機構15に組み込まれることによって駆動軸17の回転により自転することなくハウジング23内を公転する。そして、可動スクロール126のラップ126bは固定スクロール124のラップ124bに噛合させられており、両ラップ124b、126bの接触部の間には圧縮室40が形成されている。そして、この圧縮室40では、可動スクロール126の公転に伴い、両ラップ124b、126b間の容積が中心に向かって収縮する。実施形態に係る高低圧ドーム型圧縮機1では、このようにしてガス冷媒を圧縮するようになっている。
なお、実施形態において、この可動スクロール部材26は、新規かつ特殊な製造方法により製造される。この製造方法については、下記「摺動部品の製造方法」の欄で詳述する。
c)ハウジング
ハウジング23は、その外周面において周方向の全体に亘って胴部ケーシング部11に圧入固定されている。つまり、胴部ケーシング部11とハウジング23とは全周に亘って気密状に密着されている。このため、ケーシング10の内部は、ハウジング23下方の高圧空間28とハウジング23上方の低圧空間29とに区画されていることになる。また、このハウジング23には、上端面が固定スクロール部材24の下端面と密着するように、固定スクロール部材24がボルト38により締結固定されている。また、このハウジング23には、上面中央に凹設されたハウジング凹部31と、下面中央から下方に延設された軸受部32とが形成されている。そして、この軸受部32には、上下方向に貫通する軸受孔33が形成されており、この軸受孔33に駆動軸17が軸受34を介して回転自在に嵌入されている。
なお、実施形態において、このハウジング23は、新規かつ特殊な製造方法により製造される。この製造方法については、下記「摺動部品の製造方法」の欄で詳述する。
d)その他
また、このスクロール圧縮機構15には、固定スクロール124とハウジング23とに亘り、連絡通路46が形成されている。この連絡通路46は、固定スクロール124に切欠形成されたスクロール側通路47と、ハウジング23に切欠形成されたハウジング側通路48とが連通するように形成されている。そして、連絡通路46の上端、即ちスクロール側通路47の上端は拡大凹部42に開口し、連絡通路46の下端、即ちハウジング側通路48の下端はハウジング23の下端面に開口している。つまり、このハウジング側通路48の下端開口により、連絡通路46の冷媒を間隙空間18に流出させる吐出口49が構成されていることになる。
(3)オルダムリング
オルダムリング39は、上述したように、可動スクロール126の自転運動を防止するための部材であって、ハウジング23に形成されるオルダム溝(図示せず)に嵌め込まれている。なお、このオルダム溝は、長円形状の溝であって、ハウジング23において互いに対向する位置に配設されている。
(4)駆動モータ
駆動モータ16は、実施形態において直流モータであって、主に、ケーシング10の内壁面に固定された環状のステータ51と、ステータ51の内側に僅かな隙間(エアギャップ通路)をもって回転自在に収容されたロータ52とから構成されている。そして、この駆動モータ16は、ステータ51の上側に形成されているコイルエンド53の上端がハウジング23の軸受部32の下端とほぼ同じ高さ位置になるように配置されている。
ステータ51には、ティース部に銅線が巻回されており、上方および下方にコイルエンド53が形成されている。また、ステータ51の外周面には、ステータ51の上端面から下端面に亘り且つ周方向に所定間隔をおいて複数個所に切欠形成されているコアカット部が設けられている。そして、このコアカット部により、胴部ケーシング部11とステータ51との間に上下方向に延びるモータ冷却通路55が形成されている。
ロータ52は、上下方向に延びるように胴部ケーシング部11の軸心に配置された駆動軸17を介してスクロール圧縮機構15の可動スクロール126に駆動連結されている。また、連絡通路46の吐出口49を流出した冷媒をモータ冷却通路55に案内する案内板58が、間隙空間18に配設されている。
(5)下部主軸受
下部主軸受60は、駆動モータ16の下方の下部空間に配設されている。この下部主軸受60は、胴部ケーシング部11に固定されるとともに駆動軸17の下端側軸受を構成し、駆動軸17を支持している。
なお、実施形態において、この下部主軸受60は、新規かつ特殊な製造方法により製造される。この製造方法については、下記「摺動部品の製造方法」の欄で詳述する。
(6)吸入管
吸入管19は、冷媒回路の冷媒をスクロール圧縮機構15に導くためのものであって、ケーシング10の上壁部12に気密状に嵌入されている。吸入管19は、低圧空間29を上下方向に貫通すると共に、内端部が固定スクロール124に嵌入されている。
(7)吐出管
吐出管20は、ケーシング10内の冷媒をケーシング10外に吐出させるためのものであって、ケーシング10の胴部ケーシング部11に気密状に嵌入されている。そして、この吐出管20は、上下方向に延びる円筒形状に形成されハウジング23の下端部に固定される内端部36を有している。なお、吐出管20の内端開口、即ち流入口は、下方に向かって開口されている。
〔摺動部品の製造方法〕
実施形態に係る高低圧ドーム型圧縮機1において、駆動軸17、ハウジング23、固定スクロール部材24、可動スクロール部材26、オルダムリング39、および下部主軸受60は摺動部品であり、実施形態では、ハウジング23、固定スクロール部材24、可動スクロール部材26、および下部主軸受60の摺動部品が下記製造方法により製造される。
(1)原材料
a)鉄素材
実施形態に係る鉄素材としては、C:2.3〜2.4wt%、Si:1.95〜2.05wt%、Mn:0.6〜0.7wt%、P:<0.035wt%、S:<0.04wt%、Cr:0.00〜0.50wt%、Ni:0.50〜1.00wt%が添加されているビレットが採用される。なお、ここにいう重量割合は全量に対する割合である。また、ここに「ビレット」とは、一端、上記成分の鉄素材が溶融炉において溶融された後に、連続鋳造装置により円柱形状等に成形された最終成形前の素材を意味する。なお、ここで、CおよびSiの含有量は、引張強度および引張弾性率が片状黒鉛鋳鉄より高くなること、および複雑な形状の摺動部品基体を成形するのに適切な流動性を備えていることの両方を満足するように決定される。また、Niの含有量は、金属組織の靭性を向上させて成形時の表面クラックを防止するのに適切な金属組成を構成するように決定されている。
a)チクソキャスティング工程
半溶融成形法の一種であるチクソキャスティング工程では、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26をチクソキャスティングにより成形する。
例えば、図6に示される金型80を用いて可動スクロール部材26をチクソキャスティングにより成形する。具体的には、以下の通りである。
図6に示されるように、可動スクロール部材26をチクソキャスティングするための金型80は、第1型部分81と、第2型部分82とからなる。第1型部分81と第2型部分82とを組み合わせたときにできる空間部83の形状は、成形される可動スクロール部材26の外形形状に対応する。
また、金型80は、ラップ成形部分82aを備えている。ラップ成形部分82aは、可動スクロール部材26のラップ26bの中心に近い巻き始めの部分Q0(図4参照)の抜き勾配が外側の巻き終わりの部分Q4の抜き勾配よりも大きくなるように外形形状が設定されている。
例えば、図6および図7に示されるように、ラップ成形部分82aの側面82bおよび側面82cは、ラップ26bの部分Q1と部分Q3の間では、部分Q1の方が部分Q3よりも中心に近いので、部分Q1の抜き勾配θ1が外側の部分Q3の抜き勾配θ3よりも大きくなるように設定されている。
以上のような金型80を用いて可動スクロール部材26をチクソキャスティングによって成形することによって、渦巻き形状のラップ26bの中心に近い巻き始めの部分Q0における抜き勾配が外側の巻き終わりの部分Q4の抜き勾配よりも大きい可動スクロール部材26を製造することができる。その後に、可動スクロール部材26を金型から分離する離型時には、渦巻きの中心付近における金型80にかかるストレスが小さくなる。
なお、チクソキャスティング工程の詳細な手順は次の通りである。先ず、ビレットを高周波加熱することにより半溶融状態とする。次いで、その半溶融状態のビレットを所定の金型に注入する際に、ダイキャストマシンで所定圧力を加えながらビレットを所望の形状に成形し摺動部品基体を得る。そして、摺動部品基体を金型から取り出して急冷させると、その摺動部品基体の金属組織は、全体的に白銑化したものとなる。その後、この摺動部品基体を熱処理すると、この摺動部品基体の金属組織は、白銑化組織からパーライト/フェライト基地、粒状黒鉛から成る金属組織へと変化する。なお、この白銑化組織の黒鉛化、パーライト化については熱処理温度、保持時間、冷却速度などを調節することにより調節することができる。例えば、Honda R&D Technical Review の Vol.14 No.1 の論文「鉄の半溶融成形技術の研究」にあるように、950℃で60分保持した後に0.05〜0.10℃/secの冷却速度で炉中にて徐冷することにより、500MPa〜700MPa程度の引張強度、150〜200程度のブリネル硬度を有する金属組織を得ることができる。このような金属組織はフェライト中心であるために軟らかく被削性に優れるが、機械加工時に構成刃先を形成して刃具寿命を低下させる可能性がある。また、1000℃で60分保持した後に空冷し、さらに最初の温度より少し低い温度で所定時間保持した後に空冷することにより、600MPa〜900MPa程度の引張強度、200〜350程度のブリネル硬度を有する金属組織を得ることができる。このような金属組織において、片状黒鉛鋳鉄と同等の硬度を有するものは、片状黒鉛鋳鉄と同等の被削性を有し、同等の延性・靭性を有する球状黒鉛鋳鉄と比較すると被削性に優れている。また、1000℃で60分保持した後に油冷し、さらに最初の温度より少し低い温度で所定時間保持した後に空冷することにより、800MPa〜1300MPa程度の引張強度、250〜350程度のブリネル硬度を有する金属組織を得ることができる。このような金属組織はパーライト中心であるために硬く、被削性に劣るが、耐摩耗性に優れている。ただし、硬すぎることによる摺動相手材への攻撃性を有する可能性がある。
〔高低圧ドーム型圧縮機1の運転動作〕
つぎに、高低圧ドーム型圧縮機1の運転動作について簡単に説明する。まず、駆動モータ16が駆動されると、駆動軸17が回転し、可動スクロール126が自転することなく公転運転を行う。すると、低圧のガス冷媒が、吸入管19を通って圧縮室40の周縁側から圧縮室40に吸引され、圧縮室40の容積変化に伴って圧縮され、高圧のガス冷媒となる。そして、この高圧のガス冷媒は、圧縮室40の中央部から吐出穴41を通ってマフラー空間45へ吐出され、その後、連絡通路46、スクロール側通路47、ハウジング側通路48、吐出口49を通って間隙空間18へ流出し、案内板58と胴部ケーシング部11の内面との間を下側に向かって流れる。そして、このガス冷媒は、案内板58と胴部ケーシング部11の内面との間を下側に向かって流れる際に、一部が分流して案内板58と駆動モータ16との間を円周方向に流れる。なお、このとき、ガス冷媒に混入している潤滑油が分離される。一方、分流したガス冷媒の他部は、モータ冷却通路55を下側に向かって流れ、モータ下部空間にまで流れた後、反転してステータ51とロータ52との間のエアギャップ通路、または連絡通路46に対向する側(図1における左側)のモータ冷却通路55を上方に向かって流れる。その後、案内板58を通過したガス冷媒と、エアギャップ通路又はモータ冷却通路55を流れてきたガス冷媒とは、間隙空間18で合流して吐出管20の内端部36から吐出管20に流入し、ケーシング10外に吐出される。そして、ケーシング10外に吐出されたガス冷媒は、冷媒回路を循環した後、再度吸入管19を通ってスクロール圧縮機構15に吸入されて圧縮される。
<特徴>
(1)
実施形態における固定スクロール部材24および可動スクロール部材26では、ラップ24b、26bにおける成形型に対する抜き勾配がラップ24b、26bの巻き角に応じて変化しているので、強度や品質に応じてラップ形状が決められ、素材の無駄をなくすことが可能である。
(2)
実施形態における固定スクロール部材24および可動スクロール部材26は、ラップ24b、26bの渦巻き形状が、ラップ24b、26bの中心に近い巻き始めの部分P0、Q0における抜き勾配が外側の巻き終わりの部分P4、Q4の抜き勾配よりも大きくなっている。したがって、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26をチクソキャスティングにより成形する際に、離型時の渦巻きの中心付近における金型にかかるストレスが小さくなる。その結果、金型の寿命を長くすることが可能になる。
(3)
また、実施形態では、チクソキャスティング等の半溶融成形法によって、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26を成形しており、成形型を用いた他の成形法(例えば、鋳造など)と比較して、金型にかかる圧力が高くなるが、ラップ24b、26bの中心に近い巻き始めの部分P0、Q0における抜き勾配が大きくなっているので、チクソキャスティングの場合でも金型の変形を抑制して金型の長寿命化が可能になる。
(4)
また、実施形態では、チクソキャスティングにおける金型の変形を抑制することができるので、成形される固定スクロール部材24および可動スクロール部材26の割れの発生も抑制することが可能である。
(5)
さらに、実施形態では、金型の長寿命化が可能になるので、金型にかかる費用を低減でき、それに関連して、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26の製造コストを低減することが可能になる。
(6)
また、実施形態では、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26のラップ24b、26bの中心に近い巻き始めの部分P0、Q0における抜き勾配が外側の巻き終わりの部分P4、Q4の抜き勾配よりも大きくなっているので、ラップ24b、26bの中心部における抜き勾配を大きくしても、ラップ全体におけるニアネットシェイプ化(すなわち、最終形状に近い成形)に対する弊害を小さくすることが可能である。
すなわち、ラップ24b、26bの全体について抜き勾配を大きくすれば、離型時のラップ24b、26b全体における金型にかかるストレスが小さくなる一方でニアネットシェイプ化に対する弊害が大きくなる。しかし、実施形態では、ラップ24b、26bの中心付近の抜き勾配を外側の巻き終わりの部分の抜き勾配よりも大きくすることによって、ニアネットシェイプ化に対する弊害が小さくなっている。
(7)
さらに、実施形態では、ラップ24b、26bにおける巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が連続的に徐々に変化するように設定されているので(図8参照)、離型時の渦巻きの中心付近における金型にかかるストレスが小さくなり、金型の寿命を長くすることが可能になる。
(8)
さらに、実施形態では、高低圧ドーム型圧縮機1が冷媒としてCO2を使用しているので、高負荷となる高圧冷媒で特に有効である。
<変形例>
(A)
上記実施形態では、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26のラップ24b、26bにおける巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が連続的に徐々に変化するように設定されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の変形例として、図9のグラフに示されるように、ラップ24b、26bの巻き角αに対する抜き勾配θの変化を、巻き始めに近い範囲では抜き勾配θの減少度合いが大きくなるように設定し、巻き終わりに近い範囲では抜き勾配θの減少度合いが小さくなるように設定してもよい(なお、抜き勾配θの最大値は2度、最小値は0.5度である)。この場合も、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26をチクソキャスティングにより成形する際に、離型時の渦巻きの中心付近における金型にかかるストレスが小さくなり、金型の寿命が長くなる。
また、図9のグラフに示されるラップ24b、26bの巻き角αに対する抜き勾配θの変化の場合、図8のグラフ(抜き勾配θが巻き角α増加に対して比例して直線的に減少する変化)の場合と比較して、巻き始めと巻き終わりの部分以外の部分では、抜き勾配θが小さく設定されているので、ラップ24b、26bの全体におけるニアネットシェイプ化に対する弊害をさらに小さくすることが可能である。
(B)
また、本発明のさらに変形例として、図10のグラフに示されるように、ラップ24b、26bの巻き角αに対する抜き勾配θの変化を、巻き始めから巻き終わりにかけて抜き勾配θを段階的に減少していくように設定してもよい(なお、抜き勾配θの最大値は2度、最小値は0.5度である)。この場合も、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26をチクソキャスティングにより成形する際に、離型時の渦巻きの中心付近における金型にかかるストレスが小さくなり、金型の寿命が長くなる。また、ラップ24b、26bの個々の巻き角αの範囲における抜き勾配θの設定が容易になる。
(C)
また、本発明のさらに変形例として、図11のグラフに示されるように、ラップ24b、26bの巻き角αに対する抜き勾配θの変化を、巻き始めに近い所定の巻き角αの範囲の抜き勾配θを最大値(2度)に設定し、その他の角度範囲における抜き勾配θを最小値(0.5度)に設定している。この場合も、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26をチクソキャスティングにより成形する際に、離型時の渦巻きの中心付近における金型にかかるストレスが小さくなり、金型の寿命が長くなる。また、ラップ24b、26bの全体におけるニアネットシェイプ化に対する弊害をさらに小さくすることが可能である。
(D)
また、本発明のさらに他の変形例として、スクロール部材の表面を樹脂でコーティングして固定スクロール124および可動スクロール126を製造してもよい。例えば、図12に示されるように可動スクロール部材26の表面全体を樹脂Rでコーティングして可動スクロール126を製造することによって、圧縮機1で圧縮されるガス冷媒の漏れが低減されるとともに騒音を低減することが可能になる。なお、可動スクロール部材26の少なくともラップ26bを樹脂Rでコーティングすればガス冷媒の漏れ低減および騒音低減が可能である。
このように、スクロール部材を樹脂コーティングして固定スクロール124および可動スクロール126を製造する場合、ラップ24b、26bの中心に近い巻き始めの部分の抜き勾配を大きくすることによって、必要部位のみ、樹脂コーティング内部のスクロール部材の強度を向上することが可能になる。
さらに、可動スクロール部材26のラップ26bを樹脂Rでコーティングしたのち、樹脂Rの表面を切削加工すれば、可動スクロール部材26を樹脂Rでコーティングすることにより製造された可動スクロール126を所定の外形形状に精度良く加工することが可能になる。
なお、可動スクロール部材26と同様に、固定スクロール部材24についても樹脂Rでコーティングすることによって固定スクロール124を製造してもよい。この場合も、固定スクロール部材24の少なくともラップ24bを樹脂Rでコーティングすればガス冷媒の漏れ低減および騒音低減が可能である。
(E)
実施形態では、チクソキャスティングなどの半溶融成形法によって圧縮機のスクロール部材を製造しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明では材料を成形型に注入して成形される圧縮機のスクロール部材であれば、成形型の寿命を延ばすことが可能である。本発明のさらに他の変形例として、例えば、金属材料の高温の湯を成形型に注入することによって鋳造されるスクロール部材の場合でも、スクロール部材のラップの中心に近い巻き始めの部分における抜き勾配を外側の巻き終わりの部分の抜き勾配よりも大きくすることによって、成形型の寿命を延ばすことが可能である。
(F)
上記実施形態では、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26は、ラップ24b、26bの渦巻き形状が、ラップ24b、26bの中心に近い巻き始めの部分P0、Q0における抜き勾配が外側の巻き終わりの部分P4、Q4の抜き勾配よりも大きくなっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、外側の抜き勾配を大きくしてもよい。
すなわち、本発明のさらに他の変形例として、図13および図14に示されるように、固定スクロール部材24および可動スクロール部材26のそれぞれのラップ24b、26bの渦巻き形状が、ラップ24b、26bの外側の巻き終わりの部分P13、Q14における抜き勾配が中心に近い巻き始めの部分P11、Q11の抜き勾配よりも大きくなっていてもよい。
この場合、ラップ24b、26bの外周部分の肉厚が薄く、加工時の精度が出にくい場合に有効である。例えば、ラップ24b、26bの外周端は片持ち形状なので、ラップ24b、26b全体の肉厚を薄くするとラップ24b、26bの外周部分の強度が弱くなるので、加工時にラップ24b、26bの外周部分が変形しやすくなる。そこで、ラップ24b、26bの外周部分を中心部分よりも抜き勾配を大きくすることにより精度を保つことが可能になる。
また、上記実施形態と同様に、ラップ24b、26bにおける巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が連続的に徐々に変化(すなわち、中心に近い巻き始めの部分から外側の巻き終わりの部分にかけて連続的に大きくする)するように設定されていてもよい。この場合、素材の無駄をより効果的になくすことが可能である。
さらに、上記実施形態の変形例(B)と同様に、ラップ24b、26bは、巻き始めから巻き終りにかけて抜き勾配が段階的に変化する(すなわち、中心に近い巻き始めの部分から外側の巻き終わりの部分にかけて段階的に大きくする)ように設定されていてもよい。この場合、素材の無駄をより効果的になくすことが可能である。
さらに、上記実施形態の変形例(C)と同様に、ラップ24b、26bは、巻き始めと巻き終りとの間のうちの所定の角度範囲(すなわち、巻き終わりの部分に近い所定の範囲)において、抜き勾配を他の角度範囲における抜き勾配よりも大きくなるように設定されていてもよい。この場合、素材の無駄をより効果的になくすことが可能である。
さらに、上記実施形態の変形例(D)と同様に、少なくともラップ24b、26bが樹脂でコーティングされていてもよい。この場合も、ガス冷媒の漏れ低減および騒音低減が可能である。
本発明は、材料を金型に注入して成形される圧縮機のスクロール部材およびその金型に適用することが可能である。さらに、スクロール部材を備えたスクロール式圧縮機にも本発明を利用することが可能である。
本発明のスクロール部材の実施形態に係わる固定スクロール部材および可動スクロール部材から製造された固定スクロールおよび可動スクロールを備えた圧縮機の縦断面図。 図1の固定スクロールの素材である固定スクロール部材を下から見た図。 図1の固定スクロールの素材である固定スクロール部材の断面図。 図1のアウタードライブの可動スクロールの素材である可動スクロール部材を上から見た図。 図1の可動スクロールの素材である可動スクロール部材の断面図。 図5の可動スクロール部材を製造するための金型およびチクソキャスティングにより成型された可動スクロール部材の断面図。 図6のラップ成形部分の拡大図。 図5の可動スクロール部材の巻き角αと抜き勾配θとの関係を示すグラフ。 本発明の実施形態の変形例に係わる可動スクロール部材の巻き角αと抜き勾配θとの関係を示すグラフ。 本発明の実施形態の他の変形例に係わる可動スクロール部材の巻き角αと抜き勾配θとの関係を示すグラフ。 本発明の実施形態のさらに他の変形例に係わる可動スクロール部材の巻き角αと抜き勾配θとの関係を示すグラフ。 本発明の実施形態のさらに他の変形例に係わる可動スクロール部材を樹脂コーティングすることにより製造された可動スクロールの断面図。 本発明の実施形態のさらに他の変形例に係わる固定スクロール部材の断面図。 本発明の実施形態のさらに他の変形例に係わる可動スクロール部材の断面図。
符号の説明
1 圧縮機
17 駆動軸
24 固定スクロール部材
24a 鏡板
24b ラップ
26 可動スクロール部材
26a 鏡板
26b ラップ
41 吐出穴
80 金型
82a ラップ成形部分
124 固定スクロール
126 可動スクロール

Claims (8)

  1. 材料を成形型に注入して成形される圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)であって、
    平板状の鏡板(24a、26a)と、
    前記鏡板(24a、26a)に形成された渦巻き形状を有するラップ(24b、26b)であって、前記ラップにおける前記成形型に対する抜き勾配が前記ラップ(24b、26b)の巻き角に応じて変化しているラップ(24b、26b)と
    を備えている圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)。
  2. 材料を成形型に注入して成形される圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)であって、
    平板状の鏡板(24a、26a)と、
    前記鏡板(24a、26a)に形成され、中心に近い巻き始めの部分における前記成形型に対する抜き勾配が外側の巻き終わりの部分の抜き勾配よりも大きい渦巻き形状を有するラップ(24b、26b)と
    を備えている請求項1に記載の圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)。
  3. 材料を成形型に注入して成形される圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)であって、
    平板状の鏡板(24a、26a)と、
    前記鏡板(24a、26a)に形成され、外側の巻き終わりの部分における前記成形型に対する抜き勾配が中心に近い巻き始めの部分の抜き勾配よりも大きい渦巻き形状を有するラップ(24b、26b)と
    を備えている請求項1に記載の圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)。
  4. 前記ラップ(24b、26b)は、巻き始めから巻き終りにかけて前記抜き勾配が連続的に徐々に変化するように設定されている、
    請求項2または3に記載の圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)。
  5. 前記ラップ(24b、26b)は、巻き始めから巻き終りにかけて前記抜き勾配が段階的に変化するように設定されている、
    請求項2または3に記載の圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)。
  6. 前記ラップ(24b、26b)は、巻き始めと巻き終りとの間のうちの所定の角度範囲において、前記抜き勾配を他の角度範囲における抜き勾配よりも大きくなるように設定されている、
    請求項2または3に記載の圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)。
  7. 少なくとも前記ラップ(24b、26b)が樹脂でコーティングされている、
    請求項2または3に記載の圧縮機(1)のスクロール部材(24、26)。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のスクロール部材(24、26)を備えている圧縮機(1)であって、
    冷媒にCO2を使用している圧縮機(1)。
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