JP2007263044A - 弁開閉制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】戻しバネを用いることなく、流体通路を開閉する弁体を高速に精度良く、制御することのできる弁開閉制御装置を提供する。
【解決手段】流体通路に回動自在に設けられて流体通路を遮断又は開放状態に調整する弁体10と、弁体10を回動させる電磁アクチュエータ1とを備えた弁開閉制御装置であって、以下を備える。電磁アクチュエータ1に駆動電流を供給する駆動手段2と、電磁アクチュエータ1の推定インダクタンスを求めると共に、電磁アクチュエータ1を流れる駆動電流と推定インダクタンスとに基づいて弁体10の推定回動角度を求める角度推定手段5と、流体通路が遮断又は開放状態に調整される時の弁体10の回動角度である目標回動角度と推定回動角度との偏差に基づいて、駆動電流の目標電流を定める目標電流設定手段4と、駆動電流と目標電流とに基づいて駆動手段2を制御する電流制御手段3とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体通路に回動自在に設けられてこの流体通路を遮断又は開放状態に調整する弁体と、この弁体を回動させる電磁アクチュエータとを備えた弁開閉制御装置に関する。
このような、弁体を回動させて流体通路を開閉駆動するアクチュエータとして、90度揺動型のロータリソレノイドアクチュエータ(以下、ロータリソレノイドと称す。)が知られている。弁開閉制御装置において、ロータリソレノイドは、例えば、流体通路の半開き状態である中立位置から、開方向あるいは閉方向に弁体を揺動させる。
下記に出典を示す特許文献1には、このようなロータリソレノイドを用いた弁開閉制御装置を、内燃機関の吸気制御装置に適用したものが開示されている。
この吸気制御装置は、吸気制御弁とロータリソレノイドとから構成されている。吸気制御弁は、バタフライ型の円形弁板を備えており、円形弁板は支軸によってよって回動自在に支持されている。支軸の一端はロータリソレノイドに連結されている。支軸の他端にはロータリソレノイドへの非通電時に円形弁板を中立位置に保持するスプリングが設けられている。更に、吸気制御弁には、円形弁板の開度を検出する開度センサが設けられている。
特許文献1の弁開閉制御装置は、スプリングに保存される運動エネルギーを利用して弁体の揺動動作を行うことができる(中立位置への戻しができる)。従って、この技術によれば、高速且つ少ない消費電力で弁体を作動させることができるというものである。
特開2003−161171号公報(第4〜19段落、図2、図5)
特許文献1に示された弁開閉制御装置の技術は、スプリングに保存される運動エネルギーをうまく利用し、消費電力も低減させた点で優れたものである。しかし、弁体を中立位置(初期位置)へ戻すためのスプリング(いわゆる戻しバネ)が対抗するために、開閉時のトルクが減少してしまう。ロータリソレノイドなどのアクチュエータから見れば、慣性モーメントが大きいことになり、応答速度を遅くする。
応答速度の観点からは戻しバネを用いない方が好ましい。しかし、戻しバネがあると、開き位置や閉じ位置近傍まで弁体が揺動(回動)するに従って、戻しバネの運動エネルギーが増加し、機械的なイナーシャを軽減することができる。戻しバネを用いない場合には、例えば機械的なストッパーなどに常に弁体が激しく激突することとなり、騒音の発生や耐久性の低下などの課題を有する。
そこで、揺動(回動)角度に対して、アクチュエータに供給する電流量を制御することが考えられる。つまり、機械的なストッパーを用いた場合であっても、ストッパーに当たる前に充分に減速すれば、騒音や耐久性の問題は軽減する。回動角度を得るためには、特許文献1のように開度センサを設ける方法もある。しかし、装置のコストの観点からは、別のセンサなどに依存することなく駆動電流などから推定することが好ましい。
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、戻しバネを用いることなく、流体通路を開閉する弁体を高速に精度良く制御することのできる弁開閉制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る弁開閉制御装置は、流体通路に回動自在に設けられて前記流体通路を遮断又は開放状態に調整する弁体と、前記弁体を回動させる電磁アクチュエータとを備えたものであって、以下のように構成される。
即ち、本発明に係る弁開閉制御装置は、前記電磁アクチュエータに駆動電流を供給する駆動手段と、前記電磁アクチュエータの推定インダクタンスを求めると共に、前記電磁アクチュエータを流れる前記駆動電流と前記推定インダクタンスとに基づいて前記弁体の推定回動角度を求める角度推定手段と、前記流体通路が遮断又は開放状態に調整される時の前記弁体の回動角度である目標回動角度と前記推定回動角度との偏差に基づいて前記駆動電流の目標電流を定める目標電流設定手段と、前記駆動電流と前記目標電流とに基づいて前記駆動手段を制御する電流制御手段と、を備えることを特徴とする。
電磁アクチュエータが備えるコイルのインダクタンスは、電磁アクチュエータの作動に伴って変化する。特に、電磁アクチュエータがロータリソレノイドのような回転型である場合には、電磁アクチュエータの回動に伴って変化する。また、当該インダクタンスは、コイルを流れる駆動電流とも相関関係がある。従って、本特徴構成のように、推定インダクタンスを求め、駆動電流と当該推定インダクタンスに基づけば、当該電磁アクチュエータによって回動される弁体の回動角度を推定することができる。
そして、弁体が流体通路を遮断又は解放状態に調整する場合の目標回動角度と、上記推定回動角度との偏差に基づいて駆動電流を定めて制御するので、精度良く弁体を制御することができる。この偏差は、遮断及び解放の両回動方向を区別して求められるので、何れか一方の回動方向への駆動が戻しバネによってなされることなく、双方向に高速な開閉制御を行うことができる。
また、本発明に係る弁開閉制御装置は、前記角度推定手段が、前記電磁アクチュエータの端子電圧を積分することにより、推定インダクタンスを求めることを特徴とする。
電磁アクチュエータのコイルの電圧は、コイルを流れる駆動電流の微分値とインダクタンスとの積である。従って、理論的には、駆動電流とコイルの電圧とからインダクタンスを算出し、推定することが可能である。しかし、一般的に駆動電流は駆動回路のスイッチングなどの影響でノイズが多い。従って、駆動電流の微分に先立って、高周波除去フィルタなどを通してノイズを除去する必要がある。
しかし、本特徴構成によれば、コイルの電圧である当該電磁アクチュエータの端子電圧を積分する。これにより、コイルの電圧の積分値は、駆動電流とインダクタンスとの積となるから、駆動電流の微分要素がなくなる。従って、駆動電流に重畳されるノイズの影響を抑制することができ、推定インダクタンスの値を安定して求めることができる。
また、本発明に係る弁開閉制御装置は、前記目標回動角度近傍で前記弁体の回動を停止させる回動位置制御手段を備え、前記駆動手段が、以下のように構成されることを特徴とする。
即ち、当該駆動手段は、並列にフライホイールダイオードを備えた2つのスイッチング手段が直列接続された2つの直列回路のそれぞれの接続点間に前記電磁アクチュエータが接続され、前記弁体を正逆両方向に回動可能なH型ブリッジ回路と、
前記回動位置制御手段による前記弁体の回動停止時に前記フライホイールダイオードを介して回生される回生電流を回収すると共に、停止した前記電磁アクチュエータの反転駆動時には前記スイッチング手段を介して回収した前記回生電流を前記駆動電流として供給する高圧電源手段と、を備える。
電磁アクチュエータを高速に動作させる場合には、電磁アクチュエータのインダクタンス及び抵抗を小さくし、駆動電流をできるだけ速く立ち上げることが望ましい。ある程度以上の駆動電流をコイルに流すと、磁気飽和領域に達するため、インダクタンスが低下する。このような駆動電流を、特に駆動の開始時に供給するためには、理想的には定電流源を必要とする。そして、現実的には、定電流源を擬制するために、高圧電圧源を用意する必要がある。
本特徴構成によれば、高圧電源手段を備えるので、磁気飽和により電磁アクチュエータのコイルのインダクタンスを低下させることができる。トルクは電流と強い相関関係があり、このような大電流を流すことにより、大きなトルクを得ることができる。
高圧電源手段は、回動位置制御手段により目標回動角度において弁体が回動を停止する際にフライホイールダイオードを介して回生される回生電流を利用して充電される。つまり、高圧電源手段は、効率良く電源電圧よりも昇圧され、定電流源を擬制する高圧電圧源となり得る。
尚、フライホイールダイオードは、H型ブリッジ回路が備えるものであるから、駆動手段の基本構成を利用して、非常に効率のよい高圧電源手段を形成することができる。また、回生電流を電源に戻すと、電圧変動などを生じて他の回路などへ影響を及ぼす場合がある。しかし、本特徴構成では高圧電源手段を充電し、昇圧するために回生電流を利用するため、このような影響も抑制することができる。
弁体の開閉速度が目標に対して遅くなる要因の一つとして、電流の応答が遅く、トルクの発生が遅いという点が挙げられる。これは、電源電圧が低い、コイル抵抗が大きい、コイルのインダクタンスが大きい、といったことに起因する。しかし、本特徴構成によれば、高圧電源手段により電源電圧よりも高圧の電源を有し、少なくともコイルのインダクタンスを低下させることにより、コイルのインピーダンスを低下させることができる。従って、電流の応答、及びトルクの発生を速くし、弁体の開閉速度を向上させることができる。
また、本発明に係る弁開閉制御装置は、前記回動位置制御手段が、前記弁体の回動を制限するストッパーであることを特徴とする。
高圧電源手段は、弁体が回動を停止する際にフライホイールダイオードを介して回生される回生電流を利用して充電される。ストッパーにより、弁体の回動が機械的に制限されているので、運動エネルギーはほぼ全量がコイルに蓄えられ、高圧電源手段へと提供される。従って、高圧電源手段は、効率良く電源電圧よりも高い電圧に昇圧され、定電流源を擬制する高圧電圧源となることができる。
なお、ストッパーにより回動が制限されている状態において、H型ブリッジ回路を介してPWM制御を行えば、昇圧チョッパを形成することができる。つまり、駆動手段の基本構成を利用して、非常に効率のよい高圧電源手段を形成することができる。
また、本発明に係る弁開閉制御装置は、高圧電源手段に充電された前記回生電流を前記スイッチング手段の前記直列回路を介して放電させる放電手段を備えることを特徴とする。
高圧電源手段の充電電圧が高くなりすぎた場合や、装置の電源をオフするような場合に、高圧電源手段が蓄えた電荷を放電させる必要が生じる。本特徴構成のように、スイッチング手段の上記直列回路を介して高圧電源手段を放電させると、放電抵抗やパワーツェナーダイオードなどの追加回路を設けることなく放電することができる。
例えば、スイッチング手段がトランジスタなどの能動素子である場合、通電時間とゲート電圧とを制御することによって、能動素子を仮想的な抵抗として用いることができる。例えば、PWM制御の最小パルスを用いて、高周波スイッチングを行い、スイッチングロスによってエネルギーを消費させることができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の弁開閉制御装置は、例えば図2に示すように自動車など内燃機関のエンジン40の吸気制御装置に適用される。図2において、符号20Aは本発明の流体通路に相当する吸気通路、30は排気通路、21は吸気弁である。本発明の弁体に相当する吸気制御弁10Aは、吸気通路20Aに回動自在に設けられて吸気通路20Aの断面積を調整する。吸気制御弁10Aは、吸気通路20において吸気弁21よりも上流側に備えられており、吸入空気の量を調節することができる。
弁10(弁体)と弁10を駆動するアクチュエータ1(電磁アクチュエータ)とは、例えば図3に示すように連結される。図3(a)は、弁10の回動軸10aに回転型アクチュエータ1A(例えば、ロータリソレノイド。)の回転軸を直接連結した例である。図3(b)は、リンク機構10bを介してリニア型アクチュエータ1B(例えば、リニアソレノイド。)を弁10の回動軸10aに連結した例である。つまり、リンク機構10bによってリニア型アクチュエータ1Bの直線運動を回転運動に変換して弁10を駆動している。
〔システム概要〕
以下、本発明の実施例を説明するが、アクチュエータ1として、ロータリソレノイドを用いた場合を例示する。従って、下記の実施例では、弁10とアクチュエータ1の回動角度が機械的誤差を除いて一致する。リニアソレノイドなどを用いる場合には運動方向の変換を要するので、アクチュエータ1の運動量と弁10の運動量(回動角度)とを関連付ける必要がある。この変換については当業者であれば公知の技術を用いて適宜実施することができるので、ここでは説明を省略する。
本発明の弁開閉制御装置は、図1に示すように、駆動手段2と、電流制御手段3と、目標電流設定手段4と、角度推定手段5とを用いて、アクチュエータ1を制御する。
駆動手段2は、アクチュエータ1に駆動電流を供給する。角度推定手段5は、アクチュエータ1の推定インダクタンスを求めると共に、アクチュエータ1を流れる駆動電流と当該推定インダクタンスとに基づいて弁10の推定回動角度を求める。目標電流設定手段4は、流体通路20が遮断又は開放状態に調整される時の弁10の回動角度である目標回動角度と推定回動角度との偏差に基づいて、駆動電流の目標となる目標電流を定める。電流制御手段3は、駆動電流と当該目標電流とに基づいて駆動手段2を制御する。
図4は、弁開閉制御装置の具体的な構成例を模式的に示す回路ブロック図である。ここでは、MPU(micro processing unit)6とH型ブリッジ回路(以下適宜「ブリッジ回路」と称す。)2Aとを用いて構成する例を示している。MPU6は、本発明の電流制御手段3、目標電流設定手段4、角度推定手段5に相当する。ブリッジ回路2Aは、本発明の駆動手段2に相当する。アクチュエータ1は、ブリッジ回路2Aに組み込まれて駆動電流を供給される。
ブリッジ回路2Aは、それぞれ並列にフライ(フリー)ホイールダイオード(fly (free) wheel diode)D1〜D4を備えた4つのスイッチング手段Q1〜Q4を主たる構成要素とする。以下、本例ではスイッチング手段Q1〜Q4としてパワートランジスタ(以下、単に「トランジスタ」と称す。)を用いて説明する。
図に示すように、ブリッジ回路2Aは以下のように構成される。ハイサイドスイッチとなる2つのトランジスタQ1、Q3と、ローサイドスイッチとなる2つのトランジスタQ2、Q4とが、それぞれ直列に接続される。即ち、トランジスタQ1とQ2との直列回路、トランジスタQ3とQ4との直列回路の2つの直列回路が形成される。これらの直列回路は、それぞれハイサイドは主電源手段Bの正極(電圧E1)側に接続され、ローサイドは負極(本例ではグラウンド)側に接続され、並列回路が形成される。それぞれの直列回路における2つのトランジスタの接続点との間にアクチュエータ1が接続される。つまり、トランジスタQ1とQ2との接続点と、トランジスタQ3とQ4との接続点との間に、アクチュエータ1が接続される。
ここで、アクチュエータ1を介して斜めに接続された2つのトランジスタがオンすることによって、アクチュエータ1に駆動電流が供給される。ハイサイドスイッチであるトランジスタQ1と、ローサイドスイッチであるトランジスタQ4がオンすることによって、アクチュエータ1に駆動電流が供給される。また、ハイサイドスイッチであるトランジスタQ3と、ローサイドスイッチであるトランジスタQ2とがオンすることによって、上記と逆方向の駆動電流が供給される。つまり、どのトランジスタをオンするかによって、駆動電流の方向が制御される。駆動電流の方向によってアクチュエータ1の回動方向が定まるので、ブリッジ回路2Aを介してアクチュエータ1の回動方向が制御される。
また、例えば、ハイサイドスイッチがオン状態に固定され、ローサイドスイッチがパルス幅変調(PWM)信号などによって間欠的にオン/オフされることによって、駆動電流の供給量が変化する。つまり、必要に応じて駆動電流の供給量が制御される。駆動電流の供給量とアクチュエータ1の回動トルクとは相関関係にあるので、駆動電流の供給量によってアクチュエータ1の回動トルクが制御される。
つまり、MPU6が、ブリッジ回路2AのトランジスタQ1〜Q4を制御することによって、駆動電流の方向、及び供給量を制御することができ、アクチュエータ1の回動方向、及び回動トルクを制御することができる。
また、アクチュエータ1の端子電圧(後述するコイル電圧V1)と、駆動電流(後述するコイル電流I1)を電圧変換した電圧値V2とが、MPU6に入力される。アクチュエータ1が内蔵するコイルのインピーダンスによる電圧降下分が端子電圧であり、以降、コイル電圧V1と称する。また、このコイルを流れる駆動電流(コイル電流I1)は、キルヒホッフの法則及びオームの法則によりシャント(shunt)抵抗R1の両端電圧で等価的に表すことができる。
MPU6は、これらコイル電圧V1、コイル電流I1に基づいて、コイルのインダクタンスや、弁10(アクチュエータ1)の回動角度を推定して、ブリッジ回路2Aを制御する。
以下、MPU6によってブリッジ回路2AのトランジスタQ1〜Q4を制御する手順の一例を図5のフローチャートを用いて説明する。
ここでは、弁10を、回動角度ゼロ度において流体通路20を遮断する状態(図11(a)参照)から、回動角度90度において開放する状態(図11(b)参照)へ回動させるような場合を例として説明する。
目標電流設定手段4に相当するMPU6は、目標となる回動角度(目標回動角度)と、現在の回動角度とから、アクチュエータ1を回動させるために必要な駆動電流を設定する(#1)。例えば、回動の開始時には、最大級の供給量で駆動電流を供給するべく、ブリッジ回路1Aを制御する。
次に、角度推定手段5に相当するMPU6は、コイル電流I1及びコイル電圧V1より、コイル(アクチュエータ1)のインダクタンスを推定する。そして、インダクタンスマップを参照して、推定回動角度を求める。角度推定手段5や、インダクタンスマップなどに関しての詳細は後述する。
次に、目標電流設定手段4に相当するMPU6は、目標角度(=90度)と、推定回動角度との角度偏差を算出する(#2)。尚、弁10及びアクチュエータ1の少なくとも何れか一方の回動角度を検出する角度センサなどの他の手段が別途備えられていた場合には、実際の回動角度(実角度)を得ることができる。この場合には、目標回動角度と実角度とによって、角度偏差を算出してもよい。
ここで、弁10を、回動角度ゼロ度(遮断:図11(a)参照)から回動角度90度(開放:図11(b)参照)へ回動させるようなアクチュエータ1の回動を正転とし、その逆を逆転とする。角度偏差がゼロよりも大きい場合は、正転方向への制御が必要と判定され、小さい場合には逆転方向への制御が必要と判定される(#3)。
次に、電流制御手段3であるMPU6は、設定されている駆動電流の目標電流と、実際の駆動電流(コイル電流I1)とを比較する(#4a)。MPU6は、コイル電流I1が目標電流を下回る場合には、トランジスタQ1をオン状態に制御すると共に、トランジスタQ4のPWM制御信号のデューティーを増加させる(#5a)。つまり、駆動電流を増加させる制御を行う。
MPU6は、コイル電流I1が目標電流を上回る場合には、トランジスタQ1をオン状態に制御すると共に、トランジスタQ4のPWM制御信号のデューティーを減少させる(#5b)。つまり、駆動電流を減少させる制御を行う。
弁10が目標回動角度に達した場合や、弁10が、回動角度90度(開放側)から回動角度ゼロ度(遮断側)に回動させられる場合には、角度偏差がゼロを下回る(#3)。この場合には、MPU6は、上記と同様に処理#4b、#5c、#5dを行い、トランジスタQ3とQ2とを制御する。
尚、本例ではブリッジ回路2Aのスイッチング手段Q1〜Q4にパワートランジスタを用いたが、勿論FET(field effect transistor)やIGBT(insulated gate bipolar transistor)、IPS/IPD(intelligent power switch/device)などを用いてもよい。
〔回動角度の推定〕
以上説明したように、駆動電流を制御する上で、推定回動角度を求めることが必要とされる。以下、本発明の角度推定手段5によって、弁10(アクチュエータ1)の推定回動角度を求める方法について説明する。
図6は、角度推定手段5の入出力を模式的に示すブロック図である。角度推定手段5は、コイル電流I1(シャント抵抗の電圧値V2)と、コイル電圧V1とを入力として、推定回動角度Aを算出する。また、算出された推定回動角度A自身も、フィードバックされて角度推定手段5の入力となり、新たな推定回動角度Aが算出される。
角度推定手段5は、回動角度の推定に先立ち、アクチュエータ1のコイルのインダクタンスを推定する。本例においてアクチュエータ1は回転型アクチュエータ(例えばロータリソレノイド)であるから、回動動作に伴ってコイルのインダクタンスが変化する。従って、まず、コイルのインダクタンスを推定する。
インダクタンスLは、電圧Eと次の式(1)で示す関係にある。
Figure 2007263044
式(1)の関係からインダクタンスLは、電圧Eを電流Iの微分値で除することによって求められる。
電圧Eは、図4に示す主電源の電圧値E1、スイッチング素子Q1〜Q4の飽和電圧VCE(sat)、アクチュエータ1の抵抗成分による電圧降下Riを用いて、下記に示す式(2)で表される。
E = E1 − 2×VCE(sat) − Ri ・・・(2)
そして、電流の微分値(di/dt)は、2つの基準点の時刻をt、tとし、これら基準点での電流値をI、Iとすれば、下記に示す式(3)で表される。
di/dt = (I−I)/(t−t) ・・・(3)
ここで、2つの基準点t、tは、例えばPWM制御の搬送波の立ち上がりや立ち下がりの時刻とすることができる。しかし、一般的に、駆動電流には多くの高周波ノイズ成分が重畳されている。従って、このような方法で、正確な微分値を算出することは実際には困難である。
ここで、式(1)の両辺を積分すると、式(4)となる。
Figure 2007263044
式(4)を、インダクタンスLについて解くと、下記に示す式(5)が得られる。
Figure 2007263044
式(5)には微分要素はない。従って、搬送波の立ち上がりや立ち下がりなどのタイミングを考慮することもなく、インダクタンスLを求めることができる。
ここで、電圧Eはコイル電圧V1であり、電流Iはコイル電流I1である。図7のフローチャートに示すように、角度推定手段5は、コイル電圧V1とコイル電流I1とを取得し(#51)、コイル電圧V1を積分する(#52)ことによって、インダクタンスLを計算する(#53)。
図8は、このようにして得られたインダクタンスLとコイル電流Iとの関係を回動角度ごとに示すグラフである。図8には、代表的に回動角度が10、40、60、80、120度の時の関係を示している。図8から明らかなように、インダクタンスLとコイル電流Iと回動角度とは、3次元的な広がりを有する。従って、インダクタンスLの推定には、図6に示したように回動角度(推定回動角度A)の入力も必要とする。
図9は、このようにして得られた推定インダクタンスと実際のインダクタンス(実インダクタンス)とを比較したものである。図9(a)は、時間の経過に伴って弁10の回動角度がゼロ度〜90度方向へと大きくなっていっていることを示している。尚、ここでは、弁10は90度を超えて約110度付近で、回動を制限されて停止している(回動の制限については後述する。)。
図9(b)は、回動角度の変化に伴って変化するインダクタンスを示している。推定インダクタンスと実インダクタンスとには誤差が見られるが、重要なポイントにおいては特徴をよく表している。つまり、目標回動角度である90度近傍(時刻t1)において大きくインダクタンスが変化すること、回動が停止した110度付近以降ではインダクタンスが一定値となること、は的確に再現できている。
従って、例えば推定インダクタンスを一次変換補正する(図7#54)ことなどによって、充分実用に耐えるものである。
一次変換補正は、一般的には高次での最小二乗法による近似後、次数を低減していく方法により行われる。以下、推定回動角度Aを推定角度θe 、実際の回動角度を実角度θr として、補足する。
本発明において、推定角度θe と実角度θr との関係は、推定インダクタンスと実インダクタンスとの関係と同様に図9(b)に示すようなものとなる。推定角度θe から実角度θr への変換は、一般的に下記式(6)で示す高次変換によって行われる(aは定数。)。
θr =a0 +a1 θe +a2 θe 2+a3 θe 3+・・・+an θe n ・・・(6)
式(6)のような高次変換式は、MPU6などのマイクロコンピュータへの実装を考慮して次数が下げられる(低次元化)。一般的には、三次元以上の近似は計算負荷の増大に繋がるため、適当な次元が用いられ、一次変換は、最も低次元での適合である。図9(b)に示すようなカーブに対するカーブフィッティングを精密に行う必要がある場合には、次数を増やすことが望ましい。
角度推定手段5がMPU6などによって実現される場合、コイル電流I1とインダクタンスLと回動角度との相関関係は、インダクタンスマップとして予め記憶されている。MPU6は、入力された変数(コイル電流I1)に基づいて推定インダクタンスを計算し、インダクタンスマップを参照して推定回動角度Aを求める(図7#55)。
図10は、インダクタンスマップから回動角度を推定する方法を示す説明図である。図10(a)に示すように、インダクタンスが単調増化や単調減少などを示す場合には、インダクタンスと推定回動角度A(θ0)との関係が1対1で定まる。しかし、図10(b)に示すように、最大値や最小値を挟んで増化と減少との双方向の変化を有する場合には、インダクタンスに対して複数の回動角度が対応する。
弁10(アクチュエータ1)の運動方向は、停止や反転する場合を除けば変化しない。また、停止や反転に際してもその前に減速していく期間を必ず経由する。従って、現在の回動方向に応じて、前回の回動角度に近い値を真値として採用するようにすればよい。
具体的には、図10(b)に示すように、インダクタンスマップを参照する際に、現在又は前回推定時の推定回動角度Aに応じて、区分分割を行う。そして、有効とされた区分の中から、推定インダクタンスに対応する推定回動角度Aを算出すればよい。図10(b)の例では、1つの推定インダクタンスに対して、θ1とθ2との2つの回動角度が対応する。しかし、有効範囲内にはθ1しか含まれていないので、θ1が選ばれる。
最大値や最小値が複数あるような場合には、この区分分割を増やすことによって、線形化すればよい。
角度推定手段5は選択された回動角度を推定回動角度Aとして、前回までに算出された推定回動角度Aを更新する(図7#56)。
〔回動位置制御手段〕
本発明の弁開閉制御装置は、弁10をアクチュエータ1によって回動させることによって、流体通路20の断面積を調整する。また、遮断状態と開放状態とを短時間で精度良く切り替えることを要求される。このために、目標回動角度の近傍で、弁10の回動を停止させる回動位置制御手段が備えられている。
上述したように推定回動角度Aを算出することは可能であるが、さらに精度を向上させるために、弁10及びアクチュエータ1の少なくとも何れか一方の回動角度を検出する角度センサなどの他の手段を別途備えてもよい。この場合には、実際の回動角度(実角度)に基づいてブリッジ回路2Aを介してアクチュエータ1に制動を掛けることができる。このような角度フィードバック制御によって回動位置を制御する場合には、上述したMPU6などが、回動位置制御手段に相当するものとなる。
また、より確実には、図11に示すように弁10の回動を制限するストッパー11を回動位置制御手段とすればよい。図11(a)は流体通路20が遮断された状態を示しており、弁10はストッパー11aによって回動を制限されている。図11(b)は流体通路20が開放された状態を示しており、弁10はストッパー11bによって回動を制限されている。
勿論、ストッパー11に弁10が勢いよく接触することは、騒音や耐久性の観点から好ましくない。従って、回動速度の減速や、反転制御による制動などが併用される。
尚、この減速などの制御に関しては、上述したようにブリッジ回路2Aの制御を介して完全に弁10を停止させる必要はない。ストッパー11を有する場合、最終的には、ストッパー11に弁10が当接することによって、回動が停止されればよい。
従って、目標電流設定手段4が回動角度に応じて目標電流の設定値を異ならせ、この目標電流とフィードバックされる駆動電流に基づいて電流制御手段3がブリッジ回路2Aを制御することによって、簡単に実現することができる。即ち、図5に基づいて説明したような制御の手順に従い、ストッパー11を設けることによって、騒音の抑制や耐久性を確保しつつ、精度良く目標回動角度近傍で弁10を停止させることができる。
弁10を目標回動角度近傍で停止させ、回動角度を一定に保つことによって、下記に詳述するような昇圧回路(高圧電源手段)を、駆動手段2に良好に形成することができる。
ここで、再び図9を参照する。図9(a)に示すように、時間の経過に伴って、回動角度は、ゼロ度から目標回動角度である90度に向かって大きくなり、90度を超えて約110度で固定されている。これは、図11に示すストッパー11aによって、弁10の回動が制限されたことを示している。そして、図9(b)に示すように、弁10の回動が制限された後、インダクタンスは一定値となる。アクチュエータ1が回動すると、それに伴ってインダクタンスも変化していたが、アクチュエータ1が停止すればインダクタンスも通常の集中定数として扱うことができるものとなる。
この現象と、アクチュエータ1を駆動するブリッジ回路2Aとを利用して昇圧回路を形成する。詳細は以下に説明する。
〔高圧電源手段〕
図12〜図15は、昇圧回路(高圧電源手段)2Bを備えた駆動手段2の簡易的な回路図であり、ブリッジ回路2Aの制御状態と電流の流れとを示している。詳細は後述するが、高圧電源手段2Bは、キャパシタC1及びC2を主たる構成要素としてブリッジ回路2Aと回路を共用して構成される。
図12には、回動時に駆動手段2を流れる電流の経路が示されている。図4に基づいて上述したように、トランジスタQ1及びトランジスタQ4がオン状態に制御されることによって、図中の矢印の向きに電流が流れる。ここで、トランジスタQ4はPWM制御されるので、PWM制御によるオン期間に図示の駆動電流が流れる。
図13には、回動停止時に駆動手段2を流れる回生電流の経路が示されている。図12の状態から、トランジスタQ1又はQ4をオフ状態に制御して駆動電流の供給を停止した後も、しばらくの間、アクチュエータ1には駆動電流と同じ方向の回生電流が流れる。つまり、誘導性負荷(コイル)であるアクチュエータ1の誘導起電力によりコイルに蓄えられたエネルギーが放出される。この回生電流は、トランジスタQ2及びトランジスタQ3に並列に接続されたフライホイールダイオードD2及びD3を介して、キャパシタC2に充電される。
尚、トランジスタQ4のオフ状態には、PWM制御によるオフ期間も含まれる。従って、トランジスタQ1をオン状態に制御し、トランジスタQ4をPWM制御することによって、駆動電流と回生電流とを切り替えることができる。
駆動電流は、アクチュエータ1にトルクを発生させ、このトルクによってアクチュエータ1と連結された弁10が回動しようとするが、ストッパー11によって回動が制限されている。従って、供給された駆動電流は運動エネルギーに変換されることなく、アクチュエータ1のコイルに蓄えられる。従って、コイルの抵抗成分などによる損失を除いて駆動電流のほぼ全てが回生電流としてキャパシタC2(回生コンデンサ)に蓄えられる。
上述したように、アクチュエータ1が停止すればインダクタンスも通常の集中定数として扱うことができる。そして、この状態でPWM制御を行うことによって、駆動手段2に、昇圧チョッパ方式の昇圧コンバータ(昇圧回路、高圧電源手段)を形成することができる。キャパシタC2の端子間電圧CE2(高圧電源電圧)は、主電源Bの電圧E1を超える高電圧となる。
ダイオードD5は、高電圧の電圧CE2が主電源Bに逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードである。主電源Bが自動車のバッテリーである場合、車両の種々の装置にも電源が供給されている。回生電流が流れ込むことによって、主電源Bの電圧が変動すると他の装置に影響を与える可能性が生じて好ましくない。しかし、ダイオードD5によって回生電流の逆流が抑制される。
図14には、図12とは逆方向の回動が停止した時に、駆動手段2を流れる回生電流の経路が示されている。この場合の回生電流は、トランジスタQ4及びトランジスタQ1に並列に接続されたフライホイールダイオードD4及びD1を介して、キャパシタC1(回生コンデンサ)を充電する。キャパシタC1の端子間電圧CE1もまた、主電源Bの電圧E1を超える高電圧となる。ダイオードD6は、ダイオイードD5と同様の目的で備えられており、高電圧の電圧CE1が主電源Bに逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードである。
図15は、図12と同じ方向への回動時に、キャパシタC1に蓄えられた回生電流が駆動手段2を流れる経路を回路図上に示す説明図である。このとき、ブリッジ回路2Aには、主としてキャパシタC1から駆動電流が供給される。コイルの抵抗成分などによる損失により、この駆動電流が不足する場合には、主電源Bから供給される電流によって補う。
この状態からトランジスタQ4がオフ状態(PWM制御のオフ期間を含む)に制御されると、図13に示したような回生電流が流れ、キャパシタC2が充電される。即ち、キャパシタC1とC2との間で、双方向にエネルギーが受け渡しされる。
キャパシタC1やC2を有して構成された昇圧回路2Bは、主電源Bの電圧E1の数倍に高めることができる。主電源Bが自動車のバッテリー(電圧12V)であり、トランジスタQ1〜Q4の耐圧などを考慮すると、キャパシタ端子間電圧CE1及びCE2は3〜4倍程度に昇圧された約36〜48Vとなる。
アクチュエータ1の駆動開始時には、この高電圧電源を供給源としてアクチュエータ1に駆動電流を供給することができる。つまり、定電流源に近い形で一気に大容量の駆動電流を供給することができる。これにより、アクチュエータ1のコイルは磁気飽和領域に入りインダクタンスが低下する。その結果、弁10(アクチュエータ1)を高速に回動させることができる。
尚、キャパシタC1、C2の容量については、アクチュエータ1のインダクタンスの大きさや、充放電時間によって定めればよい。キャパシタに蓄えられるエネルギーWは、電圧E、キャパシタンスCとの間で以下の関係にある。
Figure 2007263044
一方、インダクタ(コイル)に蓄えられるエネルギーWは、電流I、インダクタンスLとの間で以下の関係にある。
Figure 2007263044
原則的には、コイルに蓄えられるエネルギーWとほぼ同じ(W=W)となるようにキャパシタC1、C2の値を定めると効率がよい。実際には、トランジスタQ1〜Q4の耐圧、回生電流の切れ、蓄えたいエネルギー量など、要求に応じて適宜改変することが望ましい。
例えば、(W<W)として、インダクタンスに対してキャパシタの容量を小さくすると、電圧CE1及びCE2を早く昇圧させることができ、回生電流の切れもよい。ここで、(W−W)のエネルギー量が、コイルによる損失と等価になるようにすれば、充分な充電効果を有すると共に、速い昇圧や、回生電流の速い切れを実現することができる。
〔放電手段〕
また、駆動手段2は、電圧CE1及びCE2が高くなりすぎた場合や、装置の電源がオフされる場合に、キャパシタC1、C2に充電された電荷を放電させる放電手段を有する。つまり、ブリッジ回路2Aは放電手段としても機能する。
上述した高圧電源手段2Bは、昇圧コンバータとしてのPWM制御によって最大電圧を制御することが可能である。しかし、例えば、本装置が自動車に利用され、イグニッションスイッチがオフになった場合などには放電を必要とする。放電手段を下記に示すように形成することにより、追加回路を設けることなく駆動手段2を放電手段として利用することができる。
図16は、放電手段による放電時の経路を回路図上に示す説明図である。アクチュエータ1の同じ側に接続されたトランジスタ対、つまり、トランジスタQ1とQ2とからなる直列回路、Q3とQ4とからなる直列回路において、ハイサイドスイッチと、ローサイドスイッチとを導通させる。
このとき、単純に上記直列回路を導通させるのではなく、非常に小さいオン時間を有するパルスをトランジスタのゲートに与え、トランジスタの飽和領域ではなく能動領域(活性領域)を活用して放電させる。また、PWM制御の最小パルスを用いて、高周波スイッチングを行い、スイッチングロスによってエネルギーを消費させる。このようにトランジスタの通電時間とゲート電圧とを制御することによって、トランジスタを仮想的な抵抗として用い、放電抵抗やパワーツェナーダイオードなどの追加回路を設けることなく放電することができる。
〔シミュレーションによる検証〕
発明者らは、本発明に係る弁開閉制御装置の動作をコンピュータシミュレーションにより検証し、好適な結果を得た。図17は、本発明に係る弁開閉制御装置のシミュレーションモデルを模式的に示すブロック図である。
このシミュレーションモデルは、目標電流設定プロセス41、電流制御プロセス31、PWM発生器32、Hブリッジ21、アクチュエータモデル101、メカモデル111を有して構成されている。
目標電流設定プロセス41は、目標電流設定手段4に相当するもので、目標角度(目標回動角度)と回動角度とから目標電流を設定する。電流制御プロセス31は、電流制御手段3に相当するもので、目標電流とフィードバックされる駆動電流とに基づいて、駆動電流の供給量を制御する。PWM発生器32は、同様に電流制御手段3に相当するもので、電流制御プロセス31に出力に基づいて、Hブリッジ21を制御するPWM波形を生成する。Hブリッジ21は、駆動手段2及びブリッジ回路2A、昇圧回路2Bに相当するものである。
アクチュエータモデル101は、アクチュエータ1に相当するもので、アクチュエータ1の電気・磁気構造を模したものである。アクチュエータモデル101は、駆動電流や回動角度に基づいて上述した推定インダクタンスを算出し、上述したインダクタンスマップを参照してトルクを出力する。メカモデル111は、アクチュエータ1のロータや弁10、回動軸10a、ストッパー11などの構造及び運動を模したものである。メカモデル111は、アクチュエータモデル101から出力されたトルクに基づいて、弁10の回動角度を算出する。
図18は、図17のシミュレーションモデルを用いたコンピュータシミュレーションの結果を示すグラフである。図18(a)はアクチュエータ1のトルクを示すグラフ、(b)は弁10の回動角度を示すグラフ、(c)はアクチュエータ1の駆動電流を示すグラフである。
このシミュレーションは、図18(b)に示すように回動角度ゼロから、目標角度90度に向かって弁10を回動制御する場合を模したものである。図に示すように、弁10は、目標角度である90度を超えた回動角度まで回動し、ストッパー11によって回動を制限されたものとして約110度の位置で停止している。
回動制御を開始すると、駆動電流が立ち上がり、トルクも駆動電流に応じて大きくなる。トルクは、時刻t2で最大となり、以降電気的な制動を行って減速に転じる。しかし、駆動電流が反転するには時間を要し、弁10が目標角度である90度に達した時刻t3に反転している。
図18に示したシミュレーション結果より、ブリッジ回路21をPWM制御することによって、ストッパー11への衝突力を軽減する電気的制動を可能とし、無駄なトルクを発生させることなく、弁10を制御することができることがわかる。また、駆動電流を反転制御しても直ちに駆動電流を切ることができないこともよくわかる。従って、駆動電流の切れを良くすること、及び駆動電流を積極活用するために、高圧電源手段としての昇圧回路2Bを備えることが有用であることがわかる。
以上、説明したように、本発明によって、戻しバネを用いることなく、流体通路を開閉する弁体を高速に精度良く、制御することのできる弁開閉制御装置を提供することができる。
〔適用例〕
本発明の弁開閉制御装置は、例えば自動車エンジンに吸入空気を導入する吸気通路の断面積を吸気制御弁によって調整する用途に利用することができる。近年二酸化炭素の削減、燃料消費の削減などの観点から、エンジンの燃焼効率の向上が望まれている。本発明の弁開閉制御装置を用いて、吸入空気を燃焼タイミングに応じて適切に制御すると、燃焼効率を向上させることができる。
例えば、従来の自動車エンジン向けの弁開閉制御装置では、弁の開閉速度は、数百ms程度であったが、近年、数ms程度への高速化が求められている。これに伴い、アクチュエータのコイルのインダクタンスも従来の数百mHから、数mHに低減させる必要がある。戻しバネを備える従来型の弁開閉制御装置では、種々の工夫を凝らしたとしても、50ms〜100ms程度までの高速化しか見込めない。しかし、上述したように、戻しバネを用いず、ブリッジ回路を用いて大電流を供給し、部分的にアクチュエータのコイルに磁気飽和を生じさせると、インダクタンスを小さくすることができる。その結果、高速応答が可能な弁開閉制御装置を提供することができる。
また、高速応答によって機械的なイナーシャや、ストッパーとの衝突による騒音の発生、耐久性の低下などが懸念される。しかし、推定インダクタンスを算出することによって、簡単な構成で、回動角度を推定し、良好な制御を可能としている。
本発明の弁開閉制御装置の構成を模式的に示すブロック図 弁開閉制御装置を自動車エンジンへの吸気に適用した例を示す断面図 弁と弁を駆動するアクチュエータとの例を模式的に示す断面図 弁開閉制御装置の構成例を模式的に示す回路ブロック図 弁開閉制御装置による制御例を示すフローチャート 角度推定手段の入出力を模式的に示すブロック図 角度推定手段によりインダクタンス及び回動角度を求める手順を示すフローチャート コイル電流とインダクタンスとの関係を回動角度ごとに示すグラフ 推定インダクタンスと実インダクタンスとを比較するグラフ インダクタンスマップから回動角度を推定する方法を示す説明図 ストッパーの構成例を模式的に示す断面図 回動時に駆動手段を流れる電流の経路を回路図上に示す説明図 回動停止時に駆動手段を流れる回生電流の経路を回路図上に示す説明図 図12と逆方向の回動停止時に駆動手段を流れる回生電流の経路を回路図上に示す説明図 蓄えられた回生電流が回動時に駆動手段を流れる経路を回路図上に示す説明図 放電手段による放電時の経路を回路図上に示す説明図 弁開閉制御装置のシミュレーションモデルを模式的に示すブロック図 図17のモデルを用いてシミュレーションした結果を示すグラフ
符号の説明
1:アクチュエータ(電磁アクチュエータ)
2:駆動手段
2A:ブリッジ回路(H型ブリッジ回路)
2B:昇圧チョッパ(高圧電源手段)
3:電流制御手段
4:目標電流設定手段
5:角度推定手段
6:MPU(電流制御手段、目標電流設定手段、角度推定手段)
10:弁(弁体)
11、11a、11b:ストッパー(回動位置制御手段)
20:吸気通路(流体通路)
C1、C2:キャパシタ
CE1、CE2:蓄電電圧(高圧電源電圧)
D1〜D4:フライホイールダイオード
Q1〜Q4:トランジスタ(スイッチング手段)

Claims (5)

  1. 流体通路に回動自在に設けられて前記流体通路を遮断又は開放状態に調整する弁体と、前記弁体を回動させる電磁アクチュエータとを備えた弁開閉制御装置であって、
    前記電磁アクチュエータに駆動電流を供給する駆動手段と、
    前記電磁アクチュエータの推定インダクタンスを求めると共に、前記電磁アクチュエータを流れる前記駆動電流と前記推定インダクタンスとに基づいて前記弁体の推定回動角度を求める角度推定手段と、
    前記流体通路が遮断又は開放状態に調整される時の前記弁体の回動角度である目標回動角度と前記推定回動角度との偏差に基づいて、前記駆動電流の目標電流を定める目標電流設定手段と、
    前記駆動電流と前記目標電流とに基づいて前記駆動手段を制御する電流制御手段と、を備える弁開閉制御装置。
  2. 前記角度推定手段は、前記電磁アクチュエータの端子電圧を積分することにより、推定インダクタンスを求める請求項1に記載の弁開閉制御装置。
  3. 前記目標回動角度近傍で前記弁体の回動を停止させる回動位置制御手段を備え、
    前記駆動手段は、
    並列にフライホイールダイオードを備えた2つのスイッチング手段が直列接続された2つの直列回路のそれぞれの接続点間に前記電磁アクチュエータが接続され、前記弁体を正逆両方向に回動可能なH型ブリッジ回路と、
    前記回動位置制御手段による前記弁体の回動停止時に前記フライホイールダイオードを介して回生される回生電流を回収すると共に、停止した前記電磁アクチュエータの反転駆動時には前記スイッチング手段を介して回収した前記回生電流を前記駆動電流として供給する高圧電源手段と、を備える請求項1又は2に記載の弁開閉制御装置。
  4. 前記回動位置制御手段は、前記弁体の回動を制限するストッパーである請求項3に記載の弁開閉制御装置。
  5. 前記駆動手段は、高圧電源手段に充電された前記回生電流を前記スイッチング手段の前記直列回路を介して放電させる放電手段を備える請求項3又は4に記載の弁開閉制御装置。
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