JP2007262318A - 粘着フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粘着フィルムとして、基材1と、原料モノマーとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基含有ビニルモノマー、ポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレートリン酸エステルおよび共重合性ビニルモノマーを含有する水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層3と、これらの間に介在され、水溶性または水分散性導電材料を含む帯電防止層2とを備え、これを画像表示装置に貼着する。
【選択図】図1
Description
これら画像表示装置に貼着される光学フィルムとして、光学フィルムに粘着剤を積層した粘着型光学フィルムが知られている。
このような水分散型粘着剤として、例えば、共重合体エマルジョンを含む感圧接着剤組成物であって、共重合体が、共重合体全体に対して10〜50重量%のメタクリル酸2−エチルヘキシルが共重合されており、かつ、共重合体のガラス転移温度が−25℃以下である感圧性接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
そのため、上記した剥離帯電を防止することのできる、粘着型光学フィルムを含む粘着フィルムとして、例えば、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の主面に形成され、酸化錫系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系などの導電性フィラーおよび有機系バインダーからなる帯電防止層と、前記帯電防止層の表面に形成された粘着剤層とを有する帯電防止粘着シートが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、粘着フィルムに積層される水分散型粘着剤には、苛酷な加熱や加湿などによっても密着性などが低下しない高い耐加熱性や耐湿熱性が要求される。
本発明の目的は、ガラス基板との接着性が高く、高い耐加熱性や耐湿熱性を有し、かつ、粘着フィルムの帯電を防止して、表面保護フィルムを剥離する時の剥離帯電を有効に防止することができるとともに、基材と粘着剤層との密着力の向上を図ることのできる帯電防止層を備えた粘着フィルム、および、その粘着フィルムを用いた画像表示装置を提供することにある。
また、本発明の粘着フィルムでは、前記粘着剤組成物が、さらに、前記共重合性ビニルモノマーとして、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーを含有し、その配合割合が、原料モノマーの総量100重量部に対して、0.001〜1重量部であることが好適である。
また、本発明の粘着フィルムでは、前記水溶性または水分散性導電材料が、導電ポリマーであることが好適である。
また、本発明の粘着フィルムでは、前記導電ポリマーが、ポリアニリンおよび/またはポリチオフェンであることが好適である。
また、本発明の粘着フィルムでは、前記有機金属化合物が、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物および有機アルミニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好適である。
また、本発明の粘着フィルムでは、前記帯電防止層が、さらに、オキサゾリン基含有ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物を含んでいることが好適である。
また、本発明の粘着フィルムでは、前記基材が、光学フィルムであることが好適である。
また、本発明の画像表示装置は、上記した粘着フィルムを少なくとも1枚用いていることを特徴としている。
また、本発明の粘着フィルムでは、帯電防止層が水溶性または水分散性導電材料を含んでいるので、帯電しにくく、しかも、基材と粘着剤層との密着力を高めることができる。そのため、本発明の粘着フィルムは、表面保護フィルムを剥離する時の剥離帯電を有効に防止でき、かつ、基材と粘着剤層との密着力の高い粘着フィルムとして、各種産業分野に用いることができる。
本発明の粘着フィルムでは、粘着剤層は、粘着剤組成物からなり、この粘着剤組成物は、水分散型粘着剤組成物であって、原料モノマーとして、アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基含有ビニルモノマー、下記一般式(1)で表されるリン酸基含有ビニルモノマーおよび任意的に上記したモノマーと共重合可能な共重合性ビニルモノマーを含有し、原料モノマーの配合割合は、原料モノマーの総量100重量部に対して、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが60〜99重量部であり、カルボキシル基含有ビニルモノマー、リン酸基含有ビニルモノマーおよび共重合性ビニルモノマーの総量が1〜40重量部であり、原料モノマー中、カルボキシル基濃度が0.05〜1.50ミリモル/gであり、かつ、リン酸基濃度が0.01〜0.45ミリモル/gである。
アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステルであって、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数4〜18の直鎖または分岐アルキル)エステルなどが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、適宜、単独または併用して用いられる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、分子内にカルボキシル基を有するビニルモノマーであればよく、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸、例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸などの不飽和ジカルボン酸モノエステル、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、2−メタクリロイルオキシエチルピロメリット酸などの不飽和トリカルボン酸モノエステル、例えば、β−カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレートなどのカルボキシアルキルアクリレートなどが挙げられる。
これらカルボキシル基含有ビニルモノマーは、適宜、単独または併用して用いられる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーのカルボキシル基濃度は、原料モノマー中、例えば、0.05〜1.50ミリモル/g、好ましくは、0.20〜0.90ミリモル/gである。カルボキシル基含有ビニルモノマーのカルボキシル基濃度を、上記した範囲にするには、カルボキシル基含有ビニルモノマーの分子量にもよるが、カルボキシル基含有ビニルモノマーの配合割合を、原料モノマーの総量100重量部に対して、例えば、0.4〜41重量部、好ましくは、1.4〜25重量部に設定する。上記した範囲より少ないと、水分散型粘着剤組成物の凝集力が低下し、上記した範囲より多いと、乳化重合時の安定性および水分散型粘着剤組成物の耐水性が低下する。
カルボキシル基濃度[ミリモル/g]=1000×{(カルボキシル基含有ビニルモノマーの配合重量[g])/(カルボキシル基含有ビニルモノマーの分子量[g/モル])}/(原料モノマー総重量[g])
なお、上記式中、原料モノマー総重量は、水や、後述する開始剤、乳化剤、連鎖移動剤、架橋剤、粘度調整剤などの添加剤を含まない重量である。
R2で示されるポリオキシアルキレン基としては、下記一般式(2)で表され、
例えば、ポリオキシエチレン基(一般式(2)中、n=2に相当。)、ポリオキシプロピレン基(一般式(2)中、n=3に相当。)およびこれらのランダム、ブロックまたはグラフトユニットなどが挙げられ、これらオキシアルキレン基の重合度、すわわち、一般式(2)中、mは、好ましくは、4以上、通常40以下が挙げられる。
また、Xで示されるリン酸基またはその塩は、下記一般式(3)で表され、
カチオンとしては、特に制限されず、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、例えば、4級アミン類などの有機カチオンなどが挙げられる。
リン酸基含有ビニルモノマーのリン酸基濃度は、原料モノマー中、例えば、0.01〜0.45ミリモル/g、好ましくは、0.02〜0.20ミリモル/gである。リン酸基含有ビニルモノマーのリン酸基濃度を、上記した範囲にするには、リン酸基含有ビニルモノマーの分子量にもよるが、リン酸基含有ビニルモノマーの配合割合を、原料モノマーの総量100重量部に対して、例えば、0.4〜22重量部、好ましくは、0.8〜10重量部に設定する。上記した範囲より少ないと、ガラス基板への接着力向上の効果が十分得られず、上記した範囲より多いと、乳化重合時の安定性が低下したり、水分散型粘着剤組成物の弾性率が高くなることにより接着性が低下する場合がある。
リン酸基濃度[ミリモル/g]=1000×{(リン酸基含有ビニルモノマーの配合重量[g])/(リン酸基含有ビニルモノマーの分子量[g/モル])}/(原料モノマー総重量[g])
なお、上記式中、原料モノマー総重量は、水や、開始剤、乳化剤、連鎖移動剤、架橋剤、粘度調整剤などの添加剤を含まない重量である。
そのような官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルボン酸アミドなどのアミド基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有不飽和モノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有不飽和モノマー、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有不飽和モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和モノマー、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマーなどが挙げられる。
多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。また、多官能性モノマーとして、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども挙げられる。
シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
これら共重合性ビニルモノマーのうち、好ましくは、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとしてアルコキシシリル基含有ビニルモノマーを用いることにより、ポリマー鎖にアルコキシシリル基が導入され、それ同士の反応により架橋構造を形成することができる。特に水分散型粘着剤組成物では、後述する架橋剤では不均一な架橋構造となるため、端末剥がれが起こり易くなる。しかし、アルコキシシリル基含有モノマーを用いると、均一な架橋構造を形成することができるため、ガラス基板への接着固定性を向上させることができる。また、アルコキシシリル基がガラス基板と相互作用して、ガラス基板との接着性を高めることができる。
そして、水分散型粘着剤組成物を調製するには、上記した原料モノマーを、例えば、乳化重合などの重合方法により、共重合する。
これら重合開始剤のうち、アゾ系開始剤が好適に用いられる。
重合開始剤の配合割合は、適宜選択されるが、原料モノマーの総量100重量部に対して、例えば、0.005〜1重量部である。
なお、上記した原料モノマーに、重合開始剤を配合する前、または配合しながら、窒素置換によって、モノマー溶液中の溶存酸素濃度を低減してもよい。
これら乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、乳化剤の配合割合は、原料モノマーの総量100重量部に対して、例えば、0.2〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。
これら連鎖移動剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、連鎖移動剤の配合割合は、原料モノマーの総量100重量部に対して、例えば、0.001〜0.5重量部である。
なお、水分散型粘着剤組成物は、例えば、上記した原料モノマーを、乳化重合以外の有機溶剤を使用しない方法によって重合した後に、上記した乳化剤により、水に分散させるようにして調製することもできる。
さらに、水分散型粘着剤組成物には、粘度調整剤、必要に応じて、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料など)、老化防止剤、界面活性剤など、水分散型粘着剤組成物に通常添加される添加剤を、適宜、添加してもよい。これら添加剤の配合割合は、特に制限されず、適宜、選択することができる。
このように調製された水分散型粘着剤組成物(固形分)のゲル分率は、例えば、50〜100重量%、好ましくは、70〜100重量%である。ゲル分率が上記した値より低いと、この水分散型粘着剤組成物を、基材が光学フィルムである粘着フィルム(すなわち、粘着型光学フィルム)に適用して、高温高湿の雰囲気下で使用したときに、発泡や剥がれが生じる場合がある。
ゲル分率(重量%)=(浸漬後のテフロンシートに付着する水分散型粘着剤組成物の重量/浸漬前の水分散型粘着剤組成物の重量)×100
本発明の粘着フィルムでは、帯電防止層は、水溶性または水分散性導電材料を含んでいる。
水分散性導電材料は、水中に分散することのできる微粒子状の導電材料であれば特に限定されず、その微粒子の平均粒子径(サイズ)が、帯電防止層の均一性の観点から、例えば、1μm以下である。なお、水分散性導電材料は、その水分散液(後述する塗布液に相当する。)の液粘度が小さく、帯電防止層を形成するための塗工(薄膜塗工)が容易であり、その上さらに、帯電防止層における水分散性導電材料の均一性に優れている。
導電ポリマーとしては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリキノキサリンなどが挙げられる。これらのうち、塗工性の観点から、好ましくは、ポリアニリンまたはポリチオフェンが挙げられる。
上記したポリアニリンまたはポリチオフェンの重量平均分子量が、上記した値を超える場合には、ポリアニリンまたはポリチオフェンは上記した水溶性および水分散性のいずれの性質も示さなくなり、かつ、このようなポリアニリンまたはポリチオフェンを含む塗布液を調製した場合には、塗布液中においてポリアニリンまたはポリチオフェンは、その固形分が一部残存し、または、その一部が高粘度化して、膜厚の均一な帯電防止層を形成することが困難になる傾向がある。
親水性官能基としては、例えば、スルホ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、4級アンモニウム塩基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、硫酸エステル基(−O−SO3H)、リン酸エステル基(−O−PO(OH)2)、または、これらの塩(4級アンモニウム塩基を除く)などが挙げられる。このような親水性官能基を分子内に有することにより、水に溶解しやすく、または、分散しやすくなり、ポリアニリンまたはポリチオフェンの塗布液を容易に調製することができる。
さらに、導電ポリマーには、例えば、ドーピング剤、架橋剤、ラジカル開始剤、架橋反応型化合物を添加することができる。
ドーピング剤は、ドーパントとして機能して、導電ポリマーに導電性をより確実に付与(ドーピング)するものであって、例えば、スルホン酸系化合物が挙げられる。
ドーピング剤の配合割合は、導電ポリマー100重量部に対して、例えば、100〜300重量部、好ましくは、150〜250重量部である。ドーピング剤の配合割合が100重量部より少ない場合には、導電ポリマーとスルホン酸系化合物との反応によって生成するスルホン酸塩の量が少なくなるため、十分な帯電防止機能が得られない場合がある。一方、ドーピング剤の配合割合が300重量部より多い場合には、上記した配合割合よりドーピング剤を多くすることによる帯電防止機能の向上を図れない傾向にある。
このような架橋剤を添加することにより、導電ポリマーが架橋されて硬化するので、耐水性や耐久性に優れる帯電防止層を形成することができる。
ラジカル開始剤は、熱、光(例えば、紫外線(UV:ultraviolet rays)、電子線(EB:electron beam)など)照射によりラジカルを発生する化合物であって、例えば、上記した乳化重合に用いられる重合開始剤と同様のものが挙げられる。好ましくは、過酸化物系開始剤(ベンゾイルパーオキサイドなど)、硫酸塩系開始剤(過硫酸カリウムなど)、アゾ系開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなど)が挙げられる。これらラジカル開始剤は、適宜、単独または併用して用いられる。
ラジカル開始剤の配合割合は、導電ポリマー100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは、0.02〜3重量部、さらに好ましくは、0.05〜1重量部である。
2液反応型のエポキシ樹脂は、主剤と硬化剤とからなり、これら両方を配合することにより、不可逆型で架橋反応して、3次元のポリマー網目構造が形成されるものである。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとを付加反応させた初期プレポリマー(メチロールメラミンおよびジメチロールメラミン)を、脱水縮合反応させることにより得られる。メラミン樹脂の初期プレポリマーは、フェノール類やベンゾグアナミンなどで変性されていてもよい。
これら架橋反応型化合物は、適宜、単独または併用して用いられる。
このような架橋反応型化合物を添加することにより、3次元網目構造を形成して硬化するので、光学特性や帯電防止効果を損なうことなく、耐水性や耐久性に優れる帯電防止層を形成することができる。
有機金属化合物としては、ポリマー架橋剤として用いられる、金属アルコキシド、金属キレート、有機金属塩、有機金属酸化物などであって、金属の種類により、例えば、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物などが挙げられる。
有機チタン化合物としては、例えば、チタンアルコキシド、チタンキレート、チタンアシレートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート、アルミニウムアシレートなどが挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化スズ系、酸化アンチモン系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系などが挙げられ、好ましくは、酸化スズ系が挙げられる。
酸化スズ系としては、例えば、酸化スズ、また、酸化スズの他に、例えば、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化スズ、タングステンドープ酸化スズ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズの複合体、酸化チタン−酸化スズの複合体などが挙げられる。
これら金属酸化物は、適宜、単独または併用して用いられる。
カーボンナノ材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノウォール、フラーレンなどが挙げられ、好ましくは、カーボンナノチューブが挙げられる。
これらカーボンナノ材料は、適宜、単独または併用して用いられる。
これら水溶性または水分散性導電材料のうち、好ましくは、導電ポリマー、有機金属化合物が挙げられる。
オキサゾリン基含有ポリマーは、例えば、アクリル骨格またはスチレン骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有しているものであって、好ましくは、アクリル骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有しているオキサゾリン基含有アクリル系ポリマーが挙げられる。
2−オキサゾリン基としては、一般に、下記一般式(4)で表される。
オキサゾリン基含有ポリマーは、その数平均分子量が、例えば、5000以上、好ましくは、10000以上であり、通常、1000000以下が好ましい。数平均分子量が5000より低いと、帯電防止層の強度が不足して凝集破壊を起こし、投錨力を向上できない場合がある。数平均分子量が1000000より高いと、作業性に劣る場合がある。また、オキサゾリン基含有ポリマーは、そのオキサゾリン価が、例えば、1500g solid/eq.以下、好ましくは、1200g solid/eq.以下である。オキサゾリン価が1500g solid/eq.より大きいと、分子中に含まれるオキサゾリン基の量が少なくなり、投錨力を向上できない場合がある。
オキサゾリン基含有ポリマーは、通常、一般の市販品が用いられ、具体的には、エポクロスWS−500(水溶液タイプ、固形分40%、主鎖:アクリル系、pH7〜9、オキサゾリン価220g solid/eq.、(株)日本触媒製)、エポクロスWS−700(水溶液タイプ、固形分25%、主鎖:アクリル系、pH7〜9、オキサゾリン価220g solid/eq.、(株)日本触媒製)などのオキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、例えば、エポクロスK−1000シリーズ(エマルションタイプ、固形分40%、主鎖:スチレン/アクリル系、オキサゾリン価1100g solid/eq.、pH7〜9、(株)日本触媒製)、エポクロスK−2000シリーズ(エマルションタイプ、固形分40%、主鎖:スチレン/アクリル系、pH7〜9、オキサゾリン価550g solid/eq.、(株)日本触媒製)などのオキサゾリン基含有アクリル/スチレン系ポリマーなどが挙げられる。密着力を向上する観点からは、乳化剤を含むエマルションタイプよりも、水溶液タイプが好ましい。
一般に、画像表示装置に、光学フィルムなどの基材を貼着する場合には、光学フィルムを画像表示装置に貼着した後、必要により位置調整のために一旦剥離して、再貼着(リワーク)するところ、このような粘着剤では、剥離時に、画像表示装置の表面に粘着剤が残ってしまい(以下、「粘着剤残り」という。)、リワーク性が十分でないという不具合がある。
また、複数のカルボキシル基を含有する化合物としては、高分子化合物であって、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和化合物の重合体(ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸など)、例えば、これら不飽和化合物の共重合体、具体的には、アクリル酸およびメタクリル酸の共重合体、アクリル酸およびマレイン酸の共重合体、メタクリル酸およびマレイン酸の共重合体、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸の共重合体などが挙げられる。好ましくは、アクリル酸およびマレイン酸の共重合体が挙げられる。
また、複数のカルボキシル基を含有する化合物が有するカルボキシル基は、その全部または一部が、カチオンと塩を形成していてもよい。
複数のカルボキシル基を含有する化合物は、通常、一般の市販品が用いられ、具体的には、ポイズ532A(アクリル酸/マレイン酸共重合体アンモニウム塩、数平均分子量約10000、花王(株)製)などが挙げられる。
一般に、帯電防止層として、水溶性の材料を用いた場合において、帯電防止層の厚みが厚くなると、高湿の雰囲気下で使用したときに、帯電防止層の強度が低下して、層間破壊する場合がある。しかし、このように帯電防止層が、オキサゾリン基含有ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物を含んでいれば、オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基と、複数のカルボキシル基を含有する化合物のカルボキシル基とが反応することにより、帯電防止層が架橋されて、より強固な帯電防止層となることで、耐加熱性や耐湿熱性が高くなり、密着力が高くなると推測される。
ポリアミン系ポリマーは、その数平均分子量が、例えば、200以上、好ましくは、1000以上、さらに好ましくは、8000以上であり、通常1000000以下である。数平均分子量が200より小さいと、帯電防止層の強度が不足して、凝集破壊を起こし、投錨力を向上できない場合がある。数平均分子量が1000000より大きいと、作業性に劣る場合がある。また、ポリアミン系ポリマーは、そのアミン水素当量が、例えば、1500g solid/eq.以下、好ましくは、1200g solid/eq.以下である。アミン水素当量が1500g solid/eq.より大きいと、分子中に含まれるアミノ基の量が少なくなり、投錨力を向上できない場合がある。
帯電防止層は、上記した水溶性または水分散性導電材料、オキサゾリン基含有ポリマー、オキサゾリン基含有ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物、または、ポリアミン系ポリマーなどの成分の他に、さらに、バインダーを含んでいてもよい。
上記した各成分(水溶性または水分散性導電材料、オキサゾリン基含有ポリマー、オキサゾリン基含有ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物、ポリアミン系ポリマー、バインダー)は、溶媒に、溶解または分散されており、各成分の溶液または分散液として調製されている。
このような塗布液において、水の他に、さらに、水系溶媒としてアルコール類を含有させることができる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−エチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
上記した塗布液は、後述する塗布および乾燥により、帯電防止層が形成される。
このように形成された帯電防止層において、水溶性または水分散性導電材料の配合割合は、上記した各成分の総量100重量部に対して、例えば、10〜100重量部、好ましくは、20〜90重量部である。
基材としては、特に制限されず、例えば、光学フィルムが挙げられ、このような光学フィルムとしては、光学特性を有し、画像表示装置などに貼着されるフィルムであれば特に制限されず、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルムなどが挙げられる。
偏光子としては、特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質で染色し一軸延伸したものや、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色して一軸延伸した偏光子が挙げられる。
透明保護フィルムとしては、好ましくは、セルロース系ポリマーが挙げられる。透明保護フィルムの厚さは、特に制限されず、例えば、500μm以下、好ましくは、1〜300μm、さらに好ましくは、5〜200μmである。
位相差フィルムとしては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどが挙げられる。位相差フィルムの厚さは、特に制限されず、例えば、20〜150μmである。
輝度向上フィルムとしては、例えば、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体など、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものなど、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどが挙げられる。
図1に示す粘着フィルムを得るには、まず、基材1を用意して、この基材1の片面に、帯電防止層2を積層する。
基材1の厚みは、例えば、10〜1000μm、好ましくは、50〜500μmである。
このように帯電防止層2を設けることによって、粘着剤層3との接着力(投錨力)を向上させることができる。
粘着剤層3を設けるには、例えば、上記した帯電防止層2に、粘着剤層3が形成された離型フィルムから、粘着剤層3を転写する方法が挙げられる。
離型フィルムとしては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルム、ゴムフィルム、布、不織布、ネット、発泡フィルムや金属箔、またこれらの積層フィルムなどが挙げられる。離型フィルムの表面には、粘着剤層3からの離型性を高めるため、必要に応じて、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの処理がなされていてもよい。
粘着剤層3の厚み(乾燥後厚み)は、例えば、1〜100μm、好ましくは、5〜50μm、さらに好ましくは、10〜30μmの範囲に設定される。
このようにして得られる粘着フィルムは、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルムなどの粘着フィルムなどとして、各種産業用途に用いられる。
さらに、上記した粘着フィルムは、高い耐加熱性や耐湿熱性を有しているので、この粘着フィルムを、粘着型光学フィルムとして用いれば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などの画像表示装置のガラス基板の表面に貼着すれば、高温雰囲気下および高温高湿雰囲気下でも優れた耐久性を得ることができる。そのため、このような画像表示装置は、高い耐加熱性や耐湿熱性を実現することができる。
また、通常の水分散型粘着剤組成物では、被着体への密着性を高めるためには、ロジン系樹脂、エラストマーなどの粘着付与樹脂などを添加するが、本発明の粘着フィルムに用いられる水分散型粘着剤組成物は、水分散型でありながら、そのような粘着付与樹脂を添加することなく、密着性を高めることができるので、低コストで密着性が高い水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えている粘着フィルム、および、このような粘着フィルムを用いた画像表示装置を得ることができる。
(モノマープレエマルションの調製)
容器に、原料モノマーとして、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸5部、モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度約5.0)2部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学(株)製)0.01部を加えて混合し、モノマー混合物を調製した。次いで、調製したモノマー混合物627gに、反応性乳化剤アクアロンHS−10(第一工業製薬(株))13g、イオン交換水360gを加え、ホモジナイザー(特殊機化(株)製)を用いて、5分間、5000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。
(水分散型粘着剤組成物の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、上記で調製したモノマープレエマルションのうちの200g、イオン交換水330gを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換し、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物(VA−057、和光純薬工業(株)製)0.2gを添加して、60℃で、1時間重合した。次いで、残りのモノマープレエマルションのうちの800gを、反応容器に3時間かけて滴下して、その後、3時間重合させた。さらにその後、窒素置換しながら、60℃で3時間重合し、固形分48%の水分散型粘着剤組成物のエマルション溶液を得た。次いで、これを室温まで冷却し、10%アンモニア水を添加して、pHを8に調整し、さらに、アクリル系増粘剤アロンB−500(東亞合成(株)製)3.0gを添加して、水分散型粘着剤組成物を調製した。
また、この水分散型粘着剤組成物において、リン酸基濃度は0.04ミリモル/gである。なお、この計算において、モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度約5.0)の分子量(平均分子量)を456として、算出した。
(粘着剤層の形成)
水分散型粘着剤組成物を、離型フィルム(ポリエチレンテレフタレート基材、ダイヤホイル MRF38、三菱化学ポリエステル(株)製)上に、乾燥後の厚みが23μmとなるように、コーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、100℃で2分間乾燥させて、離型フィルム上に粘着剤層を形成した。
(光学フィルムの調製)
ポリビニルアルコールフィルム(厚み80μm)を、40℃のヨウ素水溶液中で、元長の5倍に延伸し、その後、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液から引き上げ、50℃で、4分間乾燥させて、偏光子を得た。この偏光子の両側に、ポリビニルアルコール型接着剤を用いて、透明保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを接着して、光学フィルムを得た。
(帯電防止層の形成)
デナトロンP502RG(ポリチオフェン系導電ポリマー、ナガセケムテックス(株)製)を、水/イソプロパノール(重量比で、1:1)混合溶液で、固形分0.5重量%となるように希釈し、帯電防止層の塗布液を調製した。この塗布液を、マイヤーバー#5を用いて、光学フィルムの片面にコーティングし、40℃で2分間乾燥させて、帯電防止層を形成した。
(粘着型光学フィルムの作製)
帯電防止層が形成された光学フィルムの片面に、粘着剤層を形成した離型フィルムを貼り合わせて、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例1の帯電防止層の塗布液の調製において、デナトロンP502RG(ポリチオフェン系導電ポリマー、ナガセケムテックス(株)製)を、デナトロンP502RG(ナガセケムテックス(株)製、ポリチオフェン系導電ポリマー)と、エポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)とに変更し、固形分をデナトロンP502RGが1.0重量%、エポクロスWS−700が0.25重量%となるように変更した以外は、実施例1と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例1の帯電防止層の塗布液の調製において、デナトロンP502RG(ポリチオフェン系導電ポリマー、ナガセケムテックス(株)製)を、オルガチックスZB−125(塩化ジルコニウム化合物、ZrO2含有割合15%、松本製薬工業(株)製)に変更し、水/イソプロパノール(重量比で、1:1)混合溶液を、水/エタノール(重量比で、1:1)混合溶液に変更し、ZrO2含有割合が2重量%となるように変更した以外は、実施例1と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例3の帯電防止層の形成において、塗布液のZrO2含有割合を、2%から5%に変更した以外は、実施例3と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例5
実施例1の帯電防止層の形成において、デナトロンP502RG(ポリチオフェン系導電ポリマー、ナガセケムテックス(株)製)を、オルガチックスTC−400(ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、(C3H7O)2Ti(C6H14O3N)2、Ti含有割合8%、松本製薬工業(株)製)に変更し、塗布液のTi含有割合が2%になるように変更した以外は、実施例1と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例5の帯電防止層の形成において、塗布液のTi含有割合を、2%から5%に変更した以外は、実施例5と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例7
実施例3の帯電防止層の形成において、オルガチックスZB−125(塩化ジルコニウム化合物、ZrO2含有割合15%、松本製薬工業(株)製)を、オルガチックスZB−125(塩化ジルコニウム化合物、ZrO2含有割合15%、松本製薬工業(株)製)と、ポリメントSK−1000(エチレンイミン変性アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)とに変更し、水/エタノール(重量比で、1:1)混合溶液を水に変更し、オルガチックスZB−125のZrO2含有割合が2%、ポリメントSK−1000の固形分が2%となるように変更した以外は、実施例3と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例7の帯電防止層の形成において、オルガチックスZB−125のZrO2含有割合を、2重量%から5重量%に変更した以外は、実施例7と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例9
実施例5の帯電防止層の形成において、オルガチックスTC−400(ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、(C3H7O)2Ti(C6H14O3N)2、Ti含有割合8%、松本製薬工業(株)製)を、オルガチックスTC−400(ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、(C3H7O)2Ti(C6H14O3N)2、Ti含有割合8%、松本製薬工業(株)製)と、ポリメントSK−1000(エチレンイミン変性アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)とに変更し、塗布液のTi含有割合が2%、ポリメントSK−1000の固形分が2%となるように変更した以外は、実施例1と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例9の帯電防止層の形成において、塗布液のTi含有割合を、2%から5%に変更した以外は、実施例9と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例11
実施例1の帯電防止層の塗布液の調製において、デナトロンP502RG(ポリチオフェン系導電ポリマー、ナガセケムテックス(株)製)を、オルガチックスZB−125(塩化ジルコニウム化合物、ZrO2含有割合15%、松本製薬工業(株)製)と、エポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系樹脂、固形分25%、(株)日本触媒製))とに変更し、水/エタノール(重量比で、1:1)混合溶液を、水に変更し、オルガチックスZB−125のZrO2含有割合が2重量%、エポクロスWS−700の固形分が2%となるように変更した以外は、実施例1と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例1の帯電防止層の塗布液の調製において、デナトロンP502RG(ポリチオフェン系導電ポリマー、ナガセケムテックス(株)製)を、オルガチックスZB−125(塩化ジルコニウム化合物、ZrO2含有割合15%、松本製薬工業(株)製)と、エポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系樹脂、固形分25%、(株)日本触媒製))およびポイズ532A(アクリル酸/マレイン酸共重合体アンモニウム塩、数平均分子量約10000、花王(株)製)とに変更し、オルガチックスZB−125のZrO2含有割合が2重量%、エポクロスWS−700の固形分が2重量%、ポイズ532Aの固形分が0.1重量%となるように変更した以外は、実施例1と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例1の帯電防止層の塗布液の調製において、デナトロンP502RG(ポリチオフェン系導電ポリマー、ナガセケムテックス(株)製)を、ポリアニリンスルホン酸(PAS、ポリスチレン換算による重量平均分子量150000、三菱レーヨン(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例2の帯電防止層の塗布液の調製において、デナトロンP502RG(ポリチオフェン系導電ポリマー、ナガセケムテックス(株)製)を、ポリアニリンスルホン酸(PAS、ポリスチレン換算による重量平均分子量150000、三菱レーヨン(株)製)に変更した以外は、実施例2と同様に処理して、帯電防止層を形成し、次いで、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例1において、帯電防止層を形成しなかった以外は実施例1と同様の方法により、粘着型光学フィルムを作製した。
(評価)
1) 光学フィルムの表面抵抗
各実施例および比較例において、帯電防止層のみを設けた光学フィルム(すなわち、粘着剤層を形成する前の粘着型光学フィルム)を、23℃、60%RHの雰囲気下で放置した。その後、23℃、60%RHの雰囲気下で、抵抗率計(Hiresta−Up MCP−HT450、(株)ダイアインスツルメンツ製)により、USRプローブを用い、印加電圧500Vで、1分後における、光学フィルムの帯電防止層を形成した面の表面抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
2) 粘着剤層と光学フィルムとの密着力
各実施例および比較例の粘着型光学フィルムを、25×120mmの大きさに切断し、これをサンプルとした。このサンプルを、23℃で60%RHの雰囲気下、および、50℃の雰囲気下で、それぞれ1日エージングした。エージング後、離型フィルムを剥離し、サンプルの粘着面にポリプロピレン多孔質膜を貼着し、このポリプロピレン多孔質膜上に粘着テープ(No.31B、日東電工(株)製)を貼着して補強した後、24時間以上、23℃で60%RHの雰囲気下、および、50℃の雰囲気下で、それぞれ放置した。その後、放置後のサンプルの背面(粘着型光学フィルムの光学フィルム側の面)に、SUS304鋼板を両面テープを用いて貼り付け、引張試験器により180°方向に300mm/minの速度で、ポリプロピレン多孔質膜と、サンプルとの界面で剥離し、粘着剤層がポリプロピレン多孔質膜側に付着していることを確認した後、剥離応力を測定した。その結果を、表1に示す。
3) 粘着型光学フィルムの接着固定性
各実施例および比較例の粘着型光学フィルムを、230×310mmの大きさに切断した後、離型フィルムを剥離し、これを、厚さ0.7mmのガラス板(コーニング#1737、コーニング(株)製)に貼着し、50℃、0.5MPaのオートクレーブ中に15分間放置した後、90℃の雰囲気下、および、60℃/90%RHの雰囲気下で、それぞれ500時間加熱して、粘着型光学フィルムの剥がれの有無を目視観察により確認した。その結果を、表1に示す。
○:剥がれなどの変化が認められなかった
△:粘着型光学フィルムの端部に1mm未満の剥がれが認められた
×:粘着型光学フィルムの端部に1mm以上の剥がれが認められた
4) ヘイズ
各実施例および比較例において、帯電防止層のみを設けた光学フィルム(すなわち、粘着剤層を形成する前の粘着型光学フィルム)を、50×50mmに切断し、ヘイズコンピューターHZ−1(スガ試験機(株))により、ヘイズを測定した。その結果を、表1に示す。なお、ヘイズは、通常2.0%以下であることが好ましく、2%を超えると、目視で白く見え、好ましくない。
2 帯電防止層
3 粘着剤層
Claims (12)
- 基材と、前記基材の少なくとも片面に積層された粘着剤層と、前記基材と前記粘着剤層との間に介在される帯電防止層とを備え、
前記粘着剤層は、
原料モノマーとして、アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基含有ビニルモノマー、下記一般式(1)で表されるリン酸基含有ビニルモノマーおよび任意的に前記モノマーと共重合可能な共重合性ビニルモノマーを含有し、
原料モノマーの配合割合は、原料モノマーの総量100重量部に対して、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが60〜99重量部であり、前記カルボキシル基含有ビニルモノマー、前記リン酸基含有ビニルモノマーおよび前記共重合性ビニルモノマーの総量が1〜40重量部であり、
原料モノマー中、カルボキシル基濃度が0.05〜1.50ミリモル/gであり、かつ、リン酸基濃度が0.01〜0.45ミリモル/gである粘着剤組成物からなり、
前記帯電防止層は、水溶性または水分散性導電材料を含んでいることを特徴とする、粘着フィルム。
- 前記粘着剤組成物が、さらに、前記共重合性ビニルモノマーとして、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーを含有し、
その配合割合が、原料モノマーの総量100重量部に対して、0.001〜1重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の粘着フィルム。 - 前記粘着剤組成物が、水分散型粘着剤組成物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の粘着フィルム。
- 前記水溶性または水分散性導電材料が、導電ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着フィルム。
- 前記導電ポリマーが、ポリアニリンおよび/またはポリチオフェンであることを特徴とする、請求項4に記載の粘着フィルム。
- 前記水溶性または水分散性導電材料が、有機金属化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着フィルム。
- 前記有機金属化合物が、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物および有機アルミニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項6に記載の粘着フィルム。
- 前記帯電防止層が、さらに、オキサゾリン基含有ポリマーを含んでいることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の粘着フィルム。
- 前記帯電防止層が、さらに、オキサゾリン基含有ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物を含んでいることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の粘着フィルム。
- 前記帯電防止層が、さらに、ポリアミン系ポリマーを含んでいることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の粘着フィルム。
- 前記基材が、光学フィルムであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の粘着フィルム。
- 請求項11に記載の粘着フィルムを少なくとも1枚用いた画像表示装置。
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