JP2007261944A - シリコンの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】精製速度を低下させることなく、効率よく精製し、太陽電池用シリコンを安価に提供する。
【解決手段】本発明のシリコンの精製方法は、不純物元素を含有する溶融シリコンの精製方法であって、前記不純物元素と反応する成分を含む精製ガスを、酸性酸化物を主成分とする精製添加物が添加された溶融シリコンに接触させることにより、不純物元素を含む生成物を溶融シリコンから除去する工程と、溶融シリコンとの反応性が小さい処理ガスを溶融シリコンに接触させることにより、溶融シリコンと精製ガスとの酸化反応による生成物を除去する工程とを繰り返し備え、前記精製添加物は、アルカリ金属の酸化物と、アルカリ金属の炭酸塩と、アルカリ金属の炭酸水素塩と、アルカリ金属の珪酸塩とからなる群より選択された少なくとも1種類が添加されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池用シリコン原料を製造するためのシリコンの精製方法に関する。
環境問題から石油などの代替として自然エネルギーの利用が注目されている。その中で、シリコン半導体の光電変換原理を用いる太陽電池は、太陽エネルギーの電気への変換が容易に行なえる特徴を有する。しかし、普及拡大には太陽電池のコスト低減、とりわけ、半導体シリコンのコストダウンが必要である。
半導体集積回路用の高純度シリコンは、珪石を炭素還元して得られる純度98%以上の金属シリコンを原料にし、化学的な方法でトリクロルシラン(SiHCl3)を合成し、これを蒸留法で純化した後、還元することにより、11−nine程度の高純度シリコンが得られる(シーメンス法)。しかし、この高純度シリコンは、複雑な製造プラントおよび還元に要するエネルギー使用量が多くなるため、必然的に高価な素材となる。
太陽電池の低コスト化のために、半導体集積回路の製作の各工程から得られる高純度シリコンの再生利用と並行して、金属シリコンからの直接的な冶金的精製が試みられている。再生利用では、シリコンウエハ、CZインゴット端材(スクラップ)などを原料に多結晶シリコンインゴットを作る際、シリコン融液の一方向凝固を行なうことで偏析により精製し、実用的な太陽電池特性が得られるようになっている。しかし、金属シリコンからの一方向凝固精製は、多くの不純物元素を同時に低減できる点で優れるものの、例外的にボロンについては、偏析係数が0.8と大きいため、原理的に凝固偏析を効率的には行なえず、実用的なボロン低減は困難な状況にある。
そこで、ボロンの除去に関しては、ボロンを含むシリコンを、水冷した銅製坩堝に入れ、アルゴンガス(Ar)に少量のO2またはCO2を添加した混合ガスを作動ガスとする酸化性プラズマにより、金属シリコンを溶解するプラズマ溶解法が開示されている(非特許文献1参照)。この方法により、金属シリコン中のボロンは、BO、BO2またはB23からなる気体酸化ボロンとして揮散するためボロン濃度を低減することができる。
また、ボロンを含有したシリコンと酸化カルシウムを主成分とするスラグを溶融し、回転駆動機構により溶融シリコンを攪拌しつつ酸化性ガスを吹込み、ボロンを酸化除去する方法が開示されている(特許文献1参照)。この方法によれば、太陽電池として使用する純度6−nine程度のシリコンを効率よく安価に製造することができる。
ボロンを酸化ボロンとし、溶融シリコンから揮散させてボロンを低減する方法としては、そのほか、ArまたはArに水素を添加したガスに、水蒸気、さらにはシリカ粉末を含めた混合ガスのプラズマを、溶融シリコンの表面に照射して、ボロンの酸化を促進する方法がある(特許文献2参照)。この方法によれば、高温で酸化ボロンは気化し、除去できるが、プラズマ反応をする部分は装置の構成上、局所的なものとなるため、装置が大型化し、高価となり、長時間の精製が必要となる。
特開2003−213345号公報 特許第3205352号公報 鈴木吉哉、他3名、「溶融シリコン中のりんおよびボロンの蒸発除去」、日本金属学会誌、1990年、第54巻、第2号、p.161−167
冶金学的手法によるシリコンの精製方法には、上述のとおり、酸化性ガスを含んだプラズマを溶融シリコンの湯面へ照射し、ボロン酸化物を湯面から揮発除去する方法、または酸化カルシウムなどの塩基性成分を含むスラグと酸化性ガスによりボロン除去する手法があるが、いずれもコストの問題から商業的に成立していないのが現状である。
非特許文献1に開示されている方法では、酸化性ガスを含むプラズマガスと溶融シリコンとの反応により、湯面にシリカ(SiO2)の被膜が形成され、プラズマ溶解開始後15分間で湯面の約50%がシリカにより被覆されるため、湯面からのボロン酸化物の揮発除去が妨害され、ボロン除去速度が著しく悪化してしまうという問題があることが報告されている。
また、本発明者らは、特許文献1に開示されているスラグと酸化性ガスを混合し、攪拌する方法について検討を行ない、溶融シリコン中へ酸化性ガスを吹込むことで、シリコンの酸化反応により形成されたシリカ(SiO2)がスラグに吸収される結果、スラグの粘性が増大し、スラグと酸化性ガスと溶融シリコンの混合効率が悪くなり、ボロン酸化の反応速度が低下するため、ボロン除去速度が低下するという課題を有することを見出した。
本発明が解決しようとする課題は、精製速度を低下させることなく、効率よく精製し、安価な太陽電池用シリコンを提供することにある。
本発明のシリコンの精製方法は、不純物元素を含有する溶融シリコンの精製方法であって、
不純物元素と反応する成分を含む精製ガスを、酸性酸化物を主成分とする精製添加物が添加された溶融シリコンに接触させることにより、不純物元素を含む生成物を溶融シリコンから除去する工程と、
溶融シリコンとの反応性が小さい処理ガスを溶融シリコンに接触させることにより、溶融シリコンと精製ガスとの酸化反応による生成物を除去する工程とを繰り返し備え、
精製添加物は、アルカリ金属の酸化物と、アルカリ金属の炭酸塩と、アルカリ金属の炭酸水素塩と、アルカリ金属の珪酸塩とからなる群より選択された少なくとも1種類が添加されていることを特徴とする。
本発明のシリコンの精製方法は、不純物元素を含有する溶融シリコンの精製方法であって、第2の局面によれば、
不純物元素と反応する成分を含む精製ガスを溶融シリコンに接触させることにより、不純物元素を含む生成物を溶融シリコンから除去し、同時に、
溶融シリコンとの反応性が小さい処理ガスを溶融シリコンに接触させることにより、溶融シリコンと精製ガスとの反応による生成物を除去する工程
を備えることを特徴とする。
精製ガスは、酸化性ガスを含むものが好ましい。一方、処理ガスは、不活性ガスを含むものが好ましく、還元性ガスを含むものがより好ましい。また、溶融シリコンに、酸性酸化物を主成分とする精製添加物を添加する態様が好ましい。本発明のシリコンは、かかる方法により精製されたことを特徴とする。
本発明によれば、ボロンなどの不純物の除去速度を低下させることなく、効率よく溶融シリコンから不純物を除去することができる。また、精製の処理工程がシンプルであるため、太陽電池用シリコン原料の安価な製造が可能となる。
本発明のシリコンの精製方法は、精製ガスを溶融シリコンに接触させることにより、不純物元素を含む生成物を溶融シリコンから除去する工程と、処理ガスを溶融シリコンに接触させることにより、溶融シリコンと精製ガスとの反応による生成物を除去する工程とを備えることを特徴とする。かかる精製方法により、溶融シリコン内の不純物元素を効果的に除去することができ、同時に、不純物の気化除去を妨げる生成物を除去できるため、溶融シリコンの効率のよい精製が可能である。
精製ガスとは、溶融シリコン内の不純物元素と反応する成分を含むガスであり、不純物元素とは、特に酸化反応を利用して、溶融シリコンから除去することができるボロンおよび炭素などである。かかる精製ガスとしては、キャリアガスであるArに水蒸気を含有したものが好ましい。精製ガス中の水蒸気量は、簡便な加湿装置を用い、ガス露点を代表的には20℃〜90℃の範囲とすることで、およそ2体積%〜70体積%の範囲内で容易に含有させることができる。この精製ガス中に水素を適宜添加してもよい。
精製ガスに含まれ、不純物元素と反応する成分は、水蒸気に限定されるものではなく、たとえば、酸素、二酸化炭素などの酸素原子を含有するガスなどを使用することができる。さらに、広義の酸化反応を考えれば、塩化水素などのハロゲン系ガスも同様に使用できる。したがって、精製ガスに含まれ、不純物元素と反応する成分として、酸化性ガスを好ましく使用することができる。また、キャリアガスは、シリコンとの反応性が小さいガス、たとえば、Arなどの不活性ガスが特に好ましく、窒素なども使用できる。
溶融シリコンと精製ガスの反応による生成物とは、酸化ボロンのような不純物元素を含む生成物のほか、たとえば、水蒸気を含む精製ガスを溶融シリコンに吹込むことにより、シリコンが酸化して生成するSiO2(以下、「生成シリカ」という。)などである。
処理ガスとは、溶融シリコンとの反応性が小さいガスであり、たとえば、Arなどの不活性ガスまたは窒素が好適である。また、処理ガスは、溶融シリコンと精製ガスとの酸化反応により生成されるシリカなどを効果的に除去する点で、水素などの還元性ガスを含むものが好ましい。
精製添加剤とは、たとえば、酸化ケイ素(SiO2)と酸化カルシウム(CaO)などの混合物である。図4に、SiO2−CaOの二元系状態図を示す。図4は、Advanced Physical Chemistry for Process Metallurgy、1997年、p.109、Fig.3.7に記載されている図である。酸化ケイ素と酸化カルシウムの混合物は、図4に示すように、シリコンの融点である約1414℃より高い約1460℃以上で溶融状態にすることができる。この溶融状態にある精製添加剤を、以下、「溶融スラグ」という。
酸化ケイ素の粉末が酸化剤として有用であることは、たとえば、特許文献2に開示されているが、酸化ケイ素の粉末は溶融シリコンとの濡れ性が悪く、多量の酸化ケイ素の粉末を溶融シリコン中に添加することができない。このため、シリコンの精製処理速度が制限されることがあるが、酸化ケイ素と酸化カルシウムの混合物を精製添加剤として用いることにより、溶融シリコンとの濡れ性を改善することができるので、溶融スラグとしてシリコンの精製処理に必要となる酸化剤を多量に導入することが可能となる。
酸化ケイ素と酸化カルシウムの混合物からなる精製添加剤を用いる場合には、酸化ケイ素が酸化剤として有用であるため、酸化ケイ素を主成分とする精製酸化物が好適である。しかし、酸化ケイ素を主成分とする精製添加剤を用いた場合には、溶融スラグがガス吹出し口に付着し、ガス吹出し口が溶融スラグによって閉塞されることがある。また、酸化ケイ素を主成分とする溶融スラグは一般的に粘度が大きいため、一旦付着すると、剥離が困難である。
このため、酸化ケイ素を主成分とする精製添加物には、ガス吹出し口の閉塞を効果的に抑制する点で、酸化リチウムまたは酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の酸化物を1種類以上添加する態様が好ましい。精製添加剤にアルカリ金属の酸化物を添加することで、溶融スラグの粘度が下がり、ガス吹出し口への付着を抑制することができる。
精製添加剤にアルカリ金属の酸化物を添加する際には、アルカリ金属の酸化物を直接添加してもよいが、アルカリ金属の酸化物は水と反応して水酸化物に変化すると、強アルカリ性を呈するので、取り扱いに注意を要する。このため、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩または珪酸塩からなる群から選択された少なくとも1種類を精製添加剤に加える態様が好ましい。たとえば、炭酸リチウム、炭酸水素リチウムまたは珪酸リチウムを添加して加熱することで、酸化ケイ素に酸化リチウムを添加した場合と同様の効果が得られる。また、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたは珪酸ナトリウムを、酸化ケイ素に添加して加熱することで、酸化ケイ素に酸化ナトリウムを添加した場合と同様の効果が得られる。このように、精製添加物は酸性酸化物を主成分とする態様が好ましい。ここに、主成分とは、50質量%以上含まれるものをいい、60質量%以上が好ましい。
本発明において使用する精製添加剤には、たとえば、鉄鋼などの精錬分野で一般的に用いられている酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウムまたはフッ化カルシウムなどを適宜添加することもできる。
つぎに、溶融シリコンからボロンを除去する方法を例に取り挙げ、本発明の実施の形態を説明するが、本発明の効果は酸化反応によるものであるから、除去される不純物元素はボロンに限定されるものではなく、たとえば、酸化反応により除去される代表的な不純物元素として炭素も挙げられる。
図1は、本発明の精製方法の実施に用いられる装置の好ましい例を示す。図1に示すように、この装置は、ステンレス製の壁面を有する溶解炉1と、溶融シリコン8が注入されている黒鉛製の坩堝2と、電磁誘導加熱装置3と、黒鉛製のガス吹込み管4とを備える。溶融シリコン8には、必要に応じて溶融スラグ9が配合される。
ガス吹込み管4は、下部に攪拌部5とガス吹出し口6を備える。また、ガス吹込み管4の上部には、撹拌部5を溶融シリコン8中で回転させるための回転駆動機構(図示せず。)を有する。さらに、撹拌部5を溶融シリコン8中に浸漬させるため、または離脱させるために用いられる昇降機構(図示せず。)をガス吹込み管4の上部に備える。
攪拌部5を備えるガス吹込み管4の内部には、精製ガスの通り道となる中空のガス流路7が形成されている。また、ガス吹込み管4が溶解炉1の壁を貫通する部分には、溶解炉1の密閉性を確保するとともにガス吹込み管4を回転可能とするためのシール機構12が設けられている。
まず、装置の坩堝2内に純度98%程度の金属シリコン(Metallurgical Grade Silicon)(以下、「MG−Si」という。)と、さらに必要により精製添加剤を入れ、溶解炉1内の空間をArなどの不活性ガス雰囲気として、電磁誘導加熱装置3により坩堝2を加熱する。坩堝2からの伝熱によりMG−Siおよび精製添加剤の温度を上昇させ、これらを溶融する。このようにして得られる融液を所定の処理温度、代表的には1450℃〜1600℃に保持する。なお、溶融した精製添加剤(以下、「溶融スラグ9」という。)は、融液の攪拌前においては、溶融シリコンと分離している。
つぎに、昇降機構によりガス吹込み管4を下降させ、ガス吹込み管4および攪拌部5を、坩堝2内の溶融シリコン8中に浸す。つづいて、ガス吹込み管4内の中空のガス流路7を介して精製ガスをガス吹出し口6から溶融シリコン8中に吹込みながら、矢印で示す方向に回転駆動機構によりガス吹込み管4を回転させて溶融シリコン8を攪拌する。
このようにすることで、溶融シリコン8中に吹込まれる精製ガスの気泡11が微細化され、精製ガスの気泡11を溶融シリコン8中に均一に分散させて、精製ガスを溶融シリコンに接触させる。そして、溶融シリコン8中の全体にわたって、溶融シリコン8および精製ガス間の反応が促進し、溶融シリコン8中に含まれるボロンなどの不純物元素の酸化物が生成し、この酸化物が気化することなどによって、溶融シリコン8中から除去される。したがって、本発明においては、精製ガスを溶融シリコン8中に均一に分散し、溶融シリコン8の全体からほぼ同時に不純物を除去することができるため、シリコンを効率良く精製することができる。
一方、精製添加剤を用いた場合には、溶融シリコン8中に吹込まれる精製ガスの気泡11および溶融スラグ9が微細化され、精製ガスの気泡11および溶融スラグ9を溶融シリコン8中に均一に分散させることができる。そして、溶融シリコン8中の全体にわたって、溶融シリコン8、溶融スラグ9および精製ガス間の反応が促進し、溶融シリコン8中に含まれるボロンなどの不純物元素の酸化物が生成して、この酸化物が気化することなどによって、溶融シリコン8中から除去され得る。したがって、本発明においては、精製ガスを溶融シリコン8中に均一に分散し、溶融シリコン8の全体からほぼ同時に不純物を除去することができるため、シリコンを効率良く精製することができる。
ここで、MG−Siより比重の大きい溶融スラグを用いる場合には、上層である溶融シリコン層と下層である溶融スラグ層との界面付近に撹拌部5を下降させてから、ガス吹込み管4を回転させる態様が好ましい。かかる態様とすることにより、ガス吹出し口6から吹出された精製ガスの気泡11および溶融スラグ9が溶融シリコン8中でより均一に分散されやすくなる。
精製ガス、溶融シリコン8さらには添加された溶融スラグ9が坩堝2中で非常に効率よく混合され、各相間の接触面積が著しく増大する状態になると、精製ガス中の酸化性ガスおよび必要により添加された溶融スラグ9から供給される酸素により、溶融シリコン8中のボロンなどの不純物との酸化反応が著しく促進される。
また、溶融スラグ9が溶融シリコン8中により均一に分散するように撹拌することで、溶融スラグ9の酸化剤としての機能を効率良く引き出すことができる。ただし、精製添加剤の全量が溶融している必要はなく、その一部が固体状態であってもほぼ同様の効果が得られる。しかし、不純物の除去の観点からは、シリコンの精製を行なう際にシリコンと精製添加剤を共に溶融状態に保持することが望ましい。
MG−Siに精製添加剤が加えられていない場合あるいはMG−Siより比重の小さい精製添加剤が加えられている場合には、溶融シリコン8の下方へ撹拌部5を下降させた後、ガス吹込み管4を回転させる態様が好ましい。
精製ガスの導入圧力は、0.10MPaよりも大きくすることが好ましく、0.15MPa〜0.3MPaの範囲とすることがより好ましい。かかる態様により、溶融シリコン8中に粘度の高い溶融スラグ9が混合している場合であっても、精製ガスの吹出しを安定して継続することができる。
ガス流路7の内壁には、アルミナなどの耐酸化性材料層10を形成する態様が望ましい。これは、溶融シリコン8の温度は、約1450℃〜1600℃に保持されるため、溶融シリコン8に接触するガス吹込み管4の一部および撹拌部5は、溶融シリコン8の温度と同等程度にまで加熱されることとなる。また、溶融シリコン8からの伝熱により、ガス吹込み管4の溶融シリコン8に近い部位は約1500℃以上に加熱される。このような高温環境において、精製ガス中の水蒸気などの酸化性ガスが、黒鉛製部材に接触すれば、黒鉛製部材は容易に酸化され侵食される。これに対して、ガス流路7の内壁に耐酸化性材料層10を形成することにより、黒鉛製部材の侵食を抑制することができる。
耐酸化性材料としては、アルミナのほか、窒化ケイ素、炭化ケイ素などを用い得るが、特に、アルミナは高温での強度や酸化性ガスへの耐久性に優れ、安価である点で好ましい。ガス流路7の内壁に耐酸化性材料を形成する方法は特に限定されず、耐酸化性材料からなる管をガス流路に挿通することによりガス吹込み管4の内面を覆ってもよく、ペースト状の耐酸化性材料をガス流路7内に塗布してもよく、蒸着法や気相成長法などにより耐酸化性材料の薄膜を形成してもよい。
つぎに、溶融シリコンと精製ガスとの反応により生成するシリカの除去について説明する。図2は、図1に示す精製装置と同様の仕様の装置を用いて溶融シリコンの精製を行なっている例を示す。図2に示すように、酸化性ガスを含む精製ガスを溶融シリコンに吹込み、ボロン除去処理を継続すると、溶融シリコンと精製ガスとの反応による生成シリカを吸収して粘度が増大したスラグ25が、溶融シリコン28の湯面の一部に蓋をするように覆ってしまう。このような状態になると、生成シリカを吸収して粘度が増大したスラグ25を溶融シリコン中に分散させることが困難となり、ボロン除去速度が悪化する。
このような状況において、精製ガスの溶融シリコン28内への吹込みを停止し、Arなどからなる処理ガスのみを溶融シリコン28中に吹込み、生成シリカを吸収して粘度が増大したスラグ25に接触させることにより、湯面の一部を覆っていた生成シリカを吸収して粘度が増大したスラグ25の粘度を低減し、ボロン除去速度を回復させることができる。また、使用する精製添加剤の比重がシリコンよりも軽い場合、たとえば、SiO2:Li2O=80:20(質量比)となるように調合した溶融スラグの場合、その大半が湯面に浮き、坩堝壁面近傍に付着しているが、この場合においても、処理ガスの吹込みを行なうことにより、湯面を覆っていた溶融スラグの粘度を低減し、ボロンの除去速度を回復させることができる。
かかる発明をさらに発展させ、精製ガスを吹込む合計時間が同じでも、数回に分けて吹込み、精製ガスの各吹込み処理の後に処理ガスを吹込むこととする態様が、より効果的にボロンなどの不純物を除去できる点で好ましい。また、処理ガス中に水素を添加する態様が、生成シリカを吸収して粘度が増大したスラグの粘度低減効果が向上する点で好ましい。さらに、精製ガスを溶融シリコンに接触させることにより、不純物元素を含む生成物を溶融シリコンから除去しながら、同時に、処理ガスを溶融シリコンに接触させることにより、溶融シリコンと精製ガスとの反応による生成物を除去する工程を備える方法によっても、ボロンなどの除去速度を低下させることなく、効率よく溶融シリコンを精製することができる。本発明の精製方法は工程としてシンプルであり、効率もよいため、太陽電池用の安価なシリコン原料を提供することができる。
実施例1
本実施例では、1kgのMG−Siを、図1の坩堝2に入れた。また、酸化ケイ素粉末、珪酸リチウム粉末および珪酸カルシウム粉末を混合して、MG−Siの20質量%に相当する量を、坩堝2に入れた。酸化ケイ素粉末、珪酸リチウム粉末および珪酸カルシウム粉末は、酸化ケイ素:酸化リチウム:酸化カルシウム=67:16:17(質量比)となるように換算し、配合した。つぎに、溶解炉1の内部を0.10MPaのAr雰囲気とし、電磁誘導加熱装置3を用いて坩堝2を加熱することによりMG−Siを溶融して、1550℃に保持した。処理前のボロン含有量を測定するため、溶融シリコン8を約20g抽出し、そのうち5gを測定に用いた。
精製ガスは、Arと水素の混合ガス(水素の体積比率4%)からなるキャリアガスに対して、水蒸気を60体積%配合したものを用い、精製ガスを流速14L/分でガス吹込み管4へ導入した。昇降機構によりガス吹込み管4を下降させ、撹拌部5が溶融シリコン8の下方に位置するように配置した。精製ガスを、攪拌部5のガス吹出し口6から溶融シリコン8中に吹込みながら、回転機構によりガス吹込み管4を400rpmで回転させて、40分間の精製処理を行った。
その後、精製ガス内への水蒸気の配合を停止し、処理ガスとしてArと水素の混合ガス(水素の体積比率10%)を、攪拌部5から溶融シリコン8中に流速10L/分で20分間吹込んだ。この時、溶解炉1内の水素濃度が爆発限界(4体積%〜75体積%)の下限よりも低くなるように、溶解炉1への雰囲気ガス流量を適宜調整した。処理ガスの吹込み処理を20分行なった後、溶融シリコン8を約20g抽出し、そのうち5gをボロン濃度の測定に用いた。この操作を1サイクルとし、3サイクル繰返した。したがって、精製ガスの総吹込み時間は120分間であり、処理ガスの総吹込み時間は60分間であった。精製ガスを吹込む前と、精製ガスによる処理の累積時間で40分後、80分後、120分後のボロン含有量を測定した結果を図3に示す。この結果、ボロン濃度は、精製ガス吹込み時間が長くなるにつれて減少し続け、ボロン除去速度を精製処理途中に低下させることなく、ボロン除去ができた。
実施例2
処理ガス中の水素の効果を明確にするため、処理ガスをArのみにした以外は実施例1と同様にして精製処理を行なった。その結果を図3に示す。図3に示すように、処理ガス中に水素を添加しない本実施例の場合、実施例1と比較して、ボロン濃度はやや高くなったが、ボロン除去速度を悪化させることなく、効率よくボロン除去を行なうことができた。
実施例3
本実施例では、精製添加剤の組成を変えた以外は実施例1と同様にして精製処理を行なった。精製添加剤は、酸化ケイ素粉末と珪酸リチウム粉末を、酸化ケイ素:酸化リチウム=80:20(質量比)となるように換算して配合した。この結果を図3に示す。図3に示すように、実施例1と比較すると、ボロン濃度がやや高くなった。この原因は、酸化ケイ素:酸化リチウム=80:20の精製添加剤(本実施例)では、酸化ケイ素:酸化リチウム:酸化カルシウム=67:16:17の精製添加剤(実施例1)よりも比重が小さいため、溶融スラグが溶湯湯面に浮上しやすくなり、実施例1と比較してボロン酸化物の気化除去率が低くなったためと推察された。しかし、処理ガスの吹込み処理を行なうことにより、ボロン除去速度を悪化させることなく、効率よくボロン除去を行なうことができた。
実施例4
本実施例では、精製添加剤の組成を変えた以外は実施例1と同様にして精製処理を行なった。精製添加剤は、酸化ケイ素粉末と珪酸カルシウム粉末を、酸化ケイ素:酸化カルシウム=45:55(質量比)となるように換算して配合した。この結果を図3に示す。図3に示すように、酸化カルシウムを主成分とした精製添加剤(本実施例)では、他の実施例1〜3に比べて、ボロン濃度がかなり高い結果となった。しかし、処理ガスの吹込み処理を行なうことにより、ボロン除去速度を悪化させることなく、効率よくボロン除去を行なうことができた。
本実施例と実施例1〜3との比較により、精製添加物としては、実施例1〜3で用いたような酸性酸化物である酸化ケイ素成分の多い方が、より効果的にボロンを除去できることがわかった。なお、本実施例では、精製ガス吹込み処理前の最初のボロン濃度が他の実施例に比べて低いが、これは、本実施例の精製添加剤は塩基性が高いため、酸性度が高いボロン酸化物を溶融スラグ中へ吸収分配したためと推察された。
実施例5
本実施例では、精製添加剤を使用せず、それ以外については実施例1と同様にして精製処理を行なった。その結果を図3に示す。精製添加物を用いなかった本実施例では、精製添加剤を用いた実施例1〜4に比べて、シリコン溶湯湯面の生成シリカ量は少なかったが、極く薄い被膜となり、湯面を覆っているのが観察された。また、図3に示すように、精製添加物を用いなかった本実施例では、精製添加剤を用いた実施例1〜4に比べて、ボロン濃度は高くなったが、処理ガスの吹込み処理を行なうことにより、被膜状の生成シリカは取り除かれ、ボロン除去速度を悪化させることなく、効率よくボロン除去を行なうことができた。
比較例1
本比較例では、処理ガスを吹込まないこととし、それ以外は実施例1と同様にして精製処理を行なった。その結果を図3に示す。図3に示すように、本比較例のボロン濃度は、実施例1〜4に比べて高く、精製ガスの吹込み時間の累積に伴い、徐々にボロン除去速度が悪化することがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、効率よく溶融シリコンから不純物を除去することができ、太陽電池用の安価なシリコン原料の提供が可能である。
本発明の精製方法の実施に用いられる装置の概念図である。 本発明の精製方法の実施に用いられる装置の概念図である。 各実施例および比較例における、精製ガスの吹込み累積時間とシリコン中のボロン濃度の関係を示す図である。 SiO2−CaOの二元系の状態図である。
符号の説明
1 溶解炉、2 坩堝、3 電磁誘導加熱装置、4 ガス吹込み管、5 攪拌部、6 ガス吹出し口、7 ガス流路、8,28 溶融シリコン、9 溶融スラグ、10 耐酸化性材料層、11 精製ガスの気泡、25 生成シリカを吸収して粘度が増大したスラグ。

Claims (4)

  1. 不純物元素を含有する溶融シリコンの精製方法であって、
    前記不純物元素と反応する成分を含む精製ガスを、酸性酸化物を主成分とする精製添加物が添加された溶融シリコンに接触させることにより、不純物元素を含む生成物を溶融シリコンから除去する工程と、
    溶融シリコンとの反応性が小さい処理ガスを溶融シリコンに接触させることにより、溶融シリコンと精製ガスとの酸化反応による生成物を除去する工程とを繰り返し備え、
    前記精製添加物は、アルカリ金属の酸化物と、アルカリ金属の炭酸塩と、アルカリ金属の炭酸水素塩と、アルカリ金属の珪酸塩とからなる群より選択された少なくとも1種類が添加されていることを特徴とするシリコンの精製方法。
  2. 前記精製ガスは、酸化性ガスを含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコンの精製方法。
  3. 前記処理ガスは、不活性ガスを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシリコンの精製方法。
  4. 前記処理ガスは、還元性ガスを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコンの精製方法。
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