JP2016175806A - 高純度シリコンの製造方法 - Google Patents

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義孝 田中
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Abstract

【課題】粗製Siを用いて高純度Siを製造する方法において、製品Si中の不純物、特にB、P、Al、Feなどを太陽電池基板用Siに求められるレベルまで、安価、簡便に減少せしめる高純度シリコンの製造方法を提供する。【解決手段】Si含有量が15〜50質量%のAl−Si溶湯を作製し、溶湯温度を680〜1100℃の範囲に調整しつつ、該Al−Si溶湯中に、中空回転冷却体を浸漬し、該回転冷却体内に冷却流体を送り込みながら該回転冷却体を回転させ、該回転冷却体の外周面に、不純物のうち少なくともB及びPの濃度を低減したSi精製塊を析出させる回転浸漬法の操作を少なくとも1回行う工程、を有することを特徴とする高純度シリコンの製造方法により達成される。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池等に使用可能な高純度シリコン(Si)を製造するための方法に関するものであり、特に、シリコンから不純物元素(B・P・Al・Feなど)の除去方法に関するものである。
クリーンエネルギーの代表である太陽光発電の普及が進み、太陽電池の需要が急速に高まっている。太陽電池を構成する材料としては、主に結晶シリコンが用いられている。この場合の結晶シリコンは、一般に99.9999%以上(6N)の純度であることが求められ、結晶シリコン中に含まれるホウ素(B)、リン(P)等の不純物の除去を行って精製する必要がある。結晶シリコンを精製する従来の方法としては、シーメンス法などの気相反応法や、凝固精製法、真空精製法、酸化精製法、フラックス精製法、酸浸出法、NEDO溶融精製法などが挙げられるが、太陽電池用の結晶シリコンは主に、気相反応法で製造されている。しかし、太陽電池用シリコンを大量かつ安価に供給するうえでは、より低コストの製造法が求められている。
酸化精製法は、シリコン浴へ酸化ガスを供給してホウ素(B)を揮発除去する方法である。プラズマを用いた酸化精製法によれば、結晶シリコン中のホウ素の濃度を10〜0.1[ppmw]まで低下させることができ、特にp型シリコンスクラップの高純度化に応用されている。ただし、この方法は、1500[℃]以上かつ数時間のプロセスを必要とするため、コストが嵩むことが課題とされている。
上述した精製方法とは別に、スラグを用いた精錬法も提案されている。この方法によれば、使用するスラグの組成を調整することにより、結晶シリコンに含まれるホウ素(B)の濃度を低減することができる。例えば、特許文献1に記載される技術によれば、初期ホウ素濃度20[ppmw]から0.072[ppmw]までの低減が可能とされている。ただし、当該技術による結果は、溶融シリコンに対して、スラグの投入、反応、排出の一連の作業を10回行って得られたものである。但し、シリコンとスラグの間のホウ素の分配比(濃度比)が一般には一桁程度必要なので、スラグによりホウ素を十分に低減するためには、大量のスラグの投入あるいは複数回のスラグの投入と排出が必要であるとされている。
金属Si(シリコン)の一方向凝固法、即ち、溶融させたSiを一方向に凝固させ、固相と液相の不純物溶解度の差を利用することにより、固相側のSiを高純度化させる技術は古くから知られており、多くの金属不純物に対して有効な精製方法である。しかし、ホウ素(B)は固相−液相間の溶解度差が小さいため、この精製法をホウ素不純物に対して適用することはできない。
また、真空溶解法(真空精製法)、即ち、溶融させたSiを真空下に保持し、Si中の低沸点不純物を除去する方法も良く知られており、炭素不純物等の除去に有効である。しかし、溶融Si中のホウ素(B)は、通常、低沸点物質の形態をとらないため、ホウ素不純物に対してこの精製法を適用することはできない。
この様に、Si中不純物の中で、ホウ素(B)は最も除去し難く、かつ、Siの電気特性への影響の大きい成分として問題視されてきた。Si中のホウ素(B)の除去を主な目的とした技術には、例えば、以下のものが開示されている。
特許文献2には、シリコンを酸洗洗浄する方法と、真空溶解法、一方向凝固法と共に、ホウ素(B)除去のため、スラグ精錬法、即ち、溶融シリコン上に、溶融物質(スラグ)を配置し、シリコン中の不純物をスラグに移行させる方法が挙げられている。当該文献では、CaF+CaO+SiOからなるスラグを使用して、ホウ素(B)分配比(スラグ中B濃度/Si中B濃度)1.357を得て、B濃度8質量ppmのSiを生成している。しかし、この濃度では、太陽電池用Siとしては不適格であり、また、当該文献のスラグ精錬法では、工業的に、これ以上ホウ素濃度を低減させ、Si純度を向上させることもできない。なぜならば、この文献で用いる工業的に得られるスラグ原料は、数ppm程度のホウ素(B)を含有することが避けらない。この様なスラグを用いたスラグ精錬では、ホウ素分配比が充分高くない限り、スラグと同程度の濃度のBがSi中に残留することが避けられないからである。したがって、当該文献での様に、1前後の分配比のスラグ精錬では、ホウ素(B)濃度が1ppm程度の純度のSiしか得ることはできないのである。スラグ原料を精製してBを低減することは原理的に可能であるが、経済的合理性を欠くので、工業的には実施不可能である。
特許文献3には、アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ金属酸化物を含有するスラグと粉砕した粗製Siを溶融前に混合した後、これら全部を溶融させるスラグ精錬法が開示されている。しかし、当該文献でのSi中のB濃度は、1ppmが限界であり、太陽電池用途には適さない。また、Siを粉砕する際には新たな不純物の混入が不可避なので、この点からも、Si精製法として不利である。
特許文献4には、金属Siに、CaO、CaCO、NaO等のフラックスをシリコン中に投入し、溶融させた後にその中に酸化性ガスを吹き込む精錬法が開示されている。しかし、当該文献でのSi中のホウ素(B)濃度は、7.6ppm程度であり、太陽電池用途には適さない。また、安価、かつ、安定して溶融Si中にガスを吹き込むことは、エンジニアリング的にかなり困難であり、Si精製法として不利である。
非特許文献1には、NaO+CaO+SiO成分のスラグを用いたスラグ精錬の例が開示されている。当該文献でのホウ素分配比は最高3.5であり、過去開示された技術の中で最も高いものであるが、現実的に使用可能なスラグ原料中のホウ素(B)の濃度を考慮すると、太陽電池用途としては依然として不適である。
この様に、従来のSiのスラグ精錬技術においては、高いホウ素(B)分配比を得ることができず、太陽電池用途としては不適である。Siにおいて、B分配比が低くなりがちな原因は、SiとBは同程度に酸化され易いことによるものである。このため、スラグ精錬においては、Si中のBは、酸化されていない状態で存在しがちであり、非酸化ホウ素はスラグに吸収され難いからである。スラグ精錬法として、鋼中のホウ素(B)の除去技術が広く実用化されているが、これは、鋼に対してBが遥かに酸化され易いと言う性質を利用したものである。この様な物性の本質的な差異が存在するため、鋼におけるスラグ精錬技術をSi中のB除去に安易に応用することは不可能である。
スラグ精錬以外のSi中のホウ素(B)除去技術としては、Si中のBを酸化した後、気化除去、又は、スラグに吸収させる精製方法が各種提案されている。
特許文献5には、溶融Siに、プラズマガスにHO、O、CO等のガス及びCaO、SiO等の酸素含有物質を付与することにより、Si中のBを除去する方法が開示されている。
特許文献6には、プラズマジェット中に、水蒸気、SiOを付与し、Si中のBを除去する方法が開示されている。
特許文献7には、溶融Siと上部の電極の間にアークを発生させ、容器内に不活性ガス、又は、酸化性ガスを吹き込むことにより、Si中のBを除去する方法が開示されている。
特許文献8及び特許文献9には、特殊なトーチを使用し、酸素+水素トーチに水蒸気、SiOを、CaO、BaO、CaF等を溶融Siに、付与することにより、Si中のBを除去する方法が開示されている。
特許文献10には、底部にガス吹き込み羽口を有する容器内でSiを溶融し、羽口からAr又はH等のガスを吹き込むことにより、Si中のBを除去する方法が開示されている。
特許文献11には、Ca(OH)、CaCO、MgCOをキャリアガスと共に溶融Si中に吹き込み、Si中のBを除去する方法が開示されている。
これら、特許文献5〜特許文献11には、Si中のBを太陽電池用途の許容レベルに低減できるものも存在する。しかし、これら全ての技術は、プラズマ装置やガス吹き込み装置等の高価な設備及び複雑な操業が必須であり、経済性の観点から工業的に実用化が困難である。また、これら技術に共通した問題点は、いずれの技術も強力な酸化能力を有するため、Bの酸化と同時にSiを過度に酸化させ易く、Siの歩留を著しく低下させる点である。前述の様に、SiとBは同程度に酸化し易い性質を有するので、Si中のBを酸化して除去する手法に対しては、Bのみを選択的に酸化するための特別の技術が必要である。
特許文献12、13及び非特許文献2には、Si−Al溶湯からの一方向低温凝固法により、Si−Al合金溶液中のアルミニウム(Al)濃度を増大させる(新たにAlを投入する)ことにより、AlとPが反応しAlPとなって液相へ析出する低温度領域でAlPを折出させ、製造されるシリコンインゴット中のリン(P)濃度を低減させる方法が開示されている。更に、Si−Al溶湯からの一方向低温凝固法により、Si−Al合金溶液中にチタンを投入することにより、TiとBが反応しTiBとなって液相へ析出する低温度領域でTiBを析出させ、製造されるシリコンインゴット中のホウ素(B)濃度を低減させる方法が開示されている。しかし、これらの方法で得られた晶出塊(Siインゴット)では、粒径100〜500μmまで微粉砕して酸洗浄(Leaching;塩酸水溶液につけて残留Alを除去する)しないと、Alが十分に除去できなかった。そのため、晶出塊を微粉砕する工程が高コストになるほか、環境汚染防止の観点から酸洗浄する工程に用いた酸を中和処理する必要がある点でも高コストになるなど、工業化が困難であった。
特許文献14には、回転式脱気法により、珪素結晶を加熱して得た熔湯浴に、気体を接触させて、熔湯浴の湯面に浮くようにつくられる滓を得る工程を有することにより、比較的純度の高い精製珪素が効率的に得られる精製方法が開示されている。しかし、この文献の方法でも、特許文献5〜特許文献11と同様にガス吹き込み装置等の高価な設備及び複雑な操業が必須であり、経済性の観点から工業的に実用化が困難である。
特許文献15には、Si回転浸漬冷却精製法により、溶融シリコンの温度を1500℃に保持して、溶融ケイ素中に中空回転冷却体を浸漬し、回転冷却体の中に冷却流体を送り込みながら回転冷却体を回転数400rpmで回転させ、回転冷却体の外周面に高純度ケイ素を晶出させることにより、従来の方法に比べて簡単かつ安価にケイ素を精製することができる方法が開示されている。しかし、この文献の方法では、ケイ素中の不純物濃度を鉄(Fe)20〜40ppm、アルミニウム(Al)10〜30ppm程度に低減することが開示されているのみであり、Si中不純物の中で最も除去し難い、ホウ素(B)やリン(P)の除去に関しては開示されていない。また、この文献の方法では、上記した酸化精製法と同様に、高温下(1500℃)でのプロセスを必要とするため、コストが嵩むことが課題である。
特許文献16にも、Si回転浸漬冷却精製法により、溶融シリコンの温度を1414〜1600℃に保持して、溶融ケイ素中に中空回転冷却体を浸漬し、回転冷却体の中に冷却流体を送り込みながら回転冷却体を回転させ、回転冷却体の外周面に高純度ケイ素を晶出させることにより、高純度シリコンを得る方法が開示されている。しかし、ケイ素中の不純物濃度を鉄(Fe)及びアルミニウム(Al)を低減できることが開示されているのみであり、Si中不純物の中で最も除去し難い、ホウ素(B)やリン(P)の除去に関しては開示されていない。また、この文献の方法では、上記した酸化精製法と同様に、高温下(1414〜1600℃)でのプロセスを必要とするため、コストが嵩むことが課題である。
特許文献17には、Si回転浸漬繰り返し精製法により、溶融シリコンの温度を1500℃に保持して、溶融ケイ素中に中空回転冷却体を浸漬し、回転冷却体の中に冷却流体を送り込みながら回転冷却体を回転させ、回転冷却体の外周面に高純度ケイ素を晶出させる操作を57回程度繰り返すことにより、太陽電池等に用いられる高純度シリコンを得る方法が開示されている。しかし、文献17では、段落「0018」に太陽電池として使用することを考えれば、シリコン中の不純物のうち、その含有量を最も厳格に制御されるべきは、シリコンの導電型を決定する元素であり、代表的なものとしてはリン(P)およびホウ素(B)であることが記載されているにもかかわらず、ケイ素中の不純物濃度のうち鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)及びリン(P)について低減できることが確認されているのみであり、Si中不純物の中で最も除去し難いホウ素(B)の除去に関しては何ら開示されていない。また、この文献の方法では、上記した酸化精製法と同様に、高温下(1500℃)でのプロセスを57回程度繰り返す必要があるため、コストが嵩むことが課題である。
特開2007−210859号公報 特開昭56−32319号公報 特開昭58−130114号公報 特開2003−12317号公報 特開平4−130009号公報 特開平4−228414号公報 特開平5−246706号公報 米国特許第5972107号明細書 米国特許第6368403号明細書 特開平4−193706号公報 特開平9−202611号公報 特許第4337954号公報 特許第4358300号公報 特許第5374673号公報 特公平7−53569号公報 特許4365480号公報 特許4115432号公報
棚橋他、「資源と素材」、2002年、第118巻、p.497−505. 溶融Si−Al合金を溶媒に用いたSiの低温凝固精製法、吉川健・森田一樹他、「溶融塩および高温化学」、Vol.49,No.3(2006),pp.135−143.
そこで、本発明においては、粗製Siを用いて高純度Siを製造する方法において、製品Si中の不純物、特にB、P、Al、Feなどを太陽電池基板用Siに求められるレベルまで、安価、簡便に減少せしめる高純度シリコンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の高純度シリコンの製造方法は、以下の構成により達成することができる。
(1) Si含有量が15〜50質量%のAl−Si溶湯を作製し、溶湯温度を680〜1100℃の範囲に調整しつつ、該Al−Si溶湯中に、中空回転冷却体を浸漬し、該回転冷却体内に冷却流体を送り込みながら該回転冷却体を回転させ、該回転冷却体の外周面に、不純物のうち少なくともB及びPの濃度を低減したSi精製塊を析出させる回転浸漬法の操作を少なくとも1回行う工程、を有することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
(2) Si含有量が15〜50質量%のAl−Si溶湯を作製し、溶湯温度を680〜1100℃の範囲に調整しつつ、該Al−Si溶湯中に、中空回転冷却体を浸漬し、該回転冷却体内に冷却流体を送り込みながら該回転冷却体を回転させ、該回転冷却体の外周面に、不純物のうち少なくともB及びPの濃度を低減したSi精製塊を析出させる回転浸漬法の操作を少なくとも1回行う第1工程と、
第1工程で析出させたSi精製塊を再溶融させ、NaCOとSiOの混合物からなるフラックスを添加することにより、溶融Si中に含有される不純物のうち少なくともAlの濃度を低減させる操作を少なくとも1回行う第2工程と、を有することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
(3) Si含有量が15〜50質量%のAl−Si溶湯を作製し、溶湯温度を680〜1100℃の範囲に調整しつつ、該Al−Si溶湯中に、中空回転冷却体を浸漬し、該回転冷却体内に冷却流体を送り込みながら該回転冷却体を回転させ、該回転冷却体の外周面に、不純物のうち少なくともB及びPの濃度を低減したSi精製塊を析出させる回転浸漬法の操作を少なくとも1回行う第1工程と、
第1工程で析出させたSi精製塊を再溶融させ、NaCOとSiOの混合物からなるフラックスを添加することにより、溶融Si中に含有される不純物のうち少なくともAlの濃度を低減させる操作を少なくとも1回行う第2工程と、
第2工程で得られたSi精錬塊を溶融させ、一方向凝固法または第1工程で用いた回転浸漬法を窒素雰囲気中で行うことで、不純物のうち少なくともFe及びNaの濃度を低減したSi精製塊を析出させる操作を少なくとも1回行う第3工程と、を有することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
(4) 第1工程の回転浸漬法において、前記Al−Si溶湯の溶湯温度が680〜1100℃の範囲に調製されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
(5) 第1工程の回転浸漬法において、前記Al−Si溶湯のSi含有量が15〜25質量%の場合、前記冷却流体は、不活性ガスまたは空気であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
(6) 第1工程の回転浸漬法において、前記Al−Si溶湯のSi含有量が25質量%超〜50質量%の場合、前記冷却流体は、不活性ガスであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つのいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
(7) 第1工程の回転浸漬法において、前記冷却流体の流量が、100〜5000L/minであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
(8) 第1工程の回転浸漬法において、前記中空回転冷却体の回転数が、500〜2250rpmであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
(9) 第2工程において、前記フラックスが、NaCOとSiOの混合物であって、NaCOとSiOの混合モル比(NaCO:SiO)が、1:0.5〜8.0の範囲であることを特徴とする上記(2)〜(8)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
(10) 第3工程の回転浸漬法において、第2工程で得られたSiを溶融させたSi溶湯の溶湯温度が、1450〜1650℃の範囲であることを特徴とする上記(3)〜(9)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
(11) 第3工程の回転浸漬法において、第2工程で得られたSiを溶融させたSi溶湯のSi含有量が99.7〜99.99質量%の場合、前記冷却流体は、不活性ガスまたは空気であることを特徴とする上記(3)〜(10)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
(12) 第3工程の回転浸漬法において、第2工程で得られたSiを溶融させたSi溶湯のSi含有量が98.4〜99.99質量%の場合、前記冷却流体は、不活性ガスであることを特徴とする上記(3)〜(10)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
(13) 第3工程の回転浸漬法において、冷却流体の流量が、50〜5000L/minであることを特徴とする上記(3)〜(12)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
(14) 第3工程の回転浸漬法において、中空回転冷却体の回転数が、20〜2000rpmであることを特徴とする上記(3)〜(13)のいずれか1つに記載の高純度シリコンの製造方法。
本発明の方法により、プラズマ装置やガス吹き込み装置等の高価な設備を使用することなく、Si中の不純物、特にB、P、Al、Feなどを太陽電池基板用Siに求められるレベル、特に最も除去し難いホウ素(B)濃度を、太陽電池基板用途の0.3ppm以下まで、簡便かつ安価に低減することができる。さらに、本発明技術(回転浸漬法)を従来技術である一方向凝固法やスラグ(フラックス)精錬法等と組み合わせることにより、太陽電池基板用の原料Siを高品質、安価で供給することが可能となる。
本発明の第1工程に用いることのできる加熱炉及び回転浸漬装置の代表的な装置構成を模式的に表した図面である。 本発明の第2工程に用いることのできるスラグ製錬装置の代表的な装置構成を模式的に表した図面である。 本発明の第3工程に用いることのできる一方向凝固法を実施するための装置構成の主要部を示す縦断面図である。
本発明の高純度Siの製造方法は、Si含有量が15〜50質量%のAl−Si溶湯を作製し、溶湯温度を680〜1100℃の範囲に調製しつつ、該Al−Si溶湯中に、中空回転冷却体を浸漬し、該回転冷却体内に冷却流体を送り込みながら該回転冷却体を回転させ、該回転冷却体の外周面に、不純物のうち少なくともB及びPの濃度を低減したSi精製塊を析出させる回転浸漬法の操作を少なくとも1回行う第1工程(低温下での回転浸漬法による脱B、P工程)を有することを特徴とする。好ましくは、上記第1工程に加え、更に第1工程で析出させたSi精製塊を再溶融させ、NaCOとSiOの混合物からなるフラックスを添加することにより、溶融Si中に含有される不純物のうち少なくともAlの濃度を低減させる(スラグ精錬法の)操作を少なくとも1回行う第2工程(スラグ製錬法による脱Al工程)をさらに有することを特徴とする。更に好ましくは、第2工程で得られたSi精錬塊を溶融させ、一方向凝固法または第1工程で用いた回転浸漬法を窒素雰囲気中で行うことで、不純物のうち少なくともFe及びNaの濃度を低減したSi精製塊を析出させる操作を少なくとも1回行う第3工程(一方向凝固法またはN雰囲気下での回転浸漬法による脱Fe、Na工程)をさらに有することを特徴とする。かかる構成(製造工程)を有することにより、上記した本発明の効果を奏することができる。
まず、本発明と従来技術の差異について述べる。先に示した従来技術は、次の6つの手法に便宜的に分類できる。即ち、第1法は、溶融Si上にスラグを単独で供給する方法(「特許文献2、3」等。以下、「単純スラグ精錬法」と称する)である。第2法は、酸化性ガスを溶融シリコンに接触させる方法(「特許文献6、7、14」等。以下、「ガス酸化法」と称する)である。第3法は、固体酸化剤(MgCO等)を溶融Si中にキャリアガスと共に吹き込む方法(「特許文献11」等。以下、「酸化剤吹き込み法」と称する)である。第4法は、酸化性ガスを溶融シリコンに接触させると共に、スラグ、又は、スラグ原料(SiO等)を溶融Siに添加する方法(「特許文献4、5、8、9、10」等。以下、「複合スラグ精錬法」と称する)である。第5法は、Si−Al溶湯から一方向低温凝固法により不純物を除去させる方法(「特許文献12、13」等。以下、「一方向低温凝固法」と称する)である。第6法は、高温(1414〜1600℃程度)のSi−Al溶湯からSi回転浸漬冷却精製法により不純物を除去させる方法「特許文献15〜17」等。以下、「高温下での回転浸漬法」と称する)である。これに対し、本発明においては、680〜1100℃の低温下での回転浸漬法により、B、P、Fe等の不純物、なかでも除去し難いホウ素(B)濃度を、太陽電池基板用途の0.3ppm以下まで低減することが特徴であり、これら従来技術分類のいずれにもあてはまらない。
次に、本発明の優位な理由を、従来法と比較して説明する。
第1に、従来法である単純スラグ法との比較を述べる。単純スラグ精錬法の原理は、スラグ、特に、塩基度の高いスラグ中において、BがSi中よりも熱力学的に安定に存在できることを利用して、BをSi中からスラグ中に移動させるものである。しかし、Si中のBは、通常、ホウ素原子として単体で存在していると考えられ、単体Bの熱力学的安定性は、Si融液とスラグ間では大きな差ではない。これが、単純スラグ精錬法で分配率の低い原因である。このように分配率の低い(分配比1前後の)単純スラグ精錬法では、ホウ素(B)濃度が1ppm程度の純度のSiしか得ることはできない。一方、本発明においては、680〜1100℃の低温下での回転浸漬法により、簡便かつ安価に、不純物の中でも特に除去し難いホウ素(B)濃度を0.3ppm以下まで低減できるものである。また、ホウ素を除去した後に、スラグ(フラックス)精錬法を用いて、除去が容易なAlを簡便かつ安価に低減することができる。そして、スラグ精錬法で用いたフラックスに起因するNa等の不純物についても、例えば、一方向凝固法や回転浸漬法を窒素雰囲気中で行うことで、簡単に除去することができ、これにより製品Si中の不純物を太陽電池基板用Siに求められるレベルまで、安価かつ簡便に減少させた高純度シリコンを精製することができるものである。こうした点で、本発明は、単純スラグ精錬法に比べて優位である。
第2に、従来法であるガス酸化法及び酸化剤吹き込み法との比較を述べる。従来法であるガス酸化法及び酸化剤吹き込み法の原理は、溶融Siに酸化性ガス又は酸化剤を接触させ、Si中のBを酸化して低沸点ホウ素酸化物を生成させ、これをSiから蒸発除去するものである。この方法の問題点は、Bは酸化されても容易には低沸点物質を形成しないため、酸化性ガス(又は酸化剤)によるSi酸化速度に対して、B除去速度の方がより低い傾向を示すことによるものである。このため、Siの酸化ロスにより、Si歩留が著しく低下する。具体的なSi歩留低下機構は、以下の通りである。溶融Si中のBは、酸化性ガス又は酸化剤との接触により、まず、一酸化ホウ素(BO)を形成するはずであるが、このBOは、Si中での活量が低いため、容易には蒸発し得ない。Bが蒸発するためには、より分子量の大きいホウ素酸化物、例えばBに、変化する必要がある。そのためには、BOが更に何らかの酸素源から酸素を受け取ることが最低限必要なため、BOは、その間、Si中に滞留しなければならない。しかし、前述の様に、BとSiの被酸化性は同程度であるので、Si中に長時間滞留するBOは、反応性の高いSi原子と接触する確率が高いため、大半が還元されて単体Bに戻ってしまう。その結果、酸化性ガス又は酸化剤は、主にSiを酸化することに消費されるため、Si歩留を低下させることになる。一方、本発明においては、680〜1100℃の低温下での回転浸漬法により、簡便かつ安価に、不純物の中でも特に除去し難いホウ素(B)濃度を0.3ppm以下まで低減できるものである。また、ホウ素を除去した後に、スラグ(フラックス)精錬法を用いて、除去が容易なAlを簡便かつ安価に低減することができる。そして、スラグ精錬法で用いたフラックスに起因するNa等の不純物についても、例えば、一方向凝固法や回転浸漬法を窒素雰囲気中で行うことで、簡単に除去することができ、Siの酸化ロスによる歩留低下は最低限に抑制される。その結果、製品Si中の不純物を太陽電池基板用Siに求められるレベルまで、安価かつ簡便に減少させた高純度シリコンを精製することができるものである。こうした点で、本発明は、ガス酸化法及び酸化剤ガス吹き込み法に対して優れるといえる。
第3に、従来法である複合スラグ精錬法との比較を述べる。複合スラグ精錬法は、酸化剤とスラグを両方用いる方法である。しかし、複合スラグ精錬法においては、スラグに酸化剤を添加することなく、主として酸化性ガスとの接触によってBを酸化するものである。酸化性ガスを用いてBを酸化することの問題点は、ガス酸化法との比較説明で述べた通りである。但し、複合スラグ法において、このSi酸化ロスの問題は、酸化ホウ素吸収体であるスラグが存在する点で、若干緩和される。しかし、酸化部位(酸化性ガス−溶融Si界面)と酸化ホウ素吸収部位(スラグ−溶融Si界面)が原理的に離れた位置に存在するため、酸化ホウ素はSi融液中を移動中にSiによる還元を受け易く、スラグ−溶融Si界面で酸化B濃度を高く維持することは困難である。このため、スラグ中のBは、非酸化物の形態のものの比率が高まるので、ホウ素分配比の著しい向上は見込めない。前述の様に、Si中のB濃度が1ppm以下でのB精製に対して、ホウ素分配比の低いスラグが存在することは、B除去に致命的な影響を与え得る。なぜならば、ガス酸化によってSi中のB濃度が低下すると、スラグ原料由来B及び高B濃度時のスラグ精錬効果によってスラグ中に蓄えられたBが、スラグからSi側に溶出してくるからである。一方、本発明においては、680〜1100℃の低温下での回転浸漬法により、複合スラグ精錬法での様なSi酸化ロスやスラグからのB溶出の問題を生じさせることなく、簡便かつ安価に、不純物の中でも特に除去し難いホウ素(B)濃度を0.3ppm以下まで低減できるものである。また、ホウ素を除去した後に、スラグ(フラックス)精錬法を用いて、除去が容易なAlを簡便かつ安価に低減することができる。そして、スラグ精錬法で用いたフラックスに起因するNa等の不純物についても、例えば、一方向凝固法や回転浸漬法を窒素雰囲気中で行うことで、簡単に除去することができ、これにより製品Si中の不純物を太陽電池基板用Siに求められるレベルまで、安価かつ簡便に減少させた高純度シリコンを精製することができるものである。この点で、本発明は、複合スラグ精錬法に対して優位と言える。
尚、特許文献8においては、精製後のスラグ中にB等の酸化不純物が存在することを根拠に、スラグ用に供給したSiO自身が酸化剤として作用する可能性を示唆している。しかし、少なくとも、2000℃以下の常圧条件において1ppm濃度以下のSi中のBに対しては、この様な酸化効果は無視できるほど微小であることを本発明者らは検証した。実際、従来の大多数のスラグ精錬法の実施例では、SiOをベースにしたスラグを使用しているが、ホウ素分配比は通常1程度であり、これらの例でSiOがBを積極的に酸化しているとは到底考えられない。したがって、当該文献におけるスラグ中のBは、主として酸化ガスに由来するものと考えられ、SiOをホウ素酸化剤とみなすことはできない。また、当該文献には、スラグ形成のために、SiOと共にCaO等の物質をSi融液に供給するとの記載も存在する。しかし、代表物質例として挙げられているCaOは、一般にホウ素酸化物よりも遥かに安定な酸化物であるので、当該文献中のCaO等の添加物が酸化剤を意味していないことは明白である。
第4に、従来法である一方向低温凝固法との比較を述べる。一方向低温凝固法で得られた晶出塊(Siインゴット)では、粒径100〜500μmまで微粉砕して酸洗浄(Leaching;塩酸水溶液につけて残留Alを除去する)しないと、Alが十分に除去できなかった。そのため、晶出塊を微粉砕する工程が高コストになるほか、環境汚染防止の観点から酸洗浄する工程に用いた酸を中和処理する必要がある点でも高コストになるなど、工業化が困難であった。一方、本発明においては、680〜1100℃の低温下での回転浸漬法により、簡便かつ安価に、不純物の中でも特に除去し難いホウ素(B)濃度を0.3ppm以下まで低減できるものである。また、ホウ素を除去した後に、スラグ(フラックス)精錬法を用いて、除去が容易なAlを簡便かつ安価に低減することができる。そして、スラグ精錬法で用いたフラックスに起因するNa等の不純物についても、例えば、一方向凝固法や回転浸漬法を窒素雰囲気中で行うことで、簡単に除去することができ、これにより製品Si中の不純物を太陽電池基板用Siに求められるレベルまで、安価かつ簡便に減少させた高純度シリコンを精製することができるものである。この点で、本発明は、一方向低温凝固法に対して優位と言える。
以下、本発明につき、各工程の構成要件につき詳しく説明する。
<第1工程;低温下での回転浸漬法による脱B、P工程>
第1工程は、Si含有量が15〜50質量%のAl−Si溶湯を作製し、溶湯温度を低温の680〜1100℃の範囲に調整しつつ、該Al−Si溶湯中に、中空回転冷却体を浸漬し、該回転冷却体内に冷却流体を送り込みながら該回転冷却体を回転させ、該回転冷却体の外周面に、不純物のうち少なくともB及びPの濃度を低減したSi精製塊を析出させる回転浸漬法の操作を少なくとも1回行うことを特徴とするものである。これにより、Siの融点(1414℃)よりも低い温度で精錬することで、BとPの分配係数が小さくなり、BとPの分配係数がより近い値をとるようになるため、B、Pの精錬(除去)効率を高めることができると共に、安価な設備(大気雰囲気での精錬が可能)及び低ランニングコスト化を図ることができる。
(加熱炉と回転浸漬装置の装置構成)
第1工程の低温下での回転浸漬法に用いることのできる装置としては、特制限されるものではなく、例えば、特公平7−53569号公報、特許4365480号公報、特許4115432号公報等に記載の従来公知の加熱炉及び回転浸漬装置等を適宜利用することができる。かかる加熱炉及び回転浸漬装置の1例を図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1工程に用いることのできる加熱炉及び回転浸漬装置の代表的な装置構成を模式的に表した図面である。図1に示す加熱炉及び回転浸漬装置は、加熱炉(溶解炉)11と、溶解炉11内に配置された黒鉛製るつぼ12とを備えている。加熱炉11は、上端が開口した炉本体13と、炉本体13の上端開口を塞ぐ2重の蓋体14a、14bとよりなる。炉本体13の周壁内周面に抵抗加熱ないし高周波加熱可能なヒータ(図示せず)が配置されている(図1では、抵抗加熱可能なヒータを用いた抵抗加熱炉を図示している)。また、蓋体14a、14bの中央部には孔16があけられており、蓋体14a、14bの上面の孔16の周囲には上方に、回転浸漬装置21を構成する突出した筒状体22が一体的に設けられている。また蓋体14a、14bを貫通するようにガス供給管(図示せず)が取付けられている。るつぼ12は、加熱炉11の床上に置かれた耐火れんが18の上に載せられている。また、るつぼ12は、黒鉛製本体の内面が炭化ケイ素被覆層で覆われたものがより好ましい。そして、原材料の粗製ケイ素であるSi含有量が15〜50質量%のSi−Al合金が、るつぼ12内に入れられ、抵抗加熱ないし高周波加熱可能なヒータ(図示せず)により加熱されてAl−Si溶湯(溶融Al−Si合金)(L)となる。
回転浸漬装置21を構成する黒鉛製等の筒状体22の下端部分には、下端が閉鎖された筒状の黒鉛(好ましくは、冷却流体漏出防止効果に優れるCIP材=冷間静水圧プレスした黒鉛ないし等方性黒鉛)製の中空回転冷却体23が配置(連結)された密閉(シール)構造となっている。この回転冷却体23は、孔16を通って加熱炉11内のるつぼ12内まで伸び、Al−Si溶湯(L)中に浸漬されるようになっている。また中空回転冷却体23におけるAl−Si溶湯(L)中に浸漬される部分は、ストレート状(半球状の先端部以外はほぼ円筒状)となっている。ただし、中空回転冷却体23のAl−Si溶湯(L)中に浸漬される部分は、ストレート状(半球状の先端部以外はほぼ円筒状)に制限されるものではなく、テーパ状(半球状の先端部に連結された切頭円錐状ないし円錐台状)となっていてもよい。また、筒状体22及びこれと連結された中空回転冷却体23内には、強度及び耐熱性等の観点からステンレス製の冷却流体供給管24が配置されている。冷却流体供給管24における、Al−Si溶湯(L)の液面よりも下方に位置する部分の周壁には多数の冷却流体吹出孔25があけられている。また、筒状体22の上部であって、中空回転冷却体23をAl−Si溶湯(L)中に浸漬した状態で、孔16よりも上方に位置する部分の周壁には、中空回転冷却体23の冷却に用いられた(熱交換後の)冷却流体を排出するためのガス抜き穴26が設けられている。筒状体22の上端は徐々に細くなり、冷却流体供給管24の上端に連結されて閉じた状態(いわゆる、密閉式の二重管構造)となっている。また、冷却流体供給管24の上端(上記した密閉式の二重管構造の上端部分)は、孔16の上方に位置し、回転数が自在に調整可能な回転装置(攪拌機)27に連結されている。また、筒状体22等が一体的に設けられている回転浸漬装置21は、装置全体を下方に降ろしたり、上方に引き上げたりすることができる昇降装置(図示せず)に取り付けられている。
(加熱炉と回転浸漬装置を用いた回転浸漬法)
このような加熱炉及び回転浸漬装置を使用し、予めるつぼ12内に、粗製ケイ素として、Si含有量が15〜50質量%のAl−Si合金を入れておく。加熱炉11内を不活性ガス雰囲気とする場合には、ガス供給管(図示せず)から加熱炉11内に不活性ガスを供給し、加熱炉11内を不活性ガス雰囲気とする。また、加熱炉11内を空気雰囲気とする場合には、特にガス供給管(図示せず)を操作することなく、或いはガス供給管(図示せず)から加熱炉11内に空気を供給し、加熱炉11内を空気雰囲気とする。そして、まず抵抗加熱ないし高周波加熱可能なヒータ(図示せず)により粗製ケイ素である、Si含有量が15〜50質量%のAl−Si合金を溶解してAl−Si溶湯(L)とし、溶湯温度を680〜1100℃の範囲内で一定に加熱、或いは可変(低下)させながら加熱する。ついで、冷却流体供給管24を通して内部に冷却流体を流量100〜5000L/minの範囲で供給しながら、回転冷却体23を回転数500〜2250rpmで回転させ、回転冷却体23をつぼ12内のAl−Si溶湯(L)中に所定の深さ(浸漬深さ)まで浸漬させる。溶湯温度を低下させながら加熱する場合には、所定の低下速度(冷却速度)となるように調整する。この操作(回転浸漬操作)を所定時間(浸漬時間)行なった後、中空回転冷却体23をるつぼ12、更には加熱炉11から取り出し(引き上げて)、回転を停止させる。取り出した中空回転冷却体23の外周面には、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が0.3ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を析出(晶出)している。このSi精製塊(S)を回転冷却体23の周面から取り外すことで、元の粗製ケイ素よりもはるかに高純度のSi精製塊(S)を得ることができる。
以下、上記した回転浸漬法の各構成要件(製造条件)につき、説明する。
(原材料)
第1工程の回転浸漬法に用いることのできる原材料の粗製ケイ素であるSi−Al合金は、Si含有量が15〜50質量%、好ましくは25〜50質量%、より好ましくは30〜45質量%の範囲である。Si含有量が少ないほど溶湯温度を低くできる点で優れているが、Si含有量が15質量%未満の場合には、Al除去量が多くなり過ぎて得られるSi収率が低くなり経済的ではないため、好ましくない。Si含有量が50質量%を超える場合には、ホウ素(B)の除去が十分に進まないほか、溶湯温度を高くする必要があり、使用電力が多くなるためコストが嵩み、安価な製造が困難となるため好ましくない。即ち、特許文献14〜16に記載のように溶湯温度を高く保持して回転浸漬法を行う場合には、Si中不純物の中で最も除去し難いホウ素(B)を十分に除去することができないため好ましくない。
(加熱炉内の雰囲気)
第1工程の回転浸漬法を行う際の加熱炉内の雰囲気は、Al−Si溶湯の酸化を防止する観点から、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスの雰囲気とするのが望ましい。ただし、溶湯温度が低い場合、言い換えれば、Si含有量が少ないほど溶湯温度を低くできることから、Al−Si溶湯中のSi含有量が少ない場合には、Al−Si溶湯の酸化が抑えられることから、空気雰囲気としてもよい。具体的には、Al−Si溶湯中のSi含有量が15〜25質量%の場合には、加熱炉内の雰囲気は、不活性ガス、空気、これらの混合物または酸素濃度21%以下のガス雰囲気とすればよい。Al−Si溶湯のSi含有量が25質量%超〜50質量%の場合には、加熱炉内の雰囲気は、不活性ガス雰囲気とするのが望ましい。
(溶湯温度)
第1工程の回転浸漬法における溶湯温度は、680〜1100℃、好ましくは700〜1050℃、より好ましくは800〜1000℃の範囲に調整しつつ行うものである。溶湯温度が680℃未満の場合には、完全に溶解しないことがあるため、好ましくない。溶湯温度が1100℃を超える場合には、ホウ素(B)の除去が十分に進まないほか、溶湯温度を高くする必要があり、使用電力が多くなるためコストが嵩み、安価な製造が困難となるため好ましくない。即ち、特許文献14〜16に記載のように溶湯温度を高く保持して回転浸漬法を行う場合には、Si中不純物の中で最も除去し難いホウ素(B)を十分に除去することができないため好ましくない。かかる溶湯温度は、抵抗加熱ないし高周波加熱可能なヒータにより調整することができる。溶湯温度の冷却速度(低下速度)を調整する場合には、冷却速度(低下速度)の制御が容易な抵抗加熱可能なヒータを備えた抵抗加熱炉を用いるのが望ましい。
(溶湯温度の冷却速度(低下速度))
溶湯温度の冷却(低下)は、上記溶湯温度の範囲内で行ってもよい。溶湯温度の冷却速度(低下速度)は、冷却速度(低下速度)の制御が容易な抵抗加熱炉を用いて調整するのが望ましい。溶湯温度の冷却速度(低下速度)としては、溶湯温度の冷却速度(低下速度)を遅くすることで、Si精製塊中の含有量を高め(Al含有量を低減し)、更にSi精製塊中の不純物、特にB、Pを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減し、Si純度の向上を図る観点から、好ましくは−0.1〜−10℃/min、より好ましくは−0.1〜−8℃/min、特に好ましくは−0.5〜−5℃/minの範囲である。なお、この場合のAl−Si溶湯に中空回転冷却体を浸漬する際の浸漬開始温度は、上記溶湯温度の範囲内であればよいが、その後の溶湯温度の低下を考慮すると、好ましくは680〜1100℃、より好ましくは700〜1000℃、特に好ましくは700〜950℃の範囲である。また溶湯温度の冷却速度は、温度制御プログラムにより行ってもよく、例えば、溶湯温度1020℃→980℃を10分で降下させ、(平均)冷却速度:−4.0℃/minとし、その後980℃→950℃を60分で降下させ、(平均)冷却速度:−0.5℃/minとする(この間を120分で降下させれば、(平均)冷却速度:−0.25℃/minとなる)ように温度制御(抵抗加熱可能なヒータの抵抗値を可変させてヒータ加熱温度を徐々に低下させることによる温度制御)を行ってもよい。
(冷却流体)
第1工程の回転浸漬法に用いる中空回転冷却体内に供給する冷却流体としては、中空回転冷却体の材質がカーボンである場合にはカーボンを酸化させないという観点から、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを用いるのが望ましい。ただし、溶湯温度が低い場合、言い換えれば、Si含有量が少ないほど溶湯温度を低くできることから、Al−Si溶湯中のSi含有量が少ない場合には、カーボンの酸化が進行し難いことから、中空回転冷却体内に供給する冷却流体として空気を使用できる。具体的には、Al−Si溶湯中のSi含有量が15〜25質量%の場合には、冷却流体として不活性ガス、空気、これらの混合物または酸素濃度21%以下のガスを使用できる。Al−Si溶湯のSi含有量が25質量%超〜50質量%の場合には、冷却流体として不活性ガスを用いるのが望ましい。
(冷却流体温度・圧力)
第1工程の回転浸漬法に用いる冷却流体は、安価に製造する観点から、冷却流体を常温より低い温度に冷却するための冷却手段を設けることなく、常温(室温)で使用するのが望ましい。ただし、冷却手段を用いて、より低温の冷却流体を供給することで、第1工程の操作時間を短縮できるなど、製品コストの低下が図れる場合には、適当な冷却手段、例えば、ペルチェ式(電子冷却式)クーラー、逆カルノーサイクルを使う冷却装置、熱交換器などを用いて、低温の冷却流体を供給してもよい。これら点から、第1工程の回転浸漬法に用いる冷却流体温度としては、好ましくは−40〜50℃、より好ましくは0〜30℃、特に好ましくは10〜30℃の範囲である。冷却流体温度が−40℃以上であれば比較的容易に冷却流体とすることができるとともに冷却効率が高い点で優れている。冷却流体温度が50℃以下であれば冷却手段無しでも必要な冷却流体とできる点で優れている。また、第1工程の回転浸漬法に用いる冷却流体は、中空回転冷却体内に供給しやすいように、所定の圧力下で行ってもよい。該冷却流体の圧力は、好ましくは0.05〜10.0MPa、より好ましくは0.1〜0.5MPa、特に好ましくは0.1〜0.3MPaの範囲である。冷却流体の圧力が0.05MPa以上であれば冷却流体による十分な冷却効率が得られる点で優れている。冷却流体の圧力が10.0MPa以下であれば可能な耐圧処置ができる点で優れている。
(冷却流体流量)
第1工程の回転浸漬法に用いる冷却流体の流量は、溶湯温度、冷却流体温度などにもよるが、好ましくは100〜5000L/min、より好ましくは150〜3000L/min、特に好ましくは200〜2000L/minの範囲である。冷却流体の流量が多いほど、溶湯温度の低下速度が増え、凝固速度(析出速度)が速くなるが、Si精製塊(Si結晶)中へのAlの混入が増えて、Si純度が低下する傾向にある。このことから、冷却流体の流量が、100L/min以上であれば、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を抑制し、凝固速度(析出速度)を適度に保持することができるため、生産性が低下するのを抑制しつつ、Si精製塊(Si結晶)中へのAlの混入も抑制できる点で優れている。冷却流体の流量が、5000L/min以下であれば、溶湯温度の低下速度(冷却速度)が増え、凝固速度(析出速度)が速くなり、生産性が向上する点で優れている。さらに、凝固速度(析出速度)を速くなりすぎてSi精製塊(Si結晶)中へのAlの混入が大幅に増えるほどではなく、Si純度の低下を効果的に抑制することができる点でも優れている。
(中空回転冷却体の回転数)
第1工程の回転浸漬法における中空回転冷却体の回転数は、好ましくは500〜2250rpm、より好ましくは500〜2000rpm、特に好ましくは550〜1500rpmの範囲である。中空回転冷却体の回転数が高いほど、凝固速度(析出速度)が遅くなり、Si精製塊(Si結晶)中へのAlの混入が抑制され、Si純度が向上する反面、回転数が高くなりすぎると、Si精製塊(Si結晶)中の不純物、特にB、Pを太陽電池基板用Siに求められるレベルまで低減するのが難しくなる傾向にある。このことから、中空回転冷却体の回転数が500rpm以上であれば、凝固速度(析出速度)を所望の速度に遅らせることができ、Si精製塊(Si結晶)中へのAlの混入が抑制され、尚且つSi精製塊中の不純物、特にB、Pを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減でき、Si純度を向上することができる。中空回転冷却体の回転数が2250rpm以下であれば、凝固速度(析出速度)が適度に遅くでき、生産性が低下するのを抑制しつつ、Si精製塊(Si結晶)中へのAlの混入を抑制し、更にSi精製塊中の不純物、特にB、Pを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減でき、Si純度の向上を図ることができる点で優れている。
(中空回転冷却体の外周面へのSi精製塊の凝固(析出)速度)
第1工程の回転浸漬法における中空回転冷却体の外周面へのSi精製塊の凝固(析出)速度は、中空回転冷却体への冷却流体の温度や流量を上記範囲内で調整することにより自在にコントロールすることができる。中空回転冷却体の外周面へのSi精製塊の凝固(析出)速度としては、凝固速度(析出速度)が速くなすぎてSi精製塊中へのAlの混入が増加するのを抑制し、更にSi精製塊中の不純物、特にB、Pを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減し、Si純度の向上を図る観点から、好ましくは0.1〜30.0mm/min、より好ましくは0.5〜15.0mm/min、更に好ましくは1.0〜10.0mm/minの範囲である。
(中空回転冷却体の浸漬時間)
第1工程の回転浸漬法における中空回転冷却体のAl−Si溶湯への浸漬時間は、十分なSi純度向上及び経済性の観点から、好ましくは1〜120分、より好ましくは5〜60分、特に好ましくは10〜60分の範囲である。
(中空回転冷却体の浸漬深さ)
第1工程の回転浸漬法における中空回転冷却体のAl−Si溶湯への浸漬深さは、効率及び中空回転冷却体保護の観点から、中空回転冷却体の軸線方向の長さ(全長)に対して、好ましくは10〜98%、より好ましくは20〜85%、特に好ましくは25〜75%の範囲である。
(回転浸漬法の操作の繰り返し回数)
第1工程の回転浸漬法の操作は、少なくとも1回行えばよい。これは、1回の回転浸漬法の操作により、Si精製塊中の不純物であるB、Pを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減することができる場合もあるためである。ただし、通常は、第1工程の回転浸漬法の操作は、好ましくは3回以上、特に好ましくは3回行うことで、Si精製塊中の不純物であるB、Pを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減することができる。なお、第1工程の回転浸漬法の操作の上限は特に制限されないが、生産性の観点からは少ない回数が好ましく、7回以下、好ましくは5回以下、より好ましくは4回以下、特に好ましくは3回である。なお、回転浸漬法の操作を2回以上行う場合、n回目(nは2以上の整数)のAl−Si溶湯には、Si含有量が15〜50質量%の原材料を溶融させたものではなく、n−1回目の回転浸漬法の操作により得られたSi精製塊を出発原料として溶融させたものを用いる。また、中空回転冷却体は、回転浸漬法の操作を1回行うごとに取り換えてもよいし、壊れるなどするまで繰り返し同じものを何回でも使用(使い回し)してもよいなど、特に制限されるものではない。コスト低減の観点からは後者の使い方が好ましい。
<第2工程;スラグ製錬法による脱Al工程>
第2工程は、第1工程で析出させたSi精製塊を再溶融させ、NaCOとSiOの混合物からなるフラックスを添加することにより、溶融Si中に含有される不純物のうち少なくともAlの濃度を低減させる(スラグ製錬法の)操作を少なくとも1回行うことを特徴とするものである。これにより、第1工程で析出させたSi精製塊から、Alを簡便かつ安価に除去することができる。
(スラグ製錬装置の装置構成)
第2工程の低温下での回転浸漬法に用いることのできる装置としては、特制限されるものではなく、例えば、特開昭56−32319号公報等に記載の従来公知のスラグ製錬装置を適宜利用することができる。かかるスラグ製錬装置の1例を図面を用いて説明する。図2は、本発明の第2工程に用いることのできるスラグ製錬装置の代表的な装置構成を模式的に表した図面である。図2に示すスラグ製錬装置では、精製炉31内に設置されたるつぼ32が、周囲のヒータ33により加熱・保温される。るつぼ32内には、第1工程で析出させたSi精製塊を再溶融させたSi34を保持でき、所定温度に維持される。るつぼ32内の溶融Si34上に、フラックス供給管36を通してNaCOとSiOの混合物からなるフラックス35が供給される。これら溶融Siおよびフラックス間でAl除去を含めた反応・精製がなされる。加熱・精製中、炉内雰囲気は、ガス供給管37とガス排気管38を通して、ガス種・ガス濃度が制御される。フラックス35が消耗(Si融液との反応、又は、気化によるもの)し、スラグ35’へのAl移行も充分進んだ段階で、スラグ35’及び残フラックス35は、るつぼ32外に排出される。排出方法は、るつぼ32に設置されたるつぼ傾動装置39によってるつぼ32が傾けられ、溶融Si34上部に存在するスラグ35’及び残フラックス35のみが廃スラグ受40に排出される。この後、るつぼ32を元の位置に戻し、必要であれば、再度フラックス35を溶融Si34上に供給して精製を複数回継続してもよい。尚、符号34’は、るつぼ32内にSi精製塊を供給するためのSi供給管である。また,符号31aは、精製炉31の扉であり、廃スラグ受40に排出されたスラグ35’及び残フラックス35を精製炉の扉31aを開放して、廃スラグ受40と共に炉外に搬送することができる構成となっている。
(フラックス)
第2工程において、前記フラックスに関しては、酸化能力、純度、取り扱い易さ、並びに、価格の条件を考慮して、フラックスの少なくとも1種(必須成分)として、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、又は、アルカリ土類金属の水酸化物の内、1種又は2種以上の組み合わせを主成分とする物質を用いることが好適である。なぜならば、これらの物質は、第1に、Alを酸化する能力が高いから、第2に、Siへの溶解による汚染が少なく、第3に、フラックスの混合成分であるSiO等の成分と反応して、低融点・低粘性の安定なスラグを形成するので、排気・廃液処理等の点で取り扱いが容易であるからである。更に望ましくは、これらの物質の内、アルカリ金属元素、又は、アルカリ土類金属元素として、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、又は、バリウムの内、1種又は2種以上を用いることが望ましい。なぜならば、第1に、これらの元素の化合物は、より高い原子量の化合物に比べて単位質量当りのAlを酸化する能力が高く、第2に、これらの物質は入手し易く、安価、かつ、一般に使用上の安全性も高いからである。更に望ましくは、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、又は、アルカリ土類金属の水酸化物として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、又は、これらの水和物、水酸化マグネシウム、又は、水酸化カルシウムの内、1種又は2種以上を用いることである。なぜならば、第1に、これらの物質は、Siの酸化により溶融Si表面に生じてSi融液とスラグの接触を阻害する強固なSiO膜をスラグ化して除去でき、第2に、これらの物質は、工業的に大量に生産されている上、高純度製品の製造法が確立しており、第3に、特に、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムを使用した場合に顕著な現象として、溶融Si中のAlがアルミン酸ナトリウム(二酸化ナトリウムアルミニウム;NaAlO)に変化し、スラグに移行し、容易に除去できる効果が存在するからである。尚、この明細書及び請求の範囲に記載されているアルカリ土類金属は、ベリリウムとマグネシウムを含むものとする。
第2工程において、前記フラックスに関しては、上記物質と共に、シリコン汚染の惧れの少ない高純度ケイ砂等のSiO、又は、高純度アルミナ等のAlの少なくとも1種を必須成分として用いることが好適である。これは、Si融点近傍のやや低温での精製作業が望ましいので、前記フラックスとして上記した物質と共にSiOを含む混合物を添加して、スラグの低融点化・低粘度化を図ることが重要である。前記フラックスとして、上記した炭酸ナトリウム等を併用してスラグの高機能性を追求しても良いし、精錬時の反応速度をより穏健にするために、CaO等の他の添加剤をさらに混合させる選択もあり得る。また、前記フラックスの混合成分の1種として、市販される高純度ソーダガラスを粉砕・加熱して用いても良い。また、前記フラックスを添加後に、溶融Si表面に形成されるスラグの温度としては、Si汚染防止や過剰な反応速度回避の観点から、2000℃以下が望ましい。
第2工程において、前記フラックスとしては、NaCO(炭酸ナトリウム)とSiOの混合物であって、NaCOとSiOの混合モル比(NaCO:SiO)が、1:0.5〜8.0、好ましくは1:1.0〜5.0、より好ましくは1:1.5〜3.5の範囲のものが好適である。該モル比が上記範囲内であれば、不純物除去効率の点で優れている。
(フラックス供給方法)
フラックスとしては、NaCO(炭酸ナトリウム)等の成分とSiO等の成分の混合物を溶融シリコンに供給する場合、NaCO(炭酸ナトリウム)等の成分とSiO等の成分が混和した形態で行えばよい。
この形態では、溶融Si中のAlは、フラックス成分との直接接触によって酸化されるので、溶融Siとフラックス成分の接触面積を可能な限り大きく設定することが好ましい。
なぜなら、Si融液を攪拌する等してこの接触面積を拡大することは、Alの酸化速度を大きく向上させるためである。この溶融Si中のAlがフラックス成分との直接接触によって酸化され、その直後にアルミナとしてスラグに吸収させることによって、高いAlの分配比を実現できる。
また、「NaCO(炭酸ナトリウム)等の成分とSiO等の成分の混合物からなるフラックスを添加する」と言っても、NaCO(炭酸ナトリウム)等の成分とSiO等の成分を予め混和しておかない限り、両者を完全に同時に添加(供給)することは作業上困難である。したがって、実作業上、「NaCO(炭酸ナトリウム)等の成分とSiO等の成分の混合物からなるフラックスを添加する」とは、NaCO(炭酸ナトリウム)等の成分とSiO等の成分をそれぞれ短時間の間隔で添加(供給)する場合を含むものである。ここで、短時間とは、NaCO(炭酸ナトリウム)等の成分を先に供給する場合であれば、NaCO(炭酸ナトリウム)等の成分の大半が消耗(Siとの反応、又は、高温下での気化分解によるもの)する前にSiO等の成分を供給できればよく、例えば、数10kgオーダのNaCO(炭酸ナトリウム)等の成分を供給する場合であれば、NaCO(炭酸ナトリウム)等の成分の供給開始から20分以内に、SiO等の成分の供給を開始することで、通常、問題はない。
(その他作業条件)
第2工程のスラグ精錬法においては、使用するるつぼについては、溶融シリコンやフラックス成分に対して安定であることが望ましく、例えば、黒鉛やアルミナが使用可能である。また、るつぼ材が溶出してスラグ原料の一部として機能することを目的に、シリカガラス等のSiOを主成分としたるつぼを使用しても良い。
第2工程のスラグ精錬法における作業温度(溶融Siの溶湯温度)については、高温での作業は、炉材耐久性や炉材汚染の観点から避けることが望ましい。したがって、溶融Siの溶湯温度は、融点以上2000℃以下であることが望ましい。また、工程上の当然の条件として、溶融Siの溶湯温度は、融点以上でなければならない。
第2工程のスラグ精錬法における作業雰囲気(精製炉内の雰囲気)については、本発明において、Si中のAlを酸化することが必要であるので、水素ガス等の還元性雰囲気は避けることが望ましい。また、るつぼ・炉材に黒鉛を使用する場合には、これらの酸化ロスを防止するため、空気等の酸化性雰囲気も避けることが望ましい。したがって、望ましくは、Arガス等の不活性ガス雰囲気とすることが推奨できる。雰囲気圧力に関しては、製造設備を安価に構成できる点で常圧が望ましいが、100Pa以下の様な極端な低圧でなければ特に制約はない。100Pa以下の様な極端な低圧下での問題点は、溶融Siとスラグ中のSiOが反応してSiOガスが発生し、Si歩留を大幅に低下させることであるため、100Pa以下の様な極端な低圧は避けることが望ましい。
<第3工程(第1の方法);一方向凝固法による脱Fe、Na工程>
第3工程は、第2工程で得られたSi精錬塊を溶融させ、一方向凝固法を行うことで、不純物のうち少なくともFe及びNaの濃度を低減したSi精製塊を析出させる操作を少なくとも1回行うことを特徴とするものである。これにより、第2工程で析出させたSi精製塊から、Fe、Naを簡便かつ安価に除去することができる。
一方向凝固法を用いた第3工程では、第2工程で得られたSi精錬塊を溶融させ、溶融させた(金属)シリコンを鋳型底部から一方向に順次冷却することにより、不純物(Fe及びNa)を(順次に)融液中に排除しながら凝固させて高純度シリンを製造するものである。上記鋳型底部を冷却することで未凝固の溶融シリコンの温度を1300℃以上に保持すると同時に、不純物の濃縮が起こる固相と液相との界面に現れる拡散層の厚みをできるだけ小さくすることで、インゴット(Si精製塊)高さの90%以上が高純度シリコンに精製することができるものである。これは、溶融金属(Si)の凝固現象を観察すると判るように、固相と液相が共存する温度域では、一般に、溶質元素の固相での溶解度Cと液相での溶解度Cは異なるのが普通である。この両者の溶解度の比C/Cは、分配係数と呼ばれ、金属シリコン中に含まれる不純物元素の分配係数は、数元素を除いて、10−2〜10−6と非常に小さい。従って、金属シリコンに含有される不純物は、固相と液相が共存する温度域では、凝固中に固相よりも液相に入りやすく、凝固が進行するにしたがって液相中に濃縮される。第3工程では、かかる現象を利用する一方向凝固法により不純物元素のFe及びNaを液相中に濃縮、除去することで、インゴット(Si精製塊;固相)中のFe及びNaの濃度を著しく低減できるものである。
(一方向凝固法を実施するための装置構成)
第3工程の一方向凝固法を実施するための装置構成としては、特に制限されるものではなく、例えば、特許第4337954号公報、特許第4358300号公報、特許3263104号公報等に記載の従来公知の装置等を適宜利用することができる。かかる一方向凝固法を実施するための装置構成の1例を図面を用いて説明する。図3は、本発明の第3工程に用いることのできる一方向凝固法を実施するための装置構成の主要部を示す縦断面図である。第3工程の一方向凝固法を実施するための装置は、抵抗式加熱溶解炉内に(例えば、内寸20×20×20cmの角型の)鋳型41を設置し、シリコン材料を、Ar雰囲気中に保持した前記鋳型内で溶解する形式のものである。そして、この鋳型41は、冷却部を兼ねた鋳型台42に乗っており、この鋳型台42は、図示しない機構により上下移動ができるものである。この装置によるシリコン材料(第2工程で得られたSi精錬塊)の溶解凝固は、次のようにして行われる。すなわち、前記鋳型41をヒータ43によって加熱した状態で、冷却部の前記鋳型台42の中心にある冷却ガス導入管44よりArガス等の冷却流体を所定の流量(例えば、10L/min程度)流すことにより鋳型41の底部を冷却しながら、鋳型台42および鋳型41とともに下方に動かすことにより、シリコンを鋳型底より上方に向けて一方向に冷却して凝固させるようになっている。なお、この装置の上述した構成は、鋳型41を据え置きにしてヒータを上方に引き抜く形式にしても、鋳型移動形式のものと同等の効果がある。
(装置内の雰囲気)
一方向凝固法を実施する際の装置内の雰囲気は、Si溶湯の酸化を防止する観点から、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスの雰囲気とするのが望ましい。
(原材料)
第3工程の一方向凝固法に用いることのできる原材料のシリコン材料は、第2工程で得られたSi精錬塊である。
(溶融シリコン浴の温度)
一方向凝固法における鋳型内の(未凝固)溶融シリコン浴の温度は、融点(1410℃)以上あることが望ましく、より好ましくは1450℃以上、特に好ましくは1500℃以上である。溶融シリコン浴の温度が1500℃以上であれば、Fe及びNaの濃度を著しく低減し、精製効率の向上を図ることができる点で好ましい。
(冷却流体)
冷却部の鋳型台42の中心にある冷却ガス導入管44より鋳型41の底部に供給する冷却流体(冷却ガス)としては、酸化抑制の観点から、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを用いるのが望ましい。
(冷却流体温度)
第3工程の一方向凝固法に用いる冷却流体は、安価に製造する観点から、冷却流体を常温より低い温度に冷却するための冷却手段を設けることなく、常温(室温)で使用するのが望ましい。ただし、冷却手段を用いて、より低温の冷却流体を供給することで、第3工程の操作時間を短縮できるなど、製品コストの低下が図れる場合には、適当な冷却手段、例えば、ペルチェ式(電子冷却式)クーラー、逆カルノーサイクルを使う冷却装置、熱交換器などを用いて、低温の冷却流体を供給してもよい。これら点から、第3工程の一方向凝固法に用いる冷却流体温度としては、好ましくは−60〜150℃、より好ましくは−20〜120℃、特に好ましくは0〜100℃の範囲である。冷却流体温度が−60℃以上であれば工業的な冷却手段で冷却できる点で優れている。冷却流体温度が150℃以下であれば十分な冷却ができる点で優れている。
(冷却流体の流量)
冷却ガス導入管44より供給される冷却流体(冷却ガス)の流量は、十分な冷却効率が得られて経済的であるという観点から、1〜50L/min、好ましくは5〜30L/min、より好ましくは10〜25L/minの範囲である。上記範囲内の流量で冷却流体(冷却ガス)を流すことにより、鋳型41の底部を冷却しながら、鋳型台42および鋳型41とともに下方に動かすことにより、シリコンを鋳型底より上方に向けて一方向に冷却して凝固させることができる。
<第3工程(第2の方法);N雰囲気下での回転浸漬法による脱Fe、Na工程>
第3工程は、第2工程で得られたSi精錬塊を溶融させ、第1工程で用いた回転浸漬法を窒素ガス雰囲気中で行うことで、不純物のうち少なくともFe及びNaの濃度を低減したSi精製塊を析出させる操作を少なくとも1回行うことを特徴とするものである。これにより、第2工程で析出させたSi精製塊から、Fe、Naを簡便かつ安価に除去することができる。
(加熱炉と回転浸漬装置の装置構成)
第3工程の回転浸漬法に用いることのできる装置は、第1工程の回転浸漬法に用いることのできる装置を適用することができる。
(加熱炉と回転浸漬装置を用いた回転浸漬法)
第1工程の回転浸漬法に用いることのできる装置と同様の加熱炉及び回転浸漬装置を使用し、予めるつぼ12内に、粗製ケイ素として、第2工程で得られたSi精錬塊を入れておく。加熱炉11内を窒素ガス雰囲気とすべく、ガス供給管(図示せず)から加熱炉11内に窒素ガスを供給し、加熱炉11内を窒素ガス雰囲気とする。そして、まず抵抗加熱ないし高周波加熱可能なヒータ(図示せず)により粗製ケイ素である、第2工程で得られたSi精錬塊を溶解してSi溶湯(L)とし、溶湯温度を1450〜1650℃の範囲内で一定に加熱、或いは可変(低下)させながら加熱する。ついで、冷却流体供給管24を通して内部に冷却流体を流量50〜5000L/minの範囲で供給しながら、回転冷却体23を回転数20〜2000rpmで回転させ、回転冷却体23をつぼ12内のAl−Si溶湯(L)中に所定の深さ(浸漬深さ)まで浸漬させる。溶湯温度を低下させながら加熱する場合には、所定の低下速度(冷却速度)となるように調整する。この操作(回転浸漬操作)を所定時間(浸漬時間)行なった後、中空回転冷却体23をるつぼ12、更には加熱炉11から取り出し(引き上げて)、回転を停止させる。取り出した中空回転冷却体23の外周面には、不純物のうち少なくともFe及びNaの濃度が0.3ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を析出(晶出)している。このSi精製塊(S)を回転冷却体23の周面から取り外すことで、元の粗製ケイ素よりもはるかに高純度のSi精製塊(S)を得ることができる。
以下、上記した第3工程の回転浸漬法の各構成要件(製造条件)につき、説明する。
(原材料)
第3工程の回転浸漬法に用いることのできる原材料の粗製ケイ素は、第2工程で得られたSi精錬塊である。
(加熱炉内の雰囲気)
第3工程の回転浸漬法を行う際の加熱炉内の雰囲気は、Si溶湯の酸化を防止する観点から、窒素ガス雰囲気とするのが好ましい。
(溶湯温度)
第3工程の回転浸漬法における溶湯温度は、1410〜1650℃、好ましくは1450〜1650℃、より好ましくは1450〜1600℃、特に好ましくは1450〜1550℃の範囲に調整しつつ行うものである。溶湯温度が1410℃未満の場合には、凝固するので好ましくない。溶湯温度が1650℃を超える場合には、炉材等の材料の耐久寿命が短くなるほか、溶湯温度を高くする必要があり、使用電力が多くなるためコストが嵩み、安価な製造が困難となるため好ましくない。かかる溶湯温度は、抵抗加熱ないし高周波加熱可能なヒータにより調整することができる。溶湯温度の冷却速度(低下速度)を調整する場合には、冷却速度(低下速度)の制御が容易な抵抗加熱可能なヒータを備えた抵抗加熱炉を用いるのが望ましい。
(溶湯温度の冷却速度(低下速度))
溶湯温度の冷却(低下)は、上記溶湯温度の範囲内で行ってもよい。溶湯温度の冷却速度(低下速度)は、冷却速度(低下速度)の制御が容易な抵抗加熱炉を用いて調整するのが望ましい。溶湯温度の冷却速度(低下速度)としては、溶湯温度の冷却速度(低下速度)を遅くすることで、Si精製塊中の含有量を高め、更にSi精製塊中の不純物、特にFe及びNaを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減し、Si純度の向上を図る観点から、好ましくは−0.1〜−10℃/min、より好ましくは−0.2〜−8℃/min、特に好ましくは−0.5〜−3℃/minの範囲である。なお、この場合のSi溶湯に中空回転冷却体を浸漬する際の浸漬開始温度は、上記溶湯温度の範囲内であればよいが、その後の溶湯温度の低下を考慮すると、好ましくは1450〜1600℃、より好ましくは1450〜1550℃、特に好ましくは1460〜1500℃の範囲である。また溶湯温度の冷却速度は、温度制御プログラムにより行ってもよく、例えば、溶湯温度1500℃→1450℃を20分で降下させ、(平均)冷却速度:−2.5℃/minとし、その後1450℃→1410℃を30分で降下させ、(平均)冷却速度:−2.0℃/minとする(この間を10分で降下させれば、(平均)冷却速度:−3.3℃/minとなる)ように温度制御(抵抗加熱可能なヒータの抵抗値を可変させてヒータ加熱温度を徐々に低下させることによる温度制御)を行ってもよい。
(冷却流体)
第3工程の回転浸漬法に用いる中空回転冷却体内に供給する冷却流体としては、中空回転冷却体の材質がカーボンである場合には、カーボンを酸化させないという観点から、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを用いるのが望ましい。特に、第2工程で得られたSiを溶融させたSi溶湯のSi含有量が98.4〜99.99質量%の場合、前記冷却流体としては、不活性ガスを用いるのが好ましい。ただし、第2工程で得られたSiを溶融させたSi溶湯のSi含有量が99.7〜99.99質量%の場合、前記冷却流体としては、不活性ガスまたは空気を用いることができる。
(冷却流体温度・圧力)
第3工程の回転浸漬法に用いる冷却流体は、安価に製造する観点から、冷却流体を常温より低い温度に冷却するための冷却手段を設けることなく、常温(室温)で使用するのが望ましい。ただし、冷却手段を用いて、より低温の冷却流体を供給することで、第1工程の操作時間を短縮できるなど、製品コストの低下が図れる場合には、適当な冷却手段、例えば、ペルチェ式(電子冷却式)クーラー、逆カルノーサイクルを使う冷却装置、熱交換器などを用いて、低温の冷却流体を供給してもよい。これら点から、第1工程の回転浸漬法に用いる冷却流体温度としては、好ましくは−40〜50℃、より好ましくは0〜30℃、特に好ましくは10〜30℃の範囲である。冷却流体温度が−40℃以上であれば比較的容易に冷却流体とすることができるとともに冷却効率が高い点で優れている。冷却流体温度が50℃以下であれば冷却手段無しでも必要な冷却流体とできる点で優れている。また、第1工程の回転浸漬法に用いる冷却流体は、中空回転冷却体内に供給しやすいように、所定の圧力下で行ってもよい。該冷却流体の圧力は、好ましくは0.05〜10.0MPa、より好ましくは0.1〜0.5MPa、特に好ましくは0.1〜0.3MPaの範囲である。冷却流体の圧力が0.05MPa以上であれば冷却流体による十分な冷却効率が得られる点で優れている。冷却流体の圧力が10.0MPa以下であれば可能な耐圧処置ができる点で優れている。
(冷却流体流量)
第3工程の回転浸漬法に用いる冷却流体の流量は、溶湯温度、冷却流体温度などにもよるが、好ましくは50〜5000L/min、より好ましくは150〜3000L/min、特に好ましくは200〜2000L/min、なかでも好ましくは200〜1000L/minの範囲である。冷却流体の流量が多いほど、溶湯温度の低下速度が増え、凝固速度(析出速度)が速くなるが、Si精製塊(Si結晶)中へのFe及びNaの混入が増えて、Si純度が低下する傾向にある。このことから、冷却流体の流量が、50L/min以上、好ましくは100L/min以上であれば、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を抑制し、凝固速度(析出速度)を適度に保持することができるため、生産性が低下するのを抑制しつつ、Si精製塊(Si結晶)中へのFe及びNaの混入も抑制できる点で優れている。冷却流体の流量が、5000L/min以下であれば、溶湯温度の低下速度(冷却速度)が増え、凝固速度(析出速度)が速くなり、生産性が向上する点で優れている。さらに、凝固速度(析出速度)を速くなりすぎてSi精製塊(Si結晶)中へのFe及びNaの混入が大幅に増えるほどではなく、Si純度の低下を効果的に抑制することができる点でも優れている。
(中空回転冷却体の回転数)
第3工程の回転浸漬法における中空回転冷却体の回転数は、好ましくは20〜2000rpm、より好ましくは100〜2000rpm、特に好ましくは200〜1800rpm、なかでも好ましくは200〜1500rpm、とりわけ200〜800rpmの範囲である。中空回転冷却体の回転数が高いほど、凝固速度(析出速度)が遅くなり、Si精製塊(Si結晶)中へのFe及びNaの混入が抑制され、Si純度が向上する反面、回転数が高くなりすぎると、Si精製塊(Si結晶)中の不純物元素であるFe及びNaを太陽電池基板用Siに求められるレベルまで低減するのが難しくなる傾向にある。このことから、中空回転冷却体の回転数が20rpm以上、好ましくは100rpm以上であれば、凝固速度(析出速度)を所望の速度に遅らせることができ、Si精製塊(Si結晶)中へのFe及びNaの混入が抑制され、Si精製塊中の不純物元素であるFe及びNaを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減でき、Si純度を向上することができる。中空回転冷却体の回転数が2000rpm以下であれば、凝固速度(析出速度)が適度に遅くでき、生産性が低下するのを抑制しつつ、Si精製塊(Si結晶)中へのFe及びNaの混入を抑制し、Si精製塊中の不純物元素であるFe及びNaを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減でき、Si純度の向上を図ることができる点で優れている。
(中空回転冷却体の外周面へのSi精製塊の凝固(析出)速度)
第3工程の回転浸漬法における中空回転冷却体の外周面へのSi精製塊の凝固(析出)速度は、中空回転冷却体への冷却流体の温度や流量を上記範囲内で調整することにより自在にコントロールすることができる。中空回転冷却体の外周面へのSi精製塊の凝固(析出)速度としては、凝固速度(析出速度)が速くなすぎてSi精製塊中へのFe及びNaの混入が増加するのを抑制し、Si精製塊中の不純物元素であるFe及びNaを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減し、Si純度の向上を図る観点から、好ましくは0.1〜30mm/min、より好ましくは0.5〜15.0mm/min、更に好ましくは1.0〜10.0mm/minの範囲である。
(中空回転冷却体の浸漬時間)
第3工程の回転浸漬法における中空回転冷却体のSi溶湯への浸漬時間は、十分なSi純度向上及び経済性の観点から、好ましくは1〜120分、より好ましくは5〜60分、特に好ましくは10〜60分の範囲である。
(中空回転冷却体の浸漬深さ)
第3工程の回転浸漬法における中空回転冷却体のSi溶湯への浸漬深さは、効率及び中空回転冷却体保護の観点から、中空回転冷却体の軸線方向の長さ(全長)に対して、好ましくは10〜98%、より好ましくは20〜85%、特に好ましくは25〜75%の範囲である。
(回転浸漬法の操作の繰り返し回数)
第3工程の回転浸漬法の操作は、少なくとも1回行えばよい。これは、1回の回転浸漬法の操作により、Si精製塊中の不純物元素であるFe及びNaを太陽電池基板用Siに求められる0.3ppm以下のレベルまで低減することができるためである。なお、第3工程の回転浸漬法の操作の上限は特に制限されないが、生産性の観点からは少ない回数が好ましく、7回以下、好ましくは5回以下、より好ましくは3回以下である。なお、回転浸漬法の操作を2回以上行う場合、n回目(nは2以上の整数)のSi溶湯には、n−1回目の回転浸漬法の操作により得られたSi精製塊を出発原料として溶融させたものを用いる。また、中空回転冷却体は、回転浸漬法の操作を1回行うごとに取り換えてもよいし、壊れるなどするまで繰り返し同じものを何回でも使用(使い回し)してもよいなど、特に制限されるものではない。コスト低減の観点からは後者の使い方が好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。
第1工程;低温下での回転浸漬法による脱B、P工程に関する実験について
(実験例1;回転数による影響)
図1に示す加熱炉及び回転浸漬装置を使用し、予め黒鉛製(内径148mm)のるつぼ12内に、粗製ケイ素として、Si含有量が40質量%のAl−Si合金5kgを入れておいた。ガス供給管(図示せず)から加熱炉11内にアルゴンガスをガス流量10L/minで供給し、加熱炉11内をアルゴンガス雰囲気とした。そして、まず抵抗加熱可能なヒータ(図示せず)により粗製ケイ素である、Si含有量が40質量%のAl−Si合金を溶解してAl−Si溶湯(L)とし、溶湯温度(浸漬開始温度)を1020℃まで加熱した。ついで、冷却流体供給管24を通して内部に冷却流体として窒素ガスを流量250L/min、温度1050℃、圧力0.6MPaで供給しながら、回転冷却体23を回転数500rpmで回転させた。回転冷却体23を加熱炉11のつぼ12内のAl−Si溶湯(L)中に所定の深さ(浸漬深さ50mm)まで浸漬させ、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を、溶湯温度1020℃→980℃を10分で降下させ、(平均)冷却速度:−4.0℃/minとし、その後980℃→950℃を60分で降下させ、(平均)冷却速度:−0.5℃/minとなるように温度制御(抵抗加熱可能なヒータの抵抗値を可変させてヒータ加熱温度を徐々に低下させることによる温度制御)を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行った。この操作(回転浸漬操作)を70分間(浸漬時間70分)行なった後、中空回転冷却体23をるつぼ12、更には加熱炉11から取り出し(引き上げて)、回転を停止させた。取り出した中空回転冷却体23の外周面には、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が5ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を析出(晶出)した。このSi精製塊(S)を回転冷却体23の周面から取り外すことで、元の粗製ケイ素よりもはるかに高純度のSi精製塊(S)を得ることができた。得られた結果を表1に示す。なお、使用した回転冷却体23の材質には、CIP材を使用し、回転冷却体23の形状は、Al−Si溶湯(L)中に浸漬される部分は、ストレート形状(半球状の先端部以外はほぼ円筒状)であり、回転冷却体23の直径35mmのものを用いた。
(実験例2;回転数による影響)
実験例1において、回転冷却体23の回転数500rpmを回転数1200rpmとした以外は、実験例1と同様にしてSi精製塊(S)を析出(晶出)した。得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が3ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を得ることができた。得られた結果を表1に示す。
(実験例3;回転数による影響)
実験例1において、回転冷却体23の回転数500rpmを回転数2000rpmとした以外は、実験例1と同様にしてSi精製塊(S)を析出(晶出)した。得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度は、0.3ppm以下まで低減しなかったため、同様の操作(回転浸漬法)を更に2回(合計3回)行った。なお、回転浸漬法の操作のn回目(nは2、3)のAl−Si溶湯には、n−1回目の回転浸漬法の操作により得られたSi精製塊を出発原料として溶融させたものを用いた。その結果、得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が0.3ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を得ることができた。得られた結果を表1に示す。
(実験例4;回転数による影響)
実験例1において、回転冷却体23の回転数500rpmを回転数2250rpmとした以外は、実験例1と同様にしてSi精製塊(S)を析出(晶出)した。得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度は、0.3ppm以下まで低減しなかったため、同様の操作(回転浸漬法)を更に2回(合計3回)行った。なお、回転浸漬法の操作のn回目(nは2、3)のAl−Si溶湯には、n−1回目の回転浸漬法の操作により得られたSi精製塊を出発原料として溶融させたものを用いた。その結果、得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が0.3ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を得ることができた。得られた結果を表1に示す。
上記表1により、1回の回転浸漬法の操作で、不純物元素であるB、P、Feが大幅に低減できることが確認できた。
(実験例5;冷却速度による影響)
実験例1において、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を、溶湯温度1020℃→980℃を10分で降下させ、(平均)冷却速度:−4.0℃/minとし、その後980℃→950℃を60分で降下させ、(平均)冷却速度:−0.5℃/minとなるように温度制御(抵抗加熱可能なヒータの抵抗値を可変させてヒータ加熱温度を徐々に低下させることによる温度制御)を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行うのに変えて、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を−1.0℃/min(浸漬時間70分)となるように温度制御を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行った以外は、実験例1と同様にしてSi精製塊(S)を析出(晶出)した。得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が5ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を得ることができた。得られた結果を表2に示す。
(実験例6;冷却速度による影響)
実験例1において、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を、溶湯温度1020℃→980℃を10分で降下させ、(平均)冷却速度:−4.0℃/minとし、その後980℃→950℃を60分で降下させ、(平均)冷却速度:−0.3℃/minとなるように温度制御(抵抗加熱可能なヒータの抵抗値を可変させてヒータ加熱温度を徐々に低下させることによる温度制御)を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行うのに変えて、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を−0.64℃/min(浸漬時間100分)となるように温度制御を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行った以外は、実験例1と同様にしてSi精製塊(S)を析出(晶出)した。得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が5ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を得ることができた。得られた結果を表2に示す。
(実験例7;冷却速度による影響)
実験例3において、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を、溶湯温度1020℃→980℃を10分で降下させ、(平均)冷却速度:−4.0℃/minとし、その後980℃→950℃を120分で降下させ、(平均)冷却速度:−0.25℃/minとなるように温度制御(抵抗加熱可能なヒータの抵抗値を可変させてヒータ加熱温度を徐々に低下させることによる温度制御)を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行うのに変えて、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を−0.54℃/min(浸漬時間70分)となるように温度制御を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行った以外は、実験例3と同様にしてSi精製塊(S)を析出(晶出)した。得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度は、3ppm以下まで低減しなかったため、同様の操作(回転浸漬法)を更に2回(合計3回)行った。なお、回転浸漬法の操作のn回目(nは2、3)のAl−Si溶湯には、n−1回目の回転浸漬法の操作により得られたSi精製塊を出発原料として溶融させたものを用いた。その結果、得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が3ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を得ることができた。得られた結果を表2に示す。
(実験例8;冷却速度による影響)
実験例3において、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を、溶湯温度1020℃→980℃を10分で降下させ、(平均)冷却速度:−4.0℃/minとし、その後980℃→950℃を60分で降下させ、(平均)冷却速度:−1.0℃/minとなるように温度制御(抵抗加熱可能なヒータの抵抗値を可変させてヒータ加熱温度を徐々に低下させることによる温度制御)を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行うのに変えて、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を−0.64℃/min(浸漬時間100分)となるように温度制御を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行った以外は、実験例1と同様にしてSi精製塊(S)を析出(晶出)した。得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度は、0.3ppm以下まで低減しなかったため、同様の操作(回転浸漬法)を更に2回(合計3回)行った。なお、回転浸漬法の操作のn回目(nは2、3)のAl−Si溶湯には、n−1回目の回転浸漬法の操作により得られたSi精製塊を出発原料として溶融させたものを用いた。その結果、得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が0.3ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を得ることができた。得られた結果を表2に示す。
(実験例9;冷却速度による影響)
実験例3において、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を、溶湯温度1020℃→980℃を10分で降下させ、(平均)冷却速度:−4.0℃/minとし、その後980℃→950℃を60分で降下させ、(平均)冷却速度:−0.5℃/minとなるように温度制御(抵抗加熱可能なヒータの抵抗値を可変させてヒータ加熱温度を徐々に低下させることによる温度制御)を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行うのに変えて、浸漬開始後、溶湯温度の低下速度(冷却速度)を−0.54℃/min(浸漬時間130分)となるように温度制御を行って、溶湯温度を低下させながら回転浸漬操作を行った以外は、実験例1と同様にしてSi精製塊(S)を析出(晶出)した。得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度は、0.3ppm以下まで低減しなかったため、同様の操作(回転浸漬法)を更に2回(合計3回)行った。なお、回転浸漬法の操作のn回目(nは2、3)のAl−Si溶湯には、n−1回目の回転浸漬法の操作により得られたSi精製塊を出発原料として溶融させたものを用いた。その結果、得られたSi精製塊(S)は、不純物のうち少なくともB及びPの濃度が0.3ppm以下まで低減した、Si精製塊(S)を得ることができた。得られた結果を表2に示す。
上記表2より、冷却速度を遅くすると、精製塊のSi含有量が高くなる(=Al含有量が低くなる)ことが確認できた。同じ、冷却速度であれば、回転数が高いほど精製塊のSi含有量が高くなる(=Al含有量が低くなる)ことが確認できた。
第2工程;スラグ製錬法による脱Al工程に関する実験について
(実験例11)
図2に示すスラグ製錬装置を用いて、精製炉31内に設置されたる黒鉛製(内径170mm)のつぼ32を、周囲のヒータ33により1600℃に加熱・保温した。るつぼ内には、実験例10の第1工程で得られたB及びPの濃度が0.3ppm以下まで低減したSi精製塊を再溶融させたSi(8kg)を投入、保持し、所定温度(1600℃)に加熱・維持した。るつぼ32内の溶融Si34上に、フラックス供給管36を通してNaCOとSiOの混合物(混合モル比(NaCO:SiO)が1:1)からなるフラックス35を供給することで、溶融Siおよびフラックス間でAl除去を含めた反応・精製を行った。加熱・精製中、炉内雰囲気は、ガス供給管37とガス排気管38を通して、ガス種・ガス濃度を制御した。フラックスが消耗(Si融液との反応、又は、気化によるもの)し、スラグへのAl移行も充分進んだ段階で、スラグ及び残フラックスは、るつぼ外に排出した。排出方法は、るつぼに設置されたるつぼ傾動装置39によってるつぼが傾けられ、溶融Si上部に存在するスラグ及び残フラックスのみが廃スラグ受40に排出された。この後、るつぼを元の位置に戻し、再度フラックスを溶融Si上に供給して精製を5回継続して行い、Alの濃度が0.3ppm以下まで低減した、Si精製塊を得ることができた。得られた結果を表3に示す。
第3工程;一方向凝固法による脱Fe、Na工程に関する実験について
(実験例12)
図3に示す一方向凝固法を実施するための装置を用いて、鋳型41をヒータ43によって1540℃まで加熱した状態で、鋳型41内に実験例11の第2工程で得られたAlの濃度が0.3ppm以下まで低減したSi精製塊(8kg)を投入し、再溶融させて保持し、所定温度(1540℃)に加熱・維持した。この状態で冷却部の鋳型台42の中心にある冷却ガス導入管44よりArガス(冷却流体)を所定の流量10L/min)流すことにより鋳型41の底部を冷却しながら、鋳型台42および鋳型41とともに下方に動かすことにより、シリコンを鋳型底より上方に向けて一方向に冷却して凝固させた。これにより、不純物元素であるFe及びNaの濃度が0.3ppm以下まで低減したSi精製塊(S)を析出(晶出)することができた。得られた結果を表4に示す。
11 加熱炉(溶解炉)、
12 黒鉛製るつぼ、
13 炉本体(抵抗加熱ないし高周波加熱可能なヒータが内臓されている)、
14a、14b 蓋体、
16 孔、
18 耐火れんが、
21 回転浸漬装置、
22 筒状体、
23 中空回転冷却体、
24 冷却流体供給管、
25 多数の冷却流体吹出孔、
26 ガス抜き穴、
27 回転装置(攪拌機)、
31 精製炉、
31a 精製炉の扉、
32 るつぼ、
33 ヒータ、
34 溶融Si、
34’ Si供給管、
35 フラックス、
35’ スラグ、
36 フラックス供給管、
37 ガス供給管、
38 ガス排気管、
39 傾動装置、
40 廃スラグ受、
41 抵抗式加熱溶解炉内の角型鋳型、
42 鋳型台、
43 ヒータ、
44 冷却ガス導入管。

Claims (14)

  1. Si含有量が15〜50質量%のAl−Si溶湯を作製し、溶湯温度を680〜1100℃の範囲に調整しつつ、該Al−Si溶湯中に、中空回転冷却体を浸漬し、該回転冷却体内に冷却流体を送り込みながら該回転冷却体を回転させ、該回転冷却体の外周面に、不純物のうち少なくともB及びPの濃度を低減したSi精製塊を析出させる回転浸漬法の操作を少なくとも1回行う工程、を有することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
  2. Si含有量が15〜50質量%のAl−Si溶湯を作製し、溶湯温度を680〜1100℃の範囲に調整しつつ、該Al−Si溶湯中に、中空回転冷却体を浸漬し、該回転冷却体内に冷却流体を送り込みながら該回転冷却体を回転させ、該回転冷却体の外周面に、不純物のうち少なくともB及びPの濃度を低減したSi精製塊を析出させる回転浸漬法の操作を少なくとも1回行う第1工程と、
    第1工程で析出させたSi精製塊を再溶融させ、NaCOとSiOの混合物からなるフラックスを添加することにより、溶融Si中に含有される不純物のうち少なくともAlの濃度を低減させる操作を少なくとも1回行う第2工程と、を有することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
  3. Si含有量が15〜50質量%のAl−Si溶湯を作製し、溶湯温度を680〜1100℃の範囲に調整しつつ、該Al−Si溶湯中に、中空回転冷却体を浸漬し、該回転冷却体内に冷却流体を送り込みながら該回転冷却体を回転させ、該回転冷却体の外周面に、不純物のうち少なくともB及びPの濃度を低減したSi精製塊を析出させる回転浸漬法の操作を少なくとも1回行う第1工程と、
    第1工程で析出させたSi精製塊を再溶融させ、NaCOとSiOの混合物からなるフラックスを添加することにより、溶融Si中に含有される不純物のうち少なくともAlの濃度を低減させる操作を少なくとも1回行う第2工程と、
    第2工程で得られたSi精錬塊を溶融させ、一方向凝固法または第1工程で用いた回転浸漬法を窒素雰囲気中で行うことで、不純物のうち少なくともFe及びNaの濃度を低減したSi精製塊を析出させる操作を少なくとも1回行う第3工程と、を有することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
  4. 第1工程の回転浸漬法において、前記Al−Si溶湯の溶湯温度が680〜1100℃の範囲に調製されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  5. 第1工程の回転浸漬法において、前記Al−Si溶湯のSi含有量が15〜25質量%の場合、前記冷却流体は、不活性ガス、空気ないし酸素濃度21%以下のガスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  6. 第1工程の回転浸漬法において、前記Al−Si溶湯のSi含有量が25質量%超〜50質量%の場合、前記冷却流体は、不活性ガスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  7. 第1工程の回転浸漬法において、前記冷却流体の流量が、100〜5000L/minであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  8. 第1工程の回転浸漬法において、前記中空回転冷却体の回転数が、500〜2250rpmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  9. 第2工程において、前記フラックスが、NaCOとSiOの混合物であって、NaCOとSiOの混合モル比(NaCO:SiO)が、1:0.5〜8.0の範囲であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  10. 第3工程の回転浸漬法において、第2工程で得られたSiを溶融させたSi溶湯の溶湯温度が、1450〜1650℃の範囲であることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  11. 第3工程の回転浸漬法において、第2工程で得られたSiを溶融させたSi溶湯のSi含有量が99.7〜99.99質量%の場合、前記冷却流体は、不活性ガスまたは空気であることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  12. 第3工程の回転浸漬法において、第2工程で得られたSiを溶融させたSi溶湯のSi含有量が98.4〜99.99質量%の場合、前記冷却流体は、不活性ガスであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  13. 第3工程の回転浸漬法において、冷却流体の流量が、50〜5000L/minであることを特徴とする請求項3〜12のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
  14. 第3工程の回転浸漬法において、中空回転冷却体の回転数が、20〜2000rpmであることを特徴とする請求項3〜13のいずれか1項に記載の高純度シリコンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109354024A (zh) * 2018-11-19 2019-02-19 成都斯力康科技股份有限公司 一种新型工业硅分离除杂的装置及方法
CN111747415A (zh) * 2020-07-13 2020-10-09 昆明理工大学 一种工业硅中杂质铁的去除方法

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